JPH11256240A - フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
フェライト系ステンレス鋼板の製造方法Info
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- JPH11256240A JPH11256240A JP5862798A JP5862798A JPH11256240A JP H11256240 A JPH11256240 A JP H11256240A JP 5862798 A JP5862798 A JP 5862798A JP 5862798 A JP5862798 A JP 5862798A JP H11256240 A JPH11256240 A JP H11256240A
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Abstract
なくフェライト系ステンレス鋼の表面性状およびリジン
グ性を改善する製造方法の提供。 【解決手段】 Cr:10〜23重量%、Al:0.0
5〜0.2重量%を含有し、Ap:20〜50となるよ
うに化学成分が調整され、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる鋼を、熱間圧延後、650℃以下の温度で
捲取り、熱延板焼鈍を施すことなく、全圧下率で50%
以上の冷間圧延を施した後、Tf(℃)=3×Ap+3
3200/{35.6+log(tr)}−140(t
r:焼鈍温度での保持時間(秒))以上、1000℃以
下の温度で焼鈍することを特徴とする表面性状と加工性
に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。好ま
しくは、B:0.001〜0.01重量%をさらに含有
させる。
Description
代表とするフェライト系ステンレス鋼板の製造方法に関
するものである。
系ステンレス鋼板は、冷延時に鋼板表面に微細な凹凸が
発生し、表面の平滑性を損なうことが認められている。
さらに、製品板をプレス加工あるいは引張加工した際
に、圧延方向に平行な凹凸状の皺が発生、加工品表面の
美観を損なうことが認められている。これらの凹凸は一
般にローピングやリジング、リビング(以降では冷間圧
延時に発生する凹凸をローピング、製品を加工する際に
発生する凹凸をリジングと称する)と呼ばれており、S
US304鋼等のオーステナイト系ステンレス鋼板には
ないフェライト系ステンレス鋼板の重大な欠陥となって
いる。本発明は、このようなリジングやローピングを加
工性を損なわずに向上させるフェライト系ステンレス鋼
板の製造方法に関するものである。
色調と冷延により高い平滑性を得やすいことから、厨房
機器をはじめとする家庭用品や建材、家電、自動車の部
品等に広く使用されている。しかし、フェライト系ステ
ンレス薄鋼板は冷間圧延を行うと表面に1μm(二乗平
均粗さ)以下の凹凸が生じ、平滑性を損ねることが認め
られていた。また、プレス成形や引張加工を加えると圧
延方向に平行な凹凸状の皺が発生する場合がある。これ
らは、色調や平滑性を損ね、それを回復させるための研
磨処理を困難にするだけでなく、部品によっては密着性
を低下させるなど機能上でも支障をきたすことがあっ
た。
確ではないが、概ね以下のように考えられている。すな
わち、鋳造時に形成された粗大結晶粒は、その後の熱延
工程あるいは焼鈍工程にて再結晶し微細化する。しか
し、微細化した粒の大半が類似の結晶方位を有してお
り、もとの粗大粒に相当する擬似的粗大粒とみなすこと
ができる。隣接した擬似的粗大粒の変形挙動の差が凹凸
となって表面に現れると考えられる。
は、概ね下記の3種類の考え方に従って具体策が実行さ
れてきた。多くの場合はそれぞれ単独の実施ではなく、
重畳することで効果の増大を図ってきた。 擬似的粗大粒のもととなる凝固結晶粒の微細化 擬似的粗大粒の集合組織的なランダム化 擬似的粗大粒の分解
じるもので、例えば特開昭50−123294号公報に
開示されているように、柱状晶の等軸晶化を狙った電磁
攪拌、凝固結晶粒の微細化を狙った凝固核の導入あるい
は鋳造温度の低下などが具体的な方策として実施されて
きた。の考え方では、製造工程中での再結晶の促進を
狙った熱間圧延条件(加熱、パススケジュール、仕上げ
温度、捲取温度等)の適正化、冷延時の中間焼鈍工程の
追加等が提案されている。の考え方では、変態の導入
を意図した成分変更、特殊な熱工程が提案されている。
ピングの抑制に効果はあるものの、弊害となる要因も現
れてくるために工業的には十分なレベルには至っていな
い。すなわちに関する方法では鋳造時だけでの対応で
あるために次工程以降への影響が少ないという利点があ
る一方、鋳造温度を低下させすぎるとノズル詰まりやブ
レークアウト等の鋳造障害を引き起こす。
可能であるが、多くの工程が複雑に影響しあい、製造工
程の設計が極めて困難であり、コスト上昇要因ともなる
ため、本法のみで解決することは難しい。すなわち圧延
工程での圧下配分、熱履歴、鋼材成分等が影響しあい、
鋼種、製品厚、要求品質によって工程条件を設計するこ
とが極めて難しくなる。
組織あるいは類似粗大粒の分解には極めて有効である
が、一般的なフェライト系ステンレス鋼であるSUS4
30鋼では部分的にしか変態せず、全体を変態させるた
めには大幅な成分変更が必要となり、適用可能な鋼種が
限られ一般的な解決法にはなり得ない。
が析出するだけであるため、変態によって組織全体を変
えることはできないが、熱延時に適量γ相を析出させる
ことにより、熱延時に導入されるせん断歪をγ相周囲に
集中させ、再結晶を促進させる方法は、特開平7−11
8754号公報にて開示されている。さらに熱延後直ち
に冷却、低温で捲取ることにより、高温で析出したγ相
をマルテンサイト相に変態させ、冷間圧延時に導入され
るせん断歪もマルテンサイト相周囲に集中させてリジン
グ発生を抑制する方法も特開平8−49017号公報に
て開示されている。これらのリジング発生の抑制方法
は、析出するγ相が多いほど効果的であるが、製品の硬
質化、加工性低下を招くためにγ相の量を十分増加する
ことができない。
0鋼のような高温で部分的にγ相が析出するフェライト
系ステンレス鋼において、分散させたγ相を有効に利用
しローピング発生を抑制すると共に、γ相による弊害を
なくした表面性状とリジング性の優れたフェライト系ス
テンレス鋼板の製造方法を提供するものである。
ローピングを抑制させるためには、冷間圧延前の熱延板
にγ相から変態したマルテンサイト量を増加させること
が有効であるが、マルテンサイト量の増加と共に、製品
板が硬質化し、加工性が低下する。これは、冷延後に工
業的に実施されている短時間焼鈍でマルテンサイト相が
十分分解せず、また分解したマルテンサイト相近傍にも
炭窒化物が微細に析出するために、十分軟化しないこと
に起因する。これを十分軟化させるためには、高温で焼
鈍するかあるいは焼鈍時間を延長することが考えられ
る。しかし、900℃を越える温度では再びγ相が安定
となるために、焼鈍中にγ相は減少せず冷却中にマルテ
ンサイト相に変態し、製品板の逆に硬質化する。また、
工業的に実施されている連続焼鈍での焼鈍時間を延長す
るためには大幅な設備改造を必要とし、コストあるいは
生産性を著しく害する。
相の分解を促進するために、AlあるいはBを添加する
と共に、成分から計算されるγ相の量に応じて最適な焼
鈍温度範囲を規定することによりγ相による製品硬質
化、加工性低下等の弊害をなくす方法を想起した。すな
わち、AlあるいはBの添加によりマルテンサイト相が
炭窒化物およびフェライト相に分解する速度を上昇させ
ると共に、Al含有量の最適化によりγ相が安定となる
温度を高温側にシフトさせ、焼鈍温度の上限を上げる。
さらに冷延板に残留するマルテンサイト相の量を成分か
ら計算されるAp値によって予測し、そのAp値から焼
鈍の下限温度を規定した。
ながる特殊な設備あるいは工程を付与せず、Alあるい
はBの微量添加と成分から計算される温度範囲で最終焼
鈍を実施することにより、表面性状に優れたフェライト
系ステンレス鋼を、γ相の増加による製品硬質化、加工
性低下を防止しながら製造することが可能となった。
ンサイト相の分解を促進させるAlあるいはBを添加
し、成分から計算されるγ相の量に応じて最適な焼鈍温
度範囲を規定した、表面性状とリジング性の優れたフェ
ライト系ステンレス鋼板の製造方法を発明した。
るフェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、重
量%で、Cr:10%以上23%以下、Al:0.05
%以上0.2%以下を含有し、下記(1)式で表される
Apが20以上50以下となるように化学成分が調整さ
れ、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライ
ト系ステンレス鋼を、熱間圧延後、650℃以下の温度
で捲取り、熱延板焼鈍を施すことなく、全圧下率で50
%以上の冷間圧延を施した後、下記(2)式で表される
Tf(℃)以上、1000℃以下の温度で焼鈍すること
を特徴とする表面性状と加工性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼板の製造方法。 Ap=420(%C)+470(%N)+23(%Ni)+9(%Cu) +7(%Mn)−11.5(%Cr)−11.5(%Si)−12 (%Mo)−(%V)−47(%Nb)−49(%Ti)−52( %Al)+189 ‥‥‥(1) Tf=3×Ap+33200/{35.6+log(tr)}−140 但し、tr:焼鈍温度での保持時間(秒) ‥‥‥(2) (2) 前記フェライト系ステンレス鋼が、さらに重量%
で、B:0.001%以上0.01%以下を、含有する
ことを特徴とする前記 (1) に記載の表面性状と加工性
に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法であ
る。
する。まず、本発明の限定条件を示す。Cr含有量は、
10%未満ではステンレス鋼板としての基本的な耐食性
が低下するために下限とした。また23%を越えるリジ
ングの抑制に有効なγ相が析出しなくなるために上限と
した。
焼鈍時のマルテンサイト相分解を促進すると共に、γ相
が安定な温度範囲を高温化し、焼鈍温度上限を上げるこ
とに必要不可欠である。Al含有量が0.05%未満で
はマルテンサイト分解促進効果が不十分であり、また1
000℃以下でγ相が安定となるため、工業的な可能な
焼鈍温度範囲が得られない。
に分解する速度を早めると共に、マルテンサイト相自体
のサイズを小さくし、分散させる効果を有するために、
焼鈍時間の短縮に著しい効果を有する。B含有量が0.
001%未満ではその効果が不十分であり、0.01%
を越えて添加すると耐食性、溶接性が劣化するため、添
加量を0.001%以上0.01%未満とした。
効な量のγ相を析出させるためには、上記の成分から下
記式により計算されるAp値を20以上としなければな
らない。しかし、50を越えると本発明条件内で焼鈍し
ても十分軟質化せず、加工性が低下することから上限を
50とした。 Ap=420(%C)+470(%N)+23(%N
i)+9(%Cu)+7(%Mn)−11.5(%C
r)−11.5(%Si)−12(%Mo)−(%V)
−47(%Nb)−49(%Ti)−52(%Al)+
189
圧延温度域で析出したγ相をリジングやローピングの抑
制に十分な量のマルテンサイト相に変態せしめるために
は、熱延終了後、650℃以下の温度で捲取らなければ
ならない。650℃を越えた温度で捲取るとコイルのも
つ熱によりγ相が軟質のフェライト相と炭窒化物に分解
する。さらに、残留するマルテンサイト相により冷間圧
延時に導入される歪を有効に利用し、リジングやローピ
ングを抑制するためには熱延後の焼鈍することなく全圧
下率で50%以上の冷間圧延を施さなければならない。
するための冷間圧延後の焼鈍温度の下限は、冷延板中に
残留するマルテンサイト量に依存する。すなわち、残留
するマルテンサイト相が多くなれば、その量に応じて焼
鈍温度の下限を上げなければならない。
発明で規定した熱延後捲取り温度では成分から計算でき
るAp値によって予測することができ、十分軟質化させ
るために必要な焼鈍温度の下限:TfはAp値を使用し
た下式によって与えることができる。 Tf(℃)=3×Ap+33200/{35.6+lo
g(tr)}−140 ここで、trは焼鈍温度での保持時間(秒)で、工業的
な連続焼鈍炉では1秒〜100秒程度の範囲である。
出する温度により決まる。Alを0.05%以上添加し
た本発明の鋼においては、1000℃を越えて焼鈍する
と高温でγ相が再析出し、焼鈍後もマルテンサイト相が
残留するために、焼鈍温度の上限は1000℃である。
従って、焼鈍温度範囲は上式で規定されるTf℃〜10
00℃となる。図1にAp値と焼鈍温度範囲の関係を示
す。
テンレス鋼スラブを1200℃に加熱し、3.8mm厚さ
まで熱間圧延した。熱延板を酸洗後、板厚0.6〜2.
0mmまで冷間圧延した。この冷延板を表2に示す条件で
焼鈍し、引張試験および表面性状の測定を行った。引張
試験は、圧延方向と平行に切り出したJIS13号引張
試験片を用いた。リジングは、圧延方向と平行に切り出
したJIS5号引張試験片の圧延方向と平行に切り出
し、評点間距離が15%伸びるまで引張り、圧延方向と
直角方向に触針式の表面粗さ計で凹凸を測定し、最大凹
凸高さ(リジング高さと呼ぶ)で評価した。
と直角方向に触針式の表面粗さ計で測定し、0.5〜2
mmピッチの最大凹凸高さ(ローピング高さと呼ぶ)から
評価した。引張試験結果、リジング評価結果およびロー
ピング評価結果を製造条件と併せて表2に示す。本発明
で規定した成分範囲および焼鈍条件を満足した鋼はいず
れもリジング、表面性状が良好であり、さらに焼鈍板も
十分軟化しており、十分な延性を有している。
性の低下を招くことなく、フェライト系ステンレス鋼の
表面性状およびリジング性を改善することが可能となっ
た。本発明により、特別な製造設備を付加することな
く、フェライト系ステンレス鋼の有する材質を劣化させ
ずに表面性状、リジング性に優れたフェライト系ステン
レス鋼を安価に供給でき、製造者のみならず本鋼を利用
する者にとっても多大な利益をもたらす。従って、本発
明の工業的価値は極めて高いものであるといえる。
発明における焼鈍温度範囲を鋼のAp値に対して示した
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 連続鋳造、熱間圧延、冷間圧延および焼
鈍からなるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法にお
いて、重量%で、Cr:10%以上23%以下、Al:
0.05%以上0.2%以下を含有し、下記(1)式で
表されるApが20以上50以下となるように化学成分
が調整され、残部がFeおよび不可避的不純物からなる
フェライト系ステンレス鋼を、熱間圧延後、650℃以
下の温度で捲取り、熱延板焼鈍を施すことなく、全圧下
率で50%以上の冷間圧延を施した後、下記(2)式で
表されるTf(℃)以上、1000℃以下の温度で焼鈍
することを特徴とする表面性状と加工性に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼板の製造方法。 Ap=420(%C)+470(%N)+23(%Ni)+9(%Cu) +7(%Mn)−11.5(%Cr)−11.5(%Si)−12 (%Mo)−(%V)−47(%Nb)−49(%Ti)−52( %Al)+189 ‥‥‥(1) Tf=3×Ap+33200/{35.6+log(tr)}−140 ‥‥‥(2) 但し、tr:焼鈍温度での保持時間(秒) - 【請求項2】 前記フェライト系ステンレス鋼が、さら
に重量%で、B:0.001%以上0.01%以下を含
有することを特徴とする請求項1に記載の表面性状と加
工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5862798A JPH11256240A (ja) | 1998-03-10 | 1998-03-10 | フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5862798A JPH11256240A (ja) | 1998-03-10 | 1998-03-10 | フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11256240A true JPH11256240A (ja) | 1999-09-21 |
Family
ID=13089829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5862798A Pending JPH11256240A (ja) | 1998-03-10 | 1998-03-10 | フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11256240A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001295073A (ja) * | 2000-04-05 | 2001-10-26 | Nippon Steel Corp | 耐銹性に優れた表面処理ステンレス鋼、フッ素系樹脂との塗膜密着性に優れるステンレス鋼およびその製造方法。 |
CN104032228A (zh) * | 2014-06-13 | 2014-09-10 | 无锡华生精密材料股份有限公司 | 一种弹性钢带及其生产方法 |
-
1998
- 1998-03-10 JP JP5862798A patent/JPH11256240A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001295073A (ja) * | 2000-04-05 | 2001-10-26 | Nippon Steel Corp | 耐銹性に優れた表面処理ステンレス鋼、フッ素系樹脂との塗膜密着性に優れるステンレス鋼およびその製造方法。 |
JP4514000B2 (ja) * | 2000-04-05 | 2010-07-28 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | フッ素樹脂との塗膜密着性に優れるステンレス鋼 |
CN104032228A (zh) * | 2014-06-13 | 2014-09-10 | 无锡华生精密材料股份有限公司 | 一种弹性钢带及其生产方法 |
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