JPH11255819A - カチオン重合の反応溶媒精製方法 - Google Patents
カチオン重合の反応溶媒精製方法Info
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- JPH11255819A JPH11255819A JP5563598A JP5563598A JPH11255819A JP H11255819 A JPH11255819 A JP H11255819A JP 5563598 A JP5563598 A JP 5563598A JP 5563598 A JP5563598 A JP 5563598A JP H11255819 A JPH11255819 A JP H11255819A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】重合溶媒をリサイクルする際に重合を阻害する
芳香族のアルデヒド及び/又はアルコールをを除去する
ことによってリサイクルを可能にする方法を提供するこ
と。 【解決手段】溶媒に含まれる低沸点の不純物並びに芳香
族アルデヒドおよび/または芳香族アルコールを取り除
いてから再び繰り返しカチオン重合の反応溶媒として用
いる方法に関わるもので、蒸発器を重合溶媒の沸点と芳
香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコールの沸点
の中間の温度に加温して回収と同時に芳香族アルデヒド
および/または芳香族アルコールを取り除く、あるいは
蒸留によって芳香族アルデヒドおよび/または芳香族ア
ルコールを取り除く、あるいはモレキュラーシーブズ等
によって芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコ
ールを吸着させ、取り除く、あるいは亜硫酸水素ナトリ
ウムと接触させ、芳香族アルデヒドと反応させて取り除
くことによる。
芳香族のアルデヒド及び/又はアルコールをを除去する
ことによってリサイクルを可能にする方法を提供するこ
と。 【解決手段】溶媒に含まれる低沸点の不純物並びに芳香
族アルデヒドおよび/または芳香族アルコールを取り除
いてから再び繰り返しカチオン重合の反応溶媒として用
いる方法に関わるもので、蒸発器を重合溶媒の沸点と芳
香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコールの沸点
の中間の温度に加温して回収と同時に芳香族アルデヒド
および/または芳香族アルコールを取り除く、あるいは
蒸留によって芳香族アルデヒドおよび/または芳香族ア
ルコールを取り除く、あるいはモレキュラーシーブズ等
によって芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコ
ールを吸着させ、取り除く、あるいは亜硫酸水素ナトリ
ウムと接触させ、芳香族アルデヒドと反応させて取り除
くことによる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカチオン重合溶媒系
で重合溶媒をリサイクル利用する方法に関するものであ
る。さらに具体的に言えば、芳香族アルデヒドおよび/
または芳香族アルコールを取り除くことによって芳香族
炭化水素を含有するカチオン重合系での溶媒リサイクル
を可能にする方法である。
で重合溶媒をリサイクル利用する方法に関するものであ
る。さらに具体的に言えば、芳香族アルデヒドおよび/
または芳香族アルコールを取り除くことによって芳香族
炭化水素を含有するカチオン重合系での溶媒リサイクル
を可能にする方法である。
【0002】
【従来の技術】近年、一般的にカチオン重合の分野にお
いてリビング重合によってポリマーの分子量の制御や種
々の官能基を導入したりすることが可能であることが
J.P.Kennedyらによって報告されており、末
端官能性重合体あるいはテレケリック重合体等を含めて
よく検討されている。また、カチオン重合において芳香
族炭化水素を含有する溶媒系を用いて分子量分布の小さ
いポリマーを合成する方法が知られている。これらのカ
チオン重合技術については、基礎的な実験研究の結果が
報告されており、重合反応の原料や溶媒は純度の高い試
薬を用いて検討されている。リビング重合によって分子
量や末端構造を制御するためには、電子供与体を添加す
る技術がある。このように比較的少量の添加物もカチオ
ン重合製品の構造に影響を与える場合があり、その他に
水分やプロトンの影響についても知られている。特に工
業的な規模でカチオン重合をおこなおうとする時には、
原料に含まれるこれら少量の不純物についてその影響を
配慮することが製品品質にとって重要である。原材料の
中でも反応溶媒については、カチオン重合操作で消費さ
れるものではないので、工業的な観点からは重合に使っ
た後回収して繰り返し再利用することが有利である。こ
のような場合において、繰り返し使用される溶媒には微
少量の不純物が蓄積されることもあり、それが重合製品
に影響を与えることが考えられる。しかしながらこれら
の反応を含むプロセスについて検討・報告された例はな
く、溶媒のリサイクル方法の問題点も明らかではなかっ
た。本発明者らは今回実際にリサイクルを試みて、分子
量分布が大きくなるなどの問題に遭遇し、検討をおこな
ったものである。
いてリビング重合によってポリマーの分子量の制御や種
々の官能基を導入したりすることが可能であることが
J.P.Kennedyらによって報告されており、末
端官能性重合体あるいはテレケリック重合体等を含めて
よく検討されている。また、カチオン重合において芳香
族炭化水素を含有する溶媒系を用いて分子量分布の小さ
いポリマーを合成する方法が知られている。これらのカ
チオン重合技術については、基礎的な実験研究の結果が
報告されており、重合反応の原料や溶媒は純度の高い試
薬を用いて検討されている。リビング重合によって分子
量や末端構造を制御するためには、電子供与体を添加す
る技術がある。このように比較的少量の添加物もカチオ
ン重合製品の構造に影響を与える場合があり、その他に
水分やプロトンの影響についても知られている。特に工
業的な規模でカチオン重合をおこなおうとする時には、
原料に含まれるこれら少量の不純物についてその影響を
配慮することが製品品質にとって重要である。原材料の
中でも反応溶媒については、カチオン重合操作で消費さ
れるものではないので、工業的な観点からは重合に使っ
た後回収して繰り返し再利用することが有利である。こ
のような場合において、繰り返し使用される溶媒には微
少量の不純物が蓄積されることもあり、それが重合製品
に影響を与えることが考えられる。しかしながらこれら
の反応を含むプロセスについて検討・報告された例はな
く、溶媒のリサイクル方法の問題点も明らかではなかっ
た。本発明者らは今回実際にリサイクルを試みて、分子
量分布が大きくなるなどの問題に遭遇し、検討をおこな
ったものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は芳香族
炭化水素を含有するカチオン重合溶媒系での溶媒リサイ
クルを可能にする方法を提供するものである。
炭化水素を含有するカチオン重合溶媒系での溶媒リサイ
クルを可能にする方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、カチ
オン重合後の重合溶媒中に含まれる芳香族アルデヒドお
よび/または芳香族アルコール濃度を低減することを特
徴とする、芳香族炭化水素を含有する回収溶媒の製造方
法に関する。リビングカチオン重合を実現するために
は、適当な重合開始剤、触媒、反応温度等の条件を選定
する必要があり、さらに電子供与体を添加するなどの技
術が必要であるが、重合溶媒の選定も重要である。本反
応で用いる重合溶媒としては芳香族炭化水素としてベン
ゼン、トルエン、キシレン等を含有するものであるが、
これ以外にプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘ
プタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン等の飽和炭化水素、四塩化
炭素、クロロホルム、塩化メチレン、クロロエタン、ジ
クロロエタン、プロピルクロライド、ブチルクロライド
等のハロゲン化炭化水素などが一部含まれていてもよ
い。このうち、重合反応速度を制御して得られるポリマ
ーの分子量分布を小さく保つ目的から、重合溶媒として
は、芳香族化合物としてトルエンを含むものであって、
さらに必要に応じてこれ以外の成分としてペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の飽和炭化水
素を含有するものが好ましい。本発明者らは鋭意検討の
結果、重合溶媒をリサイクルする際に重合を阻害する物
質が生成することと、その阻害物質が芳香族アルデヒド
および/または芳香族アルコールであることを見いだ
し、本発明をなすに至った。
オン重合後の重合溶媒中に含まれる芳香族アルデヒドお
よび/または芳香族アルコール濃度を低減することを特
徴とする、芳香族炭化水素を含有する回収溶媒の製造方
法に関する。リビングカチオン重合を実現するために
は、適当な重合開始剤、触媒、反応温度等の条件を選定
する必要があり、さらに電子供与体を添加するなどの技
術が必要であるが、重合溶媒の選定も重要である。本反
応で用いる重合溶媒としては芳香族炭化水素としてベン
ゼン、トルエン、キシレン等を含有するものであるが、
これ以外にプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘ
プタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン等の飽和炭化水素、四塩化
炭素、クロロホルム、塩化メチレン、クロロエタン、ジ
クロロエタン、プロピルクロライド、ブチルクロライド
等のハロゲン化炭化水素などが一部含まれていてもよ
い。このうち、重合反応速度を制御して得られるポリマ
ーの分子量分布を小さく保つ目的から、重合溶媒として
は、芳香族化合物としてトルエンを含むものであって、
さらに必要に応じてこれ以外の成分としてペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の飽和炭化水
素を含有するものが好ましい。本発明者らは鋭意検討の
結果、重合溶媒をリサイクルする際に重合を阻害する物
質が生成することと、その阻害物質が芳香族アルデヒド
および/または芳香族アルコールであることを見いだ
し、本発明をなすに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においては、芳香族アルデ
ヒドおよび/または芳香族アルコールを取り除く方法と
して、蒸発、蒸留、吸着、化学反応の利用が考えられ
た。まず蒸発による分離であるが、これは単蒸発でも連
続蒸発でも実施可能である。蒸発器を重合溶媒の沸点と
芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコールの沸
点の中間の温度に加温し、重合溶媒のみを蒸発させて凝
縮器で回収し、リサイクルをおこなう。また別の方法と
して、蒸発器は重合溶媒や芳香族アルデヒドおよび/ま
たは芳香族アルコールの沸点より高い温度とし、重合溶
媒の沸点と芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アル
コールの沸点の中間の温度に加温した予備凝縮器を設置
して芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコール
を凝縮させて重合溶媒より取り除く。重合溶媒はその後
におかれた凝縮器において凝縮、回収される。ここでい
う沸点は常圧とは限らず、たとえば蒸発器内を減圧にす
ることにより常圧での沸点より低い温度を利用すること
なども考えられる。この方法により従来別々におこなわ
れていた重合溶媒の蒸発回収と不純物除去を同時におこ
なうことが可能である。次に蒸留による分離であるが、
これは単蒸留でも連続蒸留でも実施可能である。塔頂よ
り重合溶媒を、塔底より芳香族アルデヒドおよび/また
は芳香族アルコールを抜き出すことによって分離され
る。塔頂から重合溶媒を抜き出す際に、単蒸留ならば初
期留出液を抜き出すことによって、連続蒸留ならば凝縮
器温度を操作するあるいは別に蒸留塔を設置することに
よって、低沸点の不純物も除去することが可能であり、
高純度の重合溶媒を回収することが可能である。蒸留も
蒸発と同様に減圧での運転も考えられる。吸着は重合溶
媒と芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコール
との分子サイズの差および/または親和性・極性の差を
利用することにより分離をおこなう。具体的にはモレキ
ュラーシーブズや活性炭のような多孔質の物質を容器
(タンク)内に漬け置くか、または同様な物質を充填し
たカラム内を溶媒を通過させることにより、芳香族アル
デヒドおよび/または芳香族アルコールを除去する方法
である。使用する吸着剤は上記のほか、活性白土やシリ
カゲル等が考えられるが、特に細孔径が8オングストロ
ーム以上のモレキュラーシーブズが芳香族アルデヒドお
よび/または芳香族アルコールの除去能力が高く好まし
い。この方法では比較的簡単な装置で芳香族アルデヒド
および/または芳香族アルコールを除去することが可能
である。化学反応の利用としては、芳香族アルデヒドと
特有な反応をする亜硫酸ナトリウムを利用することも可
能である。重合溶媒に亜硫酸水素ナトリウムを添加し、
あるいは重合溶媒を亜硫酸ナトリウムを充填したカラム
を通過させ、あるいは重合溶媒を亜硫酸ナトリウム水溶
液で洗浄することによって芳香族アルデヒドのみを重合
溶媒から取り除く。
ヒドおよび/または芳香族アルコールを取り除く方法と
して、蒸発、蒸留、吸着、化学反応の利用が考えられ
た。まず蒸発による分離であるが、これは単蒸発でも連
続蒸発でも実施可能である。蒸発器を重合溶媒の沸点と
芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコールの沸
点の中間の温度に加温し、重合溶媒のみを蒸発させて凝
縮器で回収し、リサイクルをおこなう。また別の方法と
して、蒸発器は重合溶媒や芳香族アルデヒドおよび/ま
たは芳香族アルコールの沸点より高い温度とし、重合溶
媒の沸点と芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アル
コールの沸点の中間の温度に加温した予備凝縮器を設置
して芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコール
を凝縮させて重合溶媒より取り除く。重合溶媒はその後
におかれた凝縮器において凝縮、回収される。ここでい
う沸点は常圧とは限らず、たとえば蒸発器内を減圧にす
ることにより常圧での沸点より低い温度を利用すること
なども考えられる。この方法により従来別々におこなわ
れていた重合溶媒の蒸発回収と不純物除去を同時におこ
なうことが可能である。次に蒸留による分離であるが、
これは単蒸留でも連続蒸留でも実施可能である。塔頂よ
り重合溶媒を、塔底より芳香族アルデヒドおよび/また
は芳香族アルコールを抜き出すことによって分離され
る。塔頂から重合溶媒を抜き出す際に、単蒸留ならば初
期留出液を抜き出すことによって、連続蒸留ならば凝縮
器温度を操作するあるいは別に蒸留塔を設置することに
よって、低沸点の不純物も除去することが可能であり、
高純度の重合溶媒を回収することが可能である。蒸留も
蒸発と同様に減圧での運転も考えられる。吸着は重合溶
媒と芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコール
との分子サイズの差および/または親和性・極性の差を
利用することにより分離をおこなう。具体的にはモレキ
ュラーシーブズや活性炭のような多孔質の物質を容器
(タンク)内に漬け置くか、または同様な物質を充填し
たカラム内を溶媒を通過させることにより、芳香族アル
デヒドおよび/または芳香族アルコールを除去する方法
である。使用する吸着剤は上記のほか、活性白土やシリ
カゲル等が考えられるが、特に細孔径が8オングストロ
ーム以上のモレキュラーシーブズが芳香族アルデヒドお
よび/または芳香族アルコールの除去能力が高く好まし
い。この方法では比較的簡単な装置で芳香族アルデヒド
および/または芳香族アルコールを除去することが可能
である。化学反応の利用としては、芳香族アルデヒドと
特有な反応をする亜硫酸ナトリウムを利用することも可
能である。重合溶媒に亜硫酸水素ナトリウムを添加し、
あるいは重合溶媒を亜硫酸ナトリウムを充填したカラム
を通過させ、あるいは重合溶媒を亜硫酸ナトリウム水溶
液で洗浄することによって芳香族アルデヒドのみを重合
溶媒から取り除く。
【0006】
【実施例】以下に実験例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例によって制限され
るものではない。なお、文中に出てくる分子量、分子量
分布はGPCにより測定したポリスチレン換算分子量で
あり、芳香族アルデヒド濃度はガスクロマトグラフで測
定したものである。
る。ただし、本発明はこれらの実施例によって制限され
るものではない。なお、文中に出てくる分子量、分子量
分布はGPCにより測定したポリスチレン換算分子量で
あり、芳香族アルデヒド濃度はガスクロマトグラフで測
定したものである。
【0007】(実施例1)内容積200リットルの反応
機にトルエン/エチルシクロヘキサン=8/2(体積
比)のフレッシュな溶媒(すなわち、まだ一度もカチオ
ン重合をおこなっていない溶媒)100kg、イソブチ
レンモノマーを25kg、重合開始剤である1,4−ビ
ス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン(以下p−DC
Cという)、添加剤(電子供与体)、四塩化チタン触媒
を仕込んで−70℃で重合をおこなった。この反応液を
純水で洗浄した後、0.75m2の伝熱面積を有する薄
膜蒸発器に100リットル/時の条件で連続的に供給し
た。この際ジャケット温度を160℃にした。この温度
はトルエンの沸点(110℃)、エチルシクロヘキサン
の沸点(131℃)より高く、ベンズアルデヒドの沸点
(179℃)、ベンジルアルコールの沸点(205℃)
より低い温度である。蒸発器後の凝縮器で回収された溶
媒より水等の低沸分を蒸留により除去した後、再度反応
機に仕込み、溶媒比を調整してから重合をおこなった。
重合により得られたポリマーの分子量は10737、分
子量分布は1.23であった。この時のベンズアルデヒ
ドの濃度は43ppmであった。
機にトルエン/エチルシクロヘキサン=8/2(体積
比)のフレッシュな溶媒(すなわち、まだ一度もカチオ
ン重合をおこなっていない溶媒)100kg、イソブチ
レンモノマーを25kg、重合開始剤である1,4−ビ
ス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン(以下p−DC
Cという)、添加剤(電子供与体)、四塩化チタン触媒
を仕込んで−70℃で重合をおこなった。この反応液を
純水で洗浄した後、0.75m2の伝熱面積を有する薄
膜蒸発器に100リットル/時の条件で連続的に供給し
た。この際ジャケット温度を160℃にした。この温度
はトルエンの沸点(110℃)、エチルシクロヘキサン
の沸点(131℃)より高く、ベンズアルデヒドの沸点
(179℃)、ベンジルアルコールの沸点(205℃)
より低い温度である。蒸発器後の凝縮器で回収された溶
媒より水等の低沸分を蒸留により除去した後、再度反応
機に仕込み、溶媒比を調整してから重合をおこなった。
重合により得られたポリマーの分子量は10737、分
子量分布は1.23であった。この時のベンズアルデヒ
ドの濃度は43ppmであった。
【0008】(比較例1)薄膜蒸発器のジャケット温度
をベンズアルデヒドの沸点より高い190℃にした以外
は実施例1と同様の条件で実験をおこなった。重合によ
り得られたポリマーの分子量は10308、分子量分布
は1.42と大きくなった。この時のベンズアルデヒド
の濃度は125ppmであった。 (実施例2)水等の低沸分を蒸留により除去するまでは
比較例1と同様の条件で操作した後、さらに蒸留により
高沸分を除去し、反応機に仕込んで溶媒比を調整してか
ら重合をおこなった。重合により得られたポリマーの分
子量は10352、分子量分布は1.16と小さくなっ
た。この時ベンズアルデヒドは検出されなかった。
をベンズアルデヒドの沸点より高い190℃にした以外
は実施例1と同様の条件で実験をおこなった。重合によ
り得られたポリマーの分子量は10308、分子量分布
は1.42と大きくなった。この時のベンズアルデヒド
の濃度は125ppmであった。 (実施例2)水等の低沸分を蒸留により除去するまでは
比較例1と同様の条件で操作した後、さらに蒸留により
高沸分を除去し、反応機に仕込んで溶媒比を調整してか
ら重合をおこなった。重合により得られたポリマーの分
子量は10352、分子量分布は1.16と小さくなっ
た。この時ベンズアルデヒドは検出されなかった。
【0009】(実施例3)水等の低沸分を蒸留により除
去するまでは比較例1と同様の条件で操作した後、得ら
れた溶媒のうち3リットルを褐色ガラス瓶にいれ、モレ
キュラーシーブズ13Xを30g加えて室温で一昼夜放
置した。その後内容積2リットルのセパラブルフラスコ
に上記溶媒を1kg、溶媒比調整の上仕込み、イソブチ
レンモノマーを0.25kg仕込んで、重合開始剤(p
−DCC)、添加剤(電子供与体)、四塩化チタン触媒
を用いて−70℃で重合をおこなった。重合により得ら
れたポリマーの分子量は10220、分子量分布は1.
27と小さくなった。この時のベンズアルデヒド濃度は
13ppmであった。
去するまでは比較例1と同様の条件で操作した後、得ら
れた溶媒のうち3リットルを褐色ガラス瓶にいれ、モレ
キュラーシーブズ13Xを30g加えて室温で一昼夜放
置した。その後内容積2リットルのセパラブルフラスコ
に上記溶媒を1kg、溶媒比調整の上仕込み、イソブチ
レンモノマーを0.25kg仕込んで、重合開始剤(p
−DCC)、添加剤(電子供与体)、四塩化チタン触媒
を用いて−70℃で重合をおこなった。重合により得ら
れたポリマーの分子量は10220、分子量分布は1.
27と小さくなった。この時のベンズアルデヒド濃度は
13ppmであった。
【0010】(実施例4)水等の低沸分を蒸留により除
去するまでは比較例1と同様の条件で操作した後、得ら
れた回収溶媒のうち3リットルを亜硫酸水素ナトリウム
水溶液によりさらに洗浄し、褐色ガラス瓶に入れ、脱水
のためモレキュラーシーブズ3Aを30g加えて一昼夜
放置した。その後内容積2リットルのセパラブルフラス
コに上記溶媒を1kg、溶媒比調整の上仕込み、イソブ
チレンモノマーを0.25kg仕込んで、重合開始剤
(p−DCC)、添加剤(電子供与体)、四塩化チタン
触媒を用いて−70℃で重合をおこなった。重合により
得られたポリマーの分子量は10459、分子量分布は
1.19と小さくなった。この時のベンズアルデヒド濃
度は21ppmであった。
去するまでは比較例1と同様の条件で操作した後、得ら
れた回収溶媒のうち3リットルを亜硫酸水素ナトリウム
水溶液によりさらに洗浄し、褐色ガラス瓶に入れ、脱水
のためモレキュラーシーブズ3Aを30g加えて一昼夜
放置した。その後内容積2リットルのセパラブルフラス
コに上記溶媒を1kg、溶媒比調整の上仕込み、イソブ
チレンモノマーを0.25kg仕込んで、重合開始剤
(p−DCC)、添加剤(電子供与体)、四塩化チタン
触媒を用いて−70℃で重合をおこなった。重合により
得られたポリマーの分子量は10459、分子量分布は
1.19と小さくなった。この時のベンズアルデヒド濃
度は21ppmであった。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族炭化水素を含有
する重合溶媒をリサイクルし、繰り返し使用することが
でき、分子量分布の小さいポリマーを安定して得ること
ができる。具体的にいえば、蒸発器の温度を重合溶媒の
沸点と芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコ―
ルの中間の温度にすることにより重合溶媒のみを蒸発・
回収する方法、あるいは蒸留により芳香族アルデヒドお
よび/または芳香族アルコールを除去する方法、あるい
はモレキュラーシーブズ等により芳香族アルデヒドおよ
び/または芳香族アルコールを吸着させ、除去する方
法、あるいは亜硫酸ナトリウムと接触させ、芳香族アル
デヒドと反応させて除去する方法などによって製品ポリ
マーの品質に影響を与えることなく溶媒をリサイクル
し、繰り返し使用することが可能となるものである。こ
れまでは芳香族アルデヒド、芳香族アルコールのような
重合阻害物質の存在により重合溶媒は使い捨てていたこ
とから、本発明は工業的に安価に重合物を製造する上で
有効な方法であり、製造プロセスとしても実用的な方法
を与えるものである。
する重合溶媒をリサイクルし、繰り返し使用することが
でき、分子量分布の小さいポリマーを安定して得ること
ができる。具体的にいえば、蒸発器の温度を重合溶媒の
沸点と芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコ―
ルの中間の温度にすることにより重合溶媒のみを蒸発・
回収する方法、あるいは蒸留により芳香族アルデヒドお
よび/または芳香族アルコールを除去する方法、あるい
はモレキュラーシーブズ等により芳香族アルデヒドおよ
び/または芳香族アルコールを吸着させ、除去する方
法、あるいは亜硫酸ナトリウムと接触させ、芳香族アル
デヒドと反応させて除去する方法などによって製品ポリ
マーの品質に影響を与えることなく溶媒をリサイクル
し、繰り返し使用することが可能となるものである。こ
れまでは芳香族アルデヒド、芳香族アルコールのような
重合阻害物質の存在により重合溶媒は使い捨てていたこ
とから、本発明は工業的に安価に重合物を製造する上で
有効な方法であり、製造プロセスとしても実用的な方法
を与えるものである。
Claims (10)
- 【請求項1】カチオン重合後の重合溶媒中に含まれる芳
香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコール濃度を
低減することを特徴とする、芳香族炭化水素を含有する
回収溶媒の製造方法。 - 【請求項2】回収溶媒中の芳香族アルデヒドおよび/ま
たは芳香族アルコールを合計100重量ppm以下とす
ることを特徴とする請求項1記載の回収溶媒の製造方
法。 - 【請求項3】蒸留処理をおこなうことにより、芳香族ア
ルデヒドおよび/または芳香族アルコール濃度の低減さ
れた回収溶媒を得ることを特徴とする請求項1、2記載
の回収溶媒の製造方法。 - 【請求項4】重合反応終了後の反応液の蒸発処理により
回収溶媒を製造する際に、蒸発機の温度を、重合溶媒の
沸点と芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アルコー
ルの沸点の中間の温度として、溶媒の回収と同時に芳香
族アルデヒドおよび/または芳香族アルコールを取り除
くことを特徴とする請求項1〜3記載の回収溶媒の製造
方法。 - 【請求項5】吸着処理をおこなうことにより、芳香族ア
ルデヒドおよび/または芳香族アルコール濃度の低減さ
れた回収溶媒を得ることを特徴とする請求項1〜4記載
の回収溶媒の製造方法。 - 【請求項6】溶媒に亜硫酸水素ナトリウムを添加するこ
とにより、芳香族アルデヒドおよび/または芳香族アル
コール濃度の低減された回収溶媒を得ることを特徴とす
る請求項1〜5記載の回収溶媒の製造方法。 - 【請求項7】芳香族炭化水素がトルエンであり、芳香族
アルデヒドおよび芳香族アルコールがそれぞれベンズア
ルデヒドとベンジルアルコールより選ばれてなる化合物
であることを特徴とする請求項1〜6記載の回収溶媒の
製造方法。 - 【請求項8】請求項1〜7記載の方法により得られる回
収溶媒。 - 【請求項9】(1)〜(3)の操作をおこなうことを特
徴とするカチオン重合によるポリマーの製造方法。 (1)芳香族炭化水素を含有する溶媒中でのカチオン重
合によりポリマーを製造する。 (2)カチオン重合後の重合溶媒中に含まれる芳香族ア
ルデヒドおよび/または芳香族アルコール濃度の低減さ
れた回収溶媒を製造する。 (3)(2)の操作を施した回収溶媒中でのカチオン重
合によりポリマーを製造する。 - 【請求項10】請求項9記載の方法により得られるポリ
マー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5563598A JPH11255819A (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | カチオン重合の反応溶媒精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5563598A JPH11255819A (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | カチオン重合の反応溶媒精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11255819A true JPH11255819A (ja) | 1999-09-21 |
Family
ID=13004268
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5563598A Pending JPH11255819A (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | カチオン重合の反応溶媒精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11255819A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6579959B2 (en) | 2001-03-22 | 2003-06-17 | Kaneka Corporation | Process for producing isobutylene polymers |
-
1998
- 1998-03-09 JP JP5563598A patent/JPH11255819A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6579959B2 (en) | 2001-03-22 | 2003-06-17 | Kaneka Corporation | Process for producing isobutylene polymers |
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