JPH11254426A - 瓦カッター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 瓦カッターに簡単な改造を施すことにより、
平板型瓦でも波型瓦でも適合して便利に切断処理できる
ようにする。 【解決手段】 固定刃１と、揺動自在な押切り刃２と、
押切り刃２を人力で揺動操作する手動レバー３と、手動
レバー３の力を増大して押切り刃２に伝達する倍力機構
４とで成る主切断部Ａ、及び手動レバー３に装着された
剪断刃５と、剪断刃５出退用の溝を有した受台６とで成
る補助切断部Ｂを備えた瓦カッターにおいて、波瓦の形
状に沿う起伏１３が瓦受け面６Ａに形成された波瓦用受
台６と長い剪断刃５とで成る波瓦用補助切断機構Ｂと、
平瓦用の水平な瓦受け面を備えた平瓦用受台と、小型の
剪断刃とで成る平瓦用補助切断機構とを、ボルト１１と
軸ピンＹとの操作で付け替え自在に構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、セメント系等の屋
根葺材（以下、瓦と言う）を人力切断する瓦カッターに
係り、詳しくは、平型の瓦と波型の瓦との双方の切断に
適合する汎用性に優れた瓦カッターに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】この種の瓦カッターは、例えば実開昭５
９−１２０１０４号公報に示されたもののように、固定
刃と、揺動自在な可動側の押切り刃と、この押切り刃を
固定刃に対して人力で遠近移動操作するための手動レバ
ーと、この手動レバーに加えられた力を増大して可動刃
に伝達する倍力機構とで成る主切断部、及び、手動レバ
ーに取付けられた可動側の剪断刃と、この剪断刃の出退
を許容する溝が形成された固定側の受台とで成る補助切
断部を備えて構成されていた。

【０００３】前記の人力式瓦カッターは、屋根に瓦を敷
きつめるときに屋根端部に瓦端を揃えるべく切断処理す
るとき等に用いられるものであり、比較的軽量でしかも
電源等の外部動力を必要としないので、屋根上に持って
上がって工事現場そのもので使用できる便利さがある。
つまり、通常は主切断部で瓦の切断を行い、角部分の斜
め切り処理等の部分的な切断は補助切断部で行うという
ように使用されていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】近年において良く使わ
れるセメント系の瓦は、従来からの平型のものと、見た
目のデザインやボリューム感が得られるように波板状に
形成された波型のものとがあるとともに、波型のものに
は、屋根勾配に直交する方向の凹凸を有した縦波型と、
屋根勾配に沿う方向の凹凸を有した横波型のものとがあ
った。これらの瓦を切断する場合、前述した公報に示さ
れたように、主切断部に波形の切断刃を備えたもので
は、波型瓦をその波方向に切断するに適したものである
が、平型瓦の切断時には、その主切断部の固定刃及び押
切り刃を直線状のものに付け替えるか、又は直線状の刃
を備えた別の瓦カッターを用意する必要があった。

【０００５】大きな切断刃を付け替えるのは手間がかか
って面倒であるとともに、直線切りように別の瓦カッタ
ーを用意するのはコスト的難点があって不経済であるた
め、瓦の形状を問わずに便利に切断できる瓦カッターを
廉価に提供できるようにする点では改善の余地が残され
ているものであった。本発明は、瓦カッターに簡単な改
造を施すことにより、平型瓦でも波型瓦でも適合して便
利に切断処理できるようにすることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】〔構成〕第１発明は、固
定刃と、これに対して遠近移動可能な可動側の押切り刃
と、この押切り刃を固定刃に対して人力で遠近移動操作
するための手動レバーと、この手動レバーに加えられた
力を増大して押切り刃に伝達する倍力機構とで成る主切
断部、及び、手動レバーに取付けられた可動側の剪断刃
と、この剪断刃の出退を許容する溝が形成された固定側
の受台とで成る補助切断部を備えるとともに、裏面が凹
凸状態に形成された瓦の断面形状に沿う起伏を前記受台
の瓦受け面に形成してあることを特徴とする。

【０００７】第２発明は、第１発明において、瓦受け面
が平面状に形成された受台と、瓦受け面に前記起伏が形
成された受台とを付け替え自在に構成してあることを特
徴とする。

【０００８】〔作用〕請求項１の構成によれば、波型瓦
を波方向に切断するときには波形状に沿う受台を有した
補助切断部を用い、波と直交する方向に切断するときに
は主切断部を用いることができるとともに、この構造の
瓦カッターでは、主切断部でもって平型瓦の主たる切断
も行えるようになる。そして、バリ取り等の部分切断を
便利に行うようにするには、補助切断部を平面状の受台
に交換することが必要であるが、比較的小部品である受
台の交換は、大部品である主切断部の可動刃及び固定刃
を交換するに比べて、交換作業が簡単で労力が少なくて
済むとともに、交換部品のコストも安くつく点で好まし
いので、必要最小限度の部品及びコストでもって、平型
瓦と波型瓦の切断作業に適した状態が得られるようにな
る。

【０００９】請求項２の構成によれば、瓦受け面が平面
状に形成された受台、すなわち平型瓦の部分切断に適し
た補助切断部と、瓦受け面に起伏が形成された受台、す
なわち波型瓦の部分切断に適した補助切断部とが付け替
え自在であるから、比較的小型の部品である補助切断部
の１セット分を別に用意するだけで、平型瓦でも波型瓦
のいずれの瓦にも好適な兼用型の瓦カッターを構成でき
るようになる。又、波形瓦に適合した状態のときに、瓦
の平坦部における部分処理を行い易くするべく、補助切
断部を付け替える作業が、屋根の上という自由の効き難
い場所でも比較的容易に交換作業できる点も好ましい。

【００１０】〔効果〕請求項１及び２に記載の瓦カッタ
ーでは、補助切断部における受台の受け面を、波型瓦を
波方向に切断するに適した形状とする工夫により、平板
瓦でも波型瓦でも良好に切断できるとともに、精度良く
端部処理を行う場合でも、補助切断部を交換するだけの
小変更で済み、汎用性に優れた兼用機として提供するこ
とができた。

【００１１】請求項２に記載の瓦カッターでは、比較的
小部品である補助切断部の交換により、平型瓦の切断に
好適な仕様と、波型瓦の切断に好適な仕様との双方が得
られるとともに、その仕様変更が容易に行える利点があ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図１〜図５に瓦カッターを示
す。この瓦カッターは、固定刃１と、これに対して遠近
移動可能な可動側の押切り刃２と、押切り刃２を固定刃
１に対して人力で遠近移動操作するための手動レバー３
と、この手動レバー３に加えられた力を増大して押切り
刃２に伝達する倍力機構４とで成る主切断部Ａ、及び、
手動レバー３に取付けられた可動側の剪断刃５と、この
剪断刃５の出退を許容する溝６ａが形成された固定側の
受台６とで成る補助切断部Ｂを備えて構成されている。

【００１３】主切断部Ａについて説明すると、固定刃１
は、一対の脚部７，７を備えた略弓状の下支持枠８に取
替え可能に支持されており、側面視で両端部が若干下方
に湾曲したほぼ直線状を呈している。押切り刃２は、一
端が固定刃１に支点Ｐで枢支され、かつ、他端が手動レ
バー３に枢支された略弓状の上支持枠１０に取替え可能
に支持されており、この上支持枠１０が支点Ｐ回りに揺
動することにより、押切り刃２が固定刃１に対して遠近
移動する構造である。

【００１４】手動レバー３は、その根元部分が、下支持
枠８の前記他端側に支点Ｘで枢支された起立姿勢の揺動
リンク９の上端部に揺動支点Ｙで枢支されるとともに、
この揺動支点Ｙから少し離れた部分において上支持枠１
０に作用支点Ｚで枢支されており、この構成によって倍
力機構４が構成されている。

【００１５】すなわち、手動レバー３における手指で握
られて人力が加えられる箇所であるグリップ部３ａと揺
動支点Ｙとの距離をＬ1 、揺動支点Ｙと作用支点Ｚとの
距離をＬ2 とした場合、人力がほぼＬ1 ／Ｌ2 に増幅さ
れて上支持枠１０における作用支点Ｚ部位に伝達される
ことになるとともに、瓦切断時における作用支点Ｚは真
下ではなく斜め下方に動くので、その移動方向と上支持
枠１０の揺動下降方向とが異なることによっても力が増
幅されるので、それらの相乗によって２段増幅されるよ
うな構造の倍力機構４である。

【００１６】又、実際に瓦が押切り切断される箇所は支
点Ｐと作用支点Ｚとの間であるから、その位置関係から
も力が増大する作用も生じる。又、揺動リンク９は、完
全位置固定点は支点Ｐのみであることから、上支持枠１
０の揺動移動による手動レバー３との位置変化を吸収す
るためのものであり、あまり大きく揺動するものではな
い。

【００１７】従って、主切断部Ａにおいて切断するに
は、先ず、図２に示すように、手動レバー３を揺動上昇
させて押切り刃２を持ち上げた状態として、切断対象と
なる瓦を両刃１，２間に挿入して配置し、それから手動
レバー３を揺動下降させることにより、図１に示すよう
に、押切り刃２と固定刃１との間で瓦を押し潰し切断す
ることができる。

【００１８】この主切断部Ａによると、図９に示す水平
状の平瓦Ｈにおける一点破線ｃやｄ方向等の切断、及び
図８に示すように、屋根勾配に沿う方向の凹凸を有した
横波型の横波瓦Ｋを、その横波方向と直交する一点破線
ａ方向での切断を行うものである。又、図示しないが、
屋根勾配に直交する方向の凹凸を有した縦波型の縦波瓦
も、その縦波方向と直交する方向での切断が可能であ
る。

【００１９】次に、補助切断部Ｂについて説明すると、
略翼状に形成された剪断刃５は、２本のボルト１１，１
１によって手動レバー３根元部分の上側に装着してあ
る。受台６は、剪断刃５の出退が自在な直線状の前述し
た溝６ａが形成された瓦受け面６Ａと、その左右両側に
備えた脚部６Ｂ，６Ｂとから成る横断面が下向きコ字状
を呈する跨ぎ形状に形成されるとともに、瓦受け面６Ａ
の先端部分において揺動支点Ｙで手動レバー３に枢支連
結されている。つまり、揺動支点Ｙでは、受台６と手動
レバー３と揺動リンク９との３者が枢支連結されてい
る。

【００２０】上支持枠１０には、脚部６Ｂの下端を接当
によって受け止めるストップ部１２が形成してあり、ス
トップ部１２と脚部６Ｂとの接当によって受台６の下方
揺動限界位置が決まるとともに、そこから下方には受台
６が揺動しないように構成してある。図１に示す閉じ状
態では、受台６の自重によって脚部６Ｂがストップ部１
２に接当した最下降状態にあり、その最下降状態は、手
動レバー３が所定角度上昇揺動するまで継続される。

【００２１】そして手動レバー３が所定角度上がると、
手動レバー３が瓦受け面６Ａの裏面に接当し、それ以上
では受台６はストップ部１２から離れて手動レバー３と
共に上昇揺動するようになるので、補助切断部Ｂで切断
操作するには、手動レバー３を所定角度以上持上げて剪
断刃５と受台６とを最大に開いた状態としてから、瓦を
受台６上に載置すると良い。つまり、切断刃５の切断作
用は、手動レバー３を所定角度よりも下げ操作して、脚
部６Ｂがストップ部１２に接当する状態となってから開
始されるのである。

【００２２】又、受台６上面の瓦受け面６Ａには、裏面
が凹凸状態に形成された波瓦Ｋの断面形状に沿う起伏が
形成されている。すなわち、図８に示す波瓦Ｋを、その
波方向に切断できるように、波瓦Ｋの波１山分に相当す
る凸部（起伏の一例）１３を溝６ａの左右夫々に形成し
てあるとともに、切断刃５の刃面５ａは、その１山分の
切断長をカバーする比較的長いものに形成されている。

【００２３】しかして、補助切断部Ｂで切断作業するに
は、図２に示すように、手動レバー３を高く持ち上げ
て、又は前述したように、手動レバー３を所定角度以上
に持ち上げて剪断刃５と受台６との上下間隔を開き、波
瓦Ｋを凸部１３に隙間無く沿うようにして瓦受け面６ａ
上に置く。それから、図１に示すように、手動レバー３
を下降操作することにより、鋏で紙を切るように、受台
６で支持された波瓦Ｋを剪断刃５で切断して行くのであ
る。

【００２４】この瓦カッターでは、前述した波瓦用の補
助切断部Ｂを、平瓦用のものに付け替え自在である。す
なわち、２個のボルト１１，１１の操作で剪断刃５の着
脱が自在であり、Ｃ形スナップリング（符記せず）の装
脱による揺動支点Ｙの軸ピン１４の抜き差しによって受
台６が着脱自在に構成されており、波瓦Ｋ用の補助切断
部Ｂに代えて、図６に示す平瓦Ｈ用の補助切断部Ｃを構
成可能である。

【００２５】図６、図７に示すように、平瓦用の補助切
断部Ｃは、波瓦用の剪断刃５よりも小型の剪断刃１５
と、上面の瓦受け面１６Ａが平面状に形成され、かつ、
剪断刃１５の出退を許容する溝１６ａが形成された受台
１６とで構成されており、前述したように、剪断刃１５
は２本のボルト１１，１１によって手動レバー３に、そ
して、受台１６は軸ピン１４によって揺動支点Ｙ部位に
夫々装着自在である。平瓦用受台１６にも、上支持枠１
０のストップ部１２に接当する左右一対の脚部１６Ｂ，
１６Ｂが形成されている。

【００２６】この補助切断部Ｃでは、平瓦Ｈにおける角
斜め切り処理（図９の一点破線ｄ）に適したものであ
り、剪断刃５，１５及び受台６，１６の２部品の交換に
より、図１に示す波瓦Ｋ用の補助切断部Ｂを有した瓦カ
ッターと、図６に示す平瓦Ｈ用の補助切断部Ｃを有した
瓦カッターとの仕様変更が行えるものである。

【００２７】〔別実施形態〕波瓦用の剪断刃５はそのま
まとして、受台６，１６のみの交換により、波瓦用の瓦
カッターと平瓦用の瓦カッターとの仕様変更を行うもの
でも良い。

【００２８】尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照
を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明
は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】波瓦用瓦カッターの全体側面図

【図２】開き状態の波瓦用瓦カッターを示す側面図

【図３】補助切断部の切断刃と受台との関係を示す断面
図

【図４】倍力機構の構造を示す正面図

【図５】補助切断部による波瓦の切断状態を示す作用図

【図６】平瓦用瓦カッターの全体側面図

【図７】開き状態の平瓦用瓦カッターを示す側面図

【図８】波瓦を示す斜視図

【図９】平瓦を示す斜視図

【符号の説明】

１ 固定刃 ２ 押切り刃 ３ 手動レバー ４ 倍力機構 ５ 剪断刃 ６，１６ 受台 ６Ａ，１６Ａ 瓦受け面 ６ａ 溝 １３ 起伏 Ａ 主切断部 Ｂ 補助切断部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定刃（１）と、これに対して遠近移動
   可能な可動側の押切り刃（２）と、この押切り刃（２）
   を前記固定刃（１）に対して人力で遠近移動操作するた
   めの手動レバー（３）と、この手動レバー（３）に加え
   られた力を増大して前記押切り刃（２）に伝達する倍力
   機構（４）とで成る主切断部（Ａ）、及び、前記手動レ
   バー（３）に取付けられた可動側の剪断刃（５）と、こ
   の剪断刃（５）の出退を許容する溝（６ａ）が形成され
   た固定側の受台（６）とで成る補助切断部（Ｂ）を備え
   るとともに、裏面が凹凸状態に形成された瓦の断面形状
   に沿う起伏を前記受台（６）の瓦受け面（６Ａ）に形成
   してある瓦カッター。
2. 【請求項２】 瓦受け面が平面状に形成された受台と、
   瓦受け面に前記起伏が形成された受台とを付け替え自在
   に構成してある請求項１に記載の瓦カッター。