JPH11248889A - 風冷保管容器への使用済み燃料収納容器の設置方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 案内部材及び収納容器を損傷することなく、
収納容器を保管容器に挿入できるようにする。 【解決手段】 保管容器２を構成する容器本体３内に収
納容器１を保管する際に、容器本体３を横向きにし、容
器本体３内において下側に位置した隣接する案内部材４
の間にドライアイスあるいは氷からなる可溶ライナ材１
１を、この可溶ライナ材１１が収納容器１を支持し得る
ように容器本体３の略全長にわたって設け、案内部材４
及び可溶ライナ材１１の双方あるいは可溶ライナ材１１
のみによって収納容器１が下側から支持されるように、
横向きにした収納容器１を容器本体３の一端から該容器
本体３内へ挿入し、案内部材４及び収納容器１の損傷を
防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、風冷保管容器への
使用済み燃料収納容器の設置方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】原子力発電プラントなどの原子炉で使用
される燃料は、３〜４年程度供用されると、燃料中の核
分裂生成物が蓄積して燃焼に限界が生じるため、新しい
燃料に交換される。

【０００３】また、新しい燃料と交換された使用済み燃
料は、原子力発電プラントなどに設けられている使用済
み燃料貯蔵プールにおいて水に浸漬された状態で保管さ
れている。

【０００４】この使用済み燃料には、未燃焼のウランや
燃焼によって生成されるプルトニウムなどが核分裂生成
物に混在した状態で含まれており、近年、使用済み燃料
から未燃焼のウランなどを回収する再処理作業を行な
い、回収したウランなどを原子炉の燃料として再利用す
ることが検討されている。

【０００５】一方、使用済み燃料の再処理作業は、現時
点において本格的な実施がなされておらず、上述したよ
うに使用済み燃料貯蔵プールに保管される使用済み燃料
は、年々増加する傾向を呈している。

【０００６】そこで、図４及び図５に示すように、使用
済み燃料をキャニスタと呼ばれる金属で形成した略円筒
状の収納容器１に内装し、この使用済み燃料を内装した
収納容器１を、キャスクと呼ばれる鉄筋コンクリート構
造の保管容器２に内装して、使用済み燃料の崩壊熱が除
去されるまでの間、収納容器１を風冷しながら保管する
ことが提案されている。

【０００７】保管容器２は、内径が収納容器１の外形よ
りも大きく形成された円筒状の容器本体３と、収納容器
１の外周面を支持し得るように容器本体３内の一端から
他端へ延びる４条の金属製の案内部材４と、容器本体３
の各端部にそれぞれ装着される蓋体５とを有している。

【０００８】また、容器本体３の所定箇所には、収納容
器１に内装されている使用済み燃料から保管容器２の外
部への放射線の放出を抑止しつつ容器本体３の内部と外
部との空気の流通を確保し得る屈折した形状の空気流路
６が形成されている。

【０００９】保管容器２内へ収納容器１を設置する際に
は、図６に示すように、支持台７によって容器本体３の
中央部を、僅かに上下方向への揺動が許容されるように
略水平に支持し、該容器本体３の一方の端部の近傍に引
込装置８（例えば、ウインチなど）を設けておく。

【００１０】そして、収納容器１が横向きに挿入された
輸送容器９を搭載した走行台車１０を、前記の容器本体
３の他方端部に近接し且つ容器本体３と輸送容器９とが
略同軸に位置するように停止させる。

【００１１】次いで、引込装置８から容器本体３内を通
してワイヤロープを繰り出し、その先端を収納容器１に
連結し、引込装置８でワイヤロープを巻き取ることによ
って収納容器１を容器本体３の内部へ引込み、容器本体
３内の略中央部に収納容器１を設置したのち、収納容器
１からワイヤロープを取り外し、容器本体３の両端部に
蓋体５を装着する。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図６に
示すように、横向きにした保管容器２に対して収納容器
１を挿入するにあたっては、２条あるいは１条の案内部
材４が収納容器１に接することになる。

【００１３】依って、案内部材４と収納容器１との間の
摩擦抵抗が過大になり、収納容器１が移動し難くなるこ
とや、案内部材４及び収納容器１が損傷することが懸念
される。

【００１４】本発明は上述した実情に鑑みてなしたもの
で、案内部材及び収納容器を損傷させることなく、収納
容器を容易に保管容器に挿入できるようにすることを目
的としている。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項１に記載の風冷保管容器への使用済
み燃料収納容器の設置方法では、使用済み燃料を収納し
た収納容器を内装し得る円筒状の容器本体と、収納容器
の外周面を支持し得るように容器本体内の一端から他端
へ延びる３条以上の案内部材と、容器本体の各端部にそ
れぞれ装着される蓋体とを有する保管容器に収納容器を
保管する際に、容器本体を横向きにし、容器本体内にお
いて下側に位置した隣接する案内部材の間にドライアイ
スあるいは氷からなる可溶ライナ材を、該可溶ライナ材
が収納容器を支持し得るように容器本体の略全長にわた
って設け、案内部材及び可溶ライナ材の双方あるいは可
溶ライナ材のみによって収納容器が下側から支持される
ように、横向きにした収納容器を容器本体の一端から該
容器本体内へ挿入し、容器本体の各端部に蓋体を装着す
る。

【００１６】また、本発明の請求項２に記載の風冷保管
容器への使用済み燃料収納容器の設置方法では、使用済
み燃料を収納した収納容器を内装し得る円筒状の容器本
体と、収納容器の外周面を支持し得るように容器本体内
の一端から他端へ延びる３条以上の案内部材と、容器本
体の各端部にそれぞれ装着される蓋体とを有する保管容
器に収納容器を保管する際に、容器本体を横向きにし、
容器本体内において下側に位置した隣接する案内部材の
間に弾性体で形成した中空状の高さ調整部材を介して摺
動ライナ材を、該摺動ライナ材が収納容器を支持し得る
ように容器本体の略全長にわたって設け、案内部材及び
摺動ライナ材の双方あるいは摺動ライナ材のみによって
収納容器が下側から支持されるように、高さ調整部材の
中空部の内圧を調整しつつ横向きにした収納容器を容器
本体の一端から該容器本体内へ挿入し、摺動ライナ材及
び高さ調整部材を容器本体から取り出した後、容器本体
の各端部に蓋体を装着する。

【００１７】本発明の請求項１に記載の風冷保管容器へ
の使用済み燃料収納容器の設置方法においては、容器本
体に収納容器を挿入するときに、案内部材とドライアイ
スあるいは氷からなる可溶ライナ材の双方あるいは可溶
ライナ材のみによって、収納容器を下側から支持し、収
納容器を移動しやすくするとともに、案内部材及び収納
容器の損傷を防止する。

【００１８】更に、容器本体内の可溶ライナ材の昇華あ
るいは溶解によって、容器本体と収納容器との間におけ
る冷却用空気の流路断面積を確保する。

【００１９】また、本発明の請求項２に記載の風冷保管
容器への使用済み燃料収納容器の設置方法においては、
容器本体に収納容器を挿入するときに、高さ調整部材の
内圧を調整し、案内部材と摺動ライナ材の双方あるいは
摺動ライナ材のみによって、収納容器を下側から支持
し、収納容器を移動しやすくするとともに、案内部材及
び収納容器の損傷を防止する。

【００２０】更に、容器本体から摺動ライナ材及び高さ
調整部材を取り出すことによって、容器本体と収納容器
との間における冷却用空気の流路断面積を確保する。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
示例と共に説明する。

【００２２】図１は本発明の風冷保管容器への使用済み
燃料収納容器の設置方法の第１の例を示すものであり、
図４及び図５と同じ符号を付したものは同じものを表
す。

【００２３】この風冷保管容器への使用済み燃料収納容
器の設置方法では、保管容器２に収納容器１を保管する
際に、横向きにした容器本体３内において、下側に位置
した隣接する２条の案内部材４の間にドライアイスある
いは氷からなる可溶ライナ材１１を、該可溶ライナ材１
１が収納容器１を支持し得るように容器本体３の略全長
にわたって設ける。

【００２４】その後、案内部材４及び可溶ライナ材１１
の双方あるいは可溶ライナ材１１のみによって収納容器
１が下側から支持されるように、図６に示す従来例と同
様にして、横向きにした収納容器１を容器本体３の一端
から該容器本体３内へ挿入した後、図４に示す従来例と
同様に、容器本体３の各端部に蓋体５を装着する。

【００２５】このように、図１に示す風冷保管容器への
使用済み燃料収納容器の設置方法では、容器本体３に収
納容器１を挿入するときに、案内部材４と可溶ライナ材
１１の双方あるいは可溶ライナ材１１のみによって、収
納容器１を下側から支持するようにしたので、収納容器
１が移動しやすくなり、案内部材４及び収納容器１の損
傷を防止することができる。

【００２６】更に、容器本体３内の可溶ライナ材１１の
昇華あるいは溶解によって、容器本体３と収納容器１と
の間における冷却用空気の流路断面積を確保することが
できる。

【００２７】図２は本発明の風冷保管容器への使用済み
燃料収納容器の設置方法の第２の例を示すものであり、
図４及び図５と同じ符号を付したものは同じものを表
す。

【００２８】この風冷保管容器への使用済み燃料収納容
器の設置方法では、保管容器２に収納容器１を保管する
際に、横向きにした容器本体３内において、下側に位置
した１条の案内部材４の両側に、ドライアイスあるいは
氷からなる可溶ライナ材１１を、該可溶ライナ材１１が
収納容器１を支持し得るように容器本体３の略全長にわ
たって設ける。

【００２９】その後、案内部材４及び可溶ライナ材１１
の双方あるいは可溶ライナ材１１のみによって収納容器
１が下側から支持されるように、図６に示す従来例と同
様にして、横向きにした収納容器１を容器本体３の一端
から該容器本体３内へ挿入した後、図４に示す従来例と
同様に容器本体３の各端部に蓋体５を装着する。

【００３０】このように、図２に示す風冷保管容器への
使用済み燃料収納容器の設置方法では、容器本体３に収
納容器１を挿入するときに、案内部材４と可溶ライナ材
１１の双方あるいは可溶ライナ材１１のみによって、収
納容器１を下側から支持するようにしたので、収納容器
１が移動しやすくなり、案内部材４及び収納容器１の損
傷を防止することができる。

【００３１】更に、容器本体３内の可溶ライナ材１１の
昇華あるいは溶解によって、容器本体３と収納容器１と
の間における冷却用空気の流路断面積を確保することが
できる。

【００３２】図３は本発明の風冷保管容器への使用済み
燃料収納容器の設置方法の第３の例を示すものであり、
図４及び図５と同じ符号を付したものは同じものを表
す。

【００３３】この風冷保管容器への使用済み燃料収納容
器の設置方法では、保管容器２に収納容器１を保管する
際に、横向きにした容器本体３内において、下側に位置
した隣接する２条の案内部材４の間に、ゴム系材料など
の弾性体で形成した中空状の高さ調整部材１２と摺動ラ
イナ材１３とを重ねて、該摺動ライナ材１３が収納容器
１を支持し得るように容器本体３の略全長にわたって設
ける。

【００３４】その後、案内部材４及び摺動ライナ材１３
の双方あるいは摺動ライナ材１３のみによって収納容器
１が下側から支持されるように、高さ調整部材１２の中
空部の内圧を調整しつつ、図６に示す従来例と同様にし
て、横向きにした収納容器１を容器本体３の一端から該
容器本体３内へ挿入する。

【００３５】次いで、高さ調整部材１２の中空部の内圧
を調整して該高さ調整部材１２の高さを低くし、摺動ラ
イナ材１３及び高さ調整部材１２を容器本体３から取り
出した後、図４に示す従来例と同様に容器本体３の各端
部に蓋体５を装着する。

【００３６】このように、図３に示す風冷保管容器への
使用済み燃料収納容器の設置方法では、容器本体３に収
納容器１を挿入するときに、案内部材４及び摺動ライナ
材１３の双方あるいは摺動ライナ材１３のみによって、
収納容器１を下側から支持するようにしたので、収納容
器１が移動しやすくなり、案内部材４及び収納容器１の
損傷を防止することができる。

【００３７】更に、容器本体３から摺動ライナ材１３及
び高さ調整部材１２を取り出すことによって、容器本体
３と収納容器１との間における冷却用空気の流路断面積
を確保することができる。

【００３８】なお、本発明の風冷保管容器への使用済み
燃料収納容器の設置方法は上述した実施の形態のみに限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【００３９】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の風冷保管容
器への使用済み燃料収納容器の設置方法によれば、下記
のような種々の優れた効果を奏し得る。

【００４０】（１）本発明の請求項１に記載した風冷保
管容器への使用済み燃料収納容器の設置方法において
は、容器本体に収納容器を挿入するときに、案内部材と
可溶ライナ材の双方あるいは可溶ライナ材のみによっ
て、収納容器を下側から支持するので、収納容器を移動
しやすくすることが可能になり、案内部材及び収納容器
の損傷を防止することができる。

【００４１】（２）本発明の請求項１に記載した風冷保
管容器への使用済み燃料収納容器の設置方法では、容器
本体内の可溶ライナ材の昇華あるいは溶解によって、容
器本体と収納容器との間における冷却用空気の流路断面
積を確保することができる。

【００４２】（３）本発明の請求項２に記載した風冷保
管容器への使用済み燃料収納容器の設置方法において
は、容器本体に収納容器を挿入するときに、案内部材及
び摺動ライナ材の双方あるいは摺動ライナ材のみによっ
て、収納容器を下側から支持するので、収納容器を移動
しやすくすることが可能になり、案内部材及び収納容器
の損傷を防止することができる。

【００４３】（４）本発明の請求項２に記載した風冷保
管容器への使用済み燃料収納容器の設置方法では、容器
本体から摺動ライナ及び高さ調整部材を取り出すことに
よって、容器本体と収納容器との間における冷却用空気
の流路断面積を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の風冷保管容器への使用済み燃料収納容
器の設置方法の実施の形態の第１の例を示す横断面図で
ある。

【図２】本発明の風冷保管容器への使用済み燃料収納容
器の設置方法の実施の形態の第２の例を示す横断面図で
ある。

【図３】本発明の風冷保管容器への使用済み燃料収納容
器の設置方法の実施の形態の第３の例を示す横断面図で
ある。

【図４】従来の風冷保管容器への使用済み燃料収納容器
の設置方法の一例を示す縦断面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ矢視図である。

【図６】風冷保管容器へ使用済み燃料収納容器を引込む
状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１ 収納容器 ２ 保管容器 ３ 容器本体 ４ 案内部材 ５ 蓋体 １１ 可溶ライナ材 １２ 高さ調整部材 １３ 摺動ライナ材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 使用済み燃料を収納した収納容器を内装
   し得る円筒状の容器本体と、収納容器の外周面を支持し
   得るように容器本体内の一端から他端へ延びる３条以上
   の案内部材と、容器本体の各端部にそれぞれ装着される
   蓋体とを有する保管容器に収納容器を保管する際に、容
   器本体を横向きにし、容器本体内において下側に位置し
   た隣接する案内部材の間にドライアイスあるいは氷から
   なる可溶ライナ材を、該可溶ライナ材が収納容器を支持
   し得るように容器本体の略全長にわたって設け、案内部
   材及び可溶ライナ材の双方あるいは可溶ライナ材のみに
   よって収納容器が下側から支持されるように、横向きに
   した収納容器を容器本体の一端から該容器本体内へ挿入
   し、容器本体の各端部に蓋体を装着することを特徴とす
   る風冷保管容器への使用済み燃料収納容器の設置方法。
2. 【請求項２】 使用済み燃料を収納した収納容器を内装
   し得る円筒状の容器本体と、収納容器の外周面を支持し
   得るように容器本体内の一端から他端へ延びる３条以上
   の案内部材と、容器本体の各端部にそれぞれ装着される
   蓋体とを有する保管容器に収納容器を保管する際に、容
   器本体を横向きにし、容器本体内において下側に位置し
   た隣接する案内部材の間に弾性体で形成した中空状の高
   さ調整部材を介して摺動ライナ材を、該摺動ライナ材が
   収納容器を支持し得るように容器本体の略全長にわたっ
   て設け、案内部材及び摺動ライナ材の双方あるいは摺動
   ライナ材のみによって収納容器が下側から支持されるよ
   うに、高さ調整部材の中空部の内圧を調整しつつ横向き
   にした収納容器を容器本体の一端から該容器本体内へ挿
   入し、摺動ライナ材及び高さ調整部材を容器本体から取
   り出した後、容器本体の各端部に蓋体を装着することを
   特徴とする風冷保管容器への使用済み燃料収納容器の設
   置方法。