JPH11248809A - 偏極希ガスの製造装置を有する核磁気共鳴検出装置並びにその装置を用いる核磁気共鳴測定方法 - Google Patents

偏極希ガスの製造装置を有する核磁気共鳴検出装置並びにその装置を用いる核磁気共鳴測定方法

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JPH11248809A
JPH11248809A JP10067880A JP6788098A JPH11248809A JP H11248809 A JPH11248809 A JP H11248809A JP 10067880 A JP10067880 A JP 10067880A JP 6788098 A JP6788098 A JP 6788098A JP H11248809 A JPH11248809 A JP H11248809A
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gas
rare gas
magnetic resonance
nuclear magnetic
flow cell
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JP10067880A
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Inventor
Mineyuki Hattori
峰之 服部
Takashi Hiraga
隆 平賀
Tetsuo Moriya
哲郎 守谷
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い偏極率で偏極希ガスを発生し、
偏極率を減少させずに検出感度の高い時間の短い極微小
領域での検出を可能とし、核磁気共鳴測定を行う。 【解決手段】 フローセル1内に希ガスと光ポンピ
ング用触媒の混合気体を一方向に流通させると共に、フ
ローセル1内には1/4波長板3を通したダイオードレ
ーザ2からの励起光を照射し、かつ励起光照射面に垂直
に磁力線が通過するように磁石13を配置して磁場を印
加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏極している希ガ
スの製造装置並びにその製造方法及びその偏極希ガス製
造装置を有する核磁気共鳴検出装置並びにその装置を用
いた核磁気共鳴測定方法とその偏極希ガスを用いる核磁
気共鳴測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】偏極しているとは、主静磁場に対する配
向状態に対応する原子核の核スピンのエネルギー準位を
占有するスピン数の分布が、熱平衡時におけるその分布
に比べて、極端に偏っていることをいう。
【0003】そして、この偏極している状態を有する希
ガスは、キセノン−129、ヘリウム−3等のスピン量
子数1/2の核スピンを有する単原子分子を含む希ガス
のガスおよびルビジウム、セシウム等のアルカリ金属蒸
気を混合した気体に、円偏光された励起光を照射するこ
とによって、ルビジウム等の基底状態準位にある電子が
光吸収により励起されて励起状態準位を経由した後に基
底状態準位に戻る際に、外部から印加された磁場によっ
て磁気的に縮退が解かれた基底状態準位の内の電子準位
の一方の準位に高い確率で遷移させ、ルビジウム分子等
の電子スピン偏極度が高い状態を作成し、この高偏極状
態のルビジウム等がキセノン等の希ガスと衝突して、こ
の過程でルビジウム等の高偏極状態がキセノン等の希ガ
スの核スピン系に移動することによって得られる[W.Hap
per, E. Miron, S.Schaefer, D.Schreiber, W.A.van Wi
jngaarden, and X.Zeng, Phys.Rev.A29, 3092 (198
4).]。この過程は、一般に光ポンピングと呼ばれてい
る。
【0004】従来の偏極希ガス製造装置としては、光反
応容器内に希ガスとアルカリ金属蒸気の混合気体を封じ
込め、これに励起光の照射と磁場の印加を行うもので、
例えば高密度の偏極ヘリウム−3を中性子ポーラライザ
ーとして使用することを目的として、円筒状ガラスアン
プル中にヘリウム−3ガスと窒素ガスの混合気体及びア
ルカリ金属を封じ込んで製造する装置がある[M. E. Wag
shul and T. E. Chupp, Phy. Rev. A 40, 4447 (198
9).]。
【0005】また、キセノン−129の偏極希ガスを核
磁気共鳴測定(NMR)や磁気共鳴イメージング測定
(MRI)に応用したものとして、上記と同様な円筒状
ガラス容器に導入したキセノン−129とルビジウムを
用いて、偏極キセノン−129のNMR信号を測定する
方法やこの偏極したキセノン−129核からプロトン−
1核に核オーバーハウザー効果を利用してスピン分極を
転送してプロトン−1のNMR信号を測定する方法[D.
Raftery, H. Long, T.Meersmann , P. J. Grandinetti,
L. Reven, and A. Pines, Phy. Rev. Lett. 66, 584
(1991)及びG. Navon, Y.-Q. Song, T. Room, S. Appel
t, R. E. Taylor, and A. Pines, Science 271, 1848
(1996)]あるいは、偏極キセノン−129を動物に導入
して肺などの空洞の画像を測定した例がある[M. S. Al
bert, G. D. Cates, B. Driehuys, W. Happer, B. Saa
m, C. S. Springer Jr., and A. Wishnia, Nature 370,
199 (1994)及び米国特許5545396(1996)]。
【0006】いずれも、偏極率を高めるための操作を、
希ガス等を光反応容器内に滞留させた状態で、一方向か
ら励起光を入射して行っている。偏極率が高まったとこ
ろで、冷却してそのまま中性子ポーラライザーとして使
用するか、偏極希ガスをガラス容器から別の容器へ移送
してNMR等測定に使用することが行われていた。
【0007】一方、ガスを流しながら偏極希ガスを製造
する装置としては、例えば1,000kPa程度のヘリ
ウム−4ガスのバッファーガスに1%のキセノン−12
9を混合して円筒状ガラス容器に導入し、励起光をガス
の流れに対して平行に、すなわち円筒状ガラス容器の円
柱底面方向より容器内ガス出口側から導入側に向かっ
て、照射して偏極させ、偏極混合ガスを容器内ガス出口
より液体窒素で冷却したデュワー内に誘導し偏極キセノ
ン−129を固体にして分離させ、残りのヘリウム−4
ガスはベントラインから排出させるものもある[B. Drie
huys, G. D. Cates, E. Miron, K. Sauer, D. K. Walte
r and W. Happer, Appl. Phys. Lett. 69,1668 (199
6).]。この場合も、いったんデュワー内に固体分離され
た偏極キセノン−129は、再度加熱してガス化し、別
の偏極ガス保存用容器に移送してから使用することが行
われていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のガス等を滞留さ
せて偏極させる装置では、連続的に偏極希ガスを発生す
ることができず、いちいち偏極ガスを別の容器に取り出
してNMR装置等まで運ぶため手間がかかり、またその
間に偏極率が減少するという問題点があった。
【0009】また、ガスを流しながら偏極希ガスを製造
する装置においては、偏極キセノン−129分子間の衝
突による偏極率の損失を少なくするため、高圧のバッフ
ァーガスを共に導入するのでガスの取り扱いが危険であ
ること、また冷却デュワーに固化した偏極キセノン−1
29を再度加熱させて取り出させねばならず、操作も面
倒で手間がかかりNMR測定までに時間を要すること、
さらにこの発明で実際に偏極されたキセノン−129の
量は5%程度と低いという問題点があった。
【0010】そこで、本発明は以上の従来技術の欠点を
解消し、安全にガスを流しながら高い偏極率で偏極希ガ
スを製造する装置とその製造方法及び連続的に偏極希ガ
スを発生させた後、偏極率を減少させずに短時間でNM
R測定を行える核磁気共鳴検出装置とその核磁気共鳴検
出装置及び偏極させた希ガスを用いた検出感度の高い測
定時間の短い極微小領域での検出が可能な核磁気共鳴測
定方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の偏極希ガス製
造装置は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒
の混合気体を一方向に流通させると共に、フローセル内
には励起光を照射し、かつ磁場を印加することを特徴と
する。
【0012】また、請求項2の偏極希ガス製造装置は、
フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒とクエンチ
ャーガスの混合気体を一方向に流通させると共に、フロ
ーセル内には励起光を照射し、かつ磁場を印加すること
を特徴とする。
【0013】そして、請求項3の偏極希ガス製造装置
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内には励
起光を照射し、かつフローセルの励起光照射面に垂直に
磁力線が通過するように磁石を配置した磁場を印加する
ことを特徴とする。
【0014】また、請求項4の偏極希ガス製造装置は、
フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希ガス
と光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合気体
を一方向に流通させると共に、励起光を拡大してフロー
セルの照射面全面に照射し、かつ磁場を印加することを
特徴とする。さらにこの磁場は、フローセルの励起光照
射面に垂直に磁力線が通過するように磁石を配置した磁
場であってもよい。
【0015】そして、請求項5の偏極希ガス製造装置
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内の気体
の流通方向に垂直に励起光を照射し、かつ磁場を印加す
ることを特徴とする。さらにこの磁場は、フローセルの
励起光照射面に垂直に磁力線が通過するように磁石を配
置した磁場であってもよく、またこの励起光は拡大して
フローセルの照射面全面に照射するものであってもよ
い。
【0016】請求項6の偏極希ガス製造方法は、フロー
セル内に希ガスと光ポンピング用触媒の混合気体を一方
向に流通させると共に、フローセル内には励起光を照射
し、かつ磁場を印加することを特徴とする。
【0017】また、請求項7の偏極希ガス製造方法は、
フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒とクエンチ
ャーガスの混合気体を一方向に流通させると共に、フロ
ーセル内には励起光を照射し、かつ磁場を印加すること
を特徴とする。
【0018】そして、請求項8の偏極希ガス製造方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内には励
起光を照射し、かつフローセルの励起光照射面に垂直に
磁力線が通過するように磁石を配置した磁場を印加する
ことを特徴とする。
【0019】また、請求項9の偏極希ガス製造方法は、
フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希ガス
と光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合気体
を一方向に流通させると共に、励起光を拡大してフロー
セルの照射面全面に照射し、かつ磁場を印加することを
特徴とする。さらにこの磁場は、フローセルの励起光照
射面に垂直に磁力線が通過するように磁石を配置した磁
場であってもよい。
【0020】そして、請求項10の偏極希ガス製造方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内の気体
の流通方向に垂直に励起光を照射し、かつ磁場を印加す
ることを特徴とする。さらにこの磁場は、フローセルの
励起光照射面に垂直に磁力線が通過するように磁石を配
置した磁場であってもよく、またこの励起光は拡大して
フローセルの照射面全面に照射するものであってもよ
い。
【0021】請求項11の核磁気共鳴検出装置は、フロ
ーセル内に希ガスと光ポンピング用触媒の混合気体を一
方向に流通させると共に、フローセル内には励起光を照
射し、かつ磁場を印加させる偏極希ガス製造装置を有す
ることを特徴とする。
【0022】また、請求項12の核磁気共鳴検出装置
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒とクエ
ンチャーガスの混合気体を一方向に流通させると共に、
フローセル内には励起光を照射し、かつ磁場を印加させ
る偏極希ガス製造装置を有することを特徴とする。
【0023】そして、請求項13の核磁気共鳴検出装置
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内には励
起光を照射し、かつフローセルの励起光照射面に垂直に
磁力線が通過するように磁石を配置した磁場を印加させ
る偏極希ガス製造装置を有することを特徴とする。
【0024】また、請求項14の核磁気共鳴検出装置
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、励起光を拡大してフ
ローセルの照射面全面に照射し、かつ磁場を印加させる
偏極希ガス製造装置を有することを特徴とする。さらに
この磁場は、フローセルの励起光照射面に垂直に磁力線
が通過するように磁石を配置した磁場であってもよい。
【0025】そして、請求項15の核磁気共鳴検出装置
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内の気体
の流通方向に垂直に励起光を照射し、かつ磁場を印加さ
せる偏極希ガス製造装置を有することを特徴とする。さ
らにこの磁場は、フローセルの励起光照射面に垂直に磁
力線が通過するように磁石を配置した磁場であってもよ
く、またこの励起光は拡大してフローセルの照射面全面
に照射するものであってもよい。
【0026】請求項16の核磁気共鳴測定方法は、フロ
ーセル内に希ガスと光ポンピング用触媒の混合気体を一
方向に流通させると共に、フローセル内には励起光を照
射し、かつ磁場を印加させる偏極希ガス製造装置を有す
る核磁気共鳴検出装置を用いることを特徴とする。
【0027】また、請求項17の核磁気共鳴測定方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒とクエ
ンチャーガスの混合気体を一方向に流通させると共に、
フローセル内には励起光を照射し、かつ磁場を印加させ
る偏極希ガス製造装置を有する核磁気共鳴検出装置を用
いることを特徴とする。
【0028】そして、請求項18の核磁気共鳴測定方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内には励
起光を照射し、かつフローセルの励起光照射面に垂直に
磁力線が通過するように磁石を配置した磁場を印加させ
る偏極希ガス製造装置を有する核磁気共鳴検出装置を用
いることを特徴とする。
【0029】また、請求項19の核磁気共鳴測定方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、励起光を拡大してフ
ローセルの照射面全面に照射し、かつ磁場を印加させる
偏極希ガス製造装置を有する核磁気共鳴検出装置を用い
ることを特徴とする。さらにこの磁場は、フローセルの
励起光照射面に垂直に磁力線が通過するように磁石を配
置した磁場であってもよい。
【0030】そして、請求項20の核磁気共鳴測定方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内の気体
の流通方向に垂直に励起光を照射し、かつ磁場を印加さ
せる偏極希ガス製造装置を有する核磁気共鳴検出装置を
用いることを特徴とする。さらにこの磁場は、フローセ
ルの励起光照射面に垂直に磁力線が通過するように磁石
を配置した磁場であってもよく、またこの励起光は拡大
してフローセルの照射面全面に照射するものであっても
よい。
【0031】請求項21の核磁気共鳴測定方法は、フロ
ーセル内に希ガスと光ポンピング用触媒の混合気体を一
方向に流通させると共に、フローセル内には励起光を照
射し、かつ磁場を印加させて製造した偏極希ガスを用い
ることを特徴とする。
【0032】また、請求項22の核磁気共鳴測定方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒とクエ
ンチャーガスの混合気体を一方向に流通させると共に、
フローセル内には励起光を照射し、かつ磁場を印加させ
て製造した偏極希ガスを用いることを特徴とする。
【0033】そして、請求項23の核磁気共鳴測定方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内には励
起光を照射し、かつフローセルの励起光照射面に垂直に
磁力線が通過するように磁石を配置した磁場を印加させ
て製造した偏極希ガスを用いることを特徴とする。
【0034】また、請求項24の核磁気共鳴測定方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、励起光を拡大してフ
ローセルの照射面全面に照射し、かつ磁場を印加させて
製造した偏極希ガスを用いることを特徴とする。さらに
この磁場は、フローセルの励起光照射面に垂直に磁力線
が通過するように磁石を配置した磁場であってもよい。
【0035】そして、請求項25の核磁気共鳴測定方法
は、フローセル内に希ガスと光ポンピング用触媒又は希
ガスと光ポンピング用触媒とクエンチャーガスとの混合
気体を一方向に流通させると共に、フローセル内の気体
の流通方向に垂直に励起光を照射し、かつ磁場を印加さ
せて製造した偏極希ガスを用いることを特徴とする。さ
らにこの磁場は、フローセルの励起光照射面に垂直に磁
力線が通過するように磁石を配置した磁場であってもよ
く、またこの励起光は拡大してフローセルの照射面全面
に照射するものであってもよい。
【0036】
【発明の実施の形態】フローセル内に常圧の希ガスと光
ポンピング用触媒さらにクエンチャーガスの混合気体を
一方向に流通させると共に、フローセル内に特定の条件
下で励起光を照射し、かつ磁場を印加させて高い偏極率
で、しかも安全にガスを取り扱い、偏極希ガスを製造し
た後、当該偏極希ガス製造装置の後方に配置した核磁気
共鳴検出装置を用いて核磁気共鳴測定を行う。
【0037】以下、図面を使って、本発明の実施の形態
を説明する。図1は、この発明に係る偏極希ガス製造装
置を有した核磁気共鳴検出装置の全体の構成図である。
希ガスは、核スピンを有する気体ならば希ガスに限らず
公知のガスのいずれも本発明に用いることができるが、
特にスピン量子数が1/2の核スピンを持つガス、例え
ばキセノン−129、ヘリウム−3等が好ましい。
【0038】また、図1においては、希ガスはボンベか
ら供給されているが、ボンベに限らずカードル、屋外設
置の大型タンクからのハウスライン、あるいは低温保存
容器等公知のガス供給装置のいずれも用いることができ
る。
【0039】図1においては、クエンチャーガスとして
窒素ガスを用いている。励起光照射で励起された光ポン
ピング用触媒は、自然放出で基底状態に戻る主過程のほ
かに、非放射遷移で基底状態に戻る副過程がある。この
副過程は緩和時間が長いため、クエンチャーガスを導入
することで、光ポンピング用触媒の中間準位のエネルギ
ーをクエンチャーガスに遷移させて短時間で基底状態に
戻すことができる。このクエンチャーガスはセル内に存
在しなくても偏極ガスを製造することは可能であるが、
存在した方がより好ましい。
【0040】クエンチャーガスには、水素、窒素などあ
るいは不飽和結合を有する無機ガス、あるいは不飽和結
合を有する有機ガス、例えばアセチレン、ベンゼン、π
電子系化合物等を用いることができるが、特に窒素が好
ましい。図1においては、クエンチャーガスはボンベか
ら供給されているが、ボンベに限らずカードル、屋外設
置の大型タンクからのハウスライン、あるいは低温保存
容器等公知のガス供給装置のいずれも用いることができ
る。
【0041】そして、図1においては、希ガス及びクエ
ンチャーガスのほかに洗浄用ガスを接続しているが、洗
浄用ガスは希ガス及びクエンチャーガスを導入する以前
にガス配管とセル内部の水分や酸素などの不純物を除去
し、さらに希ガス及びクエンチャーガスを停止させてい
る間洗浄用ガスを流して外部からの空気や内壁から徐々
に脱離してくる水分を除去するためのものである。洗浄
用ガスを使用しなくても本発明の実施は可能であるが、
使用することがさらに望ましい。洗浄用ガスには窒素、
アルゴンなどのボンベ、カードル、屋外設置の大型タン
クからのハウスラインによる供給が可能である。
【0042】また、図1において希ガス及びクエンチャ
ーガスは、圧力調整器で高圧から常圧付近まで圧力を下
げてからフローセルに導入される。圧力は取り扱いの簡
便と安全のため大気圧から1,000kPa以下が望ま
しく、特に大気圧から300kPaの領域が好ましい。
【0043】図1において、希ガス及びクエンチャーガ
スは圧力調整器を通過した後、マスフローコントローラ
ーで流量制御される。流量調節には、流量計、ニードル
バルブ付き流量計、オリフィス、マスフローメーター、
マスフローコントローラーなど市販のガス流量調節装置
のいずれも本発明に用いることができるが、特にマスフ
ローコントローラーが好ましい。ガス分子間や配管壁、
セル内壁への衝突による偏極希ガスの偏極率減少を防ぐ
ため、流量は層流域又は層流と乱流の混合域が用いられ
るが、特に層流域が好ましい。
【0044】図1において、マスフローコントローラー
を通過した希ガス及びクエンチャーガスは、ガス乾燥化
装置とガス高純度化装置を通過して不純物を除いてから
セルに導入される。水分、酸素、二酸化炭素、一酸化炭
素その他の不純物は、光ポンピング剤と反応して光ポン
ピングの効率を低下させたり、また、偏極した希ガスと
衝突した際にスピン系を緩和させ希ガスの偏極率を減少
するため、セル内に導入するガスは高純度が望ましい。
【0045】ガス乾燥化装置はガス中の水分を除去する
ためのもので、本発明において使用しなくてもガス高純
度化装置のみでガスを精製することは可能だが、ガス高
純度化装置の使用寿命を延ばすことを考慮すると使用す
ることが好ましい。ガス乾燥化装置にはモレキュラーシ
ーブやシリカゲル等の公知の吸着剤いずれも本発明に用
いることができるが、特にあらかじめ加熱乾燥させたモ
レキュラーシーブが好ましい。
【0046】ガス高純度化装置はさらに酸素、二酸化炭
素、一酸化炭素その他の反応性不純物を除くために使用
するもので、ゲッター型、レジン型、金属錯体型等市販
のガス精製器のいずれも本発明に使用することができ
る。
【0047】そして、図1において、ガス高純度化装置
を通過した希ガス及びクエンチャーガスは、光ポンピン
グ剤貯蔵容器から蒸発した光ポンピング剤蒸気と混合さ
れてセルに導入される。光ポンピング剤とは、円偏光さ
れた励起光を照射することによって、基底状態準位にあ
る電子が光吸収により励起されて励起状態準位を経由し
た後に基底状態準位に戻る際に、外部から印加された磁
場によって磁気的に縮退が解かれた基底状態準位の内の
電子準位の一方の準位に高い確率で遷移し、電子スピン
偏極度が高い状態を作成し得る性質を持つ物質である。
本発明には、光ポンピング剤としてアルカリ金属原子、
例えばセシウム、ルビジウム、ナトリウム等あるいは金
属原子、例えば水銀原子、鉛、カドミウムなど、あるい
は準安定状態の単原子分子、例えば放電によって生成さ
れた準安定状態ヘリウム原子など、あるいは有機ラジカ
ル、無機ラジカルなどの多原子分子を用いることができ
る。
【0048】本発明において、光ポンピング剤を導入す
る方法としては、光ポンピング剤貯蔵容器を加熱し光ポ
ンピング剤を蒸発させながら希ガス及びクエンチャーガ
スと混合させることが望ましい。
【0049】そして、本発明においては、不均一な温度
分布により光ポンピング剤が偏析するのを防ぐため、光
ポンピング剤貯蔵容器のほか、下流の配管及びセル全体
は均一の温度に保持することが望ましい。この温度は、
光ポンピング剤の濃度を制御するために、その飽和蒸気
圧を考慮して決めるのが望ましい。
【0050】図2は、この発明における偏極希ガス製造
装置のフローセルと励起光と磁力線の配置例を示す図で
ある。フローセルは励起光照射面が平面のものが望まし
く、図2においては、直方体型を用いているが、立方体
型、円筒状型等の公知のセルいずれも本発明に使用する
ことができるが、特に直方体型で、長軸方向にガスの出
入口がある構造が好ましい。
【0051】フローセルの材質には、金属、例えばステ
ンレス、アルミニウム、銅等あるいはガラス、例えば石
英、パイレックス、ソーダガラスなど、あるいは樹脂、
ABS樹脂、ポリエチレン、アクリル、塩化ビニル等を
用いることができ、セルの一部分または全体に光入射用
の窓を有する構造が望ましい。この窓には、透過性に優
れたガラス例えば石英、パイレックス、ソーダガラスな
ど、あるいは透明な樹脂、例えばアセテート、ポリエス
テル、アクリル板等を使用することができ、特にセル全
体が石英またはパイレックスのガラスであることが好ま
しい。
【0052】光ポンピングを行うためには、励起光入射
方向と磁力線は垂直あるいはほぼ垂直に配置することが
望ましい。この配置で、ガスを流しながら偏極率を向上
させるには、ガスの流れの方向が励起光入射方向と磁力
線の両者に対して垂直あるいはほぼ垂直になることが最
も効果が大きい。したがって、本発明においては図2に
示すように、フローセル内の気体の流通方向に垂直に励
起光を照射し、フローセルの励起光照射面に垂直に磁力
線が通過するように磁石を配置した構造が、特に好まし
い。
【0053】励起光源には、ランプ、レーザー等を使用
することができるが、特にレーザーダイオードが好まし
い。励起光源の前面には1/4波長板を配置して直線偏
光を円偏光に変換することが望ましい。本発明において
は、偏極率を向上させるため、円偏光に変換後レンズで
励起光を拡大して照射面全面に照射する励起光をさらに
一軸方向に拡大し、セルの励起光入射面全面が照射され
ることが特に好ましい。レンズは、凹・凸シリンドリカ
ルレンズ組み合わせた、エキスパンダーを用いることが
望ましい。
【0054】セルで偏極された希ガスは、図1に示すよ
うに後方の核磁気共鳴検出装置に導入され、核磁気共鳴
測定が行われる。ここで用いる核磁気共鳴検出装置は、
連続波掃引方式(CW)誘導型の検出装置、パルス方式
の誘導検出型の検出装置、RF照射下の光学式検出装
置、もしくは、AFMの原理を利用した力検出型検出装
置等、いずれの方式でも利用することができるが、特に
キセノン−129の偏極率の見積もりを行うための実験
では、周波数を固定して静磁場の掃引を行う連続波掃引
方式誘導型検出装置がもっとも好ましい。
【0055】従来からの滞留式の希ガス偏極装置におい
ては、パルス方式誘導検出法を適用したくても、緩和時
間の長いキセノン−129が飽和する問題があり不適当
であった。しかし、本発明における核磁気共鳴検出装置
においては、計測に関わる偏極希ガス分子が順次入れ替
わっていくので、飽和の影響を受けずに核磁気共鳴信号
の計測が可能である。
【0056】
【実施例】以下、本発明の偏極希ガス製造方法は、例え
ば、図1に例示する装置を用いて説明することができ
る。
【0057】図1は、装置の全体構成を示すものであ
り、励起用フローセル(1)、ダイオードレーザー(L
D)(2)、1/4波長板(3)、ビーム拡大光学系
(4)、希ガス等(5,6)のボンベ、ルビジウムリザ
ーバ(7)、ガス高純度化装置(8,9)、マスフロー
コントローラー(10,11)、恒温槽(12)、電磁
石(13)、核磁気共鳴検出装置(14)などから構成
されている。
【0058】希ガス(5)は、日本酸素製の天然同位体
比(キセノン−129:26.44%含有)のキセノン
(純度99.95% )を、窒素ガス(6)は日本酸素
製のSグレード(純度99.9999%)用い、圧力調
整器(16,17)、マスフローコントローラー(MK
S社製M−100−11C,M−310−01C)(1
0,11)によりそれぞれの流量を制御した。その後、
ラインで混合され、ガス高純度化装置(8,9)を通
し、ルビジウムリザーバー(7)から放出されるルビジ
ウム金属の蒸気を加え、電磁石(13)中に置かれた、
石英製の励起用フローセル(1)へ導入された。このと
き、ルビジウムサーバー(7)からフローセル(1)に
かけては、恒温槽(12)を用いて、100−150℃
程度の温度に制御した。
【0059】マスフローコントローラー(10,11)
は、希ガスおよびフローセル内の窒素(クエンチャーガ
ス)の流量を制御するためのもので、最大流量・最小制
御流量はそれぞれのガスについて、10SCCM・0.
2SCCMと1.0SCCM・0.02SCCMを用い
た。
【0060】ガス高純度化装置(8,9)は、二つの方
式を併用した。前段には、水分除去用に、ステンレス鋼
304製のカラムにモレキュラーシーブ(3Aサイズ)
を吸着剤として充填したものに、テープヒーターを巻い
て290℃まで加熱し、窒素ガスを0.8m3/hで2
日間流して乾燥させたもの(8)を用いた。さらに、酸
素や二酸化炭素などの反応性不純物を除くために、後段
にはミリポア社製のガス高純度化器(WPRV−200
−SI)(9)を用いた。
【0061】ルビジウムリザーバ(7)は、一端を封じ
た外形寸法12mm、肉厚0.5mmのステンレス鋼3
04パイプにベローズシール構造のステンレス鋼304
製バルブ(15)を取り付けたものを用いた。ルビジウ
ムはフルウチ化学製(純度99.99%)を用い、ガラ
スアンプルのまま当該リザーバ内部に装着し、到達圧力
10-7Pa台のターボモレキュラーポンプ付きの真空排
気装置で到達圧力になるまで1週間程度真空排気を行な
った。この時、ルビジウムリザーバのまわりにテープヒ
ーターを装着して約100℃まで加熱を行ない、セル内
壁およびガラスアンプルの外側に吸着されていた水等の
不純物を除去した。ルビジウムリザ−バのテープヒータ
ーを外して室温に戻した後にステンレス鋼304製バル
ブを閉じ、当該ガスラインのガス高純度化装置とフロー
セルとの間にT字型継ぎ手を用いて取り付けた。
【0062】電磁石(13)は、真鍮製の枠に銅線を巻
いたヘルムホルツコイル型のもので、約0.016Tの
静磁場を発生できるものを使用した。中心部に石英製の
励起用フローセル(1)(5mm×10mm×40m
m)を流れの方向が静磁場と垂直になるように配置し
た。
【0063】恒温槽(12)は、ルビジウムリザーバか
らフローセルまでの間のルビジウム蒸気が存在する配管
を含む部分全部の温度を均一にするためのものであり、
温度調節器により設定値の±0.1℃以内に制御した。
フローセル内のルビジウム蒸気圧力は温度の変化により
変化するために、一部でも低温部が存在すると偏析して
ルビジウム蒸気圧力の制御が難しくなるため、全体を均
一に保持する必要があるからである。
【0064】励起光には、GaAlAsダイオードレー
ザー(Optopower社製OPC−D012−79
5−HBHS)(2)を使用した。発振波長794.7
nmのもので、アッセンブリ全体での出力は12Wで、
5mm×5mm角の平行光ビームである。該ビームを1
/4波長板(CVI社製 QWPO−795−10−4
−R15)(3)を通して回転偏光にした後、凹凸シリ
ンドリカルレンズ一組からなるビーム拡大光学系(4)
で、一軸方向だけ10倍に拡大した。この5mm×50
mmの平行ビームをフローセル(1)の10mm厚さの
方向から入射して、偏極操作を行った。フローセルを出
た偏極された混合ガスは、自然冷却され、ルビジウム蒸
気を除いた。
【0065】こうして、生成された偏極希ガスを、ガラ
ス管のさらに先に配置した核磁気共鳴検出装置(14)
を使って、キセノン−129のNMR信号強度から、そ
の量を測定した。気体のキセノン−129は、一般にス
ピン−格子緩和時間が長いので、磁化の大きさを見積も
るには、速い断熱通過(AFP)NMR法が適してい
る。核磁気共鳴検出装置(14)は、静磁場用電磁石、
静磁場掃引用コイル、RF照射用コイル、RF増幅器、
NMR検出コイル、増幅器等から構成されている。ここ
では、検出器の周波数は、プロトンとキセノン−129
共に、7MHzになるよう各部品を調節した。
【0066】次に、偏極希ガスの生成は以下の実験手順
によった。まず、準備として乾燥用窒素ラインのバルブ
を開けて、ガス高純度化装置を通した窒素ガスを約2日
間流してフローセルを含む配管内の乾燥および高純度化
を行なった。このとき、ガス高純度化装置より下流のガ
スラインは、リボンヒーターを巻いて、約80℃に温度
制御した。また、ルビジウムリザ−バのステンレス鋼3
04製バルブ(15)を最後の4時間は開けてリザ−バ
内のガス置換を行った。ルビジウムリザ−バの肉厚0.
5mmのステンレス鋼304パイプを外側からクランプ
で挟んで、内部のガラスアンプルを破砕し、リザーバ内
にルビジウム金属を充填した。この後、ルビジウムリザ
ーバ及び励起用フローセルの温度を制御する恒温槽(1
2)の電源を入れて94℃で制御を開始した。ルビジウ
ムの蒸気圧は、0℃で10-8 Torr、38.89℃で約
10-5 Torr、94℃で10-4 Torrであり、本実施例で
は94℃即ち、10-4 Torrに設定した。
【0067】次に、乾燥用窒素ラインのバルブを閉じ
て、キセノンおよび窒素の圧力調整器(16,17)を
開け、マスフローコントローラー(10,11)を調節
して流量をそれぞれ0.4SCCM, 0.02SCCM
にした。混合ガスのセル中の滞在時間は、この場合、5
分程度と見積もられる。核磁気共鳴検出装置(14)に
当該キセノン・窒素混合ガスが到達してから信号レベル
を記録した。
【0068】次に、ダイオードレーザー(LD)(2)
の電源を入れて円偏光を励起用フローセル(1)に照射
し、検出器の出力信号を記録した。確認のために、ダイ
オードレーザー(2)の電源を断続して、この時の検出
器の出力信号を記録した(図3)。一方、偏極キセノン
の実験時に用いるガラス管と同一寸法のガラス管に磁化
率が既知の水を詰め、検出器に挿入した時に得られる信
号を測定したらその値は10mVであった。
【0069】熱平衡時のプロトンと偏極率100%のキ
セノン−129での信号に寄与するスピン数の比は、
1:730である。この関係を用いて、プロトンとキセ
ノン−129の磁気回転比と同体積の水及び偏極キセノ
ンを使った実験で得られたNMR信号強度から、キセノ
ン−129の偏極率を見積もることができる。図3の信
号強度と同体積の水を用いた校正で得られたNMR信号
強度とから、キセノン−129の偏極率の最大値とし
て、20%が得られた。
【0070】以上まとめると、本実施形態の偏極希ガス
製造装置へ、高出力ダイオードレーザー光を図2に示す
ような光学系を用いて照射したところ、生成された偏極
キセノンの信号強度をモニターして示すNMR検出器の
出力波形は図3に示すように、ダイオードレーザー光の
強度の時間変化に対応して可逆的に変化した。すなわ
ち、ダイオードレーザー光の強度の増減または断続によ
り偏極キセノンの生成量が制御されること、すなわち、
ダイオードレーザー光の照射により、キセノン−129
のNMR信号を約10,000倍以上の感度増強ができ
ることが確認された。
【0071】
【発明の効果】本発明は、以上説明したようなものであ
るから、以下に記載されるような効果を奏する。フロー
セル内に低圧の希ガスと光ポンピング用触媒さらにクエ
ンチャーガスの混合気体を一方向に流通させると共に、
フローセル内には励起光を照射し、かつ磁場を印加する
ことで、連続的に偏極希ガスを安全に製造することが可
能である。そして、フローセルの励起光照射面に垂直に
磁力線が通過するように磁石を配置し、フローセルに励
起光を拡大して照射面全面に平行に照射させ、フローセ
ル内の気体の流通方向に垂直に励起光を照射すること
で、偏極率を飛躍的に向上させることが可能である。
【0072】また、偏極希ガス製造装置を核磁気共鳴検
出装置の前方に有することで、連続的に発生した偏極希
ガスを、別容器への移送による偏極率の減少を起こさず
に短時間で核磁気共鳴検出装置に導入し核磁気共鳴測定
することが可能である。さらに、偏極させた希ガスを検
出に用いるため、NMR信号の検出感度を偏極させなか
った場合の約10,000倍以上に向上でき、核磁気共
鳴測定の測定時間の大幅な短縮化や従来不可能であった
検出領域の極微小化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における偏極希ガス製造装置を有した核
磁気共鳴装置の全体の構成図
【図2】本発明における偏極希ガス製造装置のフローセ
ルと励起光と磁力線の配置例を示す図
【図3】本発明の実施例における偏極希ガス生成実験の
結果
【符号の簡単な説明】
1 励起用フローセル 2 ダイオードレーザー(LD) 3 1/4波長板 4 ビーム拡大光学系 5 希ガス 6 窒素(クエンチャーガス) 7 ルビジウムリザーバー 8、9 ガス高純度化装置 10、11 マスフローコントローラー 12 恒温槽 13 電磁石 14 核磁気共鳴検出装置 15 ステンレス鋼304製バルブ 16、17 圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 597007743 守谷 哲郎 茨城県つくば市東2丁目23番地8号 (72)発明者 服部 峰之 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 平賀 隆 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 守谷 哲郎 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フローセル内に希ガスと光ポンピング用触
    媒の混合気体を一方向に流通させると共に、フローセル
    内には励起光を照射し、かつ磁場を印加することを特徴
    とする偏極希ガスの製造装置。
  2. 【請求項2】混合気体として希ガスと光ポンピング用触
    媒とクエンチャーガスを用いたことを特徴とする請求項
    1記載の偏極希ガス製造装置。
  3. 【請求項3】フローセルの励起光照射面に垂直に磁力線
    が通過するように磁石を配置したことを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の偏極希ガス製造装置。
  4. 【請求項4】励起光を拡大して照射面全面に平行に照射
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の偏極希ガス製造装置。
  5. 【請求項5】フローセル内の気体の流通方向に垂直に励
    起光を照射することを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の偏極希ガス製造装置。
  6. 【請求項6】フローセル内に希ガスと光ポンピング用触
    媒の混合気体を一方向に流通させると共に、フローセル
    内には励起光を照射し、かつ磁場を印加することを特徴
    とする偏極希ガスの製造方法。
  7. 【請求項7】混合気体として希ガスと光ポンピング用触
    媒とクエンチャーガスを用いた請求項6記載の偏極希ガ
    ス製造方法。
  8. 【請求項8】フローセルの励起光照射面に垂直に磁力線
    が通過するように磁石を配置したことを特徴とする請求
    項6又は請求項7記載の偏極希ガス製造方法。
  9. 【請求項9】励起光を拡大して照射面全面に平行に照射
    することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記
    載の偏極希ガス製造方法。
  10. 【請求項10】フローセル内の気体の流通方向に垂直に
    励起光を照射することを特徴とする請求項6〜9のいず
    れか1項に記載の偏極希ガス製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1記載の偏極希ガス製造装置を有
    することを特徴とする核磁気共鳴検出装置。
  12. 【請求項12】請求項2記載の偏極希ガス製造装置を有
    することを特徴とする核磁気共鳴検出装置。
  13. 【請求項13】請求項3記載の偏極希ガス製造装置を有
    することを特徴とする核磁気共鳴検出装置。
  14. 【請求項14】請求項4記載の偏極希ガス製造装置を有
    することを特徴とする核磁気共鳴検出装置。
  15. 【請求項15】請求項5記載の偏極希ガス製造装置を有
    することを特徴とする核磁気共鳴検出装置。
  16. 【請求項16】請求項11記載の核磁気共鳴検出装置を
    用いたことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
  17. 【請求項17】請求項12記載の核磁気共鳴検出装置を
    用いたことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
  18. 【請求項18】請求項13記載の核磁気共鳴検出装置を
    用いたことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
  19. 【請求項19】請求項14記載の核磁気共鳴検出装置を
    用いたことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
  20. 【請求項20】請求項15記載の核磁気共鳴検出装置を
    用いたことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
  21. 【請求項21】フローセル内に希ガスと光ポンピング用
    触媒の混合気体を一方向に流通させると共に、フローセ
    ル内には励起光を照射し、かつ磁場を印加することを特
    徴とする偏極希ガスを用いた核磁気共鳴測定方法。
  22. 【請求項22】混合気体として希ガスと光ポンピング用
    触媒とクエンチャーガスを用いたことを特徴とする請求
    項21記載の偏極希ガスを用いた核磁気共鳴測定方法。
  23. 【請求項23】フローセルの励起光照射面に垂直に磁力
    線が通過するように磁石を配置したことを特徴とする請
    求項21又は請求項22記載の偏極希ガスを用いた核磁
    気共鳴測定方法。
  24. 【請求項24】励起光を拡大して照射面全面に平行に照
    射することを特徴とする請求項21〜23のいずれか1
    項に記載の偏極希ガスを用いた核磁気共鳴測定方法。
  25. 【請求項25】フローセル内の気体の流通方向に垂直に
    励起光を照射することを特徴とする請求項21〜24の
    いずれか1項に記載の偏極希ガスを用いた核磁気共鳴測
    定方法。
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