JPH11246772A - 低移行性硬化性シリコーン組成物 - Google Patents

低移行性硬化性シリコーン組成物

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JPH11246772A
JPH11246772A JP6477298A JP6477298A JPH11246772A JP H11246772 A JPH11246772 A JP H11246772A JP 6477298 A JP6477298 A JP 6477298A JP 6477298 A JP6477298 A JP 6477298A JP H11246772 A JPH11246772 A JP H11246772A
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JP6477298A
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Hiromasa Yamaguchi
博正 山口
Hirobumi Kinoshita
博文 木下
Koichi Yamaguchi
浩一 山口
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低分子量成分や無官能成分の移行が非常に少な
く、離型性に優れたコーティングが得られる硬化性シリ
コーン組成物を提供する。 【解決手段】(a)2以上のアルキル基と、式(1): 【化1】 (pは1〜10の整数、qおよびrは独立に0または
1、sは1〜3の整数)で示されるけい素に結合した含
フッ素基を少なくとも1個とを含有するもので、式
(2): 【化2】 (Rf1は前記式(1)の含フッ素基、R1はアルケニル
基、R2は炭素原子数1〜10の1価の炭化水素基、d
は0〜3の整数、fおよびgは独立に0以上の整数)で
示されるリチウムシラノレートまたは、下記式(3): 【化3】 (R3およびR4は一価の有機基であり、Mは(R5
4N、(R54P及びアルカリ金属原子から選択され
(R5は一価の有機基)、Aはケイ素原子またはホウ素
原子を表し、αはAがケイ素原子のときは1、Aがホウ
素原子のときは0であり、βは0〜2の整数)を含有す
る、ヒドロシリル化反応により硬化し得る、低移行性硬
化性シリコーン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面エネルギーの
低い硬化皮膜を形成する組成物に関するものであり、特
に得られる硬化皮膜に粘着剤を接触させた場合に被膜表
面からの移行成分が極めて少ない組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコーン粘着剤は、粘着力が非常に強
いためその保護用コーティングを形成するのに離型性の
高いコーティング剤が求められていた。これを解決する
ために、フロロシリコーンを用いたコ−ティング剤が開
発された(特開昭63−320)。しかしながら、この
フロロシリコーンは酸又はアル力リを触媒として用いる
平衡化反応で製造しているため、製造過程で同時に解重
合反応も生起する。その結果、低分子量成分や反応性官
能基を持たない成分(以下、無官能成分と記す)が多く
副生する。そのため、フロロシリコーンを主成分とする
コーティング剤からなる塗膜でシリコーン粘着剤層を被
覆し保護しておくと、経時で低分子量成分や無官能成分
が粘着剤に移行し、粘着剤の粘着性や離型剤の離型性を
損なうことがある。また、特開平6−279681に
は、剥離力を軽くする目的で無官能成分を添加したフロ
ロシリコーン剥離剤組成物が開示されている。この場合
も、この剥離剤組成物で前記粘着剤層を被覆しておく
と、前記と同様に経時でその無官能成分が粘着剤層に移
行し、同様に粘着剤層の粘着性や剥離剤の離型性を損な
うことがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、低分子量成分や無官能成分の移行性が非常に低くか
かつ離型性に優れたコーティング剤として有用な硬化性
シリコーン組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この問題
を解決する手段として、(a)1分子中にけい素に結合
したアルケニル基を少なくとも2個有し、かつ1分子中
に下記式(1):
【0005】
【化6】 (ここで,pは1〜10の整数であり、qおよびrは独
立に0または1の整数、sは1〜3の整数である )で
示されるけい素に結合した含フッ素置換基を少なくとも
1個含有するアルケニル基含有オルガノポリシロキサン
であって、含フッ素シクロトリシロキサンを、場合によ
ってはフッ素不含有シクロトリシロキサンとともに、下
記式(2):
【0006】
【化7】 (ここで、Rf1は前記式(1)で表される含フッ素置
換基であり、R1はアルケニル基、R2は同一でも異なっ
ていてもよく炭素原子数1〜10の1価の炭化水素基、
dは0〜3の整数、fおよびgは独立に0以上の整数で
ある)で示されるリチウムシラノレートまたは、下記式
(3):
【0007】
【化8】 (ここで、R3およびR4は一価の有機基であり、Mは
(R54N、(R54P及ぴアルカリ金属原子から選択
され(ここでR5は一価の有機基である)、Aはケイ素
原子またはホウ素原子を表し、αはAがケイ素原子のと
きは1であり、Aがホウ素原子のときは0であり、βは
0〜2の整数である)
【0008】で表される触媒を用いた開環重合法で製造
されたオルガノポリシロキサン、(b)1分子中にけい
素原子に結合した水素原子を少なくとも3個以上有し、
かつ1分子中にけい素に結合した含フッ素置換基を少な
くとも1個以上含有するオルガノハイドロジエンポリシ
ロキサン、および(c)ヒドロシリル化触媒を含み、し
かも(a)成分中のけい素に結合したアルケニル基に対
する(b)成分中の水素原子の比率が少なくとも0.5
である、低移行性硬化性シリコーン組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】(a)アルケニル基含有オルガノ
ポリシロキサン (a)成分のオルガノポリシロキサンは1分子中にけい
素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有す
る。アルケニル基としては、実用上から、ビニル基およ
びアリル基が好ましい。該オルガノポリシロキサンは前
記式(1)で表される含フッ素置換基を少なくとも2個
有する必要がある。該式(1)において、 pは1〜1
0の整数で、3〜5が好ましい。qおよびrは、独立に
0または1である。sは1〜3の整数である。従来、含
フッ素置換基としてCn2n+1CH2CH2−の如きパー
フルオロアルキル基を有する基を含むオルガノポリシロ
キサンを使用した組成物が知られているが、式(1)の
パーフロロアルキルエーテル基含有基を含むオルガノポ
リシロキサンを使用する本発明の組成物はこうした従来
の組成物に比較して得られる雛型性が著しく優れてい
る。該(a)成分のオルガノポリシロキサンは、特定の
製造方法により得られたものである必要がある。即ち、
含フッ素シクロトリシロキサンを、場合によってはフッ
素不含有シクロトリシロキサンとともに、下記式
(2):
【0010】
【化9】 (ここで、Rf1は前記式(1)で示したもの、R1はア
ルケニル基、R2は同一でも異なっていてもよく炭素原
子数1〜10の1価の炭化水素基、dは0〜3の整数、
f、gはそれぞれ0以上の整数である)で示されるリチ
ウムシラノレートまたは、下記式(3)
【0011】
【化10】 (ここで、R3およびR4は一価の有機基であり、Mは
(R54N、(R54P及ぴアルカリ金属原子から選択
され(ここでR5は一価の有機基である)、Aはケイ素
原子またはホウ素原子を表し、αはAがケイ素原子のと
きは1であり、Aがホウ素原子のときは0であり、βは
0〜2の整数である)で表される触媒を用いた開環重合
法で製造されたものである。前記のリチウムシラノレー
トを示す、式(2)、即ち、
【0012】
【化11】
【0013】において、Rf1は前記式(1)で表され
るパ−フルオロポリエーテル基を示す。R1はアルケニ
ル基であり、特にビニル基、アリル基が好ましい。R
2は、炭素原子数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基(例
えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基など等のア
ルキル基で、メチル基が好ましい。)、および炭素原子
数6〜10の芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、
ベンジル基、トリル基などで、フェニル基が好ましい)
を表す。式(3)の化合物の代表的な例としては、次の
ものが挙げられる。
【0014】
【化12】 [上の式において、Phはフェニル基を示す]
【0015】前記リチウムシラノレートまたは式(3)
の化合物を触媒とするシクロトリシロキサンの開環重合
は、通常、目的とする鎖状オルガノポリシロキサンの分
子構造や重合触媒の種類に応じて、重合時間が数分〜数
十時間、好ましくは10時間以内となるように重合条件
を設定して行われる。例えば重合温度は、リチウムシラ
ノレート触媒を用いた場合には、150℃以下、特に2
0〜100℃に設定することが望ましい。また式(3)
の触媒を用いた場合には、該触媒の分解温度以下であっ
て、25〜200℃、特に50〜150℃の範囲に重合
温度を設定することが望ましい。何れの触媒を用いる場
合にも、重合温度が高すぎると、平衡化反応によって低
分子環状体の生成が増大する恐れがあるので注意を要す
る。該リチウムシラノレート触媒を利用する重合方法
は、特開平6−293831に記載されている。
【0016】この(a)成分のオルガノポリシロキサン
の構造としては、直鎖状、分枝状、環状等か挙げられる
が、実用上は直鎖状のものが好ましく、例えば下記式
(4)で表されるものが挙げられる。
【0017】
【化13】 (ここで、Rf1は、前記式(1)で表されるバーフル
オロポリエ−テル基を表す。 1は、アルケニル基であ
り、ビニル基、アリル基が好ましい。R2は、炭素原子
数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基(メチル基、エチル
基、イソプロピル基などでメチル基か好ましい)、およ
び炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基(フェニル
基、ベンジル基、トリル基などでフエ二ル基が好まし
い)を表す。aは1以上の整数、b、cは0以上の整
数、dおよびeは独立に0〜3の整数であって、ただ
し、c+d+eは2以上の整数である。
【0018】含フッ素置換基を含むシロキサン単位の量
(式(4)においてaで示される)は、全シロキサン単
位の3mol%以上であることが望ましい。それより小
さいと得られる組成物の離型性などが低下し十分な効果
を得られない。式(4)のアルケニル基含有オルガノポ
リシロキサンを製造する場合、原料として用いる含フッ
素シクロトリシロキサンとしては、式(5):
【0019】
【化14】 (ここで、Rf1及びR2は前記のとおりである)で表さ
れるものを使用し、目的とする構造に応じて式(6):
【0020】
【化15】 (ここで、RはR1又はR2を示し、R1及びR2は前記の
とおりである)で表されるものを併用し、前述の条件で
開環重合させればよい。式(5)で表される含フッ素シ
クロトリシロキサンの例としては、例えば、
【0021】
【化16】 が挙げられる。式(6)のシクロトリシロキサンは目的
とする(a)成分のオルガノポリシロキサンの構造に応
じて必要に応じ使用される。式(6)のシクロトリシロ
キサンの例としては、
【0022】
【化17】 等が挙げられる。
【0023】(b)オルガノハイドロジェンポリシロキ
サン 該(b)成分のオルガノハイドロジェンシロキサンは1
分子中にけい素原子に結合した水素原子を少なくとも3
個以上有する。このオルガノハイドロジエンポリシロキ
サンの構造としては、直鎖状、分枝状、環状等が挙げら
れるが、実用上は直鎖状のものが望ましく、例えば、下
記式(7)で表される。
【0024】
【化18】 式中、Rf2は前記と同様である。R2は前記と同様、炭
素原子数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基(メチル基、
エチル基、イソプロピル基などでメチル基が好まし
い)、および炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基
(フェニル基、ベンジル基、トリル基などでフェニル基
が好ましい)を表す。mおよびnは独立に0〜3の整数
である。xは1以上の整数、yおよびzは独立に0以上
の整数である。ただし、m+n+zは3以上の整数であ
る。
【0025】該フッ素置換基を含むシロキサン単位の量
(式(5)においてxで示される)は、全シロキサン単
位の3mol%以上であることが望ましい。それより小
さい場合は、(a)成分のアルケニル基含有オルガノポ
リシロキサンとの相溶性か悪くなり好ましくない。この
(b)成分として使用するオルガノハイドロジェンシロ
キサンは、減圧ストリップ、分子蒸留、溶剤抽出などに
よって、環状ポリシロキサンの如き低分子量成分等を除
去したものを用いるのが好ましい。該(b)成分の配合
量は(a)成分中のけい素に結合したアルケニル基に対
する(b)成分中の水素原子の比率が、少なくとも0.
5であるような量である。好ましくは、(a)成分中の
けい素結合アルケニル基:(b)成分中のけい素結合水
素原子との比が1:1〜1:5である
【0026】(c)ヒドロシリル化反応触媒 ヒドロシリル化反応に通常用いられる公知の触媒でよ
い。例えば、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム
系触媒などがあり、特に白金系触媒が好ましい。白金系
触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸と各種
オレフィン、ビニルシロキサンとの錯体、白金黒、各種
担体に白金を坦持させたものが挙げられる。該触媒の添
加量は、通常、成分(a)及び(b)の合計重量に対し
白金分として1〜1000ppmであり、好ましい添加
量は硬化に供する温度、時間等よって異なる。 その他の成分:(c)成分のヒドロシリル化反応触媒の
活性を制御する目的で、反応制御剤を添加してもよい。
反応制御剤としては、例えば、有機窒素化合物、有機燐
化合物、アセチレン系化合物、オキシム化合物、有機ク
ロロ化合物など公知のものを使用することができる。
【0027】本発明の組成物には必要に応じて希釈用に
有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、例え
ば、炭化水素系溶剤(例:へキサン、ペンタン、石油ベ
ンジン等)、脂肪族ケトン系溶剤(例:メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン等)、フッ素変性芳香族
炭化水素系溶剤(例:メタキシレンヘキサフロライド、
パラキシレンヘキサフロライド等)、フッ素変性脂肪族
エーテル系溶剤(例:パーフルオロブチルテトラヒドロ
フラン、メチルパーフルオロブチルエ−テル等)等があ
げられ、これらは1種単独でも2種以上を混合してもよ
いその他必要に応じて染料、顔料、補強用充填剤などを
添加してもよい 使用方法:基材への塗布方法は特に限定されず、状況に
応じて選択する。例えば、ロールコ−タ−、ワイヤーバ
ー、スプレー、ディッピング等の公知の方法を使用する
ことができる。
【0028】基材に塗布した本発明の組成物は、室温硬
化、加熱硬化、紫外線硬化等、公知の技術で硬化させる
ことが出来る。100℃で30秒以上の加熱硬化が好ま
しい。硬化により、低移行性、低表面エネルギーの皮膜
を形成出来る。有用性 本発明のシリコーン組成物は感圧粘着剤用の離型剤とし
ての有用であるばかりでなく、撥水性や防汚性を付与す
るためのコーティング剤や、ゴムやプラスチックの金型
離塑剤などとしても有用である。
【0029】
【実施例】合成例1 還流冷却器、温度計を備えた2リットルの4つロフラス
コに、下記式(8):
【0030】
【化19】 で示される含フッ素シクロトリシロキサン1093.1
g、下記式(9):
【0031】
【化20】 で示されるシクロトリシロキサン2.93g、テトラグ
ライム1.1g、下記式(10):
【0032】
【化21】
【0033】で示されるリチウムシラノレートのTHF
溶液(ビニル基当量0.17mol/100g)11.
06gを入れ、窒素雰囲気下105℃で4.5時間重合
した。内温50℃まで冷却後、ジメチルビニルクロロシ
ラン3.4gを加え、50℃で5時間熟成した。減圧
下、150℃で溶剤などを溜去し、生成した塩を濾別す
ると、無色透明のオイル状物としてビニル基含有オルガ
ノポリシロキサン1016.1gを得た。(25℃での
粘度:3490cSt、ビニル基当量:3.21×10
-3mol/100g)
【0034】合成例2 合成例1で用いた式(8)の含フッ素シクロトリシロキ
サンの代わりに下記式(11):
【0035】
【化22】 で示される含フッ素シクロトリシロキサン1283.5
gを用いた以外は、合成例1と同様の方法で合成を行っ
た。その結果、無色透明のオイル状物としてビニル基含
有オルガノポリシロキサン1180.0gを得た。(2
5℃での粘度:6800cSt、ビニル基当量:3.2
2x10-3mol/100g)
【0036】合成例3 合成例1で用いた式(6)の含フッ素シクロトリシロキ
サンの代わりに下記式(12):
【0037】
【化23】 で示される含フッ素シクロトリシロキサン981.9g
を用いた以外は、合成例1と同様の方法で合成を行っ
た。その結果、無色透明のオイル状物としてビニル基含
有オルガノポリシロキサン920.8gを得た。(25
℃での粘度:13600cSt、ビニル基当量:3.1
9x10-3mol/100g)。
【0038】合成例4 還流冷却器、温度計を備えた2リットルの4つロフラス
コに、式(8)で示される含フッ素シクロトリシロキサ
ン1000.0g、式(9)で示されるシクロトリシロ
キサン2.67g、1,1,3,3−テトラメチル−
1,3−ジビニルジシロキサン2.12gを人れ、窒素
雰囲気下50℃でトリフルオロメタンスルホン酸0.1
gを添加して、50℃で16時間重合した。40℃まで
冷却した後、1,1,3,3−テトラメチル−1,3‐
ジビニルジシラザン0.5gを投入して1時間攪拌し
た。減圧下、200℃で溶剤などを溜去し、無色透明の
オイル状物としてビニル基含有オルガノポリシロキサン
916.4gを得た。(25℃での粘度:1148cS
t、ビニル基当量:3.12x10-3mol/100
g) 実施例1〜4、比較例1〜2 各例において、表1に示すビニル基含有オルガノポリシ
ロキサンと、下記式(13):
【0039】
【化24】 または下記式(14):
【0040】
【化25】 で示されるオルガノハイドロジェンシロキサンとを、け
い素原子に結合した水素原子/けい素原子に結合したビ
ニル基のモル比(H/Vi比)が表1で示される値とよ
うになるように混合して、得られた組成物5重量部をフ
ッ素系溶剤EF−L102 (トーケムプロダクツ
(株)製)95重量部で希釈し、これに塩化白金酸/ビ
ニルシロキサン錯体(白金濃度0.5%)0.2重量部
を添加して組成物を調製した。各例の組成物をPETフ
ィルム(厚さ50μm)に下記の方法で塗工し硬化被膜
を形成した。得られた各例の硬化被膜について下記の評
価方法により、25℃及び70℃で1週間エージング後
の剥離力及び硬化被膜からの低分子量成分および無官能
成分の移行性を評価した。結果を表1に示す。
【0041】(1)塗工方法 組成物をPETフィルムにバーコーターNo.7を用いて
塗布する。組成物を塗布したフィルムを熱風循環式乾燥
器内で130℃で60秒間加熱して硬化被膜を形成す
る。 (2)評価方法 〔粘着テープの貼り合わせ〕硬化被膜面にシリコーン粘
着テープ(商品名ニトフロンNo.903UL、日東電工
(株)製、幅19mm)を張り合わせ、20g/cm2
荷重下に25℃及び70℃でそれぞれ1週間エージング
させる。 〔剥離力測定〕上記のようにエージングした張り合わせ
フィルムの一端においてシリコーン粘着テープとPET
フィルムとの端を引張試験機の把持手段でつかみ、18
0°の角度で反対方向に剥離速度30cm/min.で
引っ張り、この時剥離に要する力(g)を測定する。 〔接着力測定〕上記のようにして硬化被膜面から剥離し
た粘着テープをステンレス鋼板に貼り付け、ついでこの
テープをステンレス鋼板面に対し180°の角度で剥離
速度30cm/min.で引っ張り、この時に剥離に要
する力(g)を測定する。 〔移行量測定〕硬化被膜面に未塗工のPETフィルムを
重ね合わせ、20g/cm2の荷重下、70℃で1週間
エージングさせる。その後PETフィルムを剥がして、
硬化被膜面に接していた面に、油性インクを10cm×
10cmの範囲で塗布する。インクを塗ったフィルムを
1mm目盛の透明方眼紙に重ね、ハジキのためにインク
で覆われていない桝目の数により移行量を評価する。桝
目の数が多い程低分子量成分や無官能低分子量成分の移
行量が多い。評価結果は次に示す記号で表わした。 ◎:インクの塗られていない桝目が10個未満 ○:インクの塗られていない桝目が10個以上50個未
満 ×:インクの塗られていない桝目が50個以上
【0042】
【表1】 注:「実」は実施例、「比」は比較例、そして「合」は
合成例をそれぞれ示す。
【0043】
【発明の効果】本発明の組成物は低分子量成分や無官能
成分の移行性が非常に低くかかつ離型性に優れたコーテ
ィングを形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 浩一 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)1分子中にけい素に結合したアルケ
    ニル基を少なくとも2個有し、かつ1分子中に下記式
    (1): 【化1】 (ここで,pは1〜10の整数であり、qおよびrは独
    立に0または1の整数、sは1〜3の整数である )で
    示されるけい素に結合した含フッ素置換基を少なくとも
    1個含有するアルケニル基含有オルガノポリシロキサン
    であって、含フッ素シクロトリシロキサンを、場合によ
    ってはフッ素不含有シクロトリシロキサンとともに、下
    記式(2): 【化2】 (ここで、Rf1は前記式(1)で表される含フッ素置
    換基であり、R1はアルケニル基、R2は同一でも異なっ
    ていてもよく炭素原子数1〜10の1価の炭化水素基、
    dは0〜3の整数、fおよびgは独立に0以上の整数で
    ある)で示されるリチウムシラノレートまたは、下記式
    (3): 【化3】 (ここで、R3およびR4は一価の有機基であり、Mは
    (R54N、(R54P及びアルカリ金属原子から選択
    され(ここでR5は一価の有機基である)、Aはケイ素
    原子またはホウ素原子を表し、αはAがケイ素原子のと
    きは1であり、Aがホウ素原子のときは0であり、βは
    0〜2の整数である)で表される触媒を用いた開環重合
    法で製造されたオルガノポリシロキサン、(b)1分子
    中にけい素原子に結合した水素原子を少なくとも3個以
    上有し、かつ1分子中にけい素に結合した含フッ素置換
    基を少なくとも1個以上含有するオルガノハイドロジエ
    ンポリシロキサン、および(c)ヒドロシリル化触媒を
    含み、しかも(a)成分中のけい素に結合したアルケニ
    ル基に対する(b)成分中の水素原子の比率が少なくと
    も0.5である、低移行性硬化性シリコーン組成物。
  2. 【請求項2】請求項1の組成物であって、前記(a)成
    分が、下記式(4): 【化4】 (ここで、Rf1は前記式(1)で表される含フッ素置換基
    であり、R1、R2は前記式(4)に関して定義の通りで
    あり、aは1以上の整数であり、bおよびcは0以上の
    整数であり、dおよびeは独立に0〜3の整数であっ
    て、ただし、c+d+eは2以上の整数である)で表さ
    れる低移行性硬化性シリコーン組成物。
  3. 【請求項3】請求項1の組成物であって、前記(b)成
    分が、下記式(7): 【化5】 (ここで、Rf2は前記式(1)で示されるパーフルオ
    ロポリエーテル基または 式:Ck2k+1−(ここで、kは3〜20の整数)で示
    されるパーフルオロアルキル基を含む有機基であり、R
    2は式(4)に関し定義の通りであり、xは1以上の整数、
    yおよびzは0以上の整数、mおよびnは0〜3の整数
    であり、ただしm+n+zは3以上の整数である)で表
    される低移行性シリコーン組成物。
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