JPH11246626A - フォトクロミック硬化性組成物 - Google Patents

フォトクロミック硬化性組成物

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JPH11246626A
JPH11246626A JP4917698A JP4917698A JPH11246626A JP H11246626 A JPH11246626 A JP H11246626A JP 4917698 A JP4917698 A JP 4917698A JP 4917698 A JP4917698 A JP 4917698A JP H11246626 A JPH11246626 A JP H11246626A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、屈折率が高くかつアッベ数
が高いという光学物性に優れ、フォトクロミック特性に
関しては発色濃度が高く、耐久性の良いフォトクロミッ
ク硬化体の製造に好適な組成物およびにそのフォトクロ
ミック硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミック
レンズを得ることにある。 【解決手段】 本発明は、下記一般式(1) 【化18】 (ただし、R1,R2,R3はそれぞれ同一または異なる
水素原子またはメチル基であり、nは1〜10の整数で
ある。)で示される重合性単量体を少なくとも10重量
%含む重合性単量体100重量部とフォトクロミック化
合物0.001〜10重量部を含有してなるフォトクロ
ミック硬化性組成物ならびにそれを硬化させてなるフォ
トクロミックレンズである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屈折率及びアッベ
数が高いという光学物性に優れ、フォトクロミック特性
に関しても発色濃度が高く、耐久性の良いフォトクロミ
ック硬化体の製造に好適なフォトクロミック硬化性組成
物およびにそのフォトクロミック硬化性組成物を硬化さ
せてなるフォトクロミックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】フォトクロミズムとは、ここ数年来注目
をひいてきた現象であって、ある化合物に太陽光あるい
は水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速や
かに色が変わり、光の照射を止めて暗所に置くと元の色
に戻る可逆作用のことである。この性質を有する化合物
は、フォトクロミック化合物と呼ばれ、従来から種々の
構造の化合物が合成され提案されてきた。
【0003】フォトクロミズムを利用したものにフォト
クロミックプラスチックレンズがあり、特開平3−12
4790号公報などにフォトクロミック化合物をラジカ
ル重合性単量体に溶解させたフォトクロミック硬化性組
成物が提案され、これを硬化することでフォトクロミッ
ク樹脂を得る方法が開示されている。特にこの硬化物を
フォトクロミックレンズとして使用することが提案され
ている。しかしながら、これらの発明の多くは屈折率が
1.55未満の材料である。
【0004】ところで、メガネレンズは、より薄いもの
が求められる。このため、使用する樹脂の高屈折率化が
種々検討されて、レンズ用硬化物やモノマー組成物が数
多く検討され、提案されている。しかしながら、1.5
6を超えるようなフォトクロミックレンズに関する検討
例は少なく、特開平8−169918号公報に開示され
ているほかは積極的な技術開発の開示例は少ない。ま
た、一般的な高屈折率重合性単量体としてスチリル系化
合物が数多く検討されているが、これらの高屈折率硬化
物のフォトクロミック性は低屈折率の硬化物に比べ耐久
性が低く、さらに発色濃度も低いといった欠点を有して
いたため、フォトクロミックレンズとして実用的ではな
い。また、メガネレンズの色収差を改善するためにアッ
ベ数を高くすること望まれているが、一般的に屈折率を
高くするとアッベ数は低下するため、高屈折率のプラス
チックメガネレンズのアッベ数を高くすることは困難で
ある。したがって、屈折率とアッベ数が高いという光学
特性に優れ、かつ発色濃度や耐久性等のフォトクロミッ
ク特性に優れ、十分に実用的であるフォトクロミック硬
化性組成物が求められている。
【0005】一方、フォトクロミック化合物としては、
例えばフルギミド化合物が知られている。フルギミド化
合物の発色時の色調は、橙色〜青色である。また、クロ
メン化合物、あるいはスピロオキサジン化合物もフォト
クロミック化合物としてよく知られており、これらの化
合物の発色時の色調は一般的にクロメン化合物が橙色〜
黄色、スピロオキサジン化合物が赤紫色〜青色である。
【0006】一般的に、フォトクロミックレンズでは、
発色時の色調は、グレー、アンバー及びブラウンが好ま
れる。しかしながら、上記化合物を単独で用いた場合
は、好まれる中間色が得られない場合が多い。中間色を
得る方法としては、クロメン化合物、フルギドまたはフ
ルギミド化合物及びスピロオキサジン化合物で異なる発
色色調どうしのものを任意の組成比にて混合することが
挙げられる。例えば、特開平3−124790号公報に
は、クロメン化合物とフルギミド化合物を混合すること
により、また、特開平5−9469号公報には、クロメ
ン化合物とスピロオキサジン化合物を混合することによ
り、中間色が得られることが記載されている。さらに、
DE4325154号公報には、スピロオキサジン化合
物、クロメン化合物およびフルギミド化合物を混合した
結果、グレー、アンバー、ブラウンをはじめ、その他、
様々な中間色に発色すると記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の欠点を
補う新しい技術の開発が望まれてきた。即ち、本発明の
目的は、屈折率が高くかつアッベ数が高いという光学物
性に優れ、しかもフォトクロミック特性に関しても発色
濃度が高く、耐久性の良いフォトクロミック硬化体の製
造に好適な組成物ならびにそのフォトクロミック硬化性
組成物を硬化させてなるフォトクロミックレンズを提案
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高屈折率
で高アッベ数の光学特性に優れ、フォトクロミック特性
に関し、大きな発色濃度ならびに耐久性に優れた、フォ
トクロミックレンズに代表されるフォトクロミック硬化
体を得るための組成物について鋭意研究を続けた。その
結果、特定の重合性単量体を含むフォトクロミック硬化
性組成物が、前記の要求物性を満たすフォトクロミック
硬化体の製造に好適な組成物であることを見い出し、本
発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0010】
【化2】
【0011】(ただし、R1,R2,R3はそれぞれ同一
または異なる水素原子またはメチル基であり、nは1〜
10の整数である。)で示される重合性単量体を少なく
とも10重量%含む重合性単量体100重量部とフォト
クロミック化合物0.001〜10重量部を含有してな
るフォトクロミック硬化性組成物である。また、他の発
明は、上記フォトクロミック硬化性組成物を硬化させて
なるフォトクロミックレンズである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における一般式(1)で示
される重合性単量体において、置換基R2とR3は得られ
る硬化体の屈折率を上昇させるためには水素原子が好ま
しい。また、nは1〜10の整数であればよいが、得ら
れる硬化体の耐熱性や硬度を考慮すると1〜5であるこ
とが特に好ましい。
【0013】一般式(1)で示される重合性単量体を具
体的に例示すると、ビス(メタクリロイルオキシエチ
ル)スルフィド、ビス(アクリロイルオキシエチル)ス
ルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチル
チオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチ
ル)エタン、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチ
オエチル)スルフィド、ビス(2−アクリロイルオキシ
エチルチオエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタク
リロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2
−ビス(アクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エ
タン、1,2−ビス(メタクリロイルオキシイソプロピ
ルチオイソプロピル)スルフィド、1,2−ビス(アク
リロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフ
ィドなどがあげられる。
【0014】本発明の効果は、重合性単量体として一般
式(1)で示される重合性単量体のみでも発現するが、
組成物の成型性の改良及び得られる硬化体の物理的特
性、光学特性やフォトクロミック特性を向上させるた
め、このほかに共重合可能な1種または2種以上のラジ
カル重合性単量体を添加しても良い。ただし、得られる
硬化体の屈折率とアッベ数を高く保つために一般式
(1)で示される重合性単量体はこれらの共重合可能な
重合性単量体に対し10重量%以上である必要があり、
好ましくは10〜90重量%である。さらに好ましくは
20〜90重量%の範囲である。
【0015】本発明において一般式(1)で示される重
合性単量体と共重合可能な重合性単量体として好適に使
用できる化合物を具体的に例示すると、グリシジル(メ
タ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アク
リレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル
−メタクリレート、4−グリシジルオキシブチルメタク
リレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシ
ジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、3−(グリシジルオキシ−2
−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、イソボ
ルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ベン
ジル、(メタ)アクリル酸フェニル、トリブロモフェニ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレ
ート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アク
リレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、アルコキシポリプロピレングリコール
(メタ)アクリレート、トリフロロメチル(メタ)アク
リレート等の単官能(メタ)アクリレート系重合性単量
体;トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラ
エチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレング
リコールジメタクリレート、テトラデカエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメ
タクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリ
レート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、
ノナエチレングリコールジアクリレートのジ(メタ)アク
リレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフ
ェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エス
テル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキ
シ・ポリエトキシフェニル)プロパンのアクリル酸およ
びメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−
メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパンの
アクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,
2’−ビス(4−メタクリロイルオキシ・ポリプロポキ
シフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸
エステル化合物、2,2’−ビス(3,5−ジブロモ−
4−メタクリロイルオキシエトキシ)プロパンのアクリ
ル酸およびメタクリル酸エステル化合物、水添加ビスフ
ェノールAエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイ
ド付加物のアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合
物、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレ
ート、ジメチロールトリシクロデカンポリエトキシジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、エチレングリコール又はポリエ
チレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの
反応生成物、プロピレングリコール又はポリプロピレン
グリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの反応生
成物、ビスフェノールAエチレンオキサイド又はプロピ
レンオキサイド付加物とグリシジル(メタ)アクリレー
トの反応生成物、水添加ビスフェノールAエチレンオキ
サイド又はプロピレンオキサイド付加物とグリシジル
(メタ)アクリレートの反応生成物、ウレタンアクリレ
ート等の多官能性(メタ)アクリレート系重合性単量
体;スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、
α−メチルスチレンダイマー、ビニルナフタレン、イソ
プロペニルナフタレン、ブロモスチレン、ジビニルベン
ゼン等のスチリル系重合性単量体が挙げられる。これら
の(メタ)アクリレート系重合性単量体及び/又はスチ
リル系単量体は一種または二種以上を混合して使用でき
る。
【0016】次に、本発明において用いられるフォトク
ロミック化合物は、フォトクロミック作用を示す化合物
を何ら制限なく採用することができる。例えば、フルギ
ド化合物、クロメン化合物及びスピロオキサジン化合物
等のフォトクロミック化合物がよく知られており、本発
明においてはこれらのフォトクロミック化合物を使用す
ることができる。上記のフォトクロミック化合物として
は、米国特許第4882438号公報、米国特許第49
60678号公報、米国特許第5130058号公報、
米国特許第5106998号公報、国際公開特許第94
22854号公報、国際公開特許第9505371号公
報、米国特許第4913544号公報、欧州公開特許第
0600669号公報等で公知の化合物を好適に使用で
きる。これらのフォトクロミック化合物は1種又は2種
以上を混合して使用でき、その配合比は使用する用途に
応じて決定してゆけばよい。
【0017】本発明において好適に使用できるフォトク
ロミック化合物のうち、クロメン化合物は一般式(2)
で表すことができる。
【0018】
【化3】
【0019】(但し、R4、R5、R6およびR7は、それ
ぞれ同一または異なる水素原子、アルキル基、アリール
基、置換アミノ基、飽和複素環基又は不飽和複素環基で
あり、R6およびR7は、一緒になって環を形成していて
もよく、
【0020】
【化4】
【0021】で示される基は、それぞれハロゲン原子、
炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコ
キシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜14
のアルコキシアリール基、炭素数1〜10の置換アミノ
基、ニトロ基及びシアノ基よりなる群から選ばれた少な
くとも一種の置換基で置換されていてもよい、二価の芳
香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基である。) 上記式(2)中、R4、R5、R6およびR7で示されるア
ルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜
4のアルキル基を挙げることができ、アリール基として
はフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の
炭素数6〜10のアリール基を挙げることができる。ま
た、置換アミノ基は、上記したようなアルキル基または
アリール基で水素原子の少なくとも1つが置換されたア
ミノ基を挙げることができ、また、飽和複素環基は、ピ
ロリジン環、イミダゾリジン環、ピペリジン環、ピペラ
ジン環、モルホリン環等の窒素原子、酸素原子、または
イオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜6員環
から誘導される一価の基を挙げることができる。また、
不飽和複素環基としては、フラン環、ベンゾフラン環、
チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、イン
ドール環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環等
から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができ
る。
【0022】上記式(2)中、R6およびR7が一緒にな
って形成する環は、ノルボルニリデン基、ビシクロ
[3.3.1]9−ノニリデン基等をあげることができ
る。
【0023】また、上記式(2)中、
【0024】
【化5】
【0025】で示される二価の芳香族炭化水素基として
は、ベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘
導される二価の基を挙げることができ、また、二価の不
飽和複素環基としては、酸素原子、窒素原子、またはイ
オウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環ま
たはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二価の
基を挙げることができる。二価の芳香族炭化水素基を具
体的に例示すると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナ
ントレン環、アントラセン環等から誘導される炭素数6
〜14の基をあげることができ、また、二価の不飽和複
素環基を具体的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン
環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロー
ル環、チオフェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン
環等から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることがで
きる。
【0026】これらの二価の芳香族炭化水素基または不
飽和複素環基は水素原子の少なくとも一つが置換されて
いてもよく、その置換基としては、特に制限されない
が、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メ
チル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基:メ
トキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ
基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜
10のアリール基:炭素数7〜14のアルコキシアリー
ル基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数
6〜10のアリール基):ジメチルアミノ基、ピロリジ
ニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基等の炭素数1〜
10の置換アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示する
ことができる。
【0027】クロメン化合物としては、特にR4および
5は共に水素原子であり、R6およびR7は、それぞれ
同一または異なるアリール基であるか、または不飽和複
素環基であるか、若しくはこれらが一緒になって形成さ
れたビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基またはノ
ルボルニリデン基であり、
【0028】
【化6】
【0029】は、炭素数1〜10のアルキル基または炭
素数1〜10のアルコキシ基で置換されていてもよいナ
フタレン環から誘導される基である化合物が好適に使用
できる。
【0030】本発明において好適に使用できるクロメン
化合物を具体的に例示すれば、次のような化合物を例示
することができる。
【0031】1)スピロ〔ノルボルナン−2,2′−
〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕 2)スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2′
−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕 3)7′−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノ
ナン−9,2′−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕 4)7′−メトキシスピロ〔ノルボルナン−2,2′−
〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕 5)3,3−ビス(3−フルオロ−4−メトキシフェニ
ル)−6−モルホリノ−3H−ベンゾ〔f〕クロメン 6)3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−モル
ホリノ−3H−ベンゾ〔f〕クロメン 7)3−(3−トリフルオロメチル−4−メトキシフェ
ニル)−3−(4−メトキシフェニル)−6−チオモル
ホリノ−3H−ベンゾ〔f〕クロメン また、本発明で好適に用いられるスピロオキサジン化合
物は、一般式(3)で表すことができる。
【0032】
【化7】
【0033】ここで、一般式(3)において、R8、R9
およびR10は、それぞれ同一または異なるアルキル基、
シクロアルキル基、シクロアルアルキル基、アルコキシ
基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、
アルコキシカルボニルアルキル基、アリール基、アラル
キル基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基また
はアミノ基であり、R9およびR10は、一緒になって環
を形成してもよく、R8、R9およびR10は置換基を有し
てもよく、置換基としては上記のような基のほかに、ハ
ロゲン原子、ニトロ基、シアノ基または複素環基等が上
げられる。
【0034】上記式(3)中のR8,R9及びR10で表さ
れるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペン
チル基等の炭素数1〜10のアルキル基を挙げることが
でき、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シ
クロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10
のシクロアルキル基を挙げることができ、シクロアルア
ルキル基としてはシクロプロピルメチル基、シクロヘキ
シルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基等の炭素数
4〜11のシクロアルアルキル基を挙げることができ、
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等の炭素
数1〜10のアルコキシ基を挙げることができ、アルコ
キシアルキル基としてはメトキシメチル基、エトキシメ
チル基、t-ブトキシメチル基等の炭素数2〜11のアル
コキシアルキル基を挙げることができ、アルコキシカル
ボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカル
ボニル基等の炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基
を挙げることができ、アルコキシカルボニルアルキル基
としてはメトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボ
ニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基等の炭素数
3〜12のアルコキシカルボニルアルキル基を挙げるこ
とができ、アリール基としてはフェニル基、トリル基、
キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール
基を挙げることができ、アラルキル基としてはベンジル
基、フェネチル基、ナフチルメチル基等の炭素数7〜1
4のアラルキル基を挙げることができ、アリーロキシ基
としてはフェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜1
2のアリーロキシ基を挙げることができ、アシル基とし
てはアセチル基、ベンゾイル基等の炭素数2〜14のア
シル基を挙げることができ、アシロキシ基としてはアセ
トキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素数2〜14のア
セトキシ基を挙げることができ、また、アミノ基として
はメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ
基、時エチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等
の炭素数1〜10のアミノ基を挙げることができる。
【0035】また、
【0036】
【化8】
【0037】で示される基は、それぞれ置換されていて
もよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素
環基であり、一般式(2)で示されるクロメン化合物の
項で例示されたものと同じ基が採用される。
【0038】
【化9】
【0039】で示される基は、それぞれ置換されていて
もよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素
環基である。二価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼ
ン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘導される二
価の基を挙げることができ、また、二価の不飽和複素環
基としては、酸素原子、窒素原子、またはイオウ原子を
環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれと
ベンゼン環との縮合環から誘導される二価の基を挙げる
ことができる。二価の芳香族炭化水素基を具体的に例示
すると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン
環、アントラセン環等から誘導される炭素数6〜14の
基をあげることができ、また、二価の不飽和複素環基を
具体的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン環、ピリ
ジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、チ
オフェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等から
誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができる。
【0040】また、上記の二価の芳香族炭化水素基又は
二価の不飽和複素環基の置換基としては上記のR8、R9
およびR10で述べたものと同じ基を選択できるが、中で
【0041】
【化10】
【0042】(但し、R11およびR12はそれぞれ同一又
は異なる、置換されていても良い、アルキル基、アルコ
キシ基またはアリル基等であり、またR11およびR12
互いに結合、環化し、含窒素複素環を形成しても良
い。)で示される基で置換された二価の芳香族炭化水素
基または二価の不飽和複素環基が、初期のフォトクロミ
ック性能においてその発色濃度が高い点で好適である。
【0043】本発明で好適に使用できるスピロオキサジ
ン化合物を具体的に例示すれば、次のような化合物を例
示することができる。
【0044】1)1’−メトキシカルボニルメチル−
8''−メトキシ−6''−(4−メチルピペラジノ)ジス
ピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール
−2’−(1’H),3''−(3H)ナフト(3,2−
a)(1,4)オキサジン) 2)6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6''−モ
ルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3
H)インドール−2’−(1’H),3''−(3H)ナ
フト(3,2−a)(1,4)オキサジン) 3)6’−フルオロ−5’−メチル−1’−イソブチル
−6''−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,
3’−(3H)インドール−2’−(1’H),3''−
(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン) 4)3’,3’−ジメチル−1’−イソプロピル−6''
−インドリノスピロ−(3H)インドール−2’−
(1’H),3''−(3H)ナフト(3,2−a)
(1,4)オキサジン 5)3’,3’−ジメチル−1’−イソブチルスピロ−
(3H)インドール−2’−(1’H),3''−(3
H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン また、本発明で好適に用いられるフルギド化合物は一般
式(4)で表すことができる。
【0045】
【化11】
【0046】〔但し、
【0047】
【化12】
【0048】はそれぞれ置換基を有していてもよい二価
の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基であ
り、R13は、アルキル基、アリール基または一価の複素
環基であり、
【0049】
【化13】
【0050】は、ノルボルニリデン基またはアダマンチ
リデン基であり、Xは、酸素原子、基 >N−R14、基
>N−A1−B1−(A2)m−(B2)n−R15、基 >N−
3−A4、または基 >N−A3−R16である(ここ
で、R14は、水素原子、アルキル基またはアリール基で
あり、A1、A2およびA3は、同一もしくは異なり、ア
ルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基また
はアルキルシクロアルカン−ジイル基であり、B1およ
びB2は、同一もしくは異なってもよい
【0051】
【化14】
【0052】であり、mおよびnは、それぞれ独立して
0または1を示すが、mが0の時nは0であり、R
15は、アルキル基、ナフチル基またはナフチルアルキル
基であり、A4は、ナフチル基であり、R16は、ハロゲ
ン原子、シアノ基またはニトロ基である。)。〕 上記式(4)中、
【0053】
【化15】
【0054】で示される二価の芳香族炭化水素基または
二価の不飽和複素環基は、前記式(2)における基と同
様であり、これらの各基の置換基としては特に制限され
ないが、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原
子:メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル
基:メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアル
コキシ基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素
数6〜10のアリール基:炭素数7〜14のアルコキシ
アリール基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された
炭素数6〜10のアリール基):ジメチルアミノ基、ピ
ロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基等の炭素
数1〜10の置換アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例
示することができる。
【0055】上記式(4)中、R13で示されるアルキル
基、アリール基および複素環基は、炭素数1〜4のアル
キル基、炭素数6〜10のアリール基、および、酸素原
子、窒素原子、またはイオウ原子を環構成原子として1
〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合
環から誘導される一価の基を挙げることができる。該ア
ルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、シクロプロピル基等を挙げるこ
とができる、また該アリール基を具体的に例示すると、
フェニル基、トリル基、キシリル基等を挙げることがで
きる、また、該複素環基を具体的に例示すると、ピロー
ル環、ピリジン環、キノリン環、ピペリジン環等の含窒
素複素環;フラン環、ベンゾフラン環、オキソラン環等
の含酸素複素環;チオフェン環、ベンゾチオフェン環、
チオラン環等の含硫黄複素環に基づく基を挙げることが
できる。
【0056】上記式(4)中Xが>N−R14であると
き、R14で示されるアルキル基、アリール基は上記R13
と同様である。Xが>N−A1−B1−(A2)m−(B2)n
15、>N−A3−A4、または>N−A3−R16である
とき、A1、A2およびA3で示されるアルキレン基は、
メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン
基、テトラメチレン基等の炭素数1〜4の基であること
が好ましく、アルキリデン基は、エチリデン基、プロピ
リデン基、イソプロピリデン基等の炭素数2〜4の基で
あることが好ましく、また、シクロアルキレン基は、シ
クロヘキシレン基が好ましく、さらにアルキルシクロア
ルカン−ジイル基は、ジメチルシクロヘキサン−ジイル
基が好ましい。
【0057】また、上記式(4)中Xが>N−A1−B1
−(A2)m−(B2)n−R15であるとき、R15で示されるア
ルキル基は上記R13と同様であり、ナフチルアルキル基
は、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等の炭素数1
1〜14の基であることが好ましい。
【0058】上記式(4)で示されるフルギド化合物の
なかでも、フォトクロミック作用の耐久性等を勘案する
と、R13がアルキル基であり、Xが>N−R〔ただし、
Rは炭素数1〜4のシアノアルキル基、炭素数1〜4の
ニトロアルキル基、または炭素数3〜9のアルコキシカ
ルボニルアルキル基(炭素数1〜4のアルコキシ基と炭
素数1〜4のアルキレン基を含む)である。〕であり、
【0059】
【化16】
【0060】はアダマンチリデン基であり、
【0061】
【化17】
【0062】は、炭素数6〜10のアリール基、または
炭素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4
のアルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール
基)で置換されていてもよい複素環基、特にチオフェン
環から誘導される基である化合物が好ましい。
【0063】本発明において好適に使用できるフルギド
化合物を具体的に例示すると、次のような化合物を例示
することができる。
【0064】フルギド化合物: 1)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル
−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェ
ンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.
1.1〕デカン) 2)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−
メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベン
ゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリ
シクロ〔3.3.1.1〕デカン) 3)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル
スピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシ
イミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカ
ン) 4)6,7−ジヒドロ−N−メトキシカルボニルメチル
−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ
〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシ
クロ〔3.3.1.1〕デカン) 5)6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−(p−メチル
フェニル)−N−ニトロメチルスピロ(5,6−ベンゾ
〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシ
クロ〔3.3.1.1〕デカン) 6)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロ
プロピル−3−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チ
オフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ
〔3.3.1.1〕デカン) 7)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロ
プロピル−スピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジ
カルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.
1〕デカン) 本発明における硬化性組成物をメガネレンズに使用する
場合は、グレーまたはブラウン等の色調が好まれるが、
このような色調は単一のフォトクロミック化合物では得
られないために、二種以上の異なるフォトクロミック化
合物を混合する方法が採用される。上記したフルギド化
合物及びスピロオキサジン化合物は一般に橙〜青に発色
するが、これに黄〜橙に発色するクロメン化合物を混合
することにより、グレー、ブラウン等の中間色を得るこ
とができる。
【0065】本発明において、フォトクロミック化合物
の配合比は全重合性単量体100重量部に対して、フォ
トクロミック化合物は、0.001〜10重量部の範囲
であり、0.001重量部より少ないとフォトクロミッ
ク特性の耐久性を損なうことになり、また、10重量部
より多いときには硬化体の初期着色が大きくなる。フォ
トクロミック化合物の配合比は、全重合性単量体100
重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より
好ましくは0.01〜1重量部の範囲で用いられ、この
範囲において耐久性と初期着色のバランスのとれた最も
良好なフォトクロミック性能が得られる。
【0066】本発明のフォトクロミック硬化性組成物に
は、更に離型剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線
安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染
料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤を必要に
応じて混合して使用することができる。
【0067】本発明のフォトクロミック硬化性組成物に
紫外線安定剤を混合して使用すると、フォトクロミック
化合物の耐久性をさらに向上させることができるために
好適である。また、紫外線安定剤としては、ヒンダード
アミン光安定剤、ヒンダードフェノール光安定剤、イオ
ウ系酸化防止剤を好適に使用することができる。
【0068】紫外線安定剤の使用量は特に制限されるも
のではないが、通常は、全重合性単量体100重量部に
対して各紫外線安定剤の配合量が0.001〜10重量
部、さらに0.01〜1重量部の範囲であることが好適
である。
【0069】更に、フルギド化合物とクロメン化合物と
を併用する場合には、亜リン酸エステル化合物を加える
ことにより、これらのフォトクロ化合物の混合色の経時
的な変化を抑えることができる。したがって、フルギド
化合物とクロメン化合物とを併用する系に上記した紫外
線安定剤と亜リン酸エステル化合物の両者を使用するこ
とは、本発明において最も好適である。亜リン酸エステ
ル化合物の配合量は、全重合性単量体100重量部に対
して、0.001〜10重量部、さらに0.01〜1重
量部であることが好ましい。
【0070】更に又、赤外線吸収剤を混合して使用する
と、フォトクロミック作用の他にも赤外線吸収能も有す
るフォトクロミック硬化体を得ることができる。赤外線
吸収剤としてはポリメチン系化合物、ジイモニウム系化
合物、シアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ア
ルミニウム系化合物が使用できるが、分子吸光係数が大
きく、小量の添加で効果を発揮するジイモニウム系化合
物が好適である。
【0071】赤外線吸収剤の配合量は、全重合性単量体
100重量部に対して、0.0001〜1重量部、さら
に0.001〜0.01重量部であることが好ましい。
【0072】本発明のフォトクロミック組成物から硬化
体を得る重合方法は特に限定的でなく、公知のラジカル
重合方法を採用できる。重合開始手段は、種々の過酸化
物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の使用、又
は、紫外線、α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の
併用によって行うことができる。代表的な重合方法を例
示すると、エラストマーガスケット又はスペーサーで保
持されているモールド間に、ラジカル重合開始剤を混合
した本発明のフォトクロミック組成物を注入し、空気炉
中で硬化させた後、モールドより取り外す注型重合が採
用される。
【0073】ラジカル重合開始剤としては特に限定され
ず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示す
ると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイ
ルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジア
シルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサネート、t−ブチルパーオキシネオデカネー
ト、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパー
オキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチル
パーオキシジカーボネート等のパーカーボネート;アゾ
ビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等をあげること
ができる。
【0074】ラジカル重合開始剤の使用量は、重合条件
や開始剤の種類、前記の単量体の組成によって異なり、
一概に限定できないが、一般的には、全重合性単量体1
00重量部に対して0.001〜10重量部、好ましく
は0.01〜5重量部の範囲が好適である。
【0075】重合条件のうち、特に温度は得られるフォ
トクロミック硬化体の性状に影響を与える。この温度条
件は、開始剤の種類と量や単量体の種類によって影響を
受けるので一概に限定はできないが、一般的に比較的低
温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合
終了時に高温下に硬化させる所謂テーパ型の2段重合を
行うのが好適である。重合時間も温度と同様に各種の要
因によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適
の時間を決定するのが好適であるが、一般に2〜40時
間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。
【0076】さらに、上記の方法で得られるフォトクロ
ミック硬化体は、その用途に応じて以下のような処理を
施すこともできる。即ち、分散染料などの染料を用いる
染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、
アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾ
ルを主成分とするハードコート剤や、SiO2、Ti
2、ZrO2等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子
の薄膜の塗布による反射防止処理、帯電防止処理等の加
工および2次処理を施すことも可能である。
【0077】
【発明の効果】本発明のフォトクロミック硬化性組成物
を重合して得られる硬化体は、屈折率が高くかつアッベ
数が高いという優れた光学物性を有し、さらにフォトク
ロミック特性に関しては発色濃度、耐久性ともに高く十
分実用的である。詳しくは、本発明のフォトクロミック
硬化性組成物を重合して得られる硬化体は、フォトクロ
ミック特性に関し、低屈折率の硬化体と同程度かそれ以
上の優れた発色濃度及び耐久性を有し、屈折率が1.5
6以上にも拘わらず高アッベ数である優れた光学物性を
有する。したがって、本発明のフォトクロミック組成物
を重合して得られる硬化体は、フォトクロミック性を有
する高屈折率有機ガラスとして有用であり、例えば、フ
ォトクロミックレンズ等の用途に好適に使用することが
できる。
【0078】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明するために、実
施例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0079】以下の例で使用した化合物及び略称は下記
のとおりである。
【0080】(1)含S(メタ)アクリレート(一般式
(1)で示されるの重合性単量体) 3S4G:ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオ
エチル)スルフィド 3S4GA:ビス(2−アクリロイルオキシエチルチオ
エチル)スルフィド 3S4GP:ビス(2−メタクリロイルオキシイソプロ
ピルチオイソプロピル)スルフィド (2)他の単量体 GMA:グリシジルメタクリレート BzMA:ベンジルメタクリレート TB:2,2−ビス〔4−メタクリロイルオキシエトキ
シ−3,5,−ジブロモフェニル〕プロパン MS:α−メチルスチレン BPE:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエト
キシフェニル)プロパン4G:テトラエチレングリコー
ルジメタクリレート St:スチレン XEMA:1,4−ビス(メタクリロイルオキシエチル
チオメチル)ベンゼン(3)フォトクロミック化合物 C1:スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,
2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕 S1:6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6”−
モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3
H)インドール−2’−(1’H),3”−(3H)ナ
フト(3,2−a)(1,4)オキサジン) F1:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p
−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベ
ンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−ト
リシクロ〔3.3.1.1〕デカン) 実施例1 含S(メタ)アクリレートとして3S4G90重量部と
他の重合性単量体としてGMA10重量部を室温で2時
間混合攪拌した。その混合溶液の中に、フォトクロミッ
ク化合物としてC1を0.05重量部、ラジカル重合開
始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネ
ートを1重量部添加してよく混合した。この混合液をガ
ラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケ
ットで構成された鋳型の中へ注入し、注型重合を行っ
た。重合は空気炉を用い、30℃から90℃で18時間
かけ、徐々に温度を上げていき、90℃に2時間保持し
た。重合終了後、鋳型を空気炉から取り外し、放冷後、
硬化体を鋳型のガラス型から取り外した。
【0081】得られたフォトクロミック硬化体(厚み2
mm)に、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−24
80(300W)SHL−100をエアロマスフィルタ
ー(コーニング社製)を介して20℃±1℃、硬化体表
面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2,2
45nm=24μW/cm2で120秒照射して発色さ
せ、下記の各種フォトクロミック特性を測定した。
【0082】・最大吸収波長(λmax(nm)):(株)大
塚電子工業製の分光光度計MCPD1000により、こ
の硬化体の発色後のλmaxを求めた。
【0083】・発色濃度:ε(120)−ε(0)を求
め、発色濃度とした。但し、ε(120)は、上記条件
にて光を120秒照射し、発色させた時のフォトクロミ
ック化合物の最大吸収波長における吸光度であり、ε
(0)は、光を照射する前の発色時と同じ吸収波長での
吸光度である。
【0084】・フォトクロミック耐久性:スガ試験機
(株)製キセノンフェードメーターFA−25AX−H
Cにより疲労寿命を測定し、フォトクロミック耐久性と
した。疲労寿命は、重合体をキセノンフェードメーター
に200時間照射した後、上記記載の方法にて硬化体を
発色させ、その時のフォトクロミック化合物の発色に基
づく最大吸収波長における吸光度を、フェードメーター
照射前の発色での吸光度に対する割合(%)で表した。
【0085】また、得られた硬化体の光学物性は下記の
試験法により測定した。
【0086】屈折率及びアッベ数:アタゴ(株)製アッ
ベ屈折計を用いて、20℃における屈折率とアッベ数を
測定した。接触液にはブロモナフタレンを使用した。
【0087】測定した結果を表1に示した。
【0088】実施例2〜17 表1に示した含S(メタ)アクリレート、他の単量体及
びフォトクロミック化合物を用いた他は実施例1と同様
に重合し、フォトクロミック硬化体を得た後、各種フォ
トクロミック特性を測定した。結果を表1に示した。
【0089】
【表1】
【0090】比較例1〜5 比較例1〜5において、重合性単量体として表2に示し
た化合物を用いた以外は実施例1と全く同様に実施し
た。結果を表2に示した。
【0091】比較例1はフォトクロミック性能は優れる
ものの、屈折率とアッベ数がともに低いためメガネレン
ズとしての高屈折率化、高アッベ数化といった要求を満
たしていない。比較例2はスチリル系化合物を用いたた
め、屈折率は1.56以上あるものの、フォトクロミッ
ク性能の耐久性と発色濃度に劣る。比較例3は特開平8
−169918号公報記載の化合物を用いた場合である
が、屈折率、フォトクロミック性能ともに優れるが、ア
ッベ数が十分に高いとは言えず、満足できるものではな
い。これに対し、一般的に屈折率を高くするとアッベ数
が低下するにも拘らず、実施例では比較例よりも高屈折
率かつ高アッベ数を達成している。
【0092】比較例4,5は比較例1と同様の重合性単
量体を用いてフォトクロ化合物を変更した場合であり、
実施例中でフォトクロミック化合物としてF1やS1を
用いた場合においても、発色濃度や耐久性が低屈折率の
ものと同程度かそれ以上に優れ、十分実用的であること
が分かる。
【0093】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 3/00 G02B 3/00 Z G02C 7/02 G02C 7/02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (ただし、R1,R2,R3はそれぞれ同一または異なる
    水素原子またはメチル基であり、nは1〜10の整数で
    ある。)で示される重合性単量体を少なくとも10重量
    %含む重合性単量体100重量部とフォトクロミック化
    合物0.001〜10重量部を含有してなるフォトクロ
    ミック硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフォトクロミック硬化性
    組成物を硬化させてなるフォトクロミックレンズ。
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