JP3801207B2 - フォトクロミック硬化体の製造方法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、フォトクロミック作用に優れた硬化体を製造す方法に関する。
背景技術
フォトクロミズムとは、ここ数年来注目をひいてきた現象であって、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射を止めて暗所に置くと元の色に戻る可逆作用のことである。この性質を有する化合物は、フォトクロミック化合物と呼ばれ、従来から種々の構造の化合物が合成されてきたが、これらのフォトクロミック化合物は、可逆的な耐久性に乏しいという欠点をもっている。
新規な耐久性が改善されたフォトクロミック化合物としてスピロオキサジン系フォトクロミック化合物(以下、単にオキサジン化合物と略す)、フルギミド系フォトクロミック化合物(以下、単にフルギミド化合物と略す)およびクロメン系フォトクロミック化合物(以下、単にクロメン化合物と略す)等が種々知られている。(米国特許第4,882,438、4,960,678、5,130,058および5,106,998号明細書、特開昭62−288830号、特開平2−28154号、特開平3−11074号および特開平3−133988号公報参照)。
また、特開平5−306392号公報では、フルギド化合物の耐久性をさらに向上させる成分として、エポキシ基を有する化合物を併用することが提案されている。
特開昭62−187784号公報には、オキサジン化合物をラジカル重合性単量体(以下、単に単量体と略す)に混合溶解し重合開始剤の存在下硬化させる場合、オキサジン化合物が重合開始剤により劣化するのを防ぐ方法として、高反応性の多官能性(メタ)アクリレート系単量体を使用し、重合開始剤濃度を規定するフォトクロミック樹脂の製造方法が提供されている。
前記フォトクロミック化合物は、優れた可逆的な耐久性を示すが、この中でもオキサジン化合物は一般的に光による劣化を受けにくく、太陽光または太陽光に類似した光を連続的に照射する場合、その初期発色性能の低下が少なく、耐光性において優れた性能を持つ化合物として知られる。しかしながら、これらの化合物と単量体とを混合溶解し、重合硬化(以下、単に練り混み法と略す)させることで簡便に硬化体を製造し、その硬化体を各種の用途に使用するためには、その化合物の特性を十分に発揮できる硬化体の製造方法の開発が必要である。
例えば、眼鏡レンズとして広く使用されているジエチレングリコールビスアリルカーボネートを前記フォトクロミック化合物と練り混み法で硬化させた硬化体では、フォトクロミック化合物が硬化時のラジカル種の作用により劣化し、初期発色性能が低下するという問題点を有する。
また、前記特開昭62−187784号公報記載の多官能性(メタ)アクリレート系単量体を用いオキサジン化合物を該公報記載の重合開始剤濃度において練り混み法で硬化させる方法では、十分に精製した多官能性(メタ)アクリレート系単量体を用いた場合、硬化体のフォトクロミック性能が十分なものが得られるが、一般に市販されている多官能性(メタ)アクリレート系単量体とオキサジン化合物を混合すると、その混合溶液が著しく着色し、さらに該公報記載の製造法に従い硬化すると、硬化体の着色が著しいばかりでなく初期発色性能が著しく低下する現象が見られる。
以上のように、ジオキサン化合物と市販の精製が十分でない多官能性(メタ)アクリレート系単量体を用い、練り混み法により製造したフォトクロミック硬化体は、満足のいく性能を発現しなかった。
発明の開示
本発明は、オキサジン化合物と市販多官能性(メタ)アクリレート系単量体を未精製のまま用い、簡便な練り混み法でフォトクロミック性能に優れた硬化体の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、煩雑な精製をすることなく市販の多官能性(メタ)アクリレート単量体をそのまま用い、オキサジン化合物との練り込み法で硬化体を製造し、フォトクロミック性能が優れた眼鏡レンズに代表されるフォトクロミック硬化体を製造することについて鋭意研究を続けた。その結果、多官能性(メタ)アクリレート単量体とオキサジン化合物からなる組成物よりフォトクロミック硬化体を製造する場合において、その組成物中に分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物を含有させることにより、オキサジン化合物を多官能性(メタ)アクリレート単量体に混合しても著しい着色が起こらず、なおかつ初期着色が少なく、初期発色性能およびフォトクロミック作用の耐久性に優れたフォトクロミック硬化体が得られることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、多官能性(メタ)アクリレート系単量体、フォトクロミックスピロオキサジン化合物および重合開始剤を含む組成物を重合させてフォトクロミック硬化体を製造する方法において、当該組成物中に分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物を含有させて重合することを特徴とするフォトクロミック硬化体の製造方法である。
本発明において用いられる多官能性(メタ)アクリレート単量体は、常圧における沸点が高く、蒸留精製を行った場合、重合反応を起こし、工業的に蒸留精製することが困難な市販の多官能性(メタ)アクリレート単量体(以下、単に多官能性(メタ)アクリレートと略す)である。通常の多官能性(メタ)アクリレートは、原料であるポリアルコール由来の、或はエステル化反応由来の、さらに重合禁止剤等の微量の不純物を含有し、オキサジン化合物を混合溶解すると、溶液が著しく着色する。またその着色した混合溶液を硬化すると、硬化体が著しく着色し初期発色性能も低下する。しかしながら、その着色した溶液にエポキシ化合物を添加し混合攪拌することで、作用機構は不明であるが徐々に着色が減少し、硬化体の着色がなく、発色性能が良好なものが得られる。多官能性(メタ)アクリレートと構造が類似する蒸留により精製された単官能性(メタ)アクリレート単量体、例えばメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ベンジル、または十分に精製した多官能性(メタ)アクリレート単量体では、オキサジン化合物を混合溶解した場合、著しい着色がないことおよび硬化体の初期フォトクロミック性能が十分であることより、多官能性(メタ)アクリレート中に含まれる微量の不純物がオキサジン化合物の溶液状態での着色および硬化中の劣化に作用しているものと推定される。また精製が完全でなく不純物の除去が十分でない場合、溶液状態での着色はないが硬化体が着色し初期発色性能が十分得られないことから、エポキシ化合物の存在なくして多官能性(メタ)アクリレートからフォトクロミック硬化体を製造する場合には、多官能性(メタ)アクリレート単量体の品質としては高純度のものが必要となる。
本発明の製造方法および各成分を混合して組成物とする際の順序としては、各成分をどのような順番で混合して用いてもよいが、オキサジン化合物と多官能性(メタ)アクリレートを先に混合すると混合溶液が着色し、光または混合溶液中に含まれる酸素等の不純物の影響により、着色状態のオキサジン化合物が劣化しやすいため、多官能性(メタ)アクリレートとエポキシ化合物を予め十分混合攪拌した後、オキサジン化合物を添加する方法が好ましい。これによりオキサジン化合物が組成物中で著しく着色することを防ぐことができる。
本発明に用いられる多官能性(メタ)アクリレートは、オキサジン化合物を着色させうる化学物質を不純物として含有するものであり、一般に市販されている多官能性(メタ)アクリレートはこれにあてはまり、精製が十分でない公知の多官能性(メタ)アクリレートである。
代表的な多官能性(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(1)
(但し、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、aは1〜10の整数である。)
で示される単量体、或は下記一般式(2)
(但し、R1は水素原子またはメチル基であり、R3はエチレン基またはプロピレン基であり、b、c、dおよびeはそれぞれ0〜10の整数であり、0の場合単結合手を示し、R4は炭素数3〜10のアルキレン基または下記式
で示される基または下記式
で示される基または下記式
{但し、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同一または異なり、水素原子またはフッ素を除くハロゲン原子を示す。}で示される基である。)
で示される単量体、或は下記一般式(3)
(但し、R1は水素原子またはメチル基であり、R3はエチレン基またはプロピレン基であり、fは0〜10の整数であり、gは0または1であり0の場合は単結合手を示し、hは0〜2の整数であり、R9は水素原子、ヒドロキシメチル基またはメチル基、エチル基等のアルキル基である。)
で示される単量体を挙げることができる。
上記一般式(1)、(2)および(3)で示される多官能性(メタ)アクリレートを具体的に例示すると、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシ・ポリエトキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシ・ポリプロポキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス[(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシ)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、水添加ビスフェノールAエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンポリエトキシジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、プロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、ビスフェノールAエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物とグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、水素添加ビスフェノールAエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物とグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物等が挙げられる。これら多官能性(メタ)アクリレートは一種または二種以上を一緒に使用することができる。なお本発明において、(メタ)アクリレートとはメタクリレート化合物とアクリレート化合物の総称である。
本発明で用いられる分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物という)としては、公知の化合物が何ら制限なく採用される。例えば、一価、二価、三価アルコール等のアルコール性水酸基含有化合物またはフェノール、ハイドロキノン等のフェノール性水酸基含有化合物と、エピクロルヒドリンとの反応生成物、あるいは安息香酸、テレフタル酸等のカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応生成物を挙げることができる。代表的なエポキシ化合物は、下記一般式(4)で表わすことができる。
(但し、Aはn価のアルコール性水酸基含有化合物の残基、n価のフェノール性水酸基含有化合物の残基またはn価のカルボン酸残基であり、R1は水素原子またはメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
本発明におけるエポキシ化合物としては、分子中にさらに少なくとも1個の不飽和二重結合基を有するものが好ましい。このような不飽和二重結合基とエポキシ基とを有する化合物を使用し、フォトクロミック化合物との組成物を重合してフォトクロミック硬化体を製造すれば、分子中に少なくとも不飽和二重結合基と少なくとも1個のエポキシ基とを有する化合物が重合して高分子マトリックスに固定されるために、このような化合物を大量に使用してもフォトクロミック樹脂の物性を損なうことが防止できる。
不飽和二重結合基としては、例えばビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等を挙げることができる。良好なフォトクロミック物性を得るためにはアクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましい。
不飽和二重結合基を有さないエポキシ化合物としては、前記した一般式において、nは1または2であり、Aはnが1のときは水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキル基、−R−(OR)m−OH(但し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは1〜20の整数である。)で示される基、水酸基で置換されていてもよい炭素数6〜7のシクロアルキル基、水酸基で置換されていてもよいフェニル基またはカルボキシル基で置換されていてもよいベンゾイル基であり;nが2のときは水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、−R−(OR)m−(但し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは1〜20の整数である。)で示される基、水酸基で置換されていてもよい炭素数6〜7のシクロアルキレン基、水酸基で置換されていてもよいフェニレン基またはフタロイル基、イソフタロイル基もしくはテレフタロイル基、または次式
で示される基である化合物である。
また、少なくとも1個の不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物としては、本発明において好適に使用できる代表的な化合物として、下記一般式(5)で示される化合物を挙げることができる。
(但し、R1およびR12はそれぞれ水素原子またはメチル基であり、R10およびR11はそれぞれ同種または異種のヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基、または下記式
で示される基であり、mおよびnはそれぞれ0または1である。)
上記式中のR10で示されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等を例示することができる。
エポキシ化合物として、本発明において好適に使用できる化合物を具体的に示すと次のとおりである。
分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するが、不飽和二重結合基を有さない化合物としては、例えばエチレングリコールグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAまたは水素化ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、テレフタル酸ジグリシジルエステル、スピログリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
また、分子中に少なくとも1個の不飽和二重結合基と少なくとも1個のエポキシ基とを有する化合物としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルアクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシブチルメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のメタクリレート化合物またはアクリレート化合物を挙げることができる。
本発明のエポキシ化合物の配合量は、前記多官能性(メタ)アクリレート中の不純物の量によって異なるため一概に規定できないが、一般に市販されている多官能性(メタ)アクリレートを用いる場合、全単量体100重量部に対して1重量部以上用いれば硬化体の着色を押さえることができ、また通常30重量部まで配合しても十分な強度を持つ硬化体が得られる。但し、不飽和二重結合基を有さないエポキシ化合物を用いる場合、全単量体に対し、不飽和二重結合基を有さないエポキシ化合物の量があまりにも多すぎると硬化体の硬化の妨げになるため、全単量体100重量部に対して1〜10重量部、さらに1〜5重量部の範囲であることが好適である。
なお上記した全単量体とは、ラジカル重合を起こしうるエポキシ基および/または不飽和二重結合基を有する化合物を示し、多官能性(メタ)アクリレート、エポキシ化合物および必要に応じて配合する後述する他の単量体のすべてを云う。以下に述べる場合も、これに準じる。
本発明におけるオキサジン化合物としては、スピロオキサジン骨格を有し、フォトクロミック性を有する公知の化合物が何等制限なく採用でき、下記式(6)で示されるスピロオキサジン化合物が好適に使用される。
ここで、一般式(6)において、R13、R14およびR15は、それぞれ同一または異なり、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルアルキル基、アルコキシ基、アルキレンオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アルキレンチオアルキル基、アシル基、アシロキシ基またはアミノ基であり、R14およびR15は一緒になって環を形成してもよく、R13、R14およびR15は置換基を有してもよく、置換基としては上記のような基の他に、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基または複素環基等が挙げられる。また、
で示される基は、それぞれ置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基であり、
で示される基は、それぞれ置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基である。上記二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基としては、例えばベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘導される二価の基を挙げることができ、また、二価の不飽和複素環基としては、例えば酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二価の基を挙げることができる。
二価の芳香族炭化水素基を具体的に例示すると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等から誘導される炭素数6〜14の基を挙げることができる。また、二価の不飽和複素環基を具体的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、チオフェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができる。置換基としては上記のR13、R14およびR15で述べたものと同じ基を選択できるが、中でも
−NR16R17
(但し、R16およびR17は置換されてもよい、アルキル基、アルコキシ基またはアリル基等であり、またR16およびR17は互いに結合し、環化し、含窒素複素環を形成していてもよい。)
で示される基で置換されたオキサジン化合物が、初期のフォトクロミック性能においてその発色濃度が高い点で好適である。
本発明において、好適に使用できるオキサジン化合物を具体的に示すと、次のような化合物を例示することができる。
(1):6’−フルオロ−1’−メチル−8”−メトキシ−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(2):1’−メトキシカルボニルメチル−8”−メトキシ−6”−(4−メチルピペラジノ)ジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(3):5’−フルオロ−1’−メチル−6”−ピペリジノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(4):1’−メチル−8”−メトキシジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(2,3−a)(1,4)オキサジン)
(5):6’−フルオロ−1’,7’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(6):6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(7):6’−フルオロ−1’−イソブチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(8):6’−フルオロ−5’−メチル−1’−イソブチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(9):6’−フルオロ−5’−メチル−1’−ネオペンチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(10):1’,3’,3’−トリメチル−6”−ピペリジノスピロ((3H)インドール−2−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(11):3’,3’−ジメチル−1’−イソブチル−スピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(12):1’,3’,3’−トリメチル−スピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
本発明において、エポキシ化合物の存在下ではオキサジン化合物の着色が起こらず、その組成物の着色が減少し、なおかつ硬化体においても初期発色性能が向上する。従って、オキサジン化合物の配合量は、広い範囲から採用することができる。しかし、オキサジン化合物の量があまりに少ないときには良好な初期発色性能が得られず、あまりに多いときにはオキサジン化合物の凝集が起き、フォトクロミック性の耐久性が急激に低下する。このため全単量体100重量部に対して、オキサジン化合物は、好ましくは0.001〜10重量部の範囲で用いられ、より好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部の範囲で用いられる。
また本発明ではオキサジン化合物以外のフォトクロミック化合物であるクロメン化合物およびフルギド化合物の3つの化合物を併用し、各用途に応じたより完成度の高いフォトクロミック硬化体を製造できる。例えばオキサジン化合物は、主として青系に発色する化合物が知られているが、グレーまたはブラウンといった中間色を要求されるフォトクロミック眼鏡用途に本発明で得られるフォトクロミック硬化体を供する場合、クロメン化合物とフルギミド化合物の併用によりニュートラルなグレー、ブラウンに発色し、なおかつ耐久性に優れた硬化体を製造することができる。このクロメン化合物は、主に黄系に発色する化合物であって、青との組み合わせで中間色を作るには必要であり、かつフルギミド化合物はオキサジン化合物と同様に主として青系に発色するが、発色時の可視光の吸収において、オキサジンと比較して、より幅広い吸収をもつため深みのある色を作ることができる。上記のフルギド化合物およびクロメン化合物としては、米国特許第4,882,438、4,960,678、5,130,058および5,106,998号明細書等で公知の化合物を好適に使用できる。
本発明において好適に使用できるフルギド系フォトクロ化合物を一般式で示すと一般式(7)で示すことができる。
〔但し、下記式
で示される基は、それぞれ置換基を有していてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基であり、R18はアルキル基、アリール基、置換基を有していてもよいシクロプロピル基または一価の複素環基であり、下記式
で示される基は、ノルボルニリデン基またはアダマンチリデン基であり、Xは、酸素原子、基>N−R19、基>N−A1−B1−(A2)k−(B2)l−R20、基>N−A3−A4または基>N−A3−R21である(ここで、R19は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、R20はアルキル基、ナフチル基またはナフチルアルキル基であり、R21はハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基であり、A1、A2およびA3は、同一もしくは異なり、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基またはアルキルシクロアルカン−ジイル基であり、A4はナフチル基であり、B1およびB2は、同一もしくは異なり、下記基
であり、kおよびlは、それぞれ独立して0または1を示すが、kが0のときはlは0である)〕
上記一般式(7)中、下記式
で示される二価の芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘導される二価の基を挙げることができ、また、二価の不飽和複素環基としては、例えば酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二価の基を挙げることができる。
二価の芳香族炭化水素基を具体的に例示すると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等から誘導される炭素数6〜14の基を挙げることができる。また、二価の不飽和複素環基を具体的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、チオフェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができる。該二価の芳香族炭化水素基または不飽和複素環基は置換基を有してもよく、これらの置換基としては、特に制限されないが、例えば塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基:メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基:炭素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール基):アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示することができる。
上記一般式(7)中、R18で示されるアルキル基、アリール基および複素環基としては、上記置換基の場合と同じものが例示される炭素数1〜4のアルキル基並びに炭素数6〜10のアリール基、および酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される一価の基を挙げることができる。
基Xが窒素原子を含む基である場合のR19で示されるアルキル基、アリール基はR18と同じものが例示できる。同じくA1、A2およびA3で示されるアルキレン基はメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜4の基であることが好ましく、アルキリデン基はエチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等の炭素数2〜4の基であることが好ましく、また、シクロアルキレン基はシクロヘキシレン基が好ましく、さらにアルキルシクロアルカン−ジイル基はジメチルシクロヘキサン−ジイル基が好ましい。さらにR20で示されるアルキル基は上記R18と同様であり、ナフチルアルキル基はナフチルメチル基、ナフチルエチル基等の炭素数11〜14の基であることが好ましい。
上記一般式(7)で示されるフルギド系フォトクロ化合物のなかでも、フォトクロミック作用の耐久性等を勘案すると、R18がアルキル基およびシクロプロピル基であり、Xが>N−Rであり〔Rは炭素数1〜4のシアノアルキル基、炭素数1〜4のニトロアルキル基または炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基(炭素数1〜4のアルコキシ基と炭素数1〜4のアルキレン基を含む)〕、下記式
で示される基はアダマンチリデン基であり、下記式
で示される基は炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール基)で置換されていてもよい複素環基、特にチオフェン環から誘導される基である化合物が好ましい。
本発明において好適に使用されるクロメン化合物は、下記一般式(8)で示すことができる。
〔但し、R22、R23、R24およびR25は、それぞれ同一または異なり、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アミノ基または飽和複素環基であり、R24およびR25は一緒になって環を形成していてもよく、下記式
で示される基は、それぞれ置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基である。〕
上記一般式(8)中、R22、R23、R24およびR25で示されるアルキル基、アリール基は、前記一般式(7)で説明したアルキル基およびアリール基と同じものを採用でき、置換アミノ基としては、上記したアルキル基またはアリール基で水素原子の少なくとも1つが置換されたアミノ基を挙げることができ、また飽和複素環基としては、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等の窒素原子、酸素原子またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜6員環から誘導される一価の基を挙げることができる。
一般式(8)中、R24およびR25が一緒になって形成する環としては、ノルボルニリデン基、ビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基等を挙げることができる。
また、一般式(8)中、下記式
で示される二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基としては、前記一般式(7)における基と同様のものが例示される。さらにこれらの基は置換基を有してもよく、その置換基としては特に制限されないが、例えば塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メチル基、エチル基等の炭素数1〜20のアルキル基:メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基:アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示することができる。
上記クロメン系フォトクロ化合物のなかで、特にR22およびR23は共に水素原子であり、R24およびR25は、それぞれ同一または異なり、炭素数1〜4のアルキル基であるか、これらが一緒になって形成されたビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基またはノルボルニリデン基であり、下記式
で示される基は、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数1〜20のアルコキシ基で置換されていてもよいナフタレン環から誘導される基である化合物が好適に使用できる。
本発明において好適に使用できるフルギド化合物およびクロメン化合物を具体的に示すと、次のような化合物を例示することができる。
フルギド化合物:
▲1▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲2▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲3▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲4▼6,7−ジヒドロ−N−メトキシカルボニルメチル−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲5▼6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−(p−メチルフェニル)−N−ニトロメチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲6▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピル−3−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲7▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピル−スピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
クロメン化合物:
▲1▼スピロ〔ノルボルナン−2,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
▲2▼スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
▲3▼7’−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
▲4▼7’−メトキシスピロ〔ノルボルナン−2,3’−〔3H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕
▲5▼2,2−ジメチル−7−オクトキシ〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン
本発明において、全単量体100重量部に対するクロメンまたはフルギド化合物の配合量は、通常0.001〜10重量部の範囲で、好ましくは0.01〜1重量部の範囲で用いられ、この範囲において最も良好なフォトクロミック性能が得られる。
本発明において、前記多官能性(メタ)アクリレートだけでなく、公知の他の不飽和単量体を必要に応じて配合して硬化体とすることができる。好適に用いられる他の単量体を例示すれば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物等である。これらの他の単量体は一種または二種以上を本発明の重合組成物中に混合して使用できる。その配合量は使用する用途に応じて、決定していけばよいが、全単量体100重量部に対し、通常0.5〜80重量部、得られるフォトクロミック樹脂の耐熱性を考慮すると、0.5〜30重量部の範囲で使用できる。
本発明で用いられる重合開始剤としては特に限定されず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を挙げることができる。
重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、前記単量体の組成によって異なり、一概に限定できないが、一般的には全単量体100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部の範囲が好適である。
本発明の重合性組成物から硬化体を得る重合方法は特に限定的でなく、公知のラジカル重合方法を採用できる。重合開始手段は、種々の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の使用、または紫外線、α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の併用によって行うことができる。代表的な重合方法を例示すると、エラストマーガスケットまたはスペーサーで保持されているモールド間に、ラジカル重合開始剤を含む本発明のフォトクロミック組成物を注入し、加熱炉中で重合させた後、取り外す注型重合を採用することができる。
重合条件のうち、特に温度は、得られるフォトクロミック硬化体の性状に影響を与える。この温度条件は、開始剤の種類と量や単量体の種類によって影響を開けるので一概に限定はできないが、一般的に比較的低温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合終了時に高温下に硬化させる所謂テーパ型の2段重合を行うのが好適である。重合時間も温度と同様に各種の要因によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を決定するのが好適であるが、一般に2〜40時間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。
勿論、前記重合に際し、離型剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤は必要に応じて選択して使用することができる。
本発明のフォトクロミック組成物には、上記した紫外線安定剤を混合して使用することがフォトクロミック化合物の耐久性をさらに向上させることができるために好適である。特に、フルギド化合物は、紫外線安定剤による耐久性向上の効果が大きいために、前記したようなオキサジン化合物、フルギド化合物とクロメン化合物を混合して使用する場合に、これらの化合物の中間色の経時的な変化を良好に防止することができる。
紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール光安定剤、イオウ系酸化防止剤、亜リン酸エステル化合物を好適に使用することができるが、特に分子中にヒンダードアミン構造を有するヒンダードアミン光安定剤が好適である。
上記した紫外線安定剤の使用量は特に制限されるものではないが、通常は全単量体100重量部に対して0.01〜5重量部、さらに0.02〜1重量部の範囲であることが好適である。
さらにまた、赤外線吸収剤を混合して使用すると、フォトクロミック作用の他にも赤外線吸収能も有するフォトクロミック硬化体を得ることができる。赤外線吸収剤としてはポリメチン系化合物、ジイモニウム系化合物、シアニン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物が使用できるが、分子吸光係数が大きく、少量の添加で効果を発揮するジイモニウム系化合物が好適である。
赤外線吸収剤の配合量は、全単量体100重量部に対して、0.0001〜1重量部、さらに0.001〜0.01重量部であることが好ましい。
上記の方法で得られるフォトクロミック硬化体は、その用途に応じて以下のような処理を施すこともできる。即ち、分散染料等の染料を用いる染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成分とするハードコート剤や、SiO2、TiO2、ZrO2等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子の薄膜の塗布による反射防止処理、帯電防止処理等の加工および2次処理を施すことも可能である。
本発明の製造方法を用いて、フォトクロミック硬化体を製造することにより、初期着色が少なく、初期発色性能およびフォトクロミック作用の耐久性に優れたフォトクロミック硬化体を得ることができる。本発明により、フォトクロミックレンズ用途等に供する熱硬化性樹脂で、オキサジン化合物を含むフォトクロミック硬化体を、簡便な方法である練り混み法によって製造することが可能となった。
実施例
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例で使用した化合物は下記のものである。
[分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物]
GMA:グリシジルメタクリレート
GA:グリシジルアクリレート
MGMA:β−メチルグリシジルメタクリレート
MGA:β−メチルグリシジルアクリレート
BPMGMA:ビスフェノールA−モノグリシジルエーテルメタクリレート
GBMA:4−グリシジルオキシブチルメタクリレート
GEHPMA:3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
GIHPA:3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート
EGGE:エチレングリコールグリシジルエーテル
PGGE:プロピレングリコールグリシジルエーテル
PDGE:テレフタル酸ジグリシジルエステル
HDGE:ハイドロキノンジグリシジルエーテル
BGE:ブチルグリシジルエーテル
HDGE:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
[多官能性(メタ)アクリレート]
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル3G、新中村化学工業(株)社製)
4G:テトラエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコールの混合物で、エチレンオキサイド鎖の平均モル数が4である単量体)(商品名:NKエステル4G、新中村化学工業(株)社製)
3PG:トリプロピレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル3PG、新中村化学工業(株)社製)
4PG:テトラプロピレングリコールジメタクリレート(ポリプロピレングリコールの混合物で、プロピレンオキサイド鎖の平均モル数が4である単量体)(商品名:NKエステル4PG、新中村化学工業(株)社製)
BP−2EM:2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンのメタクリル酸エステル化合物(エチレンオキサイド鎖の平均モル数が2.2である混合物)(商品名:ライトエステルBP−2EM、共栄社化学(株)社製)
BR−MA:2,2’−ビス[(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシ)プロパンのメタクリル酸エステル化合物(商品名:ライトエステルBR−MA、共栄社化学(株)社製)
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:TEGDMA、三菱瓦斯化学(株)社製)
3EG:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:ライトエステル3EG、共栄社化学(株)社製)
PRO−631:2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンのメタクリル酸エステル化合物(商品名:PRO−631、サートマー(株)社製)
[他の単量体]
MMA:メタクリル酸メチル
MS:α−メチルスチレン
MSD:α−メチルスチレンダイマー
BzMA:メタクリル酸ベンジル
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[精製した多官能性(メタ)アクリレート]
P1−3G:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル3G、新中村化学工業(株)社製)を1規定の塩酸水溶液、10重量%の炭酸ナトリウム水溶液および精製水で各2回づつ洗浄したもの。
P2−3G:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル3G、新中村化学工業(株)社製)500gをアルミナを充填したカラムを通じ、その初めに留出した20gのトリエチレングリコールジメタクリレート。
[スピロオキサジン化合物]
SP1:6’−フルオロ−1’−メチル−8”−メトキシ−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP2:1’−メトキシカルボニルメチル−8”−メトキシ−6”−(4−メチルピペラジノ)ジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP3:5’−フルオロ−1’−メチル−6”−ピペリジノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP4:1’−メチル−8”−メトキシジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(2,3−a)(1,4)オキサジン)
SP5:6’−フルオロ−1’,7’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP6:6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP7:6’−フルオロ−1’−イソブチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP8:6’−フルオロ−5’−メチル−1’−イソブチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP9:6’−フルオロ−5’−メチル−1’−ネオペンチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP10:1’,3’,3’−トリメチル−6”−ピペリジノスピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP11:3’,3’−ジメチル−1−イソブチル−スピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP12:1’,3’,3’−トリメチル−スピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
[フルギド化合物]
F1:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
F2:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
F3:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
[クロメン化合物]
C1:スピロ〔ノルボルナン−2,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
C2:スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
C3:7’−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
実施例1
表1に示した各種のエポキシ化合物と単量体〔多官能性(メタ)アクリレート、他の単量体〕を室温で2時間混合攪拌した。その混合溶液の中に、オキサジン化合物SP5:6’−フルオロ−1’,7’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(1’H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)を0.04重量部、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートを1重量部添加してよく混合した。オキサジン化合物を溶解した後の混合溶液の色の変化はほとんどなかった。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中へ注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用い、30℃から90℃で18時間かけ、徐々に温度を上げていき、90℃に2時間保持した。重合終了後、鋳型を空気炉から取り外し、放冷後、硬化体を鋳型のガラス型から取り外した。
得られたフォトクロミック硬化体(厚み2mm)のフォトクロミック特性を次の方法で測定し、その結果を表1に示した。
(1)発色濃度
得られた硬化体(厚み2mm)に、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、硬化体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2、245nm=24μW/cm2で30秒間照射または120秒照射して発色させた。ε(30または120)−ε(0)を求め、発色濃度とした。但し、ε(30または120)は、上記条件にて光を30秒または120秒照射し、発色させた時のフォトクロミック化合物の最大吸収波長における吸光度であり、ε(0)は、光を照射する前の発色時と同じ波長での吸光度である。疲労寿命試験を行う前の初期発色濃度および発色色調をT0で示した。
(2)初期着色
上記条件で測定したε(0)を示した。尚可視光の青色領域では、通常吸光度が0.1を越えると目視で着色しているのがはっきりと認識できる。
(3)耐久性
スガ試験機(株)製キセノンフェードメーターFA−25AX−HCにより疲労寿命を測定した。疲労寿命は、重合体をキセノンフェードメーターに200時間照射した後、上記(1)記載の方法にて硬化体を発色させ、その時のフォトクロミック化合物の発色に基づく最大吸収波長における吸光度を、フェードメーター照射前の発色での吸光度に対する割合で表した。表1中ではT200項のA200/A0(%)がこれに相当する。
実施例2
実施例1において、表1中、No.4に示す単量体およびエポキシ化合物を用い、オキサジン化合物を表2に示したオキサジン化合物に変えた以外は実施例1とまったく同様に実施した。結果を表2に示した。
実施例3
実施例1において、表1中、No.4に示す単量体およびエポキシ化合物を用い、フォトクロミック化合物を表3に示したオキサジン化合物、フルギミド化合物およびクロメン化合物に変えた以外は実施例1とまったく同様に実施した。結果を表3に示した。
実施例4
実施例1において、表1中、No.5に示す単量体およびエポキシ化合物を用い、フォトクロミック化合物を表4に示したオキサジン化合物、フルギミド化合物およびクロメン化合物に変えた以外は実施例1とまったく同様に実施した。結果を表4に示した。
実施例5
実施例1において、表1中、No.6に示す単量体およびエポキシ化合物を用い、フォトクロミック化合物を表5に示したオキサジン化合物、フルギミド化合物およびクロメン化合物に変えた以外は実施例1とまったく同様に実施した。結果を表5に示した。
比較例1
実施例1において、エポキシ化合物を使用しなかったこと以外は、表6に示したオキサジン化合物0.04重量部を用いて実施例1と全く同様に実施した。表6中に例示したNo1〜7の組成物は、オキサジン化合物と多官能性(メタ)アクリレートを混合溶解すると、どれも著しく着色した。結果を表6に示した。
比較例2
実施例1において、精製した多官能性(メタ)アクリレートを用い、分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物を使用しなかったこと以外は表7に示したオキサジン化合物0.04重量部を用いて実施例1と全く同様に実施した。表7中に例示したNo1の組成物は、オキサジン化合物と精製した多官能性(メタ)アクリレートを混合溶解しても着色はないが、硬化物は着色した。結果を表7に示した。
本発明は、フォトクロミック作用に優れた硬化体を製造す方法に関する。
背景技術
フォトクロミズムとは、ここ数年来注目をひいてきた現象であって、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射を止めて暗所に置くと元の色に戻る可逆作用のことである。この性質を有する化合物は、フォトクロミック化合物と呼ばれ、従来から種々の構造の化合物が合成されてきたが、これらのフォトクロミック化合物は、可逆的な耐久性に乏しいという欠点をもっている。
新規な耐久性が改善されたフォトクロミック化合物としてスピロオキサジン系フォトクロミック化合物(以下、単にオキサジン化合物と略す)、フルギミド系フォトクロミック化合物(以下、単にフルギミド化合物と略す)およびクロメン系フォトクロミック化合物(以下、単にクロメン化合物と略す)等が種々知られている。(米国特許第4,882,438、4,960,678、5,130,058および5,106,998号明細書、特開昭62−288830号、特開平2−28154号、特開平3−11074号および特開平3−133988号公報参照)。
また、特開平5−306392号公報では、フルギド化合物の耐久性をさらに向上させる成分として、エポキシ基を有する化合物を併用することが提案されている。
特開昭62−187784号公報には、オキサジン化合物をラジカル重合性単量体(以下、単に単量体と略す)に混合溶解し重合開始剤の存在下硬化させる場合、オキサジン化合物が重合開始剤により劣化するのを防ぐ方法として、高反応性の多官能性(メタ)アクリレート系単量体を使用し、重合開始剤濃度を規定するフォトクロミック樹脂の製造方法が提供されている。
前記フォトクロミック化合物は、優れた可逆的な耐久性を示すが、この中でもオキサジン化合物は一般的に光による劣化を受けにくく、太陽光または太陽光に類似した光を連続的に照射する場合、その初期発色性能の低下が少なく、耐光性において優れた性能を持つ化合物として知られる。しかしながら、これらの化合物と単量体とを混合溶解し、重合硬化(以下、単に練り混み法と略す)させることで簡便に硬化体を製造し、その硬化体を各種の用途に使用するためには、その化合物の特性を十分に発揮できる硬化体の製造方法の開発が必要である。
例えば、眼鏡レンズとして広く使用されているジエチレングリコールビスアリルカーボネートを前記フォトクロミック化合物と練り混み法で硬化させた硬化体では、フォトクロミック化合物が硬化時のラジカル種の作用により劣化し、初期発色性能が低下するという問題点を有する。
また、前記特開昭62−187784号公報記載の多官能性(メタ)アクリレート系単量体を用いオキサジン化合物を該公報記載の重合開始剤濃度において練り混み法で硬化させる方法では、十分に精製した多官能性(メタ)アクリレート系単量体を用いた場合、硬化体のフォトクロミック性能が十分なものが得られるが、一般に市販されている多官能性(メタ)アクリレート系単量体とオキサジン化合物を混合すると、その混合溶液が著しく着色し、さらに該公報記載の製造法に従い硬化すると、硬化体の着色が著しいばかりでなく初期発色性能が著しく低下する現象が見られる。
以上のように、ジオキサン化合物と市販の精製が十分でない多官能性(メタ)アクリレート系単量体を用い、練り混み法により製造したフォトクロミック硬化体は、満足のいく性能を発現しなかった。
発明の開示
本発明は、オキサジン化合物と市販多官能性(メタ)アクリレート系単量体を未精製のまま用い、簡便な練り混み法でフォトクロミック性能に優れた硬化体の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、煩雑な精製をすることなく市販の多官能性(メタ)アクリレート単量体をそのまま用い、オキサジン化合物との練り込み法で硬化体を製造し、フォトクロミック性能が優れた眼鏡レンズに代表されるフォトクロミック硬化体を製造することについて鋭意研究を続けた。その結果、多官能性(メタ)アクリレート単量体とオキサジン化合物からなる組成物よりフォトクロミック硬化体を製造する場合において、その組成物中に分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物を含有させることにより、オキサジン化合物を多官能性(メタ)アクリレート単量体に混合しても著しい着色が起こらず、なおかつ初期着色が少なく、初期発色性能およびフォトクロミック作用の耐久性に優れたフォトクロミック硬化体が得られることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、多官能性(メタ)アクリレート系単量体、フォトクロミックスピロオキサジン化合物および重合開始剤を含む組成物を重合させてフォトクロミック硬化体を製造する方法において、当該組成物中に分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物を含有させて重合することを特徴とするフォトクロミック硬化体の製造方法である。
本発明において用いられる多官能性(メタ)アクリレート単量体は、常圧における沸点が高く、蒸留精製を行った場合、重合反応を起こし、工業的に蒸留精製することが困難な市販の多官能性(メタ)アクリレート単量体(以下、単に多官能性(メタ)アクリレートと略す)である。通常の多官能性(メタ)アクリレートは、原料であるポリアルコール由来の、或はエステル化反応由来の、さらに重合禁止剤等の微量の不純物を含有し、オキサジン化合物を混合溶解すると、溶液が著しく着色する。またその着色した混合溶液を硬化すると、硬化体が著しく着色し初期発色性能も低下する。しかしながら、その着色した溶液にエポキシ化合物を添加し混合攪拌することで、作用機構は不明であるが徐々に着色が減少し、硬化体の着色がなく、発色性能が良好なものが得られる。多官能性(メタ)アクリレートと構造が類似する蒸留により精製された単官能性(メタ)アクリレート単量体、例えばメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ベンジル、または十分に精製した多官能性(メタ)アクリレート単量体では、オキサジン化合物を混合溶解した場合、著しい着色がないことおよび硬化体の初期フォトクロミック性能が十分であることより、多官能性(メタ)アクリレート中に含まれる微量の不純物がオキサジン化合物の溶液状態での着色および硬化中の劣化に作用しているものと推定される。また精製が完全でなく不純物の除去が十分でない場合、溶液状態での着色はないが硬化体が着色し初期発色性能が十分得られないことから、エポキシ化合物の存在なくして多官能性(メタ)アクリレートからフォトクロミック硬化体を製造する場合には、多官能性(メタ)アクリレート単量体の品質としては高純度のものが必要となる。
本発明の製造方法および各成分を混合して組成物とする際の順序としては、各成分をどのような順番で混合して用いてもよいが、オキサジン化合物と多官能性(メタ)アクリレートを先に混合すると混合溶液が着色し、光または混合溶液中に含まれる酸素等の不純物の影響により、着色状態のオキサジン化合物が劣化しやすいため、多官能性(メタ)アクリレートとエポキシ化合物を予め十分混合攪拌した後、オキサジン化合物を添加する方法が好ましい。これによりオキサジン化合物が組成物中で著しく着色することを防ぐことができる。
本発明に用いられる多官能性(メタ)アクリレートは、オキサジン化合物を着色させうる化学物質を不純物として含有するものであり、一般に市販されている多官能性(メタ)アクリレートはこれにあてはまり、精製が十分でない公知の多官能性(メタ)アクリレートである。
代表的な多官能性(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(1)
(但し、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、aは1〜10の整数である。)
で示される単量体、或は下記一般式(2)
(但し、R1は水素原子またはメチル基であり、R3はエチレン基またはプロピレン基であり、b、c、dおよびeはそれぞれ0〜10の整数であり、0の場合単結合手を示し、R4は炭素数3〜10のアルキレン基または下記式
で示される基または下記式
で示される基または下記式
{但し、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同一または異なり、水素原子またはフッ素を除くハロゲン原子を示す。}で示される基である。)
で示される単量体、或は下記一般式(3)
(但し、R1は水素原子またはメチル基であり、R3はエチレン基またはプロピレン基であり、fは0〜10の整数であり、gは0または1であり0の場合は単結合手を示し、hは0〜2の整数であり、R9は水素原子、ヒドロキシメチル基またはメチル基、エチル基等のアルキル基である。)
で示される単量体を挙げることができる。
上記一般式(1)、(2)および(3)で示される多官能性(メタ)アクリレートを具体的に例示すると、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシ・ポリエトキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシ・ポリプロポキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス[(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシ)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、水添加ビスフェノールAエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンポリエトキシジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、プロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、ビスフェノールAエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物とグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、水素添加ビスフェノールAエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物とグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物等が挙げられる。これら多官能性(メタ)アクリレートは一種または二種以上を一緒に使用することができる。なお本発明において、(メタ)アクリレートとはメタクリレート化合物とアクリレート化合物の総称である。
本発明で用いられる分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物という)としては、公知の化合物が何ら制限なく採用される。例えば、一価、二価、三価アルコール等のアルコール性水酸基含有化合物またはフェノール、ハイドロキノン等のフェノール性水酸基含有化合物と、エピクロルヒドリンとの反応生成物、あるいは安息香酸、テレフタル酸等のカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応生成物を挙げることができる。代表的なエポキシ化合物は、下記一般式(4)で表わすことができる。
(但し、Aはn価のアルコール性水酸基含有化合物の残基、n価のフェノール性水酸基含有化合物の残基またはn価のカルボン酸残基であり、R1は水素原子またはメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
本発明におけるエポキシ化合物としては、分子中にさらに少なくとも1個の不飽和二重結合基を有するものが好ましい。このような不飽和二重結合基とエポキシ基とを有する化合物を使用し、フォトクロミック化合物との組成物を重合してフォトクロミック硬化体を製造すれば、分子中に少なくとも不飽和二重結合基と少なくとも1個のエポキシ基とを有する化合物が重合して高分子マトリックスに固定されるために、このような化合物を大量に使用してもフォトクロミック樹脂の物性を損なうことが防止できる。
不飽和二重結合基としては、例えばビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等を挙げることができる。良好なフォトクロミック物性を得るためにはアクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましい。
不飽和二重結合基を有さないエポキシ化合物としては、前記した一般式において、nは1または2であり、Aはnが1のときは水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキル基、−R−(OR)m−OH(但し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは1〜20の整数である。)で示される基、水酸基で置換されていてもよい炭素数6〜7のシクロアルキル基、水酸基で置換されていてもよいフェニル基またはカルボキシル基で置換されていてもよいベンゾイル基であり;nが2のときは水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、−R−(OR)m−(但し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは1〜20の整数である。)で示される基、水酸基で置換されていてもよい炭素数6〜7のシクロアルキレン基、水酸基で置換されていてもよいフェニレン基またはフタロイル基、イソフタロイル基もしくはテレフタロイル基、または次式
で示される基である化合物である。
また、少なくとも1個の不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物としては、本発明において好適に使用できる代表的な化合物として、下記一般式(5)で示される化合物を挙げることができる。
(但し、R1およびR12はそれぞれ水素原子またはメチル基であり、R10およびR11はそれぞれ同種または異種のヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基、または下記式
で示される基であり、mおよびnはそれぞれ0または1である。)
上記式中のR10で示されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等を例示することができる。
エポキシ化合物として、本発明において好適に使用できる化合物を具体的に示すと次のとおりである。
分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するが、不飽和二重結合基を有さない化合物としては、例えばエチレングリコールグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAまたは水素化ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、テレフタル酸ジグリシジルエステル、スピログリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
また、分子中に少なくとも1個の不飽和二重結合基と少なくとも1個のエポキシ基とを有する化合物としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルアクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシブチルメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のメタクリレート化合物またはアクリレート化合物を挙げることができる。
本発明のエポキシ化合物の配合量は、前記多官能性(メタ)アクリレート中の不純物の量によって異なるため一概に規定できないが、一般に市販されている多官能性(メタ)アクリレートを用いる場合、全単量体100重量部に対して1重量部以上用いれば硬化体の着色を押さえることができ、また通常30重量部まで配合しても十分な強度を持つ硬化体が得られる。但し、不飽和二重結合基を有さないエポキシ化合物を用いる場合、全単量体に対し、不飽和二重結合基を有さないエポキシ化合物の量があまりにも多すぎると硬化体の硬化の妨げになるため、全単量体100重量部に対して1〜10重量部、さらに1〜5重量部の範囲であることが好適である。
なお上記した全単量体とは、ラジカル重合を起こしうるエポキシ基および/または不飽和二重結合基を有する化合物を示し、多官能性(メタ)アクリレート、エポキシ化合物および必要に応じて配合する後述する他の単量体のすべてを云う。以下に述べる場合も、これに準じる。
本発明におけるオキサジン化合物としては、スピロオキサジン骨格を有し、フォトクロミック性を有する公知の化合物が何等制限なく採用でき、下記式(6)で示されるスピロオキサジン化合物が好適に使用される。
ここで、一般式(6)において、R13、R14およびR15は、それぞれ同一または異なり、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルアルキル基、アルコキシ基、アルキレンオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アルキレンチオアルキル基、アシル基、アシロキシ基またはアミノ基であり、R14およびR15は一緒になって環を形成してもよく、R13、R14およびR15は置換基を有してもよく、置換基としては上記のような基の他に、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基または複素環基等が挙げられる。また、
で示される基は、それぞれ置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基であり、
で示される基は、それぞれ置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基である。上記二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基としては、例えばベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘導される二価の基を挙げることができ、また、二価の不飽和複素環基としては、例えば酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二価の基を挙げることができる。
二価の芳香族炭化水素基を具体的に例示すると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等から誘導される炭素数6〜14の基を挙げることができる。また、二価の不飽和複素環基を具体的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、チオフェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができる。置換基としては上記のR13、R14およびR15で述べたものと同じ基を選択できるが、中でも
−NR16R17
(但し、R16およびR17は置換されてもよい、アルキル基、アルコキシ基またはアリル基等であり、またR16およびR17は互いに結合し、環化し、含窒素複素環を形成していてもよい。)
で示される基で置換されたオキサジン化合物が、初期のフォトクロミック性能においてその発色濃度が高い点で好適である。
本発明において、好適に使用できるオキサジン化合物を具体的に示すと、次のような化合物を例示することができる。
(1):6’−フルオロ−1’−メチル−8”−メトキシ−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(2):1’−メトキシカルボニルメチル−8”−メトキシ−6”−(4−メチルピペラジノ)ジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(3):5’−フルオロ−1’−メチル−6”−ピペリジノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(4):1’−メチル−8”−メトキシジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(2,3−a)(1,4)オキサジン)
(5):6’−フルオロ−1’,7’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(6):6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(7):6’−フルオロ−1’−イソブチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(8):6’−フルオロ−5’−メチル−1’−イソブチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(9):6’−フルオロ−5’−メチル−1’−ネオペンチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(10):1’,3’,3’−トリメチル−6”−ピペリジノスピロ((3H)インドール−2−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(11):3’,3’−ジメチル−1’−イソブチル−スピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
(12):1’,3’,3’−トリメチル−スピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
本発明において、エポキシ化合物の存在下ではオキサジン化合物の着色が起こらず、その組成物の着色が減少し、なおかつ硬化体においても初期発色性能が向上する。従って、オキサジン化合物の配合量は、広い範囲から採用することができる。しかし、オキサジン化合物の量があまりに少ないときには良好な初期発色性能が得られず、あまりに多いときにはオキサジン化合物の凝集が起き、フォトクロミック性の耐久性が急激に低下する。このため全単量体100重量部に対して、オキサジン化合物は、好ましくは0.001〜10重量部の範囲で用いられ、より好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部の範囲で用いられる。
また本発明ではオキサジン化合物以外のフォトクロミック化合物であるクロメン化合物およびフルギド化合物の3つの化合物を併用し、各用途に応じたより完成度の高いフォトクロミック硬化体を製造できる。例えばオキサジン化合物は、主として青系に発色する化合物が知られているが、グレーまたはブラウンといった中間色を要求されるフォトクロミック眼鏡用途に本発明で得られるフォトクロミック硬化体を供する場合、クロメン化合物とフルギミド化合物の併用によりニュートラルなグレー、ブラウンに発色し、なおかつ耐久性に優れた硬化体を製造することができる。このクロメン化合物は、主に黄系に発色する化合物であって、青との組み合わせで中間色を作るには必要であり、かつフルギミド化合物はオキサジン化合物と同様に主として青系に発色するが、発色時の可視光の吸収において、オキサジンと比較して、より幅広い吸収をもつため深みのある色を作ることができる。上記のフルギド化合物およびクロメン化合物としては、米国特許第4,882,438、4,960,678、5,130,058および5,106,998号明細書等で公知の化合物を好適に使用できる。
本発明において好適に使用できるフルギド系フォトクロ化合物を一般式で示すと一般式(7)で示すことができる。
〔但し、下記式
で示される基は、それぞれ置換基を有していてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基であり、R18はアルキル基、アリール基、置換基を有していてもよいシクロプロピル基または一価の複素環基であり、下記式
で示される基は、ノルボルニリデン基またはアダマンチリデン基であり、Xは、酸素原子、基>N−R19、基>N−A1−B1−(A2)k−(B2)l−R20、基>N−A3−A4または基>N−A3−R21である(ここで、R19は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、R20はアルキル基、ナフチル基またはナフチルアルキル基であり、R21はハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基であり、A1、A2およびA3は、同一もしくは異なり、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基またはアルキルシクロアルカン−ジイル基であり、A4はナフチル基であり、B1およびB2は、同一もしくは異なり、下記基
であり、kおよびlは、それぞれ独立して0または1を示すが、kが0のときはlは0である)〕
上記一般式(7)中、下記式
で示される二価の芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘導される二価の基を挙げることができ、また、二価の不飽和複素環基としては、例えば酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二価の基を挙げることができる。
二価の芳香族炭化水素基を具体的に例示すると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等から誘導される炭素数6〜14の基を挙げることができる。また、二価の不飽和複素環基を具体的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、チオフェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができる。該二価の芳香族炭化水素基または不飽和複素環基は置換基を有してもよく、これらの置換基としては、特に制限されないが、例えば塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基:メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基:炭素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール基):アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示することができる。
上記一般式(7)中、R18で示されるアルキル基、アリール基および複素環基としては、上記置換基の場合と同じものが例示される炭素数1〜4のアルキル基並びに炭素数6〜10のアリール基、および酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される一価の基を挙げることができる。
基Xが窒素原子を含む基である場合のR19で示されるアルキル基、アリール基はR18と同じものが例示できる。同じくA1、A2およびA3で示されるアルキレン基はメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜4の基であることが好ましく、アルキリデン基はエチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等の炭素数2〜4の基であることが好ましく、また、シクロアルキレン基はシクロヘキシレン基が好ましく、さらにアルキルシクロアルカン−ジイル基はジメチルシクロヘキサン−ジイル基が好ましい。さらにR20で示されるアルキル基は上記R18と同様であり、ナフチルアルキル基はナフチルメチル基、ナフチルエチル基等の炭素数11〜14の基であることが好ましい。
上記一般式(7)で示されるフルギド系フォトクロ化合物のなかでも、フォトクロミック作用の耐久性等を勘案すると、R18がアルキル基およびシクロプロピル基であり、Xが>N−Rであり〔Rは炭素数1〜4のシアノアルキル基、炭素数1〜4のニトロアルキル基または炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基(炭素数1〜4のアルコキシ基と炭素数1〜4のアルキレン基を含む)〕、下記式
で示される基はアダマンチリデン基であり、下記式
で示される基は炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール基)で置換されていてもよい複素環基、特にチオフェン環から誘導される基である化合物が好ましい。
本発明において好適に使用されるクロメン化合物は、下記一般式(8)で示すことができる。
〔但し、R22、R23、R24およびR25は、それぞれ同一または異なり、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アミノ基または飽和複素環基であり、R24およびR25は一緒になって環を形成していてもよく、下記式
で示される基は、それぞれ置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基である。〕
上記一般式(8)中、R22、R23、R24およびR25で示されるアルキル基、アリール基は、前記一般式(7)で説明したアルキル基およびアリール基と同じものを採用でき、置換アミノ基としては、上記したアルキル基またはアリール基で水素原子の少なくとも1つが置換されたアミノ基を挙げることができ、また飽和複素環基としては、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等の窒素原子、酸素原子またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜6員環から誘導される一価の基を挙げることができる。
一般式(8)中、R24およびR25が一緒になって形成する環としては、ノルボルニリデン基、ビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基等を挙げることができる。
また、一般式(8)中、下記式
で示される二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基としては、前記一般式(7)における基と同様のものが例示される。さらにこれらの基は置換基を有してもよく、その置換基としては特に制限されないが、例えば塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メチル基、エチル基等の炭素数1〜20のアルキル基:メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基:アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示することができる。
上記クロメン系フォトクロ化合物のなかで、特にR22およびR23は共に水素原子であり、R24およびR25は、それぞれ同一または異なり、炭素数1〜4のアルキル基であるか、これらが一緒になって形成されたビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基またはノルボルニリデン基であり、下記式
で示される基は、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数1〜20のアルコキシ基で置換されていてもよいナフタレン環から誘導される基である化合物が好適に使用できる。
本発明において好適に使用できるフルギド化合物およびクロメン化合物を具体的に示すと、次のような化合物を例示することができる。
フルギド化合物:
▲1▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲2▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲3▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲4▼6,7−ジヒドロ−N−メトキシカルボニルメチル−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲5▼6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−(p−メチルフェニル)−N−ニトロメチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲6▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピル−3−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
▲7▼N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピル−スピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
クロメン化合物:
▲1▼スピロ〔ノルボルナン−2,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
▲2▼スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
▲3▼7’−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
▲4▼7’−メトキシスピロ〔ノルボルナン−2,3’−〔3H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕
▲5▼2,2−ジメチル−7−オクトキシ〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン
本発明において、全単量体100重量部に対するクロメンまたはフルギド化合物の配合量は、通常0.001〜10重量部の範囲で、好ましくは0.01〜1重量部の範囲で用いられ、この範囲において最も良好なフォトクロミック性能が得られる。
本発明において、前記多官能性(メタ)アクリレートだけでなく、公知の他の不飽和単量体を必要に応じて配合して硬化体とすることができる。好適に用いられる他の単量体を例示すれば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物等である。これらの他の単量体は一種または二種以上を本発明の重合組成物中に混合して使用できる。その配合量は使用する用途に応じて、決定していけばよいが、全単量体100重量部に対し、通常0.5〜80重量部、得られるフォトクロミック樹脂の耐熱性を考慮すると、0.5〜30重量部の範囲で使用できる。
本発明で用いられる重合開始剤としては特に限定されず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を挙げることができる。
重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、前記単量体の組成によって異なり、一概に限定できないが、一般的には全単量体100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部の範囲が好適である。
本発明の重合性組成物から硬化体を得る重合方法は特に限定的でなく、公知のラジカル重合方法を採用できる。重合開始手段は、種々の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の使用、または紫外線、α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の併用によって行うことができる。代表的な重合方法を例示すると、エラストマーガスケットまたはスペーサーで保持されているモールド間に、ラジカル重合開始剤を含む本発明のフォトクロミック組成物を注入し、加熱炉中で重合させた後、取り外す注型重合を採用することができる。
重合条件のうち、特に温度は、得られるフォトクロミック硬化体の性状に影響を与える。この温度条件は、開始剤の種類と量や単量体の種類によって影響を開けるので一概に限定はできないが、一般的に比較的低温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合終了時に高温下に硬化させる所謂テーパ型の2段重合を行うのが好適である。重合時間も温度と同様に各種の要因によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を決定するのが好適であるが、一般に2〜40時間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。
勿論、前記重合に際し、離型剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤は必要に応じて選択して使用することができる。
本発明のフォトクロミック組成物には、上記した紫外線安定剤を混合して使用することがフォトクロミック化合物の耐久性をさらに向上させることができるために好適である。特に、フルギド化合物は、紫外線安定剤による耐久性向上の効果が大きいために、前記したようなオキサジン化合物、フルギド化合物とクロメン化合物を混合して使用する場合に、これらの化合物の中間色の経時的な変化を良好に防止することができる。
紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール光安定剤、イオウ系酸化防止剤、亜リン酸エステル化合物を好適に使用することができるが、特に分子中にヒンダードアミン構造を有するヒンダードアミン光安定剤が好適である。
上記した紫外線安定剤の使用量は特に制限されるものではないが、通常は全単量体100重量部に対して0.01〜5重量部、さらに0.02〜1重量部の範囲であることが好適である。
さらにまた、赤外線吸収剤を混合して使用すると、フォトクロミック作用の他にも赤外線吸収能も有するフォトクロミック硬化体を得ることができる。赤外線吸収剤としてはポリメチン系化合物、ジイモニウム系化合物、シアニン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物が使用できるが、分子吸光係数が大きく、少量の添加で効果を発揮するジイモニウム系化合物が好適である。
赤外線吸収剤の配合量は、全単量体100重量部に対して、0.0001〜1重量部、さらに0.001〜0.01重量部であることが好ましい。
上記の方法で得られるフォトクロミック硬化体は、その用途に応じて以下のような処理を施すこともできる。即ち、分散染料等の染料を用いる染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成分とするハードコート剤や、SiO2、TiO2、ZrO2等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子の薄膜の塗布による反射防止処理、帯電防止処理等の加工および2次処理を施すことも可能である。
本発明の製造方法を用いて、フォトクロミック硬化体を製造することにより、初期着色が少なく、初期発色性能およびフォトクロミック作用の耐久性に優れたフォトクロミック硬化体を得ることができる。本発明により、フォトクロミックレンズ用途等に供する熱硬化性樹脂で、オキサジン化合物を含むフォトクロミック硬化体を、簡便な方法である練り混み法によって製造することが可能となった。
実施例
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例で使用した化合物は下記のものである。
[分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物]
GMA:グリシジルメタクリレート
GA:グリシジルアクリレート
MGMA:β−メチルグリシジルメタクリレート
MGA:β−メチルグリシジルアクリレート
BPMGMA:ビスフェノールA−モノグリシジルエーテルメタクリレート
GBMA:4−グリシジルオキシブチルメタクリレート
GEHPMA:3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
GIHPA:3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート
EGGE:エチレングリコールグリシジルエーテル
PGGE:プロピレングリコールグリシジルエーテル
PDGE:テレフタル酸ジグリシジルエステル
HDGE:ハイドロキノンジグリシジルエーテル
BGE:ブチルグリシジルエーテル
HDGE:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
[多官能性(メタ)アクリレート]
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル3G、新中村化学工業(株)社製)
4G:テトラエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコールの混合物で、エチレンオキサイド鎖の平均モル数が4である単量体)(商品名:NKエステル4G、新中村化学工業(株)社製)
3PG:トリプロピレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル3PG、新中村化学工業(株)社製)
4PG:テトラプロピレングリコールジメタクリレート(ポリプロピレングリコールの混合物で、プロピレンオキサイド鎖の平均モル数が4である単量体)(商品名:NKエステル4PG、新中村化学工業(株)社製)
BP−2EM:2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンのメタクリル酸エステル化合物(エチレンオキサイド鎖の平均モル数が2.2である混合物)(商品名:ライトエステルBP−2EM、共栄社化学(株)社製)
BR−MA:2,2’−ビス[(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシ)プロパンのメタクリル酸エステル化合物(商品名:ライトエステルBR−MA、共栄社化学(株)社製)
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:TEGDMA、三菱瓦斯化学(株)社製)
3EG:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:ライトエステル3EG、共栄社化学(株)社製)
PRO−631:2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンのメタクリル酸エステル化合物(商品名:PRO−631、サートマー(株)社製)
[他の単量体]
MMA:メタクリル酸メチル
MS:α−メチルスチレン
MSD:α−メチルスチレンダイマー
BzMA:メタクリル酸ベンジル
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[精製した多官能性(メタ)アクリレート]
P1−3G:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル3G、新中村化学工業(株)社製)を1規定の塩酸水溶液、10重量%の炭酸ナトリウム水溶液および精製水で各2回づつ洗浄したもの。
P2−3G:トリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル3G、新中村化学工業(株)社製)500gをアルミナを充填したカラムを通じ、その初めに留出した20gのトリエチレングリコールジメタクリレート。
[スピロオキサジン化合物]
SP1:6’−フルオロ−1’−メチル−8”−メトキシ−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP2:1’−メトキシカルボニルメチル−8”−メトキシ−6”−(4−メチルピペラジノ)ジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP3:5’−フルオロ−1’−メチル−6”−ピペリジノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP4:1’−メチル−8”−メトキシジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(2,3−a)(1,4)オキサジン)
SP5:6’−フルオロ−1’,7’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP6:6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP7:6’−フルオロ−1’−イソブチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP8:6’−フルオロ−5’−メチル−1’−イソブチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP9:6’−フルオロ−5’−メチル−1’−ネオペンチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP10:1’,3’,3’−トリメチル−6”−ピペリジノスピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP11:3’,3’−ジメチル−1−イソブチル−スピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
SP12:1’,3’,3’−トリメチル−スピロ((3H)インドール−2’−(2H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
[フルギド化合物]
F1:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
F2:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
F3:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
[クロメン化合物]
C1:スピロ〔ノルボルナン−2,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
C2:スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
C3:7’−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
実施例1
表1に示した各種のエポキシ化合物と単量体〔多官能性(メタ)アクリレート、他の単量体〕を室温で2時間混合攪拌した。その混合溶液の中に、オキサジン化合物SP5:6’−フルオロ−1’,7’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(1’H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)を0.04重量部、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートを1重量部添加してよく混合した。オキサジン化合物を溶解した後の混合溶液の色の変化はほとんどなかった。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中へ注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用い、30℃から90℃で18時間かけ、徐々に温度を上げていき、90℃に2時間保持した。重合終了後、鋳型を空気炉から取り外し、放冷後、硬化体を鋳型のガラス型から取り外した。
得られたフォトクロミック硬化体(厚み2mm)のフォトクロミック特性を次の方法で測定し、その結果を表1に示した。
(1)発色濃度
得られた硬化体(厚み2mm)に、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、硬化体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2、245nm=24μW/cm2で30秒間照射または120秒照射して発色させた。ε(30または120)−ε(0)を求め、発色濃度とした。但し、ε(30または120)は、上記条件にて光を30秒または120秒照射し、発色させた時のフォトクロミック化合物の最大吸収波長における吸光度であり、ε(0)は、光を照射する前の発色時と同じ波長での吸光度である。疲労寿命試験を行う前の初期発色濃度および発色色調をT0で示した。
(2)初期着色
上記条件で測定したε(0)を示した。尚可視光の青色領域では、通常吸光度が0.1を越えると目視で着色しているのがはっきりと認識できる。
(3)耐久性
スガ試験機(株)製キセノンフェードメーターFA−25AX−HCにより疲労寿命を測定した。疲労寿命は、重合体をキセノンフェードメーターに200時間照射した後、上記(1)記載の方法にて硬化体を発色させ、その時のフォトクロミック化合物の発色に基づく最大吸収波長における吸光度を、フェードメーター照射前の発色での吸光度に対する割合で表した。表1中ではT200項のA200/A0(%)がこれに相当する。
実施例2
実施例1において、表1中、No.4に示す単量体およびエポキシ化合物を用い、オキサジン化合物を表2に示したオキサジン化合物に変えた以外は実施例1とまったく同様に実施した。結果を表2に示した。
実施例3
実施例1において、表1中、No.4に示す単量体およびエポキシ化合物を用い、フォトクロミック化合物を表3に示したオキサジン化合物、フルギミド化合物およびクロメン化合物に変えた以外は実施例1とまったく同様に実施した。結果を表3に示した。
実施例4
実施例1において、表1中、No.5に示す単量体およびエポキシ化合物を用い、フォトクロミック化合物を表4に示したオキサジン化合物、フルギミド化合物およびクロメン化合物に変えた以外は実施例1とまったく同様に実施した。結果を表4に示した。
実施例5
実施例1において、表1中、No.6に示す単量体およびエポキシ化合物を用い、フォトクロミック化合物を表5に示したオキサジン化合物、フルギミド化合物およびクロメン化合物に変えた以外は実施例1とまったく同様に実施した。結果を表5に示した。
比較例1
実施例1において、エポキシ化合物を使用しなかったこと以外は、表6に示したオキサジン化合物0.04重量部を用いて実施例1と全く同様に実施した。表6中に例示したNo1〜7の組成物は、オキサジン化合物と多官能性(メタ)アクリレートを混合溶解すると、どれも著しく着色した。結果を表6に示した。
比較例2
実施例1において、精製した多官能性(メタ)アクリレートを用い、分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物を使用しなかったこと以外は表7に示したオキサジン化合物0.04重量部を用いて実施例1と全く同様に実施した。表7中に例示したNo1の組成物は、オキサジン化合物と精製した多官能性(メタ)アクリレートを混合溶解しても着色はないが、硬化物は着色した。結果を表7に示した。
Claims (7)
- 多官能性(メタ)アクリレート単量体、フォトクロミックスピロオキサジン化合物および重合開始剤を含む組成物を重合させてフォトクロミック硬化体を製造する方法において、当該組成物中に、分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物を含有させて重合することを特徴とするフォトクロミック硬化体の製造方法。
- 多官能性(メタ)アクリレート単量体が下記式(1)
(但し、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、aは1〜10の整数である。)
で示される単量体、下記式(2)
(但し、R1は水素原子またはメチル基であり、R3はエチレン基またはプロピレン基であり、b、c、dおよびeはそれぞれ0〜10の整数であり、0の場合単結合手を示し、R4は炭素数3〜10のアルキレン基または下記式
{但し、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同一または異なり、水素原子またはフッ素を除くハロゲン原子を示す。}で示される基である。)
で示される単量体、および下記式(3)
(但し、R1は水素原子またはメチル基であり、R3はエチレン基またはプロピレン基であり、fは0〜10の整数であり、gは0または1であり0の場合は単結合手を示し、hは0〜2の整数であり、R9は水素原子、ヒドロキシメチル基またはメチル基、エチル基等のアルキレン基である。)
で示される単量体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。 - フォトクロミックスピロオキサジン化合物が下記式(6)
ここで、R13、R14およびR15は、それぞれ同一または異なり、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルアルキル基、アルコキシ基、アルキレンオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アルキレンチオアルキル基、アシル基、アシロキシ基またはアミノ基であり、R14およびR15は一緒になって環を形成してもよく、またR13、R14およびR15は置換基を有してもよく、そして下記式
で示される部分は、それぞれ独立に、それぞれ置換されていてもよい芳香族炭化水素基または不飽和複素環基である、
で表される化合物である請求項1に記載の方法。 - 多官能性(メタ)アクリレート単量体と分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物とを予め混合し、次いでフォトクロミックスピロオキサジン化合物を混合したのち、重合を実施する請求項1に記載の方法。
- 上記組成物が単官能性(メタ)アクリレートおよび芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の他の単量体をさらに含有する請求項1に記載の方法。
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