JPH11245319A - 多孔質材料、それを用いた吸遮音材および制振材 - Google Patents

多孔質材料、それを用いた吸遮音材および制振材

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JPH11245319A
JPH11245319A JP10047678A JP4767898A JPH11245319A JP H11245319 A JPH11245319 A JP H11245319A JP 10047678 A JP10047678 A JP 10047678A JP 4767898 A JP4767898 A JP 4767898A JP H11245319 A JPH11245319 A JP H11245319A
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JP
Japan
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porous material
sample
spring constant
vibration
fiber
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JP10047678A
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Hiroshi Imagawa
容 今川
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高周波領域だけでなく、低周波領域においても
充分な吸遮音効果および制振効果が得られる多孔質材
料、それを用いた吸遮音材および制振材を得ること。 【解決手段】複数層積層してなる多孔質材料において、
少なくとも1層が5デニール以上100デニール以下の
繊維径を有する繊維で形成されていることを特徴とする
多孔質材料およびそれを用いた吸遮音材および制振材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多孔質積層体を用い
た吸遮音材および制振材に関する
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電、産業用機械などか
らの騒音、振動は環境問題、健康問題として重要視され
てきており、広範な分野において防音、防振に多くの注
意が払われてきている。騒音、振動をなくしたり、低減
させる方法の中で、最も効果のある方法は音源を絶つこ
とであるが、完全にこれらを遮断することは不可能であ
る。そこで、騒音、振動を低減する機能を持った材料、
技術が開発されて実用に供されている。一般的に、空気
伝播音は騒音と呼ばれており、騒音に対応する素材とし
ては吸音材や遮音材があげられる。また、固体伝播音は
振動に対応する素材としては制振材、振動絶縁材があげ
られる。
【0003】吸音材は騒音の音響エネルギーの一部を熱
エネルギーへと変換し、音響エネルギーを減衰させる材
料である。吸音材としては、天然繊維、合成繊維、ロツ
クウール、ガラスウールなどの繊維を絡めて形成した繊
維集合体や、連続気泡を有する発泡ポリウレタン樹脂な
どの材料があげられる。これらは、小さな孔や隙間を無
数に持ち、かつ適当な通気性を持った材料であるるこの
ような材料に音波が入射すると、材料の隙間内の空気が
振動される。この孔や隙間は小さいため、音波は粘性抵
抗を受け、よって音響エネルギーの一部は熱エネルギー
へと変換され、外部へ散逸される。
【0004】遮音材は、音波が材料内部を透過する際の
内部摩擦により、エネルギーを減衰させる材料てあり、
変形抵抗の上からも質量の大きいものほど効果的であ
る。このことから、鉛、鉛複合材およびコンクリートな
どの密度の大きな材料が通常用いられている。
【0005】制振材は主として高分子材料の動的粘弾性
挙動を利用して、振動エネルギーを熱エネルギーとして
散逸させるものである。振動絶縁材は振動エネルギーを
弾性体の変形で吸収するものであり、例えばゴム、バネ
などが通常用いられている。
【0006】騒音、振動を低減する方法のなかで、最も
効果のある方法は、音源や振動源を絶つことであるが、
完全にこれらを絶つことは不可能である。そのため、上
記した材料を音源や振動源に取り付ける方法、機械構造
などを構成する部材の剛性を高めたり重くする方法、建
築物の壁や間仕切りなどに上記した材料を付加する方法
が一般的に用いられている。
【0007】しかし、上記した方法によって騒音や振動
を低減する効果を高めようとすれば、使用する材料の厚
みや重量の増加をもたらし、対象となる機械などの本来
の機能を損ねたり、メンテナンスが困難になるなどの問
題が生じる。
【0008】また、一方では地球環境の問題から、自動
車や産業用機械といった機械などの軽量化を求める動向
か強まってきている。しかし、軽量化は一般的には騒音
を増加させる場合が多く、騒音の増加なしに、騒音の低
減を達成する材料や技術の開発が強く望まれてきてい
る。
【0009】ところで、一般に上記した材料には、音波
や振動波の周波数が高くなるほど吸遮音効果が高くなる
特性がある。そのため、高周波領域(波長が短い)の音
波や振動波に対しては高い効果が得られるが低周波領域
(波長が長い)の音波や振動波に対しては充分な効果が
得られないという問題がある。このことは、損失係数η
により説明される。上記した材料において損失係数η
は、加振周波数をf、バネ定数をK、粘性減衰係数をC
とした場合、下記数1で表される。ここで、上記バネ定
数Kは後述する方法で測定したバネ定数と同じ物理的意
味を持つものである。
【0010】
【数1】 数1から明らかのように、損失係数ηは加振周波数fに
依存している。即ち、音波や振動波の周波数が低いほど
音響エネルギーの減衰率は低いといえる。
【0011】また、前述したように吸音材においては、
入射する音波が多孔質材料の孔や隙間内の空気を振動し
て粘性抵抗を受けるため、音響エネルギーの一部が熱エ
ネルギーへと変換される。しかし、入射する音波の波長
が長いと振動速度が遅くなるため、その結果、音響エネ
ルギーへの変換率が低くなり、吸音率が悪くなる。
【0012】なお、上記の吸音機構を示すためには、孔
や隙間へ音波が侵入していけることが重要な条件とな
る。従って、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ
スチレンなどの独立気泡を持った軟質の発泡樹脂のよう
に通気度の低い材料では音波が侵入するのは困難であ
る。このように、見かけ上は多孔質であっても、上記の
吸音機構からみると多孔質材料には属さない。即ち、吸
音材としては、ある適当範囲の通気度を持った材料を使
用する必要がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の材
料には制約や条件がある。本発明の課題は、上記問題を
解決し、高周波領域だけでなく低周波領域においても充
分な吸遮音効果および制振効果が得られる多孔質材料、
それを用いた吸遮音材および制振材を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、従来
の材料の欠点を解消すべく、広い周波数領域にわたって
高い吸音、遮音、制振効率を示す材料について検討を加
え、振動減衰の主因は材料の粘性抵抗にあることに着目
し、本発明の多孔質材料を完成するに到った。なお、本
発明の発明者は材料の軽量化の観点から、使用する材料
として、特に真密度が1g/cm3 前後の軽量な高分子
材料を対象としている。以下に具体的に説明する。
【0015】例えば、音響エネルギーを減衰させること
は、音響振動の振幅わ小さくすることに相当する。一般
的に、振動減衰はマスーバネーダッシュポット系での運
動方程式を解析することでなされる。周波数をf,固有
周波数をfn ,粘性減衰係数をC,臨界粘性減衰係数を
Cc として振幅Xに関する項を整理すると下記数2が得
られる。
【0016】
【数2】 臨界粘性減衰係数Cc はクリープ現象を起こし始める粘
性減衰係数である。よつて、弾性範囲を仮定すれば、粘
性減衰係数Cと臨界粘性減衰係数Cc との比(C/Cc
)は0〜1の範囲にある。図1に規格化した周波数
(f/fn )と振幅Xとの関係を示す。
【0017】図1から明らかのように、C/Cc を大き
くすることが同一周波数に対する振幅Xを小さくするこ
とにつながる。すなわち、粘性減衰係数Cを大きくする
ことおよび/または臨界粘性減衰係数Cc を小さくする
ことが振動減衰能を高めることにつながる。ここで、加
振質量m、多孔質材料のバネ定数をKとすると、臨界粘
性減衰係数Cc は下記数3で表される。
【0018】
【数3】 従って、多孔質積層体に対して、上記Cc 及びCを所望
の方向へ導く必要がある。上記数3から、臨界粘性減衰
係数Cc を小さくするためには、多孔質材料のバネ定数
Kを小さくするべきであることが判る。
【0019】一方、粘性減衰係数Cを決定する粘性抵抗
は、多孔質材料においては、多孔質材料内を音波や振動
波が通過する時の通気抵抗力が主体をなすものと考えら
れる。従って、粘性減衰係数Cを大きくするためには、
通気度を小さくすることが最も合理的と考えられる。
【0020】以上より、バネ定数を小さくすることによ
り、臨界粘性減衰係数Ccを小さくし、かつ、通気度を
小さくすることにより粘性減衰係数Cを大きくすること
で、多孔質材料に効果的な振動減衰能を付与できること
が分かる。
【0021】しかし、一般に多孔質材料において、バネ
定数を小さくすることと、通気度を小さくすることは二
律相反の関係にある。そこで、本発明の発明者は鋭意検
討を重ねた結果、多孔質材料に有効な振動減衰能を付与
し得るバネ定数(K)、通気度(Q)についての特定範
囲を見いだすに至った。さらに、本発明の発明者は、多
孔質材料を多層構造とすれば、バネ定数、通気度の特定
範囲への設定が容易にでき、単一層構造の多孔質材料で
は得ることができない振動減衰能を得ることができるこ
とも見いだすに到った。
【0022】また、特に低周波数領域を対象とする場
合、図1の横軸(周波数)との交点、即ち、遮断周波数
fc (振動減衰が開始される周波数)をできるだけ低周
波数とすることも重要な条件となる。特に、80〜16
0−170Hzの周波数はいわゆる“うなり音”の原因
ともなっており、対策が急がれている。この課題につい
ても検討を加えた結果、多孔質繊維集合体の繊維径が遮
断周波数fc を支配していることと、本発明の積層体構
造の少なくとも1層を特定値以上の繊維径を有する繊維
で構成することにより、遮断周波数を低周波数領域へシ
フトさせることが出来ることを見いだすに到った。
【0023】多層構造の多孔質材料において、各層ごと
の多孔質材料のバネ定数をKi (i=1〜n,n≧2)
とすると、積層された多孔質材料のバネ定数Kの逆数は
数4で表される。ここで、nは層の数を示している。
【0024】
【数4】
【0025】数4から明らかのように、合成された多孔
質材料のバネ定数Kは、K1〜Knのなかで最も小さい
値をもつものより更に小さい値となる。また、この場
合、多孔質材料全体としての通気度は、各層が有する通
気度よりも小さなものとなる。このように、多孔質材料
を多層構造とすることは、バネ定数を小さくするととも
に、通気度を小さく出来るため、振動減衰論上からも有
利なものとなる。即ち、各層で異なったバネ定数を持つ
多層構造とすることは、高性能な多孔質材料を実現する
上で有効な手段となる。
【0026】すなわち、本発明の多孔質材料、それを用
いた吸遮音材および制振材は、次の特徴を有するもので
ある。 (1)複数層積層してなる多孔質材料において、少なく
とも1層が5デニール以上100デニール以下の繊維径
を有する繊維で形成されていることを特徴とする多孔質
材料。 (2)複数の層で構成されており、各層の50%圧縮し
たときの圧縮荷重から求めたバネ定数をKi (i=2〜
n,n≧2)としたときの、Σ(1/Ki )が0.02
〜1.0cm/Kgであり、通気度Qが1〜60cc/
cm2.secである前記(1)記載の多孔質材料。 (3)ポリエステル短繊維の繊維集合体で構成されてい
る前記(1)記載の多孔質材料。 (4)ポリエステル硬綿で形成された層と、発泡ポリウ
レタンで形成された層とで構成されている前記(1)記
載の多孔質材料。 (5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔質材
料で形成されてなることを特徴とする吸遮音材。 (6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔質材
料で形成されてなることを特徴とする制振材である。
【0027】本発明の積層された多孔質材料では、その
材料の有するバネ定数、通気度及び密度を好適に設定し
ているため、粘性減衰係数C及び臨界粘性減衰係数Cc
の比率、C/Cc を大きくすることが出来、振動減衰を
容易になすことが出来る。従って、低周波数から高周波
までの広い領域で制振効果及び吸遮音効果を得ることが
出来る。また、さらに少なくとも5d以上の繊維径で形
成された層を設けることで振動遮断周波数を160Hz
以下とすることが出来る。
【0028】
【本発明の実施の態様】以下、本発明の好ましい一実施
態様例を説明する。本発明の多孔質材料は積層された多
孔質材料であり、振動遮断周波数を小さくするため、少
なくとも1層を5デニール以上100デニール以下、好
ましくは10デニール以上50デニール以下、特に望ま
しくは15デニール以上30デニール以下の繊維で形成
されたもので構成されていることを特徴とする。なお前
記繊維径が5デニール未満または100デニールを超え
ると、本発明で目的とする吸遮音効果や制振効果が期待
できないので好ましくない。また、多孔質材料は、一種
であってもよいし、二種以上であってもよい。例えば、
多孔質材料A(5d以上の繊維径)と多孔質材料Bとを
用いて、A−Aと積層してもよいし、A−B−A、B−
A−Aと積層してもよい。また積層順序は限定されるも
のではない。
【0029】本発明の多孔質材料としては、天然繊維、
ポリエステル繊維といつた合成繊維、ロツクウール、ガ
ラスウールなどから形成された繊維集合体や、連続気泡
を有する発泡性ポリウレタン樹脂などの材料があげられ
るが、特に限定されるものではない。ただし、永久歪み
の小さいバネ材料の実現が容易という点から、ポリエス
テル短繊維をウエルト化したポリエステル硬綿、ポリウ
レタン発泡樹脂が好適な材料としてあげられる。
【0030】多孔質材料のバネ定数Kの逆数1/Kが
0.02〜1cm/Kgとなるように、好ましくは、
0.04〜0.4cm/Kgとなるようにする。このよ
うな範囲内にバネ定数Kの逆数1/Kを設定すること
で、多孔質材料の振動減衰能を高めることが出来る。
【0031】なお本発明でいうバネ定数とは、多孔質材
料を50%圧縮したときの圧縮荷重から求められる値で
あり、以下の手順で求めることが出来る。最初に、任意
の厚みHの多孔質材料を225mm×225mmの寸法
で打ち抜き、測定用試料とする。次にテンシロン(例え
ば、オリエンテック社製)を用い、この測定用試料を試
料台にセツトし、直径150mmの円盤状の板材を介し
て荷重をかけ、試料が50%に圧縮された時(試料の厚
みが初期の1/2になつた時)の圧縮荷重M(Kg)を
測定する。この圧縮荷重Mを厚みHの1/2(1/2
H)で割ったもの(M/0.5H)が本発明でいうバネ
定数K(Kg/cm)である。
【0032】なお、多孔質材料が多層構造を有している
場合においては、各層を構成する多孔質材料を上記寸法
に打ち抜き、積層する。積層後は上述の単層場合と同様
の方法でバネ定数を算出する。
【0033】多孔質材料の通気度は1〜60cc/cm
2.sec に設定する。通気度をこのような範囲に設定する
ことにより、音波や振動波が多孔質材料を透過する際の
通気抵抗力を大きくでき、さらに、これに由来する音響
エネルギーから熱エネルギーへの変換効率を高めること
ができる。また、特に、中〜高周波数領域での振動減衰
能を向上させることが出来る。
【0034】本発明でいう通気度は、JIS L100
4,L1018,L1046に準じた装置により測定す
る。具体的には、厚み10mmまたは20mm、直径6
0mmの円盤状の多孔質材料とし、これを例えば東洋精
機製作所(株)製の通気度測定装置等で測定する。
【0035】多孔質材料のバネ定数、通気度、密度の値
は、例えば多孔質材料が繊維集合体の場合においては、
繊維径(デニール)、目付け、低融点繊維の配合比、繊
維の断面形状、中実、中空、バイコンといつた繊維の種
類及びヒートセット温度をパラメーターとし、これらの
パラメーターを適宜設定することにより制御することが
できる。具体的にはバネ定数は、繊維径、目付及び低融
点繊維の配合比を小さくすることで小さくすることがで
きる。通気度は繊維径を小さく、目付を大きくすること
で小さくすることができる。また、密度は繊維径、目付
を大きくすることで大きくすることができる。また、前
述したように多孔質材料を多層構造とすることでも、バ
ネ定数、通気度及び密度を制御することができる。
【0036】本発明の多孔質材料は、吸遮音材や制振材
として使用でき、その用途としては、例えば自動車、家
電、OA機器、建築、土木用機械、産業用機械などの部
材として使用することが出来る。
【0037】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明を具体的に説
明する。 実施例1 ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)
の10d(デニール)×51mm(繊維長)の中空断面
短繊維と、同じく中空のPETの4d×51mmの低融
点短繊維とを重量比で70%:30%で混繊し、カード
マシーンでスライバー化し、その後170度Cで熱圧着
することで、厚さ10mm、目付400g/m2 の硬綿
を得た。これを試料1とする。試料1のバネ定数は68
Kg/cmであった。次いで、PETの1.4d×44
mmの中実短繊維と、中空のPET4d×51mmの低
融点短繊維とを重量比で70%、30%で混繊し、同様
の方法で処理し、厚さ10mm、目付720g/m2
硬綿を得た。これを試料2とする。試料2のバネ定数は
23Kg/cmであった。本例は、試料1+試料2+試
料2の3層構成をなすものである。前述の数4で3層積
層体の1/Kを求めると、0.102cm/Kgであっ
た。また、この3層積層体について、前述した方法で通
気度(Q)を測定したところ、28cc/cm2.sec で
あった。この多孔質材料の積層体に非多孔質材料を積層
させて本発明の積層体を完成させた。
【0038】次に、上記で得られた本発明の積層体材料
について音響特性、すなわち、制振、吸音性能を測定す
る。制振、吸音性能の測定装置の概略を図2に示す。本
装置は、加振機、加振枠、加振パネル、加速度ピックア
ップ、FFT(Fast Fourier Trans
form)振動解析装置、データー処理装置からなる。
加振パネル上に測定試料を乗せ、試料上に加速度ピック
アップを固定し、加振機で振動させた時の、加振枠に
設置した加速度ピックアップとの信号比から試料の制
振、吸音性能を評価する。制振、吸音性能の評価は加速
度ピックアップの信号X1 と加速度ピックアップの
信号X2 の比率、(Log)X2 /X1(振動倍率)と
して評価した。振動倍率X2 /X1 が小さい場合、すな
わち、負の絶対値が大きい場合に制振、吸音性能が良好
なものとなる。その結果を表1に示す。
【0039】実施例2 PETの15d×51mmの中空断面短繊維と、同じく
PETの4d×51mmの低融点繊維とを重量比で70
%,30%で混繊し、実施例1と同様の方法で処理し、
厚み10mm,目付410g/m2 の硬綿を得た。これ
を試料3とする。試料3のバネ定数は80Kg/cmで
あった。次に、厚み20mm、目付1200g/m2
発泡ポリウレタン樹脂を試料4とする。試料4のバネ定
数は13Kg/cmであった。試料3と試料4を積層し
て、多層構造とする。数4から、積層体のバネ定数の逆
数1/Kは0.089cm/Kgとなる。前述した方法
でこの積層体の通気度を測定したところ、2.0cc/
cm2.secであった。この多孔質材料に非多孔質材料
2を積層して本発明の積層体を完成させた。実施例1と
同様にして本発明の積層体の制振、吸遮音性能を測定
し、その結果を表1に示す。
【0040】実施例3 PETの5d×44mmの中空断面糸と、同じく4d×
51mmの低融点繊維とを実施例1と同様の重量比で処
理し、厚み10mm,目付600g/m2 の硬綿を得
た。これを試料5とする。試料5のバネ定数は60Kg
/cmであった。次に、PET2.5d×38mmと、
同じく4d×51mmの低融点繊維を実施例1と同様の
重量比で処理し厚み15mm,目付1200g/m2
硬綿を得た。これを試料6とする。試料6のバネ定数は
100Kg/cmであった。試料5と試料6を積層し
て、多層構造とする。数4から、積層体のバネ定数の逆
数1/Kは0.0267となる。また、前述した方法で
この積層体の通気度を測定したところ、55cc/cm
2.secであった。この多孔質材料と非多孔質材料3を
積層して本発明の積層体を完成させた。実施例1と同様
の方法で制振、吸遮音性能を測定し、その結果を表1に
示す。
【0041】実施例4 PETの15d×64mmの中空断面短繊維と、同じく
PETの4d×51mmの低融点短繊維とを重量比で8
0%,20%で混繊し、実施例1と同様の方法で処理
し、厚み10mm,目付100g/m2 の硬綿を得た。
これを試料7とする。試料7のバネ定数は3Kg/cm
であった。次に、PETの2d×38mmの中空断面短
繊維と、同じくPETの4d×51mmの低融点短繊維
とを重量比で70%,30%で混繊し、実施例1と同様
の方法で処理し、厚み10mm,目付555g/m2
硬綿を得た。これを試料8とする。試料8のバネ定数は
20Kg/cmであった。次いで、PETの2d×38
mmの中空断面短繊維と、同じくPETの4d×51m
mの低融点短繊維とを重量比で70%、30%で混繊
し、実施例1と同様の方法で処理し、厚み10mm,目
付860g/m2 の硬綿を得た。これを試料9とする。
試料9のバネ定数は65Kg/cmであった。このよう
にして得た、試料7,8,9を積層して多層構造とす
る。数4から本多層構造体のΣ(1/Ki )は0.39
9cm/Kgであった。前述した方法でこの多孔質材料
の通気度を測定したところ、30cc/cm2.secで
あった。この多孔質材料と非多孔質材料4を積層し本発
明の積層体を完成させた。次に、実施例1と同様にして
本発明の積層体の制振、吸遮音性能を測定し、その結果
を表1に示す。
【0042】比較例1 PETの3d×51mmの中空断面糸と、5d ×51m
mの低融点繊維とを実施例と同様の重量比で同様に処理
し、厚み25mm、目付1000g/m2 の硬綿を得
た。これを比較試料1とする。比較試料1のバネ定数は
85Kg/cmであることから、1/Kは0.0118
cm/Kgであった。また、前述の方法でこの多孔質材
料の通気度を測定したところ、63cc/cm2 .se
cであった。次に、実施例1と同様にして比較例試料の
制振、吸遮音性能を測定し、その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】表1より明らかなように、実施例1〜4
で示した本発明の複数層積層された多孔質材料は、比較
例1に示した従来の材料に比べて低周波領域における音
響透過損失が大きく、優れた吸遮音効果を示している。
また、このことから本発明の多孔質材料においては、低
周波領域における振動減衰能が高められていると考えら
れ、従って、低周波領域において優れた制振効果も示し
ていることが判る。以上、かかる構成よりなる本発明の
多孔質材料は、低周波領域から高周波領域までの広い帯
域において、従来の吸遮音材や制振材に比べて高い吸遮
音効果や制振効果を有している。また、低周波領域にお
いても充分な吸遮音効果や制振効果を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】規格化した周波数(f/fn)と振幅Xとの関
係を示す図である。
【手続補正書】
【提出日】平成10年4月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】
【数2】 臨界粘性減衰係数Cc はクリープ現象を起こし始める粘
性減衰係数である。よつて、弾性範囲を仮定すれば、粘
性減衰係数Cと臨界粘性減衰係数Cc との比(C/Cc
)は0〜1の範囲にある。図1に規格化した周波数
(f/fn )と振幅Xとの関係を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明を具体的に説
明する。 実施例1 ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)
の10d(デニール)×51mm(繊維長)の中空断面
短繊維と、同じく中空のPETの4d×51mmの低融
点短繊維とを重量比で70%:30%で混繊し、カード
マシーンでスライバー化し、その後170度Cで熱圧着
することで、厚さ10mm、目付400g/m2 の硬綿
を得た。これを試料1とする。試料1のバネ定数は68
Kg/cmであった。次いで、PETの1.4d×44
mmの中実短繊維と、中空のPET4d×51mmの低
融点短繊維とを重量比で70%、30%で混繊し、同様
の方法で処理し、厚さ10mm、目付720g/m2
硬綿を得た。これを試料2とする。試料2のバネ定数は
23Kg/cmであった。本例は、試料1+試料2+試
料2の3層構成をなすものである。前述の数4で3層積
層体の1/Kを求めると、0.102cm/Kgであっ
た。また、この3層積層体について、前述した方法で通
気度(Q)を測定したところ、28cc/cm2.sec で
あった
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】実施例2 PETの15d×51mmの中空断面短繊維と、同じく
PETの4d×51mmの低融点繊維とを重量比で70
%,30%で混繊し、実施例1と同様の方法で処理し、
厚み10mm,目付410g/m2 の硬綿を得た。これ
を試料3とする。試料3のバネ定数は80Kg/cmで
あった。次に、厚み20mm、目付1200g/m2
発泡ポリウレタン樹脂を試料4とする。試料4のバネ定
数は13Kg/cmであった。試料3と試料4を積層し
て、多層構造とする。数4から、積層体のバネ定数の逆
数1/Kは0.089cm/Kgとなる。前述した方法
でこの積層体の通気度を測定したところ、2.0cc/
cm2.secであった。実施例1と同様にして本発明の
積層体の制振、吸遮音性能を測定し、その結果を表1に
示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】実施例3 PETの5d×44mmの中空断面糸と、同じく4d×
51mmの低融点繊維とを実施例1と同様の重量比で処
理し、厚み10mm,目付600g/m2 の硬綿を得
た。これを試料5とする。試料5のバネ定数は60Kg
/cmであった。次に、PET2.5d×38mmと、
同じく4d×51mmの低融点繊維を実施例1と同様の
重量比で処理し厚み15mm,目付1200g/m2
硬綿を得た。これを試料6とする。試料6のバネ定数は
100Kg/cmであった。試料5と試料6を積層し
て、多層構造とする。数4から、積層体のバネ定数の逆
数1/Kは0.0267となる。また、前述した方法で
この積層体の通気度を測定したところ、55cc/cm
2.secであった。実施例1と同様の方法で制振、吸遮
音性能を測定し、その結果を表1に示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】実施例4 PETの15d×64mmの中空断面短繊維と、同じく
PETの4d×51mmの低融点短繊維とを重量比で8
0%,20%で混繊し、実施例1と同様の方法で処理
し、厚み10mm,目付100g/m2 の硬綿を得た。
これを試料7とする。試料7のバネ定数は3Kg/cm
であった。次に、PETの2d×38mmの中空断面短
繊維と、同じくPETの4d×51mmの低融点短繊維
とを重量比で70%,30%で混繊し、実施例1と同様
の方法で処理し、厚み10mm,目付555g/m2
硬綿を得た。これを試料8とする。試料8のバネ定数は
20Kg/cmであった。次いで、PETの2d×38
mmの中空断面短繊維と、同じくPETの4d×51m
mの低融点短繊維とを重量比で70%、30%で混繊
し、実施例1と同様の方法で処理し、厚み10mm,目
付860g/m2 の硬綿を得た。これを試料9とする。
試料9のバネ定数は65Kg/cmであった。このよう
にして得た、試料7,8,9を積層して多層構造とす
る。数4から本多層構造体のΣ(1/Ki )は0.39
9cm/Kgであった。前述した方法でこの多孔質材料
の通気度を測定したところ、30cc/cm2.secで
あった。次に、実施例1と同様にして本発明の積層体の
制振、吸遮音性能を測定し、その結果を表1に示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数層積層してなる多孔質材料において、
    少なくとも1層が5デニール以上100デニール以下の
    繊維径を有する繊維で形成されていることを特徴とする
    多孔質材料。
  2. 【請求項2】複数の層で構成されており、各層の50%
    圧縮したときの圧縮荷重から求めたバネ定数をKi (i
    =2〜n,n≧2)としたときの、Σ(1/Ki )が
    0.02〜1.0cm/Kgであり、通気度Qが1〜6
    0cc/cm2.secである請求項1記載の多孔質材
    料。
  3. 【請求項3】ポリエステル短繊維の繊維集合体で構成さ
    れている請求項1記載の多孔質材料。
  4. 【請求項4】ポリエステル硬綿で形成された層と、発泡
    ポリウレタンで形成された層とで構成されている請求項
    1記載の多孔質材料。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質材
    料で形成されてなることを特徴とする吸遮音材。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質材
    料で形成されてなることを特徴とする制振材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009150138A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 Kureha Ltd 床緩衝材
JP2009243113A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Kurabo Ind Ltd 換気孔の吸音構造

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JP2009150138A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 Kureha Ltd 床緩衝材
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