JPH11244992A - 金型鋳造用黒鉛系離型剤及びその製造方法 - Google Patents

金型鋳造用黒鉛系離型剤及びその製造方法

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JPH11244992A
JPH11244992A JP5384998A JP5384998A JPH11244992A JP H11244992 A JPH11244992 A JP H11244992A JP 5384998 A JP5384998 A JP 5384998A JP 5384998 A JP5384998 A JP 5384998A JP H11244992 A JPH11244992 A JP H11244992A
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graphite
mold
casting
soot
release agent
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JP5384998A
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Shoichi Tsuchiya
詔一 土屋
Shinsuke Araki
慎輔 荒木
Yuji Sengoku
裕司 仙石
Toshiki Ishikawa
俊樹 石川
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Taiho Kogyo Co Ltd
Toyota Motor Corp
Sanwa Yuka Industry Corp
Original Assignee
Taiho Kogyo Co Ltd
Toyota Motor Corp
Sanwa Yuka Industry Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳造時に発生するガスを最少として気孔等の欠
陥をより生じにくくするとともに、小さな離型抵抗で耐
焼き付き性も満足できるようにする。 【解決手段】煤状黒鉛と羽毛状の耐熱無機水和物を水中
に分散させたものとを混合し、金型鋳造用黒鉛系離型剤
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属溶湯が供給さ
れるキャビティを区画する金型の型面に塗布される金型
鋳造用黒鉛系離型剤と、その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】金型鋳造は、金属製の鋳型(金型)のキ
ャビティに金属溶湯を注入し、これを冷却凝固させて鋳
物を製造するものである。かかる金属鋳造においては、
金属溶湯が直接金型の型面に接触すると、冷却凝固した
鋳物が金型に焼き付き、鋳物を金型から離型することが
困難となる。このため、通常、キャビティを区画する型
面に金型鋳造用離型剤を塗布し、金属溶湯が型面に焼き
付くのを抑制することがなされ得る。
【0003】従来、かかる金型鋳造用離型剤としては、
鉱物油等を水に分散させた水溶性離型剤、樹脂を用いた
樹脂製離型剤の他、黒鉛を水に分散させた黒鉛系離型剤
が知られている。このうち、水溶性離型剤や樹脂製離型
剤では、鉱物油等が高温の金属溶湯によって蒸発した
り、熱分解したりし、これにより発生するガスが鋳物中
に残存して気孔等の欠陥を生じさせやすいのに対し、黒
鉛系離型剤では、このようなことが少なく、また高圧力
伝達性、保温性、湯流れ性も水溶性離型剤等に比して優
れているといわれている。
【0004】かかる黒鉛系離型剤としては、一般的に
は、層間滑りにより離型を行うべく、主として鱗片状黒
鉛が用いられていた。この鱗片状黒鉛を用いた金型鋳造
用離型剤は、鱗片状黒鉛に分散剤と、付着剤、極圧添加
剤及び焼き付き防止剤からなる添加剤とを混合して製造
されていた。ここで、分散剤としてはアルキルスルホン
酸塩、高級アルコールエチレン、オキシド付加物、高級
脂肪酸アルカリ金属塩等の界面活性剤やアンモニア、ア
ルコール等が用いられる。また、付着剤としてはCMC
−Naやアルギン酸ソーダが用いられ、極圧添加剤とし
ては燐化合物、硫黄化合物等が用いられ、焼き付き防止
剤としてはタルク、雲母、二硫化モリブデン、窒化硼素
等の層状結晶質のピグメントが用いられている。これら
は鋳造条件による金型鋳造用離型剤の負荷に応じて、配
合量が調整される。また、鱗片状黒鉛単独では離型被膜
を形成できないので、天然黒鉛(土状黒鉛)を混合する
こともなされる。なお、特開平5−7978には天然黒
鉛を用いた金型鋳造用黒鉛系離型剤が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、鱗片状黒鉛を
用いた金型鋳造用離型剤は、金型鋳造、特に高圧鋳造時
の離型抵抗は比較的良好ではあるものの、鱗片状黒鉛の
表面に不可避的にガス化成分が付着しており、また上記
のように分散剤を採用していることから、鋳造時にやは
りガスが発生してしまう。そして、鱗片状黒鉛を用いた
金型鋳造用離型剤を塗布してなる離型被膜においては、
鱗片状黒鉛及び天然黒鉛や添加剤の粒子のうち、10〜
100μm程度のものが鱗状に堆積し、1〜10μm程
度のものが細密充填構造を取りやすいため、緻密になっ
ており、発生したガスの抜け道が少なくなっており、気
孔等の欠陥を生じるおそれがある。このため、鋳造時に
発生するガスを最小とすべく、鱗片状黒鉛を用いた金型
鋳造用離型剤を少量塗布すれば足りるようにすることが
望ましいが、そうすると離型抵抗が大きくなり、耐焼き
付き性が十分でなくなってしまう。これらの不具合は、
天然黒鉛のみを用いた金型鋳造用黒鉛系離型剤において
も同様である。
【0006】本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされ
たものであって、鋳造時に発生するガスを最少として気
孔等の欠陥をより生じにくくするとともに、小さな離型
抵抗で耐焼き付き性も満足できる金型鋳造用黒鉛系離型
剤を提供することを解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記した課題
の下に鋭意開発を進めた。この間、まず、種々の黒鉛に
ついて検討した。黒鉛は、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、煤状
黒鉛、ダイヤ、活性炭、ガラス状黒鉛、木炭、触媒用黒
鉛等多くの種類がある。このうち、発明者らは煤状黒鉛
について以下の優れた特性を発見した。すなわち、煤状
黒鉛は、フカフカであり、粒子間の強度がほとんどない
ので、容易に壊れる。その容易な破壊性を利用して離型
を行うことを検討した。また、煤状黒鉛は粒径が0.1
μm程度と細かく、粒子が凝集して二次粒子を形成する
ため、細密充填構造をとりにくい、このため、かかる煤
状黒鉛を金型鋳造用離型剤として採用すれば、発生する
ガスの抜けがよく、欠陥を生じにくい点も有利であると
考えた。さらに、煤状黒鉛自体、粒子付着油分(有機成
分)が少ないので、発生するガスが少なく、この点でも
有利であると考えた。また、煤状黒鉛は、見かけ密度
(かさ比重)が低く、少量で必要な膜厚の離型被膜を形
成できる。これは塗布によるスプレーロスが低減して有
利である。さらに、煤状黒鉛は、保温性と通気性が高い
ので湯流れ性に優れ、鋳物の成形性に優れる。そして、
煤状黒鉛では、加圧された金属溶湯の染み込み距離が鱗
片状黒鉛の場合に比して格段に大きくなるので、型面に
金属溶湯が到達しにくくなって焼き付きに有利である。
また、煤状黒鉛は、金属溶湯で急激に加圧された時にク
ッションとなり、型面への衝撃や熱応力を吸収して和ら
げることができる。
【0008】しかし、煤状黒鉛は、粒径が細かく、嵩比
重が非常に小さいため、そのまま溶媒としての水中に添
加してもすぐに浮上し、容易に濡れずに分散し難い。一
方、分散剤を大量に添加して金型鋳造用離型剤とする
と、鋳造時に発生するガスが多くなってしまう。他方、
アセチレンガスを燃焼させて直接煤状黒鉛を型面に付着
させる技術はある(特開平2−133154号公報)
が、アセチレンガスの燃焼により直接煤状黒鉛を型面に
付着させるとすると、付着効率が良くない。
【0009】これに対し、発明者らは煤状黒鉛と混合す
る成分について以下の優れた特性を発見した。すなわ
ち、ゾル状バインダ(特に羽毛状の耐熱無機水和物を水
中に分散させたもの)を煤状黒鉛と混合すれば、ゾル状
バインダがネットワーク構造の骨格を形成してそのネッ
トワークに煤状黒鉛を保持するため、型面に容易に金型
鋳造用離型剤を付着させることができ、効率がよい。ま
た、ゾル状バインダに煤状黒鉛を保持させれば、煤状黒
鉛自体の離型性だけでなく、ネットワークが破壊される
ことにより、機械的な離型抵抗の減少が得られる。さら
に、ゾル状バインダに煤状黒鉛を保持すれば、金属溶湯
の流入速度が速いところでも煤状黒鉛がその金属溶湯に
よって洗われることもない。また、ゾル状バインダはネ
ットワーク構造において大きな空間を有することから、
発生するガスの抜けがよく、欠陥を生じにくい点も有利
であると考えた。
【0010】したがって、本発明の金型鋳造用黒鉛系離
型剤は、少なくとも煤状黒鉛とゾル状バインダとを有
し、これらが混合されてなることを特徴とする。ゾル状
バインダとしては、水等の分散媒にシリカ、アルミナ等
の耐熱性のある無機酸化物の水和物をコロイド状にした
ものを採用し得るが、特に羽毛状の耐熱無機水和物を水
中に分散させたものを採用することが好ましい。
【0011】また、煤状黒鉛は分散し難く、分散剤を大
量に添加することも上記のように好ましくない。また、
煤状黒鉛は5wt%程度の添加で非常に粘度の高いペー
スト状になり、分散の濃度を高くすることができない。
さらに、分散剤により離型剤製作時の作業環境がベタベ
タとなり、金型鋳造用離型剤が作業着に付いた場合にそ
れが落ちない。
【0012】これに対し、発明者らは、煤状黒鉛を一旦
少量の第1溶媒により混練して嵩比重の大きい凝集体と
し、この凝集体を第2溶媒に添加してガウリンミル等で
強制的に煤状黒鉛を分散させれば、既に凝集体となって
いたことでここでの浮上が避けられ、煤状黒鉛が第2溶
媒に濡れ、分散しやすいことを発見した。これにより、
低粘度で流動性があり、かつ高濃度で煤状黒鉛を含む分
散液が得られる。こうであれば分散剤を減量することが
でき、作業環境が快適となる。そして、この分散液に少
なくともゾル状バインダ(特に羽毛状の耐熱無機水和物
を水中に分散させたもの)を混合すれば、金型鋳造用黒
鉛系離型剤を得ることができる。
【0013】したがって、本発明の金型鋳造用黒鉛系離
型剤の製造方法は、煤状黒鉛を第1溶媒により混練して
凝集体とする第1工程と、該凝集体に第2溶媒を加え、
該煤状黒鉛を該第2溶媒中に分散させて分散液を得る第
2工程と、該分散液に少なくともゾル状バインダを混合
して金型鋳造用黒鉛系離型剤を得る第3工程と、からな
ることを特徴とする。
【0014】そして、本発明に係る金型鋳造用黒鉛系離
型剤によれば、鋳造時に発生するガスを最少として気孔
等の欠陥をより生じにくくするとともに、小さな離型抵
抗で耐焼き付き性も満足できる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において採用し得る煤状黒
鉛は、電気化学工業(株)、旭カーボン(株)、東海カ
ーボン(株)、三菱化学(株)、中部カーボン(株)等
で市販されているアセチレンブラックの他、約1600
°Cの炉中燃焼により捕集したもの(ファーネスブラッ
ク)、自然燃焼の上から冷却をして捕集したもの(チャ
ンネルブラック)、約1300〜1500°Cで熱分解
により捕集したもの(サーマルランプブラック)等があ
る。また、これらを得るオイルとしてはクレオソート
油、エチレンボトム油、FCCボトム油等があり、ガス
としては天然ガス、アセチレンガスがある。そして、煤
状黒鉛の粒径は、ゴム用ハードカーボンの22〜30n
m、ゴム用ソフトカーボンの45〜90nm、カラー用
カーボン高黒の15nm以下、カラー用カーボン中低黒
の15〜30nm、電池用アセチレンブラックの35〜
45nm等がある。
【0016】本発明において、羽毛状の耐熱無機水和物
を水中に分散させたものとしては、例えば日産化学
(株)製アルミナゾル−100、アルミナゾル−200
を採用することができる。煤状黒鉛と羽毛状の耐熱無機
水和物を水中に分散させたものとの混合割合は、煤状黒
鉛が0.2〜30wt%であり、羽毛状の耐熱無機水和
物を水中に分散させたものが70〜99.5wt%であ
ることが好ましい。煤状の黒鉛は細かく、容積が大きい
ので、少量で効果を生じる。このため、煤状黒鉛が0.
2%以上であれば、その効果が最小限生じる。また、羽
毛状の耐熱無機水和物を水中に分散させたものだけで離
型剤を調製するとすると、発生するガス量が多すぎて問
題となるが、羽毛状の耐熱無機水和物を水中に分散させ
たものが99.5%以下であれば、ガス量の問題は少な
く、かつ焼き付き性には非常に良い効果がある。他方、
煤状黒鉛が30wt%を超え、羽毛状の耐熱無機水和物
を水中に分散させたものが70%未満であると、型面に
塗布した場合に離型被膜の膜厚が非常に厚くなり、金属
溶湯の湯流れの勢いで離型被膜が洗われ、鋳物内部に離
型剤が混入しやすい。また、煤状黒鉛が50wt%を超
え、羽毛状の耐熱無機水和物を水中に分散させたものが
50%未満であると、離型剤としての粘性が高くなりす
ぎ、離型剤を調製する事自体が困難となる。
【0017】金型鋳造用黒鉛系離型剤における煤状黒鉛
及び羽毛状の耐熱無機水和物を水中に分散させたものの
配合割合は35wt%以下、より好ましくは30%以下
であることが好ましい。これら煤状黒鉛及び羽毛状の耐
熱無機水和物を水中に分散させたもの以外のものとし
て、発生するガス量が少なく、離型被膜の形成性に優
れ、高温で型面に付着しやすい増量剤を採用し得る。か
かる増量剤としては、羽毛状の耐熱無機水和物を水中に
分散させたもの以外のゾル状バインダとして、シリカの
水和物をコロイド状にしたもの(コロイドシリカ(例え
ば日産化学(株)製スノーテックスN))や、精製カオ
リナイト、タルク等を採用し得る。但し、ベントナイト
はガス発生量が羽毛状の耐熱無機水和物を水中に分散さ
せたものよりも多いので好ましくない。
【0018】本発明において、第1工程で煤状黒鉛を凝
集体とする第1溶媒としては、炭素数1〜5の低級アル
コール、アセトン等の水溶性有機溶媒を採用することが
好ましい。かかる水溶性有機溶媒であれば、煤状黒鉛が
濡れやすいからである。ここで、有機溶媒と水と混合液
を採用するのであれば、有機溶媒が5〜100wt%で
ある必要がある。低沸点の水溶性有機溶媒を採用すれ
ば、この第1工程後に凝集体はペースト状から乾燥状態
となり、凝集体を扱い易くなるため、好ましい。こうし
て煤状黒鉛の容積を1/8〜1/10に減少した凝集体
が得られる。
【0019】第2工程で凝集体に加える第2溶媒として
は、RO−(CH2CH2nH等の低級合成アルコール
又はポリオキシアルキレングリコール(RO(EO/P
O) nH)等の脂肪族アルコールエチレンオキサイド付
加物と、水との混合液を採用することができる。ここ
で、低級合成アルコールのRは炭素数2〜10のアルキ
ル基、より好ましくは炭素数2〜4のアルキル基であ
り、nは2〜5である。脂肪族アルコールエチレンオキ
サイド付加物のRは炭素数1〜6のアルキル基であり、
EOはエチレンオキサイドであり、POはポリオレフィ
ンであり、nは1〜4、より好ましいnは1〜3であ
る。
【0020】かかる第2工程においては、ホモジナイザ
ー・ホモディスパー・アンカーミキサー(ガウリンミ
ル)、ギヤーポンプ、回転ミル、高圧ホモジナイザー等
の分散装置で凝集体を機械的にすりつぶすことも有効で
ある。第1溶媒及び第2溶媒は従来の分散剤として機能
するため、第1溶媒及び第2溶媒に対する煤状黒鉛の配
合割合は0.1〜40wt%、より好ましくは4〜12
%であることが好ましい。こうであれば、分散剤の濃度
も比較的低く、煤状黒鉛が高濃度で流動性のあるものと
なる。アルコール系を用いているのは作業環境が汚れに
くく、煤状黒鉛に性能上影響が低いからである。また、
比較的低温で分散剤が蒸発しやすく、煤状黒鉛の特性そ
のものが出やすくなり、分散剤による性能特性への影響
が減少をする。
【0021】第3工程において、分散液に少なくともゾ
ル状バインダ(特に羽毛状の耐熱無機水和物を水中に分
散させたもの)を混合する場合は、一般的な混合方法を
採用することができる。
【0022】
【実施例及び比較例】{試験1}煤状黒鉛としてのアセ
チレンブラック(電気化学工業(株)製デンカブラッ
ク)と、鱗片状黒鉛としての市販の黒鉛粉末(日本黒鉛
工業(株)製鱗片状黒鉛粉末5〜20μm)と、ゾル状
バインダ(羽毛状の耐熱無機水和物を水中に分散させた
もの)としての日産化学(株)製アルミナゾル−200
とを用意する。
【0023】また、第1溶媒としてイソプロピルアルコ
ール(以下、IPAという。)、第2溶媒としてポリオ
キシエチレンオキサイド(以下、CC−30(ライオン
油脂(株)の商品名でn=3))を用意する。さらに、
コロイドシリカ(日産化学(株)製スノーテックスN)
を用意する。 (実施例1) 「第1工程」アセチレンブラック50gをIPA150
gによりペースト状に混練し、150°C×30分乾燥
して凝集体とする。 「第2工程」得られた凝集体10gにCC−30を5g
と、水85gとの割合で加えてガウリンミル内に投入
し、15分処理し、アセチレンブラックを上記水溶液中
に分散させた分散液を得る。 「第3工程」得られた分散液6.5gにアルミナゾル−
200を12.8gと、水80.7gとの割合で混合
し、一般的なホモジナイザー等の混合方法で30分処理
し、金型鋳造用黒鉛系離型剤を得る。 (実施例2) 「第1工程」アセチレンブラック50gをIPA150
gによりペースト状に混練し、150°C×30分乾燥
して凝集体とする。 「第2工程」得られた凝集体10gにCC−30を5g
と、水85gとの割合で加えてガウリンミル内に投入
し、15分処理し、アセチレンブラックを上記水溶液中
に分散させた分散液を得る。 「第3工程」得られた分散液9.7gにアルミナゾル−
200を0.26gと、スノーテックスNを4.03g
と、水86.01gとの割合で混合し、一般的なホモジ
ナイザー等の混合方法で30分処理し、金型鋳造用黒鉛
系離型剤を得る。 (比較例1)アセチレンブラック0.55gと、スノー
テックスN16.39gとにCC−30を0.3gと、
水82.76gとの割合で加えてガウリンミル内に投入
し、15分処理し、金型鋳造用黒鉛系離型剤を得る。 (比較例2)鱗片状黒鉛0.6gと、スノーテックスN
16.0gとにIPA0.1gと、水83.3gとの割
合で加えてガウリンミル内に投入し、15分処理し、金
型鋳造用黒鉛系離型剤を得る。
【0024】これら実施例1、2及び比較例1、2の金
型鋳造用黒鉛系離型剤の成分割合を表1に示す。
【0025】
【表1】 これら実施例1、2及び比較例2の金型鋳造用黒鉛系離
型剤を図1に要部断面図を示す金型1の型面に塗布し、
離型抵抗(kg/cm2)を測定した。この金型1は耐
熱鋼(JIS SKD61)で形成され、第1分割型1
2と第2分割型13とで構成され、その合わせ面に金属
溶湯が注入される容積250cm3のキャビティ10が
形成されている。なお、キャビティ10の抜き勾配は2
度とした。第1分割型12には射出プランジャ装置3が
装備されている。この金型1はダイキャスト装置の型締
め装置4に固定されている。この型締め装置4と連動し
ている押し出し板41と押し出しピン42との間にはロ
ードセル45が配置されており、押し出しピン42に作
用する押し出し力をアンプ5、ペンレコ6を介して離型
抵抗として測定できるようになっている。
【0026】鋳造試験は、実施例1、2及び比較例2の
離型剤毎にこの金型1、鋳造プランジャー装置3、型締
め装置4を持つダイキャスト装置で行った。金型1の型
温は金型1内に埋め込まれた図示しない冷却穴に送る冷
却水の量をコントロールすることにより、型温150
℃、350℃、400℃の3水準に設定した。金属溶湯
としてはJISADC12組成のアルミニウム合金を用
い、溶湯温度を670℃とした。なお、型締め圧力35
0ton、射出速度0.8m/sとした。
【0027】離型剤の塗布は口径1.3mmの重力式、
平吹き式のエアーガンを用い、離型剤の固形分濃度を1
000cm3あたり約1.3gとしたものを用い、エア
ー圧4kg/cm2でキャビティー10を形成する金型
1の型面に固形分で型面1cm2当たり約0.6mgと
なるように吹き付けた。その後、各5回のショットを行
い、鋳造された鋳物の離型抵抗を調べた。結果を図2に
示す。
【0028】また、比較例1及び実施例2の金型鋳造用
黒鉛系離型剤それぞれについて、130°Cで3時間乾
燥させた固形残分を有効成分をして採取し、700°C
で窒素雰囲気中における有効成分1g当たりの発生ガス
量(ml/g)を2度測定した。なお、有効成分量を等
しくしているので、離型抵抗はともに0.75kg/c
2である。結果を図3に示す。
【0029】図2より、実施例1の金型鋳造用黒鉛系離
型剤では、離型抵抗が従来の一般的な離型剤である比較
例2のものに比べて1/3程度小さくなり、バラツキも
抑えられることがわかる。これは、図4及び図5の写真
に示すように、羽毛状のアルミナゾル−200が骨格と
なり、微細な煤状黒鉛を凝集させてネットワークを形成
しており、煤状黒鉛自体の潤滑性だけでなく、ネットワ
ークが破壊することにより機械的に離型抵抗を減少させ
るためと考えられる。
【0030】また、実施例2の金型鋳造用黒鉛系離型剤
は、アセチレンブラックからのガス発生がない利点を生
かして、アルミナゾル−200の量を極力抑えて、低ガ
ス発生を狙ったものである。図3に示すように、水分蒸
発後の固形分(有効成分)1g当たりの発生ガスを減少
させており、ガス欠陥に対して効果が大きいことがわか
る。但し、通常のダイキャストでは、雰囲気の影響の方
が大きいため、真空ダイキャストやPF(酸素置換)ダ
イキャスト等の熱処理が可能なダイキャスト用である。
【0031】これらに対し、比較例2の金型鋳造用黒鉛
系離型剤は、通常のスノーテックスNを分散剤に使用
し、鱗片状黒鉛を煤状黒鉛に置き換えただけのものであ
る。図2に示すように、煤状黒鉛を使用するだけで、従
来の一般的な離型剤に比べて離型抵抗が減少してはいる
ものの、実施例1、2の離型剤に比して離型抵抗が大き
いことがわかる。これは、図6及び図7の写真に示すよ
うに、この離型被膜においては、細かな煤状黒鉛が緻密
になっており、発生したガスの抜け道が少なくなってい
るためと考えられる。
【0032】また、比較例2の金型鋳造用黒鉛系離型剤
では、凝集した粒子が荒く不均一なために、従来は型面
に多く付着させて離型被膜を形成する必要があったが、
実施例1の金型鋳造用黒鉛系離型剤では、薄くて均一な
離型被膜が得られた。このため、実施例1の金型鋳造用
黒鉛系離型剤では使用量を減少させ得る効果があった。
【0033】さらに、比較例2の金型鋳造用黒鉛系離型
剤では、高真空ダイキャスト(1〜3torr)におい
て、分散剤から熱分解したガスが鋳物に入り、鋳物を熱
処理をすると、その鋳物にフクレ(ブリスタ)を生じる
ことがあったが、実施例1の金型鋳造法黒鉛系離型剤で
は、熱分解によるガスの影響がほとんどなくなったの
で、鋳物の熱処理によるフクレを生じることはなかっ
た。 {試験2}次いで、上記アセチレンブラック、アルミナ
ゾル−200、スノーテックスN等とともに、珪酸カリ
水溶液(日産化学(株)製スノーテックスK)を用意す
る。また、分散剤として、高級アルコール(CC−30
(ライオン油脂(株)製)と、イソプロピルアルコール
と、エタノールを用意する。
【0034】そして、上記実施例1、2と同様にして、
表2及び表3に示す水を除く成分塑性となるよう、実施
例3〜7及び比較例3〜5の金型鋳造用黒鉛系離型剤を
得る。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】 これら実施例3〜7及び比較例3〜5の原液のうち、実
施例3及び比較例3、4のものについては溶媒を水と
し、実施例4については溶媒を1wt%のイソプロピル
アルコールを含む水とし、実施例5〜7及び比較例5の
ものについては溶媒を1wt%のエタノールを含む水と
して希釈し、金型鋳造用黒鉛系離型剤とする。それぞれ
の金型鋳造用黒鉛系離型剤における水/(原液+水)の
割合は、実施例3のものでは85.26wt%、実施例
4のものでは93.01wt%、実施例5のものでは9
4.74wt%、実施例6のものでは94.74wt
%、実施例7のものでは94.74wt%、比較例3の
ものでは81.97wt%、比較例4のものでは59.
09wt%、比較例5のものでは94.74wt%であ
る。
【0037】これら実施例3〜7及び比較例3〜5の金
型鋳造用黒鉛系離型剤についても、上記と同様に離型抵
抗を測定した。この結果、アセチレンブラックとアルミ
ナゾル−200との混合割合は、煤状黒鉛が0.2〜3
0wt%であり、アルミナゾル−200が70〜99.
5wt%であることが好ましかった。
【0038】また、金型鋳造用黒鉛系離型剤におけるア
セチレンブラック及びアルミナゾル−200の配合割合
は35wt%以下、より好ましくは30%以下であるこ
とが好ましかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】離型抵抗を測定した金型の要部断面図である。
【図2】離型抵抗の結果を示すグラフである。
【図3】発生したガス量の結果を示すグラフである。
【図4】実施例1の金型鋳造用黒鉛系離型剤による離型
被膜の粒子構造を示す500倍の顕微鏡写真である。
【図5】実施例1の金型鋳造用黒鉛系離型剤による離型
被膜の粒子構造を示す3500倍の顕微鏡写真である。
【図6】比較例2の金型鋳造用黒鉛系離型剤による離型
被膜の粒子構造を示す500倍の顕微鏡写真である。
【図7】比較例2の金型鋳造用黒鉛系離型剤による離型
被膜の粒子構造を示す3500倍の顕微鏡写真である。
【手続補正書】
【提出日】平成10年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 詔一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 荒木 慎輔 愛知県豊田市緑ケ丘3丁目65番地 大豊工 業株式会社内 (72)発明者 仙石 裕司 愛知県岡崎市橋目町字請地57番地1 (72)発明者 石川 俊樹 愛知県刈谷市東石根36−3 三和油化工業 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも煤状黒鉛とゾル状バインダとを
    有し、これらが混合されてなることを特徴とする金型鋳
    造用黒鉛系離型剤。
  2. 【請求項2】ゾル状バインダは羽毛状の耐熱無機水和物
    を水中に分散させたものであることを特徴とする請求項
    1記載の金型鋳造用黒鉛系離型剤。
  3. 【請求項3】煤状黒鉛を第1溶媒により混練して凝集体
    とする第1工程と、 該凝集体に第2溶媒を加え、該煤状黒鉛を該第2溶媒中
    に分散させて分散液を得る第2工程と、 該分散液に少なくともゾル状バインダを混合して金型鋳
    造用黒鉛系離型剤を得る第3工程と、からなることを特
    徴とする金型鋳造用黒鉛系離型剤の製造方法。
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