JPH1124306A - 電子写真用トナーおよび画像形成方法 - Google Patents

電子写真用トナーおよび画像形成方法

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JPH1124306A
JPH1124306A JP18082797A JP18082797A JPH1124306A JP H1124306 A JPH1124306 A JP H1124306A JP 18082797 A JP18082797 A JP 18082797A JP 18082797 A JP18082797 A JP 18082797A JP H1124306 A JPH1124306 A JP H1124306A
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JP
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polyester resin
weight
resin
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JP18082797A
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Satoshi Yoshida
聡 吉田
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉砕性能を低下させることなく、耐オフセッ
ト性能を満足する電子写真用トナーおよびそれを用いた
画像形成方法を提供する。 【解決手段】 結着樹脂、着色剤を含有する電子写真用
トナーにおいて、結着樹脂として、反応性基を1個有す
る有機フッ素化合物によって末端基の一部または全部が
変性されたポリエステル樹脂を用いたことを特徴とす
る。変性には、例えば、9H−ヘキサデカフルオロノナ
ノイルクロライド或いは3−パーフルオロオクチルプロ
パノールを用いることができる。このトナーを用いて電
子写真法により画像形成を行う場合、定着器用離型剤塗
布量の低減をはかることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
ー、ファクシミリ等、電子写真プロセスを利用した機器
に使用される電子写真用トナーおよびそれを使用する画
像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法については従来から多数の方
法が知られているが、使用するトナーの製造方法として
は、乾式製造方法の1つである混練粉砕方法が多用され
ている。混練粉砕方法は、熱可塑性樹脂に代表される結
着樹脂中に顔料または染料の如き着色剤と、必要に応じ
て離型剤や帯電制御剤とを融解混練した後、粉砕し、さ
らに分級することによって所望の粒子径を有するトナー
を製造する方法である。この方法は、結着樹脂中での着
色剤およびその他の添加剤の分散性を高めることができ
ることや、結着樹脂の種類に制限がないという観点から
非常に優れた方法であるため、現在最も一般的に用いら
れている。しかしながら、この方法は粉砕によって粒子
化を行うために、結着樹脂の分子量が高い場合には、結
着樹脂の強度が高くなり、粉砕効率が低下したり、所望
の粒径まで微細化できない場合がある。そのため、従来
のトナーでは結着樹脂の分子量を高くできないという制
約があった。特に、定着工程でのトナーの耐ホットオフ
セット性等に対しては、結着樹脂の分子量は高いほど有
利であることから、粉砕性と耐オフセット性を高いレベ
ルで両立できるトナーが所望されている。
【0003】このような、粉砕時の問題点を克服するた
めに、混練後のトナー組成物を細い繊維状に成形した後
粉砕を行う方法(特開昭56−95246号公報)や、
混練後のトナー組成物に無機微粒子を外添した後に粉砕
を行う方法(特開昭56−142541号公報)等が提
案されている。しかしながら、いずれの方法も分子量の
高い結着樹脂を用いた場合、満足すべき小粒径化された
トナーを得ることはできず、近年の高画質化の観点から
要求される微細化を達成することはできない。
【0004】また、上述の問題点を解決するものとし
て、混練粉砕法を用いずに、溶剤中でトナーの造粒を行
う湿式製造方法が提案されている。湿式製造法として
は、例えば、特開昭63−25664号公報等に記載さ
れている液中乾燥法があげられる。液中乾燥法は、結着
樹脂および着色剤を少なくとも含むトナー組成物を揮発
性溶剤に分散・溶解させて分散溶液を調製し、この分散
溶液を水系媒体中に分散させた後、水系媒体中から揮発
性溶媒を除去して粒子化する方法である。この方法は、
溶液中でトナーが造粒されるため、結着樹脂の分子量に
よる影響がないことや、トナー粒子が球形になる等の利
点があるが、結着樹脂が揮発性溶剤に溶解可能なものに
限定されるという問題、残留した造粒剤が帯電に悪影響
を与えるという問題、多量の有機溶剤を使用することか
ら環境に悪影響を与えるという問題等が新たに生じる。
したがって、可能な限り湿式製造方法を用いずに製造で
きるトナーが所望されている。
【0005】一方、耐オフセット性の問題を克服するた
めに、例えば、トナーに利用される結着樹脂の分子量分
布について、2つのピーク、つまり高分子量域と低分子
量域にそれぞれ分子量分布のピークを有する樹脂を用い
る方法a(特開昭56−158340号公報等)、結着
樹脂中にワックス等の離型剤を添加する方法b(特公昭
52−3304号公報等)等が知られている。しかしな
がら、前記方法aの場合、粉砕性能の制約から、結着樹
脂中の高分子量成分の含有量を多くすることができず、
結果的にオフセットを十分に防止することができない。
前記方法bの場合、ワックスを添加すると、帯電性、ト
ナー粉体流動性、光透過性等が悪化する傾向にあり、こ
れら特性に影響を与えないような添加量にすると、従来
用いられている低分子量の結着樹脂を含有するトナーで
は、オフセットを十分に防止することができないのが現
状である。
【0006】一方、結着樹脂としてポリエステル樹脂を
用いてその末端基を変性してトナーを改善することも公
知である。例えば、特開平2−129653号公報に
は、結着樹脂の酸価と水酸基価の調整のために、一価の
酸および/またはアルコールにより処理したポリエステ
ル樹脂を結着樹脂とした電子写真用トナーが開示されて
いる。一価の酸および/またはアルコール化合物が、安
息香酸等の芳香族化合物の場合には、化合物自体の凝集
力が高く、粉砕性能の改善効果は望めない。また、一価
の酸および/またはアルコール化合物が、炭素数が小さ
なアルキル化合物の場合には、結着樹脂の末端基の凝集
力を低下させる能力が低く、粉砕性能の改善効果はほと
んど得られない。一方、特開平7−175263号公報
には、帯電の環境安定性向上とワックス分散性向上の目
的で、炭素数22から102のアルキル基を有する化合
物で処理したポリエステル樹脂を結着樹脂として用いた
電子写真用トナーが開示されている。この方法で処理し
たポリエステル樹脂を含むトナーでも粉砕性能改善の効
果を得ることができるが、アルキル基の炭素数が大きい
ために、粉砕時に粉砕機中でのトナーの融着が発生しや
すくなること、および、複写物同士を重ねて保存した時
の複写物保存性が低下する等の問題点に対して十分とは
言い難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上述のごとき問題を解決することを目的として
なされたものである。すなわち、本発明の目的は、粉砕
性能を低下させることなく、耐オフセット性能を満足す
る電子写真用トナーを提供することにあり、さらには、
トナー粉体保存性能、複写物保存性能、低温定着性能、
トナー耐久性能、トナー粉体流動特性、転写性能、帯電
性能、光透過性能をも満足することができる電子写真用
トナーを提供することにある。本発明の他の目的は、優
れた画質の画像を形成することができる画像形成方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】トナーにおいては、結着
樹脂の分子量の大小に加え、モノマー組成の相違による
分子間凝集力の差が、トナーの粉砕性と耐オフセット性
に大きな影響を与える。分子量が大きいと、また、分子
間凝集力が強いと、耐オフセット性能は向上するが、粉
砕性能が低下する。本発明者等は、耐オフセット性能を
低下させずに粉砕性能を向上させるために、分子間凝集
力について詳細に検討した結果、結着樹脂の末端基を制
御することが重要であるという結論に達した。すなわ
ち、分子間凝集力の強弱を決定するのは、結着樹脂の構
成モノマーの凝集力に加えて、分子の末端基の凝集力も
大きな要因となりうること、さらには、分子の末端基が
定着部材との接着性にも影響を与えていることを見いだ
した。すなわち、粉砕性能を向上させるためには、結着
樹脂の末端基を凝集力の弱い化合物で変性し、耐オフセ
ット性能を向上させるためには、結着樹脂の末端基を疎
水性の高い化合物で変性すればよく、したがって、結着
樹脂の末端基を、凝集力が弱く、疎水性の高い化合物で
変性することにより、粉砕性能と耐オフセット性能を両
立することができることが判明した。本発明は、以上の
ような知見に基いてなされたものである。
【0009】すなわち、本発明の電子写真用トナーは、
少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなるものであっ
て、その結着樹脂が、反応性基を1個有する有機フッ素
化合物によって末端基の一部または全部が変性されたポ
リエステル樹脂を含有することを特徴とする。
【0010】本発明の画像形成方法は、潜像保持体上に
静電潜像を形成する工程と、該静電潜像を現像剤担持体
上に担持された現像剤を用いて現像する工程と、潜像保
持体上に形成されたトナー像を記録材料に転写する工程
と、転写されたトナー像を熱定着する工程とを有するも
のであって、上記現像剤として、着色剤と、反応性基を
1個有する有機フッ素化合物によって末端基の一部また
は全部が変性されたポリエステル樹脂を含有する結着樹
脂とを有するトナーを用いることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の電子写真用トナーにおい
て、結着樹脂としては、末端基が変性されたポリエステ
ル樹脂が使用されるが、まず、ポリエステル樹脂の末端
基を変性する化合物について説明する。本発明において
は、ポリエステル樹脂の末端基と結合可能な反応性基、
例えば、水酸基またはカルボン酸基を1個有する有機フ
ッ素化合物が使用される。本発明において、この化合物
には、分子内に反応性基が1個のみ存在することが必要
である。分子内に反応性基を2つ以上有する有機フッ素
化合物によってポリエステル樹脂の末端基を変性する
と、ポリエステル分子同士を結合させたり、ポリエステ
ル樹脂の分子量を上昇させる等から粉砕性能が低下す
る。また、化合物中の反応性基が未反応で残る場合が生
じ、ポリエステル樹脂の末端基を変性させる意味がなく
なってしまう。
【0012】反応性基を1個有する有機フッ素化合物と
しては、一価のアルコール系フッ素含有化合物および一
価の酸系フッ素含有化合物があげられる。一価のアルコ
ール系フッ素含有化合物としては、一価のアルコール化
合物がフッ素化されたものならば特に制限はないが、芳
香族化合物でないものが好ましい。芳香族化合物は凝集
力を高める効果があるため、芳香族核がフッ素化されて
いても粉砕性能が低下する場合があるからである。具体
的には、例えば以下の式(1)〜(6)で示される構造
をもつものがあげられる。 XB −(XA )−(RB )−(RA )−OH (1) (XB )2 CR−(XA )−(RB )−(RA )−OH (2) (XB )3 C−(XA )−(RB )−(RA )−OH (3) XC −(RB )−(RA )−OH (4) (XC )2 CR−(RB )−(RA )−OH (5) (XC )3 C−(RB )−(RA )−OH (6) [上記式中、lは0から20までの整数、mは0または
1、nは1から20までの整数を表す。 XA :−CF2 −、−CHF−、−CF(CF3 )−、
C(CF3 2 − XB :−CF3 、−CHF2 、−CH2 F、−CH3 XC :−CF3 、−CHF2 、−CH2 F R:−H、−F RA :−CH2 −等のアルキレン基 RB :−CH=CH− ここで、XA 、XB 、XC がそれぞれ複数存在する場
合、それらは同じものでも、異なるものでもよい。] これらの変性用化合物の中でも、化合物中のフッ素含有
量が多い方が粉砕性能向上の効果が高いため、lの値よ
りもnの値の方が大きいものがより好ましい。また、l
+m+nが12以下のものがさらに好ましい。l+m+
nが大きいと、樹脂の末端にソフトセグメントを形成す
るため、粉砕機中での融着が起こりやすくなり、粉砕効
率が低下したり、粒度分布が広くなる傾向があるからで
ある。また、mの値が偶数のものが比較的容易に製造で
きるため好ましい。また、変性用化合物中のフッ素の含
有割合が多い方が効果が高いため、nの値よりもmの値
の方が大きいものが好ましい。
【0013】一価の酸系フッ素含有化合物としては、上
記アルコール系化合物の場合と同様に、芳香族化合物で
ないものが好ましい。具体的には、例えば以下の式
(7)〜(12)で示される構造をもつものがあげられ
る。 XB −(XA )−(RB )−(RA )−COOH (7) (XB )2 CR−(XA )−(RB )−(RA )−COOH (8) (XB )3 C−(XA )−(RB )−(RA )−COOH (9) XC −(RB )−(RA )−COOH (10) (XC )2 CR−(RB )−(RA )−COOH (11) (XC )3 C−(RB )−(RA )−COOH (12) [上記式中、lは0から20までの整数、mは0または
1、nは1から20までの整数を表す。 XA :−CF2 −、−CHF−、−CF(CF3 )−、
C(CF3 2 − XB :−CF3 、−CHF2 、−CH2 F、−CH3 XC :−CF3 、−CHF2 、−CH2 F R:−H、−F RA :−CH2 −等のアルキレン基 RB :−CH=CH− ここで、XA 、XB 、XC がそれぞれ複数存在する場
合、それらは同じものでも、異なるものでもよい。] また、これらのカルボン酸の低級アルキルエステル化合
物や、これらの酸クロライド化合物などがあげられる。
これらの変性用化合物の中でも、化合物中のフッ素含有
量が多い方が粉砕性能向上の効果が高いため、lの値よ
りもnの値の方が大きいものがより好ましい。また、l
+m+nが12以下のものがさらに好ましい。l+m+
nが大きいと、樹脂の末端にソフトセグメントを形成す
るため、粉砕機中での融着が起こりやすくなり、粉砕効
率が低下したり、粒度分布が広くなる傾向があるからで
ある。また、mの値が偶数のものが比較的容易に製造で
きるため好ましい。
【0014】本発明において、ポリエステル樹脂の末端
基を変性する方法としては、ポリエステル樹脂を合成す
る際に、他のモノマーと共に反応性基を1個有する有機
フッ素化合物を一緒に仕込み重縮合させる方法、ポリエ
ステル樹脂を合成した後に、触媒と溶媒を適宜用いて、
ポリエステル樹脂の末端を反応性基を1個有する有機フ
ッ素化合物によりエステル化反応させる方法、および、
ポリエステル樹脂を合成した後に、触媒と溶媒を適宜用
いて、イソシアネート化合物またはジアミン化合物等の
2価以上の化合物を介して、ポリエステル樹脂の末端を
反応性基を1個有する有機フッ素化合物によりエステル
化反応させる方法等があるが、ポリエステル樹脂を合成
した後に、触媒と溶媒を適宜用いて、ポリエステル樹脂
の末端を反応性基を1個有する有機フッ素化合物により
エステル化反応させる方法が好ましい。この方法では、
ポリエステル樹脂の合成を、通常採用されている方法に
よって行うことができるため、分子量やガラス転移温度
(以下、「Tg」と略す。)等の調節が容易であるとと
もに、末端基変性に際しても、ポリエステル樹脂の特性
を変化させることが少ないからである。一方、ポリエス
テル樹脂を合成する際に、他のモノマーと共に反応性基
を1個有する有機フッ素化合物を一緒に仕込み重縮合さ
せる方法では、一価の酸および/または一価のアルコー
ルが重合停止剤としての役割を果たすため、重合度が上
がらなかったり、分子量分布が極端に広くなってしまう
という弊害がある。また、ポリエステル樹脂を合成した
後に、触媒と溶媒を適宜用いて、イソシアネート化合物
やジアミン化合物等を介して、ポリエステル樹脂の末端
を反応性基を1個有する有機フッ素化合物によってエス
テル化反応させる方法では、イソシアネート化合物また
はジアミン化合物等を介して一価の酸および/または一
価のアルコール同士が反応して、副反応物を生成する場
合がある。
【0015】また、ポリエステル樹脂の製造条件によっ
ては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以
下、「GPC」と略すことがある。)で、数百から15
00程度の分子量域に大きなピークを有する場合があ
る。このピークは、未反応のモノマーや低分子オリゴマ
ーを示すものであり、これらは、ポリエステル樹脂中の
末端基の数を極端に多くするため、これらを取り除いて
から末端変性処理を行うことも好ましく用いることがで
きる。未反応のモノマーや低分子オリゴマーを取り除く
方法としては、例えば、高分子実験学総論(共立出版)
等に示されているような再沈殿法等の公知の分別法、精
製法が使用でき、それらの方法に従って処理することが
できる。
【0016】前記ポリエステル樹脂の末端基は、そのす
べてが変性されていることが粉砕性能向上のためには好
ましいが、一方では、末端基の水酸基およびカルボン酸
基が、トナーの帯電量の絶対値を向上させたり、紙やO
HPシート等の記録材料との接着性を向上させる等の役
割を果たしていることから、末端基の一部を変性するこ
とが実用上好ましい。したがって、末端基の変性量とし
ては、ポリエステル樹脂の全末端基数の20%から80
%の範囲が好ましい。また、トナーの帯電性を調整する
ために、ポリエステル樹脂の末端基変性後の酸価を5か
ら30mgKOH/g、水酸基価を5から30mgKO
H/gとなるように末端基変性量を調整してもよい。末
端基の変性量を前記の範囲に調整する方法としては、ポ
リエステル樹脂の末端基を変性処理する工程で、全末端
基数の20%から80%が、好ましくは40%から80
%が変性されるように変性用の化合物の添加量を調整し
てもよいし、末端基の一部または全てが変性処理された
ポリエステル樹脂と未処理のポリエステル樹脂とを混合
してもよい。また、粉砕性能と耐オフセット性能の両立
に加えて記録材料との接着性向上のために、ポリエステ
ル樹脂を、高分子量ポリエステル樹脂と低分子量ポリエ
ステル樹脂の混合物として用い、かつ、高分子量ポリエ
ステル樹脂の末端基変性量を低分子量ポリエステル樹脂
の末端基変性量よりも多くして用いてもよい。低分子量
ポリエステル樹脂は末端基の数が多いため、特にOHP
シートのようなプラスチック製記録材料への接着性付与
への寄与率が大きいからである。ここで、ポリエステル
樹脂の全末端基数は、例えば、JIS−K0070の測
定方法に従って、ポリエステル樹脂の水酸基価および酸
価を測定することにより求めることができる。例えば、
水酸基価が30mgKOH/gである場合には、KOH
の1モルが56.1gであるので、30mgを56.1
gで割ることにより、ポリエステル樹脂1g中の水酸基
のモル数が計算できる。酸基のモル数も同様に計算する
ことができる。また、ポリエステル樹脂の末端基変性割
合は、末端基変性後の酸価および水酸基価を測定し、未
処理の酸基数および水酸基数を求めて、末端基変性前の
酸基数および水酸基数で割ることにより求めることがで
きる。
【0017】本発明に用いられる結着樹脂は、トナー特
性、特に定着性の観点からその全てがポリエステル樹脂
よりなることが好ましい。理由は定かではないが、結着
樹脂の主鎖中にエステル結合が存在することが、定着部
材に対する接着性や、定着部材から剥離する際の剥離変
形に対する応答性に有効に作用しているものと推察され
る。
【0018】本発明におけるポリエステル樹脂として
は、カラートナーとして使用する場合に非晶性ポリエス
テル樹脂が好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の場合、
結晶性ポリエステル樹脂のように、結晶による光散乱に
より樹脂自体が白濁することがなく、カラー発色性、O
HP光透過性に優れる点で有利である。本発明におい
て、「非晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量計
(以下「DSC」と略記する)チャートにおいて、ガラ
ス転移温度(以下、「Tg」と略記する。)に対応した
吸熱点の他に、結晶融点に対応した吸熱ピークを示さな
いポリエステル樹脂を意味する。
【0019】本発明におけるポリエステル樹脂は、例え
ば、「高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学
会編:培風館)に記載されているようなモノマー成分で
ある、2価または3価以上のカルボン酸と、2価または
3価以上のアルコールとの反応により得ることができ
る。なお、本発明においては、ポリエステル樹脂として
市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用し
てもよい。
【0020】2価のカルボン酸としては、例えば、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン
−2,7−ジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカル
ボン酸、2,2′−ビフェニルジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩
基酸、およびこれらの無水物または低級アルキルエステ
ル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸
等の脂肪族不飽和ジカルボン酸等があげられる。3価以
上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼ
ントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン
酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、および
これらの無水物または低級アルキルエステル等があげら
れる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上
を併用してもよい。
【0021】2価のアルコールとしては、例えば、ビス
フェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノ
ールAのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオ
キシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等があ
げられる。3価以上のアルコールとしては、例えば、グ
リセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトール等があげられる。これらは
1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよ
い。
【0022】前記ポリエステル樹脂は、これらのモノマ
ー成分の中から任意の組合せを用い、従来公知の方法に
よって合成することができ、例えば、エステル交換法お
よび直接重縮合法等を単独で、または組み合せて用いる
ことができる。特に、高重合度のポリエステルを合成す
るためには、モノマーの純度を上げる、反応副生成物の
除去のための真空度を上げる、反応温度を最適化する、
反応触媒を最適化する等に留意する必要がある。また、
低重合度のポリエステル樹脂を、ジイソシアネート含有
化合物等を用いて高重合度化することもできる。これら
の中でも、高重合度のポリエステル樹脂を製造する場合
には、エステル交換法を用いることが好ましい。エステ
ル交換法は、エステル交換反応温度と減圧(ほぼ真空状
態)下で揮発性を有するモノマーを少なくとも1つ用い
て、第一段階として、150℃から230℃程度の温度
で、酸成分とアルコール成分のエステル化反応を行った
後、第二段階として、180℃から280℃程度の温度
と減圧下で、前記揮発性モノマーを系外に除去しながら
エステル交換を行わせ、重合度を上げていく合成法であ
り、この方法によれば、高重合度のポリエステルを容易
に、かつ、狭い分子量分布で合成することが可能であ
る。特に線状ポリエステルを合成する場合には有効であ
る。但し、この方法で合成されたポリエステル樹脂は、
末端基がすべて水酸基となるため、トナー化時の負帯電
量の絶対値が低い場合がある。この場合には、末端の水
酸基を本発明の方法で変性することに加えて、一部の水
酸基を無水トリメリット酸等で変性して、酸価を付与す
ることもできる。直接重縮合反応の場合には、モノマー
の純度の低下や、モノマーの仕込み量の最適値からの僅
かなずれによって、高重合度のポリエステルを得ること
が極端に難しくなる。したがって、直接重縮合反応を用
いて高重合度とするためには、3価以上のモノマーを用
いることが必要となるが、3価以上のモノマーを用いる
と、その架橋成分のために定着後画像の平滑性(グロ
ス)が上がりにくくなる傾向があるため、カラートナー
として用いる場合には、エステル交換法で合成された結
着樹脂を用いることが好ましい。
【0023】前記ポリエステル樹脂は、末端基変性後の
Tgが、40℃〜100℃の範囲にあることが好まし
く、50℃〜80℃の範囲がより好ましい。また、末端
基変性処理がなされていないポリエステル樹脂を混合し
て用いる場合には、末端基変性処理がなされていないポ
リエステル樹脂のTgも40℃〜100℃の範囲にある
ことが好ましく、50℃〜80℃の範囲にあることがよ
り好ましい。Tgが、40℃未満であると、トナー保存
時のブロッキング性の低下やトナー粉砕時に融着が生ず
ることがあり、100℃を越えると、定着温度を上昇さ
せなければならないので、いずれの場合も好ましくな
い。Tgは、例えば、示差走査熱量計(マックサイエン
ス社製:DSC3110、熱分析システム001)を用
いて、一旦150℃程度まで昇温後冷却して結着樹脂の
熱履歴を除いた後、昇温速度5℃/分の条件で測定する
ことができ、得られたチャートのTgに相当する吸熱点
の低温側の肩の温度をTgとすることができる。本発明
におけるTgは、以上のようにして測定したものであ
る。
【0024】前記ポリエステル樹脂は、末端基変性後に
GPC法で測定される重量平均分子量(以下「Mw」と
略すことがある)が5000ないし70000であっ
て、平均分子量(以下「Mn」と略すことがある)は3
000ないし30000であるのが好ましく、低温定着
性や耐オフセット性を考慮すると、Mwが10000な
いし50000であって、Mnが5000ないし200
00であることが好ましい。
【0025】ここで、結着樹脂の分子量および分子量分
布は、公知の方法で測定される。最も一般的には、GP
Cが用いられる。本発明でのGPC測定は、GPC装置
はTOYO SODA製:HLC−802Aを用い、オ
ーブン温度40℃、カラム流量毎分1ml、サンプル注
入量0.1mlで行った。サンプルの濃度は0.5%
で、和光純薬製:GPC用THF(テトラヒドロフラ
ン)を用いた。検量線の作成には、TOYO SODA
製:標準ポリスチレン試料を用いた。
【0026】本発明の電子写真用トナーにおいて、結着
樹脂は、その総てが前記ポリエステル樹脂であるのが好
ましいが、本発明の効果を著しく損なわずに、帯電性等
の他の電子写真特性を変える目的で、前記ポリエステル
樹脂の含有量を80重量%程度まで減じ、他の樹脂を併
用してもよい。併用できる他の樹脂としては、例えば、
スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル
系共重合樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポ
リアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等があげられる。
これらは、1種のみを含有させてもよいし、2種以上を
含有させてもよく、また、適宜合成したものであっても
よいし、市販品であってもよい。
【0027】本発明の電子写真用トナーに用いられる着
色剤は、特に制限はなく、それ自体公知の着色剤を目的
に応じて適宜選択して使用することができる。使用でき
る着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ランプ
ブラック、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カ
ルコイルブルー、メチレンブルークロライド、銅フタロ
シアニン、キノリンイエロー、クロームイエロー、デュ
ポンオイルレッド、オリエントオイルレッド、ローズベ
ンガル、マラカイトグリーンオキサレート、ニグロシン
染料、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピ
グメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド8
1:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピ
グメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー1
2、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメ
ントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:
3等があげられる。これらを1種または2種以上組み合
せて用いることもできる。着色剤の電子写真用トナーに
おける含有量は、結着樹脂100重量部に対して1〜3
0重量部の範囲が好ましい。なお、着色剤の種類に応じ
て、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、
ブラックトナー等が得られる。
【0028】なお、本発明の電子写真用トナーは、目的
に応じて、適宜選択した添加剤等を含有していてもよ
い。例えば、磁性を得る目的で、鉄、フェライト、マグ
ネタイトを始めとする鉄類、ニッケル、コバルト等の強
磁性を示す金属、合金またはこれらの金属を含む化合
物、磁性材料、磁化可能な材料を含有させてもよい。ま
た、さらなるオフセット性能向上のために離型剤を含有
させてもよい。離型剤としては、例えば、低分子量ポリ
エチレンおよび低分子量ポリプロピレン等のオレフィン
系ワックス、パラフィン系ワックス、シリコーン類、ロ
ジン類、ライスワックス、カルナウバワックス、エステ
ルワックス等があげられ、その添加量は結着樹脂100
重量部に対して、0.01重量部から20重量部の範囲
が好ましい。離型剤の添加量が多いとトナーの粉体流動
性等を低下させるため、より好ましくは0.01重量部
から10重量部、さらに好ましくは0.01重量部から
5重量部の範囲である。
【0029】また、本発明の電子写真用トナーには、さ
らなる性能向上のために種々の添加剤を用いることがで
きる。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に
応じて適宜選択すればよく、例えば、無機微粒子、有機
微粒子、帯電制御剤等のそれ自体公知の各種添加剤があ
げられる。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アル
ミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネ
シウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウ
ム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイ
ソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セ
リウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジ
ルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等があげられる。
これらの中でも、シリカ微粒子が好ましく、特に疎水化
処理されたシリカ微粒子が好ましい。前記無機微粒子
は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記
無機微粒子の1次粒子径は、1〜1000nmの範囲に
あるのが好ましく、その添加量は、トナー100重量部
に対して0.01〜20重量部の範囲が好ましい。
【0030】有機微粒子は、一般にクリーニング性や転
写性を向上させる目的で使用されるものであって、例え
ば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフ
ッ化ビニリデン等があげられる。帯電制御剤は、一般に
帯電性を向上させる目的で使用されるものであって、例
えば、サリチル酸金属塩、含金属アゾ化合物、ニグロシ
ンや4級アンモニウム塩等があげられる。
【0031】次に、本発明の画像形成方法について説明
する。本発明の画像形成方法は、潜像保持体上に静電潜
像を形成する工程と、形成された静電潜像を現像剤担持
体上に担持された現像剤を用いて現像する工程と、潜像
保持体上に形成されたトナー像を記録材料に転写する工
程と、転写されたトナー像を熱定着する工程とよりなる
が、これらは公知の方法によって実施することができ
る。
【0032】本発明においては、現像剤として、上記の
電子写真用トナーが使用されるが、それは一成分系の電
子写真用現像剤として使用してもよいし、キャリアを含
む二成分系の電子写真用現像剤として使用してもよい。
二成分系の電子写真用現像剤の場合、キャリアとして
は、特に制限はなく、それ自体公知のキャリア、例え
ば、樹脂被覆キャリア等が好適に用いられる。樹脂被覆
キャリアは、芯材の表面を樹脂で被覆したものであっ
て、芯材としては、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッ
ケル粉等の磁性を有する粉体等が用いられ、また、被覆
する樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、ビニル系樹
脂、シリコーン系樹脂等があげられる。
【0033】本発明の電子写真用トナーは、耐オフセッ
ト性能に優れているため、記録材料に転写されたトナー
像を熱定着する工程においては、接触型の定着方法を用
いるのが好ましい。接触型定着方法としては、圧力のみ
を使用する定着方法、熱および圧力を使用する加熱圧着
方法等があげられるが、これらの中でも加熱圧着方法が
好ましい。
【0034】加熱圧着方法に使用される定着装置として
は、特に制限はなく、従来から公知の加熱圧着装置、例
えば、定着部材がロール形状を有する装置であり、熱ロ
ールと、これに対向配置された圧着ロールと、熱ロール
を加熱するための加熱源と、熱ロールの表面に定着部材
用の離型剤を供給する離型剤供給装置とを有してなるも
のが使用される。必要に応じてさらに、熱ロールの表面
に付着したトナーを除去するためのクリーニング部材、
圧着ロールを加熱するための加熱源、記録材料を熱ロー
ルから剥離させる爪(フィンガー)等を有していてもよ
い。なお、加熱圧着装置における加熱源は、温度制御装
置により制御されている。加熱圧着装置においては、ロ
ールとロールとの組み合わせを、ロールとベルトとの組
み合わせ、ベルトとベルトとの組み合わせに代えてもよ
い。定着部材用の離型剤としては、特に制限はないが、
例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素オイル、フ
ロロシリコーンオイル、およびアミノ変性シリコーンオ
イル等の変性オイル等の液体離型剤があげられる。これ
らの中でも、定着部材の表面に吸着し均質な離型剤層を
作るにはアミノ変性シリコーンオイル等の変性オイル、
定着部材に対するヌレ性が良いため均質な離型剤層を作
るのに理想的であるフッ素オイル、フロロシリコーンオ
イルが好ましい。なお、従来の画像形成方法の場合に
は、離型剤としてフッ素オイル、フロロシリコーンオイ
ルを使用すると、離型剤の供給量を少なくすることがで
きないためにコスト面で実用的ではないが、本発明の画
像形成方法においては、離型剤の供給量を激減できるの
で、離型剤としてフッ素オイル、フロロシリコーンオイ
ルを用いてもコスト面で実用上問題はない。定着部材用
の離型剤を熱ロールの表面に供給する方法としては、特
に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッド方
式、ウエブ方式、ロール方式および非接触型のシャワー
方式(スプレー方式)等があげられる。これらの中で
も、ウエブ方式、ロール方式が好ましい。これらの方式
の場合、離型剤を均一に供給でき、しかも供給量をコン
トロールすることが容易な点で有利である。なお、シャ
ワー方式で前記定着部材の全体に均一に離型剤を供給す
るには、別途ブレード等を用いる必要がある。
【0035】前記定着部材は、樹脂、ゴム等の弾性体、
金属等のそれ自体公知の種々の材料の1種を単独で使用
して、または2種以上を併用して形成することができ
る。定着部材は、目的に応じて各種の添加剤等を含有し
ていてもよく、例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目
的でカーボンブラックまたは金属酸化物等を含有しても
よい。なお、トナーが十分に冷えて固体状態になってか
ら剥離させるように設計したベルト型の定着部材等の場
合、ポリアミドまたはポリイミド等の樹脂中にフッ素樹
脂等の離型性に優れた樹脂等を混ぜて形成し、ある程度
耐熱性を犠牲にして離型性を向上させてもよい。前記定
着部材の基材(コア)には、耐熱性に優れ、変形に対す
る強度が強く、熱伝導性の良い材質が選択され、ロール
型の定着装置の場合には、例えばアルミニウム、鉄、銅
等が選択され、ベルト型の定着装置の場合には、例えば
ポリイミドフィルム、ステンレス鋼製ベルト等が選択さ
れる。
【0036】前記定着部材は、剥離特性の観点から、表
面層が、フッ素ゴム層、フッ素樹脂層、シリコーンゴム
層等の離型性に優れた材料で形成されているのが好まし
い。また、さらなる画質向上のためには、単層または積
層構造の弾性層を有するのが好ましい。定着部材が前記
弾性層を有すると、記録材料上のトナー像の凹凸に追従
して定着部材が変形し、定着後におけるトナー像表面の
平滑性を向上させることができる点で有利である。弾性
層としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム層等を用いる
ことができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例について説
明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもので
はない。 ポリエステル樹脂の合成例: (合成例1)撹拌器、温度計、コンデンサー、窒素ガス
導入管を備えた反応容器中で、ビスフェノールAエチレ
ンオキシド付加物(BPE−20、三洋化成社製)33
1.8重量部、テレフタル酸ジメチルエステル291重
量部およびチタンテトラブトキシド2重量部を、窒素気
流下200℃で約6時間撹拌反応させた。その後、室温
まで冷却し、さらにエチレングリコール250重量部と
チタンテトラブトキシド2重量部とを加え、窒素気流下
で再び190℃に昇温し約4時間撹拌反応させた後、3
時間をかけて1mmHg以下まで減圧し、さらに、22
0℃、1mmHg以下の減圧下で約5時間反応させ、重
量平均分子量が18000、数平均分子量が6100、
Tgが68.5℃の淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹
脂(ポリエステル樹脂A)を得た。ポリエステル樹脂A
は、水酸基価が31mgKOH/g、酸価は2mgKO
H/gであった。
【0038】(合成例2)撹拌器、温度計、コンデンサ
ー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中で、ビスフェノ
ールAエチレンオキシド付加物(BPE−20、三洋化
成社製)331.8重量部、テレフタル酸ジメチルエス
テル291重量部およびチタンテトラブトキシド2重量
部を、窒素気流下200℃で約6時間撹拌反応させた。
その後、室温まで冷却し、さらにエチレングリコール2
50重量部とチタンテトラブトキシド2重量部とを加
え、窒素気流下で再び190℃に昇温し約4時間撹拌反
応させた後、3時間をかけて1mmHg以下まで減圧
し、さらに、220℃、1mmHg以下の減圧下で約8
時間反応させ、重量平均分子量が27000、数平均分
子量が11500、Tgが69.7℃の淡黄色透明な非
晶性ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂B)を得た。
ポリエステル樹脂Bは、水酸基価が22mgKOH/
g、酸価は1mgKOH/gであった。
【0039】(合成例3)ビスフェノールAエチレンオ
キシド付加物(BPE−20、三洋化成社製)189.
6重量部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物
(BP−2P、三洋化成社製)154.8重量部、エチ
レングリコール31.6重量部、テレフタル酸ジメチル
エステル291重量部およびジブチルスズオキシド3重
量部を、反応器中窒素気流下180℃で約9時間撹拌反
応させた。その後、さらに温度を240℃に上げて約3
時間撹拌反応させ、重量平均分子量11000、数平均
分子量3200、Tgが71.4℃の淡黄色透明な非晶
性ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂C)を得た。ポ
リエステル樹脂Cは、水酸基価が19mgKOH/g、
酸価は23mgKOH/gであった。
【0040】ポリエステル樹脂の変性例: (変性例1)撹拌器、温度計および冷却器を備えた反応
容器中に、トルエン1500重量部を入れ、合成例1で
得られたポリエステル樹脂A100重量部を添加して、
窒素気流下約50℃で約8時間かけて溶解した後、室温
まで冷却し、トリエチルアミンを10重量部加えて、さ
らに9H−ヘキサデカフルオロノナノイルクロライド
(H(CF2 8 COCl)20.5重量部をトルエン
50重量部で希釈した溶液を、反応容器中の混合物に徐
々に加えた。反応容器内の温度上昇が終了した後、反応
容器内の温度を約80℃に上昇させて約8時間撹拌反応
させた。得られたトルエン溶液をメタノール6000重
量部で再沈して、沈殿物を取り出し、さらに、この沈殿
物をメタノールで洗浄した後、十分に乾燥させて変性ポ
リエステル樹脂(ポリエステル樹脂D)約90重量部を
得た。ポリエステル樹脂Dの変性割合は約78%であっ
た。
【0041】(変性例2)合成例1で得られたポリエス
テル樹脂Aの100重量部を、9H−ヘキサデカフルオ
ロノナノイルクロライド11.5重量部を用いて変性例
1と同様の方法によって変性し、変性ポリエステル樹脂
(ポリエステル樹脂E)を得た。ポリエステル樹脂Eの
変性割合は約42%であった。 (変性例3)合成例2で得られたポリエステル樹脂Bの
100重量部を、9H−ヘキサデカフルオロノナノイル
クロライド22.0重量部を用いて変性例1と同様の方
法によって変性し、変性ポリエステル樹脂(ポリエステ
ル樹脂F)を得た。ポリエステル樹脂Fの変性割合は約
100%であった。
【0042】(変性例4)合成例1と同様の反応容器中
で、合成例3で得られたポリエステル樹脂Cの100重
量部と、3−パーフルオロオクチルプロパノール(F
(CF2 8 (CH2 3 OH)20.0重量部と、チ
タンテトラブトキシド0.7重量部とを、窒素気流下1
70℃で約3時間反応させた後、容器内を1mmHg以
下に減圧し、残留した3−パーフルオロオクチルプロパ
ノールを系外へ取り除いて変性ポリエステル樹脂(ポリ
エステル樹脂G)を得た。ポリエステル樹脂Gの変性割
合は約48%であった。
【0043】(変性例5:比較例)合成例1と同様の反
応容器中で、合成例1で得られたポリエステル樹脂Aの
100重量部と、ベヘン酸メチルエステル(H(C
2 21COOCH3 )17重量部と、チタンテトラブ
トキシド0.7重量部とを用い、変性例4と同様の方法
で変性して、変性ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂
H)を得た。ポリエステル樹脂Hの変性割合は約78%
であった。 (変性例6:比較例)変性例1と同様の反応容器中で、
合成例1で得られたポリエステル樹脂Aの100重量部
と、ベンゾイルクロライド(C6 5 COCl)の6.
3重量部とを用い、変性例1と同様の方法で変性して、
変性ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂J)を得た。
ポリエステル樹脂Jの変性割合は約75%であった。
【0044】上記未変性のポリエステル樹脂および変性
されたポリエステル樹脂について、その物性を下記表1
に示す。
【表1】
【0045】実施例1 ポリエステル樹脂Dの96重量部とシアン顔料(シアニ
ンブルー4933M、大日製化社製)4重量部とをバン
バーリーミキサー型混練機で溶融混練し、混練物を圧延
ロールで厚さ1cm程度の板状に成形し、フィッツミル
型粉砕機で数ミリ程度まで粗粉砕し、IDS型粉砕機
(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕を順次行い、
トナーを得た。(トナーA) 実施例2 ポリエステル樹脂Eの96重量部とシアン顔料4重量部
とを用い、実施例1と同様の方法でトナーBを得た。 実施例3 ポリエステル樹脂Fの67.2重量部と、ポリエステル
樹脂Gの28.8重量部と、シアン顔料4重量部とを用
い、実施例1と同様の方法でトナーCを得た。
【0046】比較例1 ポリエステル樹脂Aの96重量部とシアン顔料4重量部
とを用い、実施例1と同様の方法でトナーDを得た。 比較例2 ポリエステル樹脂Hの96重量部とシアン顔料4重量部
とを用い、実施例1と同様の方法でトナーEを得た。 比較例3 ポリエステル樹脂Cの96重量部とシアン顔料を4重量
部とを用い、実施例1と同様の方法でトナーFを得た。 比較例4 ポリエステル樹脂Jの96重量部とシアン顔料4重量部
とを用い、実施例1と同様の方法でトナーGを得た。
【0047】(トナー粉砕性の評価)実施例および比較
例で得られた各トナーの粒度分布をコールターカウンタ
ー(日科機社製)で測定した。ここで粒度分布指数は、
コールターカウンター測定で得られた粒度分布における
16%粒径値を84%粒径値で割り、平方根を取った値
であり、1に近いほど粒度分布が狭いことを意味してい
る。得られた粒子径の小さいもの程、粉砕性がすぐれて
いると判断される。
【0048】(トナーの定着性の評価)実施例および比
較例で得られた各トナーを、ELBOW型分級機で分級
を行った後、疎水性シリカ粉末(R972:日本アエロ
ジル社製)を3重量%添加して定着性能を評価した。但
し、この評価ではトナーの粒子径が異なるが、定着性能
には殆ど影響しないのでここでは無視した。定着性の評
価は、A−color複写機(富士ゼロックス社製)の
定着器を用い、定着用トナー画像はソリッド像(トナー
量1mg/cm2 )をリサイクル用紙(WR紙:富士ゼ
ロックス社製)上に作製し、定着器の搬送速度は50m
m/sec、定着器へのシリコーンオイル塗布量を無視
できるレベル(シリコーンオイルを塗布後、A3用紙を
3枚空通しした後)まで減らした条件で定着試験を行っ
た。ここでは、オフセット等の画像劣化が発生しない範
囲で、得られた画像のグロス値が高いもの程定着性がす
ぐれていると判断した。なお、画像のグロス値は、グロ
スメーターGM−26D(村上色彩技術研究所製)を用
い、サンプルへの入射光角度を75°とする条件で測定
した。
【0049】(トナーのOHP用紙に対する接着性の評
価)実施例及び比較例で得られた各トナーを、「トナー
の定着性の評価」と同様に、記録材料をWR紙から、白
黒用OHP用紙(富士ゼロックス社製)に変更して定着
性評価を行った。オフセット等の画像劣化が発生しない
範囲で、得られた画像のグロス値が最も高い時の画像
を、OHP用紙ごと徐々に折り曲げて、OHP用紙から
の画像の剥離程度を評価した。最も接着性が高い順に、
優、良、可の3段階に分けて目視評価した。
【0050】以上の評価結果を表2に示す。
【表2】
【0051】本発明における末端基変性を行ったポリエ
ステル樹脂を用いた実施例1から3の各トナーは、粉砕
性能にすぐれ、小粒径化が容易であったと共に、結着樹
脂の分子量が従来のトナーよりも高いことから耐オフセ
ット性能に優れているため、得られたグロス値も高いも
のであり、結果として鮮やかな画像が得られた。一方、
末端基変性を行っていない比較例1のトナーDと比較例
4のトナーGは、末端基の凝集力が高いために粉砕性能
が低く、粒径が大きくなってしまった。また、比較例2
のトナーEは、末端基を変性した化合物のアルキル鎖が
長く、末端で過度のソフトセグメントを形成してしまっ
たため、粉砕時においての粒度分布が広くなってしまっ
た。また、粉砕集率も低下してしまった。さらに、末端
基変性を行っていない比較例3のトナーFは従来用いら
れているトナーであり、粉砕性能は良好であるが、耐オ
フセット性能は非常に低かった。
【0052】
【発明の効果】本発明における末端基変性を行ったポリ
エステル樹脂を用いた電子写真用トナーは、末端基の凝
集力が低下したことにより粉砕性能が著しく改善された
ものであり、また、それにより結着樹脂の分子量を高め
ることができることに加え、末端基の低表面エネルギー
化による高疎水性、高剥離性、低接着性により、耐オフ
セット性能の向上、定着器用離型剤塗布量の低減、定着
後画像強度の向上、紙等の記録材料へのトナーのしみ込
みの低減、トナー粉体流動性の向上、トナー保存性の向
上、複写物保存性の向上、外添剤の使用量の低減、現像
器中でのトナーの耐久性の向上、帯電均一性の向上、含
水率の低減に伴う環境安定性の向上、感光体汚染の低
減、クリーニング性の向上、転写性の向上等の効果が得
られる。また、末端基の適度なソフトセグメント化によ
り、低温定着性の向上の効果も得られた。さらに、特殊
な添加剤を用いていないため、高画質、高発色性が得ら
れ、光透過性も優れている。さらに、より耐オフセット
性能を向上させるためにトナー中に離型剤を含有させる
場合でも、結着樹脂の耐オフセット性能が優れるため、
従来のトナーよりも離型剤の含有量を減らせるため、離
型剤を含有することによるトナー諸特性の低下を最小限
に抑えることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂および着色剤を含有する電子写
    真用トナーにおいて、該結着樹脂が、反応性基を1個有
    する有機フッ素化合物によって末端基の一部または全部
    が変性されたポリエステル樹脂を含有することを特徴と
    する電子写真用トナー。
  2. 【請求項2】 潜像保持体上に静電潜像を形成する工程
    と、該静電潜像を現像剤担持体上に担持された現像剤を
    用いて現像する工程と、潜像保持体上に形成されたトナ
    ー像を記録材料に転写する工程と、転写されたトナー像
    を熱定着する工程とを有する画像形成方法において、該
    現像剤として、着色剤と、反応性基を1個有する有機フ
    ッ素化合物によって末端基の一部または全部が変性され
    たポリエステル樹脂を含有する結着樹脂とを有するトナ
    ーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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