JPH11241759A - ボール伝動式差動制限装置 - Google Patents

ボール伝動式差動制限装置

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JPH11241759A
JPH11241759A JP4520998A JP4520998A JPH11241759A JP H11241759 A JPH11241759 A JP H11241759A JP 4520998 A JP4520998 A JP 4520998A JP 4520998 A JP4520998 A JP 4520998A JP H11241759 A JPH11241759 A JP H11241759A
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ball
plate
disk plate
limiting device
transmission type
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JP4520998A
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Akitoshi Nakamura
彰利 中村
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造によって確実な差動制限効果を得
ることのできるボール伝動式差動制限装置を提供する。 【解決手段】 デフケースの回転力は各ボールを介して
各ディスクプレートの溝に伝達され、各ディスクプレー
トがデフケースと一体に回転する。ここで、各ディスク
プレートに回転差が生ずると、センタープレートの各長
孔に収容された各ボールが各ディスクプレートの溝に案
内されて転動し、各長孔に沿って往復移動する。その
際、各ディスクプレートに回転差を発生させる力が一方
のディスクプレート側から加わると、他方のディスクプ
レートでは差動時に従動側となるボールが差動時に主軸
側となる溝を自らの動きに追従させようとするため、こ
の時に生ずる反力が抵抗となって各ディスクプレートの
差動が制限される。この装置の部品のうち、スラストワ
ッシャの材質を合金鋼または焼結材とし、これらに表面
処理を施す。表面処理としては、浸炭硬化、窒化硬化、
浸炭窒化硬化、硬質クロムメッキまたは合成樹脂被覆を
施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車の左右または
前後駆動輪の回転差を許容する差動装置に関し、特に差
動制限機能を備えたボール伝動式差動制限装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の差動装置は、車両がカーブを走
行する際の左右駆動輪の回転差、または四輪駆動車にお
ける前後駆動輪の回転差を許容する装置であり、構造的
には出力軸に連結された一対のベベルギヤの間にピニオ
ンギヤを介在させ、ピニオンギヤのシャフトに外側から
回転力を加えると、差動時にはピニオンギヤが自転して
各出力軸の回転差が許容されるように構成されたものが
一般的である。
【0003】ところが、一方の駆動輪のみが雪や砂等、
摩擦係数の極端に少ない路面に乗り上げた場合には、差
動により一方の車輪に空転して全体の駆動力が失われ、
その場から脱出できなくなるという状態に陥り易かっ
た。また、カーブを高速走行する際に遠心力によって内
側の車輪の荷重が極端に減少した場合にも、荷重が減少
した車輪が空転してカーブを高速で走行するための駆動
力が失われ易いという欠点もある。
【0004】このような欠点を補うために、例えばクラ
ッチディスク圧着式等の差動制限機構を備えたものであ
るが、これは一方の駆動輪が接地していないときでも、
駆動力を得るためにクラッチディスクに予圧を与えてい
る場合が多く、それによってこのタイプはエンジン側か
ら駆動力が入力されていない非駆動時及び減速時におい
ても各駆動輪同士が拘束され、アンチロックブレーキシ
ステムのように各車輪の回転に独立性が要求される装置
との組合わせに難点があった。
【0005】また、最近ではビスカス・カップリングを
用いた回転感応型の差動制限機構が多く使われている。
ビスカス・カップリングは一種の粘性クラッチであり、
粘性流体(シリコンオイル等)の剪断抵抗を利用してト
ルクを伝えるようになっている。従って、このタイプで
は回転差に応じてスムーズな差動制限効果を得ることが
できるが、粘性流体によって初期抵抗が与えられるた
め、先に述べたクラッチディスク圧着式ほどではないが
各駆動輪同士の拘束を受ける結果になる。
【0006】そこで、非駆動時及び制動時は各駆動輪の
拘束が少なく、駆動時に差動を制限する機構を持った差
動装置としては、例えば特開平4−271926号に記
載されているように、ウォームギヤの組合わせによるト
ルク感応型のものも知られている。このタイプでは、同
軸上を互いに独立して回転可能な一対のネジ状のウォー
ムと、これに直角な回転軸を有する複数のフォームホイ
ールとが噛み合わされており、各ウォームを回転させる
とウォームホイールはスムーズに回転するが、逆にウォ
ームホイール側から回転させようとした場合は回転が困
難であるというウォームギヤ特有の性質を利用してお
り、これにより条件に応じた差動及び差動制限効果が得
られるという特徴を備えている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビスカ
ス・カップリングに代表される回転感応型の差動制限機
構では、トルク伝達率が流体の粘性のみに依存するた
め、温度が変化すると流体の粘性が変わり、常に安定し
た差動制限効果が得られないという課題があった。ま
た、このタイプでは、回転差が生じてから差動制限が行
われるまでに時間差があり、走行動作の変化に瞬時に対
応することができないという課題もあった。一方、ウォ
ームギヤを用いた差動装置では、差動制限が機械的に行
われるため差動制限効果は安定しているが、その反面、
部品点数が多く構造が複雑であるとともに、部品の加工
及び組立に極めて高い精度が要求され、しかも許容トル
クに比べて装置全体が大型になるという課題があった。
これら差動装置の可動中にウォームギヤがギヤケースを
かじり金属粉末や小さい金属片がギヤにはいりこみ異音
を発し、装置を分解し手間のかかる内部の清掃をしなけ
ればならない場合があった。
【0008】本発明に係るボール伝動式差動制限装置の
構成は、図1〜図3に示すように、デフケース1と、デ
フケース1の一端を閉塞するデフケースカバ2と、互い
に同軸状に対向して配置された一対のディスクプレート
3と、各ディスクプレート3の間に配置されたセンター
プレート4と、センタープレート4に転動自在に保持さ
れた多数のボール5とを備えてそれぞれ構成している。
そして、デフケース1の内面と各ディスクプレート3と
の間にスラストワッシャ3cが挿入されている。スラス
トワッシャ3cの材質を合金鋼(例えばSCM鋼等)や
焼結材のような耐摩耗材とした場合であっても、デフケ
ース1の内面のかじりやディスクプレート3との面接触
による摩耗が課題であった。
【0009】本発明は前記課題に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、簡単な構造によって、
適切な各部品の材質の選定、特にスラストワッシャに表
面処理を施すことによる耐摩耗性向上、によって安全か
つ確実な差動制限効果を得ることのできるボール伝動式
差動制限装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、第1の発明では、互いに軸方向に対向して
同軸状に配置された一対のディスクプレートと、各ディ
スクプレートを収容するデフケースと、各ディスクプレ
ートの軸方向の対向面間に配置された複数のボールと、
各ボールを各ディスクプレートの間に保持するセンター
プレートと、デフケースの内面と各ディスクプレートと
の間には各ディスクプレートをセンタープレートのみの
間隔に保持するスラストワッシャとを備え、前記センタ
ープレートにはディスクプレートの径方向に延びる複数
の案内部をディスクプレートの軸方向に貫通して設けて
各案内部に各ボールを移動自在に収容し、各ディスクプ
レートの軸方向の対向面には各ボールに係合する溝をデ
ィスクプレートの周方向に連続して設け、各溝を各ディ
スクプレートに回転差が生ずると各ボールが前記案内部
に沿って往復移動するように形成したボール伝動式差動
制限装置であって、前記スラストワッシャが表面処理を
施した合金鋼よりなることを特徴とするボール伝動式差
動制限装置を構成している。
【0011】また、第2の発明では、第1の発明のボー
ル伝動式差動制限装置において、前記スラストワッシャ
が表面処理を施した焼結材よりなることを特徴とするボ
ール伝動式差動制限装置を構成している。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係るボール伝動式差動制
限装置においては、前記デフケースの側面に軸方向の幅
が少なくとも各ディスクプレートを一つずつ挿入可能な
開口部を設けるとともに、デフケース内には各ディスク
プレートの対向面間に少なくとも各ボールの外径以上の
間隔が形成されるように各ディスクプレートをデフケー
スの軸方向に移動可能な隙間を設け、デフケースの内面
と各ディスクプレートとの間には各ディスクプレートを
センタープレートのみの間隔に保持するスラストワッシ
ャを備えている。デフケースの開口部から各ディスクプ
レートを挿入するとともに、各ディスクプレートをデフ
ケースの軸方向両端側に移動して各ディスクプレートの
対向面間に各ボールをセンタープレートと共に挿入した
後、各ディスクプレートをセンタープレート側に移動
し、デフケースの内面と各ディスクプレートとの間はス
ラストワッシャを挿入して各ディスクプレートをセンタ
ープレートのみの間隔に保持することによって組立られ
ることから、デフケースを一部品で構成し、ボルト等の
締結部材を用いずに組立てることが可能となる。
【0013】スラストワッシャはデフケースの内面をか
じらない材質、および耐摩耗性に優れた材質である必要
がある。SCM鋼等の合金鋼または焼結材に表面処理を
施し、耐摩耗性を付与したものを適用する。表面処理と
しては、浸炭硬化、窒化硬化、浸炭窒化硬化、硬質クロ
ムメッキ、または合成樹脂被覆をほどこす。ここで合成
樹脂被覆に限っては、技術的面とその効果を勘案して合
金鋼を対象とし、焼結材は対象としない。
【0014】スラストワッシャへの上述の表面処理は、
現状技術を適用することができる。即ち、浸炭硬化処理
は、スラストワッシャと浸炭剤とを密閉容器内で850
〜900°Cに加熱して浸炭処理を施す。浸炭で粗粒化
した結晶粒を微細化して改良するために約830〜90
0°Cより油焼入れ(一次焼入れ)をした後、750〜
800°Cに加熱して水または油焼入れを施す。なお、
ひずみ取りのために焼きもどしを施したほうが好まし
い。このような固体浸炭のほかに、ガス浸炭法を適用し
てもよい。
【0015】また、窒化硬化処理としては、NH3ガス
で窒化硬化するに際し、窒化の深さを増すCr含有量や
焼きもどし脆性を防止するMoの含有量等を考慮して、
適切な合金鋼を選択することが好ましい。また、浸炭窒
化処理としては、液体浸炭窒化法またはガス浸炭窒化法
のいずれを適用してもよい。
【0016】また、硬質クロムメッキ処理としては、C
r電解液中に浸漬してメッキを施すことにより、表面に
硬質クロム層(約5μm)を形成することができる。ま
た,合成樹脂被覆処理としては、フェノ−ルレジンヤペ
ーパーフェノールを表面にはりつけによりおこなう。以
上のような処理を施すことにより、スラストワッシャに
耐摩耗性を付与することができる。
【0017】このデフケース内の少なくとも一部のボー
ルの移動に伴って流動する粘性流体を充填することもで
きる。このような粘性流体としては例えばシリコンオイ
ルが用いられ、このオイルはオイル温度が上昇するにつ
れ粘性が上昇し、トルク伝達に有効である。なお、ディ
スクプレートはボール(JIS:SUJ2)の転動によ
る繰り返し応力をうけるため、優れた疲労強度と共に耐
摩耗性にも優れた金属材質の選定が必要である。例え
ば、球状黒鉛鋳鉄の中で、最も強度が優れているオース
テンパー球状黒鉛鋳鉄(疲労強度を向上させるために表
面にショットピーニングを施してもよい。)、または低
炭素含有のマルテンサイト基地を有する球状黒鉛鋳鉄を
選定することもできる。また、合金鋼製ディスクプレー
トを適用してもよい。また、合金鋼製ディスクプレート
は精密鋳造品(ロストワックス法により製造された鋳造
品も含む)であってもよい。また、炭素鋼やステンレス
鋼等の鋼粉末を用いた焼結材も適用できる。
【0018】デフケースの材質としては、フェライト系
基地を有する球状黒鉛鋳鉄を基本とし、オーステンパー
球状黒鉛鋳鉄、低炭素マルテンサイト基地を有する球状
黒鉛鋳鉄および各種合金鋼を適用できる。
【0019】また、センタープレートの材質としては、
オーステンパー球状黒鉛鋳鉄、低炭素マルテンサイト基
地を有する球状黒鉛鋳鉄、各種合金鋼、精密鋳造品およ
び鋼粉末による焼結材を適用できる。
【0020】本発明のボール伝動式差動制限装置では、
デフケース及びセンタープレートを軸心回りに回転させ
ると、この回転力は各ボールを介して各ディスクプレー
トの溝に伝達され、各ディスクプレートがデフケースと
一体に回転する。ここで、各ディスクプレートに回転差
が生ずると、センタープレートの各案内部に収容された
各ボールが各ディスクプレートの溝に案内されて転動
し、各案内部に沿って往復移動する。その際、各ディス
クプレートに回転差を発生させる力が一方のディスクプ
レート側から加わると、他方のディスクプレートでは差
動時に従動側となるボールが差動時に主動側となる溝を
自らの動きに追従させようとするため、この時に生ずる
反力が抵抗となって各ディスクプレートの差動が制限さ
れる。この場合、溝と転動体の間で発生する反力の大き
さは、溝とボールとの接触角の大きさによって決まる。
【0021】図1乃至図6は本発明の実施の形態の1例
を示すもので、図1はボール伝動式差動制限装置の側面
断面図、図2は図1におけるA−A線方向矢視断面図、
図3はボール伝動式差動制限装置の分解斜視図である。
【0022】このボール伝動式差動制限装置は、図1ま
たは図3を参照して説明すると、デフケース1と、デフ
ケース1の一端を閉塞するデフケースカバ2と、互いに
同軸状に対向して配置された一対のディスクプレート3
と、各ディスクプレート3の間に配置されたセンタープ
レート4と、センタープレート4に転動自在に保持され
た多数のボール5とを備えてそれぞれ構成している。そ
して、デフケース1の内面と各ディスクプレート3との
間にスラストワッシャ3cが挿入されている。
【0023】デフケース1は一端を開口した筒形をな
し、その中央には一方のディスクプレート3を支持する
軸受け1aが設けられている。デフケース1の周囲には
フランジ1bが設けられ、フランジ1bにはボルト挿通
用の多数の孔1cが設けられている。また、デフケース
1の内面にはセンタープレート4を固定するための溝1
d(図2参照)が設けられている。
【0024】デフケースカバ2は円盤状に形成され、そ
の中央には他方のディスクプレート3を支持する軸受け
2aが設けられている。デフケースカバ2の周囲にはフ
ランジ2bが形成され、フランジ2bにはボルト挿通用
の多数の孔2cが設けられている。即ち、デフケースカ
バ2は各フランジ1b,2bを締結するボルト2dによ
ってデフケース1に組付けられている。
【0025】各ディスクプレート3は互いに対向面を平
坦に形成され、その他端には車輪側のドライブシャフト
6を連結するための連結部3aが設けられている。各デ
ィスクプレート3の対向面には各ボール5が転動自在に
係合する溝3bが設けられ、各溝3bは周方向に連続し
て形成されている。各溝3bは、図4に示すようにボー
ル5をディスクプレート3の径方向内側から外側に向か
って移動させる第1の案内区間3b−1と、ボール5を
ディスクプレート3の径方向外側から内側に向かって移
動させる第2の案内区間3b−2とを周方向に連続して
有し、一方のディスクプレート3では第1の案内区間3
b−1が第2の案内区間3b−2よりも周方向に長く形
成され、他方のディスクプレート3では第2の案内区間
3b−2が第1の案内区間3b−1よりも周方向に長く
形成されている。即ち、各ディスクプレート3の対向面
においては、ボール5を反転させる位置が、図4に示す
ように各溝3bの一方(図4では外側)が重なり合った
ときは、他方(図4では内側)では互いに周方向にずれ
るようになっている。また、一方のディスクプレート3
とデフケース1との間、他方のディスクプレート3とデ
フケースカバ2との間にはそれぞれスラストワッシャ3
cが介装されている。
【0026】センタープレート4は両端面を平坦状に形
成され(図3参照)、その周面に設けた溝4aとデフケ
ース1の溝1dに嵌合するピン4b(図2参照)によっ
てデフケース1内に固定されている。センタープレート
4には各ボール5を転動自在に収容する計8つの長孔4
cが周方向に等間隔で設けられ、各長孔4cは径方向に
直線状に延び、それぞれ軸方向に貫通して設けられてい
る。即ち、各長孔4cは案内部をなす。
【0027】各ボール5はセンタープレート4の各長孔
4cに収容され、それぞれ各ディスクプレート3の溝3
bに係合している。
【0028】以上のように構成された差動装置において
は、デフケース1のフランジ1bにエンジンからの駆動
力を伝達するリングギヤ(図示省略)が取付けられ、装
置全体がデフケース1の軸心回りに回転するようになっ
ている。即ち、デフケース1に駆動力が入力されると、
デフケース1と一体にセンタープレート4が回転し、こ
の回転力は各ボール5を介して各ディスクプレート3の
溝3bに伝達され、各ディスクプレート3に連結された
左右のドライブシャフト6に伝達される。
【0029】ここで、本発明のボール伝動式差動制限装
置の動作を、各ドライブシャフト6に回転差が生じてい
ない場合と、各ドライブシャフト6に回転差が生じた場
合と、一方のドライブシャフト6のみが空転し易い状態
に陥った場合について説明する。
【0030】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各ドライブシャフト6に回転差が生じ
ていない場合は、各ディスクプレート3には回転差が生
じないので、各ボール5の転動は起こらず、各ディスク
プレート3がセンタープレート4と一体に回転する。
【0031】次に、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各ドライブシャフト6に回転差が生じた場合に
は、以下に示す動作によって各ドライブシャフト6の回
転差が許容される。即ち、各ドライブシャフト6の回転
差により各ディスクプレート3が互いに反対方向に回転
すると、各長孔4c内のボール5が各溝3bに案内され
て転動し、それぞれの長孔4cに沿って往復移動する。
即ち、図4において径方向の外側にあったボール5は、
図5に示すように各溝3bの第1の案内区間3b−1
(図4参照)に沿って径方向の内側に向かって移動し、
図6に示すように内側の反転位置に達した後は、各溝3
bの第2の案内区間3b−2(図4参照)に沿って径方
向の外側に向かって移動する。この場合、図4に示すよ
うに一つおきに半数ずつのボール5が各溝3bの外側の
反転位置に達するが、各ディスクプレート3の対向面で
は各溝3bの反転位置が内側または外側の一方で一致し
たときに他方では互いにずれるようになっているので、
他のボール5は内側の反転位置まで達していない。つま
り、ボール5が各溝3bの反転位置に達したときは、ボ
ール5と溝3bとの間で力を伝達することができないの
で、全てのボール5が同時に各溝3bの反転位置に達し
ないようにする必要がある。
【0032】次に、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
ったときなど、片方のドライブシャフト6のみが空転し
易い状態に陥った場合には、以下に示す動作により各ド
ライブシャフト6の差動が制限される。即ち、前述のよ
うに各ディスクプレート3の回転差が均等な力によって
生じた場合、各溝3bは各ボール5を円滑に転動させる
ことができるが、一方のディスクプレート3のみをドラ
イブシャフト6側から回転させようとした場合、一方の
溝3bのみが各ボール5を転動させようとするので、各
溝3bには各ボール5との接触面における反力が作用す
る。これが抵抗となって一方のディスクプレート3の回
転に他方のディスクプレート3を追従させることが困難
になり、各ドライブシャフト6の差動が制限される。
【0033】このように、本実施の形態の例のボール伝
動式差動制限装置によれば、各長孔4c内のボール5を
各溝3bの案内により長孔4cに沿って往復移動させる
ことにより、一方のディスクプレート3のみから回転力
が加わった場合、ボール5が溝3bとの接触面から受け
る反力(摩擦力)によって差動を制限するようにしたの
で、動作の確実なトルク感応の差動制限効果を得ること
ができ、しかも構造が簡単で小型化に極めて有利であ
る。また、各ボール5と各溝3bとの接触角の大きさを
任意に設定することにより、必要に応じた差動制限効果
を得ることも可能である。
【0034】ここで、スラストワッシャ3cを合金鋼又
は燒結材で作成し、浸炭硬化、窒化硬化、浸炭窒化硬
化、硬質クロムメッキ、合成樹脂被覆の表面処理を行っ
たものと表面処理なしのものについて評価試験を行っ
た。評価試験は、入力トルク91N−m、差動回転数3
0rpm、耐久差動数24万差動という条件で行った。
試験後の摺動面を観察することにより、評価を行った。
浸炭硬化、窒化硬化、浸炭窒化硬化、硬質クロムメッキ
を施したものは耐磨耗性が良好で、かじりの発生がな
く、合成樹脂被覆のものは耐磨耗性がやや良好であった
が、表面処理を施していないものはかじりが発生してい
た。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のボール伝
動式差動制限装置を構成する主要部品の適切な材質選定
のもとに、特にスラストワッシャを合金鋼または焼結材
とし、これに表面硬化処理を施して、耐摩耗性を付与す
ることにより、ボール伝動式差動制限装置を安定して作
動、使用することができ、差動制限効果の機能を発揮で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示すボール伝動式
差動制限装置の側面断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視方向断面図である。
【図3】本発明のボール伝動式差動制限装置の分解斜視
図である。
【図4】本発明のボール伝動式差動制限装置の動作説明
図である。
【図5】本発明のボール伝動式差動制限装置の動作説明
図である。
【図6】本発明のボール伝動式差動制限装置の動作説明
図である。
【符号の説明】
1 デフケース 1a 軸受 1b フランジ 1c ボルト挿入孔 1d センタープレート固定用孔 2 デフケースカバ 2a 軸受 2b フランジ 2c ボルト挿入孔 3 ディスクプレート 3a ドライブシャフト連結部 3b 溝 3c スラストワッシャ 3b−1 第1の案内区間 3b−2 第2の案内区間 4 センタープレート 4a 溝 4b ピン 4c 長孔 5 ボール 6 ドライブシャフト

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに軸方向に対向して同軸状に配置さ
    れた一対のディスクプレートと、各ディスクプレートを
    収容するデフケースと、各ディスクプレートの軸方向の
    対向面間に配置された複数のボールと、 各ボールを各
    ディスクプレートの間に保持するセンタープレートと、
    デフケースの内面と各ディスクプレートとの間には各デ
    ィスクプレートをセンタープレートのみの間隔に保持す
    るスラストワッシャとを備え、 前記センタープレートにはディスクプレートの径方向に
    延びる複数の案内部をディスクプレートの軸方向に貫通
    して設けて各案内部に各ボールを移動自在に収容し、各
    ディスクプレートの軸方向の対向面には各ボールに係合
    する溝をディスクプレートの周方向に連続して設け、各
    溝を各ディスクプレートに回転差が生ずると各ボールが
    前記案内部に沿って往復移動するように形成したボール
    伝動式差動制限装置であって、前記スラストワッシャが
    表面処理を施した合金鋼よりなることを特徴とするボー
    ル伝動式差動制限装置。
  2. 【請求項2】 互いに軸方向に対向して同軸状に配置さ
    れた一対のディスクプレートと、各ディスクプレートを
    収容するデフケースと、各ディスクプレートの軸方向の
    対向面間に配置された複数のボールと、 各ボールを各
    ディスクプレートの間に保持するセンタープレートと、
    デフケースの内面と各ディスクプレートとの間には各デ
    ィスクプレートをセンタープレートのみの間隔に保持す
    るスラストワッシャとを備え、 前記センタープレートにはディスクプレートの径方向に
    延びる複数の案内部をディスクプレートの軸方向に貫通
    して設けて各案内部に各ボールを移動自在に収容し、各
    ディスクプレートの軸方向の対向面には各ボールに係合
    する溝をディスクプレートの周方向に連続して設け、各
    溝を各ディスクプレートに回転差が生ずると各ボールが
    前記案内部に沿って往復移動するように形成したボール
    伝動式差動制限装置であって、前記スラストワッシャが
    表面処理を施した焼結材よりなることを特徴とするボー
    ル伝動式差動制限装置。
  3. 【請求項3】 前記デフケース内の少なくとも一部にボ
    ールの移動に伴って流動する粘性流体を充填したことを
    特徴とする請求項1に記載のボール伝動式差動制限装
    置。
  4. 【請求項4】 前記デフケース内の少なくとも一部にボ
    ールの移動に伴って流動する粘性流体を充填したことを
    特徴とする請求項2に記載のボール伝動式差動制限装
    置。
  5. 【請求項5】 前記スラストワッシャの表面処理が浸炭
    硬化であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のい
    ずれか1項に記載のボール伝動式差動制限装置。
  6. 【請求項6】 前記スラストワッシャの表面処理が窒化
    硬化であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のい
    ずれか1項に記載のボール伝動式差動制限装置。
  7. 【請求項7】 前記スラストワッシャの表面処理が浸炭
    窒化硬化であることを特徴とする請求項1乃至請求項4
    のいずれか1項に記載のボール伝動式差動制限装置。
  8. 【請求項8】 前記スラストワッシャの表面処理が硬質
    クロムメッキであることを特徴とする請求項1乃至請求
    項4のいずれか1項に記載のボール伝動式差動制限装
    置。
  9. 【請求項9】 前記スラストワッシャの表面処理が合成
    樹脂被覆であることを特徴とする請求項1または請求項
    3に記載のボール伝動式差動制限装置。
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