JPH11239498A - 精製哺乳動物由来インターフェロンの製造方法 - Google Patents

精製哺乳動物由来インターフェロンの製造方法

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JPH11239498A
JPH11239498A JP10060331A JP6033198A JPH11239498A JP H11239498 A JPH11239498 A JP H11239498A JP 10060331 A JP10060331 A JP 10060331A JP 6033198 A JP6033198 A JP 6033198A JP H11239498 A JPH11239498 A JP H11239498A
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interferon
ifn
purified
insect
column
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JP10060331A
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English (en)
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Hidekazu Nagaya
英和 長屋
Seiji Ishiyama
誠司 石山
Hiroki Kaki
宏樹 柿
Yuichi Yokomizo
祐一 横溝
Yasuyuki Mori
康行 森
Shigeki Inumaru
茂樹 犬丸
Yoshihiro Shimoji
善宏 下地
Masatoshi Tanigawa
雅俊 谷川
Akihiko Uchiyama
明彦 内山
Yoshiyuki Saeki
欣之 佐伯
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National Institute of Animal Health
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Katakura Industries Co Ltd
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National Institute of Animal Health
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Katakura Industries Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遺伝子組換えの手段により得た哺乳動物由来
インターフェロンから、ほぼ完全に夾雑蛋白を除去する
簡単な方法を開発し、効率よく精製哺乳動物由来インタ
ーフェロンを得る手段を提供すること。 【解決手段】 組換えバキュロウイルスを用いて生産し
た哺乳動物由来インターフェロン含有溶液を、陽イオン
交換カラムに付すか、シリカゲルカラム、金属キレート
カラム及びレクチンカラムに付す精製哺乳動物由来イン
ターフェロンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組換えバキュロウ
イルスを用いて生産した哺乳動物由来インターフェロン
含有溶液を精製し、精製哺乳動物由来インターフェロン
を製造する方法に関し、更に詳細には、昆虫細胞由来の
夾雑物を効率的に除去し、経済的により精製哺乳動物由
来インターフェロンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インターフェロン(以下、「IFN」と
略す)は、抗ウイルス作用を示す蛋白質を主成分とする
生理活性物質で、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤等の医薬の有
効成分として用いられているものである。IFNには、
3種の異なるタイプのものがあり、それぞれIFN−
α、IFN−β、IFN−γと呼ばれている。
【0003】近年、IFNの製造には遺伝子操作の手法
が採用されており、動物細胞を用いる方法、組換え大腸
菌、組換え酵母菌、あるいは組換えバキュロウイルスを
用いて製造する方法等が知られ、各タイプのIFNが得
られている。
【0004】ところで、IFNの医薬品としての実用化
に当たっては、大量生産手段の開発も重要であるが、こ
れと並び効率的な精製手段の開発が求められる。 すな
わち、遺伝子操作の手段により得られるIFNには、利
用する宿主細胞由来の夾雑蛋白が存在する可能性があ
り、この夾雑蛋白を完全に除去することができる精製手
段が求められている。
【0005】しかし、実際には製造手段により異なる利
用細胞の種類毎に夾雑蛋白の種類も異なり、また、IF
Nと近似した性質を有する夾雑蛋白が多く、複雑な精製
方法を組み合わせて精製を行っても、高純度の精製物を
得ることは困難であった。例えば、ヒトIFN−γの精
製に関して、CPG(ガラスビーズ)、ConA(レク
チン)、Bio−Gel P100(ゲルろ過)カラム
を使用する方法(The Journal of Biological Chemistr
y, vol.259, No.11, 6790-6797, 1984)や、マウスIF
N−γについて組換え大腸菌培養からの精製に関して、
陰イオン交換カラム、疎水性カラム、ゲルろ過カラムを
使用する方法(IRL Press, Oxford,29-52, 1987 )等が
報告されている。しかし、本発明者等はこれらの報告ど
おりの方法を用いてバキュロウイルスの発現系からの精
製を試みたが、純度の高いIFN−γの精製物を得るこ
とはできなかった。さらに、組換えバキュロウイルスを
感染させた昆虫虫体を製造に用いる場合には、昆虫細胞
培養法に比べ、高レベルの組換え蛋白が分泌されるもの
の、昆虫虫体由来の夾雑物が多いため、夾雑物と組換え
蛋白の分離は極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、簡単な手段でほぼ完全に夾雑蛋白を除去する方法を
開発し、効率よく精製IFNを得る手段を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、昆虫ある
いは昆虫細胞を宿主とし、組換えバキュロウイルスを用
いる遺伝子操作の手法で経済的に哺乳動物由来のIFN
を得る方法の研究を行っていたところ、IFNは陽イオ
ン交換カラムの利用により、あるいはシリカゲルカラ
ム、金属キレートカラム及びレクチンカラムを組み合わ
せ利用することにより容易に昆虫細胞由来の夾雑蛋白等
と分離できることを知り、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明はインターフェロン蛋白
をコードする遺伝子を組み込んだ組換えバキュロウイル
スをその宿主に感染させることにより生産したインター
フェロン含有液を、シリカゲルカラム、金属キレートカ
ラム及びレクチンカラムに付す工程を含むことを特徴と
する精製インターフェロンの製造方法である。また、本
発明はインターフェロン蛋白をコードする遺伝子を組み
込んだ組換えバキュロウイルスをその宿主に感染させる
ことにより生産したインターフェロン含有液を、陽イオ
ン交換カラムに付す工程を含むことを特徴とする精製イ
ンターフェロンの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明により、精製哺乳動物由来
IFN(以下、「精製IFN」という)を得るには、昆
虫あるいは昆虫細胞を宿主とし、組換えバキュロウイル
スを利用して得た哺乳動物由来のIFNを含む溶液(以
下、「IFN溶液」という)を次のいずれかの方法で処
理することが必要である。
【0010】本発明において使用されるIFN溶液の例
としては、哺乳動物由来のIFN遺伝子、例えばヒト、
ウシ、ウマ、ネコまたはイヌ由来のIFN遺伝子を組み
込んだ組換えバキュロウイルスを感染させたカイコ細胞
(BmN細胞、BoMo細胞等)、鱗翅目ヤガ科の昆虫
細胞[Sf9細胞、Sf21細胞(ハスモンヨトウガ;
Spodoptera frugiperda 由来)、Tn−5細胞(イラク
サキンウワバ;Trichoplusia ni 由来)]の培養上清
や、これを適当な緩衝液で希釈したものが挙げられる。
また、別の例としては同じ組換えバキュロウイルスを
カイコ虫体または鱗翅目ヤガ科の昆虫(キンウワバ;Au
tographa californica、Spodoptera frugiperda 、Tric
hoplusia ni 等)の虫体に感染させ、飼育した後の虫体
から得た体液や虫体の摩砕液もしくはこれらを適当な緩
衝液で希釈したもの等が挙げられる。
【0011】本発明の第一の方法は、上記IFN溶液を
平衡化した陽イオン交換カラムに通液し、洗浄した後適
当な溶離液を用いて溶出させる方法である。この第一の
方法は、IFNの中でも特にIFN−γの精製に限定さ
れず、IFN−α、IFN−βにも適用できる。
【0012】使用される陽イオン交換カラムとしては、
Mono S(ファルマシア社製)、SP セファロース
FF(ファルマシア社製)、CM セファロースFF
(ファルマシア社製)等を使用することができ、また、
洗浄や平衡化には、pHが7〜10程度のグリシン緩衝
液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液等が利用され、さ
らに溶離液としては、洗浄に用いるよりも塩化ナトリウ
ム濃度を高くした、グリシン緩衝液、リン酸緩衝液、H
EPES緩衝液等が利用される。
【0013】また、第二の方法は、IFN溶液をシリカ
ゲルカラム、金属キレートカラム及びレクチンカラムに
付し、精製IFNを得る方法である。この第二の方法
は、インターフェロン含有液として組換えバキュロウイ
ルスが感染したそのバキュロウイルスの宿主である昆虫
の虫体の体液又は磨砕液を用いる場合に適しており、ま
た、この方法は、IFN−γの精製のみならず、IFN
−α又はIFN−βの精製にも利用できる。
【0014】本方法において最初に使用されるシリカゲ
ルカラムとしては、カセイゲル 300−75(東京化
成工業社製)、PG 240−200(シグマ社製)等
のシリカゲルを利用することができる。この工程では、
上記のシリカゲルカラムにIFN−γ溶液をアプライ
し、吸着させた後、例えば、NaCl/トリス塩酸緩衝
液(pH8)等により洗浄し、次いでNaCl及びエチ
レングリコールを含むトリス塩酸緩衝液(pH8)を溶
離液として用いることにより、一次精製IFN溶液が得
られる。
【0015】また、二次精製に用いられる金属キレート
カラムは、ニッケル、銅、亜鉛イオンを結合したカラム
であり、例えばキレーティングセファロースFF(ファ
ルマシア社製)、キレートセルロファイン(生化学工業
社製)等が利用できる。この工程では、前記の一次精製
IFN溶液をアプライし、その素通り画分を集めること
により、夾雑タンパク質が除去された二次精製IFN溶
液が得られる。
【0016】三次精製において使用されるレクチンカラ
ムとしては、ConAセファロース(ファルマシア社
製)、PHAアガロース(生化学工業社製)、PNAア
ガロース(生化学工業社製)等のカラムが利用される。
本工程においては、前記した二次精製IFN溶液をレク
チンカラムにアプライ、吸着させた後、NaCl含むリ
ン酸緩衝液(pH7)等で洗浄し、最後にNaClとα
−メチル−D(+)−グルコシド等の糖を含むトリスま
たはリン酸緩衝液を溶離液として溶出させることによ
り、最終の精製IFN溶液が得られる。
【0017】上記の第一の方法あるいは第二の方法で得
られた精製IFN溶液は、必要により例えば凍結乾燥等
の手段により乾燥粉末とすることもできる。
【0018】得られた精製IFNは、後記実施例で示す
ごとく、いずれも蛋白質1mg当たりのIFN活性(比
活性)が高くなり、高度に精製されていることがわか
る。特に、カイコ虫体を用いた場合は、活性の低いIF
N溶液から極めて精製度の高いIFNが得られており、
カイコ虫体を利用したIFNの発現とあわせ、本発明は
経済的に有利なIFNの生産方法を提供するものであ
る。即ち、カイコ等の虫体を利用すると、精製IFNは
糖鎖の付加したものが得られるため、大腸菌等の発現系
を使用して製造されたIFNに比べ、より有効な生理活
性を持つなど優れている。また、昆虫細胞を含め樹立細
胞を利用した蛋白発現系では、得られる蛋白はC末端の
アミド化が一般に起こりにくいが、カイコなどの幼虫を
用いて発現させた場合には、虫体内にアミド化酵素など
関連する酵素類があるため、アミド化されたものが得ら
れる。さらにカイコ虫体を利用した場合は、バキュロウ
イルスとその宿主の培養細胞を利用した発現系より著し
く有利である。例えば、ヤガ科昆虫Tn−5細胞培養細
胞を利用した発現系に比べても約20倍という高濃度の
IFN含有液が得られる。
【0019】
【実施例】次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるも
のではない。なお、得られたIFN−γの活性は、ウシ
腎由来細胞(MDBK細胞)と、シンドビスウイルス
(Sindbis virus)を用い、一般に知られ
ている抗ウイルス活性の測定法[日本化学会編 新生化
学実験講座、第12巻、372−378(1989)東
京化学同人]に従って測定した。
【0020】すなわち、まず最初に継代中のMDBK細
胞を1.5×105cells/mlになるようにMEM
(Eagle必須培地)+5%FBS(牛胎児血清)培
地で調整し、この細胞浮遊液を各ウェル100μlづつ
96穴プレートに分注する。37℃で24時間、5%炭
酸ガスインキュベータで培養した後、各ウエルに2倍段
階希釈した被検ウシ由来IFN−γ(以下「BoIFN
−γ」という)と標準BoIFN−γ(比活性5.1×
106Units/mg Protein;CHIBA-
GEIGY社製)を50μlづつ添加する。
【0021】次いで、37℃で6〜24時間、5%炭酸
ガスインキュベータで培養した後、培地を捨て、MEM
培地で約1×105pfu/mlに調整したシンドビス
ウイルス液を添加して更に5%炭酸ガスインキュベータ
中、37℃で培養を続ける。5〜6日後、細胞変異効果
(CPE)が観測されたところで培地を捨て、紫外線照
射してウイルスの不活化を行った後、ホルマリンを添加
して細胞の固定化を行う。
【0022】最後に、ナフトールブルーブラック等にて
生細胞の染色を行い、OD655値等の測定によりIC50
等を求める。被検IFNのIC50等を標準IFNの測定
値等と比較し、その活性値を求めることにより、被検液
のIFN濃度を測定することができる。
【0023】実 施 例 1 BoIFN−γ遺伝子組換えバキュロウイルスの調製: (1)BoIFN−γ cDNAのクローニング;ま
ず、フィコール法により、ヨーネ菌実験感染牛の末梢血
単球を分離した。次いで、IFN−γのmRNA転写を
促進するため、ヨーネ菌またはその分泌抗原であるヨー
ニンPPDで4時間刺激した後、塩酸グアニジン法によ
りRNAを抽出した。
【0024】後記の2種類のプライマーを用いたRT−
PCR法(First stradcDNA Synth
esis Kit(Pharmacia製)使用)で分
泌シグナルコード領域を含む500bpのBoIFN−
γ cDNAを増幅した。 5’atgaaatatacaagctatttcttagct 3’ 5’ccattacgttgatgctctccggcctcg 3’
【0025】得られたBoIFN−γ cDNAを、ク
レノーフラグメント(KlenowFragment:
TOYOBO製)を用いて平滑処理した後(25℃、3
0分間)、T4DNA リガーゼ(DNA ligati
on system Ver.1(TAKARA社製)使
用)を用い、アルカリフォスファターゼ(Alkali
ne Phosphatase:TOYOBO製)で
5’末端脱リン酸化処理したクローニングベクター B
lue script II SK−(TOYOBO製)の
SmaI制限酵素切断部位に連結した。更にこれをコン
ピテントセルJM109(COMPETENT hig
h(TAKARA社製))へ形質転換し、常法に従って
クローニングした。
【0026】(2)BoIFN−γ組換えAcバキュロ
ウイルス(BoIFN−γ・AcNPV)の作製;Bo
IFN−γ cDNAがクローニングされたプラスミド
(p Bluescript II SK−/BoIFN−
γ)をPlasmid MaxiKit(QIAGEN
社製)を使用して精製した後、EcoRIで切断した。
次いで、クレノーフラグメント(Klenow Fra
gment:TOYOBO社製)で平滑処理後、Bam
Hlリンカーを連結した。BamHIで消化し、BoI
FN−γ cDNAを切り出した。
【0027】得られたBoIFN−γ cDNAを、T4
DNAリガーゼ(DNA ligation syste
m Ver.1(TAKARA社製))を用い、オートグ
ラファ・カリフォルニカ(Autographa ca
lifornica)バキュロウイルス(AcNPV)
用のトランスファーベクターpAcYMlのBamHI
制限酵素切断部位に連結した。 このベクターでコンピ
テントセルJM109(COMPETENT hig
h:TAKARA社製)を形質転換した後、常法により
クローニングしてBoIFN−γ遺伝子組換えトランス
ファーベクターpAcYMl/BoIFN−γを得た。
【0028】最後にトランスファーベクターpAcYM
l/BoIFN−γと、バキュロウイルスAcLacZ
のDNAとをSf21AE(Spodoptera f
rugiperda由来)細胞で相同組換えを行い、B
oIFN−γ遺伝子組換えバキュロウイルス(BoIF
N−γ・AcNPV)を得た。
【0029】(3)BoIFN−γ組換えBmバキュロ
ウイルス(BoIFN−γ・BmNPV)の作製;Bo
IFN−γ cDNAがクローニングされたプラスミド
(pBluescript II SK−/BoIFN−
γ)を精製し(Plasmid MaxiKit(QI
AGEN社製)使用)、XbaIとEcoRIで消化し
た。
【0030】得られた消化断片を、T4DNAリガーゼ
(DNA ligation system Ver.1
(TAKARA社製))を用い、Bombyx mor
i(カイコ)バキュロウイルス(BmNPV;カイコ核
多角体病ウイルス)用のトランスファーベクターpBm
050のXbaIとEcoRIの制限酵素切断部位に連
結した。
【0031】このベクターでコンピテントセルJM10
9(COMPETENT high:TAKARA社
製)を形質転換し、常法によりクローニングしてBoI
FN−γ遺伝子組換えトランスファーベクターpBm0
50/BoIFN−γを得た。
【0032】最後にトランスファーベクターpBm05
0/BoIFN−γとバキュロウイルスBmNPVT3
のDNAとをカイコBmN細胞中で相同組換えを行い、
BoIFN−γ遺伝子組換えバキュロウイルス(BoI
FN−γ・BmNPV)を得た。
【0033】実 施 例 2 AcNPV培養細胞発現系より得られたBoIFN−γ
(AcBoIFN−γ)の精製方法:下記の方法によ
り、宿主として、Tn−5(Trichoplusia
ni)、培地として、EX CELL 401(JRH
社)を用い、組換え体ウイルスBoIFN−γ・AcN
PVによりBoIFN−γを発現させ、これを精製して
精製BoIFN−γを得た。
【0034】まず、Tn−5細胞を7×105cell
s/mlに調整し、225cm2の培養ボトルに45m
l接種した。接種2時間後に培地を捨て、BoIFN−
γ・AcNPVをmoi=1.0で接種した。次いで、
2時間後にウイルス液を捨て、45mlの新鮮培地を添
加し、27℃で培養を行い、ウイルス感染後2日目に培
養上清(粗AcBoIFN−γ液)を回収した。この粗
AcBoIFN−γ液中に含まれるIFN−γの抗ウイ
ルス活性は、MDBKによるシンドビスウイルス増殖抑
制試験を用いて測定したところ、6.32×106Uni
t/mlであった。
【0035】得られた粗AcBoIFN−γ液を、グリ
シン緩衝液で適当な濃度に希釈し、これを陽イオン交換
カラムのMono S(ファルマシア社製)カラムへア
プライした。このカラムをグリシン緩衝液で洗浄した。
次に、グリシン緩衝液の塩濃度を上昇させることにより
溶出を行い、精製BoIFN−γを得た。
【0036】精製前の粗AcBoIFN−γ液がSDS
−PAGEのクマシーブリリアントブルー(CBB)染
色像で幅広いバンドが認められたのに対し、得られた精
製BoIFN−γは、IFN−γに相当する分子量の領
域に3本のバンドのみが認められ、それら全てが抗Bo
IFN−γ抗体を用いたウエスタンブロッテイングで陽
性反応を示し、IFN−γであることが確認できた(図
1)。また、精製BoIFN−γ(図1中、レーン4)
のSDS−PAGE/CBB染色結果をNIHイメージ
で解析したところ、純度は97.4%であった(図
2)。さらに、精製BoIFN−γの抗ウイルス活性は
培養上清の1.63×108Unit/mgから2.83
×108Unit/mgに上昇しており、粗AcBoI
FN−γ液からの精製BoIFN−γの回収率は49%
であった(表1)。以上の結果から、本精製法により細
胞培養液上清中の夾雑物が効率的に除去され、高純度の
BoIFN−γが調製できることが明らかとなった。
【0037】
【表1】
【0038】実 施 例 3 BmNPVとカイコ虫体を用いた発現系より得られたB
oIFN−γ(BmBoIFN−γ)の精製方法
(1): (1)カイコ磨砕液の取得;カイコを宿主とし、組換え
体ウイルスであるBoIFN−γ・BmNPVを用い、
下記方法でBoIFN−γを発現させた。
【0039】すなわち、5齢1日のカイコにBoIFN
−γ・BmNPVを接種し、人工飼料を用いて飼育し
た。 感染後4日目のカイコ20頭に対し、200ml
の磨砕用液(1mM ジチオトレイトール及び1mM エ
チレンジアミン四酢酸二ナトリウムを含むリン酸緩衝
液)を加えてホモジェナイザーにて磨砕し、12,00
0rpmにて30分間遠心分離して上清を得た。
【0040】この上清を、30〜50%硫酸アンモニウ
ム条件で塩析し、12,000rpmにて15分間遠心
分離した。 得られた上清を65〜80%硫酸アンモニ
ウム条件で再度塩析し、12,000rpmにて15分
間遠心分離して、沈澱を得た。得られた沈澱を、50m
M トリス塩酸緩衝液(pH8)約1000mlに溶解
し、磨砕液(粗BoIFN−γ磨砕液)とした。
【0041】(2)カイコ磨砕液より得られたBoIF
N−γの精製;上記(1)で得た粗BoIFN−γ磨砕
液をシリカゲルカラム(ゲル:カセイゲル300−7
5;東京化成工業社製)にアプライした。 このカラム
を1M NaCl含む50mM トリス塩酸緩衝液(pH
8)にて洗浄した後、3M NaCl及び30%エチレ
ングリコール含む50mM トリス塩酸緩衝液(pH
8)にて溶出して一次精製液を得た。
【0042】次いでこの溶出液を、ニッケルイオンを含
むキレーティング・セファロースFF(Chelati
ng Sepharose FF;ファルマシア社製)カ
ラムにアプライし、溶出液を得た。更に、この溶出液を
ゲルとしてConAセファロース(ファルマシア社製)
を用いるレクチンカラムにアプライし、リン酸緩衝液
(pH7)で洗浄した。
【0043】最後に、500mM NaCl及び50m
M α−メチル−D(+)−グルコシドを含む50mM
トリス塩酸緩衝液50mlにて溶出し、精製BoIFN
−γ溶液40mlを得た。得られた精製BoIFN−γ
はSDS−PAGEでの染色像から、粗BoIFN−γ
磨砕液中に含まれていた大部分の夾雑物が除去されてい
ることが明らかとなった。精製BoIFN−γは、5.
46×107Unit/mgの抗ウイルス活性を有し、
粗BoIFN−γ磨砕液からの回収率は23.8%であ
った。この結果をまとめて表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】実 施 例 4 BmNPVとカイコ虫体を用いた発現系より得られたB
oIFN−γ(BmBoIFN−γ)の精製方法
(2): (1)カイコ体液の取得;カイコを宿主とし、組換え体
ウイルスであるBoIFN−γ・BmNPVを用い、下
記方法でBoIFN−γを発現させた。
【0046】すなわち、5齢1日のカイコにBoIFN
−γ・BmNPVを接種し、人工飼料を用いて飼育し
た。 カイコ体液は、感染後4日目に、病虫の足をシリ
ンジで刺して回収した。 回収した体液に最終濃度5m
Mとなる量のDTT(ジチオスレイトール)を添加し、
−80℃で保存した。この体液(粗BmBoIFN−γ
体液)の抗ウイルス活性は、8.56×106Unit/
mgであった。
【0047】(2)カイコ体液より得られたBoIFN
−γの精製;カイコ16頭分の粗BmBoIFN−γ体
液約10mlを、50mM Tris.HCl(pH8.
0)にて5倍に希釈した。
【0048】この希釈液50mlを、カセイゲル 30
0−75(東京化成工業社製)を用いるシリカゲルカラ
ムにアプライした。次いで、50mM Tris.−HC
l/1M NaCl(pH8.0)で洗浄後、100ml
の50mM Tris.−HCl/3M NaCl/30
%エチレングリコール(pH8.0)で溶出させて一次
精製液を得た。
【0049】この溶出液を、900mlの50mM リ
ン酸緩衝液(pH7.0)で10倍希釈し、ニッケルイ
オンを結合したキレーティング・セファロースFF(フ
ァルマシア社製)カラムにアプライした。
【0050】溶出した画分を、ConAセファローズ
(ファルマシア社製)カラムにアプライした。このカラ
ムを、50mlのリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し
た後、500mM NaCl及び500mM α−メチル
−D(+)−グルコシドを含む50mM トリス塩酸緩
衝液50ml(pH8.0)で溶出し、精製BoIFN
−γ液35mlを得た。粗BoIFN−γ体液のSDS
−PAGEでのCBB染色像は多数の濃厚な染色バンド
が広域分子量に認められたが、精製BoIFN−γは、
IFN−γの分子量(約19kDa)相当領域に3本の
バンドのみが認められ、それらは抗BoIFN−γ抗体
を用いたウエスタンブロッテイングで陽性に染色され、
BoIFN−γであることが確認できた(図3)。ま
た、精製BoIFN−γ(図3中、レーンC)のSDS
−PAGEのCBB染色結果をNIHイメージで解析し
たところ、純度は95.7%であった(図4)。さら
に、精製BoIFN−γの抗ウイルス活性は、未精製の
カイコ体液の8.56×106Unit/mgから1.5
5×108Unit/mgに上昇し、比活性の上昇が認
められ、粗BmBoIFN−γ体液からの回収率は29
%であった(表3)。以上の結果から、本精製法により
カイコ体液中の夾雑物が効率よく除去され、高純度、高
活性のBoIFN−γが調製できることが明らかとなっ
た。
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】本発明方法によれば、組換えバキュロウ
イルスにより産生される哺乳動物IFNを効率的かつ経
済的に精製し、精製哺乳動物IFNを得ることができ
る。従って本発明方法は、ヒトの他、ウシ、ウマ、ネ
コ、イヌ等のIFNを医薬品として開発するために極め
て有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2で得たBoIFN−γの精製前後の
SDS−PAGE/CBB染色の結果(図中、a)およ
びウエスタンブロッティングの結果(図中、b)を示す
電気泳動の写真。
【図2】 実施例2で得た精製BoIFN−γのSDS
−PAGE/CBB染色をNIHイメージで解析した結
果を示す図面。
【図3】 実施例4で得たBoIFN−γの精製前後の
SDS−PAGE/CBB染色の結果(図中、a)およ
びウエスタンブロッティングの結果(図中、b)を示す
電気泳動の写真。
【図4】 実施例4で得た精製BoIFN−γのSDS
−PAGE/CBB染色をNIHイメージで解析した結
果を示す図面。
【符号の説明】
図1中、1はマーカー、2は培養上清(1/5)、3は
イオン交換カラム非吸着画分、4はイオン交換カラム吸
着画分(精製BoIFN−γ)のレーンである。図3
中、Aはマーカー、Bは感染蚕体液、Cは精製BoIF
N−γ、Dはマーカーのレーンである。 以 上
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/00 C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 石山 誠司 埼玉県狭山市大字下奥富字宮後1548番地 片倉工業株式会社中央蚕研事業所内 (72)発明者 柿 宏樹 埼玉県狭山市大字下奥富字宮後1548番地 片倉工業株式会社中央蚕研事業所内 (72)発明者 横溝 祐一 茨城県つくば市並木4−919−103 (72)発明者 森 康行 茨城県つくば市吾妻2−809−101 (72)発明者 犬丸 茂樹 茨城県つくば市並木4−10−908−201 (72)発明者 下地 善宏 茨城県つくば市吾妻4−209−601 (72)発明者 谷川 雅俊 東京都江戸川区北葛西1−16−13 第一製 薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 内山 明彦 東京都江戸川区北葛西1−16−13 第一製 薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 佐伯 欣之 東京都江戸川区北葛西1−16−13 第一製 薬株式会社東京研究開発センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インターフェロン蛋白をコードする遺伝
    子を組み込んだ組換えバキュロウイルスをその宿主に感
    染させることにより生産したインターフェロン含有液
    を、シリカゲルカラム、金属キレートカラム及びレクチ
    ンカラムに付す工程を含むことを特徴とする精製インタ
    ーフェロンの製造方法。
  2. 【請求項2】 インターフェロン蛋白をコードする遺伝
    子を組み込んだ組換えバキュロウイルスをその宿主に感
    染させることにより生産したインターフェロン含有液
    を、陽イオン交換カラムに付す工程を含むことを特徴と
    する精製インターフェロンの製造方法。
  3. 【請求項3】 インターフェロン含有液が、組換えバキ
    ュロウイルスの感染した宿主昆虫虫体から得られた昆虫
    体液又は当該昆虫磨砕液である請求項1又は2記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 インターフェロン含有液が、ヒトインタ
    ーフェロン、ウシインターフェロン、ウマインターフェ
    ロン、ネコインターフェロンまたはイヌインターフェロ
    ンの各々の含有液である請求項1乃至3のいずれか1項
    に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 インターフェロン含有液が、インターフ
    ェロン−γ含有液である請求項1乃至4のいずれか1項
    に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 インターフェロン含有液が、ウシインタ
    ーフェロン−γ含有液である請求項1乃至3のいずれか
    1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 組換えバキュロウイルスが、組換えカイ
    コ核多角体病ウイルス(Bombyx mori Nuclear Polyhedr
    osis Virus)である請求項1乃至6のいずれか1項に記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 組換えバキュロウイルスが、組換えオー
    トグラファ・カリフォルニカ核多角体病ウイルス(Auto
    grafa californica Nuclear Polyhedrosis Virus)であ
    る請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 組換えバキュロウイルスの宿主として、
    昆虫の虫体を用いたものである請求項1乃至8のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 組換えバキュロウイルスの宿主が、当
    該ウイルスの昆虫の培養細胞である請求項1、2、4乃
    至8のいずれか1項に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8992905B2 (en) 2006-01-12 2015-03-31 Hokusan Co. Ltd. Oral composition containing interferon-α
US9629900B2 (en) 2006-01-12 2017-04-25 Hokusan Co. Ltd. Oral composition containing interferon-α

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