JPH11237364A - 二酸化炭素センサ - Google Patents

二酸化炭素センサ

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JPH11237364A
JPH11237364A JP10052966A JP5296698A JPH11237364A JP H11237364 A JPH11237364 A JP H11237364A JP 10052966 A JP10052966 A JP 10052966A JP 5296698 A JP5296698 A JP 5296698A JP H11237364 A JPH11237364 A JP H11237364A
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JP
Japan
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carbon dioxide
solid electrolyte
carbonate
dioxide sensor
compound
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JP10052966A
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Akira Shibue
明 渋江
Noriyoshi Nanba
憲良 南波
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温で十分な感度が得られると共に、二酸化
炭素濃度の変化に対する起電力の変化が大きく、応答性
が良好であり、かつ耐湿性の良好な二酸化炭素センサを
提供する。 【解決手段】 本発明の二酸化炭素センサは、検知極と
参照極とがそれぞれ固体電解質に接して設けられてお
り、前記検知極が二酸化炭素と解離平衡を形成する金属
炭酸塩を少なくとも2種類含有し、前記固体電解質が、
アンモニウムイオン部分を有する化合物と金属ハロゲン
化物とを熱処理することにより生成されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内外の環境制
御、施設園芸等の農工業プロセス、防災、生体表面の代
謝機能の測定などに使用される二酸化炭素センサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、空調の普及に伴う室内空気の汚染
の検知、畜産における施設内空気の汚染の検知、園芸施
設における植物の成長制御、各種工業プロセスなどを中
心に、二酸化炭素センサに対するニーズが高まってお
り、種々の方式の二酸化炭素センサが提案されている。
【0003】具体的には、例えば、赤外線吸収方式の二
酸化炭素センサが実用化されている。しかし、この方式
のセンサは、装置が大きいこと、高価であることなどか
ら、普及するには至っていない。また、半導体を用いた
センサも提案されているが、このセンサは二酸化炭素の
選択性に劣るため、二酸化炭素のみの濃度を測定するこ
とが困難である。
【0004】これに対して、小型で安価なセンサとし
て、固体電解質を用いたものがいくつか提案されてい
る。このうち最も簡単なものは、二酸化炭素と解離平衡
を形成する炭酸カリウムなどの固体電解質に一対の電極
を形成し、一方に濃度既知の基準ガスを接触させて、雰
囲気ガスの濃度差による起電力を測定する濃淡分極型セ
ンサである。このセンサの問題点としては、必要な導電
性を固体電解質が得るためには500〜700℃という
高温が必要なこと、固体電解質材料の性質として湿度に
強く影響を受けること、などが挙げられる。センサにヒ
ータを内蔵することで上記高温は実現可能であるが、こ
の場合、狭い場所での測定に際し雰囲気中に対流や温度
変化などを生じさせて外部環境に影響を与えてしまうた
め、用途によっては好ましくない。また、消費電力が大
きくなるという問題もある。
【0005】このような濃淡分極型センサの他、NAS
ICON(ナトリウムスーパーイオン伝導体:Na3
2 Si2 PO12)などのアルカリ金属イオン伝導性の
固体電解質に一対の電極を形成し、一方に炭酸ナトリウ
ムなどの二酸化炭素と解離平衡を形成する金属炭酸塩層
を設けて検知極とし、他方を二酸化炭素不感応性電極と
した、いわゆる起電力検出型センサがある。このセンサ
は、一種の電池を利用して二酸化炭素検出を行うもので
あり、電池式は以下のとおりである。
【0006】CO2,O2,Pt|Na2CO3||NASICON|Pt,O2
【0007】この電池のCO2 検知極界面では、
【0008】
【化1】
【0009】という平衡が成立しており、CO2 不感応
性電極界面では、
【0010】
【化2】
【0011】という平衡が成立している。したがって、
全電池反応としては、
【0012】
【化3】
【0013】となる。
【0014】この電池の起電力Eは、 式 E=E0-(RT/2F)ln(aNa2O PCO2) で表される。ここで、E0 は定数、Rは気体定数、Tは
絶対温度、Fはファラデー定数、aNa2 OはNa2
の活量、PCO2 は二酸化炭素ガスの分圧を表す。aN
2 Oが一定とみなせ、かつTが一定のときまたは一定
とみなせれば、この電池の起電力から二酸化炭素の分圧
を求めることができる。以上の説明は、丸山ら{第10
回固体イオニクス討論会講演要旨集69(1983)}
によって提案されたことである。
【0015】しかし、実際にはaNa2 Oが一定とみな
せない場合が多く、これが、起電力から求めた二酸化炭
素分圧が変動する原因であると指摘されている。
【0016】これに対し、アルカリイオン伝導体からな
る固体電解質に、電子および酸素イオンの伝導体である
固体基準極を圧着させた固体基準極型二酸化炭素センサ
が提案されている(特開平7−63726号公報)。同
公報では、固体電解質としてLiイオン伝導体を用い、
固体基準極にLiを添加することで、界面で生成するL
iO2 の活量を一定としている。しかし、このセンサも
アルカリイオン伝導体を用いることから、同公報実施例
に示されるように作動温度が400〜500℃と高くな
ってしまう。
【0017】起電力検出型センサの検知極には炭酸ナト
リウムを用いている例が多く、その吸湿性から耐湿性が
問題となっているが、湿度の影響を軽減する提案も多く
なされている。例えば、検知極の被覆材料としてアルカ
リ土類金属炭酸塩とアルカリ金属炭酸塩との固溶体であ
ってアルカリ金属炭酸塩の結晶を含まないものを用いた
もの(特開平5−80021号公報、J.Electrochem.So
c.,Vol.139,No.5,1384,May 1992)などである。
【0018】これら起電力検出型のセンサでは、基準ガ
スは必要ではなく、参照極側も測定雰囲気中にある。こ
のため、測定値は酸素分圧の変化にも影響を受けてしま
う。そこで、アルカリイオン伝導体の参照極側に、酸化
物イオン伝導体を密着積層することにより、酸素分圧変
化の影響を排除する提案もなされている(特開平7−9
4013号公報)。また、検知極だけが測定雰囲気に接
触するように、検知極以外を気体不透過性材料で密閉し
た構造をとる例が増えている。これらの改善の結果、湿
度や酸素分圧の変化にほとんど影響されず、安定した測
定が行えるようになってきている。
【0019】しかし、起電力検出型センサにおいてNA
SICONやβ−アルミナ(Na2O・11Al2
3 )などの固体電解質を用いて高い導電性を得るために
は、前記した濃淡分極型のセンサと同様に、ヒータを内
蔵させて500℃程度以上の高温を確保することが必要
である。また、検知極材料として用いられるアルカリ金
属炭酸塩やこれとアルカリ土類金属炭酸塩との固溶体
は、室温では電子伝導性は無論のことイオン伝導性も低
いため、応答速度を確保するためにも高温が必要となっ
ている。数百度の熱は、たとえ小さなヒータからであっ
てもセンサ周辺を加温し、空気の対流を発生するなど、
測定環境に微妙な影響を与えてしまう。また、消費電力
も大きくなるので、電池駆動などは困難となってしま
う。
【0020】なお、起電力検出型センサにおいて、NA
SICONのNaイオンをAgイオンに置換した固体電
解質を用いて室温動作を得た報告{新居浜工業高等専門
学校紀要(理工学編)、26、98(1990)}があ
るが、本来、Naイオンでも数百度の加熱が必要である
ため、Agイオンに置換しただけでは室温でのイオン伝
導性がそれほど向上するとは考えられない。具体的に
は、室温での起電力が十分とはいえない。また、応答速
度にも問題があると考えられる。
【0021】室温で高いイオン伝導性をもつ固体電解質
としては、Cuイオン伝導体またはAgイオン伝導体が
知られている。これらには、例えば、RbAg45
(2.7×10-1Scm-1 ,25℃)、75AgI・25
Ag2 SeO4 (2.2×10-2Scm-1 ,20℃)、A
3 SI(1×10-2Scm-1 ,25℃)などの固体セラ
ミックス材料があり、これらを用いても室温動作型のセ
ンサを構成することができる。しかし、これらの固体セ
ラミックス材料は、1000℃前後での焼結が必要であ
り、また、一般に耐湿性に乏しく、特にRb系材料は耐
湿性に乏しく脆いことから、センサの作製方法が限られ
てしまう。
【0022】また、近年、Liイオン電池用に、ポリエ
チレングリコールなどのポリマに過塩素酸リチウムなど
を溶解させた電解質や、架橋ポリマと溶剤に溶解させた
リチウム塩とからなるゲルタイプの電解質が検討されて
いる。特に後者は盛んに研究が行われ、室温で比較的高
い導電性が得られている。このようなゲル電解質と電極
とを組み合わせても室温動作型センサが得られるわけで
あるが、このようなゲル電解質は吸湿性が大きい。電解
質が密閉される電池と異なりセンサでは電解質が外気に
触れるために、金属塩もポリマも水分を吸収しやすくな
り、一定した起電力を安定に得ることはできない。
【0023】以上のような背景において、本発明者ら
は、特願平9−21994号公報で、検知極と参照極と
がそれぞれ固体電解質に接して設けられており、検知極
が二酸化炭素と解離平衡を形成する金属炭酸塩を含み、
固体電解質が、アンモニウムイオン部分を有する化合物
と金属ハロゲン化物とを熱処理することにより生成され
たものである二酸化炭素センサを考案している。この二
酸化炭素センサは、室温で応答が良好である。しかしな
がら、二酸化炭素濃度の変化に対する起電力の変化量が
小さいという問題点があった。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、室温
で十分な感度が得られると共に、二酸化炭素濃度の変化
に対する起電力の変化が大きく、応答性が良好であり、
かつ耐湿性の良好な二酸化炭素センサを提供することで
ある。
【0025】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の本発明により達成される。 (1) 検知極と参照極とがそれぞれ固体電解質に接し
て設けられており、前記検知極が二酸化炭素と解離平衡
を形成する金属炭酸塩を少なくとも2種類含有し、前記
固体電解質が、アンモニウムイオン部分を有する化合物
と金属ハロゲン化物とを熱処理することにより生成され
たものである二酸化炭素センサ。 (2) 前記金属炭酸塩が、炭酸銀とアルカリ金属炭酸
塩とである上記(1)の二酸化炭素センサ。 (3) 前記金属炭酸塩が、炭酸銅とアルカリ金属炭酸
塩とである上記(1)の二酸化炭素センサ。 (4) 前記アルカリ金属塩の含有量が50wt%以下
である上記(2)または(3)の二酸化炭素センサ。 (5) 前記アルカリ金属塩の含有量が5〜10wt%
である上記(4)の二酸化炭素センサ。 (6) 前記アンモニウムイオン部分を有する化合物
が、主鎖中に第4級アンモニウム基を有しハロゲンイオ
ンを対イオンとする重合体である上記(1)〜(5)の
いずれかの二酸化炭素センサ。 (7) 前記重合体が、ジアミン化合物とジハロゲン化
合物との重合体である上記(6)の二酸化炭素センサ。 (8) 前記アンモニウムイオン部分を有する化合物
が、アルキルアンモニウムハロゲン化物、アリールアン
モニウムハロゲン化物または含窒素環状アンモニウムハ
ロゲン化物である上記(1)〜(5)のいずれかの二酸
化炭素センサ。 (9) 前記金属ハロゲン化物が、銀または銅のハロゲ
ン化物である上記(1)〜(8)のいずれかの二酸化炭
素センサ。
【0026】
【作用】本発明では、室温で高いイオン導電性をもつ固
体電解質を用い、さらに検知極に金属炭酸塩を少なくと
も2種類用いるので、室温において測定対象である二酸
化炭素濃度変化に対する起電力の変化が大きくなり、応
答性が向上する。
【0027】また、金属炭酸塩の1種がアルカリ金属炭
酸塩、特に炭酸リチウムである場合、耐湿性が従来のも
のよりも向上する。
【0028】なお、特開平2−232557号公報に、
検知極物質が少なくとも2種類以上の金属炭酸塩の混合
物よりなる二酸化炭素センサが提案されているが、これ
は用いている固体電解質がβ−アルミナであるため、ヒ
ーターを内蔵し500℃以上に加熱して計測する必要が
ある。本発明のような室温での測定に関する記載はな
い。また、用いられている金属炭酸塩は、炭酸ナトリウ
ムと他のアルカリ金属炭酸塩とである。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の二酸化炭素センサは、検
知極と参照極とがそれぞれ固体電解質に接して設けられ
ている。そして、前記検知極が二酸化炭素と解離平衡を
形成する金属炭酸塩を少なくとも2種類含有しており、
前記固体電解質が、アンモニウムイオン部分を有する化
合物と金属ハロゲン化物とを熱処理することにより生成
されたものである。
【0030】検知極 検知極材料には、二酸化炭素と解離平衡を形成する金属
炭酸塩を少なくとも2種類用いる。具体的には、主成分
としては炭酸銀または炭酸銅が好ましく、これらのいず
れかを、固体電解質の可動イオン種に応じて選択すれば
よい。これら炭酸塩は、従来、検知極材料として用いら
れている炭酸ナトリウムに比べて、耐湿性が良好であ
り、また、室温でもイオン伝導性が比較的高いことが特
徴である。このため、室温でも十分な起電力が得られ、
また、応答速度も十分に速いものとなる。そして、本発
明では、上記の主成分に対し、好ましくはアルカリ金属
炭酸塩を混合する。このようにすることにより、二酸化
炭素の濃度変化に対する起電力の変化が大きくなる。加
えるアルカリ金属炭酸塩は、どれでも効果が認められる
が、炭酸リチウムが最も好ましい。その添加量は特に制
限されないが、50wt%以下、特に5〜10wt%程
度が好ましい。添加する金属炭酸塩は、1種でも2種以
上を併用してもよい。2種以上を併用する場合でも、添
加量の合計は上記の範囲であることが好ましい。
【0031】混合方法は特に限定されないが、通常、主
成分となる炭酸銀または炭酸銅と添加するアルカリ金属
炭酸塩とを、小型ボールミル等で数時間から1日程度粉
砕混合を行う。この際、エタノールやアセトン等を加え
て行ってもよい。
【0032】原料の炭酸銀はAg2CO3が好ましい。炭
酸銅はCu(CO3)・Cu(OH)2、2Cu(C
3)・Cu(OH)2が好ましい。添加するアルカリ金
属塩、例えば炭酸リチウムはLi2CO3が好ましい。
【0033】検知極に用いる金属炭酸塩の粒径は1〜1
00μm程度が好ましい。
【0034】検知極には、金属炭酸塩の他に、素子強度
を上げるための結合剤を添加してもよい。結合剤として
は、一般にバインダとして用いられているポリビニルア
ルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコ
ール、メチルセルロース、エチルセルロース等の他に、
熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂、アニリン樹脂、シ
リコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン
樹脂等も使用可能である。中でも疎水性の結合剤である
エチルセルロース、アセチルセルロース、ポリビニルア
セテート等が好ましい。結合剤の含有量は、検知極に対
して1wt%以下が好ましい。
【0035】検知極材料として例えば炭酸銀と炭酸リチ
ウムとを用いた場合、検知極側の反応は主に炭酸銀の解
離反応である
【0036】
【化4】
【0037】であると考えられる。このとき、炭酸リチ
ウムもわずかに解離するものと考えられるが、固体電解
質の可動イオン種が銀であるため、主反応にはなりえな
い。アルカリ金属炭酸塩の添加により二酸化炭素の濃度
変化に対する起電力の変化が大きくなる理由は明らかで
はないが、解離しやすいものが添加されることにより、
イオン交換的に反応が進行するため、炭酸銀の解離が大
きくなるためと考えられる。
【0038】検知極の形成方法は特に限定されないが、
通常、検知極材料の粉末と後述の固体電解質とを積層し
てプレスすることにより形成することが好ましい。この
とき、あらかじめ検知極材料の粉末中または粉末上にP
tやNi等からなる導電性メッシュを載せておき、この
メッシュにリード線を接続する構造とすることが好まし
い。なお、ガス透過性を妨げないものであれば、メッシ
ュ以外の導電材を用いてもよい。例えば、検知極材料粉
末と樹脂とを混合したペーストを塗布することにより、
検知極を形成してもよい。このとき、相溶性のない溶剤
等を混合したり、発泡剤を混合したりしておき、塗布
後、乾燥することにより多孔質化することが好ましい。
【0039】固体電解質原料(重合体) 固体電解質には、アンモニウムイオン部分を有する化合
物と金属ハロゲン化物とを熱処理することにより生成さ
れたものを用いる。
【0040】上記アンモニウムイオン部分を有する化合
物としては、主鎖中に第4級アンモニウム基を有しハロ
ゲンイオンを対イオンとする重合体を用いることが好ま
しい。
【0041】前記重合体としては、下記式(1)で表さ
れるものが好ましい。
【0042】
【化5】
【0043】式(1)で示される重合体中における第4
級アンモニウム塩基は、重合体単位質量当りのカチオン
当量で換算して、1.2〜30meq/g 、さらには1.5
〜25meq/g で存在することが好ましい。
【0044】式(1)において、AおよびBは各々二価
基を表わす。
【0045】Aで表わされる二価基としては、アルキレ
ン基、アルケニレン基、アリーレン基またはこれらの組
合せが好ましく、これらはヒドロキシ基やメチル基等の
アルキル基、あるいはカルバモイル基などが置換してい
てもよい。
【0046】アルキレン基の総炭素数は1〜20が好ま
しく、ヒドロキシ基が置換するときの置換基数は1〜5
が好ましい。
【0047】アルケニレン基の総炭素数は2〜10が好
ましい。
【0048】アリーレン基の総炭素数は6〜20が好ま
しい。
【0049】また、これらの組合せであるときの総炭素
数は3〜20が好ましい。
【0050】具体的には、−(CH2m −(m=1〜
20の整数)、−CH2 CH=CH−CH2 −、−CH
2 −CH(OH)−CH2 − −CH(CH3 )−CH2 −CH2 −、−C64 −C
64 −、−C64 −CH(OH)−C64 −等が
好ましいものとして挙げられる。
【0051】Bで表わされる二価基としては、アルキレ
ン基、オキシ基(−O−)およびカルボニル基(−CO
−)のうちの1種以上が介在したアルキレン基、アルケ
ニレン基、アリーレン基またはこれらの組合せが好まし
く、これらはヒドロキシ基やビニル基等のアルケニル基
などが置換していてもよい。
【0052】アルキレン基の総炭素数は1〜20が好ま
しく、ヒドロキシ基が置換するときの置換基数は1〜5
が好ましい。また、アルキレン基に−O−、−CO−が
介在するときの介在数は合計で1〜5が好ましい。
【0053】アルケニレン基の総炭素数は2〜10が好
ましい。アリーレン基の総炭素数は6〜20が好まし
い。また、これらの組合せであるときの総炭素数は3〜
20が好ましい。
【0054】具体的には、−(CH2m −(m=1〜
20の整数)、−(CH22 −CH(OH)−CH2
−、−CH2 −CH(OH)−CH2 −、−CH2 −C
H=CH−CH2 −、−CH2 −CH(CH=CH2
−、−(CH2 −CH2 −O)2 −(CH22 −、−
CH2 −(CO)−CH2 −、−CH2 −C64 −C
2 −等が好ましいものとして挙げられる。
【0055】R1 、R2 、R3 およびR4 は各々アルキ
ル基またはアルケニル基を表わす。
【0056】R1 〜R4 で表わされるアルキル基として
は、炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有して
いてもよいが、無置換のものが好ましい。具体的には、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好まし
いものとして挙げられる。
【0057】R1 〜R4 で表わされるアルケニル基とし
ては、炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有し
ていてもよいが、無置換のものが好ましい。具体的には
ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等が好
ましいものとして挙げられる。
【0058】R1 とR2 、R1 とAもしくはAの一部、
2 とAもしくはAの一部、R3 とR4 、R3 とAもし
くはAの一部、R4 とAもしくはAの一部、R1 とR3
もしくはR4 、またはR2 とR3 もしくはR4 が互いに
結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよい。
このような環としては、5員または6員、特に6員の含
窒素複素環が好ましく挙げられ、さらには橋かけ環であ
ってもよい。このような含窒素複素環としては、ピリジ
ン環、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピラジン環等が好ま
しく、場合によってはカルバモイル基等が置換していて
もよい。
【0059】式(1)において、Xはハロゲン原子を表
わし、具体的には塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等で
あってよいが、ヨウ素原子、臭素原子が好ましく、特に
ヨウ素原子が好ましい。各重合体中において、すべての
Xは、通常、同一であるが、少なくとも一部が異なって
いてもよい。
【0060】nは、通常、2〜5000であることが好
ましい。
【0061】式(1)で表される重合体の数平均分子量
n は、1000〜100万程度であることが好まし
い。
【0062】式(1)で表される重合体は、ジアミン化
合物とジハロゲン化合物とを反応させることにより合成
することが好ましい。この合成反応のスキームを、式
(2)として示す。
【0063】
【化6】
【0064】この合成反応は、ジアミン化合物に対しジ
ハロゲン化合物が1.1倍モル量〜2.0倍モル量とな
る条件下で行うことが好ましい。
【0065】上記合成反応は、メタノール、イソプロパ
ノール、メトキシエタノール、2−エトキシエタノール
等の非水溶媒中で還流温度あるいは100℃程度の温度
にて5〜100時間程度行う。
【0066】その後、反応溶液をアセトン、酢酸エチル
等の溶媒に滴下して沈澱物を生成させ、これを濾取する
ことにより沈澱精製し、目的物を得る。
【0067】なお、式(1)で表される重合体は、通
常、重合度nが2〜20程度のオリゴマーと重合度nが
20をこえるポリマーとの混合物として得られる。
【0068】ジアミン化合物およびジハロゲン化合物
は、式(2)で表されるスキームに従う反応が可能なも
のであればよく、特に限定されるものではないが、具体
的には、ジアミン化合物としては下記A−1〜A−18
が、ジハロゲン化合物としては下記B−1〜B−17が
好ましい。
【0069】
【化7】
【0070】
【化8】
【0071】
【化9】
【0072】
【化10】
【0073】
【化11】
【0074】B−1〜B−17においてXは前記と同義
であるが、ヨウ素原子、臭素原子が特に好ましい。
【0075】上記したジアミン化合物のうちでは1,4
−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(トリエチレ
ンジアミン)のような環状アミンが、固体電解質の機械
的強度の向上と耐湿性の向上とのためには好ましい。
【0076】式(1)で表される重合体の例を、上記し
たジアミン化合物とジハロゲン化合物との組合わせから
得られる重合体として以下に示す。なお、カッコ内の数
値はモル比を表す。
【0077】 (1)A-16/B-10(50/50)の組合わせから得られる重合体 (2)A-8/B-12/B-10(50/48/2)の組合わせから得られる
重合体 (3)A-8/B-13/B-10(50/48/2)の組合わせから得られる
重合体 (4)A-8/B-15/B-10(50/48/2)の組合わせから得られる
重合体 (5)A-16/B-2(50/50) の組合わせから得られる重合体 (6)A-7/B-10(50/50) の組合わせから得られる重合体 (7)A-2/B-10(50/50) の組合わせから得られる重合体 (8)A-9/B-10(50/50) の組合わせから得られる重合体 (9)A-16/B-9(50/50) の組合わせから得られる重合体 (10)A-3/A-8/B-10(2/48/50) の組合わせから得られる
重合体 (11)A-14/A-16/B-17(49/1/50) の組合わせから得られ
る重合体 (12)A-11/B-16(50/50)の組合わせから得られる重合体 (13)A-6/B-4/B-15(50/47/3) の組合わせから得られる
重合体 (14)A-11/B-6(50/50) の組合わせから得られる重合体 (15)A-13/B-3(50/50) の組合わせから得られる重合体 (16)A-10/B-15(50/50)の組合わせから得られる重合体 (17)A-15/B-16(50/50)の組合わせから得られる重合体 (18)A-4/B-10(50/50) の組合わせから得られる重合体 (19)A-10/B-12/B-10(50/48/2) の組合わせから得られ
る重合体 (20)A-8/B-2(50/50)の組合わせから得られる重合体 (21)A-7/A-16/B-10(15/35/50) の組合わせから得られ
る重合体 (22)A-8/A-16/B-10(15/35/50) の組合わせから得られ
る重合体 (23)A-9/A-16/B-10(15/35/50) の組合わせから得られ
る重合体 (24)A-10/A-16/B-10(15/35/50)の組合わせから得られ
る重合体 (25)A-8/B-13(50/50) の組合わせから得られる重合体 (26)A-8/A-10/B-13(15/35/50) の組合わせから得られ
る重合体 (27)A-8/B-13/B-10(50/40/10) の組合わせから得られ
る重合体 (28)A-8/B-13/B-2(50/40/10)の組合わせから得られる
重合体 (29)A-9/B-13(50/50) の組合わせから得られる重合体 (30)A-8/A-9/B-13(25/25/50)の組合わせから得られる
重合体 (31)A-9/A-10/B-13(25/25/50) の組合わせから得られ
る重合体
【0078】本発明において、式(1)で表される重合
体は、通常、1種だけを用いるが、2種以上を併用して
もよい。
【0079】固体電解質原料(単量体) 前記固体電解質に用いるアンモニウムイオン部分を有す
る化合物としては、上記重合体の他にも、アルキルアン
モニウムハロゲン化物、アリールアンモニウムハロゲン
化物または含窒素環状アンモニウムハロゲン化物を好ま
しく用いることができる。例えば、前記したジアミン化
合物とモノハロゲン化物との反応によるジアンモニウム
ジハロゲン化物およびモノアンモニウムハロゲン化物な
どを含む化合物群である。
【0080】アンモニウムイオン部分を有する単量体化
合物のアンモニウムイオン部分としては、以下に挙げる
ものが好ましい。
【0081】1.アルキルアンモニウム 1−1 メチルアンモニウム 1−2 エチルアンモニウム 1−3 トリメチルアンモニウム 1−4 ジエチルアンモニウム 1−5 ジエチルメチルアンモニウム 1−6 トリエチルアンモニウム 1−7 エチルトリメチルアンモニウム 1−8 ジエチルジメチルアンモニウム 1−9 トリメチルイソプロピルアンモニウム 1−10 トリメチルプロピルアンモニウム 1−11 トリエチルメチルアンモニウム 1−12 テトラエチルアンモニウム 1−13 ジエチルメチルイソプロピルアンモニウム 1−14 トリエチルプロピルアンモニウム 1−15 ブチルジエチルメチルアンモニウム 1−16 ブチルトリエチルアンモニウム 1−17 メチルトリプロピルアンモニウム 1−18 テトラプロピルアンモニウム 1−19 トリブチルメチルアンモニウム 1−20 ブチルトリプロピルアンモニウム 1−21 トリブチルエチルアンモニウム 1−22 テトラブチルアンモニウム 1−23 ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
【0082】2.含窒素飽和環状アンモニウム 2−1 ピロリジニウム 2−2 ピペリジニウム 2−3 1−メチルピペリジニウム 2−4 1−メチルピロリジニウム 2−5 1,1−ジメチルピロリジニウム 2−6 キヌクリジニウム 2−7 1−メチルキヌクリジニウム 2−8 1,1−ジメチルピペリジニウム 2−9 N−メチルキヌクリジニウム 2−10 5−アゾニアスピロ[4.4]ノナン 2−11 5−アゾニアスピロ[4.5]デカン 2−12 6−アゾニアスピロ[5.5]ウンデカン 2−13 1−ブチル−1−メチルピペリジニウム 2−14 メチルヘキサメチレンテトラミニウム 2−15 N,N’−ジメチルピペラジニウム 2−16 エチルヘキサメチレンテトラミニウム 2−17 プロピルヘキサメチレンテトラミニウム 2−18 ブチルヘキサメチレンテトラミニウム 2−19 イソブチルヘキサメチレンテトラミニウム 2−20 N,N’−ジエチルピペラジニウム
【0083】3.含窒素不飽和環状アンモニウム 3−1 ピリジニウム 3−2 3−メチルピリジニウム 3−3 1−メチルピリジニウム 3−4 1,3−ジメチルピリジニウム 3−5 3,5−ジメチルピリジニウム 3−6 2,6−ジメチルピリジニウム 3−7 1,2,6−トリメチルピリジニウム 3−8 3,4,6−トリメチルピリジニウム 3−9 1,3,5−トリメチルピリジニウム 3−10 キノリニウム 3−11 1,2,4,6−テトラメチルピリジニウム 3−12 1,2,3,6−テトラメチルピリジニウム 3−13 1−メチルキノリニウム 3−14 1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ
キノリニウム 3−15 2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ
キノリニウム 3−16 1−エチルキノリニウム 3−17 1,2−ジメチルキノリニウム 3−18 1,2−ジメチル−1,2,3,4−テトラ
ヒドロキノリニウム 3−19 1,1−ジメチル−1,2,3,4−テトラ
ヒドロキノリニウム 3−20 2,2−ジメチル−1,2,3,4−テトラ
ヒドロイソキノリニウム 3−21 1−エチル−2−メチルキノリニウム 3−22 1−エチル−2,6−ジメチルキノリニウム 3−23 N−メチルフェナントリジニウム
【0084】4.飽和炭素環式アンモニウム 4−1 シクロペンチルアンモニウム 4−2 シクロプロピルトリメチルアンモニウム 4−3 シクロヘキシルアンモニウム 4−4 シクロペンチルトリメチルアンモニウム 4−5 シクロヘキシルトリメチルアンモニウム 4−6 ブチルシクロヘキシルジメチルアンモニウム 4−7 1−アダマンチルトリメチルアンモニウム
【0085】5.不飽和炭化水素アンモニウム 5−1 4−メチル−4−アゾニアシクロヘキセン 5−2 アリルトリメチルアンモニウム 5−3 4,4−ジメチル−4−アゾニアシクロヘキセ
【0086】6.アリールアンモニウム 6−1 フェニルアンモニウム 6−2 トリメチルフェニルアンモニウム 6−3 エチルジメチルフェニルアンモニウム
【0087】7.ベンジルアンモニウム 7−1 ベンジルアンモニウム 7−2 ベンジルトリメチルアンモニウム 7−3 1−ベンジルピリジニウム 7−4 1−ベンジルキノリニウム
【0088】また、アンモニウムイオン部分を有する化
合物としては、例えば以下のものも好ましい。
【0089】
【化12】
【0090】上記N−1〜N−7において、Xはハロゲ
ン原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子、より好ましくはヨウ素原子または臭素原子で
ある。上記N−1において、Rは水素原子またはメチル
基である。上記N−3において、Rは水素原子、メチル
基、エチル基またはプロピル基であり、2つのRは、通
常、同一であるが、異なっていてもよい。
【0091】上記した各単量体は、アミン化合物とハロ
ゲン化合物とから通常の方法にしたがって合成すればよ
い。
【0092】金属ハロゲン化物 固体電解質の調製に用いる金属ハロゲン化物としては、
AgまたはCuのハロゲン化物が好ましく、これらのう
ちでは、塩化物、臭化物またはヨウ化物が好ましく、臭
化物またはヨウ化物がより好ましい。金属ハロゲン化物
中の金属が固体電解質中において導電性を担うのであ
り、この金属としてAgまたはCuを用いることによ
り、安定性の高い固体電解質となる。
【0093】固体電解質の製造 固体電解質は、上記した重合体または単量体の固体電解
質原料と、上記した金属ハロゲン化物とを熱処理するこ
とにより製造する。具体的には、まず、固体電解質原料
と金属ハロゲン化物とをよく混合した後、好ましくは成
形し、次いで、加熱して反応させる。
【0094】固体電解質原料と金属ハロゲン化物との混
合比率は、使用する化合物によっても異なるが、一般
に、固体電解質原料のアンモニウム基1モル当たり金属
ハロゲン化物4〜8モルとすることが好ましい。
【0095】混合物を粉体のまま加熱して反応させると
高い導電性が得られにくいので、好ましくは混合物の粉
体を成形する。このときの成形圧力は、好ましくは40
0kgf/cm2 以上、より好ましくは700kgf/cm2 以上で
ある。
【0096】熱処理温度の好ましい範囲は固体電解質原
料によって異なるが、一般に好ましくは100〜220
℃であり、より好ましくは120〜190℃である。熱
処理温度が低すぎると、反応が進みにくくなって十分な
イオン伝導性を得るために必要な熱処理時間が長くなり
すぎる。一方、熱処理温度が高すぎると、固体電解質原
料の熱分解が生じやすくなる。なお、熱処理時間は、通
常、8〜20時間程度である。熱処理は大気中で行って
よい場合もあるが、通常、減圧して雰囲気中の酸素量を
減らすことが好ましい。大気雰囲気から減圧した場合の
好ましい圧力は、通常、10-2Torr程度以下である。こ
の圧力が高すぎると、残存酸素により有機物に酸化反応
が生じて劣化してしまい、好ましくない。なお、酸素を
含まないArやN2等の不活性気体雰囲気中で熱処理を
行う場合には、特に減圧する必要はない。
【0097】熱処理後、処理物を粉砕して微粉とし、再
び成形することが好ましい。このときの成形圧力は、好
ましくは400kgf/cm2 以上、より好ましくは700kg
f/cm2 以上である。成形圧力が低すぎると、成形品が脆
くなって実用的な強度を得ることが困難となる。特に、
固体電解質原料として炭素数の少ない直鎖状アルキル基
を含む単量体を用いた場合には、この傾向が著しくな
る。固体電解質原料として重合体を用いた場合には、脆
さについての問題はないが、この場合でも、高い機械的
強度を得るためには成形圧力を高くすることが好まし
い。なお、高密度の成形体を得るために、成形時に金型
内を減圧状態にしておくことが好ましい。
【0098】参照極 可動イオンがAgイオンである場合には、溶液系におい
て参照極として多用される銀/塩化銀電極を、本発明の
センサにおける安定な参照極として利用できる。この場
合の電極反応は
【0099】
【化13】
【0100】であると考えられ、検知極に炭酸銀を用い
た場合には、全電極反応は
【0101】
【化14】
【0102】であると考えられる。
【0103】銀/塩化銀電極を用いない場合には、参照
極界面で酸化銀が生成するものと思われる。この場合に
は、酸素イオン伝導性固体電解質と組み合わせることに
より酸素濃度の影響を防ぐことができるが、酸素イオン
伝導性固体電解質は、一般にイットリウム安定化ジルコ
ニアなどであって、導電性発現のためには高温が必要と
なるので、本発明には不適である。したがって、銀/塩
化銀電極を用いない場合には、自体が酸化銀を含む参照
極、具体的には銀/酸化銀電極を用いることにより、室
温動作が可能となる。この場合の電極反応は、
【0104】
【化15】
【0105】であると考えられ、この場合の全電極反応
は、
【0106】
【化16】
【0107】となると考えられる。なお、可動イオンが
Cuイオンである場合についても、同様な理由により酸
化銅を含む参照極、具体的には銅/酸化銅電極を用いる
ことにより、室温動作が可能となる。この場合の電極反
応は、
【0108】
【化17】
【0109】であると考えられ、この場合の全電極反応
は、
【0110】
【化18】
【0111】となると考えられる。
【0112】参照極の形成方法は特に限定されないが、
例えば以下の方法を用いることが好ましい。銀/塩化銀
電極および銀/酸化銀電極の場合には、銀の粉末と塩化
銀または酸化銀の粉末とを混合し、固体電解質材料と積
層した後に同時に加圧成形することにより形成するか、
銀ペーストと塩化銀または酸化銀の粉末とを混合して銀
/塩化銀ペーストまたは銀/酸化銀ペーストを調製し、
これをPtやNiのメッシュと共に塗布した後、加熱し
て硬化することにより形成すればよい。また、銅/酸化
銅電極の場合には、銅粉末と酸化銅粉末とを混合したも
のを、固体電解質材料と積層して同時に加圧成形するこ
とにより形成するか、上記した銀/酸化銀電極形成の際
の銀ペーストおよび酸化銀の替わりに、それぞれ銅ペー
ストおよび酸化銅を用いればよい。なお、加熱硬化のた
めの温度は、通常、80〜200℃程度であり、セラミ
ックス材料を用いたときのように1000℃前後の高温
で焼成する必要がないので、センサの製造が容易であ
り、省エネルギーでもある。
【0113】センサ構造および測定時の作用 本発明の二酸化炭素センサの構成例を、図1に示す。こ
のセンサ1は、参照極3、固体電解質4および検知極5
が順次積層された構造であり、参照極3内および検知極
5内には、それぞれ導電性メッシュ31および51が存
在し、各メッシュからはそれぞれリード線31およびリ
ード線51が引き出されて、電位差計に接続されてい
る。本発明の二酸化炭素センサでは、湿度の影響を防ぐ
ために検知極表面以外は測定雰囲気に触れないような構
成とすることが好ましい。このため、検知極表面以外に
は、ガス非透過性材料からなる被覆を設けることが好ま
しい。ガス非透過性材料としては、例えば塩化ビニル、
エバール、アイオノマ、PVAからなる被覆膜、あるい
はこれらとAI蒸着フィルムとのラミネート膜等が好ま
しい。具体的な構造としては、例えば図示するように検
知極5表面を除いて、ガス非透過性材料からなる容器2
で覆う構造とすることが好ましい。
【0114】図示例では、固体電解質を挟んで検知極お
よび参照極を対向して設けているが、これら両電極は固
体電解質の一方の面上に設けてもよい。両電極をスクリ
ーン印刷法等により固体電解質の同一面上に形成する構
成とすれば、生産上、効率が高くなる。
【0115】本発明の二酸化炭素センサの寸法は特に限
定されないが、検知極が形成される表面を固体電解質の
上面としたとき、通常、固体電解質の厚さは1μm〜1m
m程度、固体電解質の上面の面積は1〜100mm2程度で
ある。また、検知極の厚さは1μm〜1mm程度、検知極
の面積は1〜50mm2 程度である。また、参照極の厚さ
は10μm〜1mm程度、参照極の面積は1〜50mm2
度である。
【0116】
【実施例】実施例1 固体電解質原料の作製 トリエチレンジアミンをエタノールに溶解した後、等モ
ル量の1,3−ジブロモプロパンを加え、室温で、スタ
ーラを用いて24時間以上攪拌して反応させてアルキル
アンモニウム塩を得た。生成した白色沈殿を濾過し、少
量のエタノール、次いでエーテルで洗浄した後、真空乾
燥して、白色結晶を得た。
【0117】このアルキルアンモニウム塩とヨウ化銀ま
たはヨウ化銅とを、モル比1:7で、メノウ乳鉢中でよ
く混合し、700kgf/cm2 で加圧してペレット状の成形
体を得た。これを減圧下(1×10-3Torr)で16時
間、190℃で加熱処理して固体電解質を得た。
【0118】二酸化炭素センサの作製 固体電解質がAgイオン移動型の場合には、参照極に銀
/塩化銀電極または銀/酸化銀電極を用い、Cuイオン
移動型の場合には、銅/酸化銅電極を用いて、表1に示
すセンサを以下の手順で作製した。
【0119】銀/塩化銀または銀/酸化銀からなる参照
極を、固体電解質および検知極と同時成形することによ
り形成したセンサでは、まず、参照極となる銀粉末と塩
化銀粉末または酸化銀粉末との混合物100mgを金型に
入れて軽くプレスした。
【0120】次に、この上に上記の固体電解質のペレッ
トを粉砕した粉末250mgを投入して軽くプレスした。
【0121】さらに、この上に検知極となる炭酸銀と炭
酸リチウムとの混合粉末を50mg載せて軽くプレスし、
次いで、ロータリーポンプで減圧しながら700kgf/cm
2 の圧力でプレスして、参照極と固体電解質と検知極と
からなる積層体を得た。このとき、あらかじめ炭酸銀等
の粉末の上に白金メッシュを載せておき、プレス後に白
金メッシュにリード線を接続した。
【0122】参照極が銅/酸化銅電極の場合には、銀粉
末の替わりに銅粉末を、塩化銀粉末または酸化銀粉末の
替わりに酸化銅粉末を用い、これ以外は上記と同様にし
て参照極を形成した。検知極が炭酸リチウム/炭酸銅電
極の場合には、炭酸銀粉末の替わりに炭酸銅粉末を用
い、これ以外は上記と同様にして参照極を形成した。
【0123】次に、固体電解質および参照極が測定雰囲
気に接触することを防止するために、参照極、固体電解
質および検知極からなる積層体を、検知極表面だけが露
出するように容器に埋め込み、図1に示す構造のセンサ
を得た。容器には、ガス透過性のほとんどない厚さ1mm
の硬質塩化ビニル製のものを用いた。
【0124】各センサにおける検知極の金属炭酸塩の組
み合わせ、および固体電解質に用いる金属ハロゲン化物
を表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】センサ特性の確認 表1に示す各センサを用いて、以下の測定を行った。ま
ず、センサを、ガスの入出口を設けた測定容器(以降、
測定セルという)中に置き、セル内の空気をいったん軽
く減圧した後、純Air(窒素80%と酸素20%とか
らなる混合ガス)を注入し、その後流量100ml/min
で流し続けた。この流通系には、純Airと、CO2
度10400ppm に調整された純AirAとが、マルチ
フローメータ1203(小島製作所製)により混合さ
れ、任意のCO2濃度ガスが測定セルに流入する。CO2
濃度は、セルの出口よりサンプリングして、ガスクロマ
トグラフィー(使用カラム:Porapack Q)にて濃度確
認を行った。なお、測定セルの体積は、素子未装着の状
態で60cm3である。
【0127】次に、センサの起電力が安定したことを確
認した後、起電力を測定した。起電力測定には、ポテン
ショスタットHA−151(北斗電工製/内部インピー
ダンス1011Ω)を用いた。順次、CO2濃度を変え
て、センサの起電力が安定したことを確認した後、起電
力を同様にして測定し、センサ特性を評価した。なお、
上記測定は、すべて室温で行った。
【0128】この測定の結果、表1に示すセンサのすべ
てについて、二酸化炭素濃度の対数に対し起電力をプロ
ットし、その関係がほぼ直線的、つまり1次であること
を確認した。また、このときの直線の傾きを起電力変化
量と規定した。
【0129】センサAとセンサCについての二酸化炭素
濃度と起電力との関係を示すグラフを図2に示す。□が
センサA、●がセンサCである。両者とも、二酸化炭素
濃度の対数と起電力との関係が1次となっており、二酸
化炭素濃度の対数にほぼ比例する起電力が生じているこ
とがわかる。さらに、検知極が炭酸銀単独のセンサAに
比べて、炭酸リチウムを5wt%含むセンサCの方が二
酸化炭素濃度変化に対する起電力変化量が大きくなって
いることがわかる。
【0130】図3には、センサA〜Hの炭酸リチウム添
加量と起電力変化量との関係を示す。炭酸リチウムの添
加量が10wt%を極大として起電力変化量が増大して
おり、5〜40wt%の範囲で添加していないときより
も大きくなっている。また、炭酸リチウムの添加量が5
0wt%でも、炭酸リチウムを含有していないときと同
等程度の起電力変化量を示している。
【0131】主成分に炭酸銅を用いたセンサI,Jにつ
いても起電力変化量を調べた。炭酸リチウムを添加して
いないセンサIの起電力変化量は8mV/decade、炭酸リ
チウム添加量20wt%のセンサJの起電力変化量は2
2mV/decadeで、センサIの2.75倍になった。主成
分に炭酸銅を用いたセンサでも、主成分に炭酸銀を用い
たセンサと同様の効果が見られた。
【0132】なお、上記各センサは応答性も良好であ
り、起電力の変化は10分間前後で安化した。
【0133】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、室温で
十分な感度が得られると共に、二酸化炭素濃度の変化に
対する起電力の変化が大きく、応答性が良好であり、か
つ耐湿性の良好な二酸化炭素センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二酸化炭素センサの構成例を示す断面
図である。
【図2】二酸化炭素濃度とセンサの起電力との関係を示
すグラフである。
【図3】炭酸リチウム添加量と起電力変化量の関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 二酸化炭素センサ 2 容器 3 参照極 31 導電性メッシュ 32 リード線 4 固体電解質 5 検知極 51 導電性メッシュ 52 リード線

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検知極と参照極とがそれぞれ固体電解質
    に接して設けられており、 前記検知極が二酸化炭素と解離平衡を形成する金属炭酸
    塩を少なくとも2種類含有し、 前記固体電解質が、アンモニウムイオン部分を有する化
    合物と金属ハロゲン化物とを熱処理することにより生成
    されたものである二酸化炭素センサ。
  2. 【請求項2】 前記金属炭酸塩が、炭酸銀とアルカリ金
    属炭酸塩とである請求項1の二酸化炭素センサ。
  3. 【請求項3】 前記金属炭酸塩が、炭酸銅とアルカリ金
    属炭酸塩とである請求項1の二酸化炭素センサ。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ金属塩の含有量が50wt
    %以下である請求項2または3の二酸化炭素センサ。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ金属塩の含有量が5〜10
    wt%である請求項4の二酸化炭素センサ。
  6. 【請求項6】 前記アンモニウムイオン部分を有する化
    合物が、主鎖中に第4級アンモニウム基を有しハロゲン
    イオンを対イオンとする重合体である請求項1〜5のい
    ずれかの二酸化炭素センサ。
  7. 【請求項7】 前記重合体が、ジアミン化合物とジハロ
    ゲン化合物との重合体である請求項6の二酸化炭素セン
    サ。
  8. 【請求項8】 前記アンモニウムイオン部分を有する化
    合物が、アルキルアンモニウムハロゲン化物、アリール
    アンモニウムハロゲン化物または含窒素環状アンモニウ
    ムハロゲン化物である請求項1〜5のいずれかの二酸化
    炭素センサ。
  9. 【請求項9】 前記金属ハロゲン化物が、銀または銅の
    ハロゲン化物である請求項1〜8のいずれかの二酸化炭
    素センサ。
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