JPH11234929A - 発電機固定子 - Google Patents

発電機固定子

Info

Publication number
JPH11234929A
JPH11234929A JP3583898A JP3583898A JPH11234929A JP H11234929 A JPH11234929 A JP H11234929A JP 3583898 A JP3583898 A JP 3583898A JP 3583898 A JP3583898 A JP 3583898A JP H11234929 A JPH11234929 A JP H11234929A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stator
generator
core
coil
insulating layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3583898A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuya Hagiwara
修哉 萩原
Mitsuru Onoda
満 小野田
Hiroyuki Kamiya
宏之 神谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP3583898A priority Critical patent/JPH11234929A/ja
Publication of JPH11234929A publication Critical patent/JPH11234929A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)
  • Insulation, Fastening Of Motor, Generator Windings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定子コアとコイル導体との間の熱膨張差を
縮小し、その結果として絶縁層に加わる応力を緩和する
ことで、絶縁層の絶縁信頼性が高く、かつ運転寿命が長
い発電機を提供する。 【解決手段】 珪素鋼板を積層した複数個のコアブロッ
クの各々を隣接するコアブロック間に冷却媒体の流路を
確保するためのダクトスペーサを介して並置し、周囲を
絶縁層で覆ったコイル導体の固定子コイルを前記コアブ
ロックに設けた溝に挿通して組込み、前記ダクトスペー
サの材料の線膨張率を、前記コアブロックを形成する前
記珪素鋼板の線膨張率より大きくしてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電機の固定子に
係り、特に、固定子コアと固定子コイルとの運転時の温
度上昇による熱膨張の差異に基づく絶縁層の劣化を防止
した発電機の固定子に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の発電機は、回転子と固定子とか
ら成り、該発電機の回転子の周囲に同軸状に固定子が配
置されている。該固定子には、固定子コアが配置され、
該固定子コアには溝が設けられており、該溝に固定子コ
イルが組込まれ、前記固定子コイルは内部導体と絶縁層
とからなっている。
【0003】前記発電機の固定子コイル導体は、運転
中、その負荷電流により損失が生じて、その内部導体の
温度が上昇し、比較的大きな熱膨張を行う。一方、固定
子コアは、コイル導体の熱を吸収し、周囲の冷却媒体に
放熱する役割を担うことから、運転時の温度上昇は、通
常、前記コイル導体よりも小さく、また固定子コアの材
料の特性から運転時の熱膨張は、コイルの内部導体より
も小さいものとなっている。
【0004】従ってコイル導体と固定子コアとの間に
は、熱膨張に差が生じて、両者間に介在するコイル絶縁
層に応力が加わり、歪が生じる。そして、長時間の運転
中に温度差に基づく繰り返し歪が加わると絶縁層が剥離
したり、亀裂が生じて絶縁特性が劣化し、最悪の場合に
は、絶縁破壊が起こり、事故につながる恐れがある。前
記絶縁層が剥離したり亀裂を生じたりして絶縁特性が劣
化するのを防ぐために、コイル導体と固定子コアとの間
に弾性材を介在させて応力緩和層として応力の緩和をさ
せ、歪を防ぐ手段が提案されている(例えば、特開平6-
38424号公報、特開平9-9589号公報参照)。また固定子
コアとコイル絶縁層を摺動させて応力を避ける手段も提
案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、応力緩和層
を設ける手段は、小容量の発電機には有効であるが、熱
膨張に伴う変位が大きい大容量の大形発電機に適用する
には限界がある。また他方、固定子コアとコイル絶縁層
間を摺動させる手段を備えた構造のものは、その端部ほ
ど固定子コアとコイルとの相対変位が拡大することにな
り、その変位拡大部分での摩擦力が高くなり該摩擦によ
る絶縁層の損傷が大きくなる。従っていずれの手段の構
造のものでも、固定子コアとコイル導体とを一体に強固
に樹脂含浸固着する発電機においては、応力低減効果を
十分に発揮できないこととなる。そして絶縁層の剥離、
亀裂による絶縁性能低下の懸念も解消できない。
【0006】本発明は、このような点に鑑みてなされた
ものであって、その目的とするところは、固定子コアと
コイル導体との間の熱膨張差を縮小し、その結果として
絶縁層に加わる応力を緩和することで、絶縁層の絶縁信
頼性が高く、かつ運転寿命が長い発電機を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、
本発明の発電機固定子は、基本的には、珪素鋼板を積層
した複数個のコアブロックの各々を隣接するコアブロッ
ク間に冷却媒体の流路を確保するためのダクトスペーサ
を介して並置し、周囲を絶縁層で覆ったコイル導体の固
定子コイルを前記コアブロックに設けた溝に挿通して組
込み、前記ダクトスペーサの材料の線膨張率を、前記コ
アブロックを形成する前記珪素鋼板の線膨張率より大き
くしたことを特徴としている。
【0008】そして、本発明の発電機固定子の具体的な
態様としては、前記ダクトスペーサの材料の20℃におけ
る線膨張率の値が、12×10-6(K-1)を越える材料であ
り、前記固定子コアに組込む前記固定子コイルの絶縁層
が、マイカ、樹脂、及び添加物を含んでおり、該添加物
の熱伝導率がマイカあるいは樹脂より大きいことを特徴
としている。
【0009】このように構成された本発明の発電機固定
子は、従来の発電機の固定子コアの熱膨張量がコイル導
体の熱膨張量より小さいことによって絶縁層に応力が生
じるのを回避するものであって、固定子コアの熱膨張量
を固定子コイルの熱膨張量に近づけ、運転時の温度上昇
による前記固定子コアと前記固定子コイルの相対変位を
縮小し、発生応力を緩和することができる。そして固定
子コイルのコイル導体と固定子コアに挟まれる絶縁層に
加わる応力を軽減し、該絶縁層の剥離や亀裂といった劣
化現象を防ぎ、絶縁層の信頼性の向上とコイル寿命の伸
長を図ることができる。
【0010】また、前記固定子コアの熱膨張量を拡大す
る手段として前記固定子コアに冷却ダクトを設けるため
のダクトスペーサの材料として、前記固定子コアの材料
よりも熱膨張率の大きい材料を用い、温度上昇時に冷却
ダクトの寸法を拡大して、前記固定子コアの全体の寸法
を大きくしている。そして、本発明の発電機固定子の具
体的な他の態様としては、前記基本的な構成に付加し
て、前記コアブロックに設けられた溝の中を前記固定子
コイルが摺動可能に組込まれ、前記コアブロックと前記
固定子コイルの絶縁層との接触面に、該固定子コイルの
絶縁層よりも弾性率が小さい材料から成る緩衝材を備え
たことを特徴としている。
【0011】また、本発明の発電機固定子の具体的な更
に他の態様としては、前記基本的な構成に付加して、前
記固定子コアに固定子コイルを組込んだ後に、全体を一
体として樹脂含浸固着したことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態の発電
機1の主要な構造を示した部分断面図である。該発電機
1の回転子2の周囲には、同軸状に固定子(固定子コ
ア)3が配置され、該固定子3には、スロットと呼ばれ
る溝3a、3a、・・・が設けられており、該溝3a、3
a、・・・に固定子コイル4a,4b,…,4h,4i,…が組込まれて
いる(図1の回転子2は、説明の都合上、一部を切り欠
いて描いてある)。前記固定子2に前記固定子コイル4
a,4b,…,4h,4i,…を取り付けるためには、ウェッジやス
ペーサ等のいくつかの部材が用いられるが、図1ではそ
の図示を省略している。
【0013】前記固定子3は、多数のコアブロック31a,
31b,31c,…を並べて構成したものであり、各コアブロッ
ク31a,31b,31c,…間には、冷却ダクト32a,32b,32c,…を
設けている。該冷却ダクト32a,32b,32c,…を形成するた
めには、ダクトスペーサ32d1,32d2,32d3,32d4…が配置
されている(図1では、前記冷却ダクト32dに配置され
た前記ダクトスペーサ32d1,32d2,32d3,32d4…が見える
ように固定子2を切り欠いて示している。
【0014】図2は、図1に示した発電機1の回転軸10
を含む一断面を示した図である。発電機1のn個のコア
ブロック31a,31b,31c,…,31nは、前記ダクトスペーサ32
a,32b,32c,…,32mを介して並べられ、両端にエンドプレ
ート36a,36bを配して、ロッド37で締め付けて固定され
ている。コアブロック31a,31b,31c,…,31nはキーバー38
(38i,38j,38k,…)で保持されている。このようにコア
ブロック31a,31b,31c,…,31n、ダクトスペーサ32a,32b,
32c,…,32mとそれらの支持構造体よりなる固定子3に
は、固定子コイル4i,4j,4kが組込まれると共に、中心に
は回転子2が挿入されている。
【0015】図3は、前記発電機1の回転軸10と直交す
る一断面を示した図で、円形状の断面の内の半分だけを
図示しており、図2のIIIーIII矢視の冷却ダクト32dの
位置を示している。前記回転子2を囲むコアブロック31
eには、固定子コイル4i,4j,4kが貫通しており、また、
外周はキーバー38i,38j,38k,…で、エンドプレート36a
と対向するエンドプレート36b(図3には表わせない)
に取り付けられている。
【0016】コアブロック31a,31b,31c,…,31nを軸方向
に締め付けるロッド37i,37j,37k,…は、コアブロック31
a,31b,31c,…,31nの外周から離れ、間隔をおいた位置に
取り付けられている。そしてコアブロック31eには、冷
却ダクトを構成するための本実施形態に直接係わるダク
トスペーサ32di,32dj,32dk,…が略放射状に取り付けら
れている。
【0017】図4は、前記固定子コア3に組み込まれた
2本の固定子コイル4a,4bの一断面を示している。前記
固定子コア3は、複数のコアブロック31a,31b,31c,…と
ダクトスペーサ32a,32b,32c…を交互に配置して構成さ
れる。固定子コイル4a,4bは、通常は銅の材料で作られ
る内部導体41a,41bと、通常はマイカ片を合成樹脂で固
めて構成される絶縁層42a,42b,42c,42dから構成され
る。前記固定子コア3と固定子コイル4a,4bは、ウェッ
ジ43で固定され、その他にスペーサ部材等が用いられる
が、図示は省略している。
【0018】このように、構成された本実施形態の発電
機1の動作について説明する。運転中の発電機1の固定
子コイル4a,4b,・・・の導体には、発電機1の出力となる
電流が流れるために損失が生じ、温度が上昇する。一
方、定期点検などで運転が止まると、前記コイル導体の
温度は、周囲温度まで下がる。また、電力負荷調整用の
発電機1では、1日の間に運転と停止を行うような運転
形態をとる場合もあり、温度の昇降が頻繁に繰り返され
ることになる。
【0019】ここで、図4に示すコイル内部導体4a,4b
は、温度の昇降時に膨張、収縮し、特にコイルの長手方
向の端部には大きな変位が生じる。この時、固定子コア
3には、内部導体4a,4bの熱が絶縁層42a,42b,42c,42dを
通して伝わり、同様に熱膨張、収縮する。しかし、絶縁
層42a,42b,42c,42dは、断熱作用も大きいこと、加えて
固定子コア3は、冷却ダクトを流れる周囲の媒体、通常
は空気や水素ガスで冷却されるため、固定子コア3は、
コイル内部導体4a,4bより温度上昇が小さい。さらに、
これまでダクトスペーサ32a,32b,32c…として用いられ
ている鋼材は、銅材を用いる内部導体4a,4bより熱膨張
率も小さい。これらのことから、コイル内部導体4a,4b
と固定子コア3が無拘束だと仮定すると、熱膨張時に寸
法差が生じる。現実には、絶縁層42a,42b,42c,42dを介
して相互に拘束しあうため、熱膨張の差は、絶縁層42a,
42b,42c,42dに加わる応力となる。例えば1日に一回運
転、停止する発電機では毎日応力変化を受けることにな
る。
【0020】絶縁層42a,42b,42c,42dは、通常はマイカ
片を合成樹脂で固めて構成されているために、応力が加
わると歪が生じ、これが繰り返されると絶縁層に剥離や
亀裂が生じる危険がある。剥離や亀裂のできた絶縁層は
絶縁耐力が急激に低下するために、絶縁が破壊する事故
につながる恐れがある。本実施形態の発電機1において
は、ダクトスペーサ32a,32b,32c…、32mをコアブロック
を構成する珪素鋼板よりも熱膨張率が大きい材料で構成
したものである。このために、運転時の温度上昇により
コイル内部導体4a,4bが熱膨張した時に、固定子コア3
の熱膨張量をより大きくすることで、両者の変位差を縮
小し、絶縁層42a,42b,42c,42dに加わる応力を低減する
ことができ、絶縁層の劣化の抑制につながる効果が得ら
れる。
【0021】本実施形態の前記効果を、図4を用いて定
量的に説明する。前記構造体の熱膨張は、次の式(1)で
表わされる。
【0022】
【数1】 L’=L×(1+α×ΔT) (1)
【0023】ここで、L’は温度上昇後の長さ、Lは温
度上昇前の長さ、αは材料の線膨張率、ΔTは温度上昇
である。次の表1は、理科年表から抜き出した各種材料
の線膨張率を示したものである。
【0024】
【表1】
【0025】通常、銅材を用いるコイルの内部導体4a,4
bの熱膨張の度合いは、温度の上昇・下降に依存して決
まる。一方、固定子コア3の熱膨張は、コイル内部導体
4a,4bから絶縁層42a,42b,42c,42dを介して伝わる熱と周
囲媒体への放熱のバランスで決まる温度上昇と、コアブ
ロック31a,31b,31c,…とダクトスペーサ32a,32b,32c…
の比率と、ダクトスペーサ32a,32b,32c…の線膨張率に
よって決まる。ここでは、一例として表2のような条件
下での本実施形態の効果を試算した。
【0026】
【表2】
【0027】図5は、その試算結果の一例を示したもの
である。図5の横軸は、ダクトスペーサ32a,32b,32c…
の線膨張率であり、縦軸βは、次の式(2)で定義される
コアとコイルの長さの比である。
【0028】
【数2】 β=(固定子コア3の長さ/コイル内部導体4a,4bの長さ)×100% (2)
【0029】運転停止時に、固定子コア3とコイル内部
導体4a,4bがともに周囲温度であれば、コアとコイル内
部導体の長さは、ほぼ等しく、β≒100.00%である。も
し運転時にも、両者の熱伸び量が等しければ、やはりβ
≒100.00%で、絶縁層42a,42b,42c,42dには、応力は生
じない。ところが、固定子コア3とコイル導体4a,4bの
熱膨張量に差がある時には、β≠100.00%(β<100%
であれば、運転時のコア3の長さはコイル内部導体4a,4
bの長さより小さく、β>100%なら逆となる)となり、
絶縁層42a,42b,42c,42dに応力が加わることになる。100
%に近いほど絶縁層42a,42b,42c,42dに加わる応力は小
さい。
【0030】図5に示す計算例は、表2のケースAの場
合で、コイルの内部導体4a,4bが運転時に120℃になった
時に、固定子コア3の温度が80℃になるケースの例であ
る。ダクトスペーサ32a,32b,32c…が鋼材の場合には、
表1より線膨張率は11.8×10ー6(K-1)でβ=99.91%
程度であるが、鋼材より線膨張率の大きい材料、例とし
てアルミや鉛、さらにはエボナイト等を用いると、次第
に100%に近づき、条件によっては100%を超える場合も
生じる。アルミや鉛については、これらを成分とする合
金の中にも類似の線膨張率を示す材料があり、それらを
用いることが可能である。
【0031】図5のパラメータであるケース1から4
は、表2に示した冷却ダクト比率に対応し、これはコア
ブロック31a,31b,31c,…とダクトスペーサ32a,32b,32c
…の長さの総和に対するダクトスペーサ32a,32b,32c…
の長さの和の比率である。これらの計算例を基にβが10
0%に近づくようにダクトスペーサ32a,32b,32c…の材料
を選択することで、絶縁層42a,42b,42c,42dに加わる応
力を緩和することができる。
【0032】図6に、表2のケースBの計算例を示す。
ケースAに比べて絶縁層42a,42b,42c,42dの熱伝導率が
大きく、固定子コイルの内部導体4a,4bが120℃の時に固
定子コア3の温度が100℃になるケースの例である。こ
の場合にはケースAの場合に比べて、固定子コアと固定
子コイルの長さ比βは、大きくなることがわかる。発電
機の小形化を図るに当たり、絶縁層に、例えばアルミナ
のような熱伝導率の大きい添加物を混ぜ、絶縁層全体の
熱伝導率を向上させ、固定子コイルの電流密度を上げ
る、という方法が検討されている。この高熱伝導絶縁に
おいては固定子コイルの内部導体4a,4bとコア3の温度
差が小さくなるのが特徴であり、前記計算例のケースB
に相当する。図5と図6の比較より本実施形態は、高熱
伝導絶縁と組合わせることで、より大きな効果を得られ
ることがわかる。
【0033】本実施形態で用いるダクトスペーサ32a,32
b,…,32mに求められる特性としては、熱膨張率が大きい
ことであることをこれまでに説明してきたが、これに加
えてより好ましい特性としては、まず弾性率が大きいこ
とが挙げられる。図2に示すように、コアブロック31a,
31b,…,31nおよびダクトスペーサ32a,32b,…,32mは、ロ
ッド37とエンドプレート36a,36bで回転軸10方向に締め
付けている。ここでダクトスペーサ32a,32b,…,32mの弾
性率が小さいと、高温時の熱膨張の一部が内部応力とし
て残留し、十分な熱膨張変位につながらない。この場合
には、コア3の熱膨張量が不十分で、絶縁層の応力緩和
効果が減少する。
【0034】また、ダクトスペーサ32a,32b,…,32mの熱
伝導率が大きい方が好ましい理由としては、該ダクトス
ペーサ32a,32b,…,32mを前記冷却媒体の流路となる冷却
ダクトに取り付けるために、熱伝導率が小さいと冷却能
力を損なう恐れが生じるためである。以上、本発明の一
実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態
に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され
た本発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々
の変更ができるものである。
【0035】例えば、従来、絶縁層の応力を緩和する方
法の一つとしては、固定子コイルの外層と固定子コアの
接触面を摺動させる構造がとられてきた。しかし、大形
の発電機でコイル長さが、例えば5000mmの場合には、鋼
製のダクトスペーサを用いた時の運転時のコアの長さ
は、図5よりコイル長さの99.91%であるため、その差
は4.5mmにもなり、両端に1/2ずつ分配されたとし
て、端部の滑り量は2mmを越える。実際には固定子コア
とコイル絶縁層の接触面の摩擦により滑り量が抑えられ
る代わりに絶縁層に応力が生じる。また、厳しい運転条
件の発電機では、1日1回、滑りが生じることになり、
絶縁層の表面に擦過痕を残して絶縁特性を損いかねな
い。
【0036】そこで、前記本発明を併用すれば、運転時
の固定子コアの熱膨張量を増大することで、コアとコイ
ルの摺動量を低減することができ、絶縁層の劣化を抑制
することができる。また、絶縁層の応力を緩和する別の
方法の一つとしては、固定子コアと固定子コイル絶縁層
との間に応力緩和層を介在させる方法も提案されてい
る。しかしこの方法だけでは、コイル導体とコアの熱膨
張差がある程度以上大きくなると応力を吸収しきれなく
なり、大形化に制約がある。そこで前記本発明を併用し
てコアとコイルの熱膨張差を低減することで、より大形
の発電機の絶縁層の応力緩和を図ることができる。
【0037】更に、本発明の最も効果的な適用例は、固
定子の一体含浸構造を採用する発電機である。これは、
固定子コアに固定子コイルを組込んだ後に、全体を樹脂
含浸固着して構成する発電機である。この一体含浸方式
固定子では、樹脂含浸固着する前の可撓性のある状態で
固定子コイルを固定子コアに組込むために、作業が容易
で、特性劣化の懸念も小さく、優れた製造方法である。
しかし固定子コアと固定子コイル絶縁層外表面が堅固に
固着されるために、熱膨張時の応力と歪みによる絶縁層
の特性劣化が大形化の制約になっていた。ここで、本発
明を適用すれば熱膨張による固定子コアと固定子コイル
の伸びの差異を低減できるので、大形機でも熱膨張時の
絶縁層の応力を緩和できる。この結果、製作が容易で特
性の良好な発電機固定子を製作することができる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明の発電機の固定子は、固定子コアのダクトスペーサと
して、固定子コアに用いる鋼材より線膨張率が大きい材
料を使用したので、運転時にコイル導体が熱膨張した場
合に、固定子コアと固定子コイルの熱膨張差を縮小で
き、コアとコイル導体間の絶縁層に加わる応力を低減す
ることができる。その結果、絶縁層に剥離や亀裂が生じ
るのを防ぐことができるので、絶縁の信頼性が向上で
き、発電機の事故防止と運転寿命の伸長を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の発電機の部分断面斜視
図。
【図2】図1の発電機の固定子コアの回転軸を含む回転
軸方向の断面図。
【図3】図2の発電機のダクトスペーサの配置例を示す
回転軸に直角なIII-III矢視断面図。
【図4】図1の発電機の固定子コア、絶縁層、コイル導
体の関係を示す拡大断面図。
【図5】本発明の発電機の固定子コアと固定子コイルの
長さの関係の一例を示す特性図。
【図6】本発明の発電機の固定子コアと固定子コイルの
長さの関係の他の一例を示す特性図。
【符号の説明】
1…発電機、2…回転子、3…固定子(固定子コア)、
31a,31b,31c,31n…コイルブロック、32a,32b,32
c,32m…ダクトスペーサ、36a,36b…エンドプレート、
37…ロッド、38…キーバー、4,4a,4b,4c,4d…固定
子コイル、41a,41b…コイル内部導体、42a,42b,42
c,42d…絶縁層、43…ウェッジ、10…回転軸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪素鋼板を積層した複数個のコアブロッ
    クの各々を隣接するコアブロック間に冷却媒体の流路を
    確保するためのダクトスペーサを介して並置し、周囲を
    絶縁層で覆ったコイル導体の固定子コイルを前記コアブ
    ロックに設けた溝に挿通して組込んだ発電機固定子にお
    いて、前記ダクトスペーサの材料の線膨張率を、前記コ
    アブロックを形成する前記珪素鋼板の線膨張率より大き
    くしたことを特徴とする発電機固定子。
  2. 【請求項2】 前記ダクトスペーサの材料の20℃におけ
    る線膨張率の値が、12×10-6(K-1)を越える材料であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の発電機固定子。
  3. 【請求項3】 前記固定子コアに組込む前記固定子コイ
    ルの絶縁層が、マイカ、樹脂、及び添加物を含んでお
    り、該添加物の熱伝導率がマイカあるいは樹脂より大き
    いことを特徴とする請求項1に記載の発電機固定子。
  4. 【請求項4】 前記コアブロックに設けられた溝の中を
    前記固定子コイルが摺動可能に組込まれていることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発電機
    固定子。
  5. 【請求項5】 前記コアブロックと前記固定子コイルの
    絶縁層との接触面に、該固定子コイルの絶縁層よりも弾
    性率が小さい材料から成る緩衝材を備えたことを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発電機固定
    子。
  6. 【請求項6】 前記固定子コアに固定子コイルを組込ん
    だ後に、全体を一体として樹脂含浸固着したことを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発電機固
    定子。
JP3583898A 1998-02-18 1998-02-18 発電機固定子 Pending JPH11234929A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3583898A JPH11234929A (ja) 1998-02-18 1998-02-18 発電機固定子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3583898A JPH11234929A (ja) 1998-02-18 1998-02-18 発電機固定子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11234929A true JPH11234929A (ja) 1999-08-27

Family

ID=12453128

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3583898A Pending JPH11234929A (ja) 1998-02-18 1998-02-18 発電機固定子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11234929A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7235146B2 (en) * 2004-04-28 2007-06-26 Sensoplan Aktiengesellschaft Method for repairing the electric insulation layers between pieces of sheet metal of sheet metal segments of electric generators and motors
JP2013158222A (ja) * 2012-02-01 2013-08-15 Hitachi Automotive Systems Ltd 回転電機
JP2019205227A (ja) * 2018-05-21 2019-11-28 東芝三菱電機産業システム株式会社 回転電機および固定子

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7235146B2 (en) * 2004-04-28 2007-06-26 Sensoplan Aktiengesellschaft Method for repairing the electric insulation layers between pieces of sheet metal of sheet metal segments of electric generators and motors
JP2013158222A (ja) * 2012-02-01 2013-08-15 Hitachi Automotive Systems Ltd 回転電機
JP2019205227A (ja) * 2018-05-21 2019-11-28 東芝三菱電機産業システム株式会社 回転電機および固定子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5216038B2 (ja) 回転電動機
EP1422806A2 (en) Electric motor
US7649295B2 (en) Insulation structure of rotary electrical machinery
JP5904827B2 (ja) 回転電機
CN109313977B (zh) 电感器及其安装结构
CA2499641C (en) Electrical machine having a stator with cooled winding bars
JP5038820B2 (ja) スターリングサイクル機関
JP4717904B2 (ja) リアクトル
JP2004327569A (ja) リアクトル装置
JP2008283730A (ja) 電動機用分割固定子、この分割固定子を備える電動機用固定子、この電動機用固定子を備える電動機及び電動機用分割固定子の製造方法
JP5483862B2 (ja) 回転機
JP2007215334A (ja) 電動機用固定子及び電動機
JPH11234929A (ja) 発電機固定子
JP4788377B2 (ja) 超電導コイル
US8630688B2 (en) Winding for use in high temperature superconducting generator
JP5708253B2 (ja) 超電導コイルおよび超電導マグネット
US10141818B2 (en) Winding frame structure for motors
JP4490770B2 (ja) 回転電機の固定子
US20210317754A1 (en) Housing structure for rotary machine and method of manufacturing housing structure for rotary machine
JP2001061247A (ja) 回転電機の固定子コイル
JP5708254B2 (ja) 超電導コイルおよび超電導マグネット
JP2006012948A (ja) 電力変換装置のコンデンサ取り付け構造
US20230412016A1 (en) Displacement body for a rotor and correspondingly configured rotor
JPH0880000A (ja) 回転電機の回転子
JP3677091B2 (ja) 電磁ポンプ