JPH11231064A - 地震動推定方法 - Google Patents

地震動推定方法

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JPH11231064A
JPH11231064A JP3008098A JP3008098A JPH11231064A JP H11231064 A JPH11231064 A JP H11231064A JP 3008098 A JP3008098 A JP 3008098A JP 3008098 A JP3008098 A JP 3008098A JP H11231064 A JPH11231064 A JP H11231064A
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JP
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magnitude
motion
ground
seismometer
seismic
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JP3008098A
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Yusuke Fujita
裕介 藤田
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震発生時に、地震計が設置されていない地
点での地震動の大きさの推定を精度よく行う。 【解決手段】 地表面12に設置される地震計10に対
して、予め定める範囲の推定エリア16内での任意の推
定地点11での地震動の大きさを、工学的基盤面13で
の地震動の大きさを推定して求める。地震計10の設置
地点に対応する工学的基盤面13の位置10aでの地震
動の大きさは、表層地層14での地震増幅率で除算して
推定する。工学的基盤面13での基準エリア15内での
地震動の大きさは、地震計10の観測値に基づいて変換
される値を基準に、狭い範囲では同一とし、広い範囲で
は距離減衰式に基づいて推定する。推定地点11での地
震動の大きさは、表層地層14での地震動の増幅率を乗
算して求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大きな地震の発生
時に、地震動の大きさに対応して適切な処置を講ずるな
どのために行う地震動推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、都市ガスや水道などを供給す
る配管網として地中に埋設されている管路が大きな地震
動を受けると、破損して内部の都市ガスや水道水などが
漏洩してしまう。このため、たとえば都市ガスの供給用
管路では、60kineを超える地震動が生じると都市
ガスの供給を即時停止し、30〜60kineの範囲で
は様子を見て停止するか否かを決定するようにしてい
る。
【0003】地震動の大きさは、一般的には地震計で観
測する。しかしながら、いつ発生するか判らない地震に
対して、あらゆる場所に地震計を設置して大きな地震動
の発生に備えることは、現実的に不可能である。そこ
で、地震計を設置していない地点の地震動の大きさを、
地震計が設置してある地点で観測される地震動の大きさ
に基づいて推定する手法が、種々提案されている。
【0004】図14は、地震計が設置地点での地震動の
大きさを推定する手法の一例を示す。4個の地震計1,
2,3,4は、大略的に矩形の地震計ネットワーク5を
構成する。地震計ネットワーク5内で斜線を施して示す
推定エリア6内の地点での地震動の大きさは、地震計ネ
ットワーク5について設定される境界条件などに基づ
き、4つの地震計1〜4の観測値から求められる。
【0005】図15は、大阪湾7を中心とする地域に、
複数の地震計1,2,3,4,…が地震計ネットワーク
5を形成するように配置されている状態を概略的に示
す。地域全体に複数の地震計が配置されており、そのう
ちで4つの地震計の設置地点で形成される概略的に矩形
の推定エリア6内の地点では、地震計の観測値を元に地
震動の大きさの推定が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図15に示すように、
地震計1,2,3,4,…を数多く設置することができ
ても、たとえば大阪湾7の沿岸部には、斜線を施して示
すように地震計ネットワーク5には含まれない地域が生
じてしまう。既設の地震計ネットワーク5をより細かく
して、たとえば淡路島8内や琵琶湖9周辺などでも地震
計ネットワーク5を形成することができたとしても、海
岸や湖岸の地形は複雑であるので、矩形の地震計ネット
ワーク5では全部の地域を覆うことができず、地震動の
大きさを推定することができない地域が生じてしまう。
【0007】本発明の目的は、地震計ネットワークに含
まれない地域でも、地震動の大きさを観測する地震計が
設置してあれば、地震動の大きさを容易に推定すること
ができる地震動推定方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、地震発生時
に、地表面に設置されている地震計で観測される地震動
の大きさを、地震計設置地点の表層地盤の地震動増幅率
で除算して工学的基盤面での対応する位置における地震
動の大きさに変換し、地表面で地震計設置地点の予め定
める範囲内の地点に対応する位置の工学的基盤面での地
震動の大きさを、地震計設置地点に対応する位置の工学
的基盤面での地震動の大きさに基づいて推定し、推定さ
れた地震動の大きさに、その地点での表層地盤の地震動
増幅率を乗算して、地表面での地震動の大きさに変換す
ることを特徴とする地震動推定方法である。
【0009】本発明に従えば、地震計が設置していない
地点での地震動の大きさを、予め定める範囲内に設置し
てある地震計が観測する地震動の大きさに基づいて推定
することができる。まず地震計によって観測される地震
動の大きさを、地震計が設置してある地点での表層地層
の地震動増幅率で除算して、工学的基盤面の地震動の大
きさに変換し、地震動を推定すべき地点に対応する工学
的基盤面上の位置での地震動の大きさを推定して、推定
された地震動の大きさに表層地層の地震動増幅率を乗算
して地表面での地震動の大きさを推定することができ
る。
【0010】また本発明の前記予め定める範囲内では、
工学的基盤面の対応する範囲で地震動の大きさが、同一
であると推定することを特徴とする。
【0011】本発明に従えば、工学的基盤面での地震動
の大きさが、地震計の設置地点に対応する位置と地震動
を推定すべき地点に対応する位置とで同一であるとして
地震動の大きさの推定を行うので、たとえば工学的基盤
面での距離が震源からの距離に比較して充分に小さけれ
ば迅速かつ精度よく地震動の大きさを推定することがで
きる。
【0012】また本発明の前記予め定める範囲内では、
工学的基盤面の対応する範囲での地震動の大きさを、予
め定める地震動の距離減衰式に従い、距離および地震の
規模に応じて変化するとして推定することを特徴とす
る。
【0013】本発明に従えば、工学的基盤面での地震動
の大きさの推定を予め定める地震動の距離減衰式に従っ
て、距離および地震の規模に応じて変化するとして推定
するので、地震計の設置地点からある程度離れた地点で
も精度よく地震動の大きさを推定することができる。
【0014】また本発明は、前記工学的基盤面の対応す
る範囲内での地震動の大きさを、前記予め定める地震動
の距離減衰式の対数近似に基づいて推定することを特徴
とする。
【0015】本発明に従えば、地震動の大きさの推定
を、予め定める地震動の距離減衰式の対数近似に基づい
て行うので、距離減衰式自体を用いる場合に比較してよ
り簡易に地震動の大きさの推定を行うことができる。
【0016】また本発明は、前記工学的基盤面の対応す
る範囲内での地震動の大きさを、前記予め定める地震動
の距離減衰式の線形補間に基づいて推定することを特徴
とする。
【0017】本発明に従えば、工学的基盤面の地震動の
大きさの推定を、予め定める地震動の距離減衰式の線形
補間に基づいて行うので、演算処理が簡略化され、迅速
に地震動の大きさの推定を行うことができる。
【0018】また本発明は、前記予め定める範囲内の地
震計を基準用として、その設置地点に近接する2つの地
震計を参照用に設定し、基準用の地震計設置地点から2
つの参照用地震計設置地点までの距離をそれぞれ算定し
ておき、地震発生時に前記予め定める範囲内での地震動
の大きさの推定を、地表面での基準用地震計および2つ
の参照用地震計の観測値からそれぞれ変換された前記工
学的基盤面での地震動の大きさと、地震計の設置地点に
対応する位置の配置に対する推定する地点に対応する位
置の関係とに基づくベクトル合成によって行うことを特
徴とする。
【0019】本発明に従えば、工学的基盤面での地震動
の大きさの推定を、予め定める範囲内に設置される基準
用地震計によって観測される地震動の大きさと、基準用
地震計の設置地点に隣接する2つの参照用地震計によっ
て観測される地震動の大きさとを利用し、3つの地震計
の設置地点に対応する位置と地震動を推定すべき地点に
対応する位置との関係に基づくベクトル演算によって算
出するので、基準用地震計の観測する地震動の大きさの
みに基づいて地震動の大きさを推定する場合に比較し
て、さらに精度の高い地震動の大きさの推定を行うこと
ができる。
【0020】また本発明で前記参照用に設定する2つの
地震計は、前記予め定める範囲内の地震計の設置地点を
取囲むように設置される複数の地震計のうちから、基準
用の地震計の設置地点との間で形成されるエリアの内部
または辺上に地震動を推定する地点が存在するように選
択することを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、基準用地震計に対して、
2つの参照用地震計は、基準用地震計を取囲むように設
置されている複数の地震計のうちから、3つの地震計が
形成するエリアの内部または辺上に地震動の大きさを推
定すべき地点が存在するように選択するので、基準用地
震計の設置地点を中心として予め定める範囲内での地震
動の大きさの推定を精度よく行うことができる。
【0022】また本発明で前記地震動の大きさは、地震
動の速度であることを特徴とする。本発明に従えば、地
震動の速度の大きさを精度よく推定し、地震動の際に速
度によって引起こされる被害の程度を容易に推定するこ
とができる。
【0023】また本発明で前記地震動の大きさは、地震
動の加速度であることを特徴とする。
【0024】本発明に従えば、地震動の大きさを加速度
で推定するので、地表面での加速度の大きさを、表層地
盤での加速度の増幅率が飽和特性を示すことを考慮し
て、精度よく地震動の大きさを推定することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の第1形態
として、地震計10を設置してある地点の周囲の推定地
点11で地震動の大きさを推定する際の基本的な考え方
を示す。地震計10は、として地表面12の地震動の
大きさを観測する。観測する地震としては、加速度およ
び/または速度を対象とすることができる。地表面12
で観測される地震動は、地表面の下方に存在する工学的
基盤面13を伝播する地震波が、地表面12と工学的基
盤面13との間の表層地層14で増幅されたものと考え
ることができる。このため、で示すように、地表面1
2で観測した地震動の大きさを表層地層14の地震動増
幅率で除算し、工学的基盤面13で地震計10の設置地
点に対応する位置10aでの地震動の大きさに変換す
る。
【0026】工学的基盤面13上では、地震計10の設
置地点に対応する位置10aの周囲の基準エリア15内
で、地震計10の設置地点に対応する位置10aでの地
震動の大きさを基準として推定可能である。たとえば、
基準エリア15の大きさが地震の震源までの距離に比較
して小さければ、基準エリア15内では地震動の大きさ
が同一であると見なすことができる。したがって、で
示すように、地表面12での推定地点11に対応する位
置11aが基準エリア15内に存在しているときには、
その位置での地震動の大きさを地震計10の設置地点に
対応する位置10aでの地震動の大きさと同一であると
推定する。次に地表面12の推定地点11での地震動の
大きさを推定するために、で示すように、表層地層1
4の地震動増幅率を乗算する。
【0027】表層地層14の地震動増幅率は、表層地層
の組成や、表層地層の深さに従って変化する。このた
め、工学的基盤面13での地震動の大きさを同一とみな
しても、地表面12での地震動の大きさは表層地層13
の構成に応じて変化する。表層地層14の地震動増幅率
は、たとえば重力異常を測定して地表面12から工学的
基盤面13までの深さを推定したり、ボーリングを行っ
て表層地層14の深さと組成を調査したりすることによ
って求めることができる。このように、工学的基盤面1
3での基準エリア15に対応し、斜線を施して示す地表
面12の推定エリア16で、表層地層14の地震動増幅
率が求められていれば、推定エリア16内での推定地点
11で地震動の大きさを容易に推定することができる。
【0028】図2〜図4は、本発明の実施の第2形態で
地震動の大きさの推定を行う考え方を示す。図2に示す
ように、本実施形態では、まずとして、地表面12で
1つの基準となる地震計10に対して2つの地震計2
1,22を参照用として登録し、地震計間距離Δ1,Δ
2を算定しておく。推定地点11は、地震計10を基点
として、地震計21,22に向かう線分に挟まれる。地
震計21,22は、地震計10の周囲に設定される推定
エリア16よりも外方に存在する。ここで、地震動が生
じ、各地震計10,21,22は、地震動の大きさとし
て、α0,α1,α2をそれぞれ観測している場合を想
定する。に示すように、基準となる地震計10および
登録されている参照用の地震計21,22の観測した地
震動の大きさα0,α1,α2は、それぞれの地点での
対応する位置10a,21a,22aの表層地層14の
地震動増幅率で除算して、工学的基盤面13での対応す
る位置10a,21a,22aの地震動の大きさα
0’,α1’,α2’をそれぞれ推定する。
【0029】図3は、工学的基盤面13での各地震計1
0,21,22の設置地点と基準エリア15との幾何学
的な関係を示す。各地点に対応する位置10a,21
a,22aおよび基準エリア15は、地表面12での各
地震計10,21,22の設置地点および推定エリア1
6の工学的基盤面13への投影と考えることもできるの
で、地表面12と工学的基盤面13とは必ずしも平行で
なくてもよいけれども、説明の便宜上、平行としてお
く。ここで、基準となる地震動の大きさα0’と参照用
の地震動の大きさα1’,α2’との差を次の第1式の
ようにΔα1,Δα2と定義する。 Δα1 = α1’−α0’ Δα2 = α2’−α0’ …(1)
【0030】図4は基準となる地震計10の設置地点に
対応する位置10aを原点として、地表面12での推定
地点11に対応する工学的基盤面13での位置11aを
表すベクトルが、原点と2つの参照位置21a,22a
との間を結ぶ直線上の長さの成分をξおよびηとしてベ
クトル合成で大きさを推定することができることを示
す。図4(a)は距離ξおよびηの例を示し、図4
(b)は推定地点11に対応する位置11aでの地震動
の大きさxの関係を示す。なお、図面上でベクトルは、
符号の上に右向き矢印を付して示す。原点から距離ξお
よびηの距離の点での地震動の大きさβ,γは、次の第
2式のように直線補間することができる。 β = α0’+Δα1×ξ/Δ1 γ = α0’+ΔΔ2×η/Δ2 …(2)
【0031】第2式に従って地震動の大きさβおよびγ
を求めることができると、図4(b)に示されるような
ベクトル合成で、次の第3式のように任意の位置での地
震動の値xをベクトル合成で推定することができる。 x = (β−α0’)+(γ−α0’) …(3)
【0032】本実施形態では、工学的基盤面13内での
地震動の大きさの推定を、直線補間に基づいて行い、し
かも2つの参照用地震計21,22の観測した地震動の
大きさを参照用として利用するベクトル合成で推定エリ
ア16内での地震動の大きさを推定するので、地震計の
設置密度が低い地域などで、精度よく地震動の大きさを
推定することができる。また、本実施形態ではいわば内
挿して地震動の大きさを推定しているけれども、推定地
点11が地震計10を起点に地震計21,22に向かう
線分間で挟まれる領域外に存在する場合であっても、い
わば外挿として、ベクトル合成による推定は可能であ
る。
【0033】図5は、本発明の実施の第3形態で、工学
的基盤面13での地震動の大きさの推定を、予め設定さ
れる距離減衰式に従って行う考え方を示す。地表面12
と工学的基盤面13との間の変換は、図2〜図4に示す
実施の第1形態と同様に行う。本実施形態で、工学的基
盤面13での距離減衰式は、次の第4式で示されるよう
に、距離と地震動の規模であるマグニチュードMとを変
数とする関数である。 α = f(Δ,M) …(4)
【0034】ここでΔは距離であり、このような距離減
衰式としては、建設省の土木研究所が活断層を震源とす
る地震に対して開発したいわゆる土研式を好適に用いる
ことができる。震源を点と考えることができるときに
は、海洋型と呼ばれる距離減衰式を用いることもでき
る。第4式で、マグニチュードMの値としては、地震後
に気象庁から発表される値を用いる。本実施形態では、
図3と同様に、原点位置からξおよびηだけ離れた地点
での地震動の大きさβ,γを、次の第5式に示すように
定義することができる。 β = α0’+f(δ1+ξ,M)−f(δ1,M) γ = α0’+f(δ2+η,M)−f(δ2,M) …(5)
【0035】ここでδ1,δ2は、Mの値が与えられた
後、次のようにして求める。まず、図5に示す距離減衰
式を示す曲線から、Δ1,│Δα1│の両方を満足する
区間をL1、Δ2,│α2│の両方を満足する区間をL
2として求める。区間L1,L2の中で、α0’に対応
する震央距離をδ1として求め、区間L2の中でα0’
に対応する震央距離をδ2として求める。このようなδ
1,δ2を求めて、第5式に従ってβ,γを求めれば、
前述の第3式に基づいて任意の位置での地震動の値xを
ベクトル合成で推定することができる。
【0036】図6は、本発明の実施の第4形態として、
図5に示すような距離減衰式の対数近似で地震動の大き
さを推定する考え方を部分的なグラフとして示す。本実
施形態では、震央距離Δおよび地震動の大きさαを対数
で表す。図4に示すような原点から距離ξ,ηの点の地
震動の大きさβ,γを、次の第6式に示すように定義す
る。 β = α0’+log│Δα1│×logξ/logΔ1 γ = α0’+log│Δα2│×logη/logΔ2 …(6)
【0037】図6に示すようにして求められるβおよび
γを用いて、前述の第3式に従い、任意の位置での地震
動の値xをベクトル合成で推定することができる。ま
た、震央距離Δを直線目盛に表して距離減衰式を表示す
れば、本実施形態と同様の考え方で直線補間を行うこと
もできる。直線補間の式は、前述の第2式と同様にな
る。すなわち、第2式の考え方を、距離減衰式に基づく
直線補間とすれば、地震動の大きさの推定精度をより向
上させることができる。
【0038】図7〜図11は、本発明の実施の第4形態
での地震動の推定の考え方を示す。図7に示すように、
本実施形態では推定エリア16に含まれる基準となる地
震計10を取囲む全ての地震計21,22,23,2
4,25,26を基準となる地震計10に対する登録地
震計とする。各地震計21〜26にも、それぞれを基準
として地震動を推定するエリアが設定される。
【0039】図8に示すように、基準となる地震計10
および登録地震計21〜26の地表面12で観測される
地震動の大きさをα0,α1〜α6とし、工学的基盤面
13の対応する位置10a,21a〜26aでの地震動
の大きさへの変換値をそれぞれα0’,α1’〜α6’
とする。また基準となる地震計10に対する、登録地震
計21〜26との距離を、Δ1〜Δ6とする。ここで、
n=1〜6として、工学的基盤面13での地震動の大き
さの差を次の第7式のように定義する。 Δαn = αn’−α0’(n=1〜6) …(7)
【0040】図9は、工学的基盤面13上で、各地震計
に対応する位置の幾何学的な関係と、第7式に従って算
出される地震動の大きさの差とを示す。なお、第4式の
距離減衰式を用いる場合に、地震計10の設置地点に対
応する位置0の震央距離を、nの位置に向かう場合に、
δnで表す。
【0041】図10は、ベクトル合成で推定エリア16
内で任意の位置にある推定地点11に対応する工学的基
盤面13での位置11aでの地震動の大きさを推定する
ベクトル合成の考え方を示す。図10(a)は、地震動
を推定する地点11に対応する位置11aが、位置0か
ら位置nに向かってξの距離にある場合を示し、地震動
の大きさβは次の第8式に従って算出される。 β = α0’+f(δn+ξ,M)−f(δn,M) …(8)
【0042】図10(b)は、ベクトルxで表される推
定地点の対応位置11aが、位置0から位置nおよび位
置mに向かう2つの線分で挟まれるエリアに存在する場
合を示す。位置0から位置mに向かう線分上の長さnの
点での地震動の大きさをγとすれば、γも第8式と同様
に求めることができるので、第3式を適用して、任意の
位置11aにおける地震動の大きさxは、次の第9式で
推定することができる。 x = (β−α0’)+(γ−α0’) = f(δn+ξ,M)−f(δn,M) +f(δm+η,M)−f(δm,M) …(9)
【0043】図11は、図7の推定エリア16を、参照
する登録地震計21〜26に応じてA12,A23,A
34,A45,A56,A61に分け、たとえばエリア
A12内に推定地点11が存在するときには、地震計2
1,22の観測値α1,α2を参照して地震動の大きさ
を推定することを示す。このエリアA12は、α0を観
測する基準の地震計10の設置位置と、2つの地震計2
1,22の設置位置とで作る三角形のエリアと推定エリ
ア16との重複部分である。他のエリアについても同様
である。
【0044】図12は、本発明の実施の第5形態とし
て、実施の第4形態で第8式および第9式として距離減
衰式を用いて地震動の大きさを推定している部分を、実
施の第2形態に対して実施の第3形態で対数近似や直線
補間を行っていると同様にして、演算処理の簡略化を図
る例を示す。震央距離Δを対数目盛でとれば対数近似と
なり、直線目盛とすれば直線補間となる。震央距離Δが
対数目盛のときには、実施の第4形態の第8式に対応し
て次の第10式を得ることができる。
【0045】
【数1】
【0046】以上説明した各実施形態で、地表面12で
観測する地震動の大きさとしては、速度であっても加速
度であってもよい。しかしながら、表層地層14での地
震動増幅率を考慮して工学的基盤面13での地震動の大
きさに変換する際には、地震動の大きさが速度であるか
加速度であるかによって異なる取扱いをする必要があ
る。
【0047】図13は、(a)で速度に対する地盤増幅
率の変化、(b)で加速度に対する地盤増幅率の変化を
それぞれ示す。速度に対する地盤増幅率は、表層地層1
4が均一であれば、深さに対応して直線的に増大する。
これに対して、(b)に示す加速度に対する地盤増幅率
は、表層地層14が均一であっても、必ずしも直線的に
増大するとは限らず、途中で飽和する非線形の変化を示
す。このような非線形の変化は、表層地層14の液状化
として知られている現象を引起こす。表層地層14が液
状化を起こさないような硬い地質であれば、加速度であ
っても地震動の増幅率は飽和しないので、工学的基盤面
13での地震動の大きさを地表面12で観測した地震動
の大きさから容易に算出することができる。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、地表面で
の地震動の大きさを、表層地層の地震動増幅率を考慮
し、工学的基盤面で予め定める範囲内で推定される地震
動の大きさに対応して精度よく推定することができる。
【0049】また本発明によれば、工学的基盤面での地
震動の大きさを同一として予め定める範囲内での地震動
の大きさを、地震計の設置地点および地震動の大きさを
推定すべき地点での表層地層の地震動増幅率の違いを反
映して推定することができるので、震源からの距離に比
較して地震計が設置してある地点までの距離が短い範囲
では、精度よくかつ簡単に地震動の大きさを推定するこ
とができる。
【0050】また本発明によれば、工学的基盤での地震
動の大きさの推定を、予め定める距離減衰式に従って行
うので、地震計の設置地点に対応する位置の周囲の比較
的広い範囲で精度よく地震動の大きさを推定することが
できる。
【0051】また本発明によれば、工学的基盤面での地
震動の大きさの推定を、予め定める距離減衰式の対数近
似に基づいて行うので、地震計の設置地点に対応する位
置の周囲の比較的広い範囲で精度のよい推定を、比較的
簡単な演算処理で行うことができる。
【0052】また本発明によれば、工学的基盤面での地
震動の大きさの推定を、予め定める距離減衰式の直線補
間に基づいて行うので、地震計の設置地点に対応する位
置の周辺での地震動の大きさの推定を、比較的簡単な演
算処理で精度よく行うことができる。
【0053】また本発明によれば、基準となる地震計と
共に、2つの地震計の観測結果を参照して、3つの地震
計の設置地点および推定地点の幾何学的な関係に基づい
てベクトル演算による地震動の大きさの推定を行うの
で、基準用地震計の観測結果のみに基づいて推定するよ
りも精度の高い推定を行うことができる。
【0054】また本発明によれば、参照用の地震計は、
基準用地震計を取囲むように設置される複数の地震計か
ら、設置地点間で形成するエリアが推定する地点を内部
に含むか辺上に位置するように選択するので、基準用地
震計の周囲で精度の高い地震動の大きさの推定を行うこ
とができる。
【0055】また本発明によれば、地震動による速度の
大きさを精度よく推定することができる。
【0056】また本発明によれば、地震動による加速度
の大きさを精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態の基本的な考え方を示
す簡略化した斜視図である。
【図2】本発明の実施の第2形態で、地表面で観測した
地震動の大きさに対応して工学的基準面での地震動の大
きさを求める段階を示す簡略化した斜視図である。
【図3】図2の実施形態で、工学的基準面13上での各
位置の関係を示す簡略化した平面図である。
【図4】ベクトル合成の考え方を適用して、任意の位置
での地震動の値xを求める過程を示す図である。
【図5】本発明の実施の第3形態で、工学的基盤面での
地震動の大きさを、距離減衰式に基づいて算出する際の
震央距離を求める過程を示すグラフである。
【図6】図5の距離減衰式を対数近似または直線補間に
よって簡略化して地震動の大きさの推定を行う考え方を
示すグラフである。
【図7】本発明の実施の第4形態で、基準となる地震計
と参照する複数の地震計との配置を示す簡略化した平面
図である。
【図8】図7の実施形態で、地表面12と工学的基盤面
13との間での地震動の大きさの変換過程を示す簡略化
した斜視図である。
【図9】工学的基盤面13で、各地震計の設置地点に対
応する位置の幾何学的関係と、地表面での地震動の大き
さを変換した地震動の大きさとの関係を示す図である。
【図10】ベクトル合成の考え方を適用して任意の地点
での地震動の大きさを推定する考え方を示す図である。
【図11】図7に示す地震計10の周囲の推定エリア1
6が、周囲の登録した地震計に応じて複数のエリアに分
割される状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の第5形態で、実施の第4形態
のベクトル合成のための地震動の大きさの推定を、距離
減衰式を用いて行う考え方を示すグラフである。
【図13】各実施形態で、地震動の大きさとして速度お
よび加速度を観測する際に、表層地層の地震動増幅率の
変化をそれぞれ示す簡略化した鉛直断面図である。
【図14】従来の地震計ネットワーク内で地震動の大き
さを推定する考え方を示す簡略化した斜視図である。
【図15】従来の地震計ネットワークに基づく地震動の
大きさの推定では、実際の地形上の制約などで地震動の
推定を行うことができない領域が生ずることを示す簡略
化した地図である。
【符号の説明】
10,21〜26 地震計 11 推定地点 12 地表面 13 工学的基盤面 14 表層地層 15 基準エリア 16 推定エリア

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地震発生時に、地表面に設置されている
    地震計で観測される地震動の大きさを、地震計設置地点
    の表層地盤の地震動増幅率で除算して工学的基盤面での
    対応する位置における地震動の大きさに変換し、 地表面で地震計設置地点の予め定める範囲内の地点に対
    応する位置の工学的基盤面での地震動の大きさを、地震
    計設置地点に対応する位置の工学的基盤面での地震動の
    大きさに基づいて推定し、推定された地震動の大きさ
    に、その地点での表層地盤の地震動増幅率を乗算して、
    地表面での地震動の大きさに変換することを特徴とする
    地震動推定方法。
  2. 【請求項2】 前記予め定める範囲内では、工学的基盤
    面の対応する範囲で地震動の大きさが、同一であると推
    定することを特徴とする請求項1記載の地震動推定方
    法。
  3. 【請求項3】 前記予め定める範囲内では、工学的基盤
    面の対応する範囲での地震動の大きさを、予め定める地
    震動の距離減衰式に従い、距離および地震の規模に応じ
    て変化するとして推定することを特徴とする請求項1記
    載の地震動推定方法。
  4. 【請求項4】 前記工学的基盤面の対応する範囲内での
    地震動の大きさを、前記予め定める地震動の距離減衰式
    の対数近似に基づいて推定することを特徴とする請求項
    3記載の地震動推定方法。
  5. 【請求項5】 前記工学的基盤面の対応する範囲内での
    地震動の大きさを、前記予め定める地震動の距離減衰式
    の線形補間に基づいて推定することを特徴とする請求項
    3記載の地震動推定方法。
  6. 【請求項6】 前記予め定める範囲内の地震計を基準用
    として、その設置地点に近接する2つの地震計を参照用
    に設定し、基準用の地震計設置地点から2つの参照用地
    震計設置地点までの距離をそれぞれ算定しておき、 地震発生時に前記予め定める範囲内での地震動の大きさ
    の推定を、地表面での基準用地震計および2つの参照用
    地震計の観測値からそれぞれ変換された前記工学的基盤
    面での地震動の大きさと、地震計の設置地点に対応する
    位置の配置に対する推定する地点に対応する位置の関係
    とに基づくベクトル合成によって行うことを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の地震動推定方法。
  7. 【請求項7】 前記参照用に設定する2つの地震計は、
    前記予め定める範囲内の地震計の設置地点を取囲むよう
    に設置される複数の地震計のうちから、基準用の地震計
    の設置地点との間で形成されるエリアの内部または辺上
    に地震動を推定する地点が存在するように選択すること
    を特徴とする請求項6記載の地震動推定方法。
  8. 【請求項8】 前記地震動の大きさは、地震動の速度で
    あることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    地震動推定方法。
  9. 【請求項9】 前記地震動の大きさは、地震動の加速度
    であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
    の地震動推定方法。
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