JP2015045616A - 地中地震動を利用した即時地震動予測方法 - Google Patents

地中地震動を利用した即時地震動予測方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015045616A
JP2015045616A JP2013178187A JP2013178187A JP2015045616A JP 2015045616 A JP2015045616 A JP 2015045616A JP 2013178187 A JP2013178187 A JP 2013178187A JP 2013178187 A JP2013178187 A JP 2013178187A JP 2015045616 A JP2015045616 A JP 2015045616A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wave
underground
ground
earthquake
ground motion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013178187A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6177628B2 (ja
Inventor
靖士 津野
Seiji Tsuno
靖士 津野
寛之 宮腰
Hiroyuki Miyakoshi
寛之 宮腰
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Railway Technical Research Institute
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Railway Technical Research Institute filed Critical Railway Technical Research Institute
Priority to JP2013178187A priority Critical patent/JP6177628B2/ja
Publication of JP2015045616A publication Critical patent/JP2015045616A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6177628B2 publication Critical patent/JP6177628B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)

Abstract

【課題】 地震基盤で観測されたP波の振幅を利用することにより、地表でのS波の振幅を直接的に予測することができる地中地震動を利用した即時地震動予測方法を提供する。
【解決手段】 地中地震動を利用した即時地震動予測方法において、地表地震計6と地中地震計5により観測されたデータを用いて、地中P波(PBH)11と地中S波(SBH)12の関係、前記地中S波(SBH)12と地表S波(SSF)14の関係を組み合わせ、前記地中P波(PBH)11から前記地表S波(SSF)14を直接的に予測する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地中地震動を利用した即時地震動予測方法に関するものである。
鉄道における地震対策は、事前に鉄道施設の耐震性を向上させる耐震補強のようなハード対策に加え、地震発生時に迅速かつ適切に列車運行を制御するための早期地震警報や、地震発生後に鉄道施設の被害が予測される範囲の列車運転を規制する地震時運転規制のようなソフト対策が重要である。
鉄道分野の早期地震警報で用いられている方法は大きく二つに分けられる。一つは地震計の観測値から計算した任意の地震動指標が予め定めた値(規定値)を超過したタイミングで警報を出力する方法である。もう一つは地震計で検知したP波初動から震源位置と規模を推定し、影響範囲に対して警報を出力する方法である。P波初動による震源推定方法は、1992年にUrEDAS(ユレダス)として初めて実用化された(下記非特許文献1参照)。UrEDASでは、P波初動部数秒間の卓越周波数から推定したマグニチュードと観測された振幅から震源距離を推定し、過去の鉄道被害例に基づいて影響範囲を判断して警報を出力する方法が取られている。その後、P波初動部の振幅のエンベロープ形状と震央距離の関係を用いて震央距離を推定するB−Δ法(下記非特許文献2,3参照)が新たな早期地震防災システムに組み込まれて、2004年から現在に至るまで国内の一部の新幹線で使用されている。
中村豊:総合地震防災システムの研究、土木学会論文集、No.531/I−34、1996年、pp.1−33. Odaka,T.,Ashiya,K.,Sato,S.,Ohtake,K.and Nozaka,D.:A new method of quickly estimating epicentral distance and magnitude from a single seismic record,Bulletin of the Seismological Society of America,Vol.93,No.1,2003,pp.526−532. 芦谷公稔、佐藤新二、岩田直泰、是永将宏、中村洋光:鉄道の地震警報システムにおける緊急地震速報の活用、物理探査、Vol.60、No.5、2007年、pp.387−397. 他谷周一、中島繁:警報用計測震度及び警報用予測震度の検討、土木学会第62回年次学術講演会講演予稿集、2007年、pp.1273−1274. 糸井達哉、内山泰生、高木政美、末田隆敏、長島一郎:緊急地震速報と現地地震計の初期微動情報を併用した地震防災システムの開発と性能評価、日本建築学会技術報告集、Vol.16、No.33、2010年、pp.827−832. Hoshiba,M.:Real−time Prediction of Ground Motion by Kirchhoff−Fresnel Boundary Integral Equation Method:Extended Front Detection Method for Earthquake Early Warning,Journal of Geophysics Research,Vol.118,2013,pp.1038−1050. 倉橋奨、入倉孝次郎:緊急地震速報における上下動加速度記録を利用した主要動波形の即時予測手法の提案、日本地球惑星科学連合2013年大会予稿集、2013年、SSS23−P01. 内閣府:中央防災会議「首都直下地震対策専門委員会」のページ、http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/senmon/shutochokkajishinsenmon/、2013年6月26日アクセス 水島健太郎:新幹線地震時運転規制へのSI値導入、新線路、Vol.60、No.4、2006年、pp.25−27. 伊藤雄郷、他谷周一:地震発生後の運転規制判断の適正化、日本鉄道施設協会誌、Vol.44、No.10、2006年、pp.813−815. 堀込順一:JR東日本における地震対策と運転規制概要、新線路、Vol.60、No.1、2006年、pp.59−61. 岩切一宏、干場充之、大竹和生、下山利浩:南関東周辺のKiK−net強震データの緊急地震速報への活用検討、験震時報、Vol.75、2012年、pp.37−59. 鷹野澄、粟田祐介:ボーリング地震計データによるオンサイト地震警報システムの検討―緊急地震速報の弱点を補い直下型地震に備えるには―、日本地球惑星科学連合2011年大会予稿集、2011年、HDS030−02. 林広樹、笠原敬司、木村尚紀:関東平野の地下に分布する先新第三系基盤岩類、地質学雑誌、Vol.112、No.1、2006年、pp.2−13. 防災科学技術研究所:強震観測網 (K−NET,KiK−net) 、http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/、2013年3月23日アクセス 笠原慶一:地震の力学 近代地震学入門、鹿島出版会、1983年
直下地震では、地震発生から主要動到達までの時間が短く、警報出力が間に合わないことが指摘されている。そこで、震源を推定せずにP波から直接的に主要動を予測して警報を出力する方法として、P波が卓越する上下動から求めた警報用震度(上記非特許文献4参照)により定めた規定値によって警報を出力する方法が国内の一部の新幹線で実用化されている。また、鉄道以外の分野でも、P波初動の加速度とS波主要動の速度の統計的な関係を用いて直接的に主要動を予測する生産施設向けのシステムが開発されている(上記非特許文献5参照)。近年では、リアルタイムで観測された波動場を実況値として境界積分方程式法を用いて時間発展的に波動場を予測する方法(上記非特許文献6参照)や、ある観測点にP波が到達したときに未だ強い揺れの到着していない地域のS波を予測する方法(上記非特許文献7参照)など、理論的にP波からS波を予測する方法の研究も行われている。首都直下地震の切迫性が指摘されているなか(上記非特許文献8参照)、早期地震警報の即時性と精度の向上への期待はさらに高まっており、より早く確実に警報を出力する方法の開発が急務となっている。
一方、鉄道の地震時運転規制方法は各鉄道事業者において若干の違いはあるものの、鉄道沿線に一定間隔で設置された地震計の観測値から計算された地震動指標値に基づいて行われることが多い。ある地震計の地震動指標値が運転規制の発令基準値を超過した場合、その地震計に関して予め定められた区間において速度規制や運転中止のような運転規制措置が取られる。運転中止の場合は運転規制対象区間の全てに対して徒歩等による警備を実施し、鉄道施設に異常がなければ運転再開となる。鉄道沿線の地震計の設置間隔は路線によって様々であるが、密に配置された路線でも5km程度であり、ローカル線では40km程度である。そのため運転中止が発令されると、徒歩等による警備に時間を要するため、仮に鉄道施設が無被害であった場合でも、運転再開までに多大な時間を要する。近年、一部の鉄道事業者では、運転規制に用いる地震動指標値を被害との関連性が高いものに変更して、運転規制を合理的に行う試みがなされている(上記非特許文献9,10参照)。また、地震計を増設して運転規制区間を細分化し、運転中止時の警備対象区間を短くすることも実施されている(上記非特許文献11参照)。現在の方法では運転規制区間内での地震動のバラツキは評価されていないため、運転規制区間内での地震動分布を地震発生直後に高精度で予測することができれば、警備範囲の最適化を検討する上での重要な情報になり得る。
本発明は、上記状況に鑑みて、地震基盤で観測されたP波の振幅を利用することにより、地表でのS波の振幅を直接的に予測することができる地中地震動を利用した即時地震動予測方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕地中地震動を利用した即時地震動予測方法において、地表地震計と地中地震計で観測されたデータを用いて、地中P波と地中S波の関係、前記地中S波と地表S波の関係を組み合わせ、前記地中P波から前記地表S波を直接的に予測することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の地中地震動を利用した即時地震動予測方法において、地表地震動を利用するよりも最大1秒程度早く警報を出力できることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の地中地震動を利用した即時地震動予測方法において、地下構造の影響や震源の放射特性の影響を反映した最大振幅(加速度,速度)の関係を構築することを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の地中地震動を利用した即時地震動予測方法において、前記地中S波と地下速度構造を用い、地表S波を面的予測することを特徴とする。
本発明によれば、地震基盤で観測されたP波の振幅を利用することにより、地表でのS波の振幅を直接的に予測することができ、早期地震動予測を行うことができる。
また、地中S波と地下速度構造を用い、地表S波を面的予測することができる。
さらに、従来の地表地震記録を利用した規制値の設定では原則的に地下速度構造による地震動増幅効果を考慮することができなかったが、地中地震記録を利用することにより、その地震動増幅効果を考慮することができる。
本発明の地中地震動を利用した即時地震動予測を行う模式図である。 関東平野のKiK−net観測点の分布図である。 使用した地震の震央分布を示す図である。 使用した地震の地表最大加速度〔gal〕のヒストグラムを示す図である。 波形例として、2005年7月23日に千葉県北西部で発生したマグニチュード6.0、深さ73.0kmの地震におけるCHBH04の地中と地表の加速度波形と速度波形を示す図である。 地中P波と地表P波の到達時間差を示す図である。 地中S波と地表S波の最大加速度の関係を示す図である。 地中S波と地表S波の最大速度の関係を示す図である。 各観測点におけるパラメータa1 の比較を示す図である。 地中P波と地中S波の最大加速度の関係を示す図である。 地中P波と地中S波の最大速度の関係を示す図である。 各観測点におけるパラメータa2 の比較を示す図である。 地中P波と地表S波の最大加速度の関係を示す図である。 地中P波と地表S波の最大速度の関係を示す図である。 各観測点におけるパラメータaの比較を示す図である。 最大振幅の相関係数を示す図である。 CHBH04における地表地振動の観測波形と計算波形の比較例を示す図である。 各観測点における地中S波の観測値と地表S波の計算値の関係を示す図である。
本発明の地中地震動を利用した即時地震動予測方法は、地表地震計と地中地震計で観測されたデータを用いて、地中P波と地中S波の関係、前記地中S波と地表S波の関係を組み合わせ、前記地中P波から前記地表S波を直接的に予測する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の地中地震動を利用した即時地震動予測を行う模式図であり、図1(a)は地中P波を用いた地表S波の即時予測を示し、図1(b)は地中S波を用いた地表S波の面的予測を示す図である。
これらの図において、1は地震基盤、2は堆積層、3は地表面、4は地表面3から地震基盤1に届く深いボアホール、5は地震基盤1に配置される地中地震計、6は地表面3に配置される地表地震計、7は震源、8は震源7から放射されたたP波、9は震源7から放射されたS波、11は地中地震計5で観測されたP波(PBH)、12は地中地震計5で観測されたS波(SBH)、13は地表地震計6で観測されたP波(PSF)、14は地表地震計6で観測されたS波(SSF)である。
この図に示すように、地震基盤1に設置された地中地震計5で観測されたP波(PBH)11の振幅を利用することにより、地表3での地表地震計6で観測されたS波(SSF)14の振幅を直接的に予測する方法を採用する。
この方法により、地震波が厚い堆積層2を伝播する時間だけ、現行のシステムに比べ余裕時間を増加させることが可能となる。
そこで、首都直下地震を対象として、首都圏および周辺地域におけるKiK−net(防災科研の基盤強震観測網)(上記非特許文献15参照)のデータを用いて、地震基盤1のP波(PBH)11と地震基盤1のS波(SBH)12、および地震基盤1のS波(SBH)12と地表S波(SSF)14の関係性を調べ、地震基盤P波(PBH)11の情報により地表S波(SSF)14を面的に予測する手法の開発を実施した。
上記したように、本発明では、首都直下地震を対象とした地表地震動の即時予測方法を実現するために、関東平野内の地中地震記録を利用する。
図1(a)のように、地中地震計で観測したP波(地中P波)から直接的に地表S波を予測することで、直下地震に対しては、現行の地表P波初動による推定方法よりも早く確実に警報を出力することができる。また、図1(b)のように、地中地震計で観測したS波(地中S波)と堆積層の地下速度構造を組み合わせることで、地震発生直後に地表S波を面的に予測できる。緊急地震速報の迅速化や高度化に向けた検討(上記非特許文献12参照)では、緊急地震速報の既存方法への適用性の確認と課題の抽出が行われている。また、地中と地表の地震動指標の関係式から地表地震動を予測する方法(上記非特許文献13参照)も提案されているが、統計的関係を示すに留まっている。
本発明では、防災科学技術研究所のKiK−net観測点データを使用して、地震動を構成する震源特性、伝播経路特性、サイト増幅特性が地中と地表地震記録の最大振幅におよぼす影響について考慮したうえで、地表地震動の即時予測方法を提案する。
(A)観測点と使用したデータ
関東平野のKiK−net観測点の分布を図2に示す。この図2の観測点のうち、本発明では、ボアホールが先新第三系に到達している12観測点(上記非特許文献14参照)の地中と地表地震記録を使用した。
本発明では、関東平野周辺を震源とする地震に限定するため、北緯34.5〜37.0°、東経138.5〜141.0°を震源とする地震を使用した。また、地震動が概ね関東平野全域に渡って観測される地震を対象とするため、気象庁マグニチュード4.5〜7.0の243地震を使用した。使用した地震の震源分布を図3に示す。ただし、震源距離が大きく地震が観測されない場合があることなどが原因で、実際には各観測点で使用した地震数に違いがある。
次に、今回使用した地震の地表最大加速度〔gal〕のヒストグラムを図4に示す。この図4より、今回使用した地震は最大加速度は数10gal程度が大多数を占めているため、地盤の非線形性の影響を受けたデータは少ないと考えられる。
図3に示す地震で観測された加速度波形を用いてP波とS波の到達時間の検測を目視で行った。P波は鉛直成分、S波は水平2成分を用いて検測を行った。次に、加速度波形を積分して速度波形を求めた。加速度波形に対してカットオフ周波数0.1Hz、20Hzの3次のButterworth型バンドパスフィルタ処理を施した。最後に、加速度波形と速度波形のそれぞれについてP波とS波の最大振幅を求めた。P波の最大振幅はP波到達からS波到達までの時間における鉛直成分の絶対値の最大値、S波の最大振幅はS波到着後の水平2成分ベクトル和の最大値をそれぞれ採用した。図5に波形例として、2005年7月23日に千葉県北西部で発生したマグニチュード6.0、深さ73.0kmの地震におけるCHBH04の地中と地表の加速度波形および速度波形を示す。
(B)地中地震記録利用時の余裕時間の増分
各観測点における地中P波と地表P波の到着時間差を図6に示す。今回使用した観測点では到達時間差は0.1〜1.2秒となっており、ボアホールが深い観測点ほど大きいことがわかる。したがって、地中地震記録を利用するよりも最大1秒程度早く警報を出力できる。
地中および地表の地震記録における最大振幅の関係
〔1〕地中S波と地表S波の最大振幅の関係
本発明ではボアホールが地震基盤に到達している観測点を使用しているため、地中S波と地表S波の関係は地震基盤と地表の伝達関数G(ω) を用いて式 (1) で表される。
Figure 2015045616
ここで、uは地震波の振幅を表す。上添字SはS波を表し、下添字bとsはそれぞれ地中と地表を表す。上記式 (1) の両辺の対数をとると、式 (2) が得られる。
Figure 2015045616
ここで、
Figure 2015045616
である。つまり、地中S波と地表S波は対数軸上で線形関係が成り立ち、地震基盤と地表の伝達関数、すなわち地震基盤から地表までの増幅率を表すパラメータa1 を決めることができれば、地中S波から地表S波を予測することが可能となる。
各観測点における地中S波と地表S波の最大加速度および最大速度の観測値の関係をそれぞれ図7、図8に示す。図中の直線は式 (2) を全観測記録に対して誤差が最小になるようにフィッティングした結果である。各観測点におけるパラメータa1 の比較を図9に示す。図9より、a1 は最大加速度で0.39〜0.90、最大速度で0.58〜0.96程度の値であり観測点によって異なることがわかる。これは観測点ごとにサイト増幅特性が異なるためである。地中S波と地表S波の最大振幅の相関係数は最大加速度で0.76〜0.98、最大速度で0.83〜0.99である。多くの観測点で相関係数が0.9を超えており、地中S波の最大振幅から地表S波の最大振幅を精度良く予測することが可能である。これは、観測点直下の地下速度構造を与えることで地中S波から地表S波を高精度に予測できる可能性を示している。
〔2〕地中P波と地中S波の最大振幅の関係
震源をダブルカップルと仮定すると、震源から十分離れたボアホール観測点におけるP波とS波の波動場はそれぞれ式 (4) と式 (5) で表される(上記非特許文献16参照)。
Figure 2015045616
Figure 2015045616
ここで、ρは媒質の密度、Vは媒質内の弾性波速度、rは震源距離、f (t) は震源に働く力、Rθφはラディエーション係数である。式(4)と式(5)の振幅比をとると、式(6)が得られる。
Figure 2015045616
式 (6) の両辺の対数をとると、式 (7) が得られる。
Figure 2015045616
ここで、
Figure 2015045616
である。つまり、地中P波と地中S波は対数軸上で線形関係が成り立ち、各地震のラディエーション係数および地震発生域のS波/P波速度比の影響を含んだパラメータa2 を決めることができれば、地中P波から地中S波を予測することが可能となる。
各観測点における地中P波と地中S波の最大加速度および最大速度の観測値の関係をそれぞれ図10、図11に示す。図中の直線は式 (7) を全観測記録に対して誤差が最小になるようにフィッティングした結果である。各観測点におけるパラメータa2 の比較を図12に示す。図12より、a2 は最大加速度で0.25〜0.92、最大速度で0.45〜0.84程度の値であり、観測点によって異なることがわかる。これは地震発生域のS波/P波速度比や、各地震のラディエーションパターンの違いによる影響が各観測点で異なるためである。地中P波と地中S波の最大振幅の相関係数は最大加速度で0.75〜0.92、最大速度で0.73〜0.92であり、観測点ごとに異なる。前項のケースと比較して全体的に相関性が小さくなるのは、各地震のラディエーションパターンのバラツキの影響によるものと考えられる。
〔3〕地中P波と地表S波の最大振幅の関係
地中P波と地表S波の関係は式 (2) と式 (7) から次式のように求められる。
Figure 2015045616
ここで、
Figure 2015045616
である。つまり、パラメータaには地下速度構造による地震動増幅、ラディエーション係数および地震発生域のS波/P波速度比の影響が含まれる。
各観測点における地中P波と地表S波の最大加速度および最大速度の観測値の関係をそれぞれ図13、図14に示す。図中の直線は式 (9) を全観測記録に対して誤差が最小になるようにフィッティングした結果である。各観測点におけるパラメータaの比較を図15に示す。図15より、その結果、パラメータaは式 (10) のようにa1 とa2 の和となっていることが確認された。図16は最大振幅の相関係数を示す図であり、この図から地中P波と地表S波の最大振幅の相関係数は最大加速度で0.68〜0.89、最大速度で0.74〜0.91である。
ボアホール地震記録と地下速度構造を利用した地表地震動の予測
上述の検討により、地中S波と地下速度構造を用いて地表地震動を高精度に予測できる可能性があることがわかった。つまり、地表に地震計が存在しない任意の地点においても、地下速度構造が推定されていれば近傍の地中地震記録を用いて地表地震動を推定できる可能性がある。そこで、地下速度構造が既往研究で推定されている観測点を対象として、地中S波を基盤からの入力地震動として、1次元重複反射理論により求めた伝達関数を用いて地表地震動を計算し、観測記録と比較を行う。ここで、Q値は周波数依存型として式 (11) で与えた。
Figure 2015045616
ここで、Q0 は減衰定数、fは振動数である。CHBH04において事前計算を実施した結果に基づき、Q0 はS波速度〔m/s〕の1/25の値を与えている。
CHBH04における地表地震動の観測波形と計算波形の比較例を図17に示す。観測波形と計算波形の最大加速度は近い値が得られており、地下速度構造および減衰定数が概ね妥当であることを示している。次に、各観測点における地中S波の観測値と地表S波の計算値の関係を図18に示す。図中の直線は図7で示した地中S波と地表S波の観測値の関係である。事前計算を実施したCHBH04においては観測値と計算値が平均的に一致している。一方、それ以外の観測点では計算値が観測値を過大評価している場合と過小評価している場合があることがわかる。これは、観測点によって堆積層内の減衰定数が異なることや、地下速度構造の精度に違いがあることが原因であると考えられる。したがって、地震計が存在しない地点の地表地震動を精度よく推定するためには、事前に地下速度構造や減衰構造を精度良く明らかにしておく必要がある。
本発明によれば、地中地震記録を利用した即時地震動予測方法はサイト増幅特性を考慮するため、観測点毎に異なる地震動規制値を与えることが可能であり、従来の方法よりもきめ細やかな規制が可能となる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の地中地震動を利用した即時地震動予測方法は、地震基盤で観測されたP波の振幅を利用することにより、地表でのS波の振幅を直接的に予測することができる地中地震動を利用した即時地震動予測方法として利用可能である。
1 地震基盤
2 堆積層
3 地表面
4 深いボアホール
5 地中地震計
6 地表地震計
7 震源
8 震源から放射されたP波
9 震源から放射されたS波
11 地中地震計で観測されたP波(PBH
12 地中地震計で観測されたS波(SBH
13 地表地震計で観測されたP波(PSF
14 地表地震計で観測されたS波(SSF

Claims (4)

  1. 地表地震計と地中地震計で観測されたデータを用いて、地中P波と地中S波の関係、前記地中S波と地表S波の関係を組み合わせ、前記地中P波から前記地表S波を直接的に予測することを特徴とする地中地震動を利用した即時地震動予測方法。
  2. 請求項1記載の地中地震動を利用した即時地震動予測方法において、地表地震動を利用するよりも最大1秒程度早く警報を出力できることを特徴とする地中地震動を利用した即時地震動予測方法。
  3. 請求項1記載の地中地震動を利用した即時地震動予測方法において、地下構造の影響や震源の放射特性の影響を反映した最大振幅(加速度,速度)の関係を構築することを特徴とする地中地震動を利用した即時地震動予測方法。
  4. 請求項1記載の地中地震動を利用した即時地震動予測方法において、前記地中S波と地下速度構造を用い、地表S波を面的予測することを特徴とする地中地震動を利用した即時地震動予測方法。
JP2013178187A 2013-08-29 2013-08-29 地中地震動を利用した即時地震動予測方法 Expired - Fee Related JP6177628B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013178187A JP6177628B2 (ja) 2013-08-29 2013-08-29 地中地震動を利用した即時地震動予測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013178187A JP6177628B2 (ja) 2013-08-29 2013-08-29 地中地震動を利用した即時地震動予測方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015045616A true JP2015045616A (ja) 2015-03-12
JP6177628B2 JP6177628B2 (ja) 2017-08-09

Family

ID=52671220

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013178187A Expired - Fee Related JP6177628B2 (ja) 2013-08-29 2013-08-29 地中地震動を利用した即時地震動予測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6177628B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017122623A (ja) * 2016-01-06 2017-07-13 中部電力株式会社 地震の主要動の最大振幅を推定する方法ならびに最大振幅推定プログラムおよび最大振幅推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2018087799A (ja) * 2016-11-29 2018-06-07 財團法人國家實驗研究院National Applied Research Laboratories 地盤特性を自動校正する現地型地震早期警報システム及び関連方法
JP2019086480A (ja) * 2017-11-10 2019-06-06 株式会社ミエルカ防災 地震警報システム
JP2020071092A (ja) * 2018-10-30 2020-05-07 セイコーエプソン株式会社 表示システム、表示装置及び表示方法
JP7503023B2 (ja) 2021-04-26 2024-06-19 公益財団法人鉄道総合技術研究所 地震動推定装置及び地震動推定方法

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06160541A (ja) * 1992-11-16 1994-06-07 Omron Corp ガス遮断装置
JPH11231064A (ja) * 1998-02-12 1999-08-27 Osaka Gas Co Ltd 地震動推定方法
JP2002168964A (ja) * 2000-11-30 2002-06-14 Tokyo Electric Power Co Inc:The 地震動の強さ推定方法、その装置及びそのプログラムを記録した記録媒体
JP2003287574A (ja) * 2002-03-28 2003-10-10 System Soft Corp 地震被害予測システム、方法、およびプログラム
JP2006194619A (ja) * 2005-01-11 2006-07-27 Taisei Corp リアルタイム地震情報を利用したリアルタイム地震応答波形推定方法
JP2007108012A (ja) * 2005-10-13 2007-04-26 Oki Electric Ind Co Ltd 地震防災システム
JP2008039446A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Kajima Corp 地震被災状況評価プログラム
JP2008096203A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 National Research Institute For Earth Science & Disaster Provention 情報受信装置及びそれを使用する無地震計情報受信装置若しくはそれを用いた情報受信システム
JP2009032141A (ja) * 2007-07-30 2009-02-12 Kajima Corp 地震早期警報システム
JP2010175274A (ja) * 2009-01-27 2010-08-12 Taisei Corp 地震動波形推定方法

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06160541A (ja) * 1992-11-16 1994-06-07 Omron Corp ガス遮断装置
JPH11231064A (ja) * 1998-02-12 1999-08-27 Osaka Gas Co Ltd 地震動推定方法
JP2002168964A (ja) * 2000-11-30 2002-06-14 Tokyo Electric Power Co Inc:The 地震動の強さ推定方法、その装置及びそのプログラムを記録した記録媒体
JP2003287574A (ja) * 2002-03-28 2003-10-10 System Soft Corp 地震被害予測システム、方法、およびプログラム
JP2006194619A (ja) * 2005-01-11 2006-07-27 Taisei Corp リアルタイム地震情報を利用したリアルタイム地震応答波形推定方法
JP2007108012A (ja) * 2005-10-13 2007-04-26 Oki Electric Ind Co Ltd 地震防災システム
JP2008039446A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Kajima Corp 地震被災状況評価プログラム
JP2008096203A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 National Research Institute For Earth Science & Disaster Provention 情報受信装置及びそれを使用する無地震計情報受信装置若しくはそれを用いた情報受信システム
JP2009032141A (ja) * 2007-07-30 2009-02-12 Kajima Corp 地震早期警報システム
JP2010175274A (ja) * 2009-01-27 2010-08-12 Taisei Corp 地震動波形推定方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
岩切一宏、干場充之、大竹和生、下山利浩: "南関東周辺のKIK-net強震データの緊急地震速報への活用検討", 験震時報, vol. 75巻, JPN6016043355, March 2012 (2012-03-01), JP, pages 37 - 59, ISSN: 0003580686 *
笠原慶一, 地震の力学 近代地震学入門, JPN7016003418, 30 April 1983 (1983-04-30), JP, pages 28 - 53, ISSN: 0003580687 *

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017122623A (ja) * 2016-01-06 2017-07-13 中部電力株式会社 地震の主要動の最大振幅を推定する方法ならびに最大振幅推定プログラムおよび最大振幅推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2018087799A (ja) * 2016-11-29 2018-06-07 財團法人國家實驗研究院National Applied Research Laboratories 地盤特性を自動校正する現地型地震早期警報システム及び関連方法
JP2019086480A (ja) * 2017-11-10 2019-06-06 株式会社ミエルカ防災 地震警報システム
JP7015523B2 (ja) 2017-11-10 2022-02-15 有限会社日新情報 地震警報システム
JP2020071092A (ja) * 2018-10-30 2020-05-07 セイコーエプソン株式会社 表示システム、表示装置及び表示方法
US11604295B2 (en) 2018-10-30 2023-03-14 Seiko Epson Corporation Display system, display device, and display method
JP7318195B2 (ja) 2018-10-30 2023-08-01 セイコーエプソン株式会社 表示システム、表示装置及び表示方法
JP7503023B2 (ja) 2021-04-26 2024-06-19 公益財団法人鉄道総合技術研究所 地震動推定装置及び地震動推定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6177628B2 (ja) 2017-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Furumura et al. Anomalous propagation of long-period ground motions recorded in Tokyo during the 23 October 2004 M w 6.6 Niigata-ken Chuetsu, Japan, Earthquake
Dybing et al. Characteristics and spatial variability of wind noise on near‐surface broadband seismometers
JP6177628B2 (ja) 地中地震動を利用した即時地震動予測方法
Jolly et al. Relating gas ascent to eruption triggering for the April 27, 2016, White Island (Whakaari), New Zealand eruption sequence
Honda et al. A complex rupture image of the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake revealed by the MeSO-net
Çelebi et al. Responses of two tall buildings in Tokyo, Japan, before, during, and after the M9. 0 Tohoku Earthquake of 11 March 2011
Suwa et al. Prediction of a landslide and analysis of slide motion with reference to the 2004 Ohto slide in Nara, Japan
Furumura et al. Development of long-period ground motions from the Nankai Trough, Japan, earthquakes: Observations and computer simulation of the 1944 Tonankai (Mw 8.1) and the 2004 SE Off-Kii Peninsula (Mw 7.4) earthquakes
Wen et al. Strong‐motion observations of the Lushan earthquake on 20 April 2013
Stabile et al. A comprehensive approach for evaluating network performance in surface and borehole seismic monitoring
Abd El-Aal Modelling of seismic hazard at the northeastern part of greater Cairo metropolitan area, Egypt
Büyüksaraç et al. Preliminary seismic microzonation of Sivas city (Turkey) using microtremor and refraction microtremor (ReMi) measurements
Pamuk et al. Soil characterization of Bornova Plain (Izmir, Turkey) and its surroundings using a combined survey of MASW and ReMi methods and Nakamura’s (HVSR) technique
Cao et al. Offshore fault geometrics in the Pearl River Estuary, southeastern China: Evidence from seismic reflection data
Kumar et al. Earthquake genesis and earthquake early warning systems: challenges and a way forward
Contrucci et al. Aseismic mining subsidence in an abandoned mine: Influence factors and consequences for post-mining risk management
Danilov The structure of the Onega downthrown block and adjacent geological objects according to the microseismic sounding method
Becerra et al. The 2014 earthquake in Iquique, Chile: Comparison between local soil conditions and observed damage in the cities of Iquique and Alto Hospicio
Akbayram et al. Dynamic sub-surface characteristic and the active faults of the Genç District locating over the Bingöl Seismic Gap of the East Anatolian Fault Zone, Eastern Turkey
Coté et al. Low-frequency hybrid earthquakes near a magma chamber in Afar: quantifying path effects
Hayashi et al. Comparison of dispersion curves obtained by active and passive surface wave methods: Examples from seismic site characterization surveys for school seismic safety evaluations in Thurston County, WA
Yu et al. Simulation of dynamic rupture process and near‐field strong ground motion for the Wenchuan earthquake
Makra et al. A note on the strong ground motions recorded in İzmir (Turkey) during the October 30th, 2020 M 7.0 Aegean Sea earthquake: the role of basin effects
Wang et al. Applicability of Accurate Ground Motion Estimation Using Initial P Wave for Earthquake Early Warning
Boudin et al. Analysis and modelling of tsunami-induced tilt for the 2007, M= 7.6, Tocopilla and the 2010, M= 8.8 Maule earthquakes, Chile, from long-base tiltmeter and broadband seismometer records

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170711

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6177628

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees