JPH11230242A - 流体封入式マウント装置 - Google Patents

流体封入式マウント装置

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JPH11230242A
JPH11230242A JP2689898A JP2689898A JPH11230242A JP H11230242 A JPH11230242 A JP H11230242A JP 2689898 A JP2689898 A JP 2689898A JP 2689898 A JP2689898 A JP 2689898A JP H11230242 A JPH11230242 A JP H11230242A
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JP
Japan
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valve body
orifice passage
sliding valve
fluid
chamber
Prior art date
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Pending
Application number
JP2689898A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Hori
浩晃 堀
Eiji Tanaka
栄治 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非圧縮性流体が封入された流体封入式マウン
ト装置において、オリフィス通路を連通状態と遮断状態
に切り換える通路切換手段を、優れた組付性のもとに、
良好なる流体密性を確保しつつ、実現すること。 【解決手段】 受圧室52と平衡室54を仕切る仕切部
材50に設けた第二のオリフィス通路76における平衡
室54側への開口部に弁体収容孔74を形成し、そこに
滑動弁体90を突出/引込可能に配する一方、該滑動弁
体90を切換駆動するアクチュエータ(104,11
0,116等)を、滑動弁体の突出先端面に対して、平
衡室54の壁部の一部を構成する可撓性膜42を挟んで
反対側に、滑動弁体90と独立して配設せしめた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、オリフィス通路を通じて流動せ
しめられる流体の共振作用等の流動作用を利用して防振
効果を得ることの出来る流体封入式マウント装置に係
り、特に、オリフィス通路を連通/遮断制御することに
よって防振特性を切り換えることの出来る流体封入式マ
ウント装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、
振動荷重で弾性変形せしめられる本体ゴム弾性体にて壁
部の一部が構成された受圧室と、変形容易な可撓性膜に
て壁部の一部が構成された平衡室を形成し、それら両室
に水等の非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室
と平衡室をオリフィス通路を通じて相互に連通すること
によって、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流
体の共振作用等の流動作用を利用して防振効果を得るよ
うにした流体封入式のマウント装置が知られており、自
動車用エンジンマウント等への適用が検討されている。
また、流体の流動作用に基づく防振効果は、オリフィス
通路のチューニング周波数域の入力振動だけに有効であ
ることから、より広い周波数域の入力振動に対して有効
な防振効果を得るために、特開昭59−93557号公
報や特開昭59−117929号公報,実公平7−29
317号公報,特開平8−21480号公報,特開平8
−270718号公報,特開平9−280304号公報
等において、低周波数側にチューニングされた第一のオ
リフィス通路と高周波数側にチューニングされた第二の
オリフィス通路を、受圧室と平衡室の間に並列的に設け
て、通路切換手段で第二のオリフィス通路を連通状態と
遮断状態に切り換えることにより、第一のオリフィス通
路による低周波側振動に対する防振効果と、第二のオリ
フィス通路による高周波側振動に対する防振効果を、入
力振動に応じて選択的に発揮せしめるようにしたもの
が、提案されている。
【0003】そこにおいて、上記実公平7−29317
号公報や特開平8−21480号公報には、第二のオリ
フィス通路を開閉する弁体を採用すると共に、かかる弁
体を、可撓性膜を貫通して配設された駆動ロッドを介し
て、空気圧アクチュエータ等で開閉作動せしめるように
した通路切換手段が開示されている。ところが、かかる
構造のマウント装置では、可撓性膜を貫通して駆動ロッ
ドを配設しなければならないために、製作性および組立
作業性が悪いことに加えて、可撓性膜における駆動ロッ
ドの貫通部位での流体密性の確保が難しい等という問題
があった。
【0004】また、上記特開昭59−93557号公報
や特開昭59−117929号公報,特開平8−270
718号公報,特開平9−280304号公報には、平
衡室側において第二のオリフィス通路を可撓性膜に向か
って開口させると共に、可撓性膜を挟んで第二のオリフ
ィス通路の開口部と反対側に、可撓性膜に押圧力を及ぼ
し得るアクチュエータを配し、可撓性膜を第二のオリフ
ィス通路の開口部に押し付けて閉塞することによって、
第二のオリフィス通路を遮断可能とした通路切換手段が
開示されている。ところが、このような構造のマウント
装置では、可撓性膜に駆動ロッド等の他部材を貫通配置
する必要がないものの、第二のオリフィス通路の開口部
の全体を可撓性膜によって直接に閉塞させることが必要
となり、第二のオリフィス通路の開口部の全周囲に亘っ
て可撓性膜を強固に圧接させて局部的な流体漏れを防止
しなければならないために、第二のオリフィス通路の確
実な遮断が難しく、また、確実な遮断を達成するために
は、可撓性膜を第二のオリフィス通路の開口部に対して
大きな押圧力で押し付ける必要があることから、可撓性
膜の耐久性の確保やアクチュエータの出力の確保が難し
い等という問題があった。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、可撓性膜における流体密性や耐久性の低下
を回避しつつ、第一のオリフィス通路よりも高周波数域
にチューニングされた第二のオリフィス通路を連通状態
と遮断状態に有利に切り換えることの出来る通路切換手
段を備えた流体封入式マウント装置を提供することにあ
る。
【0006】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、本発明の特徴とするところは、防振連結される一方
の部材に取り付けられる第一の取付部材と、防振連結さ
れる他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を、振
動入力方向で互いに離間配置せしめて本体ゴム弾性体で
連結し、該第二の取付部材によって支持された仕切部材
の一方の側に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成さ
れて振動が入力される受圧室を形成すると共に、該仕切
部材を挟んで該受圧室と反対側に、可撓性膜で壁部の一
部が構成された容積可変の平衡室を形成し、それら受圧
室と平衡室に非圧縮性流体を封入せしめて、それぞれ該
受圧室と該平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通
路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチュー
ニングされた第二のオリフィス通路を形成する一方、該
第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態に切り換え
る通路切換手段を設けてなる流体封入式マウント装置に
おいて、前記通路切換手段を、(a)前記仕切部材にお
ける前記第二のオリフィス通路の前記平衡室側への開口
部に形成された弁体収容孔と、(b)該弁体収容孔に滑
動可能に嵌め込まれて、該弁体収容孔から前記平衡室へ
の突出位置と該弁体収容孔への引込位置とに変位可能に
配設されており、かかる突出位置において該平衡室に露
出された突出部の外周面に開口せしめられることにより
前記第二のオリフィス通路を該平衡室に連通すると共
に、前記引込位置において該突出部の外周面の開口が該
弁体収容孔の内周面で覆蓋されることにより該第二のオ
リフィス通路を該平衡室に対して遮断する接続通路が形
成されてなる滑動弁体と、(c)該滑動弁体の前記弁体
収容孔からの突出先端面に対して、前記可撓性膜を挟ん
で、該滑動弁体の変位方向で対向位置せしめられて、該
可撓性膜を介して、該滑動弁体の突出先端面に当接せし
められる、該滑動弁体の変位方向に変位可能な押圧部材
と、(d)該押圧部材を前記滑動弁体の変位方向に駆動
せしめて、かかる押圧部材を、前記滑動弁体を前記弁体
収容孔への引込位置に位置せしめる第一の駆動位置と、
該滑動弁体を前記弁体収容孔からの突出位置に位置せし
める第二の駆動位置とに、選択的に位置決めするアクチ
ュエータとを、含んで構成したことにある。
【0007】このような本発明に従う構造とされた流体
封入式マウント装置においては、アクチュエータで駆動
される押圧部材が、可撓性膜を介して、滑動弁体に間接
的に当接せしめられて該滑動弁体の位置決めを行うので
あり、該押圧部材が第一の駆動位置に位置せしめられて
滑動弁体が弁体収容孔への引込位置に導かれることによ
り、第二のオリフィス通路が連通状態とされて第二のオ
リフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用
に基づく高周波側振動に対する防振効果が発揮される一
方、押圧部材が第二の駆動位置に位置せしめられて滑動
弁体が弁体収容孔からの突出位置に導かれることによ
り、第二のオリフィス通路が遮断状態とされて第一のオ
リフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用
に基づく低周波側振動に対する防振効果が発揮されるこ
ととなる。
【0008】従って、本発明に係る流体封入式マウント
装置においては、滑動弁体の位置決めのための駆動力の
伝達が、可撓性膜を介して間接的に行われることとな
り、可撓性膜を貫通して駆動力伝達部材を配する必要が
ないことから、可撓性膜の流体密性ひいては平衡室の流
体密性が有利に確保され得るのである。
【0009】しかも、本発明に係る流体封入式マウント
装置においては、第二のオリフィス通路の開口部に対し
て可撓性膜を直接に押し付けて可撓性膜自体で第二のオ
リフィス通路の開口部を遮断するものでなく、滑動弁体
を弁体収容孔への引込位置に保持せしめることによっ
て、滑動弁体で第二のオリフィス通路を遮断するもので
あることから、局部的な流体漏れも容易に防止され得
て、第二のオリフィス通路を確実に遮断せしめることが
容易であり、オリフィス通路の切り換えによって目的と
する防振特性を安定して発現せしめることが出来るので
ある。
【0010】加えて、本発明に係る流体封入式マウント
装置においては、第二のオリフィス通路の開口部に対し
て可撓性膜を直接に押し付けて可撓性膜自体で第二のオ
リフィス通路の開口部を遮断するものでないことから、
確実な遮断を実現するために可撓性膜を第二のオリフィ
ス通路の開口部に対して大きな押圧力で押し付ける必要
もなく、アクチュエータの出力や可撓性膜に及ぼされる
押圧力の軽減が図られ得るのであり、それによって、ア
クチュエータの小型化が可能となると共に、可撓性膜の
耐久性の向上も達成可能となる。
【0011】なお、本発明において、滑動弁体における
接続通路は、例えば、第二のオリフィス通路側に位置せ
しめられる滑動弁体の軸方向一方の端部から、内部をト
ンネル状形態をもってまたは弁体収容孔の内周面で覆わ
れる外周面を凹溝状形態をもって、滑動方向に直線的に
若しくは屈曲して延び、弁体収容孔から平衡室内に突出
せしめられる軸方向他方の端部近くの外周面に開口する
構造をもって、有利に形成され得る。また、本発明にお
いて、アクチュエータとしては、例えば、特開平8−2
70718号公報等に記載の如き空気圧駆動式のもの
や、特開平9−280304号公報等に記載の如き電磁
力駆動式のもの、特開平3−89043号公報等に記載
の如きモータ駆動式のもの、或いは電歪素子や磁歪素子
を利用したもの等、従来から公知の各種の駆動力発生手
段が採用され得る。更にまた、本発明において、押圧部
材は、アクチュエータの発生駆動力を滑動弁体に伝達し
得るものであれば良く、アクチュエータの出力軸によっ
て、或いはアクチュエータとは別体で構成したりするこ
とが出来る。また、押圧部材は、可撓性膜に固着せしめ
ることも可能であるが、可撓性膜から分離独立して配す
るようにしても良い。押圧部材が可撓性膜から独立して
いると、滑動弁体を突出位置に移動せしめる方向のアク
チュエータによる駆動力が滑動弁体に伝達され難いが、
滑動弁体は、一般に、振動入力時における受圧室と平衡
室の内圧差で突出方向に付勢されることから、少なくと
も滑動弁体に対して引込位置への駆動力を及ぼしめるこ
とによって、滑動弁体を引込位置と突出位置とに変位さ
せることが出来る。なお、その際、滑動弁体を突出位置
に一層有利に位置決めするためには、滑動弁体の移動方
向が略鉛直方向となるように、且つ滑動弁体の突出方向
が鉛直下方となるように設定することが望ましい。ま
た、滑動弁体の引込位置および突出位置への位置決め
は、特別な位置決め部材による他、アクチュエータによ
って第一の駆動位置と第二の駆動位置に位置決めされる
押圧部材によって行うことも可能である。更にまた、本
発明において、可撓性膜は、変形容易で流体密性を有す
るものであれば良いが、好適には、薄肉のゴム膜や、帆
布等の補強材をゴム膜で覆った複合ゴム膜等が採用され
る。
【0012】また、本発明においては、滑動弁体の弁体
収容孔からの突出先端面を、可撓性膜に対して固着せし
めた構造が、好適に採用される。このような構造を採用
すれば、滑動弁体と可撓性膜の当接や擦れ等に起因する
可撓性膜の劣化が防止されて耐久性の向上が図られ得る
と共に、滑動弁体の位置決めの確実性の向上も図られ得
る。なお、滑動弁体の突出先端面を可撓性膜に固着する
場合には、筒形状の滑動弁体を採用し、その中空孔を利
用して接続通路を形成することも可能である。
【0013】更にまた、本発明においては、第二のオリ
フィス通路よりも高周波数域にチューニングされて、受
圧室と平衡室を相互に連通する第三のオリフィス通路を
形成すると共に、かかる第三のオリフィス通路に対し
て、変位乃至は変形により該第三のオリフィス通路を通
じての流体流動を許容すると共に、流体流動量を制限し
得る可動部材を配設する一方、弁体収容孔からの突出位
置に位置せしめられた滑動弁体で第三のオリフィス通路
を遮断させることにより、かかる滑動弁体によって第二
のオリフィス通路と第三のオリフィス通路を択一的に連
通せしめるようにした構造が、好適に採用される。この
ような構造を採用すれば、第三のオリフィス通路を通じ
て受圧室と平衡室の間で流動せしめられる流体の共振作
用等の流動作用に基づいて、第二のオリフィス通路のチ
ューニング周波数よりも更に高周波数域の入力振動に対
して、有効な防振効果を得ることが可能となる。しか
も、第三のオリフィス通路を通じての流体流動量が可動
部材で制限されることに加えて、第二のオリフィス通路
と第三のオリフィス通路が択一的に連通されることか
ら、第一,第二及び第三の何れのオリフィス通路におい
ても流体流動量が有利に確保され得て、目的とする防振
効果が有効に発揮され得る。なお、第三のオリフィス通
路の滑動弁体による遮断構造は、例えば、第三のオリフ
ィス通路を弁体収容孔の内周面に開口させて、かかる開
口を弁体収容孔から突出位置せしめられた滑動弁体によ
って閉塞させる一方、滑動弁体が弁体収容孔への引込位
置に位置せしめられた際に、第三のオリフィス通路が滑
動弁体内に形成された通路を介して連通せしめられ得る
構造等によって、有利に実現され得る。また、可動部材
は、例えば、硬質の可動板を、第三のオリフィス通路を
遮断するようにして、且つ所定量だけ変位可能に配設す
ることによって、或いは変形量が制限され得る弾性板
を、第三のオリフィス通路を遮断するようにして、且つ
その中央部分が弾性変形可能な状態で外周部分を固定的
に拘束せしめて配設すること等によって、有利に構成さ
れ得る。
【0014】さらに、本発明においては、滑動弁体を弁
体収容孔からの突出方向に付勢する付勢手段を設けた構
造が、好適に採用される。このような構造を採用すれ
ば、滑動弁体が弁体収容孔からの突出位置に対してより
安定して保持されることとなり、マウント防振特性の更
なる安定化が図られ得る。なお、付勢手段としては、例
えばコイルスプリング等の金属ばねやゴムばね等、公知
の弾性材が何れも採用可能である。
【0015】また、本発明においては、弁体収容孔を仕
切部材の中央部分に形成し、弁体収容孔に配された滑動
弁体と押圧部材を、可撓性膜の中央部分を挟んで対向位
置せしめた構造が、好適に採用される。このような構造
を採用すれば、仕切部材において弁体収容孔の形成スペ
ースが有利に確保されると共に、仕切部材の外周部分を
利用して第一のオリフィス通路を形成することが可能と
なり、それによって第一のオリフィス通路の通路長さひ
いては第一のオリフィス通路のチューニング周波数の設
計自由度も向上され得る。しかも、可撓性膜において、
押圧部材と滑動弁体の間で挟まれる部分が中央部分とさ
れることから、押圧部材と滑動弁体の間での挟圧によっ
て拘束されない部分の面積を、外周部分の広い範囲に亘
って有利に確保することも可能となる。なお、押圧部材
と滑動弁体の間で挟圧される可撓性膜の中央部分は、外
周部分よりも厚肉として耐久性の向上を図ることが望ま
しい。
【0016】更にまた、本発明においては、第二の取付
部材を、第一の取付部材に向かって開口するカップ形状
として、該第二の取付部材の開口部に本体ゴム弾性体を
固着せしめる一方、仕切部材および可撓性膜を、何れも
第二の取付部材の中心軸に直交する方向に広がるように
して、第二の取付部材に収容配置せしめ、それら仕切部
材および可撓性膜の外周縁部を第二の取付部材で支持せ
しめると共に、仕切部材の弁体収容孔に配設された滑動
弁体を、第二の取付部材の中心軸方向に滑動可能とした
構造が、好適に採用される。このような構造を採用すれ
ば、受圧室,平衡室,第二のオリフィス通路等の形成
や、仕切部材,可撓性膜,滑動弁体等の配設等が、優れ
たスペース効率をもって実現され得るのであり、マウン
ト装置のコンパクト化が容易となる。なお、第二の取付
部材の底部側において、可撓性膜を挟んで平衡室と反対
側に形成される空間を利用して、アクチュエータを収容
配置することも可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0018】先ず、図1には、本発明の一実施形態とし
ての自動車用エンジンマウント10が示されている。こ
のエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔てて対
向配置された第一の取付部材および第二の取付部材とし
ての第一の取付金具12および第二の取付金具14が、
それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾
性的に連結された構造を有しており、第一の取付金具1
2および第二の取付金具14が、車体側およびパワーユ
ニット側の各一方に取り付けられることにより、パワー
ユニットを車体に対して防振支持せしめるようになって
いる。また、自動車への装着時には、パワーユニット重
量が及ぼされて本体ゴム弾性体16が変形することによ
り、第一の取付金具12と第二の取付金具14が互いに
接近する方向に所定量だけ変位せしめられると共に、防
振を目的とする主たる振動が、図中の略上下方向に入力
されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方
向とは、特に断りのない限り、図1における上下方向を
いう。
【0019】より詳細には、第一の取付金具12は、略
円板形状を有しており、中央部分において、軸方向上方
に向かって突出する取付ボルト18と、軸方向下方に向
かって突出する支持ロッド20が、固設されている。ま
た、支持ロッド20の突出先端部には、軸直角方向外方
に向かって広がる傘金具22がボルト固定されている。
そして、この第一の取付金具12は、取付ボルト18に
よって、図示しないパワーユニット側に固定的に取り付
けられるようになっている。
【0020】一方、第二の取付金具14は、底金具24
と筒金具26が固定的に連結されることによって、全体
として大径深底の略有底円筒形状をもって形成されてい
る。底金具24は、大径の略有底円筒形状を有してお
り、底部には、外方に突出する取付ボルト28が固設さ
れている一方、開口周縁部には、軸直角方向外方に広が
るフランジ部30が一体形成されている。また、筒金具
26は、全体として大径の略円筒形状を有しており、軸
方向中間部分に形成された段差部32を挟んで、軸方向
上側部分が小径部34とされ、軸方向下側部分が大径部
36とされている。更に、筒金具26における小径部3
4側の軸方向開口部は、上方に向かって開口するテーパ
筒部38とされていると共に、大径部36側の軸方向開
口部は、かしめ部40とされている。そして、筒金具2
6のかしめ部40が、底金具24のフランジ部30にか
しめ固定されることにより、第二の取付金具14が構成
されているのであり、かかる第二の取付金具14が、底
金具26に突設された取付ボルト28によって、図示し
ない車体側に固定的に取り付けられるようになってい
る。
【0021】そして、第二の取付金具14の開口部側に
離間して略同軸上に第一の取付金具12が配設されてお
り、これら第一の取付金具12と第二の取付家具14の
間に、本体ゴム弾性体16が介装されている。本体ゴム
弾性体16は、略円錐台形状を有しており、小径側端面
に第一の取付金具12の下面が加硫接着されていると共
に、大径側端部外周面に対して、第二の取付金具14を
構成する筒金具26のテーパ筒部38の内周面が加硫接
着されている。即ち、本体ゴム弾性体16は、第一の取
付金具12と筒金具26が加硫接着された一体加硫成形
品として形成されており、本体ゴム弾性体16によっ
て、第二の取付金具14の開口部が流体密に閉塞されて
いるのである。また、本体ゴム弾性体16には、第一の
取付金具12に固設された支持ロッド20が、本体ゴム
弾性体16の中心軸上を貫通して大径側端面上に突出す
る状態で固着されており、この支持ロッド20の先端部
にボルト固定された傘金具22が、筒金具26内に位置
せしめられている。
【0022】また、第二の取付金具14には、薄肉ゴム
膜で形成された湾曲袋形状を有する可撓性膜としてのダ
イヤフラム42が収容配置されており、該ダイヤフラム
42の開口周縁部に加硫接着されたリング金具44が、
底金具24のフランジ部30と筒金具26の段差部32
の間で挟まれてかしめ部40でかしめ固定されている。
これにより、第二の取付金具14の中空内部が、ダイヤ
フラム42により、底金具24側と筒金具26側とに流
体密に仕切られており、以て、筒金具26内には、ダイ
ヤフラム42と本体ゴム弾性体16との間において、非
圧縮性流体が封入された流体室46が形成されている一
方、ダイヤフラム42を挟んで流体室46と反対側に位
置する底金具24内は、所定容積の空室とされている。
なお、流体室46への封入流体としては、水やアルキレ
ングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン
油等が好適に採用され、特に、後述する流体の共振作用
による防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s
以下の低粘性流体がより好適に採用される。
【0023】更にまた、流体室46には、全体として略
厚肉円板形状を有する仕切部材50が、第二の取付金具
14の軸直角方向に広がる状態で収容されており、外周
縁部が、ダイヤフラム42の外周縁部に接着されたリン
グ金具44の上面に重ね合わされ、リング金具44と共
に、かしめ部40によって第二の取付金具14に対して
流体密にかしめ固定されている。これにより、流体室4
6が、仕切部材50によって流体密に二分されており、
以て、仕切部材50の上方には、壁部の一部が本体ゴム
弾性体16で構成された受圧室52が形成されている一
方、仕切部材50の下方には、壁部の一部がダイヤフラ
ム42で構成された平衡室54が形成されている。即
ち、受圧室52では、第一の取付金具12と第二の取付
金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の
弾性変形に基づいて圧力変化が生ぜしめられるようにな
っている一方、平衡室54では、ダイヤフラム42の変
形に基づいて容積変化が容易に許容されて、大きな圧力
変化が回避されるようになっているのである。
【0024】なお、受圧室52には、円筒形状のストッ
パ金具56が収容され、筒金具26の内周面に沿って配
設されており、下端開口部から軸直角方向外方に突設さ
れた環状支持部58が、リング金具44と共に、かしめ
部40でかしめ固定されることにより、第二の取付金具
14に対して固着されている。そして、このストッパ金
具56の上端開口部から軸直角方向内方に突設された円
環板形状の当接部60が、受圧室52に配された傘金具
22の外周部分の上方に位置せしめられている。これに
より、マウント装着状態下、パワーユニット荷重で本体
ゴム弾性体16が弾性変形し、第一の取付金具12と第
二の取付金具14が相互に接近方向に変位して位置せし
められた際、傘金具22が受圧室52の軸方向中間部分
に位置せしめられて、傘金具22の外周面とストッパ金
具56の内周面との対向面間に環状の狭窄流路62が形
成され、この狭窄流路62を通じて受圧室52内で流動
せしめられる流体の共振作用に基づいて所定の防振効果
が発揮されるようになっている一方、かかる傘金具22
の外周部分が、ストッパ金具56の当接部60に対して
軸方向に離間して対向位置せしめられて、過大な振動入
力時には、傘金具22とストッパ金具56の当接によっ
て、第一の取付金具12と第二の取付金具14の離間方
向における相対的変位量が制限されるようになってい
る。なお、特に本実施形態では、狭窄流路62を通じて
流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、
例えば100Hz以上の高速こもり音等の高周波振動に対
して有効に発揮されるように、狭窄流路62の大きさ等
が調節されている。また、ストッパ金具56の当接部6
0は、緩衝ゴム層63で被覆されており、傘金具22の
当接時の衝撃や打音が緩和されるようになっている。
【0025】ところで、受圧室52と平衡室54を仕切
る仕切部材50は、金属や合成樹脂等の剛性材で形成さ
れた略厚肉円板形状を有する仕切板64と、該仕切板6
4の下面に重ね合わされた略薄肉円板形状を有する蓋金
具66を含んで構成されており、仕切板64の外周面上
に突設された環状突起65と蓋金具66の外周縁部との
重ね合わせ部位において、第二の取付金具14にかしめ
固定されている。
【0026】また、図2にも示されているように、仕切
板64には、下面に開口して外周部分を周方向に略2/
3周の長さで延びる凹溝68が形成されており、この凹
溝68が蓋金具66で覆蓋されることによって第一のオ
リフィス通路70が形成されている。そして、この第一
のオリフィス通路70の周方向一端部が、仕切板64の
厚さ方向に貫設された連通孔72を通じて受圧室52に
接続されている一方、その周方向他端部が、蓋金具66
に貫設された連通孔(図示せず)を通じて平衡室54に
接続されており、以て、振動入力時に受圧室52と平衡
室54の間に惹起される圧力差に基づいて、第一のオリ
フィス通路70を通じての流体流動が生ぜしめられるよ
うになっている。特に、本実施形態では、第一のオリフ
ィス通路70を通じて流動せしめられる流体の共振作用
に基づいて、例えば10Hz前後のシェイク等の低周波振
動に対して有効な減衰効果が発揮されるように、第一の
オリフィス通路70の長さや断面積が設定されている。
【0027】更にまた、仕切板64および蓋金具66に
は、それらの中心軸上を上下に貫通して延びる弁体収容
孔74が形成されていると共に、この弁体収容孔74の
上端部が受圧室52に接続されている一方、他端部が平
衡室54に接続されており、以て、かかる弁体収容孔7
4により、振動入力時に受圧室52と平衡室54の間に
惹起される圧力差に基づいて、それら両室52,54間
での流体流動を許容する第二のオリフィス通路76が形
成されている。特に、本実施形態では、第二のオリフィ
ス通路76を通じて流動せしめられる流体の共振作用に
基づいて、例えば15〜30Hz程度のアイドリング振動
等の中周波振動に対して有効な防振効果が発揮されるよ
うに、第二のオリフィス通路76の長さや断面積が設定
されている。
【0028】さらに、仕切板64には、弁体収容孔74
の外周部分で下面に開口する凹所80が、凹溝68の周
方向両端部間に位置して形成されていると共に、蓋金具
66にも、凹所80に対応する位置に窓部82が形成さ
れている。また、仕切板64の内部には、弁体収容孔7
4の軸方向中間部分の内周面から径方向外方に延び、凹
所80の底面中央に開口するトンネル状の内部通孔84
が穿孔形成されており、この内部通孔84の一端部が、
弁体収容孔74を通じて受圧室52に接続されていると
共に、該内部通孔84の他端部が、凹所80を通じて平
衡室54に接続されており、以て、振動入力時に受圧室
52と平衡室54の間に惹起される圧力差に基づいて、
それら両室52,54間での流体流動を許容する第三の
オリフィス通路86が形成されている。特に、本実施形
態では、第三のオリフィス通路86を通じて流動せしめ
られる流体の共振作用に基づいて、例えば60Hz前後の
低速こもり音等の高周波振動に対して有効な防振効果が
発揮されるように、第三のオリフィス通路86の長さや
断面積が設定されている。
【0029】なお、第三のオリフィス通路86を構成す
る凹所80には、可動部材としての平板形状のゴム弾性
板88が収容配置されている。かかるゴム弾性板88に
は、外周縁部を全周に亘って延びる厚肉の支持部89が
一体形成されており、この支持部89が、凹所80の底
部の外周部分と蓋金具66の間で挟持されることによ
り、凹所80の深さ方向中間部分がゴム弾性板88によ
って流体密に仕切られている。これにより、受圧室52
と平衡室54の圧力差が生ぜしめられた際、それら両室
52,54間での圧力差によってゴム弾性板88が弾性
変形することに基づいて、ゴム弾性板88の弾性変形量
に相当する量だけ、第三のオリフィス通路86を通じて
の流体流動が許容されるようになっている。
【0030】また、仕切板64の弁体収容孔74には、
該弁体収容孔74の内周面形状に対応した外周面形状を
もって、金属や合成樹脂等の剛性材で形成された滑動弁
体90が嵌め込まれており、弁体収容孔74の軸方向に
摺動可能に配設されている。この滑動弁体90は、薄肉
の有底円筒形状を有しており、周壁の下端部には、内外
に貫通する四つの貫通孔92が形成されている。これら
の貫通孔92は、図1に示されているように、滑動弁体
90が弁体収容孔74内に引き込まれて収容された引込
位置では、弁体収容孔74の内周面で覆蓋されるように
なっているが、図3に示されているように、滑動弁体9
0の底側下部が弁体収容孔74から平衡室54に突出せ
しめられた突出位置では、平衡室54に開口されるよう
になっている。これにより、滑動弁体90が、その突出
位置において、内穴94と貫通孔92により、第二のオ
リフィス通路76を連通状態に維持せしめる一方、その
引込位置において、第二のオリフィス通路76を遮断せ
しめるようになっているのであり、これら内穴94と貫
通孔92によって協働して接続通路が構成されている。
【0031】なお、仕切板64における弁体収容孔74
の上側開口部には、仕切板64の上面から円筒状に突出
し、開口端部が径方向内方に屈曲せしめられた係止筒部
78が形成されており、この係止筒部78に滑動弁体9
0の上端面が当接することによって、滑動弁体90の引
込端位置が規定されるようになっている。また、弁体収
容孔74の内周面には、下側開口部から軸方向に所定長
さで直線的に延びるキー溝95が形成されていると共
に、滑動弁体90の外周面には、このキー溝95に嵌ま
り込む突起96が一体形成されており、キー溝95内を
突起96が案内されることによって、弁体収容孔74内
において、滑動弁体90が、軸方向での移動を許容され
つつ、周方向に回転不能とされている。
【0032】さらに、このように弁体収容孔74内で周
方向に位置決め配置された滑動弁体90には、その引込
位置において、内部通孔84の弁体収容孔74への開口
部が面する部分に、周壁部を内外に貫通する弁孔97が
設けられている。そして、図1に示されているように、
滑動弁体90が弁体収容孔74に引き込まれた引込位置
では、内部通孔84が弁孔97を通じて弁体収容孔74
に接続されるようになっているが、図3に示されている
ように、滑動弁体90の底側下部が弁体収容孔74から
平衡室54に突出せしめられた突出位置では、内部通孔
84の開口部から弁孔97がずらされて、内部通孔84
の開口部が滑動弁体90で覆蓋されるようになってい
る。これにより、滑動弁体90が、その引込位置におい
て、弁孔97と内穴94により、第三のオリフィス通路
86を連通状態に維持せしめる一方、その突出位置にお
いて、第三のオリフィス通路86を遮断せしめるように
なっている。
【0033】要するに、滑動弁体90は、その引込位置
で第二のオリフィス通路76を遮断し、第三のオリフィ
ス通路86を連通せしめる一方、その突出位置で第二の
オリフィス通路76を連通し、第三のオリフィス通路8
6を遮断せしめることにより、それら第二のオリフィス
通路76と第三のオリフィス通路86を、択一的に連通
する切換弁として作用し得るようになっているのであ
る。
【0034】なお、第一のオリフィス通路70は、常
時、開口状態にあるが、第二のオリフィス通路76や第
三のオリフィス通路86よりも低周波域にチューニング
されており、流体の流通抵抗が大きいことから、第二の
オリフィス通路76や第三のオリフィス通路86を通じ
ての流体流動が優先的に生ぜしめられる。しかし、第三
のオリフィス通路86は、その通路上に配設されたゴム
弾性板88の弾性力で流体流通量が制限されることか
ら、第三のオリフィス通路86が連通せしめられた状態
下で、大振幅振動が入力された場合には、第一のオリフ
ィス通路70を通じての流体流動が有効に生ぜしめられ
る。即ち、こもり音等のように入力される振動振幅が小
さい場合には、受圧室52と平衡室54の間での圧力差
変動に対し、ゴム弾性板88が小さな変形量によって有
利に追随して弾性変形することにより、受圧室52の圧
力上昇が軽減乃至は解消されて、第三のオリフィス通路
86を通じての流体流動に基づく防振効果が有効に発揮
される一方、シェイク等の大振幅振動の入力時には、ゴ
ム弾性板88の変形量が弾性力で制限されることによ
り、受圧室52の圧力上昇が大きくなって、受圧室52
と平衡室54の間での第一のオリフィス通路70を通じ
ての流体流動量が有利に確保され得、以てこの第一のオ
リフィス通路70を通じての流体流動に基づく防振効果
が有効に発揮されるようになっているのである。
【0035】一方、底金具24には、底金具24と略相
似した薄肉の有底円筒形状を有するシール金具98が嵌
め込まれ、底金具24の内周面に沿って配設固定されて
いる。また、このシール金具98の中空内部には、全体
として略逆カップ形状を有し、平坦な上底部100と下
端開口部から外方に広がるフランジ状部102を備えた
押え金具104が収容されて、中央部分に配設されてい
る。また、この押え金具104は、内外周面が全体に亘
ってゴム層106で覆われている一方、フランジ状部1
02の径方向外方には、環状の固定金具108が離間配
置されており、該固定金具108が、フランジ状部10
2に対して、ゴム層106と一体形成された円環板形状
の隔壁ゴム板110によって弾性的に連結されている。
そして、固定金具108が、シール金具98の底部外周
面に対して流体密に嵌着固定されることにより、押え金
具104が、隔壁ゴム板110により、シール金具98
に対して、シール金具98の底部から上方に離間位置し
て弾性支持されており、押え金具104の上底部100
が、ダイヤフラム42を挟んで、仕切部材50における
弁体収容孔74の開口部に対して上下方向で対向位置せ
しめられている。
【0036】また、押え金具104内にはコイルスプリ
ング111が収容配置されており、押え金具104が、
シール金具98の底壁から上方に離間する方向に付勢さ
れている。このコイルスプリング111の付勢力によっ
て、押え金具104の上底部100が、ダイヤフラム4
2の中央部分を介して、弁体収容孔74に嵌め込まれた
滑動弁体90の底部を上方に押すようになっており、以
て、図1に示されているように、滑動弁体90が、弁体
収容孔74への引込位置に位置決め保持されるようにな
っている。要するに、本実施形態では、押え金具104
によって押圧部材が構成されているのである。なお、押
え金具104が当接するダイヤフラム42の中央部分
は、外周部分よりも厚肉化されて耐久性の向上が図られ
ている。
【0037】更にまた、シール金具98内において、押
え金具104が隔壁ゴム板110で弾性支持されること
により、シール金具98の内部が、押え金具104と隔
壁ゴム板110によって流体密に二分されており、以
て、押え金具104とダイヤフラム42の間には、ダイ
ヤフラム42の変形を許容する空気室114が形成され
ている一方、押え金具104とシール金具98の底壁と
の間には、密閉された作用空気室116が形成されてい
る。更にまた、シール金具98の底壁中央には、小径管
状のポート金具118が挿通固定されており、このポー
ト金具118の外側開口に負圧を及ぼして、作用空気室
116の内圧を下げることによって、空気室114と作
用空気室116の圧力差に基づき、押え金具104が、
コイルスプリング111の付勢力に抗して、下方に変位
せしめられるようになっている。それに伴って、滑動弁
体90に対する上方への押圧力が解除されることから、
図3に示されているように、重力や受圧室52と平衡室
54の圧力差等に基づいて、滑動弁体90が下方に変位
し、弁体収容孔74からの突出位置に位置決め保持され
るようになっている。なお、滑動弁体90の位置決め性
の安定化やダイヤフラム42の耐久性の向上等を図るた
めには、滑動弁体90をダイヤフラム42に固着するこ
と等も有効である。
【0038】すなわち、上述の如き構造とされたエンジ
ンマウント10においては、押え金具104や隔壁ゴム
板110等によって構成された作用空気室116を含ん
で空気圧駆動式のアクチュエータが構成されているので
ある。そして、例えば、図1及び図3に示されているよ
うに、マウント装着状態下、ポート金具118に対して
外部管路120を接続し、切換バルブ122によって、
作用空気室116に対して大気圧と負圧を選択的に及ぼ
し得るような空気圧回路を構成すれば、切換バルブ12
2の切換操作によって、滑動弁体90を、引込位置と突
出位置とに択一的に位置決めすることが出来るのであ
る。
【0039】従って、自動車の停車時には、図3に示さ
れているように、作用空気室116に負圧力を及ぼして
滑動弁体90を突出位置に位置決めすることにより、第
二のオリフィス通路76を通じての流体の流動作用に基
づいて、アイドリング振動に対する防振効果が有利に発
揮され得るのであり、一方、自動車の走行時には、図1
に示されているように、作用空気室116に大気圧を及
ぼして滑動弁体90を引込位置に位置決めすることによ
り、第一のオリフィス通路70を通じての流体流動作用
に基づくシェイク等に対する防振効果と、第三のオリフ
ィス通路86を通じての流体流動作用に基づくこもり音
等に対する防振効果とが、それぞれ有利に発揮され得る
のである。
【0040】そこにおいて、かかるエンジンマウント1
0においては、第二のオリフィス通路76の連通/遮断
が、流体室46内に配設された滑動弁体90を、流体室
46の外部に配設されたアクチュエータの押え金具10
4によって、ダイヤフラム42を介して切換作動せしめ
ることで為されるのであり、ダイヤフラム42を貫通し
て部材を配する必要がないことから、流体室46の流体
密性が容易且つ有利に確保され得る。しかも、第二のオ
リフィス通路76の遮断は、あくまでも滑動弁体90の
切換操作によって為されるものであって、ダイヤフラム
42は、単に、アクチュエータの押え金具104から滑
動弁体90への動力を伝達するものであることから、従
来のように、ダイヤフラム42によって第二のオリフィ
ス通路76を直接に閉塞させる場合に比べて、第二のオ
リフィス通路76の遮断を容易に且つ確実に行うことが
可能となり、目的とする防振特性を安定して得ることが
出来るのである。例えば、駆動弁体90を引込位置に位
置せしめる際、押え金具104の上底部100が傾いた
場合でも、駆動弁体90が引込位置に有利に位置決めさ
れ得て、第二のオリフィス通路76の遮断状態が安定し
て実現され得るのである。
【0041】また、滑動弁体90は、アクチュエータに
対して動力伝達部材等で直接に連結されておらず、流体
室46の外部に配設されたアクチュエータから独立し
て、流体室46内に配設することが出来ることから、滑
動弁体90の組付けひいてはマウントの製作が容易であ
るといった利点もある。
【0042】更にまた、本実施形態のエンジンマウント
10では、一つの滑動弁体90によって、第二のオリフ
ィス通路76と第三のオリフィス通路86が択一的に連
通されるようになっていることから、それら第二のオリ
フィス通路76と第三のオリフィス通路86の切り換え
が、簡単な構造によって有利に実現され得ると共に、各
一方のオリフィス通路による防振効果を、他方のオリフ
ィス通路による悪影響を回避しつつ、有利に得ることが
出来るのである。
【0043】以上、本発明の一実施形態について詳述し
てきたが、これは文字通りの例示であって、本発明は、
かかる実施形態における具体的な説明によって、何等、
限定的に解釈されるものでない。
【0044】例えば、滑動弁体90の突出位置への位置
決め性をより確実とするために、滑動弁体90の上端面
と仕切板64の係止筒部78の間に、押え金具104を
上方に付勢するコイルスプリング111の付勢力よりは
小さな付勢力で滑動弁体90を下方への突出方向に付勢
するコイルスプリング等の付勢手段を配設することも、
有効である。
【0045】また、受圧室52に配設された傘金具22
やストッパ金具56は、マウントに要求される防振性能
に応じて採用されるものであって、必ずしも必要でな
い。
【0046】また、第三のオリフィス通路86も、マウ
ントの要求特性に応じて採用されるものであって、必ず
しも必要でない。そして、第三のオリフィス通路86を
採用しない場合には、滑動弁体90として、第二のオリ
フィス通路76だけを連通/遮断するものを採用するこ
とが可能である。更に、第二のオリフィス通路76で防
振すべき振動振幅よりも第三のオリフィス通路86で防
振すべき振動振幅の方が充分に小さく、第二のオリフィ
ス通路76のチューニング周波数域の振動入力時に、第
三のオリフィス通路86を通じての流体流動量がゴム弾
性板88で制限されることによって、第二のオリフィス
通路76を通じての流体流動量が有効に確保されるよう
な場合等においては、第三のオリフィス通路86を連通
/遮断する必要がなく、第三のオリフィス通路86を、
常時、連通状態とすることも可能である。
【0047】また、第三のオリフィス通路86を連通/
遮断しない場合等、駆動弁体90の周方向の位置決めが
必要でない場合には、例示の如き、キー溝95および突
起96等を設ける必要もない。
【0048】加えて、本発明は、例示の如き自動車用エ
ンジンマウントだけでなく、自動車用或いは自動車以外
の各種装置におけるマウント装置に対して、何れも、同
様に適用され得る。
【0049】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式マウント装置において
は、第二のオリフィス通路を連通/遮断する滑動弁体
が、流体封入領域外に配設されて滑動弁体を駆動するア
クチュエータに対して直接に連結されることなく、アク
チュエータから独立して流体封入領域内に配設されるこ
とから、かかる滑動弁体の組付けが容易であると共に、
流体封入領域の流体密性が有利に確保され得る。
【0051】しかも、このような流体封入式マウント装
置においては、第二のオリフィス通路の遮断は、滑動弁
体の切換操作によって為されるものであって、可撓性膜
は、単に、アクチュエータで駆動される押圧部材から滑
動弁体への動力を伝達するものであることから、従来の
ように、可撓性膜によって第二のオリフィス通路を直接
に閉塞させる場合に比べて、第二のオリフィス通路の遮
断を容易に且つ確実に行うことが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジン
マウントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示された自動車用エンジンマウントを構
成する仕切板の底面図である。
【図3】図1に示された自動車用エンジンマウントの別
の作動状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16 本体ゴム弾性体 42 ダイヤフラム 50 仕切部材 52 受圧室 54 平衡室 70 第一のオリフィス通路 74 弁体収容孔 76 第二のオリフィス通路 86 第三のオリフィス通路 90 滑動弁体 92 貫通孔 94 内穴 104 押え金具 110 隔壁ゴム板 116 作用空気室

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防振連結される一方の部材に取り付けら
    れる第一の取付部材と、防振連結される他方の部材に取
    り付けられる第二の取付部材を、振動入力方向で互いに
    離間配置せしめて本体ゴム弾性体で連結し、該第二の取
    付部材によって支持された仕切部材の一方の側に、該本
    体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力され
    る受圧室を形成すると共に、該仕切部材を挟んで該受圧
    室と反対側に、可撓性膜で壁部の一部が構成された容積
    可変の平衡室を形成し、それら受圧室と平衡室に非圧縮
    性流体を封入せしめて、それぞれ該受圧室と該平衡室を
    相互に連通する第一のオリフィス通路と該第一のオリフ
    ィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二の
    オリフィス通路を形成する一方、該第二のオリフィス通
    路を連通状態と遮断状態に切り換える通路切換手段を設
    けてなる流体封入式マウント装置において、 前記通路切換手段を、 前記仕切部材における前記第二のオリフィス通路の前記
    平衡室側への開口部に形成された弁体収容孔と、 該弁体収容孔に滑動可能に嵌め込まれて、該弁体収容孔
    から前記平衡室への突出位置と該弁体収容孔への引込位
    置とに変位可能に配設されており、かかる突出位置にお
    いて該平衡室に露出された突出部の外周面に開口せしめ
    られることにより前記第二のオリフィス通路を該平衡室
    に連通すると共に、前記引込位置において該突出部の外
    周面の開口が該弁体収容孔の内周面で覆蓋されることに
    より該第二のオリフィス通路を該平衡室に対して遮断す
    る接続通路が形成されてなる滑動弁体と、 該滑動弁体の前記弁体収容孔からの突出先端面に対し
    て、前記可撓性膜を挟んで、該滑動弁体の変位方向で対
    向位置せしめられて、該可撓性膜を介して、該滑動弁体
    の突出先端面に当接せしめられる、該滑動弁体の変位方
    向に変位可能な押圧部材と、 該押圧部材を前記滑動弁体の変位方向に駆動せしめて、
    かかる押圧部材を、前記滑動弁体を前記弁体収容孔への
    引込位置に位置せしめる第一の駆動位置と、該滑動弁体
    を前記弁体収容孔からの突出位置に位置せしめる第二の
    駆動位置とに、選択的に位置決めするアクチュエータと
    を、含んで構成したことを特徴とする流体封入式マウン
    ト装置。
  2. 【請求項2】 前記滑動弁体の前記弁体収容孔からの突
    出先端面を、前記可撓性膜に対して固着せしめた請求項
    1に記載の流体封入式マウント装置。
  3. 【請求項3】 前記第二のオリフィス通路よりも高周波
    数域にチューニングされて、前記受圧室と前記平衡室を
    相互に連通する第三のオリフィス通路を形成すると共
    に、かかる第三のオリフィス通路に対して、変位乃至は
    変形により該第三のオリフィス通路を通じての流体流動
    を許容すると共に、流体流動量を制限し得る可動部材を
    配設する一方、前記弁体収容孔からの突出位置に位置せ
    しめられた前記滑動弁体で該第三のオリフィス通路を遮
    断させることにより、かかる滑動弁体によって前記第二
    のオリフィス通路と該第三のオリフィス通路を択一的に
    連通せしめるようにした請求項1又は2に記載の流体封
    入式マウント装置。
  4. 【請求項4】 前記滑動弁体を前記弁体収容孔からの突
    出方向に付勢する付勢手段を設けた請求項1乃至3の何
    れかに記載の流体封入式マウント装置。
  5. 【請求項5】 前記弁体収容孔を前記仕切部材の中央部
    分に形成し、該弁体収容孔に配された前記滑動弁体と前
    記押圧部材を、前記可撓性膜の中央部分を挟んで対向位
    置せしめた請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式
    マウント装置。
  6. 【請求項6】 前記第二の取付部材を、前記第一の取付
    部材に向かって開口するカップ形状として、該第二の取
    付部材の開口部に前記本体ゴム弾性体を固着せしめる一
    方、前記仕切部材および前記可撓性膜を、何れも該第二
    の取付部材の中心軸に直交する方向に広がるようにし
    て、該第二の取付部材に収容配置せしめ、それら仕切部
    材および可撓性膜の外周縁部を該第二の取付部材で支持
    せしめると共に、該仕切部材の前記弁体収容孔に配設さ
    れた前記滑動弁体を、該第二の取付部材の中心軸方向に
    滑動可能とした請求項1乃至5の何れかに記載の流体封
    入式マウント装置。
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