JPH11225751A - 動物細胞の高密度培養法及びその装置 - Google Patents

動物細胞の高密度培養法及びその装置

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JPH11225751A
JPH11225751A JP10035616A JP3561698A JPH11225751A JP H11225751 A JPH11225751 A JP H11225751A JP 10035616 A JP10035616 A JP 10035616A JP 3561698 A JP3561698 A JP 3561698A JP H11225751 A JPH11225751 A JP H11225751A
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Yoshio Oshima
宣雄 大島
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健一 柳
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度に培養される動物細胞をより一層最適
な状態に維持する。 【解決手段】 動物細胞8を多孔質担体4に固定化し、
動物細胞8を培地5中に浸漬して培養するにあたり、培
地5中の酸素濃度と培地5の流動速度の少なくとも一方
を所定の範囲内に制御する。これにより、培養肝細胞の
アンモニア代謝能を従来の2倍以上に改善することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動物細胞の培養技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】肝臓は、物質代謝の中枢臓器として、種
々の物質の代謝機能を有する。肝臓には、例えば、胆汁
の産生と分泌、栄養物(糖質、タンパク質、脂質)やビ
タミンの代謝、生理活性物質(毒物、ステロイド、ホル
モン等)の不活化、血漿タンパク(アルブミン、血液凝
固因子等)の合成や免疫(クッパー細胞)等のはたらき
がある。
【0003】劇症肝炎では、これらの肝臓の機能が急激
に失われる。この劇症肝炎を内科的に治療する試みで
は、死亡率が70%以上にも及び、現在のところ、肝臓
移植以外の有効な治療法はない。例えば、透析、濾過、
吸着といった純人工的な手法では、重症の肝不全患者の
救命は困難である。
【0004】これは、肝臓の機能が、機械的な方法では
代行することが困難な物質代謝機能を中心としているた
めである。この解決策として、肝細胞培養系を装置内に
組み込み、その代謝機能を利用するといったハイブリッ
ド型人工肝臓の開発が期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】微孔性の立体網状多孔
質構造を有する粒子状の担体に、肝細胞等の動物細胞を
高密度に固定化し、この固定化物を充填した充填層型培
養装置は、有用物質を生産させるバイオリアクターや、
人工肝臓等の人工肝機能補助装置として、有益な応用が
期待できる。
【0006】本発明者は、一例の細胞固定化物を、特開
平6−277050号及び特開平5−76364号公報
に記載した。かかる細胞固定化物では、動物細胞を高密
度に固定化して培養することができる。
【0007】臨床応用が可能なハイブリッド型人工肝臓
を開発するためには、肝細胞を更に高密度、大量に培養
する技術が不可欠である。本発明者は、これまでに、多
孔質の樹脂である、ポリビニルホルマール(PVF)樹
脂多孔質体を細胞固定化用の担体として用い、充填層型
リアクターを開発した。
【0008】本発明者の研究によれば、かかるリアクタ
ー内で、肝細胞を1×107 細胞/cm3 の高密度で培
養でき、また、1週間以上にわたり肝細胞の代謝能を維
持することができた〔(1) K. Yanagi, H. Miyoshi, H.
Fukuda and N. Ohshima (1992), A packed-bed reactor
utilizing porous resin enables high density cultu
re of hepatocytes., Appl. Microbiol. Biotechnol.,
37 : 316-320、(2) H.Miyoshi, K. Yanagi, H. Fukuda,
N. Ohshima (1994), Long-term continuousculture of
hepatocytes in a packed-bed reactor utilizing por
ous resin.,Biotechnol. Bioeng., 43 : 635-644 、(3)
H. Miyoshi, K. Yanagi, H. Fukudaand N. Ohshima (1
996), Long-term performance of albumin secretion o
f hepatocytes cultured in a packed-bed reactor uti
lizing porous resin., Artif. Organs, 20 : 803-807
〕。
【0009】本発明は、高密度に培養された動物細胞を
より一層最適な状態に維持することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、動物細胞を多
孔質担体に固定化し、前記動物細胞を培地中に浸漬して
培養するにあたり、前記培地の酸素濃度を204〜96
9μMに制御する、動物細胞の高密度培養法に係るもの
である。
【0011】また、本発明は、動物細胞を多孔質担体に
固定化し、前記動物細胞を培地中に浸漬して培養するに
あたり、前記培地を5.4〜10.8cm/分の線速度
で流動させる、動物細胞の高密度培養法に係るものであ
る。
【0012】肝臓は、生体内では活発な再生能を示すこ
とが知られているが、人工的な培養条件下では、肝細胞
はほとんど増殖能を示さず、急速にその活性を失う。本
発明者は、ハイブリッド型人工肝臓を開発するために
は、これらの問題点を如何にして克服するかが重要であ
ると考えている。
【0013】実用可能な人工肝臓を開発するためには、
1cm当たり107 個以上の高密度で、生体の肝臓の約
1/3の量に匹敵する1010のオーダーの大量の肝細胞
を、生体内に匹敵する代謝能を維持したままに、人工的
に培養する技術が不可欠である。また、臨床応用のため
には、スケールアップと無菌的操作が容易なリアクター
を開発することが不可欠である。
【0014】前述したように、本発明者は、これまで
に、ポリビニルホルマール樹脂多孔質体を担体として、
充填層型リアクターを開発し、107 細胞/cm3 −P
VFの肝細胞密度でディッシュによる単層培養と同等の
代謝能を1週間以上維持しながら肝細胞を培養できるこ
とを報告した(上記文献参照)。
【0015】本発明者は、かかる培養方法を更に改善
し、肝細胞を最適な条件で高密度に培養するため、種々
の培養条件を検討した。
【0016】その結果、驚くべきことに、本発明者は、
従来、細胞に障害を与えることから好ましくないと考え
られていた高酸素濃度の条件が、動物細胞の高密度培養
にとってむしろ好ましいことを見出した。
【0017】本発明者は、培地中の酸素濃度と培地の流
動速度の少なくとも一方を所定の範囲内に制御すること
により、肝細胞のアンモニア代謝能を従来の2倍以上に
改善することができることを突き止め、本発明を完成さ
せた。
【0018】本発明は、所定量以上の高密度の動物細胞
を培養する条件において、動物細胞が多量の酸素を消費
し、培地による酸素の供給がその消費に追いつかないこ
と、また、培地の流れに偏りができることが、これらの
細胞の単位細胞当たりの活性を悪化させる傾向があるこ
とを見出したことに起因する。
【0019】本発明によれば、培地中の酸素濃度と培地
の流動速度の少なくとも一方を所定の範囲内に制御する
ことにより、培養細胞の機能をより一層良好な状態に保
つことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明では、動物細胞を固定化す
る多孔質担体として、微孔性の立体網状多孔質構造を有
する担体を用いるのが好ましい。かかる担体には、ポリ
ビニルホルマール樹脂多孔質体等の種々の材質のものが
含まれる。
【0021】動物細胞としては、人工肝機能補助装置へ
の応用が期待される肝細胞を含め、有用物質生産能を有
する種々の動物細胞や、遺伝子操作を施した動物細胞を
用いることができる。
【0022】本発明では、培地中の酸素濃度を、204
〜969μMの範囲に設定する。この範囲内の酸素が培
地に付与されれば、培養細胞は良好な機能を維持するこ
とができる。204μMの酸素濃度は、通常の5%CO
2 −20%O2 の条件下で、培地に酸素を溶け込ませた
時の溶存酸素濃度に相当する。また、969μMの酸素
濃度は、5%CO2 −95%O2 の条件下で、培地に酸
素を溶け込ませた時の溶存酸素濃度に相当する。
【0023】培地中への酸素の導入には、表面通気を用
いることができる。培地を高酸素濃度の気相等に曝す処
理は、特別な装置を必要とせず、汚染の心配も少ない。
【0024】培地中の酸素濃度を、204〜969μM
に制御するには、通常の大気圧の下で、培地を152〜
722mmHgの酸素分圧(20〜95%の含有酸素濃
度に相当)の気体に曝すことにより行うことができる。
【0025】効率よく酸素を導入するには、酸素加器を
用いるのが好ましい。この酸素加器としては、培地中に
酸素を溶け込ませる種々の手段が含まれる。例えば、培
地をテフロンチューブ内に通し、このチューブを高濃度
の酸素に曝すことにより、培地内に酸素を溶け込ませる
ことができる。この際、このチューブの表面積を大きく
すれば、酸素をより一層培地に溶け込み易くすることが
できる。
【0026】また、本発明では、培養細胞に接する培地
の流動速度を、5.4〜10.8cm/分の線速度の範
囲に設定する。これらの線速度は、例えば、内径20m
mのリアクターであれば、17〜34mL/分の流速に
相当する。この範囲内では、培養細胞に良好な代謝能が
維持される。5.4cm/分未満の線速度では、動物細
胞に十分な酸素を供給することができない。また、線速
度が10.8cm/分を超えると、細胞を擦るような剪
断応力が細胞に傷害を発生させる。これらの線速度で
は、細胞の生存率が低下し、その結果、培地中のアラニ
ントランスアミナーゼ(ALT)濃度が上昇する。AL
Tは、グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ
(GPT)とも称され、肝細胞が破壊された場合に、細
胞外に放出される酵素である。
【0027】以下、図面を参照して、本発明を詳細に説
明する。図1は、一例の培養装置の模式図である。図1
に示すような装置は、本発明の動物細胞の高密度培養方
法に適切であり、肝細胞の代謝能を極めて良好に制御す
ることができる。図1の装置1では、充填層型リアクタ
ー2を用いる。本発明の装置には、平板型、積層型、充
填層型、流動床型等の種々の型の反応器を用いることが
できる。
【0028】図1に示す充填層型リアクター2では、筒
状の反応器3内に、多孔質担体4が充填されている。反
応器3は、培地5が流入する下部ポート3aと培地5が
流出する上部ポート3bとを有している。この下部ポー
ト3aには、培地の流れを整える分流器を設けることが
できる。
【0029】分流器には、例えば、図1に示すように、
下部ポート3aの内側にテフロン球6を充填したものが
用いられる。また、反応器3内に、複数の仕切板7を設
け、担体4の充填空間を適切な間隔で仕切り、培地5の
流れが均質になるようにすることができる。かかる仕切
板としては、邪魔板等を用いることができる。更に、反
応器3は、培養すべき細胞8が注入されるコック9を有
し、ウォータジャケット10に包み込まれ、その中を温
水11が循環するような設計にすることができる。
【0030】多孔質担体4には、例えば、肝細胞を固定
化する。この細胞8は培地5に浸漬されて培養される。
この培地5は、ポンプ12により、下部ポート3aから
充填層型リアクター2内に送られ、細胞8で処理され、
その後、上部ポート3bから出て、リザーバ13に蓄え
られる。リザーバ13には、培地5を供給する上部ポー
ト13aが設けられている。リザーバ13も、反応器3
と同様に、ウォータジャケット等で保温することができ
る。リザーバ13内の培地5は、再び、ポンプ12によ
り、下部ポート3aから充填層型リアクター2内に灌流
する。
【0031】本発明では、図1に示すように、培地5に
は、充填層型リアクター2内に入る前に、酸素加器14
を介して高濃度の酸素15が導入される。酸素15は、
酸素加器14の上部ポート14aから供給する。酸素加
器14内を通る培地のライン16には、例えば、テフロ
ンのような酸素透過性の高いチューブを用い、このライ
ン16を培地5が流れる間に、酸素15が培地5に溶け
込むようにする。高濃度の酸素は、リザーバ13の上部
ポート13aから、培地5に直接導入することもでき
る。
【0032】本発明では、培地5が、所定の流速で細胞
8の表面を流れるようにする。この培地5の流れは、分
流器で整流し、各仕切板7間の担体4を攪拌し、培地5
の流れの偏りを減少させて、培地5を充填層型リアクタ
ー2内に灌流させることができる。
【0033】本発明の培養装置は、肝細胞を培養する人
工肝臓として応用することが期待できる。図2は、一例
の人工肝臓の模式図である。図2に示すように、本発明
の培養装置は、血漿分離器を介して、肝機能に障害のあ
る患者の人工肝臓として機能させることができる。この
際、図2に示すように、人工肝臓25は、血漿分離器2
6とポンプ27と本発明の培養装置1とを具える。患者
の動脈から取り出された血液は、ライン28を通って血
漿分離器26に送られ、この血液から血漿を分離する。
血漿は、ライン29を通り、ポンプ27で培養装置1の
リザーバー14に送られて処理される。処理された血漿
は、ライン30を通り、血漿以外の成分を患者に戻すラ
イン31と合わさって、ポンプ27によって患者の静脈
に送り返される。
【0034】本発明の方法によれば、培地中へ所定濃度
の酸素を導入することや、培地の流動速度を所定の速度
で均質に保たせることにより、バイオリアクターや人工
肝臓としての機能を著しく改善することができる。かか
るリアクターを用いれば、動物細胞の単位細胞当たりの
活性を著しく向上させることができる。
【0035】
【実施例】以下、図面を参照して、実験例に基づき、本
発明をより詳細に説明する。実験例1 1.実験方法 本実験例では、ポリビニルホルマール樹脂多孔質体を用
いる充填層型リアクターで、肝細胞の代謝能を操作条件
の改良により改善することを目的とし、培地中の酸素濃
度の影響と培地の灌流速度の影響を検討した。はじめ
に、培養肝細胞に対する酸素濃度の影響をコラーゲンコ
ートしたディッシュを用いる単層培養系において調べた
後、充填層型リアクターによる灌流培養系で検討した。
【0036】1−1.実験材料 肝細胞固定化用の担体として、平均孔径が250μmの
ポリビニルホルマール〔PVF樹脂、カネボウ化成
(株)製〕を2×2×2mm3 に細切して用いた。反応
器には、筒状のものと平板状のものを用いた。この担体
250個を内径20mmの筒状の反応器に充填し、オー
トクレーブにて滅菌した後、ハンクス液(Hanks'balanc
ed salt solution)で洗浄し、充填層型リアクターとし
た。また、平板状の反応器には、35mmのペトリディ
ッシュ(Petri dish, Falcon 1008 )を0.06%I型
コラーゲン溶液にてコートして用い、単層培養とした。
【0037】肝細胞は体重190〜250gのWistar系
雄性ラットからコラゲナーゼ灌流法により遊離して用い
た。遊離時の肝細胞の生存率は、トリパンブルー排除法
(trypan blue exclusion test)により80%以上であ
った。1匹あたり、1.2〜1.6×108 個の細胞が
得られた。
【0038】基本培地としては、Williams' E
培地に、デキサメタゾン(0.1μM)、インシュリン
(0.1μM)、アプロチニン(5,000KIU/
L)、ペニシリンG(20,000IU/L)、ストレ
プトマイシン(20mg/L)、アンホテリシンB(5
0μg/L)を添加したものに、10%ウシ胎児血清を
加えて用いた。
【0039】1−2.培養方法 単層培養では、1×106 個の生細胞を2mlの培地に
懸濁して、ディッシュに播種した。培地の酸素化は表面
通気により行った。インキュベータの気相中の酸素分圧
を75〜375mmHgに変化させて、培地に酸素を溶
け込ませた。この培地中の溶存酸素濃度は、計算上、1
02〜510μMに対応する。例えば、表面通気には、
5%CO2 −50%空気−45%N2 (10%O2 、7
5mmHgのO2 分圧、102μMのO2 )、5%CO
2 −95%空気(20%O2 、150mmHgのO2
圧、204μMのO2 )、5%CO2 −55%空気−4
0%O2 (50%O2 、375mmHgのO2 分圧、5
10μMのO2 )等の条件を用いた。
【0040】灌流培養では、充填層型リアクターを用い
た。図3は、本実験例にかかる培養装置の模式図であ
る。この装置17は、充填層型リアクター18とリザー
バ19とローラポンプ20からなり、充填層型リアクタ
ー18とリザバー19とがライン21,22により繋が
れている。ライン21の途中で、酸素加器23を設け、
培地に酸素を導入した。また、ライン22の途中に、酸
素電極24を配置することにより、培地の溶存酸素濃度
を測定した。この装置17は、ウォータジャケットを用
いて、37℃に保った。
【0041】肝細胞を充填層型リアクター18内へ播種
するために、肝細胞を3mLの培地に懸濁させ、肝細胞
浮遊液を調製し、これをモジュール当たり8〜10×1
7となるように、リアクター18の上部から注入し
た。この培養装置17をクリーンベンチ内に置き、総量
50mLの培地を、リザーバー19内での表面通気か、
酸素加器23により酸素化して、灌流させた。酸素加器
23では、図1に示すようなシリコンチューブ16を用
いた。培地中の酸素濃度を変える(60〜470μM)
か、培地の灌流速度を変えて(17〜50mL/分)、
肝細胞を5日間培養した。培地中の酸素濃度は、単層培
養と同様の気相を用いて調節し、灌流速度はポンプによ
り調節した。尚、灌流培養では、通常の培養条件である
5%CO2−95%空気(20%O2 )により、酸素加
器を介して培地に酸素を導入しても、培養細胞による酸
素消費の結果、リアクターを出るときの培地の酸素濃度
は、単層培養における計算上の200μMから150μ
M前後に低下する。したがって、この実験で用いた酸素
濃度60〜470μMの条件は、リアクター出口の培地
の酸素濃度であり、リアクター入口では102〜510
μMの酸素濃度に対応する。
【0042】実験のプロトコールを、図4を参照して説
明する。図4は、培養時間と培地交換時期を示す説明図
である。左右に伸びる直線は時間の経過を示す。この直
線上に目盛られた数字は培養時間を表す。これらの時間
のそれぞれにおいて、培地を交換した。また、この直線
の下に記した黒又は白の矢印は、培地の種類を示す。黒
い矢印は、Williams’E培地にウシ胎児血清、
ホルモン、抗生物質を加えた基本培地であり、白い矢印
は、基本培地に1mMの塩化アンモニウムを加えた培地
である。
【0043】図4に示すように、0時間において、肝細
胞を平板型ディッシュ又は充填層型リアクターに播種し
て、培養を開始した。浮遊細胞を除去するために、培養
開始後3時間において、培地を交換し、その後は培地を
毎日交換した。肝細胞のアンモニア代謝能を評価するた
め、培養開始後20時間(2日目)と68時間(4日
目)には、基本培地に1mMの塩化アンモニウムを添加
し、経時的にアンモニア濃度を測定した。
【0044】培養開始後92時間(5日目)に培養実験
を終了し、リアクター内又はディッシュ内に固定化され
た肝細胞数を測定した。肝細胞数は、細胞を超音波破砕
機にて破砕後、蛍光色素法によりDNA量を測定し、D
NA量を細胞数に換算することにより求めた。
【0045】1−3.アンモニア代謝能の評価 アンモニアはアミノ酸の代謝の結果できる老廃物で、こ
れを尿素に変換するのは肝臓の重要な機能の一つであ
る。1mMのアンモニア濃度は、肝不全の患者において
一般的に見られる最大レベルの濃度である。
【0046】各培養条件下での肝細胞のアンモニア代謝
能を定量的に評価するために、反応速度論的な解析を試
みた。即ち、アンモニアを負荷した後、経時的に培地中
のアンモニア濃度を測定すると、濃度変化を次の式
(1)で近似することができる〔N. Ohshima, M. Shiot
a, H. Kusano, G. Wada, T. Tsunetsugu, K. Ookawa an
dK. Yanagi, (1994), Kinetic analysis of the perfo
rmance of a hybrid-typeartificial liver support sy
stem utilizing isolated hepatocytes. Mater.Sci. En
g., C1 : 79-85 〕。 dC/dt=−KmNC (1) 式中、C:アンモニア濃度(mM)、Km:アンモニア
代謝速度定数(L/細胞/hr)、N:肝細胞濃度(細
胞/L)である。
【0047】図5は、アンモニア濃度と培養時間との関
係を示すグラフである。このグラフには、培養2日目
(◆)と4日目(▲)の培養液中のアンモニア濃度の経
時的変化を示す。このグラフの傾きはKmNに相当し、
本実験例では、主としてこのKmNの値を代謝能の指標
とした。
【0048】1−4.放出ALTの量 本実験では、培地の交換毎に、アラニントランスアミナ
ーゼ(ALT)の濃度を測定した。ALTは、グルタミ
ン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)とも称
され、肝細胞が破壊されると放出される酵素である。肝
細胞1g、1×108 個の細胞が破壊されると、約40
IUのALTが放出される。この値が低いほど、培地中
で傷害を受けた肝細胞が少ないことになる。
【0049】2.単層培養における結果と考察 2−1.細胞の固定化率と溶存酸素濃度 図6は、細胞の固定化率を示すグラフである。このグラ
フでは、溶存酸素濃度が細胞の固定化率に及ぼす影響を
知ることができる。このグラフの縦軸は、固定化率
(%)であり、播種した生細胞(retained cell densit
y )の何パーセントが4日間の培養後に固定化されたか
を示す。図6に示すように、細胞の固定化率は、低酸素
濃度で低い傾向を示し、200〜510μMの酸素濃度
で、50〜70%のほぼ一定の固定化率を示した。
【0050】2−2.アンモニア代謝能と溶存酸素濃度 図7は、アンモニア代謝能を示すグラフである。図7
中、●は培養2日目の代謝能を示し、△は培養4日目の
代謝能を示す。培養2日目の代謝能は、溶存酸素濃度に
依存して著しく改善される。特に、300〜400μM
の酸素濃度で優れた代謝能が得られた。細胞の固定化率
がどの酸素濃度でもほぼ同じであることから、細胞当た
りの代謝能が高酸素濃度下で良好になると考えられた。
一方、培養4日目の代謝能は、200μMの酸素濃度で
わずかに良くなり、高酸素、低酸素濃度とも代謝能がわ
ずかに低下する。
【0051】2−3.放出ALT量と溶存酸素濃度 図8は、放出されたALTの量を示すグラフである。こ
のグラフでは、4日間の培養で培地中に放出されたAL
Tの総量を示す。図8に示すように、ALTの放出は、
低酸素濃度でやや高い傾向があるが、溶存酸素濃度によ
ってほとんど影響を受けないことがわかる。
【0052】3.充填層型リアクターにおける結果と考
察 3−1.細胞の固定化率と溶存酸素濃度 図9は、細胞の固定化率を示すグラフである。この固定
化率も、溶存酸素濃度の影響を調べたものであり、単層
培養の場合(図5)と同様、播種した生細胞の何パーセ
ントが4日間の培養後に固定化されたかを示す。但し、
この実験では、図3に示すような充填層型リアクターを
用い、培地を灌流(17mL/分)させた。この図に示
すように、細胞の固定化率は、溶存酸素濃度を上昇させ
ることで改善した。培養1日の時点での細胞の固定化率
が30%前後であることから、培養4日後の細胞が30
〜40%の固定化率であることは、著しい改善といえ
る。
【0053】3−2.アンモニア代謝能と溶存酸素濃度 図10は、アンモニア代謝能を示すグラフである。この
図の中の記号も、図7の単層培養のものと同一である。
灌流培養では、培養2日目(●)と培養4日目(△)と
もに、酸素濃度の増加により代謝能が上昇する。但し、
300μMを超えてもほとんど差がでなくなる。
【0054】3−3.放出ALT量と溶存酸素濃度 図11は、放出されたALTの量を示すグラフである。
図11に示すように、300μMの酸素濃度までは、A
LTの放出量は酸素濃度の上昇に伴い低下するが、50
0μMを超えるところでやや上昇する。
【0055】3−4.細胞の固定化率と灌流速度 図12は、灌流速度が細胞の固定化率に及ぼす影響を示
すグラフである。この固定化率は、酸素加器で酸素濃度
が5%CO2 −95%空気(20%O2 )の気相を用
い、灌流速度の影響を調べたものである。この図では、
酸素濃度の影響を調べる場合(図9)と同様、播種した
細胞の何パーセントが4日間の培養後に固定化されたか
を示す。この図11で示すように、細胞の固定化率はい
ずれの灌流速度においても20%前後で、若干右上がり
に改善するが、ほとんど差がなかった。
【0056】3−5.アンモニア代謝能と灌流速度 図13は、アンモニア代謝能を示すグラフである。図中
の記号は、図10の酸素濃度の影響を見るものと同一で
ある。この図13で示すように、低灌流量でやや低いほ
か、灌流速度の影響はほとんどなかった。
【0057】3−6.放出ALT量と灌流速度 図14は、放出されたALTの量を示すグラフである。
この図で示すように、灌流速度が30mL/分までは、
灌流速度とともに、ALTの放出量はやや低下する傾向
がある。この充填層型リアクターでは、17〜34mL
/分、好ましくは20〜30mL/分の灌流速度が適切
と考えられた。
【0058】3−7.細胞1個当たりのアンモニア代謝
能と溶存酸素濃度 装置全体の代謝能を表すKmN値を用いる代わりに、固
定化された細胞1個当たりの代謝能を表すKm値を用い
て、溶存酸素濃度がアンモニア代謝能に及ぼす影響を評
価した。図15は、このアンモニア代謝能を示すグラフ
である。細胞数は、4日間の培養終了後の細胞数を用
い、培養2日目の代謝能の結果を得た。ディッシュによ
る単層培養(△)では、酸素濃度の上昇とともに、細胞
当たりの代謝能が上昇した。一方、充填層型リアクター
による灌流培養(灌流速度:17mL/分)では、低酸
素濃度で代謝能が悪いのに対し、200μM以上の酸素
濃度でほぼ一定の代謝能に達した。また、この充填層型
リアクターでの代謝能は、生体内の肝細胞の代謝能にほ
ぼ匹敵するとされている20%酸素下のディッシュ培養
での代謝能よりも良好で、充填層型リアクターの優位性
が示された。
【0059】実験例2 1.実験方法 本実験例では、実験例1と同様の条件で、培地中の酸素
濃度の影響及び培地の灌流速度の影響を検討した。但
し、培地の酸素化を、5%CO2 −50%空気−45%
2 (10%O2 )、5%CO2 −95%空気(20%
2 )及び5%CO2 −55%空気−40%O2 (50
%O2 )の3条件の気相による表面通気とし、灌流培養
での培地の酸素化を、リザーバー内への表面通気により
行い、培地の灌流速度を8、17、34mL/分の3条
件とした。
【0060】また、本実験例では、アンモニア代謝能を
評価するため、培養1日目と3日目に培地内に1mMの
塩化アンモニウムを添加し、培養4日目に培養実験を終
了させた。本実験例では、最小二乗法により近似式
(1)のKmの値を計算し、細胞1個当たりのアンモニ
ア代謝能の指標とした。
【0061】2.単層培養における結果と考察 2−1.アンモニア代謝能と溶存酸素濃度 図16は、アンモニア代謝能を示すグラフである。斜線
が施されているカラムは、培養1日目のアンモニア代謝
能を示し、斜線が施されていないカラムは、培養3日目
のアンモニア代謝能を示す。この図に示すように、20
%酸素濃度の条件で肝細胞の代謝能は最も良好であり、
高濃度と低濃度の酸素条件では代謝能が低下した。特
に、高濃度の酸素条件では、培養初期においては代謝能
に与える影響は少ないものの、細胞の活性の維持に悪影
響を与えると考えられた。
【0062】3.充填層型リアクターにおける結果と考
察 3−1.細胞の固定化率に及ぼす灌流速度と溶存酸素濃
度の影響 培地の灌流量と培養時の酸素濃度について、表1に示す
条件下に、5回の灌流培養実験を行った。表1に示すよ
うに、4日間の培養後、リアクター内に播種された生細
胞の15〜20%が基材内に固定化された。細胞の固定
化率は、高酸素濃度、低酸素濃度の両極端の条件(実験
番号4、5)でやや低く、これらの条件において細胞の
維持に問題があることが示唆された。一方、20%の酸
素濃度下では、培地の灌流速度は細胞の固定化率に影響
を及ぼさなかった。同様の充填層型リアクターを用いた
本発明者の研究において、基材内への細胞の固定化率
は、灌流培養1日目で約30%、7日目で15%程度で
あったことから、PVF樹脂内に固定化された肝細胞数
は、灌流培養の期間中、徐々に減少するものと考えられ
た。
【0063】
【表1】
【0064】3−2.アンモニア代謝能と培養時間 図17は、アンモニア濃度と培養時間との関係を示すグ
ラフである。このグラフには、培養1日目(■)と3日
目(●)の培養液中のアンモニア濃度の経時的変化を示
す。この図では、灌流培養における培地中のアンモニア
濃度の経時変化が示されている。実線および破線は、式
(1)によるシミュレーションの結果である。代謝能の
評価は、フィッティングカーブからKm・Nの値を算出
し、培養終了時における細胞密度(N)で除し、細胞1
個当たりのアンモニア代謝能の指標、Kmを得た。灌流
培養では、培養1日目の固定化細胞密度は培養終了時の
値よりも高いものと推測されるため、以下に示す灌流培
養群の培養1日目のKmの値は過大評価されていると考
えられる。
【0065】3−3.アンモニア代謝能と溶存酸素濃度 図18は、アンモニア代謝能を示すグラフである。斜線
が施されているカラムは、培養1日目のアンモニア代謝
能を示し、斜線が施されていないカラムは、培養3日目
のアンモニア代謝能を示す。この図に示すように、充填
層型リアクターによる灌流培養においては、肝細胞の代
謝能は通気中の酸素濃度に依存して、良好な値を示し
た。尚、本実験例では、灌流培養の培地の酸素化はリザ
ーバ内の表面通気のみによって行った。このため、50
%酸素の通気によっても培地中の溶存酸素濃度はディッ
シュによる同条件の培養ほど高くない可能性がある。
【0066】3−4.アンモニア代謝能と灌流速度 図19は、アンモニア代謝能を示すグラフである。この
図でも、培養1日目と培養3日目を比較した。この図で
は、培地の灌流量がアンモニアの代謝能に与える影響が
示される。表1に示す高灌流量(34mL/分;実験番
号3)の実験において、アンモニア代謝能はやや良好な
傾向を示した。充填層型リアクターにおいて培地の灌流
量を論じる場合、灌流量は容積流量よりもリアクター内
での線速度が問題となるが、本実験例において使用した
リアクターでは、34mL/分の灌流量において10.
8cm/分となる。この速度においても培養開始直後を
除き、肝細胞のリアクター外への流出は観察されなかっ
た。
【0067】以上、実験例1及び実験例2で述べたよう
に、単層培養及び充填層型リアクターによる動物細胞の
高密度培養系において、培地中の酸素濃度を204〜9
69μMに制御すること、又は培地を5.4〜10.8
cm/分の線速度で灌流させることにより、培養細胞の
代謝能をより一層改善できることがわかった。特に、培
養肝細胞の機能は、培地の灌流量を増やすことにより、
やや良好に維持される傾向を示し、培地の溶存酸素濃度
を上げることにより、良好に維持された。
【0068】
【発明の効果】本発明の動物細胞の高密度培養方法によ
れば、培地中の溶存酸素濃度と培地の流動速度を所定の
範囲に制御することにより、培養動物細胞の代謝能をよ
り一層適切な状態に維持することができる。また、本発
明の動物細胞の高密度培養装置は、培養動物細胞の代謝
能をより一層適切な状態に維持することができ、種々の
動物細胞を用いたハイブリッド型人工臓器として有望で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一例の培養装置の模式図である。
【図2】一例の人工肝臓の模式図である。
【図3】実験例にかかる培養装置の模式図である。
【図4】培養時間と培地交換時期を示す説明図である。
【図5】アンモニア濃度と培養時間との関係を示すグラ
フである。
【図6】細胞の固定化率を示すグラフである。
【図7】アンモニア代謝能を示すグラフである。
【図8】放出されたALTの量を示すグラフである。
【図9】細胞の固定化率を示すグラフである。
【図10】アンモニア代謝能を示すグラフである。
【図11】放出されたALTの量を示すグラフである。
【図12】細胞の固定化率を示すグラフである。
【図13】アンモニア代謝能を示すグラフである。
【図14】放出されたALTの量を示すグラフである。
【図15】アンモニア代謝能を示すグラフである。
【図16】アンモニア代謝能を示すグラフである。
【図17】アンモニア濃度と培養時間との関係を示すグ
ラフである。
【図18】アンモニア代謝能を示すグラフである。
【図19】アンモニア代謝能を示すグラフである。
【符号の説明】
1、17 培養装置 2、18 充填層型リアクター 3 反応器 3a 下部ポート 3b 上部ポート 4 多孔質担体 5 培地 6 テフロン球 7 仕切板 8 細胞 9 コック 10 ウォータジャケット 11 温水 12、20、27 ポンプ 13、19 リザーバ 13a 上部ポート 14、23 酸素加器 14a 上部ポート 15 酸素 16、21、22、28、29、30、31 ライン 24 酸素電極 25 人工肝臓 26 血漿分離器 27 ポンプ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年4月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、動物細胞を多
孔質担体に固定化し、前記多孔質担体を反応器内に配置
し、前記反応器の入口から培地を導入し、前記多孔質担
体を前記培地中に浸漬し、前記培地を前記反応器の出口
から取り出し、前記培地を前記反応器の前記入口に灌流
させることによって、前記動物細胞を培養するにあた
り、前記出口の前記培地の酸素濃度を、204〜969
μMに維持する、動物細胞の高密度培養法に係るもので
ある。また、本発明は、動物細胞を多孔質担体に固定化
し、前記多孔質担体を培地中に浸漬して、前記動物細胞
を培養するにあたり、前記培地の酸素濃度を、300〜
400μmに維持する、動物細胞の高密度培養法に係る
ものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】さらに、本発明は、動物細胞を多孔質担体
に固定化し、前記多孔質担体を培地中に浸漬して、前記
動物細胞を培養するにあたり、前記培地の酸素濃度を、
204〜969μMに維持し、前記培地を、5.4〜1
0.8cm/分の線速度で流動させることによって、前
記培地の酸素濃度を均一化する、動物細胞の高密度培養
法に係るものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】その結果、驚くべきことに、本発明者は、
従来、細胞に傷害を与えることから好ましくないと考え
られていた高酸素濃度の条件が、動物細胞の高密度培養
にとってむしろ好ましいことを見出した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】1−2.培養方法 単層培養では、1×106 個の生細胞を2mlの培地に
懸濁して、ディッシュに播種した。培地の酸素化は表面
通気により行った。インキュベータの気相中の酸素分圧
を75〜375mmHgに変化させて、培地に酸素を溶
け込ませた。この培地中の溶存酸素濃度は、計算上、1
02〜510μMに対応する。例えば、表面通気には、
5%CO2 −50%空気−45%N2 (10%O2 、7
5mmHgのO2 分圧、102μMのO2 )、5%CO
2 −95%空気(20%O2 、15mmHgのO2
圧、204μMのO2 )、5%CO2 −55%空気−4
0%O2 (50%O2 、375mmHgのO2 分圧、5
10μMのO2 )等の条件を用いた。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物細胞を多孔質担体に固定化し、前記
    動物細胞を培地中に浸漬して培養するにあたり、 前記培地の酸素濃度を、204〜969μMに制御する
    ことを特徴とする、動物細胞の高密度培養法。
  2. 【請求項2】 前記培地を、152〜722mmHgの
    酸素分圧の気体に曝すことを特徴とする、請求項1記載
    の動物細胞の高密度培養法。
  3. 【請求項3】 前記培地を、5.4〜10.8cm/分
    の線速度で流動させることを特徴とする、請求項1又は
    2記載の動物細胞の高密度培養法。
  4. 【請求項4】 前記培地の流れが偏らないように前記培
    地を分流させることを特徴とする、請求項3記載の動物
    細胞の高密度培養法。
  5. 【請求項5】 前記培地の流れを邪魔板により制御する
    ことを特徴とする、請求項3又は4記載の動物細胞の高
    密度培養法。
  6. 【請求項6】 動物細胞を多孔質担体に固定化し、前記
    動物細胞を培地中に浸漬して培養するにあたり、 前記培地を、152〜722mmHgの酸素分圧の気体
    に曝すことを特徴とする、動物細胞の高密度培養法。
  7. 【請求項7】 動物細胞と、前記動物細胞が固定化され
    る多孔質担体と、前記動物細胞が浸漬される培地に酸素
    を導入する酸素加器とを具えており、前記動物細胞を前
    記培地中に浸漬して培養する動物細胞の高密度培養装置
    であって、 前記培地の酸素濃度が、204〜969μMに制御され
    ることを特徴とする、動物細胞の高密度培養装置。
  8. 【請求項8】 動物細胞を多孔質担体に固定化し、前記
    動物細胞を培地中に浸漬して培養するにあたり、 前記培地を、5.4〜10.8cm/分の線速度で流動
    させることを特徴とする、動物細胞の高密度培養法。
  9. 【請求項9】 動物細胞と、前記動物細胞が固定化され
    る多孔質担体とを具えており、前記動物細胞を培地中に
    浸漬して培養する、動物細胞の高密度培養装置であっ
    て、 前記培地が、5.4〜10.8cm/分の線速度で流動
    することを特徴とする、動物細胞の高密度培養装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006109707A (ja) * 2004-10-12 2006-04-27 Hiroshima Univ 細胞培養装置
JP2007020493A (ja) * 2005-07-19 2007-02-01 Takagi Ind Co Ltd 培養チャンバ、培養装置、及び培養液の送液方法

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