JPH11223563A - 環境状態測定方法及び装置 - Google Patents

環境状態測定方法及び装置

Info

Publication number
JPH11223563A
JPH11223563A JP10023654A JP2365498A JPH11223563A JP H11223563 A JPH11223563 A JP H11223563A JP 10023654 A JP10023654 A JP 10023654A JP 2365498 A JP2365498 A JP 2365498A JP H11223563 A JPH11223563 A JP H11223563A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound wave
propagation time
space
measured
virtual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10023654A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3699269B2 (ja
Inventor
Kenichi Harakawa
健一 原川
Koichi Mizutani
孝一 水谷
Keinosuke Nagai
啓之亮 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takenaka Komuten Co Ltd
Original Assignee
Takenaka Komuten Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takenaka Komuten Co Ltd filed Critical Takenaka Komuten Co Ltd
Priority to JP02365498A priority Critical patent/JP3699269B2/ja
Publication of JPH11223563A publication Critical patent/JPH11223563A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3699269B2 publication Critical patent/JP3699269B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被測定空間内の環境状態の測定を簡易な構成
で実現する。 【解決手段】 被測定空間24外に配置された仮想スピー
カ列上の仮想スピーカと、被測定空間24を挟んで仮想ス
ピーカ列と反対側に平行に配置された仮想マイクロフォ
ン列上の仮想マイクロフォンと、を結ぶ仮想経路を、互
いに異なる複数の方向について各々多数設定し、各仮想
経路と壁体22との交差位置にスピーカ及びマイクロフォ
ンを備えたノード12を各々設けている。仮想経路上の被
測定空間24に重なっている区間(実線で図示)はノード
12間で実際に音波を伝搬させて伝搬時間を測定し、仮想
経路上の被測定空間24外の区間(一点鎖線で図示)は、
被測定空間24外が一定温度であると仮定して伝搬時間を
推定することで、各仮想経路の音波の伝搬時間の推定値
を各々求め、各仮想経路の音波の伝搬時間の推定値に基
づいて被測定空間24内の温度分布を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は環境状態測定方法及
び装置に係り、特に、空間内の温度分布等の環境状態を
測定する環境状態測定方法、及び該環境状態測定方法を
適用可能な環境状態測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】被空調
空間内の温度や湿度を所望の値に制御するためには、被
空調空間内の温度、湿度を測定する必要があるが、被空
調空間内の各箇所における温度、湿度が一定であること
は稀であり、特にドーム球場や劇場等の閉鎖された大空
間では、空間内の各箇所における温度、湿度は大きくば
らついていることが多い。このため、例えばドーム球場
や劇場等の大空間において快適性と省エネルギーの双方
を満足する空気調和を行う場合や、室内の温度や湿度を
精密に所望の値に制御する場合には、被空調空間内の温
度や湿度の分布を測定する必要がある。
【0003】しかし、温度センサや湿度センサによって
温度や湿度の分布を直接測定しようとすると、センサ
を、被空調空間の中央部付近を含む被空調空間内にマト
リクス状に多数配設する必要があるが、コストが嵩み景
観が損なわれると共に被測定空間の利用も制限されるの
で、上記のように多数のセンサを配設することは現実的
ではない。またドーム球場や劇場等では、被測定空間の
周縁部(例えば壁体等)に取付けたセンサにより周縁部
の温度等を測定すると共に、風船等でセンサを吊り上げ
ることで被測定空間の中央部付近の温度等を測定するこ
とが考えられるが、この方法では、被測定空間内で例え
ば野球等のイベントが実施されている最中に温度や湿度
の分布を測定することは不可能である。
【0004】一方、医学の分野では、人体内部の状態を
非接触で測定するコンピュータ断層撮影(CT:Comput
ed Tomography)技術が広く利用されている。CT技術を
利用した医療用のCT装置は、一般的には、多数のX線
源が一列に配置されていると共に、各X線源に対して一
定方向に一定距離隔てた位置に検出器が各々対向配置さ
れており(すなわち、X線の伝搬経路の長さを揃えるた
めに、X線源の配列と平行に検出器が配列される)、X
線源列及び検出器列が一体的に回転可能に構成されてい
る。
【0005】このCT装置により人体内部の状態を測定
する場合、被測定者はX線源列と検出器列の間に位置さ
れ、被測定者に対し各X線源によって所定方向からX線
を各々照射し、被測定者を透過したX線量を各検出器に
よって各々検出することにより、前記所定方向について
のX線吸収量の投影データ(所定方向から見たX線吸収
量の分布を表すデータ)を得る。これを、被測定者を回
転させずにX線源列及び検出器列を所定角度づつ回転さ
せながら1周する迄繰り返し、各方向についてのX線吸
収量の投影データを各々取得する。
【0006】次に、これらの投影データに基づき、公知
のフーリエ領域再構成法(2次元フーリエ変換法(2-D f
ourier-transform method)ともいう)やフィルタ処理デ
ータの逆投影法(フィルタード・バックプロジェクショ
ン法(filtered back-projection method) 、或いは2次
元フィルタリング法(2-D filterring method) 等の演算
方法を適用して、コンピュータによって被測定者の横断
面に沿った各位置における体内組織のX線吸収量(横断
面上のX線吸収量の分布)を演算する。演算した横断面
上のX線吸収量の分布は2次元画像として再構成され、
人体の横断面像としてモニタに表示される。
【0007】上記のCT技術によれば、測定対象(医療
用CT装置では人体)内部の状態を非接触で測定できる
ので、上記のCT技術を利用し、X線に代えて、医療用
のCT装置でも利用されている音波(特に超音波)を用
いれば、被測定空間内の温度分布等の環境状態を求める
ことは原理的には可能である。すなわち、音波は媒質の
温度によって伝搬時間(速度)が変化するので、各方向
について音波伝搬時間の投影データを取得すれば、被測
定空間内の温度分布を演算できる。
【0008】しかしながら、医療用CT装置の技術をド
ーム球場や劇場等の大空間内の温度分布等の測定に用い
ようとすると、音波の伝搬経路の長さを揃えるために、
例として図12に示すように、被測定空間の外部に、音
波を発する多数の音波発生装置を一列に配列すると共
に、多数の音波検出装置を、被測定空間を挟んで音波発
生装置列と平行に配列し、かつ音波発生装置列及び音波
検出装置列を一体的に回転可能に構成する必要があるの
で、実現は殆ど不可能である。また、被測定空間と外部
とを区画する壁体に音波透過性をもたせる必要もある。
【0009】また、投影データを必要としない演算方法
も知られている。すなわち、被測定空間を多数の小領域
に区分し、各小領域内の音速を変数とし、或る音波発生
装置から或る音波検出装置に至る伝搬経路を伝搬する音
波の伝搬時間を、前記伝搬経路上に存在する各小領域の
音波の通過時間の和で表した方程式を連立方程式として
多数生成し、測定した音波の伝搬時間を連立方程式に代
入して解くことによっても、被測定空間内の温度分布を
求めることは可能である。
【0010】上記演算方法を適用すれば、被測定空間内
の周縁(例えば被測定空間を区画している壁体)の多数
箇所に音波検出装置及び音波発生装置を配置し、前記多
数箇所の間の音波の伝搬時間を測定することで、温度分
布を求めることができる。しかし、上記の演算方法では
膨大な数の連立方程式を用いる必要があり、これに伴っ
て膨大な数の音波検出装置及び音波発生装置を設ける必
要がある。従って、装置構成が非常に複雑になると共
に、演算に膨大な時間がかかる、という欠点があり、実
用化には適していない。
【0011】本発明は上記事実を考慮して成されたもの
で、被測定空間内の温度分布等の環境状態を測定するこ
とを簡易な構成で実現することができる環境状態測定方
法及び環境状態測定装置を得ることが目的である。
【0012】
【課題を解決するための手段】被測定空間内の環境状態
を測定する場合、前述のように、音波の伝搬時間測定経
路の長さを揃えて音波の伝搬時間を測定することは困難
であるが、本願発明者は、被測定空間外の環境状態は本
来必要のない情報であることに着目し、被測定空間外の
区間の音波の伝搬時間については、被測定空間内の環境
状態の演算に悪影響を及ぼさないように人為的或いは機
械的に設定し、伝搬時間測定経路の長さを仮想的に一致
させることにより、音波の伝搬時間の投影データを取得
することができ、短時間で演算可能な演算方法(フーリ
エ領域再構成法やフィルタ処理データの逆投影法、2次
元フィルタリング法等)を適用できることに想致した。
【0013】上記に基づき、請求項1記載の発明に係る
環境状態測定方法は、各々一定の方向に沿いかつ互いに
異なる位置で被測定空間を貫く等しい長さの多数の仮想
経路を、互いに異なる複数の方向について各々設定して
おき、前記各仮想経路について、仮想経路上の前記被測
定空間に重なっている区間の音波の伝搬時間を実際に音
波を伝搬させて測定し、仮想経路上の被測定空間外の区
間の音波の伝搬時間を被測定空間外が一定温度の媒質で
満たされていると仮定して推定することにより、仮想経
路上を音波が伝搬するときの伝搬時間の推定値を各々求
め、所定方向に沿った多数の仮想経路の各々の音波の伝
搬時間の推定値に基づき、前記所定方向についての音波
の伝搬時間の投影データを求めることを、前記複数の方
向について各々行い、前記複数の方向の各々についての
音波の伝搬時間の投影データに基づいて被測定空間内の
環境状態を演算する。
【0014】請求項1記載の発明では、各々一定の方向
に沿いかつ互いに異なる位置で被測定空間を貫く等しい
長さの多数の仮想経路を、互いに異なる複数の方向につ
いて各々設定しておき、各仮想経路について、仮想経路
上の被測定空間に重なっている区間についてのみ、実際
に音波を伝搬させて音波の伝搬時間を測定している。音
波の伝搬時間を測定するためには、伝搬時間を測定する
伝搬経路の端部に音波発生手段及び音波検出手段を配置
する必要があるが、上記では、仮想経路上の被測定空間
に重なっている区間についてのみ音波の伝搬時間を測定
するので、伝搬時間の測定を行う音波の伝搬経路が互い
に平行でかつ等しい長さとなるように、被測定空間外に
音波発生手段及び音波検出手段を配置する必要はなく、
被測定空間の周縁部に音波発生手段及び音波検出手段を
配置することができる。
【0015】また、請求項1の発明では、仮想経路上の
被測定空間外の区間については、被測定空間外が一定温
度の媒質で満たされていると仮定して音波の伝搬時間を
推定しているので、被測定空間外の区間の音波の伝搬時
間の推定値が、被測定空間内の環境状態の演算に悪影響
を及ぼすことを防止することができ、仮想経路上を音波
が伝搬するときの伝搬時間の推定値として、適切な値を
得ることができる。
【0016】本発明に係る仮想経路は互いに等しい長さ
に設定されるので、所定方向に沿った多数の仮想経路の
各々の音波の伝搬時間の推定値に基づき、所定方向につ
いての音波の伝搬時間の投影データを求めることを、複
数の方向について各々行うことで、複数の方向の各々に
ついての音波の伝搬時間の投影データを取得することが
でき、複数の方向の各々についての音波の伝搬時間の投
影データに基づいて、フーリエ領域再構成法やフィルタ
処理データの逆投影法、2次元フィルタリング法等の短
時間で演算可能な演算方法を適用して被測定空間内の環
境状態を演算することができる。従って請求項1の発明
によれば、被測定空間内の温度分布等の環境状態を測定
することを簡易な装置構成で実現することができる。
【0017】請求項2記載に係る環境状態測定装置は、
互いに異なる複数の方向について各々設定された、各々
一定の方向に沿いかつ互いに異なる位置で被測定空間を
貫く等しい長さの多数の仮想経路と、前記被測定空間の
周縁と、の交点に相当する箇所に各々配置され、各仮想
経路上の被測定空間に重なっている区間の音波の伝搬時
間を各々測定する伝搬時間測定手段と、前記各仮想経路
について、仮想経路上の被測定空間外の区間の音波の伝
搬時間を、被測定空間外が一定温度の媒質で満たされて
いると仮定して各々推定する伝搬時間推定手段と、前記
伝搬時間測定手段によって測定された伝搬時間及び前記
伝搬時間推定手段によって推定された伝搬時間から求ま
る各仮想経路を音波が伝搬するときの伝搬時間の推定値
に基づき、所定方向に沿った多数の仮想経路の各々の音
波の伝搬時間の推定値から前記所定方向についての音波
の伝搬時間の投影データを求めることを、前記複数の方
向について各々行う投影データ演算手段と、前記複数の
方向の各々についての音波の伝搬時間の投影データに基
づいて被測定空間内の環境状態を演算する環境状態演算
手段と、を含んで構成している。
【0018】請求項2記載の発明では、請求項1の発明
と同様に、各々一定の方向に沿いかつ互いに異なる位置
で被測定空間を貫く等しい長さの多数の仮想経路が、互
いに異なる複数の方向について各々設定されており、伝
搬時間測定手段は、各仮想経路と被測定空間の周縁との
交点に相当する箇所に各々配置され、各仮想経路上の被
測定空間に重なっている区間の音波の伝搬時間を各々測
定する。また、伝搬時間推定手段は、各仮想経路につい
て、仮想経路上の被測定空間外の区間の音波の伝搬時間
を、被測定空間外が一定温度の媒質で満たされていると
仮定して各々推定する。これにより、各仮想経路を音波
が伝搬するときの伝搬時間の推定値が求まる。
【0019】また投影データ演算手段は、各仮想経路を
音波が伝搬するときの伝搬時間の推定値に基づき、所定
方向に沿った多数の仮想経路の各々の音波の伝搬時間の
推定値から所定方向についての音波の伝搬時間の投影デ
ータを求めることを、複数の方向について各々行い、環
境状態演算手段は、複数の方向の各々についての音波の
伝搬時間の投影データに基づいて被測定空間内の環境状
態を演算する。従って請求項2の発明によれば、請求項
1の発明と同様に、伝搬時間測定手段を被測定空間外に
設けることなく、フーリエ領域再構成法やフィルタ処理
データの逆投影法、2次元フィルタリング法等の短時間
で演算可能な演算方法を適用して被測定空間内の環境状
態を演算することができるので、被測定空間内の温度分
布等の環境状態を測定することを簡易な構成で実現する
ことができる。
【0020】請求項3記載の発明は、請求項2の発明に
おいて、前記伝搬時間測定手段は、音波を発生する音波
発生手段、及び到来した音波を検出する音波検出手段を
備えたノードが、前記交点に相当する多数箇所に各々設
けられて構成されており、特定のノードの音波発生手段
から音波を発生させ、該発生した音波を他の複数のノー
ドの音波検出手段で同時に検出することを、音波発生手
段から音波を発生させるノードを切り替えながら繰り返
すことにより、前記各仮想経路上の被測定空間に重なっ
ている区間の音波の伝搬時間を測定することを特徴とし
ている。
【0021】請求項3記載の発明では、特定のノードの
音波発生手段から音波を発生させ、該発生した音波を他
の複数のノードの音波検出手段で同時に検出するので、
仮想経路上の被測定空間に重なっている区間の音波の伝
搬時間が、複数の仮想経路について同時に測定される。
また、上記の伝搬時間の測定を、音波発生手段から音波
を発生させるノードを切り替えながら繰り返すので、音
波の伝搬時間の測定に要する時間を短縮することができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本実施形態
に係る環境状態測定装置10が示されている。環境状態
測定装置10は、多数のノード12A、12B、12
C、…と、ホストコンピュータ14を備えており、これ
らが伝送媒体16を介して互いに接続されて構成されて
いる。ホストコンピュータ14は、CPU14A、RO
M14B、RAM14C、入出力ポート14Dを備え、
これらがバス14Eを介して互いに接続されて構成され
ている。入出力ポート14Dはネットワーク伝送部49
を介して伝送媒体16に接続されている。また、入出力
ポート14Dには、各種の情報を表示するためのディス
プレイ18と、オペレータが各種のデータやコマンド等
を入力するためのキーボード20が接続されている。
【0023】一方、多数のノード12は、被測定空間の
周縁部に、周縁部の全周に亘って略一定の間隔で配置さ
れる。例として図2には、円筒状の壁体22によって区
画され、上方が屋根(図示省略)によって閉塞されたド
ーム状の被測定空間24(例えばドーム球場等)内の環
境状態を測定する場合の各ノード12の配置が示されて
おり、各ノード12は壁体22に埋設されている。な
お、ノード12の数及び間隔は図2に示した例に限定さ
れるものではないが、ノード12の数は偶数であること
が望ましい。また、各ノード12を識別するために、各
ノードには便宜的にノード番号が付与されている。
【0024】ノード12A、12B、12C、…は各々
同一の構成であるので、以下では図1を参照し、ノード
12Aの構成について説明する。ノード12Aは、各々
被測定空間24内に向けて配置された、音波発生手段と
してのスピーカ30、及び音波検知手段としてのマイク
ロフォン32を備えている。スピーカ30は、増幅器3
4、D/A変換器36を介してデータ処理部38に接続
されており、マイクロフォン32は、フィルタ/増幅器
40、A/D変換器42を介してデータ処理部38に接
続されている。
【0025】音波の伝搬時間の測定を行う場合、ホスト
コンピュータ14は、音波を発生させるノード12を判
断し、前記ノード12から発生すべき音波の波形を表す
波形データを全てのノード12に転送すると共に、前記
ノードからの音波の発生時刻を全てのノード12に通知
する。また、音波を発生させるノード12に対しては通
知した発生時刻に音波を発生するよう指示する。
【0026】データ処理部38はマイクロコンピュータ
等を含んで構成され、ネットワーク伝送部48を介して
伝送媒体16に接続されており、伝送媒体16及びネッ
トワーク伝送部48を介してホストコンピュータ14か
ら、前述の波形データが転送されて音波の発生が指示さ
れると、指示された波形の音波を指示された音量で発生
させるためのデータを、所定のタイミングでD/A変換
器36に出力する。データ処理部38から出力されたデ
ータは、D/A変換器36でアナログの電気信号に変換
され、増幅器34で増幅された後にスピーカ30に供給
される。これにより、スピーカ30からは、指示された
波形の音波が指示された時刻に指示された音量でスピー
カ30から発せられる。
【0027】また、マイクロフォン32から出力される
電気信号は、フィルタ/増幅器40で雑音が除去された
後に増幅され、A/D変換器42でディジタルデータに
変換されてデータ処理部38に入力される。データ処理
部38は、ホストコンピュータ14から発生した音波発
生時刻になると、A/D変換器42を介して入力される
データに基づき、マイクロフォン32から出力される電
気信号の波形のメモリ等への記憶を開始する。
【0028】また、上記処理と並行してデータ処理部3
8は、前記メモリ等への記憶したデータに基づいて、マ
イクロフォン32から出力される電気信号の波形と、ホ
ストコンピュータ14から転送された波形データが表す
波形との相関性を演算し、相関性が最大値となった波形
の電気信号がマイクロフォン32から出力された時刻
を、音波の到来時刻(検知時刻)としてメモリ等に記憶
する。そして、ネットワーク伝送部48及び伝送媒体1
6を介してホストコンピュータ14から音波の検知時刻
の問い合わせがあった場合には、記憶している音波の検
知時刻を表すデータをホストコンピュータ14に送信す
る。
【0029】次に本実施形態の作用を説明する。本実施
形態では、後述する温度分布演算処理において、音波の
伝搬時間の推定を行う経路として、例として図3に示す
ように、多数の仮想経路を予め設定している。なお、図
3では或る一定の方向に沿った仮想経路のみを示してい
るが、実際には、一例として図5(B)にも示すよう
に、互いに異なる複数の方向(例えば10°ずつ異なる
方向)について、各々多数の仮想経路が予め設定されて
いる。
【0030】仮想経路は、被測定空間24外に所定方向
に直交するように配置された仮想スピーカ列上に位置し
ている仮想スピーカと、被測定空間24を挟んで仮想ス
ピーカ列と反対側の被測定空間24外に一定の間隔L0
(図4参照)を隔てて仮想スピーカ列と平行に配置され
た仮想マイクロフォン列上に位置している仮想マイクロ
フォンと、を結ぶ経路として定義されており、仮想スピ
ーカ及び仮想マイクロフォンは、各仮想経路が、各々所
定方向に沿いかつ互いに異なるノード12が配置されて
いる位置で壁体22と交差して被測定空間24を貫くよ
うに、仮想スピーカ列及び仮想マイクロフォン列上での
位置が定められている。従って、各仮想経路の長さは互
いに等しくされている。
【0031】各仮想経路のうち、同一の仮想経路上に位
置している一対のノード12の間の区間(図3に実線で
示す測定対象区間)については、実際に音波を伝搬させ
ることによって音波の伝搬時間を測定するが、仮想スピ
ーカとノード12の間、及びノード12と仮想マイクロ
フォンの間の区間(伝搬時間推定区間)については、音
波の伝搬時間を測定することはできない。このため、ホ
ストコンピュータ14のROM14Bには、各仮想経路
に対応して伝搬時間推定区間の長さが各々記憶されてい
る。
【0032】なお、本実施形態では、図4に示すよう
に、被測定空間24の中心を原点Oとする直交座標系x
−yを定義し、仮想経路の各々を、仮想経路に直交し原
点Oを通る直線Sの長さX(距離X)、及び前記直線S
とx軸との成す角度θ(傾きθ)によって識別する(仮
想経路(X,θ)と称する)。
【0033】次に図6のフローチャートを参照し、被測
定空間24内の環境状態(本実施形態では温度分布)を
求める場合にホストコンピュータ14で実行される温度
分布演算処理について説明する。
【0034】ステップ100では、被測定空間24の大
きさに基づき、測定に用いる音波の周波数帯域を設定す
る。具体的には、周波数帯域として、スピーカ30が音
波を発生可能でマイクロフォン32が音波を検知可能な
周波数帯域内の値を設定すると共に、被測定空間24の
大きさが大きくなるに従って(すなわち被測定空間12
の中央部を挟んで対向するノード12間の距離が大きく
なるに従って)、周波数帯域が低周波側に偏倚するよう
に設定する。なお、一定の周波数帯域の音波を測定に用
いてもよい。
【0035】次のステップ102では、音波を発生させ
るノード番号を表すカウント値mに1を代入し、ステッ
プ104では、先に設定した周波数帯域も考慮して、ノ
ード番号mのノード12(以下、単にノードmという)
から発生すべき音波の波形を表す波形データを全てのノ
ード12に転送すると共に、ノードmからの音波の発生
時刻を全てのノード12に通知し、更にノードmに対し
ては、通知した発生時刻に音波を発生するよう指示す
る。これにより、ノードmのスピーカ30からは、指示
された時刻に指示された波形の音波が所定の音量で発生
され、発生された音波は、被測定空間24全域に放射さ
れて他のノード12のマイクロフォン32で各々検知さ
れ(図5(A)において、単一の測定対象区間に重ねて
示した放射状の線に相当する測定対象区間の音波の伝搬
時間が各々検知される)、音波の検知時刻が各ノード1
2のメモリ等に各々記憶される。
【0036】ところで本実施形態では、測定対象区間の
音波の伝搬時間を重複して測定しないように(両方向か
ら測定しないように)、音波を発生させるノードmと、
該ノードmから発生された音波を測定するノード(測定
対象ノード)を予め定めており、ホストコンピュータ1
4のROM14Bには、音波を発生させる各ノードにつ
いて、測定対象ノードのノード番号が各々記憶されてい
る。次のステップ106では、ノードmに対応する測定
対象のノード12のノード番号(n1 、n2 、…)を、
ROM14Bから取り込むことによって判断し、次のス
テップ108では、判断したノード番号に基づいて、測
定対象のノード12に対して音波の検知時刻を各々問い
合わせ、測定対象のノード12から送信された音波の検
知時刻を表すデータを各々取り込む。
【0037】ステップ110では、ノードmから音波が
発生された時刻、及び測定対象の所定数のノード12の
各々における音波の検知時刻に基づいて、ノードmのス
ピーカ30から測定対象のノードnのマイクロフォン3
2への音波の伝搬時間tmnを、測定対象のノード12に
ついて各々演算し、RAM14Cに記憶する。次のステ
ップ112では、全ての測定対象区間について音波の伝
搬時間tmnを測定したか否か判定する。判定が否定され
た場合にはステップ114へ移行し、カウント値mの値
を1だけインクリメントしてステップ104に戻る。
【0038】これにより、ステップ112の判定が肯定
される迄の間は、音波を発するノード12を順に切り換
えてステップ104〜114が繰り返され、全ての測定
対象区間について、音波の検知時刻の測定、音波の伝搬
時間tmnの演算が各々行われることになる(所謂ファン
ビーム計測:図5(A)参照)。上記のステップ104
〜114は、各ノードのスピーカ30、マイクロフォン
32、データ処理部38と共に、請求項2に記載の伝搬
時間測定手段(より詳しくは請求項3に記載の伝搬時間
測定手段)に対応している。
【0039】なお、上記では全ての測定対象区間につい
て、音波の伝搬時間を各々1回づつ測定しているが、特
に被測定空間24内でスピーカ30から発する音波以外
の様々な音が発せられている等の場合には、これらの音
が伝搬時間の測定に際してのノイズとなり、音波の伝搬
時間の測定精度が低下する。これを考慮すると、各測定
対象区間について音波の伝搬時間を各々複数回測定し、
複数の測定値の加重平均を音波の伝搬時間tmnとして用
いることが好ましい。
【0040】ステップ112の判定が肯定されるとステ
ップ116に移行し、所定方向に平行な多数の仮想経路
(傾きθが等しい全ての仮想経路)に対応する全ての測
定対象区間(図5(B)において、単一の測定対象区間
に重ねて示した互いに平行な線に相当する区間)の伝搬
時間データtmnを取り込む。次のステップ118では、
予め設定してROM14Bに記憶している伝搬時間推定
区間の長さ(仮想スピーカとノード12の間の長さ
SN、及びノード12と仮想マイクロフォンの間の長さ
NM)を、所定方向に平行な全ての仮想経路について各
々取り込む。
【0041】ステップ120では、被測定空間外が所定
温度の媒質(空気)で満たされていると仮定して、所定
方向に平行な全ての仮想経路(X,θ)について、音波
の伝搬時間の推定値t(X,θ)を各々演算する。伝搬
時間の推定値t(X,θ)は次の(1)式により求める
ことができる。
【0042】 t(X,θ)=(LSN÷v0 )+tmn+(LNM÷v0 ) …(1) 但し、v0 は空気が所定温度のときの音速であり、tm
n、LSN及びLNMは仮想経路(X,θ)に対応する値で
ある。(1)式における第1項及び第3項は、被測定区
間外が一定温度の媒質で満たされていると仮定したとき
の、仮想経路上の被測定空間外の区間(伝搬時間推定区
間)の音波の伝搬時間の推定値に対応しており、ステッ
プ120は請求項2に記載の伝搬時間推定手段に対応し
ている。
【0043】ステップ122では、所定方向に平行な全
ての仮想経路(X,θ)の音波の伝搬時間の推定値t
(X,θ)に基づいて、投影データp(X,θ)を演算
する。投影データp(X,θ)は次の(2)式によって
求めることができる。
【0044】 p(X,θ)=t(X,θ)−(L0 ÷v0 ) …(2) ここで、位置(x,y)における音速をv(x,y)と
し、音速分布f(x,y)を(温度分布は音速分布f
(x,y)から容易に算出できる)、 f(x,y)=(1/v(x,y))−(1/v0 ) …(3) 上記(3)式のように定義(すなわち、被測定空間外で
はf(x,y)=0となる)すると共に、直線S(図4
参照)に沿う方向をX軸、仮想経路に沿う方向をY軸と
する直交座標系X−Y(直交座標系x−yを原点O周り
に角度θだけ回転させた座標系)を定めると、投影デー
タp(X,θ)と音速分布f(x,y)との関係は、仮
想経路(X,θ)が積分区間となり、
【0045】
【数1】
【0046】となる。(4)式に示したように、投影デ
ータp(X,θ)は、仮想経路(X,θ)に沿った音速
分布f(x,y)を投影したものである。前述のステッ
プ122では、(2)式の演算を所定方向に平行な全て
の仮想経路(X,θ)(すなわち、距離Xが異なり傾き
θが等しい全ての仮想経路)について各々行うので、角
度θが同一の投影データp(X,θ)の集合(平行な投
影データ:parallel projection data)が得られること
になる。
【0047】次のステップ124では全ての方向につい
て投影データp(X,θ)を演算したか否か判定する。
判定が否定された場合にはステップ116に戻り、ステ
ップ124の判定が肯定される迄、ステップ116〜1
24を繰り返す。全ての方向について仮想経路(X,
θ)の投影データp(X,θ)の演算を完了すると(な
お全ての方向について仮想経路(X,θ)の投影データ
p(X,θ)を演算することは、一般にラドン(Radon)
変換と称されている)、これらの投影データ(X,θ)
に基づき、フーリエ領域再構成法やフィルタ処理データ
の逆投影法、2次元フィルタリング法等の短時間で演算
可能な演算方法を適用することで、被測定空間24内の
温度分布を演算することが可能となる。
【0048】このため、ステップ124の判定が肯定さ
れるとステップ126へ移行し、先のステップ122に
おいて全ての方向について演算した投影データp(X,
θ)に基づいて、被測定空間24内の温度分布を演算す
る。このステップ126は請求項2に記載の環境状態演
算手段に対応しており、以下では、投影データに基づい
て温度分布を演算する演算方法の一例として、フーリエ
領域再構成法について説明する。
【0049】音速分布f(x,y)の2次元フーリエ変
換をF(u,v)とすると、
【0050】
【数2】
【0051】フーリエ変換は上記(5)式で定義され
る。また、F(u,v)からの2次元フーリエ逆変換
は、
【0052】
【数3】
【0053】上記(6)式で定義される。一方、直交座
標系x−yと直交座標系X−Yとの間には、以下の
(7)式の関係が成り立つ。
【0054】 x=Xcosθ−Ysinθ y=Xsinθ+Ycosθ …(7) (7)式より、音速分布f(x,y)は次の(8)式で
表すことができる。
【0055】 f(x,y)=f(Xcosθ−Ysinθ,Xsinθ+Ycosθ) =f'(X,Y) …(8) なお、f'(X,Y)はf(x,y)を原点O周りに角度
−θだけ回転させることで得られる関数である。(8)
式を用いて(5)式のフーリエ変換の定義式を変数変換
すると、
【0056】
【数4】
【0057】となる。また、空間周波数領域において
も、実領域と同様に、座標系(u,v)に対して原点周
りに角度θだけ回転させることで得られる座標系を座標
系(U,V)とすると、先の(7)式と同様に、 u=Ucosθ−Vsinθ v=Usinθ+Vcosθ …(10) また U=ucosθ+Vsinθ V=−usinθ+vcosθ …(11) の関係があり、(10)式よりF(u,v)は、 F(u,v)=F(Ucosθ−Vsinθ,Usinθ+Vcosθ) =F'(U,V) …(12) と表すことができる。これらの式を(9)式に代入する
ことにより、次の(13)式を得ることができる。
【0058】
【数5】
【0059】(13)式より、実領域において回転した物
体(この場合は音速分布f(x,y))のスペクトルは、
元の物体のスペクトルを同じ角度だけ回転したものと同
じになることがわかる。
【0060】(7)式及び(8)式によれば、投影デー
タp(X,θ)に関する(4)式は次の(14)式のよう
に表すことができる。
【0061】
【数6】
【0062】なお、(14)式では音速分布f(x,
y)、すなわちf'(x,y)が被測定空間外では0であ
るため、積分区間を±∞に拡大している。また、投影デ
ータp(X,θ)のX軸に関するフーリエ変換は、次の
(15)式で表すことができる。
【0063】
【数7】
【0064】(14)式を(15)式に代入すると、次の
(16)式が得られる。
【0065】
【数8】
【0066】(16)式は先の(13)式においてV=0と
したときの式に一致するので、 P(U,θ)=F'(U,0) が成り立つ。
【0067】このように、傾きθが同一の全ての仮想経
路の投影データp(X,θ)に対して、(15)式に従っ
てX軸に関するフーリエ変換(1次元フーリエ変換)を
行った結果P(U,θ)は、音速分布f(x,y)の2
次元フーリエ変換F(u,v)のθ方向成分(フーリエ
変換F(u,v)のu軸に対して角度θだけ傾いた直線
(すなわちU軸)上の値)に等しい(これを2次元断層
定理(projection slice theorem)という)。
【0068】従って、各方向について各々求めた投影デ
ータに対して各々フーリエ変換を行って座標系(u,
v)上に放射状に並べれば、音速分布f(x,y)の2
次元フーリエ変換F(u,v)を得ることができる。そ
して、このF(u,v)に対し、先の(6)式に従って
2次元フーリエ逆変換を行うことにより、音速分布f
(x,y)を求めることができる。
【0069】ステップ126では、まず上記で説明した
フーリエ領域再構成法、或いは公知のフィルタ処理デー
タの逆投影法や2次元フィルタリング法等の短時間で演
算可能な演算方法を適用して投影データp(X,θ)か
ら音速分布f(x,y)を求める。次に、求めた音速分
布f(x,y)から(3)式に基づいて被測定空間24
内の各位置における音速v(x,y)を演算し、音速v
と音波が伝搬する媒体(空気)の温度Tとの関係を表す
次の(17)式に基づき、被測定空間24内における温度
分布T(x,y)を演算する。
【0070】 v= 331.45 + 0.607・T 〔m/秒〕 …(17) 次のステップ128では、上記により得られた被測定空
間24内の温度分布を、例として図7に示すコンターマ
ップ等の形態でディスプレイ18に表示し、処理を終了
する。なお、ディスプレイ18への表示に代えて、被空
調空間24内の空気調和を行う空調装置に対し、被測定
空間24内の温度分布及び湿度分布を表すデータを出力
するようにしてもよい。これにより、空調装置が被測定
空間24に対し、例えば快適性と省エネルギーの双方を
満足する空気調和を行うことも可能となる。
【0071】以上説明したように、本実施形態では、被
測定空間24の周縁部に多数のノード12を設け、仮想
経路上の被測定空間24に重なっている区間(ノード1
2の間の測定対象区間)については、実際に音波を伝搬
させて伝搬時間tmnを測定し、被測定空間24外の区間
(仮想スピーカとノード12の間、及びノード12と仮
想マイクロフォンの間の伝搬時間推定区間)について
は、被測定空間24外の気温が所定温度であると仮定
し、空気が所定温度のときの音速v0 を用いて音波の伝
搬時間を推定し、伝搬時間の推定値t(X,θ)を演算
しているので、被測定空間24外にノード12を多数設
けることなく投影データp(X,θ)を得ることがで
き、この投影データp(X,θ)に基づき、フーリエ領
域再構成法やフィルタ処理データの逆投影法、2次元フ
ィルタリング法等の短時間で演算可能な演算方法を適用
して被測定空間内の環境状態を演算することができる。
従って、環境状態測定装置10の構成を簡単にすること
ができると共に、温度分布の演算に要する時間を短縮す
ることができる。
【0072】なお、上記では音波の伝搬時間の投影デー
タから温度分布を演算していたが、これに限定されるも
のではなく、例えば壁体22の壁面近傍の温度を温度セ
ンサによって測定し、壁面近傍の温度の測定値に基づい
て前記温度分布を補正するようにしてもよい。
【0073】また、上記ではドーム球場等のように床面
が円形の被測定空間24内の環境状態を測定する場合を
例に説明したが、本発明によれば、音波発生手段及び音
波検出手段を被測定空間の周縁部に設けることで被測定
空間内の温度分布を求めることができるので、一例とし
て図8乃至図10にも示すように、任意の形状の空間を
被測定空間として採用して、任意の形状の空間内の温度
分布を求めることができる。なお、図8乃至図10では
ノードを特に示していないが、ノードは、例えば各図に
示した仮想経路と、被測定空間の周縁と、の交点に相当
する箇所に各々配置すればよい。
【0074】また本発明は、例えば図11に示した中央
部が括れている形状等の複雑な形状の空間にも適用可能
である。複雑な形状の空間を被測定空間とする場合に
は、例えば図11に被測定空間A、Bとして示すよう
に、被測定空間を複数の空間に分割し、各空間の周縁部
に各々ノードを配置すると共に、各空間毎に別々に仮想
経路を設定し(図11の仮想経路A、B参照)、各空間
毎に独立に温度分布を演算した後に、前記複数の空間の
境界部において温度分布が滑らかに変化するように、各
空間毎に独立に演算した温度分布を各々補正すればよ
い。これにより、被測定空間が複雑な形状であっても、
該空間の温度分布を求めることができる。
【0075】更に、上記では環境状態として温度分布の
みを演算する場合を例に説明したが、これに限定される
ものではなく、複数種の周波数の音波について減衰量を
各々測定して減衰率分布を求めることにより、被測定空
間内の湿度分布も併せて演算したり、他の環境状態の演
算も行うようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように請求項1及び請求項
2記載の発明は、仮想経路上の被測定空間に重なってい
る区間の音波の伝搬時間を実際に音波を伝搬させて測定
すると共に、被測定空間外の区間の音波の伝搬時間を被
測定区間外が一定温度の媒質で満たされていると仮定し
て推定し、 所定方向に沿った多数の仮想経路の各々の
音波の伝搬時間の推定値に基づき、所定方向についての
音波の伝搬時間の投影データを求めることを、複数の方
向について各々行って被測定空間内の環境状態を演算す
るので、被測定空間内の温度分布等の環境状態を測定す
ることを簡易な構成で実現することができる、という優
れた効果を有する。
【0077】請求項3記載の発明は、請求項2の発明に
おいて、特定のノードの音波発生器から音波を発生さ
せ、該発生した音波を他の複数のノードの音波検出器で
同時に検出することを、音波発生器から音波を発生させ
るノードを切り替えながら繰り返して音波の伝搬時間を
測定するので、上記効果に加え、音波の伝搬時間の測定
に要する時間を短縮することができる、という効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る環境状態測定装置の概略構成
を示すブロック図である。
【図2】ノードの配置を示す被測定空間の平面図であ
る。
【図3】測定対象区間及び伝搬時間推定区間から成る仮
想経路を、被測定空間の平面図に重ねて示す概念図であ
る。
【図4】被測定空間に対して設定した直交座標系x−
y、各仮想経路を識別するための直線Sの距離X及び傾
きθを示す概念図である。
【図5】(A)及び(B)は、伝搬時間データの測定順
序と、伝搬時間データの処理順序と、の関係を示す概念
図である。
【図6】ホストコンピュータで実行される温度分布演算
処理を示すフローチャートである。
【図7】被測定空間内の温度分布の表示例を示すイメー
ジ図である。
【図8】被測定空間の他の例を示す平面図である。
【図9】被測定空間の他の例を示す平面図である。
【図10】被測定空間の他の例を示す平面図である。
【図11】被測定空間の他の例を示す平面図である。
【図12】医療用CT装置の技術を、ドーム球場等の建
築物内の空間の環境状態の測定に用いた場合の問題点を
説明するための、被測定空間の平面図である。
【符号の説明】
10 環境状態測定装置 12 ノード 14 ホストコンピュータ 24 被測定空間 30 スピーカ 32 マイクロフォン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々一定の方向に沿いかつ互いに異なる
    位置で被測定空間を貫く等しい長さの多数の仮想経路
    を、互いに異なる複数の方向について各々設定してお
    き、 前記各仮想経路について、仮想経路上の前記被測定空間
    に重なっている区間の音波の伝搬時間を実際に音波を伝
    搬させて測定し、仮想経路上の被測定空間外の区間の音
    波の伝搬時間を被測定空間外が一定温度の媒質で満たさ
    れていると仮定して推定することにより、仮想経路上を
    音波が伝搬するときの伝搬時間の推定値を各々求め、 所定方向に沿った多数の仮想経路の各々の音波の伝搬時
    間の推定値に基づき、前記所定方向についての音波の伝
    搬時間の投影データを求めることを、前記複数の方向に
    ついて各々行い、 前記複数の方向の各々についての音波の伝搬時間の投影
    データに基づいて被測定空間内の環境状態を演算する環
    境状態測定方法。
  2. 【請求項2】 互いに異なる複数の方向について各々設
    定された、各々一定の方向に沿いかつ互いに異なる位置
    で被測定空間を貫く等しい長さの多数の仮想経路と、前
    記被測定空間の周縁と、の交点に相当する箇所に各々配
    置され、各仮想経路上の被測定空間に重なっている区間
    の音波の伝搬時間を各々測定する伝搬時間測定手段と、 前記各仮想経路について、仮想経路上の被測定空間外の
    区間の音波の伝搬時間を、被測定空間外が一定温度の媒
    質で満たされていると仮定して各々推定する伝搬時間推
    定手段と、 前記伝搬時間測定手段によって測定された伝搬時間及び
    前記伝搬時間推定手段によって推定された伝搬時間から
    求まる各仮想経路を音波が伝搬するときの伝搬時間の推
    定値に基づき、所定方向に沿った多数の仮想経路の各々
    の音波の伝搬時間の推定値から前記所定方向についての
    音波の伝搬時間の投影データを求めることを、前記複数
    の方向について各々行う投影データ演算手段と、 前記複数の方向の各々についての音波の伝搬時間の投影
    データに基づいて被測定空間内の環境状態を演算する環
    境状態演算手段と、 を含む環境状態測定装置。
  3. 【請求項3】 前記伝搬時間測定手段は、音波を発生す
    る音波発生手段、及び到来した音波を検出する音波検出
    手段を備えたノードが、前記交点に相当する多数箇所に
    各々設けられて構成されており、特定のノードの音波発
    生手段から音波を発生させ、該発生した音波を他の複数
    のノードの音波検出手段で同時に検出することを、音波
    発生手段から音波を発生させるノードを切り替えながら
    繰り返すことにより、前記各仮想経路上の被測定空間に
    重なっている区間の音波の伝搬時間を測定することを特
    徴とする請求項2記載の環境状態測定装置。
JP02365498A 1998-02-04 1998-02-04 環境状態測定方法及び装置 Expired - Lifetime JP3699269B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02365498A JP3699269B2 (ja) 1998-02-04 1998-02-04 環境状態測定方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02365498A JP3699269B2 (ja) 1998-02-04 1998-02-04 環境状態測定方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11223563A true JPH11223563A (ja) 1999-08-17
JP3699269B2 JP3699269B2 (ja) 2005-09-28

Family

ID=12116524

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02365498A Expired - Lifetime JP3699269B2 (ja) 1998-02-04 1998-02-04 環境状態測定方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3699269B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001330569A (ja) * 2000-05-23 2001-11-30 Hitachi Kenki Fine Tech Co Ltd 非破壊検査装置
JP2002054999A (ja) * 2000-08-11 2002-02-20 Takenaka Komuten Co Ltd 音波発生検出装置、環境状態測定装置及び方法
DE10051506C2 (de) * 1999-10-21 2003-12-11 Korea Advanced Inst Sci & Tech Verfahren zur optimalen Bestimmung von Sensorpositionen für Schallpyrometrie
CN113899527A (zh) * 2021-12-06 2022-01-07 中国空气动力研究与发展中心低速空气动力研究所 一种试验模型表面温度的修正方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10051506C2 (de) * 1999-10-21 2003-12-11 Korea Advanced Inst Sci & Tech Verfahren zur optimalen Bestimmung von Sensorpositionen für Schallpyrometrie
JP2001330569A (ja) * 2000-05-23 2001-11-30 Hitachi Kenki Fine Tech Co Ltd 非破壊検査装置
JP2002054999A (ja) * 2000-08-11 2002-02-20 Takenaka Komuten Co Ltd 音波発生検出装置、環境状態測定装置及び方法
CN113899527A (zh) * 2021-12-06 2022-01-07 中国空气动力研究与发展中心低速空气动力研究所 一种试验模型表面温度的修正方法
CN113899527B (zh) * 2021-12-06 2022-03-01 中国空气动力研究与发展中心低速空气动力研究所 一种试验模型表面温度的修正方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3699269B2 (ja) 2005-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6193657B1 (en) Image based probe position and orientation detection
Holstein et al. Acoustic tomography on the basis of travel-time measurement
JP4322620B2 (ja) 3次元超音波画像化装置
KR101673579B1 (ko) 이동체의 위치감지장치, 이동체의 위치감지방법, 조명장치, 공조장치, 보안장치, 및 주차장관리장치
EP1682856B1 (en) A method of determining the sound pressure resulting from a surface element of a sound emitting surface
Ginn et al. Noise source identification techniques: simple to advanced applications
JP7258640B2 (ja) 医用情報処理システム及び医用情報処理プログラム
JP3699269B2 (ja) 環境状態測定方法及び装置
Zou et al. A preliminary experimental study on virtual sound barrier system
JP4783873B2 (ja) 環境状態測定装置及び方法
JP3602951B2 (ja) 環境状態測定方法及び装置
CN206563731U (zh) 一种基于三维声强阵列的隔声测量系统
WO2020085312A1 (ja) 超音波診断システム
CN113167660A (zh) 温度测量装置、测量装置、声波接收装置以及程序
Guarato et al. A beam based method for target localization: inspiration from bats' directivity and binaural reception for ultrasonic sonar
Humphreys et al. Application of MEMS microphone array technology to airframe noise measurements
JP3977559B2 (ja) 伝播時間測定方法、環境状態測定方法及び装置
JPH0782347B2 (ja) 能動制御型防音装置
JP2021124439A (ja) 収音データ表示プログラム
Schmitz et al. Merging software for sound reinforcement systems and for room acoustics
JP2812958B2 (ja) 物体認識方式
WO2021241421A1 (ja) 音処理方法、音処理装置、および、音処理プログラム
WO2021199877A1 (ja) 制御システム、制御方法、およびプログラム
WO2021145440A1 (ja) 計測装置、計測方法、及び、プログラム
McKee et al. Beam shape, focus index, and localization error for performance evaluation of a multisensor stethoscope beamformer

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050705

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050707

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090715

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100715

Year of fee payment: 5