JPH11216303A - 脱気用セラミック複合部材並びにそれを用いた脱気方法 - Google Patents

脱気用セラミック複合部材並びにそれを用いた脱気方法

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JPH11216303A
JPH11216303A JP1705398A JP1705398A JPH11216303A JP H11216303 A JPH11216303 A JP H11216303A JP 1705398 A JP1705398 A JP 1705398A JP 1705398 A JP1705398 A JP 1705398A JP H11216303 A JPH11216303 A JP H11216303A
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ceramic
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JP1705398A
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Yoshihiro Yuu
喜裕 由宇
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】気体又は揮発性物質が溶解した液体から、過度
に液体成分を流出させることなく前記気体又は揮発性物
質のみを高いガス透過率を維持したまま、選択的かつ効
率的に分離するのに最適な細孔径特性を有する脱気用セ
ラミック複合部材並びにそれを用いた脱気方法を提供す
る。 【解決手段】多孔質支持体と全細孔容積の内、1nm以
下の細孔径が占める細孔容積が80%以上セラミック層
から成る脱気用セラミック複合部材で、該脱気用セラミ
ック複合部材のセラミック層側に液体あるいは液状物質
を接触させ、該液体あるいは液状物質に溶解している気
体又は揮発性物質を選択的に前記脱気用セラミック複合
部材を透過させてこれを分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体又は揮発性物
質が溶解した液体あるいは液状物質から、該気体又は揮
発性物質を効率良く分離して除去、又は回収するために
適用される脱気用セラミック複合部材並びにそれを用い
た脱気方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から液体あるいは液状物質を使用す
る上で、該液体あるいは液状物質中に溶解している種々
の気体や揮発性物質を分離して除去、又は回収する、い
わゆる脱気する必要のある分野は極めて多岐にわたって
いる。
【0003】例えば、配管や容器、冷却装置等の腐蝕防
止を目的としたボイラーやタービン、原子力発電用等の
真水や海水等の供給水の脱酸素や脱炭酸ガス、上・中水
の赤水防止や貯蔵水の微生物繁殖防止を目的とした水道
水等の脱酸素、酒やビール、ジュースあるいは食用油等
の液状食品の変質防止を目的とした脱酸素、人工透析液
等の医療用脱酸素液の製造、写真現像液等に代表される
液体や液状物質中の気泡の除去及び発生防止、逆浸透膜
への供給液の脱酸素、陰イオン交換樹脂の効果を持続さ
せるためのイオン交換水プロセスの脱酸素や脱炭酸ガ
ス、生菌の発生とシリコンウエハーの酸化防止のための
半導体洗浄用の超純水の脱酸素、電気部品や金属部品の
洗浄用水の脱酸素、分析精度向上のための分析機器関連
の液体あるいは液状物質の脱気等の分野が上げられる。
【0004】特に、半導体洗浄用に使用される超純水
は、生菌の発生を抑えかつシリコンウエハーの酸化を防
ぐため、溶存酸素濃度が厳しく規制されてきたが、昨今
の超LSI製造用の超純水には、溶存酸素濃度が10p
pb以下に超脱気することが必要とされ、その上、地球
環境面からも洗浄用フロンの代替として大量の超純水が
使われるようになり、更に、前記半導体製造関係では超
純水だけでなく、レジスト液のようなウェットプロセシ
ングで用いられるあらゆる液体からの脱気についても厳
しい要求が出されており、ますます効率の良い脱気技
術、とりわけ脱酸素の技術が要求されている。
【0005】このような各種分野における液体あるいは
液状物質からの脱気には、従来から各種物理的脱気法や
化学的脱気法が採用されており、物理的脱気法では加熱
脱気法や真空脱気法、あるいは膜式脱気法が、化学的脱
気法では脱酸素剤注入法やイオン交換樹脂法等が良く知
られている。
【0006】しかしながら、前記加熱脱気法は高温操作
のために危険性が高く、真空脱気法は真空系から液体を
引き出すポンプが必要になる等、いずれも装置が大規模
になるという欠点があり、又、脱酸素剤注入法は、前記
機械的脱気により処理後の残存酸素をヒドラジンや亜硫
酸ナトリウム等の脱酸素剤の化学反応を利用して除去す
るものであるが、毒性の問題もあって主に中高圧ボイラ
ー用に用途が限定されており、更に、イオン交換樹脂法
は再生処理が必要であるという問題がある。
【0007】又、他に高純度の窒素やアルゴンガス等の
不活性ガスで酸素を置換する不活性ガス置換法がある
が、これは実験室規模で適用されるに過ぎないものであ
る。
【0008】従って、工業的には前記物理的脱気法であ
る気体分離機能を有する膜を介して気液界面を大きくし
て減圧側に気体を分離する膜式脱気法が、装置が小型で
処理工程が簡便であること等の優れた特徴から有望視さ
れている。
【0009】かかる膜式脱気法としては、例えば、ポリ
−4−メチルペンテン−1系の高分子材料から成る多孔
質中空糸膜を用いて脱気する方法(特開平2−1073
17号公報参照)や、機械的強度や耐熱性、寸法安定性
等が容易に得られる高分子材料から成る多孔質支持膜上
に、透過選択性に優れた同じく高分子材料から成る非多
孔質活性層を形成した中空糸形状、又はスパイラル形状
の複合膜を用いて脱気する方法(特開平6−33562
3号公報、特開平3−139304公報参照)等が提案
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記多
孔質中空糸膜を用いた脱気法では、一般に、気体又は揮
発性物質の透過速度は速いものの、液体あるいは液状物
質の成分の透過速度に対する気体又は揮発性物質の透過
速度の比、即ち選択率が悪く、液体あるいは液状物質の
成分が膜表面に浸み出してきて操作性が悪くなることか
ら脱気のための減圧度を上げることができず、他方、非
多孔質活性層を有する複合膜では前記選択率は高いもの
の、液体あるいは液状物質中に溶解した気体又は揮発性
物質の透過速度が遅いため脱気効率が悪いという課題が
あった。
【0011】特に、前記半導体製造関係においては、ウ
ェットプロセシングで使用する各種液体から効率的に、
かつ経時的に安定して溶存気体を除去することが可能な
より高精度な脱気用の膜が望まれているが、前記高分子
材料から成る膜では、分離対象物は高分子鎖間隙、いわ
ゆる自由体積孔を透過することになるが、高分子鎖のゆ
らぎ等により自由体積孔のサイズに分布があるため、分
離対象物に対する分画サイズの制御には限界があり、そ
のために従来の有機高分子膜では、それが多孔質膜であ
っても、あるいは非多孔質活性層を有する膜であって
も、液体あるいは液状物質をほとんど通さずかつ高いガ
ス透過率を維持した状態で効率的に前記液体あるいは液
状物質に溶解した気体又は揮発性物質を分離して脱気す
ることは困難であるという課題があった。
【0012】
【発明の目的】本発明は前記課題に鑑み成されたもの
で、その目的は、気体又は揮発性物質が溶解した液体あ
るいは液状物質から、過度に液体あるいは液状成分を流
出させることなく、前記気体又は揮発性物質のみを高い
ガス透過率を維持したまま、効率的に分離するのに好適
な気体分離機能を有する脱気用セラミック複合部材並び
にそれを用いた脱気方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題に
鑑み鋭意研究を重ねた結果、多孔質支持体と微細な細孔
を有するセラミック層とから成るセラミック複合部材に
おいて、セラミック複合部材を構成するセラミック層の
全細孔容積中に占める微細な細孔径の細孔容積が、液体
あるいは液状物質に溶解した気体又は揮発性物質の透過
に大きく関与することを見いだし、優れた脱気特性、即
ち、液体あるいは液状成分をほとんど通さずかつ高いガ
ス透過率を維持した状態で、工業的に大量処理できる効
率的な脱気処理法を実現すべく、前記セラミック層の細
孔径分布と液体あるいは液状物質に溶解した気体又は揮
発性物質の分離性能との関係について検討し、本発明に
至った。
【0014】即ち、本発明の脱気用セラミック複合部材
は、多孔質支持体とセラミック層で構成され、該セラミ
ック層が全細孔容積の内、1nm以下の細孔径が占める
細孔容積が80%以上であることを特徴とするものであ
る。
【0015】また、本発明の脱気用セラミック複合部材
は、前記多孔質支持体とセラミック層との間には、平均
細孔径が多孔質支持体のそれより小さく、かつセラミッ
ク層のそれより大きい中間層を介在させたものであるこ
と、前記中間層はγ−アルミナ(Al2 3 )より成る
ものであること、更に、前記多孔質支持体が管状体であ
ること、前記セラミック層がシリカ(SiO2 )を主成
分とする金属酸化物で構成されていることが、脱気特性
上、より望ましいものである。
【0016】又、本発明の脱気方法は、多孔質支持体と
1nm以下の細孔径が全細孔容積の80%以上の細孔容
積を占めるセラミック層とから成る脱気用セラミック複
合部材を用い、該脱気用セラミック複合部材のセラミッ
ク層側に液体あるいは液状物質を接触させ、該液体ある
いは液状物質に溶解している気体又は揮発性物質を選択
的に前記脱気用セラミック複合部材を透過させてこれを
分離することを特徴とするものである。
【0017】特に、本発明の脱気方法に用いる脱気用セ
ラミック複合部材は、該脱気用セラミック複合部材を構
成する多孔質支持体とセラミック層との間に、平均細孔
径が前記多孔質支持体の平均細孔径より小さく、かつセ
ラミック層の平均細孔径より大きい中間層を介在させた
ものが望ましく、前記中間層はγ−アルミナ(Al2
3 )より成るものであること、更に、前記多孔質支持体
は管状体であること、前記セラミック層がシリカ(Si
2 )を主成分とする金属酸化物で構成されているもの
であることがより好ましい。
【0018】
【作用】本発明の脱気用セラミック複合部材並びにそれ
を用いた脱気方法は、脱気用セラミック複合部材を構成
するセラミック層が、1nm以下の細孔径の細孔容積が
全細孔容積中の80%以上を占めていることから、気体
分子は細孔内を自由拡散できず、細孔の壁面と相互作用
を持ちながら移動する表面拡散、及び気体分子の大きさ
による分離、いわゆる分子篩い機構による透過速度の違
いも出てくる。
【0019】従って、気体又は揮発性物質が溶解した液
体あるいは液状物質を脱気用セラミック複合部材により
隔てて反対側を減圧すると、その液体あるいは液状物質
に溶解していた気体又は揮発性物質の構成分子は、その
分子サイズと表面拡散能によりセラミック層の細孔内を
透過する。
【0020】一方、液体あるいは液状物質の構成分子
は、例えその温度で沸騰するのに十分な減圧下で処理し
たとしても、細孔内で沸騰せずに溶解している気体又は
揮発性物質の構成分子と同様、その分子サイズと表面拡
散能に従ってセラミック層の細孔内を透過するため、過
度に液体あるいは液状物質の成分を流出させることな
く、効率的に前記気体又は気化物質を透過させることが
できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の脱気用セラミック
複合部材並びにそれを用いた脱気方法について詳述す
る。
【0022】本発明の脱気用セラミック複合部材は、セ
ラミック層の全細孔容積中の80%以上の細孔容積が1
nm以下の細孔径で占めるものと多孔質支持体とで構成
されるものであり、前記セラミック層の1nm以下の細
孔径が占める細孔容積が、全細孔容積の80%未満であ
ると、前記セラミック層の細孔内を透過する液体又は液
状物質の分子の量が多くなることから脱気効率が低下
し、時には脱気用セラミック複合部材表面に液体又は液
状物質が凝縮してほとんど脱気されなくなるためであ
る。
【0023】本発明において、セラミック層は、アルミ
ナやチタニア、ジルコニア、シリカ、分相ガラス、ゼオ
ライト、シリカライトから成るもので、又、それらの複
合物から成るものであっても良い。
【0024】なかでもシリカを主成分とする金属酸化物
は、作製条件によって十分の数nmから数nmオーダの
細孔を形成することができるためガス分離膜として機能
し、かつ種々の添加剤と組み合わせることで表面拡散能
を変化させることができることから特に好ましい。
【0025】前記シリカを主成分とする金属酸化物から
成るセラミック層の場合、得られるシリカ系の層の細孔
構造は、シリカゾルの出発原料の種類や添加物の種類、
添加量、ゾルゲル反応条件、コーティング条件、熱処理
条件等の設定により異なってくるが、少なくとも多孔質
支持体上に被覆後のゲル膜の熱処理は、350℃以上6
00℃以下の温度で行う必要がある。
【0026】これは、前記熱処理温度が350℃より低
いと、シロキサン結合が十分に発達せず、活性な官能基
が残存するために分離特性の経時的な劣化が起こり、逆
に600℃より高いと焼結が進んで細孔構造が消失又は
極めて小さくなり、通常、液体あるいは液状物質から脱
気する気体としての酸素(O2 )や窒素(N2 )、二酸
化炭素(CO2 )等に対して、あるいはその他の揮発性
物質に対してほとんど機能しなくなるからである。
【0027】前記シリカを主成分とする金属酸化物から
成るセラミック層を形成する方法としては、ゾルゲルデ
ィッピング法による作製法が好適であり、例えば、直
接、α−アルミナ多孔質支持体上に表面欠陥のないシリ
カ系のセラミック層を形成するには、該α−アルミナ多
孔質支持体表面のα−アルミナ粒子が覆い隠されるまで
繰り返しディップコートする必要があり、用いる金属酸
化物のゾル濃度やコーティング条件により異なるが、通
常、十数回のディッピングを必要とする。
【0028】次に、本発明の多孔質支持体は、素材とし
てはα−アルミナや安定化ジルコニア、分相ガラス等が
適用可能であり、前記素材から成る多孔質支持体は、ガ
ス透過の圧力損失を可能な限り低くするためには20%
以上の気孔率を、又、脱気用セラミック複合部材の集合
体を組み立てる際に破損したり、脱気操作中に多孔質支
持体構成粒子の脱粒が起こらないよう支持体の強度を確
保するためには40%以下の気孔率を有するものである
ことが望ましい。
【0029】また、本発明の多孔質支持体の形状形態
は、特に限定されるものではなく、平板状や中空状の構
造体、管状体等のいずれでも良いが、脱気効率や前記集
合体としての取り扱い易さからは管状体が望ましく、
又、かかる管状体は押し出し成形法等により、比較的、
簡単に作製できるというメリットがある。
【0030】更に、前記多孔質支持体を管状体で構成す
る場合には、管状体を数十本から数百本束ねて集合体に
組み立てた時に膜面積が十分大きくなるようにするた
め、該管状体の外径は可能な限り小さい方がよいが、強
度との兼ね合いからは2〜5mmが好適である。
【0031】一方、本発明の中間層とは、その平均細孔
径が多孔質支持体とセラミック層の平均細孔径の中間の
値を示すもので、前記多孔質支持体及びセラミック層と
反応せず、多孔質支持体の表面を層状に覆い平滑な表面
を形成するものであれば、その材質は問わないが、予め
多孔質支持体上に中間層を被覆しておくことにより多孔
質支持体の表面粗さが改善されるため、前記シリカをは
じめとする金属酸化物から成るセラミック層をより薄
く、被覆回数を少なくして被覆でき、気体又は揮発性物
質の透過抵抗が小さくなることから、最終的に気体又は
揮発性物質の透過率が向上することになる。
【0032】即ち、前記中間層を介在させずに直接、多
孔質支持体上に前記セラミック層を形成した場合に比べ
て、中間層を介在させた場合にはセラミック層の厚さが
薄くなり気体又は揮発性物質の透過率は増加してより好
ましくなる。
【0033】かかる中間層として、例えば、多孔質支持
体としてα−アルミナを選んだ場合、中間層としてはγ
−アルミナが好適であり、かかるγ−アルミナから成る
中間層はベーマイトゾルをコーティングした後、400
〜900℃の温度で熱処理することにより形成できるも
のである。
【0034】又、特に管状構造をした多孔質支持体の表
面に、シリカを主成分とする金属酸化物から成るセラミ
ック層を、直接、もしくは中間層を介して被覆したセラ
ミック複合部材は、脱気用部材として最適である。
【0035】かくして得られた脱気用セラミック複合部
材は、例えば、50本束ねてケース内に熱硬化性樹脂で
固定し、特に、前記複合部材を介してセラミック層側に
液体あるいは液状物質を流しながら、脱気用セラミック
複合部材の反対側を減圧することにより、該液体あるい
は液状物質に溶解している気体又は揮発性物質の脱気を
行うのに好適なものである。
【0036】本発明の脱気方法は、セラミック層の全細
孔容積中の80%以上の細孔容積が1nm以下の細孔径
で占めるものと多孔質支持体とで構成される脱気用セラ
ミック複合部材を介して、液体又は液状物質に溶解して
いる気体又は揮発性物質を脱気する方法であって、脱気
する液体又は液状物質を前記セラミック層側に接触さ
せ、多孔質支持体側に気体又は揮発性物質を選択的に透
過させて分離することを特徴とするものである。
【0037】従って、本発明の脱気方法では、脱気用セ
ラミック複合部材の片側に液体又は液状物質を接触さ
せ、他方の側を減圧したり、脱気する気体又は揮発性物
質以外のものを流したり、更には脱気する気体又は揮発
性物質を溶解していない液体又は液状物質を流したり、
あるいは脱気する気体又は揮発性物質の吸着剤を充填し
たりする各種方法を採用し得るが、液体又は液状物質を
接触させるのはセラミック層側であることが肝要であ
る。
【0038】即ち、本発明の脱気用セラミック複合部材
では、液体あるいは液状物質を従来の多孔質支持体側に
流し、微細孔を有するセラミック層側から減圧する方法
で脱気した場合、気体又は揮発性物質は多孔質支持体を
構成している粒子間を拡散し、セラミック層に到達した
液体あるいは液状物質のみが脱気され、未処理の液体あ
るいは液状物質を脱気するためには脱気された液体ある
いは液状物質が再び粒子間に拡散して多孔質支持体の外
部へ出ることが必要となる。
【0039】しかし、前記液体あるいは液状物質の流れ
方向は、前記拡散方向とは直角方向であることから、流
速の制御により前記拡散を推進させることが困難であ
り、未処理の液体あるいは液状物質を効率的に脱気する
ことができない。
【0040】それに対して、液体あるいは液状物質を微
細孔を有するセラミック層側に流し、多孔質支持体側か
ら減圧する本発明の脱気方法では、セラミック層表面で
脱気された液体あるいは液状物質が速やかに未処理の液
体あるいは液状物質と交換されるため、液体あるいは液
状物質の圧力損失を少なくでき大量の溶液を脱気処理す
るのに適している。
【0041】但し、その際、液体あるいは液状物質が、
集合体の個々の脱気用セラミック複合部材に接触できる
よう、隣合う脱気用セラミック複合部材の間隔は少なく
とも0.5mm以上あけておくことが必要である。
【0042】又、本発明の脱気用セラミック複合部材に
おいて、平板状や中空状の構造体、管状体等を成す形状
でセラミック層がそれらの表面に形成されておれば、そ
れが内側や外側、あるいは多層構造であっても何ら問題
はなく、多孔質支持体側からセラミック層側にかけてそ
れぞれの平均細孔径が順次、小さくなるように配置され
ておれば、前記同様な脱気を行うことができる。
【0043】又、本発明の脱気用セラミック複合部材
は、従来の有機高分子膜に比べて高い強度と耐薬品性に
優れているが故に、種々の条件下での脱気が可能とな
り、例えば、純水からの脱気は勿論のこと、酸や塩基性
水溶液、あるいはイソプロピルアルコール等の有機溶媒
からの脱気や、水に溶解した微量のアルコールや芳香族
化合物の除去に対しても、特性劣化することなく安定し
て用いることができ、更に、高粘性の各種溶液に対して
も、該溶液を加圧することで効率的な脱気が可能であ
る。
【0044】
【実施例】以下、本発明の脱気用セラミック複合部材並
びにそれを用いた脱気方法について、その一例を詳述す
る。
【0045】(実施例1)本発明を評価するに際し、先
ず、テトラエトキシシラン20.8g(0.1モル)
に、塩化水素0.007モルを含む水18g(1モル)
とエタノール184.3g(4モル)の混合物を滴下し
て加水分解し、シリカ(SiO2 )を主成分とするゾル
を作製した。
【0046】次に、得られたゾルに外径が3mm、厚さ
が0.4mm、長さが250mmで気孔率が39%であ
るα−アルミナ(Al2 3 )多孔質管を30秒間浸漬
し、5mm/秒の速度で引き上げ、室温で1時間乾燥し
た後、500℃で焼成する一連の作業工程を15回繰り
返し、厚さ3μmのシリカ(SiO2 )を主成分とする
金属酸化物より成るセラミック層を被着したセラミック
複合管を作製した。
【0047】一方、前記セラミック層を被着した時と同
様にして作製したシリカ(SiO2)粉体について、ア
ルゴン吸着法による細孔径分布測定を行ったところ、図
1に示すように1nm以下の細孔径が全細孔容積中、8
0%の細孔容積を占めていることが分かった。
【0048】次に、前記セラミック複合管を50本用意
し、その両端をポリウレタン樹脂で束ねて図2に示すよ
うな試験装置のケース2内に装着すると共に、セラミッ
ク複合管3を樹脂封止部4、5でポリウレタン樹脂を用
いて封止し、評価用の脱気装置1を作製した。
【0049】尚、前記セラミック複合管3の有効長さは
220mmで、その集合体の有効膜面積は0.10m2
であった。
【0050】評価は、前記脱気装置1の原液導入口6よ
り溶存酸素濃度が8ppmの純水を0.5リットル/分
の流速で流し、セラミック複合管3の内側に通じる吸引
口7、8を真空ポンプで150torrに減圧して脱気
した。
【0051】この時、処理液排出口9より排出された純
水の溶存酸素量を測定したところ2.0ppmであり、
更に、100時間連続運転しても特性及びセラミック複
合管の外観に変化は認められなかった。
【0052】(実施例2)水を9g(0.5モル)とエ
タノールを460.8g(10モル)に変更した以外は
実施例1の加水分解条件及びセラミック層の被着形成条
件件と全く同一条件で作製したシリカ(SiO2 )を主
成分とする金属酸化物から成るセラミック層を有するセ
ラミック複合管を作製した。
【0053】尚、前記シリカ(SiO2 )を主成分とす
る金属酸化物の粉体について、アルゴン吸着法による細
孔径分布測定を行ったところ、図1に示すように1nm
以下の細孔径が全細孔容積中、95%の細孔容積を占め
ていた。
【0054】次に、実施例1と同様にして評価用の脱気
装置を組立て、実施例1と同一条件で評価したところ、
純水の溶存酸素量は2.5ppmであり、更に100時
間連続運転しても特性及びセラミック複合管の外観に
は、実施例1と同様に変化は認められなかった。
【0055】(実施例3)実施例1のα−アルミナ(A
2 3 )多孔質管の表面に、厚さ2μmのγ−アルミ
ナ(Al2 3 )中間層を被覆した多孔質支持体を用
い、シリカゾルを5回繰り返し被覆する以外は、実施例
1と全く同一条件でセラミック複合管を作製した。
【0056】得られたセラミック複合管のシリカ(Si
2 )を主成分とする金属酸化物より成るセラミック層
は、厚さが0.3μmで、細孔径分布は図1に示すよう
に1nm以下の細孔径が全細孔容積中、90%の細孔容
積を占めるものであった。
【0057】次いで、実施例1と同様にして評価用の脱
気装置を組立て、実施例1と同一条件で評価したとこ
ろ、純水の溶存酸素量は2.0ppmであり、100時
間連続運転しても特性及びセラミック複合管の外観に変
化は認められなかった。
【0058】(比較例)一方、ポリ−4−メチルペンテ
ン−1を主成分とする外径が350μm、内径が260
μm、平均細孔径が0.06μmの多孔質中空糸を用い
て実施例1と同様の評価用の脱気装置を組立てた。
【0059】尚、前記多孔質中空糸の有効長さは220
mmで、その集合体の有効膜面積は0.12m2 であっ
た。
【0060】実施例1と同様にして溶存酸素濃度が8p
pmの純水を0.5リットル/分の流速で流し、多孔質
中空糸の内側に通じる吸引口を真空ポンプで150to
rrに減圧して処理液排出口より排出された純水の溶存
酸素量を測定したところ5.5ppmであり、更に、5
時間連続運転したところ、吸引口に水滴が認められた。
【0061】
【発明の効果】叙上の如く、本発明の脱気用セラミック
複合部材並びにそれを用いた脱気方法は、脱気用セラミ
ック複合部材として、多孔質支持体と1nm以下の細孔
径が全細孔容積の80%以上の細孔容積を占めるセラミ
ック層とから成り、かかる脱気用セラミック複合部材の
セラミック層側に液体あるいは液状物質を接触させ、該
液体あるいは液状物質に溶解している気体又は揮発性物
質を選択的に前記脱気用セラミック複合部材を透過させ
て前記気体又は揮発性物質を分離することから、気体又
は揮発性物質が溶解した液体あるいは液状物質から、液
体あるいは液状成分の浸み出しを極力少なくして、目的
とする気体又は揮発性物質のみを高いガス透過率を維持
したまま選択的に、かつ効率的に分離できる脱気用セラ
ミック複合部材並びにそれを用いた脱気方法を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルゴン吸着法で測定したセラミック層を形成
するシリカ粉体の細孔径分布を示す図である。
【図2】本発明の脱気用セラミック複合部材を組み込ん
だ評価用の脱気装置の概要を示す断面図である。
【符号の説明】
1 脱気装置 2 ケース 3 セラミック複合管 4、5 樹脂封止部 6 原液導入口 7、8 吸引口 9 処理液排出口

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質支持体と1nm以下の細孔径が全細
    孔容積の80%以上の細孔容積を占めるセラミック層と
    から成る脱気用セラミック複合部材。
  2. 【請求項2】前記多孔質支持体とセラミック層との間
    に、平均細孔径が前記多孔質支持体の平均細孔径より小
    さく、かつセラミック層の平均細孔径より大きい中間層
    を介在させることを特徴とする請求項1に記載の脱気用
    セラミック複合部材。
  3. 【請求項3】前記中間層が、γ−アルミナ(Al
    2 3 )より成ることを特徴とする請求項2に記載の脱
    気用セラミック複合部材。
  4. 【請求項4】前記多孔質支持体が、管状体であることを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の脱気用セ
    ラミック複合部材。
  5. 【請求項5】前記セラミック層が、シリカ(SiO2
    を主成分とする金属酸化物より成ることを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれかに記載の脱気用セラミック複合
    部材。
  6. 【請求項6】多孔質支持体と1nm以下の細孔径が全細
    孔容積の80%以上の細孔容積を占めるセラミック層と
    から成る脱気用セラミック複合部材のセラミック層側に
    液体あるいは液状物質を接触させ、該液体あるいは液状
    物質に溶解している気体又は揮発性物質を選択的に前記
    脱気用セラミック複合部材を透過させて前記気体又は揮
    発性物質を分離することを特徴とする脱気方法。
  7. 【請求項7】前記脱気用セラミック複合部材が、多孔質
    支持体とセラミック層との間に、平均細孔径が前記多孔
    質支持体の平均細孔径より小さく、かつセラミック層の
    平均細孔径より大きい中間層を介在していることを特徴
    とする請求項6に記載の脱気方法。
  8. 【請求項8】前記中間層が、γ−アルミナ(Al
    2 3 )より成ることを特徴とする請求項7に記載の脱
    気方法。
  9. 【請求項9】前記脱気用セラミック複合部材を構成する
    多孔質支持体が、管状体であることを特徴とする請求項
    6乃至8のいずれかに記載の脱気方法。
  10. 【請求項10】前記脱気用セラミック複合部材を構成す
    るセラミック層が、シリカ(SiO2 )を主成分とする
    金属酸化物より成ることを特徴とする請求項6乃至9の
    いずれかに記載の脱気方法。
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