JPH1121469A - 無機化合物の製造方法 - Google Patents

無機化合物の製造方法

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JPH1121469A
JPH1121469A JP9195002A JP19500297A JPH1121469A JP H1121469 A JPH1121469 A JP H1121469A JP 9195002 A JP9195002 A JP 9195002A JP 19500297 A JP19500297 A JP 19500297A JP H1121469 A JPH1121469 A JP H1121469A
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JP
Japan
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inorganic compound
bipyridyl
phosphoric acid
diphosphate
complex
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Application number
JP9195002A
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English (en)
Inventor
Shozo Yanagida
祥三 柳田
Yuji Wada
雄二 和田
Takashi Murakoshi
敬 村越
Kitsusan Kin
吉山 金
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Original Assignee
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機溶媒中において分散安定性が長期間に渡っ
て保持される、優れた酸化チタンを得る。 【解決手段】酸化チタンの粒子表面に存在する水酸基
と、リン酸の水素原子の内、1つないし2つをアルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ
アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、ア
ルコキシカルボニル基等の有機基で置換したリン酸エス
テルまたはその塩とを反応させて、該酸化チタンの粒子
表面を修飾させる。 【効果】前記のリン酸エステルまたはその塩が酸化チタ
ンの粒子表面に強固に結合して脱離し難いため、有機溶
媒中において分散安定性が長期間に渡って保持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機化合物の粒子表面
を有機分子で修飾して成る無機化合物の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】無機化合物は顔料、紫外線吸収剤、装飾
用材料、触媒、光触媒、触媒担体、吸着剤、脱臭剤、バ
イオリアクター、充填剤、光学材料、電子・電気材料、
光電変換材料など種々の用途に用いられているが、充填
性などを高めるために、無機化合物を有機溶媒中で均一
に分散させてから用いる場合が多い。しかながら、無機
化合物は元来、その粒子表面に水酸基が多く存在するた
め、親水性を有しており、有機溶媒中では粒子同士が凝
集し易く分散安定性が極めて悪い。このため、有機溶媒
中での分散安定性を改善するために、酢酸、トリフルオ
ロ酢酸、安息香酸などの有機カルボン酸またはヘキシル
アミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミンなどのア
ルキルアミンを無機化合物の粒子表面の水酸基などと反
応させて、該無機化合物の粒子表面を修飾する方法が提
案されている(日本化学会誌、1982、(7)、P1
141〜1146)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術の方法で
は、分散安定性は若干改善されるものの、修飾された物
質が無機化合物の粒子表面から脱離し有機溶媒に溶解し
てしまうため、充分な分散安定性が得られず、無機化合
物粒子同士が凝集してしまうなどの問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、無機化合
物粒子の分散安定性を改善するために種々検討した結
果、無機化合物の粒子表面に存在する水酸基と、一般式
(I);
【化2】 で表されるリン酸エステルまたはその塩とを反応させ
て、該無機化合物の粒子表面を該リン酸エステルまたは
その塩で修飾させると、リン酸エステルまたはその塩が
無機化合物の粒子表面に強固に結合し脱離し難いため、
長期間に渡って分散安定性に優れていることなどを見出
し、本発明を完成した。すなわち本発明は、有機溶媒中
での分散安定性に優れた無機化合物を提供することにあ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、無機化合物の粒子表面
に存在する水酸基と、一般式(I);
【化3】 で表されるリン酸エステルまたはその塩とを反応させ
て、該無機化合物の粒子表面を該リン酸エステルまたは
その塩で修飾し処理する。本発明において、無機化合物
は酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜
鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化タングステン、チタン酸バ
リウム、硫酸バリウム、リン酸アルミニウム、硫化モリ
ブデン、硫化カドミウム、活性炭など種々の無機化合物
を用いることができる。前記の無機化合物は公知の方法
により得られ、その粒子径は、1〜1000nm、特に
3〜500nmの範囲が適当である。本発明において
は、公知の方法によって得た無機化合物を常圧下、減圧
下、あるいは加圧下、乾燥あるいは焼成などの処理を行
ってもよい。
【0006】本発明は高度の分散安定性が要求される無
機酸化物などの無機化合物、特に、酸化チタンへの適用
が好ましい。より好ましくは、ナノサイズ酸化チタン微
粒子への適用であり、さらに好ましくは、1〜100n
mの平均粒子径を有する微粒子酸化チタンへの適用であ
る。このようなナノサイズ酸化チタン微粒子にリン酸エ
ステル化された有機色素を表面修飾させることにより、
有機色素が有する可視光を吸収する性質を利用して、集
光と光電荷分離を効率よく行うことにより効率の高い金
属酸化物系太陽電池を開発することができる。本発明に
おいて、酸化チタンとは、酸化チタンのほか、含水酸化
チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン
酸、水酸化チタンなどと一般に呼ばれているものを含
み、その結晶系は問わない。このような酸化チタンは、
硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、有機チタ
ン化合物などのチタン化合物を、必要に応じて核形成用
種子の存在下に、加水分解する方法、必要に応じて核
形成用種子の存在下に、硫酸チタン、硫酸チタニル、四
塩化チタン、有機チタンなどのチタン化合物にアルカリ
を添加して中和する方法、四塩化チタン、有機チタン
化合物などを気相酸化する方法、前記、の方法で
得られたものを焼成する方法などによって得ることがで
きる。
【0007】本発明において、一般式(I);
【化4】 で表されるリン酸エステルは、リン酸の水素原子の内、
1つないし2つをアルキル基、アルケニル基、アルキニ
ル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、
アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基等の有
機基で置換した化合物である。アルキル基、アルコキシ
基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基の
アルキル部分としては、メチル、エチル、プロピル、ブ
チル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル、テトラデシル、ペンタデシル、オクタデシ
ル、ノナデシルなどのC1 〜C 20 のものが挙げられ
る。アルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブ
テニルなどのC1 〜C 20 のものが挙げられる。アルキ
ニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニルなど
のC1 〜C 20 のものが挙げられる。なお、以上の有機
基は直鎖のみならず、枝分かれ脂肪鎖であってもよい。
アリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリ
ル、フェナントリル、トリル、キシリル、ビフェニルな
どが挙げられる。ヘテロアリール基としては、ピリジ
ル、ピリミジル、フラニル、チオニル、チエニル、チア
ゾニル、キノリニルなどが挙げられる。また1,1´−
ビナフチル−2,2´−ジイルハイドロゲンフォスフェ
イトのように、R1 、R2 が一緒になって環を形成して
もよい。さらに、リン酸エステルとしては、可視光を吸
収する性質を有する有機色素をリン酸エステル化したも
のを用いることができる。リン酸エステル化された有機
色素としては、ジチオシアネート−ビス(2,2´−ビ
ピリジル−4,4´−ジフォスフェイト)ルテニウム
(II)錯体、ジシアノ−ビス(2,2´−ビピリジル
−4,4´−ジフォスフェイト)ルテニウム(II)錯
体、(4,4´−ジメチル−2,2´−ビピリジル)
(2,2´:6´,2´´−ターピリジル−4´−フォ
スフェイト)チオシアネートルテニウム(II)錯体、
2,2´−ビピリジル−ビス(2,2´−ビピリジル−
4,4´−ジフォスフェイト)ルテニウム(II)錯
体、4,4´−ジメチル−ビス(2,2´−ビピリジル
−4,4´−ジフォスフェイト)ルテニウム(II)錯
体、4,4´−ビフェニル−ビス(2,2´−ビピリジ
ル−4,4´−ジフォスフェイト)ルテニウム(II)
錯体、4,4´−ジメトキシ−ビス(2,2´−ビピリ
ジル−4,4´−ジフォスフェイト)ルテニウム(I
I)錯体、トリス(2,2´−ビピリジル−4,4´−
ジフォスフェイト)ルテニウム(II)錯体、2,2´
−ビピリジル−4,4´−ジフォスフェイト−ビス
(4,4´−ビフェニル−2,2´−ビピリジル)ルテ
ニウム(II)錯体、2,2´−ビピリジル−4,4´
−ジフォスフェイト−ビス(2,2´−ビピリジル)ル
テニウム(II)錯体、2,2´−ビピリジル−4,4
´−ジフォスフェイト−ビス(4,4´−ジメチル−
2,2´−ビピリジル)ルテニウム(II)錯体、2,
2´−ビピリジル−4,4´−ジフォスフェイト−ビス
(4,4´−ジメトキシ−2,2´−ビピリジル)ルテ
ニウム(II)錯体、ジクロロ−ビス(2,2´−ビピ
リジル−4,4´−ジフォスフェイト)ルテニウム(I
I)錯体、ジチオシアネート−ビス(2,2´−ビピリ
ジル−4,4´−ジフォスフェイト)オスミウム(I
I)錯体、ジシアノ−ビス(2,2´−ビピリジル−
4,4´−ジフォスフェイト)オスミウム(II)錯
体、(4,4´−ジメチル−2,2´−ビピリジル)
(2,2´:6´,2´´−ターピリジル−4´−フォ
スフェイト)チオシアネートオスミウム(II)錯体、
2,2´−ビピリジル−ビス(2,2´−ビピリジル−
4,4´−ジフォスフェイト)オスミウム(II)錯
体、4,4´−ジメチル−ビス(2,2´−ビピリジル
−4,4´−ジフォスフェイト)オスミウム(II)錯
体、4,4´−ビフェニル−ビス(2,2´−ビピリジ
ル−4,4´−ジフォスフェイト)オスミウム(II)
錯体、4,4´−ジメトキシ−ビス(2,2´−ビピリ
ジル−4,4´−ジフォスフェイト)オスミウム(I
I)錯体、トリス(2,2´−ビピリジル−4,4´−
ジフォスフェイト)オスミウム(II)錯体、2,2´
−ビピリジル−4,4´−ジフォスフェイト−ビス
(4,4´−ビフェニル−2,2´−ビピリジル)オス
ミウム(II)錯体、2,2´−ビピリジル−4,4´
−ジフォスフェイト−ビス(2,2´−ビピリジル)オ
スミウム(II)錯体、2,2´−ビピリジル−4,4
´−ジフォスフェイト−ビス(4,4´−ジメチル−
2,2´−ビピリジル)オスミウム(II)錯体、2,
2´−ビピリジル−4,4´−ジフォスフェイト−ビス
(4,4´−ジメトキシ−2,2´−ビピリジル)オス
ミウム(II)錯体、ジクロロ−ビス(2,2´−ビピ
リジル−4,4´−ジフォスフェイト)オスミウム(I
I)錯体、ジチオシアネート−ビス(2,2´−ビピリ
ジル−4,4´−ジフォスフェイト)鉄(II)錯体、
ジシアノ−ビス(2,2´−ビピリジル−4,4´−ジ
フォスフェイト)鉄(II)錯体、(4,4´−ジメチ
ル−2,2´−ビピリジル)(2,2´:6´,2´´
−ターピリジル−4´−フォスフェイト)チオシアネー
ト鉄(II)錯体、2,2´−ビピリジル−ビス(2,
2´−ビピリジル−4,4´−ジフォスフェイト)鉄
(II)錯体、4,4´−ジメチル−ビス(2,2´−
ビピリジル−4,4´−ジフォスフェイト)鉄(II)
錯体、4,4´−ビフェニル−ビス(2,2´−ビピリ
ジル−4,4´−ジフォスフェイト)鉄(II)錯体、
4,4´−ジメトキシ−ビス(2,2´−ビピリジル−
4,4´−ジフォスフェイト)鉄(II)錯体、トリス
(2,2´−ビピリジル−4,4´−ジフォスフェイ
ト)鉄(II)錯体、2,2´−ビピリジル−4,4´
−ジフォスフェイト−ビス(4,4´−ビフェニル−
2,2´−ビピリジル)鉄(II)錯体、2,2´−ビ
ピリジル−4,4´−ジフォスフェイト−ビス(2,2
´−ビピリジル)鉄(II)錯体、2,2´−ビピリジ
ル−4,4´−ジフォスフェイト−ビス(4,4´−ジ
メチル−2,2´−ビピリジル)鉄(II)錯体、2,
2´−ビピリジル−4,4´−ジフォスフェイト−ビス
(4,4´−ジメトキシ−2,2´−ビピリジル)鉄
(II)錯体、ジクロロ−ビス(2,2´−ビピリジル
−4,4´−ジフォスフェイト)鉄(II)錯体などが
挙げられる。このようなリン酸エステル化した有機色素
を用いると、集光と光電荷分離を効率よく行うことがで
き、より効率の高い金属酸化物系太陽電池を開発するこ
とができるため好ましい。りん酸エステルの塩とは、リ
ン酸の水素原子の内、1つないし2つをアルカリ金属、
アルカリ土類金属で置換したものであり、たとえば、リ
ン酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウ
ム塩、カルシウム塩などを用いることができる。リン酸
エステルまたはその塩の修飾量は適宜設定できるが、無
機化合物の重量基準に対して0.1〜20重量%が適当
である。
【0008】本発明は、たとえば、前記の無機化合物を
溶媒中に分散させた分散液に前記のリン酸エステルまた
はその塩を添加したり、リン酸エステルまたはその塩を
存在させた溶媒を無機化合物に添加したり、無機化合物
の分散液とリン酸エステルまたはその塩を存在させた溶
媒とを混合させたりして、前記の無機化合物の粒子表面
に存在する水酸基と前記のリン酸エステルまたはその塩
とを反応させる。前記の溶媒としては、水やアセトニト
リル、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホル
ムアミドなどの極性溶媒が好ましい。反応の温度は適宜
設定できるが、室温から使用する溶媒の沸点までの温度
が適当である。前記の無機化合物分散液を調製する場合
には、分散剤を添加したり、湿式粉砕したり、分級処理
したりして、できるだけ無機化合物の単一粒子に近い粒
子径に調整するのが好ましい。また、無機化合物分散液
の濃度は50〜1200g/l程度が好ましい。次に、
上記反応生成物を分散液から分別し、必要に応じて洗浄
し、乾燥する。
【0009】
【実施例】
【0010】実施例1 酸化チタン(デグッサ社製、P−25、粒子径20〜3
0nm)500mgを250℃の温度で1時間減圧乾燥
した後、アルゴン雰囲気下、フェニルリン酸0.358
mmolを含むアセトニトリル50mlを添加し、室温
で10分間攪拌した。次いで、反応後の溶媒を留去して
得られた酸化チタンをジエチルエーテル50ml中に超
音波を照射して分散した後、遠心分離をかけて上澄み液
を除いた(洗浄操作)。上澄み液の吸収スペクトルか
ら、未反応のリン酸エステルによる吸収がなくなるま
で、この洗浄操作を繰り返した。次いで、ジエチルエー
テルを留去した後、得られた酸化チタンを室温で12時
間減圧乾燥して、本発明の酸化チタン(試料A)を得
た。この試料Aの表面修飾剤の量は、元素分析の結果、
TiO2 の重量基準に対して3.56重量%であった。
【0011】実施例2 実施例1において、フェニルリン酸に代えてジフェニル
リン酸を用いたこと以外は、実施例1と同様に処理し
て、本発明の酸化チタン(試料B)を得た。この試料B
の表面修飾剤の量は、元素分析の結果、TiO2 の重量
基準に対して3.71重量%であった。
【0012】実施例3 実施例1において、フェニルリン酸に代えて1,1´−
ビナフチル−2,2´−ジイルハイドロゲンフォスフェ
イトを用い、アセトニトリルに代えてメタノールを用い
たこと、さらに、洗浄操作を行わないこと以外は、実施
例1と同様に処理して、本発明の酸化チタン(試料C)
を得た。この試料Cの表面修飾剤の量は、元素分析の結
果、TiO2 の重量基準に対して5.06重量%であっ
た。
【0013】実施例4 実施例1において、フェニルリン酸に代えてジブチルリ
ン酸を用い、アセトニトリル及びジエチルエーテルに代
えてN,N−ジメチルホルムアミドを用いたこと以外
は、実施例1と同様に処理して、本発明の酸化チタン
(試料D)を得た。この試料Dの表面修飾剤の量は、元
素分析の結果、TiO2 の重量基準に対して3.06重
量%であった。
【0014】実施例5 実施例1において、フェニルリン酸に代えてオクチルリ
ン酸を用い、アセトニトリル及びジエチルエーテルに代
えてN,N−ジメチルホルムアミドを用いたこと以外
は、実施例1と同様に処理して、本発明の酸化チタン
(試料E)を得た。この試料Eの表面修飾剤の量は、元
素分析の結果、TiO2 の重量基準に対して3.55重
量%であった。
【0015】実施例6 実施例1において、フェニルリン酸に代えてモノ−2−
エチルヘキシルリン酸エステルとジ−2−エチルヘキシ
ルリン酸エステルとの混合物(比率はそれぞれ34:6
3)(商品名JP−508:城北化学工業(株)製)を
用い、アセトニトリルに代えてメタノールを用いたこと
以外は、実施例1と同様に処理して、本発明の酸化チタ
ン(試料F)を得た。この試料Fの表面修飾剤の量は、
元素分析の結果、TiO2 の重量基準に対して2.46
重量%であった。
【0016】比較例1 実施例1において、フェニルリン酸を添加しないこと以
外は、実施例1と同様に処理して、酸化チタン(試料
G)を得た。
【0017】比較例2 実施例1において、フェニルリン酸に代えて表面修飾剤
として安息香酸を用いたこと以外は、実施例1と同様に
処理して、酸化チタン(試料H)を得た。この試料Hの
表面修飾剤の量は、元素分析の結果、TiO2 の重量基
準に対して1.73重量%であった。
【0018】実施例1で得られた試料Aの拡散反射FT
−IRスペクトルを図1に示す。この図1は比較例で得
られた試料Gを対照に用いた。このスペクトルから水酸
基の伸縮振動が消失したことを確認した。また重メタノ
ールを溶媒とした、実施例1で得られた試料Aの750
MHz 1HNMRスペクトルを図2に、実施例1で用い
たフェニルリン酸の750MHz 1HNMRスペクトル
を図3に示す。これらのスペクトルからフェニルリン酸
のフェニル基の水素原子によるピークは、酸化チタンが
存在している場合には、高磁場にシフトしていることが
確認できた。一方フェニルリン酸が、酸化チタン表面の
水酸基とエステル結合しているとして行った分子軌道計
算(アプイニシオ分子軌道法)によるフェニル基の水素
原子の電子密度は、フェニルリン酸のそれより増加し
た。このことは、 1HNMRスペクトルのフェニル基の
水素原子によるピークが高磁場にシフトすることに対応
している。更に重メタノールとメタノールを3:7の体
積比で混合した溶液を溶媒とした、実施例1で得られた
試料Aの400MHz31PNMRスペクトルを図4に、
実施例1で用いたフェニルリン酸の400MHz31PN
MRスペクトルを図5に示す。これらのスペクトルから
フェニルリン酸のリン原子によるピークは、酸化チタン
が存在している場合には、低磁場にシフトしていること
が確認できた。一方フェニルリン酸が、酸化チタン表面
の水酸基とエステル結合しているとして行った分子軌道
計算(アプイニシオ分子軌道法)によるリン原子の電子
密度は、フェニルリン酸のそれより減少した。このこと
は、31PNMRスペクトルのリン原子によるピークが低
磁場にシフトすることに対応している。以上の拡散反射
FT−IRの測定結果やNMRの測定結果から、酸化チ
タンの粒子表面に修飾された表面修飾剤は、エステル結
合によって酸化チタンに結合していることが示された。
【0019】次に、実施例及び比較例で得られた試料
(A〜H)をそれぞれ超音波を照射してアセトニトリル
に分散させ、一定の濃度に希釈した後静置して、400
nmの吸光度の時間変化を調べ、各試料の分散安定性を
評価した。この結果を図6に示す。比較例1の試料Gは
静地後25時間で沈降した。一方、実施例1の試料Aや
実施例4の試料Dは、50時間経過後も80%以上が分
散状態で保たれていた。また、実施例1〜6の試料A〜
Fは全て、比較例2の試料Hより安定に分散していた。
次に実施例3、4及び比較例1で得られた試料(C、
D、G)をそれぞれ超音波を照射してベンゼンに分散し
た。アセトニトリルに分散した場合と同様に、各試料の
分散安定性を評価した。この結果を図7に示す。比較例
1の試料Gは、25時間後には分散状態で保たれている
のは20%未満であった。一方実施例3の試料Cは70
%以上が、実施例4の試料Dは30%が分散状態で保た
れていた。これらの結果から、本発明の酸化チタンは極
性有機溶媒に対しても、非極性有機溶媒に対しても、分
散安定性に優れていることがわかった。
【0020】
【発明の効果】本発明は、無機化合物の粒子表面に存在
する水酸基と一般式(I);
【化5】 で表されるリン酸エステルまたはその塩とを反応させ
て、該無機化合物の粒子表面を該リン酸エステルまたは
その塩で修飾させる方法であって、リン酸エステルまた
はその塩が無機化合物の粒子表面に強固に結合し脱離し
難いため、長期間に渡って分散安定性に優れた無機化合
物を得ることができるなど工業上甚だ有用な方法であ
る。しかも、本発明は、用いるリン酸エステルまたはそ
の塩を適宜選択することにより、無機化合物の一次粒子
径を保持して分散させることもできるし、一次粒子数個
が集まった粒子の状態で分散させることもでき、無機化
合物粒子の分散状態を制御できる。本発明の方法によっ
て得られた無機化合物は、顔料、触媒などの種々の用途
に利用でき、さらに、今までにない特異な物性を持つ新
規機能性材料としての利用も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた試料Aの拡散反射FT−I
Rスペクトルのチャート図である。
【図2】実施例1で得られた試料Aの750MHz 1
NMRスペクトルのチャート図である。
【図3】実施例1で用いたフェニルリン酸の750MH
1HNMRスペクトルのチャート図である。
【図4】実施例1で得られた試料Aの400MHz31
NMRスペクトルのチャート図である。
【図5】実施例1で用いたフェニルリン酸の400MH
31PNMRスペクトルのチャート図である。
【図6】実施例及び比較例で得られた試料(A〜H)の
分散液(溶媒:アセトニトリル)の吸光度の時間変化を
表した図である。
【図7】実施例及び比較例で得られた試料(C、D、
G)の分散液(溶媒:ベンゼン)の吸光度の時間変化を
表した図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機化合物の粒子表面に存在する水酸基
    に、一般式(I); 【化1】 で表されるリン酸エステルまたはその塩を反応させて、
    該無機化合物の粒子表面を該リン酸エステルまたはその
    塩で修飾することを特徴とする無機化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】無機化合物が無機酸化物であることを特徴
    とする請求項1に記載の無機化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】無機酸化物が酸化チタンであることを特徴
    とする請求項2に記載の無機化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】酸化チタンが、1〜100nmの平均粒子
    径を有する微粒子酸化チタンであることを特徴とする請
    求項3に記載の無機化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】リン酸エステルがリン酸エステル化された
    有機色素であることを特徴とする請求項1に記載の無機
    化合物の製造方法。
JP9195002A 1997-07-03 1997-07-03 無機化合物の製造方法 Pending JPH1121469A (ja)

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