JPH11214337A - 摩擦によって誘起される化学的除去加工方法およびその加工装置 - Google Patents

摩擦によって誘起される化学的除去加工方法およびその加工装置

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JPH11214337A
JPH11214337A JP1220598A JP1220598A JPH11214337A JP H11214337 A JPH11214337 A JP H11214337A JP 1220598 A JP1220598 A JP 1220598A JP 1220598 A JP1220598 A JP 1220598A JP H11214337 A JPH11214337 A JP H11214337A
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JP
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chemical
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solid
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species
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JP1220598A
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English (en)
Inventor
Katsuyuki Okubo
克之 大窪
Nobuo Yasunaga
暢男 安永
Kenichi Hiratsuka
健一 平塚
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型、かつ低コストな構成で被加工物固体の
加工精度および加工効率を向上させることができるとと
もに、安全に作業を行うことができ、かつ環境にも優し
い新規な化学的除去加工方法およびその加工装置を提供
する。 【解決手段】 ワーク3と回転ディスク5の相対運動に
よって接触点近傍の空間で物理現象を発生させ、接触点
近傍に化学加工種を供給して接触点近傍の雰囲気を活性
化させることにより、ワーク3の表面層と化学的な相互
作用を行い、ワーク3の表面層の機械特性が低下するよ
うにその化学状態を変化させ、これを機械的歪みを残さ
ずに除去加工を行なうに際して、ワーク3よりも回転デ
ィスク5の機械的強度を小さくし、ワーク3の表面層の
機械的特性が回転ディスク5よりも小さくなるような化
学反応を発生させる化学加工種を供給した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦によって誘起
される化学的除去加工方法およびその加工装置に関し、
特に、半導体や磁気ディスク等の平坦化加工、サファイ
ア基板の仕上げ加工、シビアな環境下で用いられる金型
鏡面の仕上げ加工、高負荷または高速で用いられる軸受
表面の仕上げ加工に適用することができ、被加工物固体
の加工部位に活性化した加工化学種を発生させて除去加
工するようにした摩擦によって誘起される化学的除去加
工方法およびその加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年精密加工における一潮流となってい
る事象として研磨工程の置き換え技術の開発がある。ガ
ラスに代表される無機物やシリコン基板等のように研磨
によって最終的に仕上げられる材料は多く、かつそれは
産業基盤として重要な初期材料である場合が多い。しか
しながら、研磨工程は遊離砥粒を用いるために工程管理
が難しく、作業環境も正常に保つことができない。
【0003】ガラスの研磨等は未だに完全な自動化がで
きず熟練技能を必要としているため、技術の維持に大き
な危機感が持たれている。また、半導体プロセスにおけ
る平坦化加工技術であるCMPは一種の研磨工程である
が、品質維持のためにその工程の多くの時間を洗浄に費
やしておりこれが大きな課題となっている。こうした課
題を克服するために2つのアプローチがなされている。
一つは高脆材の延性モード加工であり、もう一つは化学
作用の積極的利用である。
【0004】前者はガラス等の高脆材も切り込み量を管
理すると金属のような延性加工ができることを利用して
いる。このメリットは最終仕上げまで形状転写加工法が
可能なことである。研磨加工は遊離砥粒を用いた加工で
あり、圧力転写しかできない。このため本質的に加工に
おける空間選択性が低い(これが均一な加工として最終
仕上げとして利用される理由でもある)。
【0005】機械加工の基本的な流れはNC化であり、
空間選択性の高い形状転写加工の方がNC制御には適し
ている。一方、化学作用の利用として、フッ素ガスやフ
ッ化水素酸、アルカリ溶液等の反応性の高いの液体や気
体を用いて加工を行う方法が数多く提案されている。エ
ッチングはこうした化学的作用のみで加工を行うもの
で、ケミカル/メカニカル加工と呼ばれているものは化
学的なエッチング作用と機械加工を重畳させた加工法で
ある。液体と被加工材料の反応で表面に発生する化学反
応生成物を機械的に除去する加工法はケモメカニカル加
工と呼ばれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
延性モード加工モードにあっては、切り込み量を厳密に
制御する必要があるため、加工機全体の剛性を十分に上
げる必要があり、これを満たす加工機の開発にコストが
かかる。現に理論的には昔から示されていても実際に加
工ができたのはほんの10年ほど前である。また、切り
込み量が少なくなるので加工時間がのびる場合も多い。
【0007】一方、後者の反応性液体や気体を用いての
加工にあっては、選択性が低いという問題がある。すな
わち、フッ素ガスやアルカリ溶液等のように通常用いら
れている反応性液体や気体は加工材料全体に対して同じ
様な腐食作用を有するため、選択範囲のみの加工を行う
ためにはマスク処理等の前処理が必然的に発生する。こ
のため、加工コストを増大させてしまう。
【0008】また、こうした加工方法は被加工物だけで
なく工具を含む加装置全体をも腐食させてしまうため、
加工装置全体が非常に大がかりになってしまう問題があ
った。その上、こうした腐食性液体は当然人間(生体)
に対しても悪影響を及ぼすため、作業が危険であり、廃
液(排気)の処理にもかなりの注意を払う必要がある。
【0009】錯体等を用いて液体そのものの腐食性を下
げる試み等もなされているが、廃液処理を省略できるよ
うなものではない。そこで本発明は、工具固体と被加工
物固体の接触点のみに化学的な相互作用を発生させるよ
うにして、小型、かつ低コストな構成で被加工物固体の
加工精度および加工効率を向上させることができるとと
もに、安全に作業を行うことができ、かつ環境にも優し
い新規な摩擦によって誘起される化学的除去加工方法お
よびその加工装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するために、工具固体と被加工物固体を
接触させ、この両者の相対運動によってこの接触点近傍
の空間で物理現象を発生させてこれを励起源とし、この
接触点近傍に供給された化学加工種を含む雰囲気を活性
化させることにより、被加工物表面層と化学的な相互作
用を行い、該被加工物表面層の機械特性が低下するよう
にその化学状態を変化せしめ、これを機械的歪みを残さ
ずに除去加工にするようにした摩擦によって誘起される
化学的除去加工方法であって、前記工具固体よりも被加
工物固体の機械的強度が大きいものを選択し、前記被加
工物表面層の機械的特性が工具固体よりも小さくなるよ
うな化学反応を発生させる化学加工種を供給するように
したことを特徴としている。
【0011】その場合、工具固体と被加工物固体の接触
させることにより、機械的な摩擦を利用しつつ、この加
工点のみに化学加工種を供給することにより化学的な相
互作用を発生させるようにして接触箇所のみを簡単に加
工することができる。このように機械的な摩擦を利用し
て化学的な加工を行なうことにより、加工範囲を限定す
ることができ、小型、低コストな構成で被加工物に加工
歪みを残さずに加工を行なうようにして被加工物固体の
加工精度および加工効率を向上させることができる。
【0012】また、工具固体と被加工物固体の接触箇所
で発生する化学加工種の活性化は空間的に極めて限定さ
れた高いエネルギーを用いて行なうため、通常の環境下
では極めて安定で生体に安全な物質でも化学加工種とし
て用いることができる他、活性化の効率が極めて高いの
で少ない量の化学加工種の供給でも被加工物固体を加工
することができる。
【0013】請求項2記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1記載の発明において、摩擦化学反応
の一部として還元反応を用い、これを発生させるため
に、被加工物固体、工具固体、化学加工種の組合せとし
て、被加工物としてアルミナ、ジルコニア、チタニア、
マグネシア等の酸化物セラミックスを主構成材料として
含む物質を被加工物固体としたときに、工具にシリコン
の酸化物を主構成材料とする物質を用い、化学加工種に
フッ素を分子構造中に含む材料を主構成材料とする物質
を用いることを特徴としている。
【0014】その場合、化学加工種として外部から高周
波等の高いエネルギーを供給することで初めて活性化す
るような通常は極めて安定なフッ素を分子構造中に含む
材料を加工点に供給するだけで加工点に限定して活性化
が起こり、被加工物固体を加工することができるため、
環境および人体に影響を与えないようにすることができ
る。
【0015】また、工具固体の材料として被加工物固体
よりもの機械的強度が小さい材料を使用し、この工具固
体と被加工物固体の接触点に上述した化学加工種を供給
して接触点近傍の雰囲気を活性化させることにより、被
加工物表面層と化学的な相互作用を行い、該被加工物表
面層の機械特性が低下するようにその化学状態を変化せ
しめ、これを機械的歪みを残さずに除去加工にすること
ができる。
【0016】請求項3記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1または2記載の発明において、工具
固体と被加工物固体の接触方法として、被加工物固体の
摩擦化学反応が工具固体との摩擦化学反応に優先するよ
うに、接触領域に曝される時間が工具固体よりも被加工
物固体の方が相対的に長くなるようにしたことを特徴と
している。
【0017】このようにするのは、被加工物固体の反応
速度維持とか高精度維持の観点から、被加工物固体と化
学加工種との相互作用が工具固体と化学加工種の相互作
用よりも優先的に発生することが望ましいからである。
多くの場合、摩擦電磁気現象によって誘起された摩擦化
学反応は極めて反応性が高く、固体材料依存性より摩擦
領域にどの程度曝されたかが相互作用の起こり易さに対
して重要になってくる。したがって、摩擦領域を通過す
る工具の速度を被加工物よりも速くする等して摩擦条件
を設定して被加工物固体の摩擦化学反応が工具固体との
摩擦化学反応に優先するように、接触領域に曝される時
間が工具固体よりも被加工物固体の方が相対的に長くな
るようする。
【0018】請求項4記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜3何れかに記載の発明において、
摩擦化学反応による被加工物固体の機械特性の変化をも
たらす化学状態変化と同時に工具固体も表面物性を変化
させ、物性変化が生じた被加工物固体に対する化学的な
親和性を向上させることによって、被加工物表面層の除
去後の加工くずを工具固体側に固定させ、加工時の発塵
を抑えることを特徴としている。
【0019】このようにするのは、被加工物変質層が摩
擦領域から除去されることは加工の必須条件であり、被
加工物変質層と工具固体の化学的な親和性を向上させる
ことができれば望ましいからである。これは工具固体と
化学加工種の間においても発生する摩擦化学反応を積極
的に利用し、摩擦化学反応によって生成する工具変質層
が被加工物変質層との親和性が高くなるように材料設定
することで達成できる。
【0020】請求項5記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜4何れかに記載の発明において、
前記励起源となる物理現象を発生させるための条件とし
て、工具固体と被加工物固体の接触によって発生する工
具固体内部の剪断応力の最大値が工具固体の硬度を超え
ないように少なくとも加工負荷や加工時の相対速度を設
定することを特徴としている。
【0021】このようにするのは、励起源となる物理現
象を発生させることができるようにするためであり、ま
た、工具固体と被加工物固体の工具固体内部の接触によ
る剪断応力の最大値が工具固体の硬度を超えると、化学
的な除去加工ではなく、工具固体と被加工物固体との接
触による機械的な加工になってしまうのを防止するため
である。
【0022】請求項6記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜5何れかに記載の発明において、
加工領域全体を閉空間内に設置し、除去加工に関して不
活性な気体で該閉空間内を満たした後、加工領域に所望
の雰囲気を導入することを特徴としている。この場合、
閉空間内で加工領域に所望の雰囲気を導入すれば、化学
加工種のロスを少なくすることができる。
【0023】請求項7記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜5何れかに記載の発明において、
加工領域全体を閉空間内に設置し、該閉空間全体を20
0Pa以下に排気した後、加工領域全体を所望の雰囲気
に設定することを特徴としている。その場合、閉空間内
で加工領域に所望の雰囲気を導入すれば、化学加工種の
ロスを少なくすることができる。さらに、200Pa以
下の濃度の大気は摩擦化学反応を引き起こす可能性が極
めて少ないため、残留大気の影響を受けずに化学加工種
の効果を最大限に生かすことができる。
【0024】請求項8記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜6何れかに記載の記載の発明にお
いて、気体を化学加工種として用いる場合には、加工領
域近傍での化学加工種の分圧として200Pa以上に設
定することを特徴としている。その場合、閉空間内で加
工領域に所望の雰囲気を導入すれば、化学加工種のロス
を少なくすることができる。さらに、摩擦化学反応を制
御性良く発生させるために必要な化学加工種の最低濃度
は200Paであり、大気圧まで供給することなく、化
学加工種の使用量を低く抑えることができる。また、ド
ライプロセスのように真空系を用いるプロセスではこの
程度の濃度の方が管理し易い。
【0025】請求項9記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜5何れかに記載の発明において、
加工領域全体を大気圧下に設置し、前記加工領域に所望
の雰囲気を導入することを特徴としている。その場合、
通常の機械加工機に化学加工種を含む気体を供給するユ
ニットを付け加えるだけの低コスト改造で本発明による
恩恵を得ることができる。
【0026】請求項10記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜9何れかに記載の発明において、
前記化学加工種の供給方法として、加工領域に向けて所
望の化学加工種をノズルから噴出させることを特徴とし
ている。その場合、閉空間内で加工領域に所望の雰囲気
を導入すれば、化学加工種のロスを少なくすることがで
きる。また、ノズルから化学加工種を高密度で供給する
ことによってチャンバー全体を同一の濃度に設定するよ
りも供給量を少なくすることができる。
【0027】請求項11記載の発明は、上記課題を解決す
るために、工具固体と被加工物固体を弾性接触させ、こ
の両者を相対運動させる接触相対運動手段と、前記工具
固体と被加工物固体の接触点近傍の接触相対運動によっ
て誘起された活性化状態に加工化学種を供給する加工化
学種供給手段と、を備え、工具固体と被加工物固体の相
対運動によってこの接触点近傍の空間で物理現象を発生
させてこれを励起源とし、この接触点近傍に化学加工種
を供給して接触点近傍の雰囲気を活性化させることによ
り、被加工物表面層と化学的な相互作用を行い、該被加
工物表面層の機械特性が低下するようにその化学状態を
変化せしめ、これを機械的歪みを残さずに除去加工にす
るようにした摩擦によって誘起される化学的除去加工装
置であって、前記工具固体よりも被加工物固体の機械的
強度を大きくし、前記化学加工種供給手段により、前記
被加工物表面層の機械的特性が工具固体よりも小さくな
るような化学反応を発生させる化学加工種を供給するこ
とを特徴としている。
【0028】このように、工具固体と被加工物固体の接
触させることにより、機械的な摩擦を利用しつつ、この
加工点のみに化学加工種を供給することにより化学的な
相互作用を発生させるようにして接触箇所のみを簡単に
加工することができる。このように機械的な摩擦を利用
して化学的な加工を行なうことにより、加工範囲を限定
することができ、小型、低コストな構成で被加工物に加
工歪みを残さずに加工を行なうようにして被加工物固体
の加工精度および加工効率を向上させることができる。
【0029】また、加工範囲が限定された工具固体と被
加工物固体の接触箇所に化学加工種を供給すれば良いた
め、供給される化学加工種の量も少なくすることがで
き、環境および人体に安全な化学加工種を使用すること
で、被加工物固体を加工することができる。請求項12記
載の発明は、上記課題を解決するために、請求項11記載
の発明において、前記相対接触運動手段は、被加工物固
体の摩擦化学反応が工具固体との摩擦化学反応に優先す
るように、接触領域に曝される時間が工具固体よりも被
加工物固体の方が相対的に長くなるようにしたことを特
徴としている。
【0030】その場合、被加工物固体の反応速度維持と
か高精度維持の観点から、被加工物固体と化学加工種と
の相互作用を工具固体と化学加工種の相互作用よりも優
先的に発生させることができる。請求項13記載の発明
は、上記課題を解決するために、請求項11または12記載
の発明において、前記相対接触運動手段は、前記励起源
となる物理現象を発生させるために、工具固体と被加工
物固体の接触によって発生する工具固体内部の剪断応力
の最大値が工具固体の硬度を超えないように加工負荷や
加工時の相対速度を設定することを特徴としている。
【0031】その場合、励起源となる物理現象を発生さ
せることができる。また、工具固体と被加工物固体の工
具固体内部の接触による剪断応力の最大値が工具固体の
硬度を超えることにより、化学的な除去加工ではなく、
工具固体と被加工物固体との機械的な接触加工になって
しまうのを防止することができる。請求項14記載の発明
は、上記課題を解決するために、請求項11〜13何れかに
記載の発明において、前記相対接触運動手段および化学
加工種供給手段を閉空間内に設置し、除去加工に関して
不活性な気体で該閉空間内を満たした後、前記化学加工
種供給手段により加工領域に所望の化学加工種を導入す
ることを特徴としている。
【0032】その場合、化学加工種のロスを少なくする
ことができる。請求項15記載の発明は、上記課題を解決
するために、請求項11〜14何れかに記載の発明におい
て、前記相対接触運動手段および化学加工種供給手段を
閉空間内に設置し、該閉空間全体を200Pa以下に排
気した後、前記化学加工種供給手段によって化学加工種
を供給することを特徴としている。
【0033】その場合、閉空間内で加工領域に所望の雰
囲気を導入すれば、化学加工種のロスを少なくすること
ができる。さらに、200Pa以下の濃度の大気は摩擦
化学反応を引き起こす可能性が極めて少ないため、残留
大気の影響を受けずに化学加工種の効果を最大限に生か
すことができる請求項16記載の発明は、上記課題を解決
するために、請求項11〜14何れかに記載の発明におい
て、前記化学加工種供給手段は、気体を化学加工種とし
て用いる場合には、加工領域近傍での化学加工種の分圧
として200Pa以上に設定することを特徴としてい
る。
【0034】その場合、閉空間内で加工領域に所望の雰
囲気を導入すれば、化学加工種のロスを少なくすること
ができる。さらに、摩擦化学反応を制御性良く発生させ
るために必要な化学加工種の最低濃度は200Paであ
り、大気圧まで供給することなく、化学加工種の使用量
を低く抑えることができる。また、ドライプロセスのよ
うに真空系を用いるプロセスではこの程度の濃度の方が
管理し易い。
【0035】請求項17記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項11〜13何れかに記載の発明において、
前記相対接触運動手段および化学加工種供給手段を大気
圧下に設置し、前記化学加工種供給手段により、前記加
工領域に所望の化学加工種を導入することを特徴として
いる。その場合、閉空間内で加工領域に所望の雰囲気を
導入すれば、化学加工種のロスを少なくすることができ
る。また、通常の機械加工機に化学加工種を含む気体を
供給するユニットを付け加えるだけの低コスト改造で本
発明による恩恵を得ることができる。
【0036】請求項18記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項11〜17何れかに記載の発明において、
前記化学加工種供給手段は、加工領域に向けて所望の化
学加工種を噴出させるノズルを有することを特徴として
いる。その場合、閉空間内で加工領域に所望の雰囲気を
導入すれば、化学加工種のロスを少なくすることができ
る。また、ノズルから化学加工種を高密度で供給するこ
とによってチャンバー全体を同一の濃度に設定するより
も供給量を少なくすることができる。
【0037】請求項19記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項11〜17何れかに記載の発明において、
前記化学加工種供給手段は、加工領域に向けて所望の化
学加工種を噴出するとともに加工領域の化学加工種を吸
引可能な供給・吸引部材を有することを特徴としてい
る。その場合、加工領域に供給される化学加工種の移動
を簡単に調整することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1〜17は本発明に係る摩擦によっ
て誘起される化学的除去加工方法およびその加工装置の
一実施形態を示す図である。まず、本発明の基本的な原
理について説明する。 〈摩擦場によってもたらされる高いエネルギーについ
て〉固体と固体を摩擦させると、固体同士や、両方の固
体と雰囲気の間でも化学的な相互作用が発生する。こう
した現象全体は摩擦化学反応と呼ばれ、様々な研究が行
われている。
【0039】金属同士の摩擦におけるシビア摩耗からマ
イルド摩耗への摩耗形態の変化は、摩擦領域における金
属と雰囲気内の酸素が化学的に相互作用を起こし摩擦領
域に硬度の高い酸化物が生成することに由来すると理解
されている。最近の研究によると、誘電体材料ではこの
領域にマイクロプラズマが発生していると報告されてい
る。一方または両方の固体表面で微小破壊が発生する
と、破断面では電荷分離が発生する。この電界は107
V/cmにもなり、この電界によって雰囲気の電離が発
生することが原因と推測されている。摩擦帯電もこの現
象の一環として生じていると考えられている。こうした
観点から、摩擦によって誘起され摩擦化学反応等の励起
源となる現象全般は摩擦電磁気現象とも呼ばれている。
【0040】また、摩擦に伴って発生する固体表面の微
小破壊は新生面の生成をもたらす。このような新生面は
化学的に活性であるといわれ、金(Au)のような不活
性な物質でも、新生面を発生させると化学反応性の低い
アルカンを分解し、フリクションポリマーと呼ばれる高
分子を発生させることが知られている。このような摩擦
によって引き起こされる高いエネルギーは通常利用され
ることもなく浪費されている。むしろ電気接点における
フリクションポリマーのように悪影響を及ぼす因子と見
なされる場合が多い。
【0041】本発明では、こうした浪費されるエネルギ
ーを積極的に利用することを考えた。 〈本発明の加工メカニズム〉これまで用いられているア
ルカリ溶液等を利用した除去加工は反応性液体と被加工
物の反応性が当然のことながら高い。従って、両者が接
触すると同時に除去加工が行われている。これでは加工
領域の選択性も制御性も低いことになる。プラズマエッ
チング等はこうした点では改良されていると考えること
ができる。エッチングガスを導入しても高周波等によっ
てプラズマを発生させなければ除去加工は始まらない。
つまり制御性が向上している。しかし、通常方法で発生
させたプラズマは空間選択性が低い。そこでマスクを用
いたり、プラズマ発生装置を小型化したり、大気圧プラ
ズマを用いてプラズマ発生領域を限定する等の対策が用
いられている。特に大気圧プラズマによる加工はCVM
と呼ばれ、閉空間を2気圧程度の反応性気体で満たし、
この中でワイヤ等の工具と被加工物の間に高周波をか
け、50μm程度のシースを発生させてプラズマエッチ
ングを行っている。陽圧で大出力の高周波をかけるため
に加工装置は大がかりであり、従来の機械加工装置とは
全く異なる構成の装置が必要である。
【0042】こうした加工法における最大の問題点は雰
囲気を活性化させる方法が大がかりになることである。
本発明ではこの活性化方法として摩擦が利用できないか
と考え、以下のような結論に達した。まず、被加工物と
工具の摩擦に誘起される物理現象を励起源として雰囲気
が電荷分離する。こうして活性化した雰囲気が被加工物
と化学的な相互作用を起こし、被加工物表面の物性を大
きく変化させる。被加工物変質層が被加工物や工具より
も機械特性が低ければ、継続して発生する摩擦によって
被加工物変質層のみが速やかに被加工物から除去され
る。このとき被加工物には機械歪みが残らず、理想的な
除去加工が行われる。
【0043】すなわち、このような方法を採用すること
により、機械的な摩擦を利用し化学的な加工を用いてい
る点でそれぞれの弱点を補うことができ、以下のように
メリットが得られる。 機械加工に比べて被加工物に加工歪みを残さない。 ウエットエッチングに比べて環境に優しく、設備全体
が簡便になり、作業性も向上する。 摩擦している点だけ化学反応が生じ、ドライエッチン
グに比べて空間選択性が高い。 ドライエッチングに比べてエネルギー効率が高く、装
置化が容易で、機械加工の延長線上に考えることができ
る。
【0044】次に、上記メカニズムによる加工を具現化
するに当たっての必要または望ましい条件を以下に示
す。こうした条件はモデル試験としてのボールオンディ
スク試験機を用いて確認実験を行っており、これは後述
する。 a.接触領域でのみ活性化する雰囲気が被加工物の表面
層の硬度を著しく下げる摩擦化学反応を起こすこと。
【0045】これは機械歪みのない除去加工を行うため
に必須な条件であり、これを満たすように被加工物に合
わせて雰囲気を選ぶ必要がある。 b.工具の硬度は被加工物と被加工物変質層の中間にな
るよう設定すること。これまでの研究によると摩擦電磁
気現象の極初期には微小な固体破壊が必要と考えられて
いる。目標とするのは被加工物の低歪加工であるから、
微小破壊は工具側で発生することが望ましい。一般的に
は1/3以下の硬度に設定すると一方的な破壊をもたら
すことができる。また、被加工物の変質層を除去するた
めにはこれよりも高い硬度であることが必要である。
【0046】c.工具表面での微小破壊が発生する接触
状態を維持すること工具の微小破壊は雰囲気を活性化さ
せるためであり、雰囲気と接する工具表面で発生するこ
とが望ましい。従って、工具と被加工物の接触状態がこ
れを満たすように工具形状や加工負荷等の装置条件を設
定しなくてはならない。 d.被加工物と雰囲気との相互作用が工具と雰囲気の相
互作用よりも優先的に発生すること。
【0047】被加工物の反応速度維持と加工精度維持の
観点から、被加工物と雰囲気との相互作用が工具と雰囲
気の相互作用よりも優先的に発生することが望ましい。
しかし、多くの場合摩擦電磁気現象によって励起された
摩擦化学反応は極めて反応性が高く、固体材料依存性よ
り摩擦領域にどの程度曝されたかが相互作用の起こり易
さに対して重要になってくる。従って、摩擦領域を通過
する工具の速度を被加工物よりも速くする等の摩擦条件
を設定する必要がある。
【0048】e.被加工物変質層が摩擦領域から確実に
除去されていくこと 被加工物変質層が摩擦領域から除去されることは加工の
必須条件であり、前記の条件に加えて、被加工物変質層
と工具の化学的な親和性を向上させることができれば望
ましい。これは工具と雰囲気の間においても発生する摩
擦化学反応を積極的に利用し、摩擦化学反応によって生
成する工具変質層が被加工物変質層との親和性が高くな
るように材料設定することで達成できる。
【0049】次に、このような事項を達成するための具
体的な装置構成を図1、2に基づいて説明する。図1、
2において、1はチャンバーであり、このチャンバー1
内に化学的除去加工装置2が設置されている。この加工
装置2は、被加工物固体としてのワーク3を載置してワ
ーク3をXーY方向に移動させることができる2軸ステ
ージ4を備えている。この2軸ステージ4には工具固体
としての回転ディスク5が対向しており、この回転ディ
スク5は保持部材6によって保持されている。この保持
部材6はチャック等の脱着部材7を備えた中空回転軸8
に脱着自在に取付けられるようになっており、この中空
回転軸8はアキシャル軸受9およびスラスト軸受10によ
って1軸移動機構11に回転自在に取付けられている。
【0050】この1軸移動機構11は図1中、上下方向に
移動するようになっており、回転ディスク5をワーク3
に弾性接触程度の接触圧で接触させるようになってい
る。また、1軸移動機構11と中空回転軸8の間にはモー
タ機構を構成するコイル12とマグネット13が介装されて
おり、中空回転軸8はこのモータ機構によって回転駆動
される。
【0051】また、中空回転軸8の上端部にはホース15
の一端部が接続部材14によって接続されており、このホ
ース15の他端部は化学加工種を中空回転軸8を通してワ
ーク3と回転ディスク5の接触点近傍に供給したり、こ
の接触点近傍から吸引する供給・吸引装置16が取付けら
れている。なお、2軸ステージ4、中空回転軸8、アキ
シャル軸受9、スラスト軸受10、1軸移動機構11、コイ
ル12、マグネット13が相対接触運動手段を構成し、中空
回転軸8、ホース15および供給・吸引装置16は化学加工
種供給手段および供給・吸引部材を構成している。
【0052】本実施形態では、このような加工装置2に
より、回転ディスク5とワーク3を弾性接触させ、この
両者を相対運動させることによってこの接触点近傍の空
間で物理現象を発生させてこれを励起源とし、この接触
点近傍に化学加工種を供給して接触点近傍の雰囲気を活
性化させることにより、ワーク3の表面層と化学的な相
互作用を行い、ワーク3の表面層の機械特性が低下する
ようにその化学状態を変化せしめ、これを機械的歪みを
残さずに除去加工を行なうものであり、この加工を行な
う際して、回転ディスク5よりもワーク3の機械的強度
が大きいものを選択し、ワーク3の表面層の機械的特性
が回転ディスク5よりも小さくなるような化学反応を発
生させる化学加工種を供給する点に特徴がある。
【0053】以下、ワーク3、回転ディスク5の材料、
化学加工種の種類および加工条件を具体的に説明する。
上記条件を満たしつつ加工を行うためには目的の加工材
料に対して最も有効な工具と雰囲気を設定する必要があ
る。この作業を簡便に行うために加工モデルとして本加
工装置2をボールオンディスク摺動試験機として用い
た。ワーク3をボールから構成し、回転ディスク5をワ
ーク3に弾性接触させ、その摺動特性を加工特性として
評価した。
【0054】ボールとして、最も一般的なセラミックス
であるアルミナやジルコニアに代表される酸化物系セラ
ミックスを想定し、これを有効に除去する雰囲気とディ
スクを検討した。その他、酸化物系セラミックスとして
はチタニア、マグネシアもある。その結果、ディスク材
料として石英、ガラス等のSi−O結合を有する材料を
CHF3に代表されるフルオロアルカン等を主構成とす
るカーボンとフッ素を含む材料からなる雰囲気で摩擦さ
せることで有効な除去加工を行うことができた。
【0055】具体的には、1軸移動機構11により工具3
を回転ディスク5に弾性接触させる程度に押し付け、モ
ータ機構により工具3を回転させ、工具3と回転ディス
ク5の接触箇所に供給・吸引装置16からホース15および
中空回転軸8を通してフルオロアルカンを主構成とする
化学加工種を供給した。このとき、供給・吸引部材16に
よって化学加工種を供給・吸引することにより、接触低
に供給される化学加工種の量を調整する。
【0056】このとき、図3に示すような加工プロセス
が生じる。図3(a)〜(d)において、3はワーク、
5は工具、21は摩擦によって生じた工具表面の微小破
壊、22は雰囲気に含まれる接触領域でのみ限定的に化学
的な相互作用を行う物質、23は工具表面の微小破壊領域
で活性化(電離)した雰囲気中の物質、24は活性化した
雰囲気と化学的な相互作用を起こして状態変化し、機械
的特性が低下した被加工物表面層、25は活性化した雰囲
気と化学的な相互作用を起こして凝着性が向上した工具
3の部分、26は機械的に除去され、工具表面に凝着した
被加工物表面層である。すなわち、図3(a)に示すよ
うに、回転ディスク5とワーク3を弾性接触させ、この
両者を相対運動させることによってワーク3の表面に微
小破壊21を発生させてこの接触点近傍の空間で物理現象
を発生させてこれを励起源とし、同図(b)に示すよう
に、この接触点近傍にCHF3からなる物質22を供給す
ると、ワーク3表面の微小破壊領域で活性化(電離)し
た雰囲気中に物質23が生じ、同図(c)に示すように、
回転ディスク5およびワーク3に対して化学的な状態変
化を発生させるべくアタックする。このとき回転ディス
ク5とワーク3の接触場に晒される時間の割合が異なる
ため、ワーク3の方が多く活性化した物質23と反応する
確率が高くなる。したがって、反応確率の高いワーク3
の表面では化学状態の大きな変化が発生し、機械的な特
性が低下した被加工物表面層24が形成され、反応確率の
低い回転ディスク5では不完全な化学状態変化が発生
し、科学的な親和性が向上した回転ディスク表面層25が
形成される。被加工物表面層24は機械的な強度が弱いこ
ともあり、該ディスク表面層25にぬぐい取られるように
移着し、ワーク3の除去加工が行なわれる。以降、その
データを示す。 1.表面性状 アルミナボール(99.5%焼結体、硬度Hv=18G
Pa、ボール径1.8インチ、ラップ仕上げ)とガラス
ディスク(ソーダライム系、硬度Hv=5.7GPa、
摺動トラックφ20mm、Ra=5nm)をCHF3
囲気下で相対速度0.3ms-1、初期接触面圧0.4G
Paで摺動させた。摺動距離150mでの両者の摩耗状
態を見るとアルミナが一方的に摩耗し、ガラスは極小規
模の摩耗に抑えられた。その摩耗面は非常に平滑でRa
=5nmであった。図4、5に摺動試験前後のアルミナ
ボールの粗さ曲線を示す。CHF3雰囲気中での粗さ曲
線を見ると形状はほとんど焼結粒子の段差に由来してお
り、焼結粒子内部では非常に平滑な面を形成している。
【0057】通常、大気中や不活性雰囲気中で同様の実
験を行うとアルミナの摩耗状態はガラスの破壊に伴うス
クラッチ状の摩耗や焼結粒単位のチッピングが発生し、
平滑な摩耗面は決して得られない。ボール材料をジルコ
ニア等の他の酸化物系セラミックスに変えても同様の平
滑面が得られた。以降の実験では代表としてアルミナボ
ールを用いている。 2.時間(摺動距離)依存性 CHF3による化学磨耗は極めて短時間で発生する。図
6にCHF3と酸素の雰囲気下でのアルミナボールの時
間依存性を示した。大気中の摩耗特性は酸素の影響が強
く、以降の実験でも大気中での条件の変わりに酸素雰囲
気での評価を行っている(図6において、実線はCHF
3雰囲気であり、点線は酸素雰囲気である。
【0058】CHF3では摺動距離100m以下(今回
の試験条件では5分)で摩耗量は飽和した。一方、酸素
雰囲気中では化学摩耗が発生せず、経時的に摩耗量が増
加する形態を示す。アルミナボールの摩耗面を観察する
と、100m程度ではスクラッチ痕が見られ、これが接
触面全体に拡大して200m以降では全面が粗な摩耗面
を形成する。このときの摩耗形態は凝着摩耗と推定され
る。酸素雰囲気での摩耗特性は大気中の摩耗特性とほぼ
同じであった。 3.表面分析 アルミナボールの摩耗痕の化学状態をXPSによって分
析すると主構成材料であるアルミニウムの化学状態に特
徴が見られた。通常アルミナではアルミニウムは酸化物
になっており、それに対応した結合エネルギーのピーク
が74eV程度に得られる。しかし、図7に示すように
摩耗痕からは72eV程度にもピークが認められた。こ
れは金属アルミニウムと帰属できる。通常アルミナは還
元しにくい材料として知られており、分析時のイオン衝
撃等によってほとんど還元を受けない。従って、この還
元反応は摩擦による高いエネルギーによって発生した反
応である(図7において、細線は生データ、破線は分離
されてアルミニウムの酸化物と帰属されたピーク(7
4.2eV)、一点鎖線は分離されてアルミニウムの還
元体(ほぼ金属アルミ)と帰属されたピーク(72.5
eV)である)。
【0059】アルミナの硬度は2000Hv近くありガ
ラス(600Hv)よりかなり硬いが、アルミニウム金
属は100Hv以下である。これがアルミナボールのガ
ラスディスクとの界面に生成すれば、あたかもぬぐい取
られるようにアルミナ表面から除去されることは容易に
想像できる。ガラスディスク表面を化学分析すると、図
8のようにフッ素の他にアルミニウムが検出される。こ
の化学状態を分析すると、75eV程度にピークが得ら
れ、これはアルミニウムとシリコンの複合酸化物に最も
近い。シリコン側もこれを支持するようなピークシフト
が発生し、ボールからディスクにアルミニウムが移動し
ていることが示された(図8において、破線は摺動試験
前、実線は摺動試験後であり、Aはフッ素によるピー
ク、Bはアルミニウムによるピークである)。 4.ディスク材料依存性 ボール材料をアルミナに固定し、ディスク材料を変えな
がら同様の摺動試験を行った。ディスク材料として供試
したのはファイン焼結アルミナ、シリコン((100)
面、酸化膜無し)、石英、ハードアルマイトである。
【0060】それぞれの摺動試験後、アルミナボールの
摩耗量を測定した。その結果が図9である。図9の実験
結果は、ボール材料をアルミナに固定し、ディスク材料
を変化させてアルミナボールの化学摩耗量を比較したも
のである。いずれも摺動距離は150m、荷重は250
mN、摺動速度は0.3ms-1であり、上からアルミ
ナ、シリコン、合成石英、ソーダライムガラス、ハード
アルマイト(アルミニウム陽極酸化膜)を示す。
【0061】この結果から分かるように、ガラスと石英
の摩耗量が多く、アルミナディスクでの摩耗は少なく、
シリコンでは全く摩耗しないことが確認された。シリコ
ンと摺動させた後のアルミナボールには黒色のポリマー
のような物質が堆積しているのが見られた。平滑面をも
たらす摩擦化学反応にとってシリコン元素が必要なので
はなく、シリコン−酸素の結合が有効であることが明確
になった。 5.圧力(全圧、分圧比)依存性 様々な雰囲気での化学摩耗試験の結果、最も高い摩擦化
学反応性を呈したCHF3雰囲気について全圧依存性
(濃度依存性)と分圧比依存性を評価した。
【0062】その依存性は明確なしきい値存在し、20
0Pa以下では化学摩耗は生じなかったが、200Pa
以降については圧力を変化させてもそれほど大きな摩耗
量の変動は見られなかった。これはCHF3が摩擦領域
の空間で電離して化学摩耗が開始している可能性を強く
示唆している。試料表面へCHF3が吸着して摩擦領域
に運ばれて反応が進行している場合、全圧(濃度)の増
加に連れて表面吸着量も増加し、反応量も全圧の増加に
対応して増える。これに対して空間で電離して反応が開
始する場合は、電離が継続的に進行する(電子雪崩の発
生)ために必要な全圧が存在し、一旦放電状態になると
これ以上の全圧があってもその変化に対しては鈍感であ
る。今回の結果は明らかに後者のプロセスを反映した摩
耗形態を示している。
【0063】さらに、実際の応用を想定して酸素共存下
での化学摩耗特性を評価した。同じ材料系のときに酸素
雰囲気中で摺動させると、化学摩耗は発生しないが、酸
素を仲立ちとしてボールとディスクの酸化物が強く凝着
して摩耗が生じる。この摩耗面はスクラッチ傷等が入っ
て粗な面となる。実用的な加工として応用するときには
CHF3雰囲気にした摩耗領域に酸素が混入するおそれ
があり、酸素とCHF3が混在したときの摩耗特性を評
価しておく必要がある。そこで、全圧を1気圧(約10
5 Pa)にしてCHF3と酸素の分圧比を変化させて摩
耗特性を評価した。
【0064】CHF3による摩耗と酸素による摩耗が明
確に切り分けができるように摺動距離は150mに設定
した。その結果が図10である。図10は横軸は酸素とCH
3の分圧比の常用対数であり、負の場合はCHF3濃度
の方が分圧比として多く、0が等分比、正では酸素濃度
の方が多い。負、すなわち、CHF3の濃度が多いとき
は化学摩耗が支配的であり、この状態から摩耗量が大き
く変化してCHF3の影響よりも酸素の影響が支配的な
点は+2、すなわち酸素がCHF3よりも100倍程度
高い濃度にある。この結果はCHF3の影響力が酸素よ
りもはるかに多いことを示しており、数値的にはCHF
3が200Pa程度存在していればCHF3による化学摩
耗が支配的になることがわかる。 6.初期接触面圧依存性 本実施形態のように摩擦化学反応を応用して加工を行う
場合、加工精度維持において荷重管理が重要である。工
具側材料の表面における微小破壊が反応を引き起こすた
めに必要であり、この破壊の制御は通常の化学反応の温
度管理に相当する。
【0065】表面の微小破壊が安定に起きるためには、
その接触において最適条件が存在すると期待される。破
壊を起こすためにある程度の接触面圧が必要であるが、
あまりに高い面圧では固体内部での破壊の頻度が多くな
り表面破壊が安定化しないためである。実際に荷重を変
化させて初期の接触面圧を変化させると、アルミナボー
ルの磨耗とガラスディスクの磨耗には明確な依存性が見
られた。大まかな変化を図11に示す。
【0066】摩耗量を垂直荷重と摺動距離で規格化した
比摩耗率(単位;mm3-1mm-1)を用いると、異な
る材料、条件での摩耗形態を比較評価することができ
る。特に同一の材料の場合、条件によって摩耗形態が変
化する様子を確認するのに有効である。これを図12に示
した。図12において、実線はアルミナボール(左軸)、
点線はガラスディスク(右軸)であり、共に摩耗量を過
重と摺動距離で規格化した値を縦軸としている。
【0067】この図から分かるように、荷重が低く、初
期面圧が低いときはアルミナボールの化学摩耗が一方的
に進行するが、荷重が増加するに連れてガラスの摩耗が
始まり、これに伴ってアルミナボールの比摩耗率も向上
する。これは先に述べたようガラス表面での破壊が促進
され、化学摩耗の発生効率が上昇したものと考えられ
る。
【0068】さらに荷重が上昇してガラスディスクの比
摩耗率が10-8mm3-1mm-1程度になっているとき
は、ガラスディスクは内部から大規模に破壊するように
なり、表面破壊が維持できないためにアルミナの化学摩
耗は発生せず、むしろ凝着摩耗に遷移する。このときの
摩耗面はガラスがアルミナに強く凝着している。この摩
耗形態が変化する荷重は接触初期面圧に換算するとガラ
ス単体の破壊強度2〜3GPaよりも低く十分に弾性接
触領域である。他の条件、摺動速度や化学摩耗によって
発生する物質の性状等もこの摩耗形態の変化に関わって
いるものと考えられる。ただ、高すぎる荷重はいずれに
しても避けるべきであることは明らかである(破壊強度
の半分以下の接触面圧になるような荷重にするのが好ま
しい)。
【0069】以上の結果を基にメカニズムを提示する。
メカニズム理解において参考にすべきことは半導体プロ
セスで行われているシリコンとその酸化膜の選択エッチ
ングである。CHF3プラズマ中ではシリコンりもその
酸化膜の方が一方的にエッチングされる)この選択エッ
チングを本実施形態の比較のために図13に基づいて説明
する。なお、図13はCHF3プラズマに曝されたシリコ
ン基板上で生じる現象を説明する図である。
【0070】図13において、CHF330はプラズマ31中
では分解してCFn *(n=1〜3)、F* 、H* (*
はイオン、ラジカルなど活性化した状態であることを示
す)のような化学種32として存在している。このうちシ
リコン基板33を攻撃して揮発性(低蒸気圧)のSiF4
を生成するのはプラズマで活性化したフッ素F*36であ
る。
【0071】一方、CFn * (n=1〜3)は一部を除
きプラズマ31中またはシリコン基板33表面に(CF2
n の構造(以降ポリマー前駆体34)が生成し、テフロン
ポリマーのような物質35として堆積する。これは化学反
応性が低く、活性化したフッ素がシリコン基板33を攻撃
するのを阻害する。このためシリコン基板33のエッチン
グは速やかに停止する。
【0072】これに対して、CHF3プラズマに曝され
たシリコン酸化膜上で生じる現象を図14に基づいて説明
する。図14において、41はシリコン基板、42はプラズマ
43内に導入されるCHF3、44はCFn *(n=1〜3)
(*はイオンまたはラジカルを示す)、45はポリマー前
駆体、46は酸素ラジカル、48は揮発性物質、49はプラズ
マ中で分解されたCHF3成分のうちのF*、50はシリコ
ンとSi+4F*→SiF4 (g)の反応である。
【0073】すなわち、図14において、プラズマ43中で
分解されたCHF342の成分のうちでCFn * 44はプラ
ズマ42中で再結合してポリマー前駆体45となるが、エネ
ルギーの高いイオンは酸化膜表面でイオン衝撃を行いS
i−O結合を破壊して酸素ラジカル46の放出とアモルフ
ァスシリコンの生成をもたらす。生成した酸素ラジカル
46はポリマー前駆体45を酸化して揮発性物質48に変化さ
せポリマー堆積を阻害する。
【0074】プラズマ中で分解されたCHF344成分の
うちの酸素ラジカル46でポリマー堆積が阻害されている
ためにシリコンとSi+4F*→SiF4 (g)50の反
応が進行する。このように酸素ラジカル46は表面に堆積
してくるポリマー前駆体45を酸化してポリマーによって
表面が覆われるのを阻害し、結果的に酸化物表面にはシ
リコンが露出する。このシリコンをフッ素が攻撃して継
続的な除去が行われるが、酸素ラジカル46とポリマー前
駆体45は共存できないことが知られており、どちらかが
優勢になると他方は完全に駆逐されてしまう。
【0075】本実施形態の化学磨耗の場合も、このよう
な現象が発生していると考えられる。この点を図15の概
念図に基づいて具体的に説明する。図15において、51は
雰囲気に含まれるCHF3、52は表面破壊の破断面近傍
に発生した雰囲気を電離させる高電場空間、54は電離し
て活性化(イオン化)したCHF3雰囲気である。
【0076】55で示すようには活性化(イオン化)した
雰囲気の多くは摩擦領域内にあるアルミナに対してイオ
ン衝撃し、酸素ラジカル56の発生とアルミナの還元をも
たらす。また、57で示すように一部は摩擦場に対して常
に移動しているガラスに対してイオン衝撃し、ガラスの
不完全な還元も起こす。また、アルミナやガラスから供
給される酸素ラジカルはポリマー前駆体58を酸化し、摩
擦領域にポリマーが堆積するのを防ぐ。
【0077】また、59に示すようにガラスディスク表面
の不完全な還元状態は還元反応によって機械特性が低下
したアルミナ表面層に対する凝着性が高く、アルミナ表
面層はガラスディスク表面に移動してアルミナとシリカ
の複合酸化物を形成する。すなわち、ガラス表面の破断
面内に生成する高い電場により雰囲気のCHF3が電離
し、おそらくはCF3 +イオンが生成して摩擦領域近傍に
ある酸化物に対してイオン衝撃を行う。このとき摩擦領
域に存在する時間的な比率は圧倒的にアルミナボールの
方が多いので、ボール側で酸素ラジカルの生成と還元反
応が生じる。アルミナボールが還元するとその機械的強
度は極めて低下するため、ガラスによって容易に除去さ
れる。
【0078】電離したCHF3は当然ガラスディスク側
にもある程度のイオン衝撃を行っており、ガラス表面で
不完全な還元反応が生じていることが化学分析から示さ
れている。これによって化学反応性が向上し、アルミナ
の還元体との親和性が向上していると推測されている。
次に、本実施形態の理解をより一層深めるためにメカノ
ケミカルポリッシングと比較する。
【0079】メカノケミカルポリッシングは「加えられ
た機械的エネルギーにより誘起される化学反応や相変
化」として定義されるメカノケミカル現象を研磨に応用
し、被加工物よりも力学的に軟質な砥粒でかつ化学反応
を生じ得る粒子を用いてスクラッチフリー、加工変質層
フリーの平滑表面を得る加工法である。加工メカニズム
は次のように分類されている。
【0080】1.砥粒と被加工物の直接的な固相反応が
生じ、この反応層が摩擦力等によって脱落する。 2.雰囲気ガスや加工液の作用によって被加工物表面に
酸化膜や水和膜が形成され、この生成膜が砥粒によって
上述1と同様のメカニズムで加工される。 3.ワーク表面で軟質砥粒が触媒的な作用を営んで被加
工物表面の酸化を促し、この生成酸化層が除去される。
【0081】本実施形態はメカニズム1や2とは明らか
に異なる。固相反応ではなく雰囲気が関与している点で
まず基本的に異なり、雰囲気が接触点のみに作用してい
る点で2とも大きく異なる。最も近いのはメカニズム3
であるが、「触媒的な作用」が明確ではない。各メカニ
ズムを図16で比較した。図16において、71は反応系、72
は生成系、73は通常のメカノケミカルポリッシングによ
る反応経路で、活性化エネルギーを越えるために高い摩
擦熱を必要とする。74は砥粒が触媒的な作用を起こすと
きの反応経路で、活性化エネルギーが低下して反応が容
易になる(加工が容易になる)。
【0082】75は本発明の加工プロセスの反応経路で、
電離によって一気に励起状態になるため活性化エネルギ
ーは反応進行にとって障壁とならない。すなわち、固体
同士の直接的な反応を基準にすると、3のメカニズムで
は触媒作用によって活性化エネルギーが低下しているも
のと考えられる。これに対して、本実施形態では表面破
壊とこれに続く電離によって一気に励起状態になってい
ると理解できる。
【0083】この点はプラズマプロセスに非常に近い。
いったん励起状態になると、その後は活性化エネルギー
の高さを意識することなく反応が進行する。通常では非
常に還元されにくいアルミナがいとも簡単に還元されて
いるのはこのようなプロセスを経ているからと考えられ
る。また、分圧依存性に明確なしきい値が存在し、表面
に吸着する濃度よりも雰囲気での電離が安定に進行する
ことが必要であることや、表面での安定な破壊が維持で
きなくなると化学摩耗プロセスを維持できず、結果的に
他の現象、例えば、凝着摩耗になってしまう等は、他の
いかなる条件よりも摩擦場での励起が安定に行われるこ
とがプロセスにとって最も重要であることを示してい
る。
【0084】なお、ケミカル・メカニカル加工とはウエ
ット加工液中で機械加工を行う加工法で、ウエット加工
液によって軟質化した表面層を機械的に除去することで
加工速度が向上する。CVMは大気圧プラズマはプラズ
マが電極表面に局在化する現象を用いてプラズマの発生
領域を加工領域近傍(50μm)に限定する方法であ
る。
【0085】PACEは小型化(ホッケーのパックの大
きさに近い)したプラズマ発生チャンバーを被加工物に
押し付けることで加工領域を限定する方法である。この
ように本実施形態では、ワーク3と回転ディスク5を弾
性接触させ、この両者を相対運動させる2軸ステージ
4、中空回転軸8、アキシャル軸受9、スラスト軸受1
0、1軸移動機構11、コイル12、マグネット13と、ワー
ク3と回転ディスク5の接触点近傍の接触相対運動によ
って誘起された活性化状態に加工化学種を供給する中空
回転軸8、ホース15および供給・吸引装置16を設け、ワ
ーク3と回転ディスク5の相対運動によってこの接触点
近傍の空間で物理現象を発生させてこれを励起源とし、
この接触点近傍に化学加工種を供給して接触点近傍の雰
囲気を活性化させることにより、ワーク3の表面層と化
学的な相互作用を行い、ワーク3の表面層の機械特性が
低下するようにその化学状態を変化せしめ、これを機械
的歪みを残さずに除去加工する化学的除去加工を行なう
に際して、ワーク3よりも回転ディスク5の機械的強度
を大きくし、供給・吸引装置16によってワーク3の表面
層の機械的特性が回転ディスク5よりも小さくなるよう
な化学反応を発生させる化学加工種を供給するようにし
た。
【0086】このようにワーク3と回転ディスク5を接
触させることにより、機械的な摩擦を利用しつつ、この
加工点のみに化学加工種を供給することにより化学的な
相互作用を発生させるようにして接触箇所のみを簡単に
加工することができる。また、機械的な摩擦を利用して
化学的な加工を行なうことにより、加工範囲を限定する
ことができ、小型、低コストな構成でワーク3に加工歪
みを残さずに加工を行なうようにしてワーク3の加工精
度および加工効率を向上させることができる。
【0087】また、回転ディスク5とワーク3の接触箇
所で発生する化学加工種の活性化は空間的に極めて限定
された高いエネルギーを用いて行なうため、通常の環境
下では極めて安定で生体に安全な物質でも化学加工種と
して用いることができる他、活性化の効率が極めて高い
ので少ない量の化学加工種の供給でもワーク3を加工す
ることができる。
【0088】また、摩擦化学反応の一部として還元反応
を用い、これを発生させるために、ワーク3、回転ディ
スク5、化学加工種の組合せとして、アルミナ、ジルコ
ニア、チタニア、マグネシア等の酸化物セラミックスを
主構成材料として含む物質をワーク3としたときに、回
転ディスク5にシリコンの酸化物を主構成材料とする物
質を用い、化学加工種にCHF3を用いたため、CHF3
を加工点に供給するだけで、ワーク3を加工することが
でき、環境および人体に悪影響を与えないようにするこ
とができる。
【0089】また、回転ディスク5の材料としてワーク
3よりも機械的強度が小さい上述した材料を使用し、ワ
ーク3と回転ディスク5の接触点にCHF3を供給して
接触点近傍の雰囲気を活性化させることにより、ワーク
3の表面層と化学的な相互作用を行い、ワーク3の表面
層の機械特性が低下するようにその化学状態を変化せし
め、これを機械的歪みを残さずに除去加工にすることが
できる。
【0090】また、本実施形態では、ワーク3と回転デ
ィスク5の接触方法として、ワーク3の摩擦化学反応が
回転ディスク5との摩擦化学反応に優先するように、接
触領域に曝される時間が回転ディスク5よりもワーク3
の方が相対的に長くなるようにした。このようにするの
は、ワーク3の反応速度維持とか高精度維持の観点か
ら、ワーク3と化学加工種との相互作用が回転ディスク
5と化学加工種の相互作用よりも優先的に発生すること
が望ましいからである。
【0091】多くの場合摩擦電磁気現象によって励起さ
れた摩擦化学反応は極めて反応性が高く、固体材料依存
性より摩擦領域にどの程度曝されたかが相互作用の起こ
り易さに対して重要になってくる。したがって、摩擦領
域を通過する回転ディスク5の速度をワーク3よりも速
くする等の摩擦条件を設定してワーク3の摩擦化学反応
が工具固体との摩擦化学反応に優先するように、接触領
域に曝される時間が工具固体よりもワーク3の方が相対
的に長くなるようする。
【0092】また、摩擦化学反応によるワーク3の機械
特性の変化をもたらす化学状態変化と同時に回転ディス
ク5も表面物性を変化させ、物性変化が生じたワーク3
に対する化学的な親和性を向上させることによって、回
転ディスク5の表面層の除去後の加工くずを回転ディス
ク5に固定させ、加工時の発塵を抑えるようにした。こ
のようにするのは、ワーク3の変質層が摩擦領域から除
去されることは加工の必須条件であり、ワーク3変質層
と工具固体の化学的な親和性を向上させることができれ
ば望ましいからである。これは回転ディスク5と化学加
工種の間においても発生する摩擦化学反応を積極的に利
用し、摩擦化学反応によって生成する回転ディスク5の
変質層がワーク3の変質層との親和性が高くなるように
上述したような材料設定にすることで達成できる。
【0093】また、励起源となる物理現象を発生させる
ための条件として、回転ディスク5とワーク3の接触に
よって発生する回転ディスク5内部の剪断応力の最大値
が回転ディスク5の硬度を超えないように少なくとも加
工負荷や加工時の相対速度(初期接触面圧0.4GP
a、相対速度0.3ms-1、)を設定した。このように
するのは、励起源となる物理現象を発生させることがで
きるようにするためであり、また、ワーク3と回転ディ
スク5の接触による剪断応力の最大値が回転ディスク5
の硬度を超えると、化学的な除去加工ではなく、ワーク
3と回転ディスク5との接触による機械的な加工になっ
てしまうのを防止するためである。
【0094】また、加工領域全体を閉空間であるチャン
バー1内に設置し、除去加工に関して不活性な気体でチ
ャンバー1内を満たした後、加工領域に所望の雰囲気を
導入したため、チャンバー1内で加工領域に所望の雰囲
気を導入すれば、化学加工種のロスを少なくすることが
できる。また、チャンバー1全体を200Pa以下に排
気した後、加工領域全体を所望の雰囲気に設定したた
め、チャンバー1内で加工領域に所望の雰囲気を導入す
れば、化学加工種のロスを少なくすることができる。さ
らに、200Pa以下の濃度の大気は摩擦化学反応を引
き起こす可能性が極めて少ないため、残留大気の影響を
受けずに化学加工種の効果を最大限に生かすことができ
る。
【0095】また、気体を化学加工種として用いる場合
には、加工領域近傍での化学加工種の分圧として200
Pa以上に設定すれば良い。何故なら、摩擦化学反応を
制御性良く発生させるために必要な化学加工種の最低濃
度は200Paであり、大気圧まで供給することなく、
化学加工種の使用量を低く抑えることができる。また、
ドライプロセスのように真空系を用いるプロセスではこ
の程度の濃度の方が管理し易い。
【0096】本実施形態では、特に、回転ディスク5を
中空回転軸8を介して供給・吸引装置16に接続し、任意
量の化学加工種を供給または吸引できるようにしたた
め、加工領域での雰囲気の移動を制御することができ
る。また、本実施形態では、加工装置2をチャンバー1
内に設置し、除去加工に関して不活性な気体で該閉空間
内を満たした後、加工領域にCHF3を導入している
が、回転ディスク5の内部が閉空間に近く、反応を行う
雰囲気の電離に必要な200Paを容易に達成できるの
で、必ずしもチャンバー1内に加工装置2を設置しなく
ても良い。但し、全体を覆っておく方が反応のための気
体のロスが少ないても良いというメリットがある。
【0097】また、回転ディスク5を中空回転軸8に対
して着脱可能にしたため、ワーク3と直接接触する部分
を加工能力の低下に応じて交換することができる。本実
施形態のような加工プロセスでは回転ディスク5は表面
破壊によって化学反応を起こし、理想的にはワーク3が
表面に凝着するので、必然的に初期状態とは異なってい
く。このため加工能力の低下は否めず、回転ディスク5
を再調整または交換する必要がある。この作業をスムー
スに行うためにこのような交換機能を持たせてあるとい
うことは大きなメリットとなる。
【0098】なお、本実施形態では、工具固体に非平面
形状である回転ディスク5を用いているが、図17に示す
ような構成にしても良い。すなわち、図17に示すよう
に、1軸移動機構11に回転自在な非平面形状の工具(工
具固体)81を設けて自由曲面の研磨加工が可能にし、工
具81の形状に任意性を持たせるために供給・吸引装置16
およびホース15を介して化学加工種の供給・吸引を行な
うノズル82を工具81に対向させるようにしても良い。
【0099】但し、ノズル82は工具81に対して対向して
いる必要はなく、図2に示すように工具81内部から供給
される構造でも構わない。この場合には、図2と同様に
非平面状の工具81を図2の中空回転軸8の保持部材6に
保持させれば良い。また、工具81は外部プローブによっ
てヘッド高さ位置を制御しても良く、圧力による制御を
行うようにしても良い。
【0100】また、加工領域に向けて所望の化学加工種
をノズル82から供給したため、化学加工種を高密度で
供給することによってチャンバー全体を同一の濃度に設
定するよりも供給量を少なくすることができる。また、
チャンバー1内でなくても、加工領域全体を大気圧下に
設置し、加工領域に所望の雰囲気を導入しても良い。そ
の場合、通常の機械加工機に化学加工種を含む気体を供
給するユニットを付け加えるだけの低コスト改造で本発
明による恩恵を得ることができる。
【0101】
【発明の効果】請求項1、11記載の発明によれば、工具
固体と被加工物固体の接触させることにより、機械的な
摩擦を利用しつつ、この加工点のみに化学加工種を供給
することにより化学的な相互作用を発生させるようにし
て接触箇所のみを簡単に加工することができる。
【0102】このように機械的な摩擦を利用して化学的
な加工を行なうことにより、加工範囲を限定することが
でき、小型、低コストな構成で被加工物に加工歪みを残
さずに加工を行なうようにして被加工物固体の加工精度
および加工効率を向上させることができる。また、工具
固体と被加工物固体の接触箇所で発生する化学加工種の
活性化は空間的に極めて限定された高いエネルギーを用
いて行なうため、通常の環境下では極めて安定で生体に
安全な物質でも化学加工種として用いることができる
他、活性化の効率が極めて高いので少ない量の化学加工
種の供給でも被加工物固体を加工することができる。
【0103】請求項2記載の発明によれば、化学加工種
として外部から高周波等の高いエネルギーを供給するこ
とで初めて活性化するような通常は極めて安定なフッ素
を分子構造中に含む材料を加工点に供給するだけで加工
点に限定して活性化が起こり、被加工物固体を加工する
ことができるため、環境および人体に影響を与えないよ
うにすることができる。
【0104】また、工具固体の材料として被加工物固体
よりもの機械的強度が小さい材料を使用し、この工具固
体と被加工物固体の接触点に上述した化学加工種を供給
して接触点近傍の雰囲気を活性化させることにより、被
加工物表面層と化学的な相互作用を行い、該被加工物表
面層の機械特性が低下するようにその化学状態を変化せ
しめ、これを機械的歪みを残さずに除去加工にすること
ができる。
【0105】請求項3、12記載の発明によれば、被加工
物固体の反応速度維持とか高精度維持の観点から、被加
工物固体と化学加工種との相互作用を工具固体と化学加
工種の相互作用よりも優先的に発生させることができ
る。請求項4記載の発明によれば、被加工物変質層を摩
擦領域から除去することができる。
【0106】請求項5、13記載の発明によれば、励起源
となる物理現象を発生させることができるとともに、工
具固体と被加工物固体の接触による工具固体内部の剪断
応力の最大値が工具固体の硬度を超えてることにより、
化学的な除去加工ではなく、工具固体と被加工物固体と
の機械的な接触加工になってしまうのを防止することが
できる。
【0107】請求項6、14記載の発明によれば、化学加
工種のロスを少なくすることができる。請求項7、15記
載の発明によれば、閉空間内で加工領域に所望の雰囲気
を導入すれば、化学加工種のロスを少なくすることがで
きる。さらに、200Pa以下の濃度の大気は摩擦化学
反応を引き起こす可能性が極めて少ないため、残留大気
の影響を受けずに化学加工種の効果を最大限に生かすこ
とができる。
【0108】請求項8、16記載の発明によれば、閉空間
内で加工領域に所望の雰囲気を導入すれば、化学加工種
のロスを少なくすることができる。さらに、摩擦化学反
応を制御性良く発生させるために必要な化学加工種の最
低濃度は200Paであり、大気圧まで供給することな
く、化学加工種の使用量を低く抑えることができる。ま
た、ドライプロセスのように真空系を用いるプロセスで
はこの程度の濃度の方が管理し易い。
【0109】請求項9、17記載の発明によれば、通常の
機械加工機に化学加工種を含む気体を供給するユニット
を付け加えるだけの低コスト改造で本発明による恩恵を
得ることができる。請求項10、18記載の発明によれば、
閉空間内で加工領域に所望の雰囲気を導入すれば、化学
加工種のロスを少なくすることができる。また、ノズル
から化学加工種を高密度で供給することによってチャン
バー全体を同一の濃度に設定するよりも供給量を少なく
することができる。
【0110】請求項19記載の発明によれば、加工領域に
供給される化学加工種の移動を簡単に調整することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る摩擦によって誘起される化学的除
去加工方法およびその加工装置の一実施形態であり、そ
の加工装置の概略構成図である。
【図2】一実施形態の加工装置の要部断面図である。
【図3】一実施形態の加工法の概念図である。
【図4】一実施形態の摺動試験前のアルミナ表面の粗さ
曲線を示す図である。
【図5】一実施形態のCHF3雰囲気での摺動試験後の
アルミナの粗さ曲線を示す図である。
【図6】一実施形態のアルミナボール摩耗量の摺動距離
依存性を示す図である。
【図7】一実施形態のCHF3雰囲気での摺動試験後の
アルミナ摩耗痕表面のXPS分析結果を示す図である。
【図8】一実施形態の摺動試験前後のガラスディスク摩
耗トラックのXPS分析結果を示す図である。
【図9】一実施形態のディスク材料依存性を示す図であ
る。
【図10】一実施形態のCHF3と酸素の分圧比依存性を
示す図である。
【図11】一実施形態の初期の接触面圧を変化させたとき
のアルミナボールの磨耗とガラスディスクの磨耗を示す
図である。
【図12】一実施形態の荷重(初期接触面圧)依存性を示
す図である。
【図13】一実施形態の説明のために用いたCHF3プラ
ズマに曝されたシリコン基板上で生じる現象を示す図で
ある。
【図14】一実施形態の説明のために用いたCHF3プラ
ズマに曝されたシリコン酸化膜上で生じる現象を示す図
である。
【図15】一実施形態の除去メカニズムの概念図である。
【図16】一実施形態のメカノケミカルポリッシングとの
メカニズム比較を示す図である。
【図17】一実施形態の加工装置の他の態様を示す図であ
る。
【符号の説明】
2 加工装置 3 ワーク(被加工物) 4 2軸ステージ(相対接触運動手段) 5 回転ディスク(工具固体) 8 中空回転軸(相対接触運動手段、化学加工種供給
手段) 9 アキシャル軸受(相対接触運動手段) 10 スラスト軸受(相対接触運動手段) 11 1軸移動機構(相対接触運動手段) 12 コイル(相対接触運動手段) 13 マグネット(相対接触運動手段) 15 ホース(化学加工種供給手段) 16 供給・吸引装置(化学加工種供給手段)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】工具固体と被加工物固体を接触させ、この
    両者の相対運動によってこの接触点近傍の空間で物理現
    象を発生させてこれを励起源とし、この接触点近傍に供
    給された化学加工種を含む雰囲気を活性化させることに
    より、被加工物表面層と化学的な相互作用を行い、該被
    加工物表面層の機械特性が低下するようにその化学状態
    を変化せしめ、これを機械的歪みを残さずに除去加工に
    するようにした摩擦によって誘起される化学的除去加工
    方法であって、 前記工具固体よりも被加工物固体の機械的強度が大きい
    ものを選択し、前記被加工物表面層の機械的特性が工具
    固体よりも小さくなるような化学反応を発生させる化学
    加工種を供給するようにしたことを特徴とする摩擦によ
    って誘起される化学除去加工方法。
  2. 【請求項2】摩擦化学反応の一部として還元反応を用
    い、これを発生させるために、被加工物固体、工具固
    体、化学加工種の組合せとして、被加工物としてアルミ
    ナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア等の酸化物セラ
    ミックスを主構成材料として含む物質を被加工物固体と
    したときに、工具にシリコンの酸化物を主構成材料とす
    る物質を用い、化学加工種にフッ素を分子構造中に含む
    材料を主構成材料とする物質を用いることを特徴とする
    請求項1記載の摩擦によって誘起される化学除去加工方
    法。
  3. 【請求項3】工具固体と被加工物固体の接触方法とし
    て、被加工物固体の摩擦化学反応が工具固体との摩擦化
    学反応に優先するように、接触領域に曝される時間が工
    具固体よりも被加工物固体の方が相対的に長くなるよう
    にしたことを特徴とする請求項1または2記載の摩擦に
    よって誘起される化学除去加工方法。
  4. 【請求項4】摩擦化学反応による被加工物固体の機械特
    性の変化をもたらす化学状態変化と同時に工具固体も表
    面物性を変化させ、物性変化が生じた被加工物固体に対
    する化学的な親和性を向上させることによって、被加工
    物表面層の除去後の加工くずを工具固体側に固定させ、
    加工時の発塵を抑えることを特徴とする1〜3何れかに
    記載の摩擦によって誘起される化学除去加工方法。
  5. 【請求項5】前記励起源となる物理現象を発生させるた
    めの条件として、工具固体と被加工物固体の接触によっ
    て発生する工具固体内部の剪断応力の最大値が工具固体
    の硬度を超えないように少なくとも加工負荷や加工時の
    相対速度を設定することを特徴とする請求項1〜4何れ
    かに記載の摩擦によって誘起される化学除去加工方法。
  6. 【請求項6】加工領域全体を閉空間内に設置し、除去加
    工に関して不活性な気体で該閉空間内を満たした後、加
    工領域に所望の雰囲気を導入することを特徴とする請求
    項1〜5何れかに記載の摩擦によって誘起される化学除
    去加工方法。
  7. 【請求項7】加工領域全体を閉空間内に設置し、該閉空
    間全体を200Pa以下に排気した後、加工領域全体を
    所望の雰囲気に設定することを特徴とする請求項1〜5
    何れかに記載の摩擦によって誘起される化学除去加工方
    法。
  8. 【請求項8】気体を化学加工種として用いる場合には、
    加工領域近傍での化学加工種の分圧として200Pa以
    上に設定することを特徴とする請求項1〜6何れかに記
    載の摩擦によって誘起される化学除去加工方法。
  9. 【請求項9】加工領域全体を大気圧下に設置し、前記加
    工領域に所望の雰囲気を導入することを特徴とする請求
    項1〜5何れかに記載の摩擦によって誘起される化学除
    去加工方法。
  10. 【請求項10】前記化学加工種の供給方法として、加工領
    域に向けて所望の化学加工種をノズルから噴出させるこ
    とを特徴とする請求項1〜9何れかに記載の摩擦によっ
    て誘起される化学除去加工方法。
  11. 【請求項11】工具固体と被加工物固体を弾性接触させ、
    この両者を相対運動させる接触相対運動手段と、前記工
    具固体と被加工物固体の接触点近傍の接触相対運動によ
    って誘起された活性化状態に加工化学種を供給する加工
    化学種供給手段と、を備え、 工具固体と被加工物固体の相対運動によってこの接触点
    近傍の空間で物理現象を発生させてこれを励起源とし、
    この接触点近傍に化学加工種を供給して接触点近傍の雰
    囲気を活性化させることにより、被加工物表面層と化学
    的な相互作用を行い、該被加工物表面層の機械特性が低
    下するようにその化学状態を変化せしめ、これを機械的
    歪みを残さずに除去加工にするようにした摩擦によって
    誘起される化学的除去加工装置であって、 前記工具固体よりも被加工物固体の機械的強度を大きく
    し、前記化学加工種供給手段により、前記被加工物表面
    層の機械的特性が工具固体よりも小さくなるような化学
    反応を発生させる化学加工種を供給することを特徴とす
    る摩擦によって誘起される化学除去加工装置。
  12. 【請求項12】前記相対接触運動手段は、被加工物固体の
    摩擦化学反応が工具固体との摩擦化学反応に優先するよ
    うに、接触領域に曝される時間が工具固体よりも被加工
    物固体の方が相対的に長くなるようにしたことを特徴と
    する請求項11記載の摩擦によって誘起される化学除去加
    工装置。
  13. 【請求項13】前記相対接触運動手段は、前記励起源とな
    る物理現象を発生させるために、工具固体と被加工物固
    体の接触によって発生する工具固体内部の剪断応力の最
    大値が工具固体の硬度を超えないように加工負荷や加工
    時の相対速度を設定することを特徴とする請求項11また
    は12記載の摩擦によって誘起される化学除去加工装置。
  14. 【請求項14】前記相対接触運動手段および化学加工種供
    給手段を閉空間内に設置し、除去加工に関して不活性な
    気体で該閉空間内を満たした後、前記化学加工種供給手
    段により加工領域に所望の化学加工種を導入することを
    特徴とする請求項11〜13何れかに記載の摩擦によって誘
    起される化学除去加工装置。
  15. 【請求項15】前記相対接触運動手段および化学加工種供
    給手段を閉空間内に設置し、該閉空間全体を200Pa
    以下に排気した後、前記化学加工種供給手段によって化
    学加工種を供給することを特徴とする請求項11〜14何れ
    かに記載の摩擦によって誘起される化学除去加工装置。
  16. 【請求項16】前記化学加工種供給手段は、気体を化学加
    工種として用いる場合には、加工領域近傍での化学加工
    種の分圧として200Pa以上に設定することを特徴と
    する請求項11〜14何れかに記載の摩擦によって誘起され
    る化学除去加工装置。
  17. 【請求項17】前記相対接触運動手段および化学加工種供
    給手段を大気圧下に設置し、前記化学加工種供給手段に
    より、前記加工領域に所望の化学加工種を導入すること
    を特徴とする請求項11〜13何れかに記載の摩擦によって
    誘起される化学除去加工装置。
  18. 【請求項18】前記化学加工種供給手段は、加工領域に向
    けて所望の化学加工種を噴出させるノズルを有すること
    を特徴とする請求項11〜17何れかに記載の摩擦によって
    誘起される化学除去加工装置。
  19. 【請求項19】前記化学加工種供給手段は、加工領域に向
    けて所望の化学加工種を噴出するとともに加工領域の化
    学加工種を吸引可能な供給・吸引部材を有することを特
    徴とする請求項11〜17何れかに記載の摩擦によって誘起
    される化学除去加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011176243A (ja) * 2010-02-25 2011-09-08 Osaka Univ 難加工材料の精密加工方法及びその装置
CN114538442A (zh) * 2020-11-19 2022-05-27 武汉大学 基于半导体粉料摩擦催化的二氧化碳还原方法

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