JPH11214042A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JPH11214042A
JPH11214042A JP10017507A JP1750798A JPH11214042A JP H11214042 A JPH11214042 A JP H11214042A JP 10017507 A JP10017507 A JP 10017507A JP 1750798 A JP1750798 A JP 1750798A JP H11214042 A JPH11214042 A JP H11214042A
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positive electrode
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electrolyte secondary
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直之 菅野
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嘉人 井上
Masashi Kumakawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウムマンガン酸化物を含有する正極合剤
層が正極集電体に保持されてなる正極と、炭素材料を含
有する負極合剤層が負極集電体に保持されてなる負極を
用いる非水電解液二次電池において、放電負荷特性と充
放電サイクル特性を改善する。 【解決手段】 正極合剤層16に含有されるリチウムマ
ンガン酸化物と負極合剤層15に含有される炭素材料の
重量比を2.0:1〜2.9:1の範囲に規制する。こ
のとき、負極合剤層15の充填密度は1.4〜1.7g
/cm3であるのが好ましく、正極2と負極1の厚さの
比は1.15:1〜1.6:1であるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非水電解液二次電池
に関し、特に放電負荷特性及び充放電サイクル特性の改
善に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型軽量化に伴って、
電源となる二次電池に対して高いエネルギー密度を有す
ることが求められるようになっている。そのような要求
に応える二次電池として非水電解液二次電池が期待され
ている。
【0003】非水電解液二次電池としては、負極材料に
リチウム金属やリチウム合金を用い、正極材料にリチウ
ム含有化合物を用いたものが提案されている。
【0004】しかしながら、リチウム金属やリチウム合
金を負極に用いた場合、充電過程において負極上でリチ
ウム金属がデンドライト状に析出し易い。このデンドラ
イト結晶の先端では非常に高い電流密度になるため、非
水電解液が分解してサイクル寿命が低下したり、また負
極から析出したデンドライト結晶が正極にまで到達し、
電池の内部短絡が発生するといった問題がある。
【0005】これに対して、リチウムイオンをドープ・
脱ドープすることが可能な炭素材料を負極材料に用いた
非水電解液二次電池が提案されている。この炭素材料と
しては、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、黒鉛類が用
いられ、これらについては結晶構造パラメータを制御し
たものが特開平2−82466号公報、特開平4−61
1747号公報、特開平4−115458号公報、特開
平4−184862号公報等で提案されている。
【0006】このような炭素材料を用いる非水電解液二
次電池では、リチウム金属やリチウム合金を負極に用い
る電池と異なり、電池系内でリチウムが金属状態で存在
しないためにデンドライトの形成が抑制され、良好なサ
イクル特性が得られる。特に黒鉛類は体積当たり、また
は重量当たりのリチウムイオン吸蔵量が大きいため、大
きな放電容量が得られ、また放電電圧を平坦にできると
いう利点がある。
【0007】ところで、非水電解液二次電池の正極材料
としては、LiCoO2やLiNiO2が多く用いられて
いる。しかし、コバルトやニッケルは資源が稀少であ
り、これらを含有するコバルト化合物やニッケル化合物
は、鉛やマンガン化合物よりも高価になり、正極材料を
多量に使用する大型電池に用いるには無理がある。
【0008】そこで、比較的資源が豊富なMnを含有す
るリチウムマンガン酸化物の使用が検討され、例えば米
国特許4366215号、米国特許4828834号、
米国特許4980251号、特開平7−192768号
公報等においてスピネル型リチウムマンガン酸化物を正
極材料として用いることが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リチウ
ムマンガン酸化物を正極材料として使用した場合、Li
CoO2やLiNiO2を正極材料として用いる場合に比
べてどうしても電池性能が劣ってしまう。
【0010】すなわち、リチウムマンガン酸化物を正極
材料として使用した電池では、充放電に伴って可逆性が
失われ、それによる容量低下が著しい。また、特に高温
環境下で連続して充放電を行った場合には、充放電サイ
クルの進行に伴って容量が大きく低下する。さらに、大
電流条件での充放電では、充放電サイクルにリチウムの
出入りが追従できず、放電容量が損なわれるといった問
題がある。
【0011】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、リチウムマンガン酸化物
を正極材料として使用する二次電池であって、優れた放
電負荷特性と充放電サイクル特性が得られる非水電解液
二次電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の非水電解液二次電池は、リチウムマンガ
ン酸化物を含有する正極合剤層が正極集電体に保持され
てなる正極と、炭素材料を含有する負極合剤層が負極集
電体に保持されてなる負極と、非水溶媒に電解質塩が溶
解されてなる非水電解液を有してなり、正極合剤層に含
有されるリチウムマンガン酸化物と負極合剤層に含有さ
れる炭素材料の重量比が、2.0:1〜2.9:1であ
ることを特徴とするものである。
【0013】リチウムマンガン酸化物を含有する正極合
剤層が正極集電体に保持されてなる正極と、炭素材料を
含有する負極合剤層が負極集電体に保持されてなる負極
を用いる非水電解液二次電池において、正極合剤層に含
有されるリチウムマンガン酸化物と負極合剤層に含有さ
れる炭素材料の重量比が2.0:1〜2.9:1の範囲
になされていると、放電容量及び充放電サイクル特性が
改善される。そして、さらに負極合剤層の充填密度が
1.4〜1.7g/cm3、正極と負極の厚さの比が
1.15:1〜1.6:1の範囲になされていると、放
電負荷特性及び充放電サイクル特性がより一層改善され
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施の形態につ
いて説明する。
【0015】本発明の非水電解液二次電池は、炭素材料
を含有する負極合剤層が負極集電体に保持されてなる負
極と、リチウムマンガン酸化物を含有する正極合剤層が
正極集電体に保持されてなる正極と、非水溶媒に電解質
塩が溶解されてなる非水電解液を有して構成される。
【0016】まず、負極において、負極合剤層はリチウ
ムイオンのドープ・脱ドープがなされる炭素材料が含有
される層であり、少なくとも前記炭素材料と、この炭素
材料を負極集電体に保持するための結着剤によって構成
される。
【0017】上記炭素材料としては、例えば黒鉛構造を
有するもの、すなわち炭素六角網面が規則的に積層され
た結晶構造を有するもの(黒鉛)が用いられる。このよ
うな黒鉛は、X線回折法によって得られる(002)面
の面間隔dが0.34nm以下であるのが望ましい。面
間隔dが0.34nm以下の黒鉛は、黒鉛結晶構造が適
度に発達しており、炭素六角網面同士の間にリチウムイ
オンがスムースに吸蔵・放出される。面間隔dが0.3
4nmを超える黒鉛は、黒鉛構造が発達し過ぎているた
め、炭素六角網面間へのリチウムイオンの吸蔵・放出が
スムースに行われない。このため、このような黒鉛を電
池の負極材料として用いると、充放電の繰り返しによる
容量の低下や充放電時の過電圧が大きくなり、放電時の
電位の平坦性が失われる。
【0018】また、一般に、黒鉛を負極材料として用い
た場合、電解液の分解が問題になる。このような電解液
の分解は、充放電サイクルに伴って黒鉛構造の結晶性が
崩壊し、この崩壊の際に生じる活性点に起因するものと
推定されている。これに対して、面間隔dが0.34n
m以下の黒鉛では、黒鉛構造の結晶性が崩壊し難く、電
解液の分解が抑えられる。
【0019】なお、面間隔dのより好ましい範囲は、
0.335nm〜0.338nmである。
【0020】また、上記黒鉛は、負極の充填密度を高く
し、容量の増大を図る点から、真密度が2.0g/cm
3以上であるのが好ましく、さらには粒子径が1μm〜
100μm、平均粒径が50μm以下、N2ガス吸着の
BET法による比表面積が0.1〜20m2/gである
のが望ましい。
【0021】炭素材料としては、このような黒鉛の他、
メソフェーズマイクロビーズ、熱分解炭素繊維、メソフ
ェーズ系炭素繊維、高温処理ピッチカーボン等であっ
て、X線回折法によって得られる(002)面の面間隔
dが0.34nm以下のものも用いることができる。
【0022】炭素材料を負極集電体に保持するための結
着剤や負極集電体としては、通常用いられるものを使用
することができる。例えば、結着剤としてはポリフッ化
ビニリデン等のフッ素系樹脂、集電体としては銅箔等が
使用される。
【0023】一方、正極において、正極合剤層は正極活
物質となるリチウムマンガン酸化物が含有される層であ
り、少なくとも前記リチウムマンガン酸化物と、導電剤
及びこれらを正極集電体に保持するための結着剤によっ
て構成される。
【0024】上記リチウムマンガン酸化物としては、例
えばスピネル構造を有するLiMn24またはLiMn
24に所定量のLiを添加したもの、すなわちLix
nOy(但し、xは0.505〜0.525であり、y
は1.96〜2.00である)で表されるものが用いら
れる。このうちLiMn24に所定量のLiを添加した
LixMnOyは、700〜750℃で8時間以上の加熱
処理を行った後に、粉末X線回折測定で観測される(3
11)回折面と(400)回折面のピーク比[(31
1)回折面:(400)回折面]が1:1.10〜1:
1.20であるのが望ましい。ピーク比がこの範囲にあ
るLixMnOyは、スピネル型類似の結晶構造を有す
る。ピーク比がこの範囲から外れる場合には充放電サイ
クルの繰り返しに伴い低級マンガン化合物が発生し、容
量が低下する虞がある。なお、正極の材料としては、こ
の他にLi4Mn512も用いることができる。
【0025】このようなリチウムマンガン酸化物は、水
酸化リチウム等のリチウム源と、マンガン源を混合し、
酸素存在雰囲気下で熱処理することによって合成され
る。
【0026】マンガン源としては、炭酸マンガンや硝酸
マンガン、硫酸マンガン、酢酸マンガンもしくはこれら
を加熱・酸化したもの、電解二酸化マンガン、化学合成
二酸化マンガン、Mn23、Mn34等が使用でき、こ
のうち電解二酸化マンガンを使用するのが望ましい。
【0027】正極に導電性を付与するための導電剤、正
極活物質を正極集電体に保持するための結着剤及び正極
集電体としては通常用いられているものが使用できる。
例えば導電剤としてはグラファイト、結着剤としてはポ
リフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、正極集電体とし
てはアルミニウム箔がそれぞれ使用される。
【0028】負極と正極は以上のような構成とされる
が、本発明の非水電解液二次電池では特に、これら負極
と正極において、(正極合剤層に含有されるリチウムマ
ンガン酸化物の重量):(負極合剤層に含有される炭素
材料の重量)が、2.0:1〜2.9:1に規制され
る。
【0029】正極合剤層に含有されるリチウムマンガン
酸化物と負極合剤層に含有される炭素材料の重量比が上
記範囲となされていると、充放電に当たって電極へのリ
チウムの出入りが円滑に行われるようになり、大きな放
電容量が得られるとともに充放電サイクル特性が改善さ
れる。また、高温保存性能も向上する。さらにこの正極
合剤層に含有されるリチウムマンガン酸化物と負極合剤
層に含有される炭素材料の重量比のより好ましい範囲
は、2.4:1〜2.7:1である。
【0030】また、電池の充放電容量は電極の充填密度
に負うところが大きく、大きな充放電容量を得るために
は負極合剤層の充填密度が1.4〜1.7g/cm3
あるのが望ましい。さらにこれに加えて、(正極の厚
さ):(負極の厚さ)が1.15:1〜1.6:1の範
囲になされていると電池性能がより一層改善される。
【0031】なお、この非水電解液二次電池において非
水電解液の非水溶媒、電解質塩としては例えば次のよう
なものが用いられる。
【0032】非水溶媒としては、炭酸プロピレン,炭酸
エチレン,炭酸ブチレン等の環状カーボネート、炭酸ジ
メチル,炭酸ジエチル,炭酸ジプロピル,炭酸エチルメ
チル等の鎖状カーボネート、ジメトキシエタン,テトラ
ヒドロフラン等のエーテル化合物、γ−ブチロラクトン
等の環状エステル類、スルホラン類等が単独もしくは混
合して用いられる。
【0033】また、電解質塩としてはLiPF6、Li
BF4、LiCF3SO3、LiClO4、LiAsF6
のリチウム塩が使用される。これら電解質塩は0.5〜
2mol/lなる濃度で非水溶媒に溶解される。
【0034】本発明は各種タイプの非水電解液二次電池
に適用でき、特に帯状正極と帯状負極をセパレータを介
して積層、巻回してなる巻回電極体を用いる円筒型電池
や、板状正極と帯状負極をセパレータを介して積層した
積層電極体を用いる角形電池等に適用して好適である。
【0035】このうち円筒型非水電解液二次電池の一例
を図1に示す。
【0036】この非水電解液二次電池は、図1に示すよ
うに、負極集電体9の両面に負極合剤層15を形成して
なる負極1と、正極集電体10の両面に正極合剤層16
を形成してなる正極2とを、ポリプロピレンやポリエチ
レン等よりなる微多孔膜セパレータ3を介して巻回し、
この巻回体の上下に絶縁体4を載置した状態で電池缶5
に収納してなるものである。
【0037】前記電池缶5には電池蓋7が封口ガスケッ
ト6を介してかしめることによって取付けられ、それぞ
れ負極リード11及び正極リード12を介して負極1あ
るいは正極2と電気的に接続され、電池の負極あるいは
正極として機能するように構成されている。
【0038】そして、この電池では、前記正極リード1
2は電流遮断用薄板8に溶接されて取り付けられ、この
電流遮断用薄板8と感熱抵抗素子13を介して電池蓋7
との電気的接続が図られている。
【0039】この電池においては、電池内部の圧力が上
昇すると、前記電流遮断等薄板8が押し上げられて変形
する。すると、正極リード12が電流遮断用薄板8と溶
接された部分を残して切断され、電流が遮断される。
【0040】このような円筒型電池において、正極合剤
層に含有されるリチウムマンガン酸化物と負極合剤層に
含有される炭素材料の重量比が2.0:1〜2.9:1
の範囲とされ、さらに負極合剤層の充填密度が1.4〜
1.7g/cm3、正極と負極の厚さの比が1.15:
1〜1.6:1となされていると、大きな放電容量が得
られるとともに良好な充放電サイクル特性が得られるこ
とになる。なお、この電池では、正極合剤層及び負極合
剤層が集電体の両面に形成されるが、このように合剤層
が集電体の両面に形成されている場合、両面の合剤層を
合わせたリチウムマンガン酸化物と炭素材料の重量比が
上述の範囲に規制される。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例について実験結果に基
づいて説明する。
【0042】実施例1 (正極合剤層に含有されるリチウムマンガン酸化物の重
量):(負極合剤層に含有される黒鉛粉末の重量)=
2.3:1、負極合剤層の充填密度=1.50g/cm
3、(正極の厚さ):(負極の厚さ)=1.23:1と
なされた非水電解液二次電池の例である。
【0043】このような非水電解液二次電池を次のよう
に作製した。
【0044】まず、正極を次のようにして作製した。
【0045】水酸化リチウムと、30μm以下の粒径に
粉砕した電解二酸化マンガンをLi:Mn(原子比)が
1.04:2となるように計量し、乳鉢に投入した。
【0046】そして、これらを十分混合した後アルミナ
製坩堝に入れ、酸素存在雰囲気となされた電気炉内で、
350℃で2時間熱処理し、さらに780℃で12時間
熱処理し、室温まで冷却した後、粗く粉砕することでリ
チウムマンガン酸化物を得た。
【0047】このリチウムマンガン酸化物について粉末
X線回折法による測定を行ったところ、観測されたピー
クはスピネル型LiMn24のピークに一致していた。
なお、(311)回折面と(400)回折面のピーク比
[(311)回折面:(400)回折面]は1:1.1
2であった。
【0048】この正極材料90重量部、導電剤となるグ
ラファイト6重量部、結着剤となるポリフッ化ビニリデ
ン(PVDF)4重量部を混合し、さらに溶剤となるN
−メチル−2−ピロリドンを加えて混合することによっ
て正極合剤ミックスを調製した。次に、この正極合剤ミ
ックスを、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電
体)の両面に、リード溶着部を除いて均一に塗布し、乾
燥させることで正極合剤層を形成し、電極寸法に裁断し
た。そして、正極集電体のリード溶着部にアルミニウム
製リード体を溶着することで正極を作製した。
【0049】負極を次のようにして作製した。
【0050】2800℃の熱処理によって得られた粒状
人造黒鉛粉末を用意した。この黒鉛粉末についてX線回
折法で(002)面の面間隔dを測定したところ0.3
35nmであった。
【0051】この黒鉛粉末90重量部、結着剤となるポ
リフッ化ビニリデン10重量部を混合し、さらに溶剤と
なるN−メチル−2−ピロリドンを加えて混合すること
によって負極合剤ミックスを調製した。次に、この負極
合剤ミックスを、厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の
両面に、リード溶着部を除いて均一に塗布し、乾燥させ
ることで負極合剤層を形成し、電極寸法に裁断した。そ
して、負極集電体のリード溶着部にニッケル製リード体
を溶着することで負極を作製した。ここで負極合剤層の
充填密度は1.50g/cm3、正極合剤層に含有され
るリチウムマンガン酸化物と負極合剤層に含有される人
造黒鉛粉末の重量比は2.3:1、正極と負極の厚さ比
は1.23:1であった。
【0052】このようにして作製された正極と負極を、
セパレータとなるポリプロピレン製微多孔膜を介して積
層し、多数回巻回することで渦巻状電極素子を作製し
た。
【0053】そして、この渦巻状電極素子に絶縁板を取
り付けて電池缶に挿入し、負極リード体を電池缶に溶接
するとともに正極リード体を電流遮断用薄板に溶接し
た。次いで、炭酸プロピレンと炭酸ジメチル混合液にL
iPF6を1mol/lなる濃度で溶解させた電解液を
電池缶に注入し、電流遮断用薄板上に電池蓋を載置し
た。そして、電池缶の上部を、カシメ機を用いてかしめ
ることで缶を密閉し、外径18mm、高さ65mmの円
筒型電池を作製した。
【0054】実施例2〜実施例5 (正極合剤層に含有されるリチウムマンガン酸化物の重
量):(負極合剤層に含有される黒鉛粉末の重量)、負
極合剤層の充填密度、(正極の厚さ):(負極の厚さ)
を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同じ構
成の電池の例である。
【0055】比較例1,比較例2 (正極合剤層に含有されるリチウムマンガン酸化物の重
量):(負極合剤層に含有される黒鉛粉末の重量)、負
極合剤層の充填密度、(正極の厚さ):(負極の厚さ)
を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同じ構
成の電池の例である。
【0056】
【表1】
【0057】このようにして作製された電池について、
電流0.3A,上限電圧4.2Vで8時間充電し、次に
電流0.5Aで終止電圧2.5Vまで放電させた。そし
て、電流1A,上限電圧4.2Vで3時間充電した後、
電流1Aで終止電圧2.5Vまで放電を行うといった充
放電サイクルを5サイクル行った。
【0058】この後、次のような放電負荷試験及び充放
電サイクル試験を行い、電池の性能を評価した。
【0059】放電負荷試験:電流1A,上限電圧4.2
Vで3時間充電した後、終止電圧2.5Vまで放電させ
た。なお、放電に際する電流は2〜5Aの範囲で変化さ
せた。
【0060】充放電サイクル試験:電流1A,上限電圧
4.2Vで3時間充電した後、電流0.5Aで終止電圧
2.5Vまで放電させるといった充放電サイクルを10
0回行った。
【0061】放電負荷特性を図2に、充放電サイクル特
性を図3に示す。また、正極と負極の厚さの比と容量維
持率(100サイクル時容量/初期サイクル時容量)の
関係を図4に示す。
【0062】図2に示すように、正極合剤層の含有され
るリチウムマンガン酸化物と負極合剤層に含有される黒
鉛粉末の重量比、負極合剤層の充填密度、正極と負極の
厚さの比が所定範囲内にある実施例1〜実施例5の電池
は、放電電流を上げた場合でも大きな放電容量が得ら
れ、比較例1,比較例2の電池に比べて優れた放電負荷
特性が得られる。
【0063】また、図3に示す充放電特性についても、
実施例1〜実施例5の電池は充放電サイクルの繰り返し
に伴う容量低下が小さく、比較例1,比較例2の電池に
比べて優れている。
【0064】さらに、図4から、容量維持率は特に正極
と負極の厚さの比に依存し、この比を1.15:1〜
1.6:1にすることによって80%以上の容量維持率
が得られるようになることがわかる。
【0065】このことから、正極合剤層に含有されるリ
チウムマンガン酸化物と負極合剤層に含有される炭素材
料の重量比を2.0:1〜2.9:1、負極合剤層の充
填密度を1.4〜1.7g/cm3、正極と負極の厚さ
の比を1.15:1〜1.6:1とすることによって電
池の放電負荷特性や充放電サイクル特性が改善されるこ
とがわかった。
【0066】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の非水電解液二次電池は、リチウムマンガン酸化物を
含有する正極合剤層が正極集電体に保持されてなる正極
と、炭素材料を含有する負極合剤層が負極集電体に保持
されてなる負極を有してなり、正極合剤層に含有される
リチウムマンガン酸化物と負極合剤層に含有される炭素
材料の重量比が2.0:1〜2.9:1、負極合剤層の
充填密度が1.4〜1.7g/cm3、正極と負極の厚
さの比が1.15:1〜1.6:1であるので、大きな
放電容量が得られるとともに良好な充放電サイクル特性
が得られる。また、この非水電解液二次電池で正極材料
として使用するリチウムマンガン酸化物は、リチウムコ
バルト複合酸化物やリチウムニッケル複合酸化物のよう
に資源が稀少なCo,Niを含んでいないので入手が容
易である。したがって、本発明の非水電解液二次電池
は、正極材料を多量に使用する大型電池としても好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した非水電解液二次電池の一例を
示す概略縦断面図である。
【図2】非水電解液二次電池の放電負荷特性を示す特性
図である。
【図3】非水電解液二次電池の充放電サイクル特性を示
す特性図である。
【図4】正極と負極の厚さの比と、容量維持率の関係を
示す特性図である。
【符号の説明】
1 負極、2 正極、9 負極集電体、10 正極集電
体、15 負極合剤層、16 正極合剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊川 昌志 福島県郡山市日和田町高倉字下杉下1番地 の1 株式会社ソニー・エナジー・テック 内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムマンガン酸化物を含有する正極
    合剤層が正極集電体に保持されてなる正極と、炭素材料
    を含有する負極合剤層が負極集電体に保持されてなる負
    極と、非水溶媒に電解質塩が溶解されてなる非水電解液
    を有してなり、 正極合剤層に含有されるリチウムマンガン酸化物と負極
    合剤層に含有される炭素材料との重量比が、2.0:1
    〜2.9:1であることを特徴とする非水電解液二次電
    池。
  2. 【請求項2】 負極合剤層の充填密度が、1.4〜1.
    7g/cm3であることを特徴とする請求項1記載の非
    水電解液二次電池。
  3. 【請求項3】 正極と負極の厚さの比が、1.15:1
    〜1.6:1であることを特徴とする請求項1記載の非
    水電解液二次電池。
  4. 【請求項4】 上記炭素材料は、X線回折法によって測
    定される(002)面の面間隔dが0.34nm以下で
    あることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電
    池。
  5. 【請求項5】 上記炭素材料は、真密度が2.0g/c
    3以上であることを特徴とする請求項4記載の非水電
    解液二次電池。
  6. 【請求項6】 リチウムマンガン酸化物は、LixMn
    y(但し、xは0.505〜0.525であり、yは
    1.96〜2.00である)で表されることを特徴とす
    る請求項1記載の非水電解液二次電池。
  7. 【請求項7】 リチウムマンガン酸化物は、X線回折に
    よる(311)回折ピークと(400)回折ピークの比
    が1:1.10〜1:1.20であることを特徴とする
    請求項6記載の非水電解液二次電池。
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