JPH11213753A - 高分子固体電解質とそれを用いた非水電池 - Google Patents

高分子固体電解質とそれを用いた非水電池

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JPH11213753A
JPH11213753A JP9329004A JP32900497A JPH11213753A JP H11213753 A JPH11213753 A JP H11213753A JP 9329004 A JP9329004 A JP 9329004A JP 32900497 A JP32900497 A JP 32900497A JP H11213753 A JPH11213753 A JP H11213753A
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electrolyte
solid electrolyte
acrylonitrile
polymer
butadiene copolymer
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Takayoshi Ono
高義 小野
Haruhiko Ueda
晴彦 上田
Kenji Yasuda
健二 安田
Toru Hasegawa
亨 長谷川
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Furukawa Electric Co Ltd
JSR Corp
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Furukawa Electric Co Ltd
JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いイオン導電率と高い機械的強度のいずれ
をも長期に亘って維持する高分子固体電解質と、それを
用いることにより充放電サイクル特性が優れている非水
電池を提供する。 【解決手段】 架橋構造を有するアクリルニトリル−ブ
タジエン共重合体と、エチレンカーボネートと、鎖状カ
ーボネートと、アルカリ金属塩とを主成分とする高分子
固体電解質とそれを用いた非水電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高分子固体電解質と
それを用いた非水電池に関し、更に詳しくは、高いイオ
ン導電率と高い機械的強度のいずれをも長期に亘って維
持することができる高分子固体電解質と、それを用いる
ことにより、優れた充放電サイクル特性を発揮する非水
電池、とりわけリチウム電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話,ビデオカメラ,パソコ
ンなどの電子機器の分野においては小型化、軽量化が進
み、その駆動電池として軽量かつ高エネルギー密度のリ
チウム二次電池が広く用いられている。そのリチウム二
次電池は、一般に、金属リチウムやリチウム合金、また
は炭素質材料を用いた負極と、LiCoO2,LiMn2
4,LiNiO2,V25,TiO2などを用いた正極
と、リチウム塩が溶解している非水電解液とを主たる要
素として構成されている。とくに、負極として炭素質材
料を用いているものはリチウムイオン二次電池と呼ば
れ、金属リチウムを用いた電池に比べればそのエネルギ
ー密度は低いものの、安全性が高く、近年の主流になっ
ている。
【0003】ところで、現在市販されているリチウム二
次電池は、上記したように、そのほとんどが非水電解液
を内蔵するものであるため、液漏れの可能性を常にかか
えている。そのことは、液漏れによる充放電サイクル特
性の低下や搭載機器の故障などを引き起こす要因である
ため、この問題がリチウム二次電池の長期に亘る信頼性
を低めている。
【0004】このようなことから、最近では、液漏れを
引き起こす心配のない固体電解質と、それを用いた全固
体型リチウム二次電池の開発研究が精力的に進められて
いる。その場合、研究対象の固体電解質としては、無機
材料をベースにするものと、高分子材料をベースにする
ものとに大別される。
【0005】そのうち最も広く検討されているものは、
柔軟で様々な形状に成形可能であるという点で高分子材
料をベースとし、これと金属塩とから成る高分子固体電
解質である。例えば、ポリエチレンオキサイトなどのポ
リエーテル化合物に金属塩を溶解せしめたポリエーテル
系のものが知られている(R.Spinder and D.F.Shriver,
J.Amen.Chem.Soc.,21.648(1988)を参照)。この系
は、高分子鎖のセグメント運動に伴って高分子鎖に包摂
されているイオンが移動するタイプの固体電解質であ
る。
【0006】しかしながら、この系の固体電解質の場
合、充分なイオン導電率を実現するためには、高分子鎖
のセグメント運動が活発になる60℃以上の温度環境が
必要である。そのため、通常の電池作動温度である室温
付近では、充分なイオン導電率が得られず、電池の高容
量化を実現することはできないという問題がある。一
方、室温付近におけるイオン導電率を高めた高分子固体
電解質としては次のようなものが知られている。
【0007】例えば、ポリアクリルニトリルのような極
性を有する高分子のマトリックス中に金属塩を含む電解
液を含浸せしめたもの(M.Watanabe.et.al., J.Polym.S
ci.Polym.Phys., 21,939(1990)を参照)や、極性を有
する高分子と電解液と感光性架橋剤とを混合して成る液
状混合物に紫外線照射して硬化させたもの(K.M.Abraha
m and A.Alamgir.J.Electrochem.Soc., 137.1657(199
0)を参照)などの極性高分子系、いわゆるゲル系のも
のが知られている。
【0008】しかしながら、前者のものは、室温付近に
おけるイオン導電率は充分であるもののその機械的強度
は非常に低いという問題があり、また後者のものは、機
械的強度は高いが、室温付近におけるイオン導電率は不
充分であり、しかも製造プロセスに危険性を伴うととも
にコスト高を招くという問題がある。室温付近における
高いイオン導電率と高い機械的強度の両立を目的とし
て、特開平5−299119号公報には次のような高分
子固体電解質が提案されている。
【0009】すなわち、この高分子固体電解質は、高極
性の高分子相と低極性の高分子相とが相分離している構
造の高分子マトリックスの中に電解液を含浸せしめた膨
潤タイプのものである。この固体電解質の場合、電解液
は高極性の高分子相に選択的に含浸・保持され、また低
極性の高分子相には電解液が含浸されないことを利用す
るものであって、電解液が保持されている高極性の高分
子相で高いイオン導電率を実現し、電解液が含浸してい
ない低極性の高分子相で高い機械的強度を確保しようと
するものである。
【0010】そしてまた、上記高分子固体電解質を用い
た全固体型リチウム二次電池が、特開平5−10184
8号公報と特開平5−101849号公報に開示されて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た特開平5−299119号公報で開示されている高分
子固体電解質には次のような問題がある。まず、電解液
は、高極性の高分子相への含浸度合いに比べれば少ない
とはいえ低極性の高分子相へも含浸するため、結局、こ
の固体電解質の機械的強度は低くなってしまうという問
題である。
【0012】また、電解液が含浸された状態、すなわち
高分子マトリックスが膨潤した状態は非常に不安定であ
るため、高分子マトリックスからは経時的に含浸電解液
が滲み出ていき、その結果、イオン導電率は徐々に低下
していくという問題もある。更に、この固体電解質を用
いて組み立てた電池の場合、上記したように固体電解質
から電解液が滲み出ていくにつれて、当該固体電解質の
収縮が起こり、そのため、固体電解質とそれを密着して
挟んでいる正・負極との接触面積は減少していき、かつ
前記したようにイオン導電率の低下も進むことにより、
電池の内部抵抗が大幅に上昇するという問題も発生す
る。そのため、このような状態にある電池は、充放電サ
イクルの過程で、その放電容量が大幅に低下してしまう
ことになる。
【0013】この特開平5−299119号公報に開示
されている高分子固体電解質は、高分子マトリックスに
電解液を含浸せしめ、当該高分子マトリックスを膨潤さ
せたものである。その場合、電解液の含浸量が増加する
ほど、その高分子マトリックスにおけるイオン導電率は
高くなり、仮に無限膨潤に達すると電解液のイオン導電
率と等値になる。しかし、そのことは、同時に高分子マ
トリックスの機械的強度が低下することでもある。
【0014】このように、上記した高分子固体電解質の
場合は、イオン導電率を高めようとするとその機械的強
度は低下してしまい、逆に、機械的強度を確保しようと
すると、そのイオン導電率を高めることが困難になると
いう問題がある。本発明は、従来の高分子固体電解質に
おける上記した問題を解決し、高いイオン導電率と高い
機械的強度を長期に亘って維持し、したがって、充放電
サイクルの過程における容量低下が少なく、優れた充放
電サイクル特性を有する新規な高分子固体電解質とそれ
を用いた非水電池、とりわけリチウム二次電池の提供を
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
目的を達成するために、各種の高分子マトリックスに関
して鋭意研究を重ね、その結果、後述する系は、長期に
亘って、高いイオン導電率と高い機械的強度が両立し得
るとの事実を見出し、本発明の高分子固体電解質を開発
するに至った。
【0016】すなわち、本発明の高分子固体電解質は、
架橋構造を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合
体と、エチレンカーボネートと、鎖状カーボネートと、
アルカリ金属塩とを主成分とすることを特徴とする。と
くに、前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体がカ
ルボキシル変性されているものが好適である。また、本
発明においては、上記高分子固体電解質を具備したこと
を特徴とする非水電池、とりわけ、前記高分子固体電解
質におけるアルカリ金属塩がリチウム塩である高分子固
体電解質を具備するリチウム二次電池が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の高分子固体電解質は、後
述する架橋構造を有するアクリロニトリル−ブタジエン
共重合体を骨格とする高分子マトリックスの中に、エチ
レンカーボネートと鎖状カーボネートから成る非水溶媒
とこの非水溶媒に溶解して電解質として機能するアルカ
リ金属塩とが保持されているものである。
【0018】まず、骨格成分である架橋構造を有するア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体は、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体の主鎖または側鎖内に存在す
る二重結合を開裂させ、付加反応や環化反応などによ
り、分子内または分子間で架橋構造を形成させたもので
ある。このように、本発明の高分子固体電解質の場合
は、その骨格成分が架橋構造になっているので、最終的
に電解液を含浸せしめた状態になっていてもその機械的
強度の低下が起こりづらくなる。
【0019】この架橋構造は、通常、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体に、ジークミルパーオキサイド,
tert−ブチルクミルパーオキサイドのような有機過
酸化物;いおう,チウラムのような有機いおう化合物;
キノンジオキシウム;等の架橋剤を添加し、加熱処理を
行うことにより形成することができる。なお、アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体の主鎖または側鎖にメチ
ロールアミド基,水酸基,カルボキシル基,アミノ基,
エポキシ基,カルボニル基のような反応性官能基が存在
する場合には、上記した架橋剤を添加することなく、単
に加熱するだけで架橋構造を形成することも可能であ
る。
【0020】また、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体としては、その主鎖または側鎖にカルボキシル基を
直接導入してカルボキシル変性させたものを用いてもよ
い。具体的には、アクリルニトリル−ブタジエン共重合
体に、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,イタコ
ン酸のような不飽和カルボン酸を共重合せしめたもので
ある。
【0021】エチレンカーボネート(EC)と鎖状カー
ボネートは、いずれも、他の必須成分であるアルカリ金
属塩を溶解する非水溶媒として機能し、両者は混合して
使用される。鎖状カーボネートとしては、アルカリ金属
塩を溶解できるものであれば何であってもよく格別限定
されるものではないが、ジメチルカーボネート(DM
C),エチルメチルカーボネート(EMC),ジエチル
カーボネート(DEC)を好適なものとしてあげること
ができる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上
を混合して用いてもよい。
【0022】上記非水溶媒におけるエチレンカーボネー
トと鎖状カーボネートとの混合割合は、エチレン−カー
ボネートの割合が90重量%を超えると電解液の粘度が
高くなるためイオン移動が低下し、イオン導電率が大幅
に低下するので、エチレンカーボネート10〜90重量
%,鎖状カーボネート90〜10重量%に設定すること
が好ましい。
【0023】また、本発明の高分子固体電解質における
上記非水溶媒の割合は、前記架橋構造を有するアクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体100重量部に対し、5
0〜95重量部に設定することが好ましい。50重量部
より少ない場合は、充分なイオン導電率が得られず、ま
た95重量部より多くなると機械的強度の低下傾向を示
すようになるからである。
【0024】なお、この非水溶媒には、更にプロピレン
カーボネート,γ−ブチロラクトン,テトラヒドロフラ
ン,ジメトキシエタンなど、他の非水溶媒が少量添加さ
れていてもよい。電解質として機能するアルカリ金属塩
としては、格別限定されるものではないが、Li+,N
+,K+などのアルカリ金属カチオンと、ClO4 -,B
4 -,PF6 -,AsF6 -,CF3SO3 -などのアニオン
との組み合わせから成るアルカリ金属塩をあげることが
できる。なお、製造する電池がリチウム二次電池である
場合には、用いるアルカリ金属塩はリチウム塩でなけれ
ばならないことはいうまでもない。
【0025】このアルカリ金属塩の固体電解質における
含有量は、このアルカリ金属塩を前記非水溶媒に溶解せ
しめたときに、その濃度が0.3〜2モル/Lとなるような量
であることが好ましい。この濃度が0.3モル/Lより低い場
合は、高いイオン導電率を得ることが困難であり、また
2モル/Lより高くしようとしても充分に溶解しなくなるか
らである。
【0026】本発明の高分子固体電解質は、例えば、次
のようにして製造することができる。まず、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体またはカルボキシル変性さ
れたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体の骨格成分
を、メチルエチルケトン,トルエン,アセトンなどの有
機溶媒に溶解する。そして、得られた溶液に架橋剤を溶
解したのちその溶液をキャストし、更に有機溶媒を揮散
せしめてフィルム状物を製造する。
【0027】ついで、そのフィルム状物を非酸化性雰囲
気中で加熱して前記骨格成分の架橋構造体とする。そし
て、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合物
から成る非水溶媒にアルカリ金属塩を溶解せしめた非水
電解液の中に、前記フィルム状物の架橋構造体を浸漬し
て、非水電解液を架橋構造体に含浸せしめればよい。
【0028】本発明の非水電池は、上記した高分子固体
電解の両面に正極と負極を配置し、全体を電池缶に封入
することにより製造される。その場合、正極としては、
アルカリ金属と、CoO2,Mn24,NiO2のような
複合酸化物、V25,TiS2,ポリアニリン,ポリア
セン,各種の有機いおう化合物と、アセチレンブラッ
ク,ケッチェンブラック,グラファイトのような導電材
とポリテトラフルオロエチレン,ポリビニリデンフルオ
ライド,ポリスチレン,ポリエチレン,スチレンブタジ
エンゴム,アクリロニトリルブタジエンゴム,スチレン
ブタジエンエチレンスチレンエラストマーのような結着
材とのペーストを調製し、そのペーストに圧縮成形やロ
ール成形などを行い、所望する形状や大きさに加工され
たものが用いられる。
【0029】また、負極としては、アルカリ金属やアル
カリ金属合金がそのまま用いられてもよく、無定形炭素
やグラファイトなどの炭素質材料またはアルカリ金属の
化合物を前記した結着剤と混合してペーストを調製し、
そのペーストに圧縮成形やロール成形などを行うことに
より、所望する形状や大きさに加工したものであっても
よい。
【0030】なお、本発明の非水電池の形態は、とくに
限定されるものではなく、コイン型,シートまたはフィ
ルム型,同筒型,角型など任意の形態であってよい。
【0031】
【実施例】実施例1〜25,比較例1〜7 1.高分子固体電解質の製造 表1〜3に示したアクリロニトリル−ブタジエン共重合
体をメチルエチルケトンに溶解して、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体の濃度が約8重量%の溶液を調製
した。
【0032】ついでこの溶液に、パークミルD−40
(商品名、日本油脂(株)製の有機過酸化物架橋剤)を
前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体に対し1重
量%添加して充分に攪拌して溶解した。得られた溶液を
スピンコータでシャーレの上に薄く均一に展開して室
温,常圧下において24時間の乾燥処理を行ったのち、
更に、常温、10-5MPa以下の圧力下で24時間の乾燥
処理を行ってフィルム状物を成膜した。
【0033】ついで、このフィルム状物を、温度160
℃,圧10-5MPa以下の条件下で30分間加熱して架橋
構造体にした。厚みは約0.2mmであった。なお、表2中
の実施例24,25の固体電解質の場合は、用いたアク
リロニトリル−ブタジエン共重合体は、カルボキシル変
性されたラテックスである。そして、これに対しては、
前記架橋剤を添加することなく、そのラテックスの水溶
液をそのままシャーレの上に展開し、室温,常温下にお
ける24時間の乾燥処理、常温,圧10-5MPa以下にお
ける24時間の乾燥処理、そして最後に温度105℃,
圧10-5MPa以下における加熱処理を順次行って、厚み
0.2mmのフィルム状物の架橋構造体にした。
【0034】また、表3中の比較例5,6の固体電解質
の場合は、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体を架
橋構造にしていないものである。更に、比較例7は、J
SRN632S(商品名、日本合成ゴム(株)製のアク
リロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、カルボ
キシル変性タイプ)とJSRSL556(商品名、日本
合成ゴム(株)製のスチレン−ブタジエン共重合体ラテ
ックス)とを重量比50:50で混合したのち、それを
スピンコータでシャーレの上に薄く均一に展開し、常
温,常圧下で5時間の乾燥処理、ついで温度105℃,
圧10-5Mpa以下で24時間の加熱処理を行って厚み0.
2mmに成膜したものである。すなわち、比較例7のフィ
ルム状物は、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体が
低極性の高分子相を形成している2相分離型の高分子マ
トリックスで構成されている。
【0035】このようにして得られたフィルム状物の架
橋構造体を打ち抜き加工して、直径16mm,厚み0.2mm
のペレットにした。ついで、各ペレットを、アルゴン雰
囲気下で表1〜3で示した非水溶媒に表示のアルカリ金
属塩をその濃度が1モル/Lとなるように溶解せしめた非水
電解液の中に24時間浸漬したのち取り出し、表面の液
体を拭きとり、目的とする高分子固体電解質とした。得
られた高分子固体電解質は全て平衡膨潤の状態になって
いた。
【0036】なお、比較例7の高分子固体電解質の場合
は、打抜き加工後のペレットを、アルゴン雰囲気下にお
いて、γ−ブチロラクトン(GBL)とジメトキシエタ
ン(DME)の重量比50:50から成る非水混合溶媒
に、LiClO4をその濃度が1モル/Lとなるように溶解
せしめた非水電解液に24時間浸漬したのち取り出し、
表面の液体を拭きとって、製造した。
【0037】2.高分子固体電解質の評価 各高分子固体電解質のイオン導電率と機械的強度を下記
の仕様で測定した。 イオン導電率:高分子固体電解質の両面を、直径16m
m,厚み0.1mmのステンレス鋼板で挟持し、交流法で
測定したインピーダンスから算出。
【0038】機械的強度:高分子固体電解質を、一方向
に手で100%程度引張ったのち手をはなし、高分子固
体電解質の形状が完全に復元した場合を◎,ほぼ復元し
て充分に実使用可能である場合を○,それ以外の場合を
×として評価。 なお、測定は、製造直後とガラスシャーレ中で7日間放
置した時点の2回行った。以下の結果を一括して表1〜
3に示した。なお、これらの評価は全てアルゴン雰囲気
下で行った。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】表1〜3から次のことが明らかである。 (1)比較例1〜7の固体電解質は、いずれも、製造直
後からそのイオン導電率が大幅に低下しているが、実施
例1〜25の固体電解質は経時的にイオン導電率の大幅
な低下現象は起こっていない。しかもその機械的強度も
確保されている。
【0043】とくに、比較例7と対比した場合、比較例
7では製造直後にあって機械的強度が低く実使用に耐え
得ず、しかも経時的なイオン導電率が大幅に低下してい
ることを考えると、本発明の固体電解質の優れた特性が
明白である。 (2)また、実施例1〜12と実施例13〜25を対比
すると、機械的強度は実施例13〜25の方が良好にな
っている。このことを考えると、骨格成分としてはカル
ボキシル変性されたアクリロニトリル−ブタジエン共重
合体を用いる方が有効である。
【0044】(3)実施例5と比較例5,実施例17と
比較例6は、いずれも、用いたアクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体またはカルボキシル変性されたアクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体が、架橋構造になってい
るか否かの相違であるにもかかわらず、比較例5,比較
例6の場合は、製造直後から実使用に耐え得ない機械的
強度になっており、しかもイオン導電率は大幅に低下し
ている。
【0045】このようなことから、高いイオン導電率と
高い機械的強度を長期に亘って維持するためには、アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体を架橋構造にするこ
との必要性が明らかである。 (4)実施例1と比較例1,2を対比して明らかなよう
に、非水電解液に用いた溶媒が、実施例1の場合はEC
とDMCの50:50の混合溶媒であることに反し、比
較例1の場合、EC(エチレンカーボネート)とDME
(ジメトキシエタン)の50:50の混合溶媒であり、
比較例2の場合はECとPC(プロピレンカーボネー
ト)の30:70の混合溶媒であることを除いては、他
の要素が同じであるにもかかわらず、比較例1,2の場
合はいずれもそのイオン導電率が大幅に低下している。
【0046】また、比較例3の場合は、DMC単独を溶
媒として用いているが、この場合もイオン導電率が大幅
に低下している。このことから明らかなように、非水電
解液の調製に用いる溶媒は、ECとDMC(鎖状カーボ
ネート)の混合溶媒であることが必要である。 3.リチウム二次電池の組み立て まず、正極を次のようにして製造した。
【0047】LiCoO2粉末(Nikko Rica
社製)と、カーボンブラック(東海カーボン(株)製の
TB4300)と、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体ラテックス(日本合成ゴム(株)製のJSRN63
2S)と、カルボキシメチルセルロース(日本製紙
(株)製)の1%水溶液とを、重量比85:13:2:
50で混合してペーストを調製した。このペーストを、
直径16mm,厚み0.05mmのアルミ箔に均一塗布し、大
気中、室温下で24時間放置し、更に温度105℃,圧
10-5MPa以下の条件で24時間乾燥したのち、圧10M
Paで平板プレスを行って厚み0.2mmの正極とした。この
正極の理論容量は約10mAhである。
【0048】一方、負極としては、金属Li箔を打ち抜
き加工して、直径16mm,厚み0.1mm,理論容量約40
mAhのものを用意した。上記した正極と負極で、表4〜
6で示したように、表1〜3の各固体電解質を挟持し、
コインセルに封入して外径20mm,厚み1.2mmの密封式
コイン型全固体リチウム二次電池を組み立てた。これら
を実施例26〜50,比較例8〜14とする。なお、コ
インセル内部の厚み調整のために、必要に応じて、直径
16mm,厚み0.1mmのステンレス鋼板を用いた。
【0049】なお、実施例51,52の電池の場合は、
実施例1〜50の電池と異なり、次のような負極を用い
ている。まず、実施例51の電池の負極は、グラファイ
と粉末(ペトカ社製のSFG15)と、スチレン−ブタ
ジエン共重合体ラテックス(日本合成ゴム(株)製の1
508)と、カルボキシメチルセルロース(日本製紙
(株)製)の1%水溶液とを、重量比95:5:50で
混合してペーストを調製し、このぺーストを直径16m
m,厚み0.04mmの銅箔上に均一塗布し、大気中、室温
下で24時間放置し、更に温度105℃,圧10-5MPa
以下の条件で2時間乾燥したものである。この負極は厚
み約0.2mm,理論容量約10mAhのものである。
【0050】また、実施例52の電池に組み込んだ負極
は、無定形炭素粉末(三菱化学(株)製のMBC−N
C)と、ポリフッ化ビニリデン粉末と、1−メチル−2
−ピロリドンとを、重量比9:1:20で混合してポリ
フッ化ビニリデンを完全に溶解せしめたペーストとし、
このペーストを直径16mm,厚み0.04mmの銅箔上に均
一塗布し、大気中、室温下で24時間放置し、更に温度
180℃,圧10-5MPa以下の条件で2時間乾燥し、そ
の後10Mpaの平板プレスを行ったものである。この負
極は厚み約0.4mm,理論容量約10mAhのものである。
【0051】4.電池の充放電サイクル特性の評価 得られた各電池につき次のような充放電サイクル試験を
行った。25℃の大気中において、1mAの定電流で電池
電圧が4.3Vになるまで充電を行い、30分休止したの
ち1mAの定電流で電池電圧が3.0Vになるまで放電を行
い、再び30分休止しした。
【0052】上記充放電サイクルを200サイクル行
い、1サイクル,100サイクル,200サイクルの時
点で電池の放電容量を測定して放電容量維持率(%)を
算出した。なお、放電容量維持率とは、各サイクル時点
における放電容量を1サイクル時点の放電容量で除算し
た値の百分率表示であり、この値が大きいほど充放電サ
イクル特性に優れていることを表す。
【0053】以上の結果を一括して表4〜6に示した。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】表4〜6から明らかなように、本発明の高
分子固体電解質(実施例1〜25)が組み込まれている
電池は、いずれも、200サイクルの充放電サイクル試
験後にあってもその放電容量維持率は90%以上の値を
示しており、その充放電サイクル特性は非常に優れてい
る。なお、実施例26〜50の電池と実施例51,52
の電池とを対比して明らかなように、負極の構成が異な
っていても、いずれの電池も90%以上の放電容量維持
率を示している。このことは、本発明の非水電池の場
合、本発明の高分子固体電解質が組み込まれていればよ
いことを示している。
【0058】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
高分子固体電解質は、高いイオン導電率と高い機械的強
度が両立したものであり、しかもそれらの特性が長期に
亘って維持されており、従来にない有用な高分子固体電
解質である。したがって、この高分子固体電解質が組み
込まれている本発明の非水電池は、その充放電サイクル
特性が優れたものになっている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 10/40 H01M 10/40 B (72)発明者 安田 健二 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 長谷川 亨 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋構造を有するアクリロニトリル−ブ
    タジエン共重合体と、エチレンカーボネートと、鎖状カ
    ーボネートと、アルカリ金属塩とを主成分とすることを
    特徴とする高分子固体電解質。
  2. 【請求項2】 前記アクリロニトリル−ブタジエン共重
    合体が、カルボキシル変性されている請求項1の高分子
    固体電解質。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ金属塩がリチウム塩である
    請求項1または2の高分子固体電解質。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの高分子固体電
    解質を具備することを特徴とする非水電池。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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