JPH11213380A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH11213380A
JPH11213380A JP3364198A JP3364198A JPH11213380A JP H11213380 A JPH11213380 A JP H11213380A JP 3364198 A JP3364198 A JP 3364198A JP 3364198 A JP3364198 A JP 3364198A JP H11213380 A JPH11213380 A JP H11213380A
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JP
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magnetic
thin film
layer
recording medium
magnetic recording
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JP3364198A
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Satoshi Shimizu
聡 清水
Akira Ishikawa
彰 石川
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Osamu Yoshida
修 吉田
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布型の磁気記録媒体において、薄型化に伴
う強度特性やヘッドタッチ特性の低下を防止する。 【解決手段】 塗布型の磁性層3を有する磁気記録媒体
1の支持体2として、長手方向のヤング率5Gpa以上の
高分子フィルム2aと、このフィルムの両面に、伸び率
が30%以上の金属もしくは半金属又はこれらの酸化物等
からなる厚さ0.02μm以上、0.50μm以下の薄膜2b、
2cを形成したものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関す
るものであり、更に詳しくは、強度特性やヘッドタッチ
特性に優れた塗布型の磁性層を有する磁気記録媒体に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】今日、
磁気記録テープなどの磁気記録媒体における高密度記録
に対する要望は高い。1つの方策である媒体の薄型化は
媒体の強度が弱い。このような媒体強度の低下は、破断
強度や伸びなどの機械的特性を低下させるのみならず、
媒体のスティフネスにも影響し、ヘッドタッチ(磁気ヘ
ッドと媒体の接触の程度)の指標であるエンベロープ特
性も低下させる。
【0003】現在、磁気記録媒体の支持体は、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレ
ート(PEN)などのポリエステルやポリアミドなどの
高分子フィルムが主流である。しかし、フィルムの膜厚
の低下に伴う媒体の剛性の低下が、上記のような薄型化
に伴う機械的特性やヘッドタッチ特性の低下を招く。結
果、スティフネス特性、引っ張り強度特性、伸び特性と
いった強度特性や、ヘッドタッチ特性を維持しつつ、磁
気記録媒体を薄型化することは困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】支持体と、該支持体上に
設けられた磁性粉末及び結合剤を含有する磁性層とを具
備してなる磁気記録媒体において、本発明者らは鋭意検
討した結果、塗布型の磁気記録媒体の支持体として、長
手方向のヤング率が5GPa以上の高分子フィルムの両面
に、伸び率が30%以上の金属もしくは半金属又はこれら
の酸化物、炭化物もしくは窒化物からなる厚さ0.02〜0.
50μmの薄膜を形成したものを用いると、優れた強度特
性とヘッドタッチ特性を示す磁気記録媒体となり、薄型
化が実現できることを見出し、本発明の磁気記録媒体を
完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体の好
ましい実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本
発明の磁気記録媒体の実施形態を示す模式図である。図
1(イ)に示す磁気記録媒体1は、支持体2と、該支持
体2の一面側に設けられた磁性層3と、該支持体2の他
面側に設けられたバックコート層4とを具備している。
そして、上記支持体2は、高分子フィルム2aと、該フ
ィルム2aの両面に形成された第1薄膜層2bと第2薄
膜層2cとからなる。ここで、第1薄膜層2bはフィル
ム2aと磁性層3の間に形成されており、第2薄膜層2
cはフィルム2aとバックコート層4との間に形成され
ている。以下、上記支持体及び各層の詳細についてそれ
ぞれ説明する。
【0006】上記高分子フィルム2aを構成する材料と
してはポリエステル類やポリアミド類が挙げられるが、
特にPET、ポリブチレンテレフタレート、PEN、ポ
リシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエ
チレンビスフェノキシカルボキシレート等のポリエステ
ル類が効果が高い。ポリエステル系フィルムは当業界で
汎用されているが、ヤング率が比較的小さい上に、薄型
化に伴う剛性の低下が顕著であるが、本発明ではこのよ
うなポリエステル系フィルムにより薄型の磁気記録媒体
を得る場合でも十分な強度特性やヘッドタッチ特性を示
す。これらの材料から構成される上記支持体には、必要
に応じて一軸又は二軸の延伸処理や、コロナ放電処理等
が施されていてもよい。
【0007】本発明では、支持体2を構成するフィルム
2aとして、長手方向のヤング率が5GPa以上である高
分子フィルムを用いる。該フィルムの長手方向のヤング
率が5GPaを下回ると上記金属層又は半金属層を設けて
も3%伸び強度や破断強度特性を維持できない。好まし
い長手方向のヤング率は、7〜12GPaである。なお、通
常、磁気記録媒体の支持体用の高分子フィルムは原反ロ
ールの形状で供給され、その長手方向のヤング率が本発
明の高分子フィルムの長手方向のヤング率となる。
【0008】また、高分子フィルム2aの厚さは、7μ
m未満が好ましく、特に1.0μmから5.8μmの範囲が好
ましい。高分子フィルム2aの厚さが1.0μm未満だと
相対的に金属又は半金属層をμmオーダーで厚くしなけ
れば強度を保つことは困難となるが、そのオーダーの金
属又は半金属層を設けるには生産性が極めて悪い。一
方、高分子フィルム2aの厚さが5.8μmを上回ると相
対的に金属又は半金属層を薄くできるが、全厚が薄くな
る場合、例えば全厚が7μm以下だと、媒体全体の強度
特性が劣る。
【0009】上記磁性層3は、上述の通り磁性粉末及び
結合剤を含有している。上記磁性粉末には、磁気記録媒
体に通常用いられるもの、例えば金属酸化物磁性粉末、
金属磁性粉末及び六方晶系フェライト磁性粉末等を特に
制限無く用いうる。同様に上記結合剤も磁気記録媒体に
通常用いられるもの、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂及び反応型樹脂ならびにこれらの混合物等を特に制限
無く用いうる。
【0010】上記磁性層3は、上記磁性粉末及び上記結
合剤ならびに必要に応じて用いられる各種添加剤等が溶
剤に分散・溶解してなる磁性塗料を塗布して形成され
る。上記溶剤には、ケトン系、エステル系、エーテル
系、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素系の各溶剤等を適
宜選択して使用できる。また、特開昭57−16212
8号公報に記載の各種溶剤等を使用できる。
【0011】上記添加剤には、帯電防止剤、潤滑剤及び
研磨剤等を適宜選択して使用できる。また、特開昭57
−162128号公報に記載の各種添加剤を使用でき
る。
【0012】上記磁性層3の厚みは、上記高分子フィル
ム2aよりも薄いことが好ましい。更に、高C/N、高
出力の点から、該磁性層3を多層にしたり、多層にした
磁性層の上層を特に薄くする等の工夫が好ましい。特
に、出力及び耐久性の向上から、該磁性層3の厚みは0.
1〜2.5μmが好ましく、0.15〜2.0μmが更に好まし
い。尚、該磁性層3と上記第1薄膜層2bとの間に、該
磁性層3に対するアンダーコート層(結合剤、フィラー
等を含む)を設けてもよい。
【0013】また、本発明の磁気記録媒体の保磁力H(O
e)は、媒体の長手方向のヤング率Y(GPa)と、媒体の全
厚D(μm)との関係において、H≧(4.3×104)/(Y×
D)を満たすことが好ましい。薄型化した媒体で高密度
記録を達成するには、相対的に高い保磁力が望まれる。
本発明の磁気記録媒体の保磁力が上記の関係を満たす場
合は、薄型化した際の適正な保磁力となる。なお、磁性
層が多層の場合、最上の磁性層(支持体から最も遠い磁
性層)が上記の保磁力を有することが望ましい。また、
これらの保磁力H、ヤング率Y、全厚Dは最終製品の値
である。
【0014】上記バックコート層4は、任意に用いられ
る層であり、通常公知のバックコート塗料を塗布して形
成される。該バックコート塗料に含まれる成分には、結
合剤、帯電防止剤、潤滑剤及び研磨剤等がある。これら
の成分には、上記磁性塗料に含まれる成分と同様のもの
が用いられる。
【0015】図1(イ)に示す磁気記録媒体1において
は、上述の通り、上記高分子フィルム2aと上記磁性層
3との間に、第1薄膜層2bが設けられており、上記高
分子フィルム2aと上記バックコート層4との間に、第
2薄膜層2cが設けられている。
【0016】上記第1薄膜層2b及び上記第2薄膜層2
cを設けることによって、磁気記録媒体に適度な剛性と
高い耐久性が付与される。また、上記両層には導電性が
あるので、帯電防止効果が発現する。結果、上記第1薄
膜層2b上に上記磁性層3を塗工によって形成する際
や、磁気記録媒体の使用時における帯電及びそれに伴う
静電気によるゴミの付着が防止され、ドロップアウトの
発生が低減される。その上、上記帯電防止のために従来
磁性層中に配合されていた導電性カーボンの配合量を低
減できるので、磁性層中の磁性粉末の分散性が向上し、
磁気記録媒体の出力が高くなる。
【0017】上記第1薄膜層2b及び上記第2薄膜層2
cは、伸び率が30%以上、好ましくは40〜100%、より
好ましくは40〜60%の金属もしくは半金属又はこれらの
酸化物、炭化物もしくは窒化物から形成されている。本
発明においてこの「伸び率」は、JIS G 0202-1135(198
3)で測定され、金属等の機械的特性の指標となる。すな
わち、伸び率の高い金属等は、展性や靱性に優れ、ねば
りのある金属として認識され得る。この伸び率を満たす
金属には、Fe、Ni、Ti、W、Mo、Al、Mn、
Cr、Cu、Zn、Zr、Snなどがある。また、この
伸び率を満たす半金属にはB、Si、Ge、Sbなどが
ある。更には伸び率が30%以上であれば、これらの合金
を用いうる。これらの材料のうち、Cu、Fe、Au、
Al、Zn又はこれらの酸化物もしくは合金が伸び率の
面で好ましく、更にはAl、Au、Cu又はこれらの酸
化物もしくは合金が電気抵抗の面で好ましい。最も好ま
しいものはCu又はCuを含有する合金もしくは化合物
である。なお、上記第1薄膜層2bを形成する材料と、
上記第2薄膜層2cを形成する材料とは同一でも異なっ
ていても良い。
【0018】磁気記録媒体、特に磁気テープのような長
尺型の媒体では媒体の走行方向、すなわち長手方向の耐
久性が要求される。しかし、高分子フィルムの長手方向
のヤング率を上げると幅方向のヤング率が低下し、従
来、長手・幅方向とも高いヤング率を有する高分子フィ
ルムは得難かった。特に当業界で汎用されているポリエ
ステル系フィルムではこの問題は顕著である。しかし、
本発明は、長手方向のヤング率が5GPa以上の高分子フ
ィルムと、その両面に形成される伸び率30%以上の金属
もしくは半金属の薄膜層の相乗的効果により、この問題
を回避し、結果的に優れた強度を有する磁気記録媒体を
供する。一方、伸び率が30%未満の金属もしくは半金属
により薄膜層を形成すると、破断強度は比較的良好とな
るが、後述のF3値が低下して靱性の低い媒体となり、
本発明の目的を達成できない。つまり、媒体の強度特性
は、破断強度のような硬度が反映される強度と、曲げ剛
性や伸長強度のような弾性や靱性が反映される強度の両
者のバランスが要求されるが、伸び率が30%未満の金属
もしくは半金属により薄膜層を形成した場合は、後者を
満たすことができない。
【0019】上記第1薄膜層2b及び上記第2薄膜層2
cは、公知の薄膜形成手段によってそれぞれ形成されて
いる。斯かる薄膜形成手段には、湿式メッキ法、化学気
相法(CVD)や真空蒸着、スパッタリング、イオンプ
レーティング等の真空製膜法(乾式メッキ法)が挙げら
れ、特に耐食性の点から真空製膜法が好ましい。
【0020】また、上記第1薄膜層2b及び上記第2薄
膜層2cの厚さは、何れも0.02〜0.50μmであり、好ま
しくは0.05〜0.30μmである。これらの厚さが0.02μm
未満であると十分な強度が得られない。また、0.50μm
を超えると弾性強度や靭性強度は向上するが、後述の実
施例のようにドロップアウトが増加し、良好なヘッドタ
ッチが達成されない。磁性層側に形成される上記第1薄
膜層2bとバックコート層側に形成される上記第2薄膜
層2cの厚さの比率は、曲げ剛性を高めるには同じ厚さ
にするか、更に好ましくは、第2薄膜層2cを第1薄膜
層2bより20%から100%厚くした方が効果が高い。
【0021】また、上記第1薄膜層2b及び上記第2薄
膜層2cの厚みの合計は0.05〜0.50μmが好ましく、0.
08〜0.30μmが更に好ましく、0.1〜0.20μmが一層好
ましい。上記厚みの合計が0.05μmに満たないと該薄膜
層2b,2cを設けたことによる効果が十分に発現し難
く、0.50μmを超えると、用いる材料にもよるが一般に
磁気記録媒体の剛性が強くなり過ぎてヘッドとの当たり
が不良になり、出力が低下したり、ヘッドの偏摩耗と招
く等の問題が起きうる。よって上記範囲内が好ましい。
また、片面のみの場合、ヘッドあたりが悪くなる。
【0022】上述の構成を有する本実施形態の磁気記録
媒体1においては、その全体の厚みは7.0μm以下が好
ましく、2.5〜6.5μmが更に好ましい。理由は、本発明
の効果、即ち、磁気記録媒体の強度特性及びヘッドタッ
チ特性の向上は、特に薄い支持体を用いた場合に顕著に
発揮されるが、厚い支持体を用いた場合(即ち、磁気記
録媒体の全厚が大きすぎる場合)には、該支持体の影響
が大きすぎて、大きな効果を発揮し難いからである。
【0023】次に、本発明の磁気記録媒体の第2及び第
3の実施形態を図1(ロ)及び図1(ハ)を参照して説
明する。ここで、図1(ロ)及び図1(ハ)は、それぞ
れ本発明の磁気記録媒体の第2及び第3の実施形態の構
造を示す模式図(それぞれ図1(イ)相当図)である。
尚、第2及び第3の実施形態については、上述の第1の
実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しな
い点については上述の第1の実施形態に関して詳述した
説明が適宜適用される。また、図1(ロ)及び図1
(ハ)において図1(イ)と同じ部材には同じ符号を付
してある。
【0024】図1(ロ)に示す実施形態の磁気記録媒体
1においては、上記第1及び第2薄膜層2b,2cの少
なくとも何れか一方(図1(ロ)においては両方)の表
面(外表面)にカーボンを主成分とする薄膜(以下、単
に「カーボン薄膜」という)が連続して設けられてい
る。即ち上記第1薄膜層2bと上記磁性層3との間に第
1カーボン薄膜5が設けられ、上記第2薄膜層2cと上
記バックコート層4との間に第2カーボン薄膜6が設け
られている。斯かるカーボンを主成分とする薄膜を設け
ると、各層間の膜密着性が向上し、磁気記録媒体の耐久
性が一層向上し、記録再生特性も向上する利点がある。
【0025】上記第1カーボン薄膜5及び上記第2カー
ボン薄膜6は、それぞれ炭素質材料、例えばダイヤモン
ドライクカーボン(DLC)やガラス状カーボン、グラ
ファイトライクカーボン(GLC)等から形成される。
この場合、上記第1カーボン薄膜5及び上記第2カーボ
ン薄膜6を形成する材料は同一、或いは異なっていても
よい。特に、良好なヘッド当たりを実現させて高い出力
を得るには、両層がDLCから形成されていることが好
ましい。
【0026】上記第1カーボン薄膜5及び上記第2カー
ボン薄膜6は、それぞれ蒸着法、直流スパッタ法、交流
スパッタ法、高周波マグネトロンスパッタ法、イオンビ
−ムスパッタ法等の各種のPVD(フィジカルベーパー
ディポジション)手段及び/又はCVD(ケミカルベー
パーディポジション)手段により形成される。
【0027】上記第1カーボン薄膜5及び上記第2カー
ボン薄膜6の厚みは、同一或いは異なっていてもよく、
好ましくは適度な剛性を得る点からそれぞれ0.06〜1μ
mであり、更に好ましくは0.08〜0.6μmである。ま
た、両者の厚みの合計は、良好なヘッド当たりを実現さ
せて高い出力を得る点から0.08〜0.8μmが好ましく、
0.1〜0.4μmが更に好ましい。
【0028】図1(ハ)に示す実施形態の磁気記録媒体
1には、上記第1薄膜層2bと上記磁性層3との間に非
磁性又は磁性の塗膜層7が設けられている。斯かる塗膜
層7を設けると、層間の結着性が向上して磁気記録媒体
の耐久性が良好になる。
【0029】上記塗膜層7が非磁性の場合、該塗膜層7
は、非磁性粉末を主成分とし、更に、結合剤、帯電防止
剤、潤滑剤及び研磨剤等が溶剤に分散・溶解してなる非
磁性塗料を塗布して形成される。一方、上記塗膜層7が
磁性の場合、該塗膜層7は、硬磁性粉末や軟磁性粉末等
の磁性粉末を主成分とし、更に、結合剤、帯電防止剤、
潤滑剤及び研磨剤等が溶剤に分散・溶解してなる磁性塗
料を塗布して形成される。
【0030】上記塗膜層7を設けるには、該塗膜層7を
上記磁性層3と共にウエット・オン・ウエット方式によ
る同時重層塗布法で形成することが、両者の境界面が滑
らかになると共に上記磁性層3の表面性が良好になる点
から好ましい。
【0031】上記塗膜層7の厚みは、磁気記録媒体の曲
げ剛性、カッピングやカーリング発生防止等の点から、
0.05〜2.5μmが好ましく、0.1〜2.0μmが更に好まし
い。
【0032】以上、本発明の磁気記録媒体をその好まし
い実施形態に基づき説明した。本発明は上記実施形態に
制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種
々の変更が可能である。
【0033】例えば、本発明の磁気記録媒体は、上記実
施形態の他に、図1(ニ)に示すような構成、即ち、支
持体2と、該支持体2の一面側に設けられた磁性層3
と、該支持体2の他面側に設けられたバックコート層4
とを具備し;該支持体2が高分子フィルム2aと、該フ
ィルム2aと該磁性層3との間に設けられた第1薄膜層
2bと、該フィルム2aと該バックコート層4との間に
設けられた第2薄膜層2cとからなり;また、該第1薄
膜層2bと該磁性層3との間に第1カーボン薄膜5が設
けられていると共に該第2薄膜層2cと該バックコート
層4との間に第2カーボン薄膜6が設けられており;更
に、該第1薄膜層2bと該磁性層3との間に非磁性又は
磁性の塗膜層7が設けられている構成でもよい。
【0034】また、上記フィルム2aと上記第1薄膜層
2b又は上記第2薄膜層2cとの間にプライマー層を設
けたり、或いは、磁気記録媒体における何れかの層間に
長波長信号を使用するハードシステムに対応してサーボ
信号等を記録するための他の磁性層及びその他の層を設
けても良い。
【0035】また、図1(イ)〜(ニ)に示す磁気記録
媒体においては、バックコート層を形成しなくてもよ
い。
【0036】また、図1(ロ)及び図1(ニ)に示す磁
気記録媒体においては、第1カーボン薄膜及び第2カー
ボン薄膜の両方が形成されているが、これらの層のうち
の何れか一方は形成しなくてもよい。
【0037】本発明の磁気記録媒体は、8mmビデオテー
プやDATテープ、DLTテープ、DVCテープ等の磁
気テープに好適であるが、特にこれらのうち総厚が薄い
磁気テープに好適である。
【0038】本発明の磁気記録媒体は、磁性層形成面の
表面電気抵抗が1×107Ω/□以下、更には1×106Ω/
□以下であり、且つ磁性層形成面と反対の面、典型的に
はバックコート層形成面の表面電気抵抗が1×106Ω/
□以下、更には1×105Ω/□以下が望ましい。表面電
気抵抗がこの範囲にあると、媒体全体の導電性が向上
し、ドロップアウトがより少なくなる。また、製造工程
における塗工処理、カレンダー処理などの際の静電気に
よる巻き乱れトラブルを防ぎうる。この表面電気抵抗
は、JIS X-6127(1992)に基づき測定される。
【0039】また、本発明の磁気記録媒体は、JIS X-61
27(1992)により測定された破断強度が6N以上、特に6.
5N以上が好ましい。この破断強度は、幅3.81mmに裁断
された磁気記録媒体の試験片の破断に要する力であり、
媒体の機械強度の指標である。更に、本発明の磁気記録
媒体は、JIS X-6127(1992)により測定された3%伸び荷
重(F3値)が4.5N以上、特に4.7N以上が好ましい。
このF3値は、幅3.81mmに裁断された磁気記録媒体の試
験片を3%伸ばすのに要する力であり、弾性もしくは靱
性強度の指標である。これらの範囲の破断強度あるいは
F3値を有することにより、強度が十分となり、例えば
テープのドライブ内での巻き付きトラブルが生じても簡
単に破断しない。好ましくは上記の両方の破断強度とF
3値を満たすことである。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、破断強度や伸びなどの
機械的強度に優れ、ヘッドタッチ特性に優れた塗布型の
磁気記録媒体が得られる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明の有効性を例証す
るが、本発明の範囲は斯かる実施例に制限されるもので
はない。
【0042】実施例1 〔I〕磁気テープの製造 厚み4.5μm、長手方向のヤング率9GPaのPENフィル
ムの両面に、それぞれCu(伸び率50%)からなる厚み
0.17μmの蒸着薄膜層を設け、その一方のCu蒸着薄膜
層上に下記組成の磁性塗料から厚み1.5μmの塗布型磁
性層を形成し、もう一方のCu蒸着薄膜層上に下記組成
のバックコート塗料を塗布、乾燥し、厚み0.6μmのバ
ックコート層を形成した。その後該フィルムを3.81mm幅
に裁断後、DDS2カセットにローディングして評価用
カセットテープを得た。
【0043】 <磁性塗料の配合> ・鉄を主体とする針状金属磁性粉末 100重量部 (長軸長:0.07μm、軸比:6、Hc:1760Oe、飽和磁化:142emu/g) ・アルミナ(研磨剤;平均粒子径0.15μm) 8重量部 ・カーボンブラック(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm) 0.5重量部 ・塩化ビニル系共重合体(結合剤) 10重量部 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 7重量部 ・ステアリン酸(潤滑剤) 1.5重量部 ・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) 3重量部 ・イソシアネート系硬化剤 4重量部 ・メチルエチルケトン 120重量部 ・トルエン 80重量部 ・シクロヘキサノン 40重量部 。
【0044】 <バックコート塗料の配合> ・カーボンブラック(帯電防止剤、平均一次粒子径:0.018 μm) 40重量部 ・ニッポラン2301(結合剤) 50重量部 〔商品名 日本ポリウレタン工業(株)のポリウレタン〕 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4重量部 〔武田薬品工業(株)製、商品名(D-250N)〕 ・ニトロセルロース 20重量部 ・ステアリン酸 1重量部 ・メチルエチルケトン 140重量部 ・トルエン 140重量部 ・シクロヘキサノン 140重量部 。
【0045】〔II〕磁気テープの評価 上記で得た磁気テープについて、F3値、破断強度及び
表面電気抵抗を測定し、下記の方法でドロップアウト及
び曲げ剛性を測定した。結果を表1に示す。併せて、磁
気テープの長手方向のヤング率Y(GPa)と、媒体の全厚
D(μm)と、磁性層の保磁力H(Oe)の関係も表1に示
す。
【0046】また、本例で得た磁気テープのエンベロー
プ波形を図2に示す。このエンベロープ波形は、記録密
度1500ftpmmの信号を最適記録電流値にて、1トラック
分、オシロスコープで観察したものである。
【0047】(1)ドロップアウト 記録密度1500ftpmmの平均信号振幅の半分の50%以下を
ドロップアウトとする。これを12000トラックあたりの
数で表した。
【0048】(2)曲げ剛性 JIS X 6129 1993, 7.12(P25)に基づいて測定する。すな
わち、万能引張試験機により磁気テープのヤング率を求
め、E×I=(E×W×T3)/12により算出した。
【0049】実施例2 実施例1において、長手方向のヤング率が7GPaである
PENフィルムを用いた他は実施例1と同様にしてカセ
ットテープを製造し、実施例1と同様の評価を行った。
その結果を表1に示す。なお、このテープのエンベロー
プ波形(測定法は実施例1と同じ)を図3に示す。
【0050】実施例3 実施例1において、フィルムの両面に形成する蒸着薄膜
をAl95%、Zn5%からなる合金(伸び率60%)に
より形成し、且つバックコート層側に形成するAl−Z
n蒸着薄膜層の厚みを0.10μmとし、磁性層側に形成す
るAl−Zn蒸着薄膜層の厚みを0.15μmとする他は実
施例1と同様にしてカセットテープを製造し、実施例1
と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0051】実施例4 実施例1において、フィルムの両面に形成する蒸着薄膜
をAu(伸び率30%)により形成し、且つバックコート
層側に形成するAu蒸着薄膜層の厚みを0.15μmとし、
磁性層側に形成するAu蒸着薄膜層の厚みを0.10μmと
する他は実施例1と同様にしてカセットテープを製造
し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に
示す。
【0052】比較例1 実施例1において、長手方向のヤング率が7GPaである
PENフィルムを用い、このフィルムの両面に形成する
蒸着薄膜層をCo(伸び率6%)からなる厚み0.15μm
の蒸着薄膜層とした他は実施例1と同様にしてカセット
テープを製造し、実施例1と同様の評価を行った。その
結果を表1に示す。
【0053】比較例2 実施例1において、長手方向のヤング率が5GPaである
厚さ4.5μmのPETフィルムを用い、このフィルムの
両面に形成する蒸着薄膜層をPd(伸び率24%)からな
る厚み0.15μmの蒸着薄膜層とした他は実施例1と同様
にしてカセットテープを製造し、実施例1と同様の評価
を行った。その結果を表1に示す。
【0054】比較例3 実施例2において、PENフィルムの両面に形成するC
u蒸着薄膜層の厚みを0.01μmとする他は実施例1と同
様にしてカセットテープを製造し、実施例1と同様の評
価を行った。その結果を表1に示す。なお、このテープ
のエンベロープ波形(測定法は実施例1と同じ)を図4
に示す。
【0055】比較例4 実施例1において、長手方向のヤング率が7GPaである
PENフィルムを用い、このフィルムの両面に形成する
Cu蒸着薄膜層の厚さをそれぞれ0.7μmとした他は実
施例1と同様にしてカセットテープを製造し、実施例1
と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0056】比較例5 実施例1において、長手方向のヤング率が2GPaである
厚さ4.5μmのPETフィルムを用いた他は実施例1と
同様にしてカセットテープを製造し、実施例1と同様の
評価を行った。その結果を表1に示す。
【0057】比較例6 実施例1において、長手方向のヤング率が7GPaである
PENフィルムを用い、フィルム両面のCu蒸着薄膜層
を形成せずに磁性層とバックコート層を形成した他は実
施例1と同様にしてカセットテープを製造し、実施例1
と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の実施形態の構造を示す
模式図である。
【図2】実施例1で得られた磁気テープのエンベロープ
波形である。
【図3】実施例2で得られた磁気テープのエンベロープ
波形である。
【図4】比較例3で得られた磁気テープのエンベロープ
波形である。
【符号の説明】 1:磁気記録媒体 2:支持体 2a:高分子フィルム 2b:第1薄膜層 2c:第2薄膜層 3:磁性層 4:バックコート層 5:第1カーボン薄膜 6:第2カーボン薄膜 7:非磁性又は磁性の塗膜層
フロントページの続き (72)発明者 吉田 修 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に設けられた磁性
    粉末及び結合剤を含有する磁性層とを具備してなる磁気
    記録媒体において、前記支持体が、長手方向のヤング率
    5GPa以上の高分子フィルムと、該フィルムの両面に形
    成された伸び率が30%以上の金属もしくは半金属又はこ
    れらの酸化物、炭化物もしくは窒化物からなる厚さ0.02
    〜0.50μm薄膜から構成されることを特徴とする磁気記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 媒体の全厚が7μm以下であり、且つ前
    記高分子フィルムの厚さが7μm未満である請求項1記
    載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記薄膜が、Cu又はCuを含有する合
    金もしくは化合物から構成される請求項1又は2記載の
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 媒体の長手方向のヤング率Y(GPa)、全
    厚D(μm)及び保磁力H(Oe)が、H≧(4.3×104)/(Y
    ×D)の関係を満たす請求項1〜3の何れか1項記載の
    磁気記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006127602A (ja) * 2004-10-27 2006-05-18 Sony Corp 磁気テープ媒体
JP2006277920A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Toray Ind Inc 磁気記録媒体用支持体および磁気記録媒体
JP2009099245A (ja) * 2007-09-26 2009-05-07 Toray Ind Inc 磁気記録媒体用支持体および磁気記録媒体

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