JPH11211683A - 熱画像解析方法および装置 - Google Patents

熱画像解析方法および装置

Info

Publication number
JPH11211683A
JPH11211683A JP1886498A JP1886498A JPH11211683A JP H11211683 A JPH11211683 A JP H11211683A JP 1886498 A JP1886498 A JP 1886498A JP 1886498 A JP1886498 A JP 1886498A JP H11211683 A JPH11211683 A JP H11211683A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fractal dimension
scale
thermal
point
division
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1886498A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Minami
裕二 南
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP1886498A priority Critical patent/JPH11211683A/ja
Publication of JPH11211683A publication Critical patent/JPH11211683A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Image Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラクタル次元の変化感度が十分に得られる
熱解析方法および装置を提供すること。 【解決手段】 対象物における熱状態の時間変化を表す
熱画像を熱画像計測手段21により生成し、この熱画像
の各々に対し局所フラクタル次元曲線を計算する局所フ
ラクタル次元計算手段12備えている。この局所フラク
タル次元計算手段14で計算した結果から、スケール分
割範囲決定手段13によりスケールの分割範囲を決定す
る。このスケール分割範囲決定手段13で決定したスケ
ール分割範囲情報に従って、前記熱画像の各々に対し各
分割スケール範囲におけるフラクタル次元を計算するフ
ラクタル次元計算手段14とを備えたことを特徴とする
熱画像解析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱画像のフラクタル
次元解析による熱解析方法およびこの方法を用いて電子
機器の故障診断を行う熱解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱画像は対象物の熱分布を例えば赤外線
熱カメラで計測し、これを画像で表現したものであり、
従来から電子機器あるいは電子回路などの簡易診断にお
いて利用されている。すなわち、電子機器などの故障診
断において、ホットスポットを正常時の熱画像と故障時
の熱画像の差分により抽出して故障部位を特定すること
などが行われている。これは故障と発熱の相関が高い場
合が多いので、差分法で故障箇所が特定できるためであ
る。この差分法は同様の理由で電子機器などの異常診断
にも使えるが、診断というより検知のレベルである。ま
た、従来の熱画像解析の事例の多くは、対象物のホット
スポット温度等を扱い、分布として解析することは少な
い。精密診断を行うためには、ホットスポットだけでな
く、熱分布と故障、異常、劣化等の因果関係を含む診断
知識を得なければならない。すなわち、精密診断装置と
して利用するためには、熱分布の特徴を定量化し、原因
と関連付けを行う必要がある。しかし、熱画像の濃度分
布が3次元の非線形形状であるため、この特徴を単純に
は定量化できない。また、どのような特徴を見ることが
原因との関連付けを行うことがてきるのかが明確でない
のが現状である。
【0003】従来、熱画像の濃度分布形状(非線形形
状)の解析にフラクタル次元が研究レベルてはあるが適
用されている。しかし、未だ単に熱画像のフラクタル次
元を計算するだけにとどまっており、診断等への応用は
これからという状態である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電子機器などの診断知
識をルールとして構築し、自動診断装置を構成していく
ためには、熱画像の濃度分布の特徴を定量化していく必
要がある。濃度分布は非線形形状であるから、非線形形
状の複雑さを定量化できるフラクタル次元が有効であ
る。ここで、対象物の発熱は、定常状態において環境条
件の影響を強く受け、環境条件により状態のばらつきが
大きく、診断精度が悪くなるため、熱分布の過渡的状態
(時間変化)を対象にする方がよい。しかし熱分布の過
渡的状態が対象になる場合、熱分布の時間変化の特徴を
定量化しなければならない。この場合、時間変化を表す
複数の熱画像のフラクタル次元を計算することになる。
このフラクタル次元の変化が熱状態の時間変化特性であ
る。ここで重要なことは、フラクタル次元の変化感度が
十分に得られるか否かがポイントであり、この感度が十
分でない場合は診断精度が悪くなる。
【0005】したがって本発明の目的は、熱状態の時間
変化特性をフラクタル次元変化で感度よく定量化する熱
状態定量化方法を用い、このフラクタル次元変化の特徴
を抽出する熱解析方法を提供するとともに、この方法を
用いて高精度に診断を行うことが可能な熱解析装置を提
案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の熱画像解析方法
は、対象物における熱状態の時間変化を表す熱画像を生
成する手段と、前記熱画像の各々に対し局所フラクタル
次元曲線を計算する局所フラクタル次元計算手段と、前
記局所フラクタル次元計算手段で計算した結果からスケ
ールの分割範囲を決定するスケール分割範囲決定手段
と、このスケール分割範囲決定手段で決定したスケール
分割範囲情報に従って、前記熱画像の各々に対し各分割
スケール範囲におけるフラクタル次元を計算するフラク
タル次元計算手段とを備えたことを特徴とするものであ
る。
【0007】また、本発明の熱画像解析方法において
は、前記のスケール分割範囲決定手段は、前記熱状態の
時間変化を表す各時間点の熱画像について計算した局所
フラクタル次元曲線群の傾向からスケール分割点を決定
し、この分割点で分割されるスケール範囲を前記スケー
ル分割範囲とすることを特徴とするものである。
【0008】さらに、本発明の熱画像解析方法において
は、前記局所フラクタル次元曲線群の傾向からスケール
分割点の決定は、前記局所フラクタル次元曲線群の傾向
として、前記局所フラクタル次元曲線の変化点を分割点
とするパターン則1と、前記局所フラクタル次元曲線群
の曲線間交差点を分割点とするパターン則2とにより決
定することを特徴とするものである。
【0009】さらに、本発明の熱画像解析方法において
は、前記パターン則1には、前記変化点の変化量が所定
のしきい値より大きくなる変化点のみ分割点とするとい
う制約条件を設け、前記パターン則2には、前記局所フ
ラクタル次元曲線の曲線間隔が交差点前後で少なくとも
一方が所定のしきい値より大きくなる交差点のみを分割
点とするという制約条件を設けたことを特徴とするもの
である。
【0010】本発明の熱画像解析装置は、対象物におけ
る熱状態の時間変化を表す熱画像を生成する手段と、前
記熱画像の各々に対し局所フラクタル次元曲線を計算す
る局所フラクタル次元計算手段と、前記局所フラクタル
次元計算手段で計算した結果からスケールの分割範囲を
決定するスケール分割範囲決定手段と、このスケール分
割範囲決定手段で決定したスケール分割範囲情報に従っ
て、前記熱画像の各々に対し各分割スケール範囲におけ
るフラクタル次元を計算するフラクタル次元計算手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0011】また、本発明の熱画像解析装置において
は、前記のスケール分割範囲決定手段は、前記熱状態の
時間変化を表す各時間点の熱画像について計算した局所
フラクタル次元曲線群の傾向からスケール分割点を決定
し、この分割点で分割されるスケール範囲を前記スケー
ル分割範囲とすることを特徴とするものである。
【0012】さらに、本発明の熱画像解析装置において
は、前記局所フラクタル次元曲線群の傾向からスケール
分割点の決定は、前記局所フラクタル次元曲線群の傾向
として、前記局所フラクタル次元曲線の変化点を分割点
とするパターン則1と、前記局所フラクタル次元曲線群
の曲線間交差点を分割点とするパターン則2とにより決
定することを特徴とするものである。
【0013】さらに、本発明の熱画像解析装置において
は、前記パターン則1には、前記変化点の変化量が所定
のしきい値より大きくなる変化点のみ分割点とするとい
う制約条件を設け、前記パターン則2には、前記局所フ
ラクタル次元曲線の曲線間隔が交差点前後で少なくとも
一方が所定のしきい値より大きくなる交差点のみを分割
点とするという制約条件を設けたことを特徴とするもの
である。
【0014】さらに、本発明の熱画像解析装置において
は、前記フラクタル次元計算手段の出力結果からフラク
タル次元変化率と次元定常値を抽出する特徴抽出手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0015】さらに、本発明の熱画像解析装置において
は、前記フラクタル次元計算手段の出力結果に対するし
きい値判定により異常判定する異常判定手段とを備えた
ことを特徴とするものである。
【0016】さらに、本発明の熱画像解析装置において
は、前記フラクタル次元計算手段の出力結果を履歴デー
タとして記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶して
いる履歴情報が示すトレンド傾向から劣化有無を判定す
るとともに、劣化辞書を参照して熱状態の時間変化特性
における経年変化現象とその原因候補の特定をする劣化
診断手段とを備え、前記劣化辞書は、対象物における熱
状態の時間変化特性をフラクタル次元の時間変化の特徴
量で定量化し、前記特徴量の経年変化傾向を数理論的に
記述し、前記記述を前記熱状態の時間変化特性における
経年変化現象の定量表現とみなし、前記数理論的記述と
前記経年変化現象を引き起こす物理・化学的な単一又は
複数の原因候補の記述とのセットを記憶したテーブルを
備えていることを特徴とするものである。
【0017】すなわち、上記の目的を達成するために、
本発明の熱状態定量化装置は、対象物における熱状態の
時間変化を表す熱画像において、前記熱画像の各々に対
し局所フラクタル次元曲線を計算する局所フラクタル次
元計算手段と、前記局所フラクタル次元計算手段で計算
した結果から、フラクタル次元変化で熱状態の時間変化
を感度良く定量化できるようにスケールの分割範囲を決
定するスケール分割範囲決定手段と、前記スケール分割
範囲決定手段で決定したスケール分割範囲情報に従っ
て、前記熱両像の各々に対し各分割スケール範囲におけ
るフラクタル次元を計算するフラクタル次元計算手段と
を備えたことを特徴とするものてある。
【0018】本発明のスケール分割範囲決定方法は、上
記のスケール分割範囲決定手段を実現する分割範囲決定
方法として、熱状態の時間変化を表す各時間点の熱画像
について計算した局所フラクタル次元曲線群の傾向から
スケール分割点を決定し、前記分割点で分割されるスケ
ール範囲をスケール分割範囲とすることを特徴とするも
のてある。
【0019】本発明の分割則は、前記のスケール分割範
囲決定方法において、局所フラクタル次元曲線群の傾向
からスケール分割点を決定する方法として、前記局所フ
ラクタル次元曲線群の傾向を、前記局所フラクタル次元
曲線の変化点を分割点とするパターン則1と、前記局所
フラクタル次元曲線群の曲線間交差点を分割点とするパ
ターン則2とで前記パターン則1と前記パターン則2に
従って分割することを特徴とするものてある。
【0020】本発明の分割則は、また、前記分割則にお
いて、変化点の変化量が所定のしきい値より大きくなる
変化点のみ分割点とするという制約条件を前記パターン
則1に設け、局所フラクタル次元曲線の曲線間隔が交差
点前後で少なくとも一方が所定のしきい値より大きくな
る交差点のみ分割点とするという制約条件を前記パター
ン則2に設けたことを特徴とするものてある。
【0021】さらに、本発明の分割則は、前記分割則に
おいて、パターン則1、パターン則2で決まったスケー
ル分割点間をさらに分割すること及び前記スケール分割
点間内の一部範囲のみを分割スケール範囲とすることを
緩和条件として設けたことを特徴とするものてある。
【0022】また、本発明の分割点絞り込み方法は、前
記分割則で決定した複数のスケール分割点において、ス
ケール上隣接する前記スケール分割点間隔が所定のしき
い値より小くなる場合、前記しきい値より大きくなるよ
うに前記分割点を除去及び統合することを特徴とするも
のである。
【0023】本発明の絞り込み方法は、また、前記分割
点絞り込みを、前記の分割則で決定した複数のスケール
分割点全点に対し、前記全点から1点Aを取り出し、前
記スケール分割全点中の隣接する2点A、B間のスケー
ル間隔が所定のしきい値より小さく、且つ、前記2点
A、Bがいずれも請求項3でいう交差点又は変化点であ
る場合、前記2点A、B内のスケール範囲に1点の新た
な代表点Cを設け、前記代表点Cを分割点Cとし、前記
2点A、Bの分割点を除去し、前記スケール分割全点中
の隣接する2点A、B間のスケール間隔が前記「所定の
しきい値」より小さく、且つ、前記2点A、Bが前記変
化点と交差点である場合、変化点と交差点で優先する方
の一方を残し、他方を除去する優先処理を行い前記スケ
ール分割全点中の隣接する2点A、B間のスケール間隔
が前記「所定のしきい値」より大きい場合、A点は除去
しないとし、以上を前記全点について、且つ、隣接する
分割点間隔すべてが前記「所定のしきい値」より大きく
なるまて繰り返すことを特徴とするものてある。
【0024】さらに、本発明の熱状態定量化装置は、上
記の方法を処理機能として装備した前記スケール分割範
囲決定手段を備えることを特徴とするものである。
【0025】本発明の熱状態定量化装置は、上記の方法
で決定したスケール分割範囲情報を記憶しているデータ
記憶手段と、対象物における熱状態の時間変化を表す熱
画像を入力し、前記データ記憶手段に記憶している前記
スケール分割情報に従って各分割スケール範囲における
前記入力した各々の熱画像のフラクタル次元を計算する
フラクタル次元計算手段を備えたことを特徴とするもの
てある。
【0026】本発明の熱解析装置は、対象物における熱
状態の時間変化を表す熱画像を計測・画像化する熱画像
計測手段と、前記熱画像計測手段の結果を定量化する前
記の熱状態定量化装置と、前記熱状態定量化装置で定量
化した結果からフラクタル次元変化率と次元定常値を抽
出する特徴抽出手段とを備えたことを特徴とするものて
ある。
【0027】本発明の異常判定装置は、前記の熱状態定
量化装置を備える熱解析装置と、前記熱解析装置て解析
した結果に対するしきい値判定により異常判定する異常
判定手段とを備えたことを特徴とするものてある。
【0028】本発明におけるの劣化辞書は、対象物にお
ける熱状態の時間変化特性をフラクタル次元の時間変化
の特徴量で定量化し、前記特徴量の経年変化傾向を数理
論的に記述し、前記記述を前記「熱状態の時間変化特
性」における経年変化現象の定量表現とみなし、前記数
理論的記述と前記経年変化現象を引き起こす物理・化学
的な単一又は複数の原因候補の記述とのセットをテーブ
ル上に作成したことを特徴とするものてある。
【0029】本発明の劣化診断装置は、前記の熱状態定
量化装置を備える熱解析装置と、前記熱解析装置で解析
した結果を履歴データとして記憶する記憶手段と、前記
記憶手段に記憶している履歴情報が示す前記解析した結
果のトレンド傾向から劣化有無を判定し、前記の劣化辞
書を参照して、熱状態の時間変化特性における経年変化
現象とその原因候補の特定をする劣化診断手段とを備え
たことを特徴とするものてある。
【0030】本発明の実装回路基板用方法及ひ装置は、
前記の対象物を電子・電気部品を実装した実装回路基板
とすることを特徴とするものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態であ
る熱解析装置を説明するための機能ブロック図である。
同図は、熱状態が時間変化する対象物において、その対
象物の熱状態(a)をサンプリング周期毎に熱画像計測
手段21に入力し、その対象物表面の熱状態を計測・画
像化する。熱画像計測手段21により計測・画像化した
熱画像のセットデータ(b)は外部から供給されるスケ
ール分割確認信号(c)によりデータ(b)の流れを制
御するデータ制御手段11に供給される。データ制御手
段11からのデータ(b)は局所フラクタル次元計算手
段12に供給され、ここでデータ(b)の各熱画像の局
所フラクタル次元曲線を計算する。局所フラクタル次元
計算手段12による計算結果(d)はスケール分割範囲
決定手段13に供給される。このスケール分割範囲決定
手段13は、計算結果(d)の自動解析によりフラク夕
ル次元変化が熱状態変化を感度良く定量化できるように
スケールの分割範囲を決定するとともに、自動解析の一
部を外部からのユーザ判断(h)で補う2つの機能を備
えている。データ制御手段11からデータ(b)とスケ
ール分割範囲決定手段13で決定した分割範囲情報
(e)はフラクタル次元計算手段14に供給される。フ
ラクタル次元計算手段14は、入力された分割範囲情報
(e)に従ってデータ(b)を構成する熱画像の各分割
スケール範囲におけるフラクタル次元を計算し、その結
果(f)を特徴抽出手段22に出力する。特徴抽出手段
22はデータ(f)から次元変化率、次元定常値を抽出
する。ここで、データ制御手段11、局所フラクタル次
元計算手段12、スケール分割範囲決定手段13および
フラクタル次元計算手段14は熱状態定量化装置1を構
成し、熱画像計測手段21および特徴抽出手段22は熱
解析装置2を構成する。
【0032】ここで、局所フラクタル次元計算手段12
およびフラクタル次元計算手段14において、画像のフ
ラクタル次元を計算するアルゴリズムはいろいろ発表さ
れているが、この実施形態における試験データ(フラク
タル次元)を計算したアルゴリズムは次の通りである。
但し、本発明は以下のアルゴリズムに限定されるもので
はなく、フラクタル理論で知られるどのような次元計算
アルゴリズムでも利用することができる。
【0033】このアルゴリズムは立方体で濃度曲面を被
覆するアルゴリズムである。いま、画像濃度曲面を一辺
画素間隔がr画素の立方体で被覆するときに必要な個数
をN(Rm)とすると、スケールRmによらず次式が成
立する場合、Hをフラクタル次元と定義する。
【0034】
【数1】 (1)式の両辺に対数をとると、
【数2】 上式より、複数の標本値(log10Rm、log10N
(Rm))から最小二乗法を用いて回帰直線の傾きを求
め、それを−Hの推定値とする。
【0035】ここで、N(Rm)の計算方法を述べる。
まず、画素間隔かRm×Rmの領域を単位領域とする。
図19に示すように、単位領域の濃度曲面を被覆する1
辺の画素間隔Rmの立方体の個数n(Rm)を次式によ
り求める。
【0036】
【数3】 但し、floor{x}:xの整数化(切り捨て) xi:画像上の単位領域(Rm×Rm)の四隅の座標点
(1=1,2,3,4) f[xi]:座標iでの画像濃度曲面上の濃度値 max:画像上の単位領域(Rm×Rm)の四隅の座標
点における濃度値の最大値 min:画像上の単位領域(Rm×Rm)の四隅の座標
点における濃度値の最小値 次に、フラクタル次元を計算する領域(面積Z)内のす
べての単位領域(Rm×Rm)で、n(Rm)を計算
し、その平均値がn(Rm)であるとき、N(Rm)を
次式とする。
【0037】
【数4】 なお、通常フラクタル次元というと、画像のフラクタル
性(自己相似性または統計的自己相似性)が成立する範
囲のスケール間で計算したものをフラクタル次元と定義
している。しかし本発明では、この数学的厳密な定義に
制約されずフラクタル性がないスケール範囲でもすべて
近似的にフラクタルと見なして次元計算する。
【0038】次にこのように構成された実施形態の動作
を図2のフローチャートによりに説明する。
【0039】熱画像計測手段21は、前述したように、
対象物の熱状態を測定し、熱画像として出力する手段で
ある。ここで対象物とは、産業的に利用可能な対象物、
例えば、集積積回路、各種装置、稼働設備等動的な物、
材料、土木建造物等静的な物、さらには動植物や人体等
の自然物などすべてを含む。また、熱状態は動作や環境
条件を設定する場合のように、人為的又は自然発生的に
起こり得るすべての熱状態の時間変化特性を対象にす
る。熱画像計測手段21の実現方法は種々存在するが、
以下では赤外線熱カメラを適用する方法を説明する。
【0040】まず、図2に示すように、対象物表面を2
次元走査して集光レンズにより放射赤外線(a)を計測
する(ステップS1)。
【0041】計測した2次元走査点での各赤外線強度を
起電力すなわち、温度信号電圧に変換し、温度一起電力
特性から温度値に換算する。ここで、必要ならば面放射
率補正を行う(ステップS2)。
【0042】以上で2次元対象物上の各走査点の温度
値、つまり熱状態が計測されたことになる。この温度値
は、測定環境の変動、特に周囲温度により変動する。本
発明では、正確な熱状態の時間変化特性の同定のため、
理想的には対象物を同一環境で測定した結果として得ら
れる熱状態を解析対象とするが、現実にはそのような理
想環境を実際することは難しいケースが多い。そこで、
環境補正つまり、周囲温度補正を行う。この補正は次式
【数5】 すなわち、計測温度から周囲温度を引いた値を補正温度
とし、これを2次元走査した全走査点温度に対して行
う。つまり、この補正温度は周囲温度からの上昇温度で
ある。同一温度環境で測定できる場合は補正は必要ない
が、仮に補正しても効果において問題はない(ステップ
S3)。
【0043】次に、補正した熱状態を画像化する。画像
化は各補正温度値を画像濃度値(濃度値:濃淡値又は輝
度値とも言う)に換算する。例えば、画像化する温度範
囲を0°C〜100°Cとし、濃度幅を256階調とす
ると次式で換算できる。(ステップS4)
【数6】 以上の一連動作は所定のサンプリング周期毎に行う。但
し、この動作は対象物の熱状態が定常状態になるまで行
う。この様子を図3の概略図で示す。すなわち、図3は
対象物の温度の時間に対する変化を表すグラフである。
すなわち、同図の曲線FTは時間tAに対する対象物の
ある測定領域の平均温度を示す。また、同図中の四辺枠
bl、b2は、各サンプリング周期tSAで時間tA
1、tA2においてそれぞれ計測・画像化した熱画像を
意味するものである。また、時間tEの四辺枠b3は熱
状態が定常付近の熱画像である。同図に示すように、あ
る定常状態から次の定常状態までの温度変化、すなわ
ち、平均温度T0からTEまで変化する間、サンプリン
グ周期tSAで計測・画像化するわけである。定常かど
うかの判断方法は平均温度の変動がある所定範囲以内に
収束した場合等て判断すれば良い。ここで、必ずしも定
常にならないような熱状態を解析対象にする場合、この
定常判定にかかわらずユーザ所定の設定時間だけ計測す
る方法もある(ステップS5)。
【0044】図1の熱状態定量化装置1は外部から熱状
態の時間変化データ(b)を入力し、熱特性の定量化又
は定量化するためのスケール分割範囲の決定を行う。以
下、この動作を図2のプロセスPIで示すステップに従
って説明する。データ制御手段11にはデータ(b)が
入力され、予め受けていた外部からの指示信号(c)に
従い、データの流れを制御する(ステップS6)。
【0045】指示信号(c)はスケール分割範囲の決定
開始又はこれをスキップするかのいずれかを指示する2
値情報からなる信号である。開始する場合は、局所フラ
クタル次元計算手段12とフラクタル次元計算手段14
にデータ(b)を出力する。また、キャンセルの場合
は、フラクタル次元訃算手段14にのみデータ(b)を
出力する。ここで、スケール分割範囲の決定を開始する
場合とは、スケール分割をまだ行っていないケースや、
やり直すケースてある。逆に、スキップする場合は、す
でにスケール分割を実施している場合である。尚、スケ
ール分割した場合の分割情報はスケール分割範囲決定算
手段13が保持している(ステップS7)。
【0046】局所フラクタル次元計算手段12には、デ
ータ制御手段11からデータ(b)が入力され、デー夕
(b)の各熱画像の局所フラクタル次元曲線を計算す
る。データ(b)は図3において示した定常状態から次
の定常状態までのサンプリング周期毎の複数の熱画像の
セットである。局所フラクタル次元の概念及び計算法は
公知であり、スケールの局所点における局所的フラクタ
ル次元である。すなわち、局所点Rmにおける測度N
(Rm)の微分(傾き)で定義されている。尚、測度と
は、概念的であるがフラクタル次元理論で示されるよう
に、対象の長さ、面積、体積等をあるスケールで測った
場合の観測量のことを意味する。
【0047】
【数7】 局所フラクタル次元を所定のスケール範囲(Rm範囲)
で計算する。計算は次式であるが、実際は測度とスケー
ルの関係をプロットしたデータから計算する。具休的に
は、各局所点Rm(Rm=2〜Rm範囲上限)での局所
フラクタル次元はRmとその前後Rm−1とRm+1に
おける測度点の最小二乗近似直線の傾きを計算する。こ
の傾きの符号極性を反転した値がRmにおける局所フラ
クタル次元である。これを所定のスケール範囲の各Rm
について計算する。但し、本発明及び本実施例がここで
説明した局所フラクタル次元の計算方法に限定されるも
のてはない。スケールの局所におけるフラクタル次元の
概念に従えば算出法に制約はない。熱画像が示す熱分布
の起伏状態の複雑さを見る範囲をどこまで微少な状態ま
で見るかがスケール範囲の下限値を意味する。また、ど
こまて大観的な状態の複雑さを見るかてスケール範囲の
上限を決める必要かある。これは、解析対象の熱状態の
特徴をどこまて細かく見るか等を解析者が決めていく必
要があるので、限定表現とはせずに、単に「所定のスケ
ール範囲」とした。
【0048】図4は局所フラクタル次元の概念を模式的
に示す図である。同図のBは画像化した熱状態の3次元
分布の様子を示したグラフである。X、Y軸に対し、L
が画像濃度値を示す。この3次元グラフBの表面分布形
状の一部領域Pを次々に観測倍率を上げて観測するとB
からB1、B2、B3、B4、B5となる。この場合、
各観測倍率で見える熱状態の起伏の複雑さを数値化した
値FRL1〜FRL6が局所フラクタル次元を意味す
る。より正確には、領域Pだけではなく画像全領域につ
いて各倍率で見える複雑さの平均を意味する。すなわ
ち、スケールの局所とは、概念的には、観測する一つの
倍率と考えれば良い。いま、局所フラクタル次元FRL
1〜FRL6が得られた各スケール倍率(すなわちスケ
ール点)をRml〜Rm6すると、図4Aに示すよう
に、スケールRmに対する局所フラク夕ル次元曲線FL
が得られる。このように1個の熱画像から1つの局所フ
ラクタル次元曲線が得られる。この局所フラクタル次元
曲線をデータ(b)内の全ての熱画像に対して各計算す
る。
【0049】図5はこれまでの処理ステップS1〜S8
に従って実際に得た試験データである。このデータは対
象物としてアナログ入力用の実装回路基板を634秒間
通電し、以後6O4秒間動作(アナログ入力に対するA
/D変換動作)をさせた時、その実装回路基板表面の熱
状態をサンプリンダ計測して得たデータである。
【0050】すなわち、通電開始から4秒、64秒、6
34秒後の熱画像及び動作開始から604秒後の熱画像
(熱画像は256の輝度階調で256×217の解像
度)の局所フラクタル次元曲線(FLA、FLB、FL
C及びFLD)だけをピックアップしたものである。必
ずしも全サンプリングデータを使う必要はない(ステッ
プS8)。
【0051】この基板の模式図を第6図に示す。すなわ
ち、図6は本発明による測定対象として実装回路基板を
用いた場合の測定方法を示す模式図である。同図に示す
実装回路基板は実際とは異なるが説明上イメージし易く
するため模式的に示している。
【0052】同図の基板PCは、IC、CPU等の能動
回路あるいは抵抗、コンデンサ等の受動部品が回路パタ
ーン上に実装された基板である。これを電源ESで通電
し、また、入力信号発生器ISで入力信号を送信して動
作させた。通電、動作により実装部品の消費エネルギー
に応じた発熱が起こる。この熱分布(熱状態)を画像濃
度化した様子の模式図が図6に示す熱画像PCTであ
る。
【0053】スケール分割範囲決定手段13はすでに述
べたように、局所フラクタル次元曲線データ(d)が入
力され、スケール分割範囲を決定する。この手段13で
の処理は本発明においては最も重要な処理の一つであ
る。この処理の目的は、熱状態の時間変化特性をフラク
タル次元の変化として感度良く定量化できるように、ス
ケール範囲を適切に分割することてある。ここで、この
分割とフラクタル次元、局所フラクタル次元の関係を図
4に戻ってさらに明らかにする。
【0054】図4中のR1、R2、R3の区間は分割ス
ケール範囲を意味している。そして、この分割スケール
範囲のフラクタル次元とは、例えばR2区間の2つのB
2、B3の倍率で観測できる各局所フラクタル次元(各
倍率での複雑さ)の平均値と考えてよい。これは厳密な
意味ではなく直感的イメージとして、おおよそそのよう
に考えてよいという意味である。
【0055】次に、スケールを分割することにより感度
よく定量化できる理由は以下の通りである。スケールを
分割するということは、ある幅(幅:分割スケール範囲
に相当)の観測倍率で見た平均的な「熱状態の複雑さ」
を定量化することになる。よって、分割範囲を複数用意
することにより、どの変化レベルの熱変化でも定量化で
きる。つまり、変化検出の網を多く張っているのて変化
ある部分は必ず定量化されるのてある。また、スケール
範囲が広すぎると「複雑さ」が平均化されすぎてしまう
が、分割することにより、平均化による感度低下も防ぐ
ことができる。本発明は、このスケールの分割範囲を局
所フラクタル次元曲線から決定する点に特徴がある。特
に、熱状態の時間変化を表す「複数の局所フラクタル次
元曲線」の全体傾向から本発明の分割則(分割ルール)
に従って分割することにより、適切な分割すなわち、感
度の良い定量化が実現できる。
【0056】以下この分割則を説明していく。先ず、分
割則の発明概念は、スケール範囲で異なる「熱状態の時
間変化傾向」を定量化(検出)するため、熱状態の複雑
さの時間変化傾向別にスケールを分割する。そして、こ
の分割した各スケール範囲において個別にフラクタル次
元を計算するものである。この分割則の一例としては、
上述した局所フラクタル次元曲線を利用する。すなわ
ち、時間変化する熱状態において、各時間点の局所フラ
クタル次元曲線群の傾向から分割点を決定する。
【0057】図7は本発明に用いる分割則を説明するた
めのパターン図である。ここでパターンとは、各時間別
の局所フラクタル次元曲線群の傾向図(簡単のため、直
線で描写している)で、横軸はスケール倍率(スケール
点)Rmを、縦軸は局所フラクタル次元FRLをそれぞ
れ示している。同図を用いて以下にパターン則について
説明する。
【0058】パターン則1:同図(A)のパターンに示
すように、局所フラクタル次元曲線FL1の変化点PD
1を分割点候補とする。この変化点は極値(1次微分が
0となる点)又は変曲点(2次微分値が0となる点)等
でよい。但しここで、制約条件として、同図(C)に示
すように、変化点PD1の変化量(例えば変化角θL
1)が所定のしきい値より大きいことが必要である。
【0059】パターン則2:同図(B)のパターンに示
すように、2つの局所フラクタル次元曲線FL2と曲線
FL3の交差点PD2を分割点候補とする。但しここ
で、制約条件として、同図(D)に示すように、交差点
PD2前後の局所フラクタル次元曲線間隔(例えば、間
隔KR2、KR3又は交差角θL2、θL3)が交差点
PD2前後において、すくなくとも一方が所定のしきい
値より大きいことが必要である。
【0060】パターン則3:同図(E)のパターンに示
す。これはパターン則1、2の例外である。例えば、パ
ターン則1又は2により局所フラクタル次元曲線FL4
〜FL6の傾向から決まる分割候補値がスケールRm
A、RmDとなったと仮定する。この場合でもさらに、
例えばRmB、RmCのように、分割候補間を分割して
も良い。
【0061】パターン則4:同図(F)のパターンに示
すように、パターン則1又は2で決定した分割候補間の
一部範囲を分割範囲とし、残りを範囲から除去しても良
い。例えば、同図(F)では、分割候補値RmA、Rm
D間を3分割し、各範囲SA−SCの中で、SCのみ分
割範囲とする。
【0062】上記各パターン則の趣旨又は効果を以下に
述べる。
【0063】パターン則1:局所フラクタル次元曲線の
変化点を分割候補点とする理由は、その変化点を境に多
くの場合、前後のスケール範囲のフラクタル次元値が変
化するためである。よって、他の時間の局所フラクタル
次元曲線が前記変化点付近でどのように変化していて
も、少なくとも前記変化点の局所フラクタル次元曲線の
影響で、変化点前後のスケール範囲でフラクタル次元の
時間変化傾向が異なる。パターン則2:交差点前後のス
ケール範囲で、フラクタル次元の時間変化傾向の極性
(すなわち増減のこと)が反転するためである。
【0064】パターン則3、4:図7(E)(F)で示
した局所フラクタル次元曲線FL4〜FL6の傾向はパ
ターン3、4の趣旨に影響を与えない。つまり、どのよ
うな曲線間傾向でも、両端の分割候補点間を再分割し、
且つ、再分割の部分選択でよいとする。このような再分
割が有効になるケースは分割候補点間のスケール範囲が
大きい場合、その分割範囲のフラクタル次元が大きく平
均化してしまうことを防ぎたい場合等である。また、再
分割の部分選択が有効になるケースは、分割候補点間の
スケール範囲が大きく、且つ、フラクタル次元の時間変
化傾向に大きな感度を得ることだけを目的とする場合等
である。
【0065】以上が分割するパターンの説明であるが、
実際、これらのパターン則だけでは分割候補点間隔が非
常に狭くなるようなケースが出てくる。狭いスケール範
囲を細かく分割しても、ノイズや測定誤差の影響を受け
やすくなること、また、分割による時間変化傾向分離の
効果(感度と言っても良い)が小さくなる場合が多い
た。よって、上記パターン則から抽出した分割候補点
中、分割候補点間が狭い分割候補点は、代表点に絞り込
む必要がある。
【0066】パターン則1、2及び分割間隔等の制約の
一例をアルゴリズムとして図8に示した。すなわち、図
8はパターン則1、2及び分割間隔等の制約の一例をア
ルゴリズムとして示したフローチャートであるが、本発
明がこのアルゴリズムの限定されるわけてはなく、パタ
ーン則に従えば他のアルゴリズムてもよい。
【0067】同図について簡単に説明する。
【0068】ステップS91:熱状態の時間変化過程に
おいて、各時間て計測した熱画像の局所フラクタル次元
曲線を曲線近似する。近似方法として、同フローでは多
項式近似を例示している。実データの局所フラクタル次
元はなめらかな曲線でない場合が多い(図5参照)。よ
って、分割点探索を容易にするために本処理を行う。ま
た、自動探索の数式上の処理を可能にする意味もある。
【0069】ステップS92:多項式近似した各局所フ
ラクタル次元曲線から変化点(極値、変曲点)を抽出す
る。これは多項式近似式の1次微分、2次微分で計算て
きる。これら変化点は分割候補点である。
【0070】ステップS93:多項式近似した各局所フ
ラクタル次元曲線間の交差点を抽出する。これは、2つ
の多項式近似式の連立方程式を解くことで計算できる。
これら交差点は分割候補点である。
【0071】ステップS94:ct変数はプロセスP2
(パターン則の1、2の制約処理プロセス)のカウンタ
変数であり、これを初期化している。
【0072】ステップS95:NpはステップS92、
93で抽出した分割候補点の総数である。全分割候補点
に対して、1点づつステップS96〜S91Oの処理を
行うためのループ制御である。
【0073】ステップS96:分割候補点PDct(c
t=1、2、...Np)が交差点か変化点かて処理を
分岐する。
【0074】ステップS97:交差点の場合、パターン
則2の制約条件を満たさないか否かを判定する。
【0075】ステップS98:変化点の場合、パターン
則1の制約条件を満たさないか否かを判定する。
【0076】ステップS99:S97、S98で制約条
件を満たさない分割候補点PDctは除去する。
【0077】ステップS910:一つの分割候補点PD
ctについて制約処理終了したら、カウンタctを1カ
ウンタ増加し、ステップ95に戻る。
【0078】ステップS911:プロセスP2で絞り込
んだ分割候補点に対し、分割候補点間隔が狭い分割範囲
かあるか探索する。
【0079】ステップS912:もし、S911の条件
を満たすPDctがあれば、これら分割候補点を代表点
に絞り込む。
【0080】ここで、ステップS911、S912を実
現する方法のーつを以下に説明する。分割候補点中の任
意の点であるA点から以下の処理を行う。
【0081】処理1:(隣接2点の分割候補点A、B間
のスケール間隔≦所定のしきい値Ld)となる場合、条
件別に次のように処理する。
【0082】条件1:比較する2点がいずれも交差点の
場合、A、B点の中間点(ステップS911の代表点に
相当)を新たな分割候補点Cとし、A、B点は分割候補
点から除去する。
【0083】条件2:比較する2点がいずれも変化点の
場合、上記処理と同様とする。
【0084】条件3:比較する2点のうち一方(たとえ
ばA点)が交差点、もう一方(たとえばB点)が変化点
の場合、交差点であるA点を残し、変化点B点は分割候
補点から除去する。なお、条件3のケースだけ中間値と
しない理由は、変化点より交差点を分割点とする方が、
分割点前後で時間に対するフラクタル次元の増減傾向が
逆になる現象を定量化(検出)できるためである。熱状
態の時間変化において、フラクタル次元が増加傾向か
ら、ある時間点においてさらに大きく増加していくよう
な現象を重要視する場合は、条件3は変化点を残すよう
にすべきである。このように条件3はウェート付けの問
題(変化点、交差点どちらを重要視するか)であり、ウ
ェート付けしない場合は、条件3も条件1と同様の処理
内容でよい。その場合、「条件別に処理」でなく単に
「処理」となる。
【0085】処理2:隣接2点の分割候補点A、B間の
スケール間隔が所定のしきい値Ldより大となる場合、
A点は除去しない。
【0086】以上を分割候補点の隣接間ですべて比較処
理する。分割候補点が分割点として確定するのは、除去
及び中間点処理による新たな分割点候補点生成を繰り返
し、最終的にその分割点の隣接間間隔が所定のしきい値
Ldより大きくなった場合である。
【0087】この方法の具体例を図9に示す。図9は分
割候補点の間隔が小さい複数の分割候補点を代表点に絞
り込むアルゴリズムを示す図である。この具体例では、
表Tblに分割候補点の点種(P:変化点、Q:交差
点)とそのスケール値が示されている。このように得ら
れた分割候補点から上記処理を行った場合の過程が表T
b2〜Tb7に示されている。ここでは、スケール値の
昇順で比較処理している。また、しきい値Ldは一例と
して9としている。
【0088】各表の説明は以下の通りである。尚、説明
文中、分割候補点を(分割候補点種、スケール値)で表
現する。
【0089】表Tb2:表Tblの分割候補点(P、
5)と隣接点(P、8)を比較C1し、その差分値が3
でLdが9より小さい。この2点は共に変化点であるた
め、条件1より、中間点を6.5、整数化して7(四捨
五入)とする。これが新たな分割候補点(P、7)とな
る。分割候補点(P、5)、(P、8)は表から除去す
る。
【0090】表Tb3:表Tb2の分割候補点(P、
7)と隣接点(P、21)を比較C2し、その差分値は
14で、しきい値Ldは9より大きい。
【0091】よって、処理2より、分割候補点(P、
7)は除去しない。この点は隣接間でしきい値Ldより
大きいことが確定(隣接点(P、21)が以後の処理で
21より小さくなることがないため)したので(P、
7)は確定分割点となる。
【0092】表Tb4:表Tb3の分割点(P、21)
と隣接点(Q、29)を比較C3し、その差分値8よ
り、しきい値Ldは9より小さい。この2点は変化点と
交差点であるので、条件3より、交差点(Q、29)を
残し、(P、21)は表から除去する。
【0093】表Rb5:表Tb4の分割候補点(Q、2
9)と隣接点(Q、35)を比較C4し、その差分値6
より、しきい値Ldは9より小さい。この2点は共に交
差点であるので、条件2より、その中間点(Q、32)
が新たな分割候補点となる。よって、分割候補点(Q、
29)と隣接点(Q、35)は表から除去される。
【0094】表Tb6:表Tb5の分割候補点(Q、3
2)と隣接点(Q、45)を比較C5し、その差分値1
3でしきい値Ldは9より大きい。よって、処理2よ
り、分割候補点(Q、32)は除去しない。この点は隣
接間でしきい値Ldより大きいことが確定したので確定
分割点となる。
【0095】表Tb7:表Tb6の分割候補点(Q、4
5)と隣接点(P、62)を比較C6しその差分値は1
7で、しきい値Ldは9より大きい。よって、処理2よ
り、分割候補点(Q、45)は除去しない。この点は隣
接間でしきい値Ldより大きいことが確定したので確定
分割点となる。また、(P、62)は本具体例では比較
する隣接点がないため確定分割点となる。尚、スケール
両端の端点との比較を考慮してもよい。
【0096】以上が分割法、分割則及び具体例の説明で
ある。尚、以上完了後、パターン則3、4を実施しても
良い。
【0097】なお、以上の分割則は自動計算可能である
が、図8のステップS92以降を本分割則の趣旨に従っ
て、ユーザが対話形式で決定してもよい。つまり、ステ
ップS91の結果をCRT等でユーザに見せて、後は分
割則の趣旨に従ってユーザが主観的に分割点を判断す
る。その結果(h)をスケール分割範囲決定手段13に
戻してもよい(符号hは図1図参照)。また、自動計算
結果を修正する場合も修正(h)が可能である。さら
に、このようなユーザによる分割結果をフラクタル次元
計算手段14に接続した記憶装置に記憶させておき、手
段21から直接、手段14がデータ(b)を受け、手段
11、手段12、13を省略した装置構成でもよい。
【0098】この分割則を用いて図5に示した実際の試
験データを分割した結果を図10、第11図に示す。図
10は図5に対して各時間の局所フラクタル次元曲線を
多項式近似(図8のステップS91)した結果である。
図11は分割則により分割した結果である。同図に示す
ように、
【数8】 となった。
【0099】この分割スケール範囲情報は、スケール分
割範囲決定手段13が情報として常時保持しており、フ
ラクタル次元計算手段14から常に参照される(ステッ
プS9)。
【0100】フラクタル次元計算手段14は図1に示し
たように、データ制御手段11からデータ(b)が入力
されると共に、スケール分割範囲決定手段13から分割
スケール範囲情報(e)が入力される(ステップS1
0)。この情報(e)の各範囲でフラクタル次元を計算
する。フラクタル次元計算法は公知の方法に従う。実際
に、図5に示した実装回路基板についての試験データに
対して計算した試験データを図12に示す。同図でP1
点温度は、実装回路基板(図6参照。但し説明の簡単の
ための模式図であるため、P1点の具体的位置は示して
いないが、基板上のホットスポット点を意味する。)
上、もっとも温度が高くなるホットスポット点の温度で
ある(なお、図6は説明の簡単のための模式図であるた
め、P1点の具体的位置は示していないが、基板上のホ
ットスポット点を意味するものとする。)。図12にお
いては4つの分割範囲で計算したフラクタル次元の時間
変化データとP1点温度及び平均温度を図示している。
通電開始から634秒経過後のPw時で動作させた場合
の熱状態の時間変化である。この熱状態の時間変化の特
徴は、通電時は基板全体的に温度上昇して定常に達す
る。そして、定常後に動作させると、P1点のホットス
ポット温度がさらに大きく上昇する(図12の平均温度
とP1点温度参照)。ここで、通電開始(0秒)から定
常付近(634秒)までは、各分割スケール範囲のフラ
クタル次元も同じような変化傾向となる。Rmが1〜1
5のフラク夕ル次元は減少しているが、増減の方向性を
無視すれば同じような変化傾向と言える。Rmが31〜
49のフラクタル次元が最も立ち上がりが早く変化傾向
が異なっているが、これは平均温度やホットスポット点
だけでは表現できない基板表面の熱状態変化を示してい
ると考えてよい。
【0101】さらに、動作開始時点Pwから大きく変化
するP1点温度に、特に、分割スケール範囲Rm=31
〜49、Rm=49〜64で計算したフラクタル次元の
追従性が良いことがわかる。これを確認するため、図1
4に図12図の一部を拡大した図を示す。スケールRm
=1〜15、Rm=15〜31は除外している。この図
14により、分割スケ−ル範囲のフラクタル次元がいか
に基板上の一部の温度変化に敏感に反応しているかがわ
かる(枠Spで示した部分参照)。
【0102】ここで、分割の効果を明らかにするため、
分割しない場合の結果、すなわちRm=1〜64で計算
したフラクタル次元結果を温度変化と併記して図13に
示す。同図から明らかなように、分割しない場合は温度
変化と比較して追従性か得られていないことかわかる。
これは分割しないことで、各分割スケール範囲のフラク
タル次元が平均化(厳密な平均値てはない)された形と
なるためである。つまり、分割により熱状態の変化傾向
を詳細に表現できるようになる(ステップSll)。
【0103】フラクタル次元計算手段14は、分割スケ
ール範囲のフラクタル次元の時間データ(f)(図12
で示した例示参照)を出力する。尚、データ制御手段1
1でスケール分割確認信号(c)がスケール分割範囲の
決定をしない選択である場合、手段12にデータ(b)
を送らないので、手段13が保持しているスケール分割
情報は以前に決定した値である。この場合、フラクタル
次元計算手段14は以前の分割範囲データ(e)を参照
して、データ(b)に対してフラクタル次元計算を行う
(ステップS7の条件分岐YESの場合の処理)。
【0104】以上、熱状態定量化装置1を説明した。本
装置1は、熱状態の時間変化データ(各時間での熱画像
のデータセット)が入力されると、独立して動作する装
置として利用てきる。
【0105】次に、ステップS12を説明する。特徴抽
出手段22には、熱状態定量化装置1から分割スケール
範囲て計算したフラクタル次元の時間データ(f)が入
力される。そして、分割スケール範囲で計算したフラク
タル次元の時間データの特徴量として、次元変化率と定
常値(又は初期値からの変化量)を抽出する。
【0106】この特徴量を図15で説明する。同図は熱
状態の時間tAに対する分割スケール範囲のフラクタル
次元FRの時間データFの模式図である。同図はtw時
間で、対象物に対する条件(動作条件や環境条件)を変
えた場合、さらに変化が起こる様子を示している。この
ような時間データの特徴量として、フラクタル次元変化
率θF1及び定常値K1(又は初期点FIからの変化量
K2)を抽出する。そして、次に条件を変えた場合の変
化から次元変化率θF2及び定常値K3(又は初期点F
I2からの変化量K4)を抽出する。これらの特徴量
(g)を出力する。時間データのおおよその傾向は本特
徴量て表現できる。なお、図15では変化開始近傍の立
ち上がり角度でフラクタル次元変化率を図示している
が、本実施例は同図に限定されるものではない。フラク
タル次元変化率とは、フラクタル次元の時間データが変
化する時間範囲の任意の点、又は範囲で抽出して良い
(ステップS12)。
【0107】以上説明した本発明の第1の実施形態の効
果について以下に説明する。
【0108】1.スケール分割方法により決定した分割
範囲についてフラクタル次元で定量化することにより、
熱状態の時間変化特性を変化レベルに分けて、正確に、
かつ、分割しない場合に比べて温度変化への追従感度が
高くなるように定量化できる。つまり熱状態の時間変化
モデルを正確に同定できる。
【0109】2.熱状態定量化装置1を独立して実施し
た場合、上記のスケール分割による方法を装置として自
動化できるので、迅速、簡易に、感度の高い定量化が可
能である。これは独立した装置として効果があるが、こ
の装置1を他装置との連動で用いることにより、産業上
の応用性が非常に高い。また、他分野への応用として、
制御系設計時の同定(制御対象が熱系である場合)装置
として適用できる。この場合、制御系にも本装置1が状
態検出装置として組み込まれることになる。3.熱解析
装置2は、装置1と熱画像計測手段21および特徴抽出
手段22とが連動する構成を示したが、これらが連動す
ることで、対象物における熱状態の時間変化特性の特徴
を簡単に検出できることになる。
【0110】(実施形態2)図16は本発明の熱解析方
法および装置の第2の実施形態を示す機能ブロック図で
ある。同図に示すように、この方法および装置において
は、対象物の熱状態(a)は、分割スケール範囲別にフ
ラクタル次元の時間変化状態の特徴を解析する熱解析装
置2に入力される。熱解析装置2で解析した結果(g)
は、しきい値判定により異常判定する異常判定手段31
に供給される。熱解析装置2で解析した結果(g)は、
また、履歴データベース41に履歴データとして格納さ
れる。履歴データベース41から取り出される履歴情報
(j)は劣化診断手段42に供給される。劣化診断手段
42はトレンド傾向から劣化有無を判定し、また、劣化
辞書テーブルを参照して、熱状態の時間変化特性におけ
る経年変化現象とその原因候補の特定をし、これらを結
果(k)として出力する。この実施形態においては、上
記熱解析装置2および異常判定手段31とにより、異常
判定装置3を構成し、上記熱解析装置2、履歴データベ
ース41および劣化診断手段42により、劣化診断装置
4を構成し、これら異常判定装置3および劣化診断装置
4により、診断装置5を構成している。
【0111】以上のように構成した実施形態の作用を述
べる。
【0112】先ず、熱解析装置2の作用は実施形態1の
場合と同様なので省略する。但し、本実施形態におい
て、熱解析装置2は熱状態の状態観測器として位置付け
られる。つまり、図1におけるスケール分割確認信号
(c)が分割しないという指示信号となっている。異常
判定や診断では、初期値(又は基準値)として最初に決
定した分割スケール範囲情報と同一のものを使用する。
熱解析装置2で解析した結果(g)は異常判定手段31
に渡される。異常判定手段31はユーザ所定のしきい値
と結果(g)の値、すなわち、フラクタル次元変化率と
定常値関連デ−夕(図15のθF1、θF2、K1、K
2、K3、K4)を比較し、大小関係から異常、正常の
2値判定を行う。このユーザ所定のしきい値は次のよう
に決定しておけばよい。
【0113】対象物の異常状態を試験的に作り出すか、
又は、実際、対象物が異常であることが既知である場合
に、その時の特徴量(θF1、θF2、K1、K2、K
3、K4)を熱解析装置2で解析しておき、この特徴量
をしきい値として設定すればよい。なお、熱解析装置2
と異常判定手段31のみ独立して実施することも可能で
ある。この場合、装置2と手段31が連動する異常検出
装置3となる。
【0114】熱解析装置1で解析した結果(g)は、履
歴データベース41にも格納される。履歴データベース
41は劣化診断用のデータである。対象物の経年劣化を
診断するために、各経年時て解析した結果(g)を逐次
又は定期的に履歴データベース41に格納している。劣
化診断手段42は、履歴データベース41から上記格納
データ(j)を入力する。劣化診断手段42では、トレ
ンド傾向から劣化有無の判定、劣化辞書テーブルを参照
して熱状態の時間変化特性における経年変化現象とその
原因候補の特定を行う。
【0115】この特定方法は次の(1)(2)のように
行う。
【0116】(1)トレンド傾向から劣化有無の判定 トレンド傾向とは、ある一定期間連続してデータ(j)
中の特徴量(g)がユーザ所定のしきい値より大きい
か、又は、一定期間連続して小さくなる場合、劣化有り
と判定するしきい値判定法てある。大小どちらの条件を
とるかはしきい値の設定趣旨で決まる。ここである一定
期間とした理由は、しきい値にかかるものが瞬間値(復
帰するようなケ−ス)である場合を劣化とは判断てきな
いためである。対象物が劣化していれば、連続してしき
い値にかかる。このようにすることて判定の信頼性が上
がる。また、しきい値の設定方法は異常判定手段31で
述べたしきい値設定法と同様である。但し、この場合、
対象物の異常状態ではなく劣化状態である。
【0117】(2)劣化辞書テーブルを参照した熱状態
の時間変化特性における経年変化現象とその原因候補の
特定劣化辞書テーブルは劣化診断手段42が装備してい
る。この辞書は、経年変化現象とその原因候補(劣化事
象)を記載した辞書テーブルである。これを図17、図
18を例に説明する。
【0118】図17は対象物表面の熱状態が過渡変化す
る様子、及びこの過渡変化が経年変化する様子を模式的
に図示したものである。図中のDll−D13、D21
−D23の縞模様は熱状態の等温分布(等温分布で示し
たのは図面記載上の制約からで、発明を制約するもので
はない。)を意味する。同図では過渡変化で縞模様がだ
んだん大きくなっていく様子を図示している。これは熱
がある熱源からだんだん周囲に広がっていく様子であ
る。いま、熱画像PT11〜PT13と熱画像PT21
〜PT23をある期間へだてて計測したデータと仮定す
る。ここでは、熱画像PT11〜PT13に比べて、熱
両像PT21〜PT23の方が熱分布の広がる伝達速度
が遅い様子(D12とD22を比較CD)を示してい
る。このように経年変化が図17のような事象である場
合、そのフラクタル次元変化率は減少することになる。
つまり、熱画像PT11〜PT13の時間変化特性の特
徴量であるフラクタル次元変化率をθP1、熱画像PT
21〜PT23の時間変化特性の特徴量であるフラクタ
ル次元変化率をθP2とすると、
【数9】 となる。
【0119】さらに、定常状態の熱画像PT13とPT
23を比較し、D23がD13より小さい熱分布である
ので、通常フラクタル次元定常値が小さくなる。つま
り、熱画像PT13の時間変化特性の特徴量であるフラ
クタル次元定常値をKP1、熱画像PT23の時間変化
特性の特徴量であるフラクタル次元定常値KP2とする
と、
【数10】 となる。
【0120】以上は熱画像をスケール値の大きな分割ス
ケール範囲において大観的に評価した場合の熱状態のフ
ラクタル次元、すなわち、熱状態の複雑さの傾向を示す
ものである。図17の例では、この現象原因として例え
ば、次のような原因候補が上げられる。
【0121】・対象物の材料について、熱伝達率、密
度、定圧比熱の物性劣化による熱伝導率低下。
【0122】・対象物が装置、実装回路等、複数部品の
実装形態で部品間が関連して動作するようなものてある
場合、ある特定部品の特性劣化による動作シーケンスの
性能低下。
【0123】また、図18は図17図とは異なり、経年
変化が新たなホットスポットの発生であるケースを模式
的に図示したものである。この場合、新たなホットスポ
ットからの熱分布の広がりがD31〜D33である。こ
のケースでは、熱状態における過渡変化の経年変化で
は、フラクタル次元変化率は、熱画像が示す熱分布の複
雑さが増加する傾向にあるため、大観的スケールてみれ
ば増加していくことになる。
【0124】また、熱画像PT13より熱画像PT33
の方が大観的に熱分布が複雑になるので、フラクタル次
元定常値も大きくなる。この場合原因候補としては、材
料の局部劣化や、実装回路基板では特定の実装電子部品
の漏れ電流増大などが上げられる。
【0125】ここで注意すべきことは、上記は大観的ス
ケールのフラクタル次元で説明したが、当然スケールは
分割されているので、分割スケール範囲別に、前述した
θP1>0P2、あるいは、KP1>KP2で示したよ
うな、特徴量の傾向記述が必要である。スケール分割す
ることで熱状態変化をスケール別に細かく見るため、経
年変化や原因候補(劣化事象)を詳細に記述できる。つ
まり、熱解析装置2で分割を実施しているため、経年変
化及び原因に対し、分解能の高い記述が可能になる。
【0126】以上例示したような「熱状態の時間変化特
性における経年変化現象とその原因候補(劣化事象)」
のセットを劣化辞書テーブルとして手段42に装備させ
る。このテーブル自体の作成方法は、対象物の劣化状態
を試験的に作り出すか、又は、実際、対象物か劣化して
いることが既知である場合に、その時の特徴量(θF
1、θF2、K1、K2、K3、K4)を熱解析装置2
で解析しておく。この場合の特徴量を対象物に劣化がな
い場合の特徴量と比較し、前述したθP1>0P2、あ
るいは、KP1>KP2で示したように、その経年変化
傾向を記述すればよい。また、原因候補(劣化事象)は
対象物の材料の化学分析や、実装系の対象物では、個々
の実装品の特性をチェックするなどして、劣化事象を明
らかにする。以上で劣化辞書を作成てきる。
【0127】劣化診断手段42はこの劣化辞書テーブル
から該当する経年変化を検索し、その原因事象を特定す
ることができる。なお、この劣化辞書と同様の趣旨で、
異常辞書を作成し、異常判定手段31に装備させ、劣化
診断手段42と同様なテーブル検索機能を付加すること
で、異常診断手段を構成することもできる。この場合、
異常診断手段と熱解析装置2の連動構成で独立した異常
診断装置として、実施することも可能である。さらに、
劣化辞書、異常辞書と同様に故障辞書を作成すれば、異
常診断装置と同じ構成で故障診断装置とすることも可能
である。
【0128】また、熱解析装置2と履歴データベース4
1と劣化診断手段42のみ独立して実施することも可能
である。この場合、装置2とデータベース41と手段4
1が連動する構成(劣化診断装置4)となり、劣化診断
装置として実施できる。
【0129】以上説明した本発明の第2の実施形態の効
果は次の通りである。
【0130】1.異常判定装置3を独立して実施した場
合、熱解析装置2と異常判定手段31のみの構成で、独
立した感度の高い異常判定装置3として実施できる。感
度が高くなる理由は、熱解析装置2が微少な変化でも高
感度に特徴抽出できるからである。
【0131】2.劣化辞書としては、熱状態の時間変化
の経年変化及びその原因に対し、分解能の高い記述(経
年変化と原因セットを細分化した記述)が可能になる。
【0132】3.本実施例によれば、熱解析装置2と履
歴データベース41と劣化診断手段42とが連動する独
立した劣化診断装置4としての実施が可能である。この
装置4により、熱状態の時間変化データから診断精度の
高い診断が可能となる。その理由は熱解析装置2が微少
な変化でも高感度に特徴抽出できることと、劣化事象を
参照するようになっているためである。
【0133】4.本実施例の診断装置5は異常判定装置
3と劣化診断装置4を組み合わせたものであり、一体化
した装置とすることにより、異常判定と劣化診断を同時
に実施することができる。
【0134】(実施形態3)図16に示した第2の実施
形態の劣化診断装置4において、劣化診断手段42を寿
命診断手段に置き換えることにより、寿命診断装置を構
成することができる。すなわちこの寿命診断装置におけ
る寿命判定手段に、履歴データベース41から履歴デー
タ(j)を入力し、データ(j)のトレンド傾向を解析
することにより、余寿命を推定することができる。
【0135】この余寿命具体的な2つ推定方法を以下に
述べる。
【0136】1.簡易推定法 データ(j)のトレンド傾向を最小二乗近似し、現時点
からこの近似予測曲線(線形近似である場合は近似直
線)を延長して、故障点(故障判定しきい値)に至るま
での残時間を余寿命推定値とする。尚、故障点は本発明
て出力される特徴量(g)と故障点の対応を試験により
事前に見つけておく。
【0137】2.基準モデル比較による推定方法 履歴データベース41に基準モデルファイルを置く。基
準モデルファイルの作成法は次の通りである。まず、劣
化試験(高温高湿槽内に対象物を格納し、長時間高温高
湿にさらして劣化させる試験等)で対象物を劣化させ
る。上記劣化試験において、一定の時間間隔で対象物を
高温高湿槽から取り出し、熱解析装置2を使用して熱状
態の時間変化特性の特徴量(g)データを集める。これ
は対象物が故障するまで繰り返す。この故障した時の特
徴量(g)が1項の故障点となる。故障点まで試験で得
られた特徴量(g)と試験時間の特性(特徴量の時間特
性)を基準モデルとしてファイル(基準モデルファイ
ル)に格納させておく。寿命診断手段は熱解析装置2か
ら入力した現在の特徴量(g)を基準モデル上に突き合
わせ、現在の特徴量(g)となる試験時間点STを調べ
る。以後は以下の比例配分計算で余寿命が計算できる。
【0138】
【数11】 但し、TUは対象物の現在まての使用時間、LUは寿命
消費率、STは現在の特徴量となる試験時間、FTは故
障点の試験時間である。
【0139】本発明は以上説明した実施形態に限定され
るものでないことはいうまでもなく、次のような種々の
対象への応用および変形が可能である。
【0140】上記の実施形態1乃至3の熱測定の対象物
を電子・電気部品を実装した実装回路基板とした場合、
実装回路基板の熱状態の時間変化特性としては次のよう
な種々の場合に適用可能である。すなわち、通電時(動
作なし)、動作時、さらに条件別動作(動作シーケンス
が複数ある場合、個々のシーケンスでの動作)、環境条
件(温度、湿度、周辺空気の対流、ガスの存在等)、さ
らに、通電又は動作0N/OFFの組み合わせ、人為的
にに実装基板に一部にレーザビームを照射した場合に応
じた熱状態の時間変化特性等、人為的又は自然に起こり
得るすべての熱状態の時間変化特性を対象にして、本発
明を適用することができる。
【0141】上記の実施形態1乃至3において、熱画像
計測手段21として、赤外線を集光する高倍率レンズを
付加することにより、空間分解能を上げることができ
る。このような手段を用いることにより、ICやLSI
等の集積回路チップを対象物として実施形態1乃至3を
適用できる。具体的には、ICパッケージを開封し、集
積回路チップ表面の熱状態を熱画像計測範囲とできる。
この場合も、実施形態4で述べたように、人為的又は自
然発生的に起こり得るすべての熱状態の時間変化特性を
対象にすることができる。
【0142】また、上記の実施形態1乃至3において、
熱測定の対象物を、熱交換機器、化学反応炉(原子炉含
む)、タービン系や焼却系の設備材などのすべてのプラ
ント設備や、燃焼駆動機関設備、重電設備など、設備・
装置の全体又は構成要素で人為的又は自然に起こり得る
すべての熱状態の時間変化特性を対象にすることができ
る。具体例としてボイラーチューブの管材の熱解析、診
断について以下に述べる。長期に使用されるボイラーチ
ューブの管材金属組織は、高温長期間使用で金属の結晶
粒界上に粗大化した析出物が生じ密度変化する。また、
ボイラチューブの内外表面は長年にわたり、水や蒸気、
燃焼ガスに直接さらされるため、酸化や不純物を含む腐
食で管が侵される。このような管材に密度変化や管外面
の不純物を含んだ腐食により、管材、及び腐食を含んだ
表面層の熱伝導率、熱拡散率が変化し、さらに局所的な
劣化が原因(クラック等により、熱移動が乱される場合
等も含む)で、ボイラーチューブ使用時の表面熱状態の
時間変化特性(運転開始から暖まるまでの表面熱分布変
化や他の諸条件で過渡変化する表面熱分布)が経年変化
する。この経年変化の特徴を実施形態1で示した熱解析
装置2により解析、定量化できる。また、これは他の熱
機器系の配管、チューブにも同様に適用できる。この定
量化で経年特性を同定(すなわち、劣化診断用の劣化辞
書又は異常・故障辞書の作成)すれば、実施形態2の異
常判定や診断が実施できる。
【0143】さらに、上記の実施形態1乃至3は建築土
木物において、その材質に対し環境変化による劣化、た
とえば陸橋の支え柱のコンクリート材の劣化に対しても
適用できる。すなわち、一日の日照時間帯と夜の時間帯
でのコンクリート材の熱状態変化の経年変化を見たり、
レーザビームをコンクリート材の一部に照射してその点
の温度を上げ、経過時間に対する点周辺近傍への熱の拡
がり方、すなわち、熱状態変化の経年変化を定量化する
ことにより診断ができる。
【0144】さらに、上記の実施形態1乃至3において
は、熱画像の計測を行ったが、本発明は熱画像以外の画
像、例えば、応力分布画像、電磁界分布画像、超音波画
像、光学画像、電子顕微鏡画像、流れ解析の分野て使わ
れる可視化画像等、対象物の時間変化する物理・化学的
状態を可視化したすべての画像、あるいは例えばウェー
ブレット変換出力画像等の信号処理法の結果として得ら
れる画像に適用できる。
【0145】この場合、各種の画像計測手段が熱画像計
測手段に置き換えられることは言うまでもない。
【0146】たとえば、物体の応力分布は物体の圧縮・
膨張で微少温度変化する量を赤外線温度検出で温度画像
として検出する。そして、検出した画像を数回積算して
微少な温度変化量を検出し、それを応力と見なす方法が
知られている。具体例としては、ある種の条件下でのタ
ービン動翼やロータ等の各機構部の起動時から定常まで
の応力分布変化の経年劣化を本発明の解析手法により特
徴の定量化及び診断を行うことができる。
【0147】また、電子・電気部品が実装された実装回
路基板全面から放射される磁界分布に対しては、磁界強
度を画像濃度に換算することにより、電磁界分布画像を
生成できる。したがってこれらの対象に本発明が適用て
きる。
【0148】
【発明の効果】以上説明した本発明は次のような効果を
有する。
【0149】(1)対象物における熱状態の時間変化特
性を感度良く定量化することができる。
【0150】(2)対象物の熱状態観測器としても実施
することができる。
【0151】(3)対象物における熱状態の時間変化特
性の特徴量を迅速、簡易に得ることができる。
【0152】(4)異常検出感度の高い判定が可能にな
る。
【0153】(5)劣化辞書をフラクタル次元で劣化診
断を行う場合の診断知識として利用できる。
【0154】(6)熱状態の時間変化データから精度の
高い劣化診断が可能になる。
【0155】(7)電子・電気部品を実装した実装回路
基板に対し、感度が高い熱解析及び精度が高い診断が実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である熱解析方法およ
び装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す第1の実施形態の動作を示すフロー
チャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態における対象物表面の
熱の時間変化グラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるスケール分割
及び局所フラクタル次元の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における実装回路基板
の局所フラクタル次元曲線を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施形態における実装回路基板
とその熱分布を模式的に示す斜視図である。図
【図7】本発明の第1の実施形態において用いられる分
割則のパターン図である。
【図8】本発明の第1の実施形態において用いられる分
割則のアルゴリズムを説明するためのフローチャートで
ある。
【図9】本発明の第1の実施形態において用いられる分
割候補点を代表点に絞り込むアルゴリズムである。
【図10】図5図に示す試験データを多項式近似した実
データを示すグラフである。
【図11】図10に示すデータをスケール分割則を用い
て分割して得られる実データを示すグラフである。
【図12】図11の分割スケール範囲につきフラクタル
次元を計算した実データを示すグラフである。
【図13】図10に示すデータをスケール分割しない場
合につきフラクタル次元を計算したデータを示すグラフ
である。
【図14】図12図の一部を拡大して示すグラフであ
る。
【図15】本発明の第1の実施形態において用いられる
特徴量の概念を説明する図である。
【図16】本発明の第2の実施形態である熱解析方法お
よび装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図17】本発明の第2の実施形態で用いる測定対象の
熱分布状態の過渡変化と経年変化の関係を模式的に示す
パターン図である。
【図18】同じく本発明の第2の実施形態で用いる測定
対象の熱分布状態の過渡変化と経年変化の関係を模式的
に示すパターン図である。
【図19】従来公知のフラクタル次元の計算方法を説明
するための図である。
【符号の説明】
1:熱状態定量化装置 11:データ制御手段 12:局所フラクタル次元計算手段 13:スケール分割範囲決定手段 14:フラクタル次元計算手段 2:熱解析装置 21:熱画像計測手段 22:特徴抽出手段 3:異常判定装置 31:異常判定手段 4:劣化診断装置 41:履歴データベース 42:劣化診断手段 5:診断装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象物における熱状態の時間変化を表す
    熱画像を生成する手段と、前記熱画像の各々に対し局所
    フラクタル次元曲線を計算する局所フラクタル次元計算
    手段と、前記局所フラクタル次元計算手段で計算した結
    果からスケールの分割範囲を決定するスケール分割範囲
    決定手段と、このスケール分割範囲決定手段で決定した
    スケール分割範囲情報に従って、前記熱画像の各々に対
    し各分割スケール範囲におけるフラクタル次元を計算す
    るフラクタル次元計算手段とを備えたことを特徴とする
    熱画像解析方法。
  2. 【請求項2】 前記のスケール分割範囲決定手段は、前
    記熱状態の時間変化を表す各時間点の熱画像について計
    算した局所フラクタル次元曲線群の傾向からスケール分
    割点を決定し、この分割点で分割されるスケール範囲を
    前記スケール分割範囲とすることを特徴とする請求項1
    記載の熱画像解析方法。
  3. 【請求項3】 前記局所フラクタル次元曲線群の傾向か
    らスケール分割点の決定は、前記局所フラクタル次元曲
    線群の傾向として、前記局所フラクタル次元曲線の変化
    点を分割点とするパターン則1と、前記局所フラクタル
    次元曲線群の曲線間交差点を分割点とするパターン則2
    とにより決定することを特徴とする請求項2記載の熱画
    像解析方法。
  4. 【請求項4】 前記パターン則1には、前記変化点の変
    化量が所定のしきい値より大きくなる変化点のみ分割点
    とするという制約条件を設け、前記パターン則2には、
    前記局所フラクタル次元曲線の曲線間隔が交差点前後で
    少なくとも一方が所定のしきい値より大きくなる交差点
    のみを分割点とするという制約条件を設けたことを特徴
    とする請求項3記載の熱画像解析方法。
  5. 【請求項5】 対象物における熱状態の時間変化を表す
    熱画像を生成する手段と、前記熱画像の各々に対し局所
    フラクタル次元曲線を計算する局所フラクタル次元計算
    手段と、前記局所フラクタル次元計算手段で計算した結
    果からスケールの分割範囲を決定するスケール分割範囲
    決定手段と、このスケール分割範囲決定手段で決定した
    スケール分割範囲情報に従って、前記熱画像の各々に対
    し各分割スケール範囲におけるフラクタル次元を計算す
    るフラクタル次元計算手段とを備えたことを特徴とする
    熱画像解析装置。
  6. 【請求項6】 前記のスケール分割範囲決定手段は、前
    記熱状態の時間変化を表す各時間点の熱画像について計
    算した局所フラクタル次元曲線群の傾向からスケール分
    割点を決定し、この分割点で分割されるスケール範囲を
    前記スケール分割範囲とすることを特徴とする請求項5
    記載の熱画像解析装置。
  7. 【請求項7】 前記局所フラクタル次元曲線群の傾向か
    らスケール分割点の決定は、前記局所フラクタル次元曲
    線群の傾向として、前記局所フラクタル次元曲線の変化
    点を分割点とするパターン則1と、前記局所フラクタル
    次元曲線群の曲線間交差点を分割点とするパターン則2
    とにより決定することを特徴とする請求項6記載の熱画
    像解析装置。
  8. 【請求項8】 前記パターン則1には、前記変化点の変
    化量が所定のしきい値より大きくなる変化点のみ分割点
    とするという制約条件を設け、前記パターン則2には、
    前記局所フラクタル次元曲線の曲線間隔が交差点前後で
    少なくとも一方が所定のしきい値より大きくなる交差点
    のみを分割点とするという制約条件を設けたことを特徴
    とする請求項7記載の熱画像解析装置。
  9. 【請求項9】 前記フラクタル次元計算手段の出力結果
    からフラクタル次元変化率と次元定常値を抽出する特徴
    抽出手段とを備えたことを特徴とする請求項5記載の熱
    解析装置。
  10. 【請求項10】 前記フラクタル次元計算手段の出力結
    果に対するしきい値判定により異常判定する異常判定手
    段とを備えたことを特徴とする請求項5記載の熱解析装
    置。
  11. 【請求項11】 前記フラクタル次元計算手段の出力結
    果を履歴データとして記憶する記憶手段と、この記憶手
    段に記憶している履歴情報が示すトレンド傾向から劣化
    有無を判定するとともに、劣化辞書を参照して熱状態の
    時間変化特性における経年変化現象とその原因候補の特
    定をする劣化診断手段とを備え、前記劣化辞書は、対象
    物における熱状態の時間変化特性をフラクタル次元の時
    間変化の特徴量で定量化し、前記特徴量の経年変化傾向
    を数理論的に記述し、前記記述を前記熱状態の時間変化
    特性における経年変化現象の定量表現とみなし、前記数
    理論的記述と前記経年変化現象を引き起こす物理・化学
    的な単一又は複数の原因候補の記述とのセットを記憶し
    たテーブルを備えていることを特徴とする請求項5記載
    の熱解析装置。
JP1886498A 1998-01-30 1998-01-30 熱画像解析方法および装置 Pending JPH11211683A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1886498A JPH11211683A (ja) 1998-01-30 1998-01-30 熱画像解析方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1886498A JPH11211683A (ja) 1998-01-30 1998-01-30 熱画像解析方法および装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11211683A true JPH11211683A (ja) 1999-08-06

Family

ID=11983415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1886498A Pending JPH11211683A (ja) 1998-01-30 1998-01-30 熱画像解析方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11211683A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011034279A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Toyota Motor Corp 三次元温度分布表示装置、テクスチャ作成装置および三次元温度分布表示方法
JP2012042393A (ja) * 2010-08-20 2012-03-01 Toshiba Corp はんだ接合部の非破壊による劣化診断方法
JP2015225058A (ja) * 2014-05-30 2015-12-14 日本電信電話株式会社 酸化被膜破壊時の破壊応力推定方法および破壊応力推定装置
CN118090808A (zh) * 2024-04-28 2024-05-28 陕西润泽博泽科技有限公司 基于数据处理的油封热稳定性检测方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011034279A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Toyota Motor Corp 三次元温度分布表示装置、テクスチャ作成装置および三次元温度分布表示方法
JP2012042393A (ja) * 2010-08-20 2012-03-01 Toshiba Corp はんだ接合部の非破壊による劣化診断方法
JP2015225058A (ja) * 2014-05-30 2015-12-14 日本電信電話株式会社 酸化被膜破壊時の破壊応力推定方法および破壊応力推定装置
CN118090808A (zh) * 2024-04-28 2024-05-28 陕西润泽博泽科技有限公司 基于数据处理的油封热稳定性检测方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11385550B2 (en) Methods and apparatus for obtaining diagnostic information relating to an industrial process
TWI649650B (zh) 模型化系統或執行諸如微影系統之系統之預測維修的方法及相關聯微影系統
JP5715377B2 (ja) タービン運転劣化判定システム及び方法
TWI474363B (zh) Pattern evaluation device and pattern evaluation method
KR101315237B1 (ko) 패턴의 파라미터에서의 변화를 평가하는 방법 및 시스템
WO2016091534A1 (en) Method and apparatus for image analysis
EP3931650B1 (en) Method and system for optimizing process parameters in an additive manufacturing process
JP2007318036A (ja) 半導体製造装置管理システム、半導体製造装置の異常要因抽出方法及びその管理方法
KR20120047871A (ko) 플라즈마 챔버의 자격을 위한 에칭 레이트 균일성을 예측하는 방법 및 장치
CN111566789B (zh) 使用电子显微法的半导体计量及缺陷分类
JPH11211683A (ja) 熱画像解析方法および装置
JP2011192769A (ja) 半導体デバイス製造方法、及び製造システム
Nwanoro et al. Investigating the accuracy of digital image correlation in monitoring strain fields across historical tapestries
Khan et al. Particle filter based prognosis study for predicting remaining useful life of steam generator tubing
US20220341854A1 (en) Erosion detection and prediction
van Dijk et al. Smart implant-layer overlay metrology to enable fab cycle time reduction
JP7478000B2 (ja) 3d画像データ解析装置
Zhang Development and Experimental Validation of Dynamic Bayesian Networks for System Reliability Prediction
Li et al. Particle Filter-Based Delamination Shape Prediction in Composites
CN117057252A (zh) 一种具有物理模型支持和减少不确定性因素影响的电力变压器温度场分布反演方法
Adaloudis Remaining Useful Lifetime (RUL) Estimation for Predictive Maintenance in Semiconductor Manufacturing
Christodoulou Methodology for structural identification and damage detection
BE1030064A1 (nl) Een werkwijze voor foutdetectie in een energiecentrale
CN117876355A (zh) 燃料电池的表面图像检测方法、装置、设备及存储介质
Yen et al. Automated Defect Classification (ADC) and Progression Monitoring (DPM) in wafer fab reticle requalification