JPH11209399A - 高比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物 - Google Patents

高比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物

Info

Publication number
JPH11209399A
JPH11209399A JP10146860A JP14686098A JPH11209399A JP H11209399 A JPH11209399 A JP H11209399A JP 10146860 A JP10146860 A JP 10146860A JP 14686098 A JP14686098 A JP 14686098A JP H11209399 A JPH11209399 A JP H11209399A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
density lipoprotein
megakaryocyte
activity
buffer
pharmaceutical composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10146860A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoji Ishida
陽司 石田
Hiroki Shigematsu
弘樹 重松
Kazuo Yano
和雄 矢野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10146860A priority Critical patent/JPH11209399A/ja
Publication of JPH11209399A publication Critical patent/JPH11209399A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 巨核球胞体突起形成活性を有する高比重
リポ蛋白質が、下記の性質を有する医薬組成物。 (a)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で亜鉛キ
レーティングゲルに吸着しない。 (b)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
HEPES緩衝液条件下のゲル濾過で分子量300kd
±100kdをピークとして分画される。 (c)比重がd=1.21以下に分画される。 (d)構成蛋白質としてアポリポプロテインA−Iを含
む。 (e)血小板産生能を有する。 【効果】 即効的、且つ効率的な血小板産生能を示し、
血小板減少症治療剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高比重リポ蛋白質を有
効成分とする医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】造血組織は生体内の中で最も活発に新生
と崩壊を繰り返している組織の一つである。多数の血球
成分が日々産生され、傍らでは機能を果たした血球は死
滅していく。このような激しい細胞の交換にもかかわら
ず、各血球は過不足がなく、恒常性が保たれている。こ
うした血球数の調節は、造血細胞の増殖、分化、成熟に
多数の造血因子が作用することにより行われていると考
えられる。即ち、赤血球を増加させる因子としてはEP
(1) が、白血球を増加させる因子としてはコロニー刺
激因子(2) が、血小板を増加させる因子としてはトロン
ボポエチンが作用していると考えられている。
【0003】血小板は血液幹細胞から巨核球前駆細胞を
へて分化、成熟した巨核球より血中に放出されることは
知られているが、この血小板の産生過程において特異的
に作用する因子はこれまで知られてなかった。1994
年に血小板減少症動物からmplリガンドが精製され、
in vitro及びin vivoの検討からトロン
ボポエチン=mplリガンドと考えられるようになった
(3)(4)
【0004】すなわちmplリガンドは、巨核球前駆細
胞数を増加させる巨核球コロニー刺激因子(Meg−C
SF)活性及び巨核球を成熟させる巨核球増幅因子(M
eg−POT)活性を単独で有することが明らかにされ
た。しかし生体内で成熟した巨核球からの血小板の放出
にmplリガンドが直接作用しているという証拠はな
い。成熟巨核球からの血小板の放出を反映すると思われ
るin vitroの系として、精製巨核球の胞体突起
形成能を観察する方法が知られているが(5) 、mplリ
ガンドが単独で胞体突起形成を促進するという報告はこ
れまでになく、最近ではmplリガンドは巨核球胞体突
起形成活性を有さないと考えられるようになった(6)
【0005】従来、巨核球胞体突起形成活性を有する因
子としては、IL−6とEPOが知られているが、その
活性は弱く、巨核球に特異的に作用する因子ではないこ
とが知られている(7)
【0006】高比重リポ蛋白質は血中に存在する血清リ
ポ蛋白質の一種で、脂質(リン脂質、遊離コレステロー
ル、コレステロールエステル、トリグリセリド)と蛋白
質とで構成される。主な構成蛋白質はアポリポプロテイ
ンA−Iで全蛋白質の約70%、次にアポリポプロテイ
ンA−IIが約20%を占める(8) 。また高比重リポ蛋
白質の作用としては、末梢組織に蓄積された余剰のコレ
ステロールを抜き出し、肝臓に運んで処理するコレステ
ロールの逆転送経路に関与し、動脈硬化防御機構におい
て重要な役割を演じていると考えられている(9)
【0007】さらに最近では、ステロイドホルモン合成
の材料となるコレステロールを副腎に供給する作用があ
ることが示されている(10)。しかし高比重リポ蛋白質が
血小板造血に与える影響に関してはこれまで全く報告が
ない。
【0008】一方、アンチトロンビンIIIは、通常血
漿中に約150mg/L存在する糖蛋白質で、広くトリ
プシン型セリンプロテアーゼを阻害する活性を有し、ト
ロンビンやXa 因子等の凝固因子セリンプロテアーゼの
活性を阻害することで、血液凝固の制御因子として重要
であることが知られている。またC1インヒビターは、
血漿中に250mg/L存在する糖蛋白質で、生理機能
としては、補体系のプロテアーゼであるC1rとC1s
の制御だけでなく、XIIa因子や血漿カリクレインの
制御因子として重要である(11)。このようにアンチトロ
ンビンIII及びC1インヒビターは、血液凝固の制御
因子として知られてはいるが、その血小板造血に与える
影響に関してはこれまで全く報告がない。
【0009】〔(1)平嶋邦猛,臨床透析,,89
1,1989(2)Donahue,R.E.et a
l.,Science,241,1820,1988
(3)Frederic J.,et al.,Nat
ure,369,533,1994(4)Kausha
nsky K.et al.,Nature,369
568,1994(5)長澤俊郎,血栓止血誌,,2
7,1995(6)Nagahisa,H.et a
l.,Blood,87,1309,1996(7)E
mi,An.et al.,Experimental
Hematology,22,149,1994
(8)血漿リポタンパク,講談社,1983(9)最新
内科学大系,第36巻,動脈硬化と脈管疾患,中山書
店,1991(10)Rigotti,A.,et a
l.,Journal of Biological
Chemistry,271,33545,1996
(11)松田道生,止血・血栓・線溶,中外医学社,1
994〕
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにmpl
リガンドは巨核球の増殖及び成熟を促進するため血小板
産生剤の候補の1つとして挙げられるが、ヒトに対する
血小板産生剤としてどれほど有効であるかは不明であ
る。化学療法後あるいは骨髄移植後等の血小板減少症を
改善する良い薬剤が無い現在では、mplリガンド以外
の新たな血小板産生を促進させる因子の開発が待ち望ま
れている。
【0011】
【課題を解決するための手段】血小板産生過程は大きく
分けて、次の3段階からなることが知られている。すな
わち第1段階が巨核球前駆細胞の増殖、第2段階が巨核
球の成熟、第3段階が成熟巨核球から血小板の放出であ
る。本発明者らは血小板造血の第1段階から第2段階ま
ではmplリガンドが作用し、第3段階には血漿中の未
知の因子が作用すると予想した。したがって、血小板産
生の第3段階に作用する因子は、第1、2段階に作用す
るmplリガンドよりもヒトに投与してから血小板数が
増加するまでの期間が短く、医薬品として有望であると
考えた。
【0012】そこで特異的に且つ強力に巨核球からの血
小板放出を促進する作用を有する新規な血小板産生因子
を見いだすべく鋭意研究を重ねた。その結果、ゲル濾
過、亜鉛キレーティングカラムクロマト及び超遠心を行
うことにより、血小板産生の第3段階に作用する高比重
リポ蛋白質を取得することに成功した。さらにマウスに
該画分を投与することにより血小板が増加することを確
認した。さらに該画分の血小板産生作用を発揮させる物
質を特定すべく、該画分を脱脂し、ゲル濾過、イオン交
換カラムクロマト、ヘパリンカラムクロマト、ゲル濾過
と精製を進めた。
【0013】その結果、アンチトロンビンIIIとC1
インヒビター、又はそれらのホモログタンパク質と考え
られる物質が、該画分の血小板産生活性において重要な
因子であることがわかった。さらに活性が弱い市販の高
比重リポ蛋白質とアンチトロンビンIII、C1インヒ
ビターをインキュベーションすることにより、血小板産
生活性が劇的に上昇することを明らかにした。このアン
チトロンビンIII及びC1インヒビターを含む高比重
リポ蛋白質は、これまで知られていない画分である。
【0014】本発明は、これらの知見に基づいて完成さ
れたものである。すなわち本発明は、巨核球胞体突起形
成活性を有する高比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬
組成物である。高比重リポ蛋白質は、通常比重がd=
1.21以下で、分子量はおよそ150kd〜360k
d、その主な構成蛋白質はアポリポプロテインA−I及
びアポリポプロテインA−IIであるリポ蛋白質であ
り、他の血清リポ蛋白質とは比重、分子量、及び構成蛋
白質によって区別することが可能である。またこの比重
は通常d=1.063〜1.21の範囲になると言われ
ている(血漿リポタンパク,講談社,1983)。
【0015】本発明の医薬組成物において、有効成分で
ある高比重リポ蛋白質は、巨核球胞体突起形成活性を有
するものであれば特に限定されず、好ましくは亜鉛キレ
ーティングゲルに非吸着の高比重リポ蛋白質、さらに好
ましくはアンチトロンビンIII含有の高比重リポ蛋白
質が挙げられる。さらには、C1インヒビター含有の高
比重リポ蛋白質及び、アンチトロンビンIIIとC1イ
ンヒビター含有の高比重リポ蛋白質が好ましい例として
挙げられる。
【0016】この亜鉛キレーティングゲルに非吸着の高
比重リポ蛋白質、アンチトロンビンIII及びC1イン
ヒビター含有の高比重リポ蛋白質は、従来知られていな
い画分であり、特にこの画分の巨核球胞体突起形成活性
を有する高比重リポ蛋白質が血小板産生に関与する作用
を有することについては全く知られていなかった。また
本発明の医薬組成物は、下記の性質を有することを特徴
とする巨核球胞体突起形成活性を有する高比重リポ蛋白
質を有効成分とする医薬組成物が好ましい例として挙げ
られる。
【0017】(a)150mMの食塩を含むpH7.4
の10mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン
−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条
件下で亜鉛キレーティングゲルに吸着しない。 (b)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
HEPES緩衝液条件下のゲル濾過で分子量300kd
±100kdをピークとして分画される。 (c)比重がd=1.21以下に分画される。 (d)構成蛋白質としてアポリポプロテインA−Iを含
む。 (e)血小板産生能を有する。
【0018】さらに好ましい例として下記の性質を有す
ることを特徴とする巨核球胞体突起形成活性を有する高
比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物が挙げられ
る。 (a)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で亜鉛キ
レーティングゲルに吸着しない。 (b)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
HEPES緩衝液条件下のゲル濾過で分子量300kd
±100kdをピークとして分画される。 (c)比重がd=1.21以下に分画される。 (d)構成蛋白質としてアポリポプロテインA−Iを含
む。 (e)血小板産生能を有する。 (f)構成蛋白質としてアンチトロンビンIIIを含
む。 (g)構成蛋白質としてC1インヒビターを含む。
【0019】また本発明の高比重リポ蛋白質は、巨核球
胞体突起形成活性を有する限り、従来公知の方法、即ち
超遠心法等のように高比重リポ蛋白質を製造する際に通
常用いられる方法で製造したものであっても特に限定は
されないが、下記の原料及び製造方法により取得され得
る高比重リポ蛋白質であることが好ましい。
【0020】本発明の巨核球胞体突起形成活性を有する
高比重リポ蛋白質を製造するに際して用いる原料として
は、本発明の巨核球胞体突起形成活性を有する高比重リ
ポ蛋白質が含有されるものであれば特に限定されない
が、例えば哺乳動物の血液、好ましくはヒト血液が挙げ
られる。血液としては、全血であっても許容されるが、
通常は、血漿または血清が好ましく、特に血漿が好まし
い例として挙げられる。
【0021】上記の血液を採取する哺乳動物、好ましく
はヒトは、血小板が減少した個体、例えば、再生不良性
貧血患者(AA)や、特発性血小板減少性紫斑病患者
(ITP)であってもよいが、正常の個体、健常人を用
いることも好ましい。また各種の血液成分を取得した残
余の血液を原料として利用することも好ましい。
【0022】通常前記原料は、精製の最初の段階におい
て、熱処理及び酸処理することが好ましい。原料が血漿
の場合、熱処理により不純物を沈殿除去することがで
き、酸処理により巨核球からの血小板放出を抑制する物
質を失活させることができ、さらに不純物を沈殿除去す
ることが可能である。熱処理は、不純物を沈殿させるこ
とができ、本発明の活性を失活させない条件であれば特
に限定はされないが、60℃で10分間の熱処理が好ま
しい。
【0023】また酸処理は、種々の塩濃度やpHで適当
な時間行なうことが可能であるが、低塩濃度でpH4.
5程度が好ましい。例えばpH4.5の10mM酢酸ナ
トリウム緩衝液に24〜36時間、透析する方法が挙げ
られる。熱処理と酸処理の順番がどちらが先でも可能で
あるが、好ましくは原料を熱処理した後に遠心分離によ
り上清を採取し、それを酸処理した後に遠心分離により
上清を採取する。得られた上清はpH7.0−8.0の
適当な緩衝液、例えば、150mMの塩化ナトリウムを
含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液に透析す
ることが好ましい。
【0024】前記熱、酸処理原料からの本発明の高比重
リポ蛋白質の分離・精製方法としては、ゲル濾過、亜鉛
キレーティングゲル、超遠心を用いることが好ましく、
これらを用いることにより効率よく本発明の巨核球胞体
突起形成活性を有する高比重リポ蛋白質を精製できる。
これらの使用する順番は特には問わないが、亜鉛キレー
ティングゲルを用いることが特に好ましい。また通常、
ゲル濾過、亜鉛キレーティングゲル、超遠心の順番で使
用するほうが操作上好ましい。
【0025】ゲル濾過による精製工程は、原料、好まし
くは、熱、酸処理原料をpH7.0−8.0の適当な緩
衝液、例えば、150mMの塩化ナトリウムを含むpH
7.4の10mMのHEPES緩衝液条件下で適当なゲ
ルを用いてゲル濾過する方法である。ゲル濾過に用いる
ゲルとしては、セルロース、アガロース、デキストラ
ン、ポリアクリルアミド等、一般にゲル濾過に用いられ
る材質であれば特に限定はしない。分画分子量範囲は、
分子量40万程度を分画できるものが好ましい。例えば
Superdex 200(スウェーデン、ファルマシ
ア社)やSephacryl S−200HR(スウェ
ーデン、ファルマシア社)が挙げられる。
【0026】亜鉛キレーティングゲルによる精製工程
は、原料、好ましくは、熱、酸処理原料をpH7.0−
8.0の適当な緩衝液、例えば、150mMの塩化ナト
リウムを含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液
条件下で亜鉛キレーティングゲルに接触せしめ、非吸着
物を採取する方法である。亜鉛キレーティングゲルは、
金属とキレートを形成する物質、例えばイミノジ酢酸を
共有結合させたゲルに亜鉛をキレートさせて用いると好
適である。
【0027】ゲルの材質は、セルロース、アガロース、
デキストラン、ポリアクリルアミド等、一般的に用いら
れる材質であれば特に限定しない。キレートさせる亜鉛
イオンの量は特に限定しないが、ゲル1ml当たり10
〜30μmoleが好ましい。イミノジ酢酸を共有結合
させたゲルとしては、Chelating Sepha
rose HP(スウェーデン、ファルマシア社)等が
市販されており、これを利用すると簡便である。
【0028】イミノジ酢酸を共有結合させたゲルに亜鉛
イオンをキレートさせる方法は、適当な濃度の亜鉛イオ
ンを含む溶液をゲルに接触させる方法が挙げられる。例
えば、ゲル体積の4倍量の10mMの硫酸亜鉛溶液中で
ゲルを撹拌する方法、好ましくはゲルを適当なカラムに
詰めて、ゲル体積の4倍量の10mMの硫酸亜鉛溶液を
流す方法が挙げられる。亜鉛キレーティングゲルを使用
する際は、バッチ法により非吸着物を採取してもよい
が、カラムクロマトグラフィーとなすと、操作、効率に
おいて好ましく、本発明品は非吸着画分に分画される。
【0029】超遠心による精製工程は、熱、酸処理原料
を適当な比重に調製し、例えば、塩化ナトリウム及び臭
化カリウムを添加することにより比重をd=1.21に
調製し、適当な条件、例えば12℃、100,000g
で48時間超遠心する方法である。超遠心の際に用いる
機器は、温度コントロールが可能で、100,000g
をかけられるものであれば特に限定はしない。例えば遠
心機はL8−80M型(米国、ベックマン)、ローター
はSW28型(米国、ベックマン)が挙げられる。
【0030】ゲル濾過、亜鉛キレーティングゲル、超遠
心による精製工程の好ましい例を示すと、熱、酸処理原
料にpH7.0−8.0の適当な緩衝液、例えば、15
0mMの塩化ナトリウムを含むpH7.4の10mMの
HEPES緩衝液条件下でゲル濾過し、巨核球胞体突起
形成活性を有する画分を採取し、該画分にpH7.0−
8.0の適当な緩衝液、例えば、150mMの塩化ナト
リウムを含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液
条件下で亜鉛キレーティングゲルを接触せしめ、非吸着
物を適当な比重に調製し、例えば、塩化ナトリウム及び
臭化カリウムにより比重をd=1.21に調製し、適当
な条件、例えば12℃、100,000gで48時間超
遠心し、液面に分画される該高比重リポ蛋白質を採取す
る方法である。
【0031】試料の緩衝液組成を変える場合は、透析法
を用いるが、使用する透析膜は再生セルロースやセルロ
ースエステル等一般に用いられる材質なら特定はしな
い。分画分子量は10000以下の物を使用するのが好
ましい。透析に際しては、透析する試料の100倍以上
の透析外液に対して8時間以上透析することが好まし
く、透析外液は最低1回は変えるほうが良い。試料の濃
縮には低分子塩類を除去できる限外濾過膜等を用いるこ
とができるが、その材質はポリスルホンやポリアクリロ
ニトリル等一般に蛋白の濃縮に用いられる材質なら特定
はしない。分画分子量は10000以下の物を使用する
のが好ましい。
【0032】また本発明の製造方法においては、通常使
用される方法、例えば、担体による吸着法、塩析法、電
気泳動法、およびイオン交換、ゲル濾過、適当なリガン
ドへのアフィニティーを応用した各種のクロマトグラフ
ィー法等を単独で、または組み合わせて使用できる。す
なわち、これらの公知の方法において、巨核球胞体突起
形成活性を有する画分を追究することにより精製するこ
とができる。
【0033】クロマトグラフィー法として、好ましく
は、カルボキシメチル(CM)基を結合させた担体を用
いるCMカラムクロマトグラフィー、第4級アミノエチ
ル基(Q)を結合させた担体を用いるQカラムクロマト
グラフィー、架橋したデキストランゲル等の粒子を用い
るゲル濾過カラムクロマトグラフィー、フェニル基やブ
チル基を結合させた担体を用いる疎水性カラムクロマト
グラフィー、銅イオンやニッケルイオンを結合させたキ
レーティングカラムクロマトグラフィー、ブルー色素
(1−amino−4−[[4−[[4−chloro
−6−[(2−sulfophenyl)amino]
−1,3,5−triazin−2−yl]amin
o]−3−sulfophenyl]amino]−
9,10−dihydro−9,10−dioxo−2
−anthracenesulfonicacid)
等、該発明の高比重リポ蛋白質に親和性がある物質を結
合させた担体を用いるアフィニティーカラムクロマトグ
ラフィーを使用できる。
【0034】本発明の製造方法においては、上記の精製
工程の順番は特に限定されないが、特に好ましい具体的
な製造例を挙げると以下の通りである。原料として血
漿、好ましくはヒトの血漿を用い、60℃で10分間熱
処理して得られた上清をさらにpH4.5の適当な緩衝
液、例えば10mMの酢酸ナトリウム緩衝液に透析す
る。沈殿を除去した後にpH7.0ー8.0の適当な緩
衝液、例えば150mM塩化ナトリウムを含むpH7.
4の10mMのHEPES緩衝液に透析する。次に同緩
衝液で平衡化した適当なゲル濾過カラム例えばSeph
acryl S−200HR(スウェーデン、ファルマ
シア社)を用いて分子量分画する。
【0035】巨核球胞体突起形成活性を有する画分を、
そのままpH7.0−8.0の適当な緩衝液、例えば1
50mM塩化ナトリウムを含むpH7.4の10mMの
HEPES緩衝液で平衡化した亜鉛イオンキレーティン
グゲル、例えば亜鉛イオンをキレーティングさせたCh
elating Sepharose HP(スウェー
デン、ファルマシア社)カラムにアプライし、同緩衝液
で十分にカラムを洗浄して非吸着画分を得る。
【0036】非吸着画分を限外濾過膜等により適当な濃
度、好ましくは2−10mg/mlまで濃縮し、塩化ナ
トリウム及び臭化カリウムを添加して比重をd=1.2
1に調製し、適当な条件、例えば12℃、100,00
0gで48時間超遠心する。液面に浮上してきた黄色の
高比重リポ蛋白質をピペットを用いて採取し、pH7.
0−8.0の適当な緩衝液、例えば150mM塩化ナト
リウムを含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液
に透析する。
【0037】このようにして得られる巨核球胞体突起形
成活性を有する高比重リポ蛋白質は、血小板産生能を有
するものである。生体由来であることから判断できる通
り、本発明の高比重リポ蛋白質は、毒性が少ないことが
確認される。例えばマウスに50mg/kg/dayを
5日間連続皮下投与した場合に、死亡することもなく、
また特別な副作用も認められなかった。
【0038】本発明によれば、巨核球胞体突起形成活性
を有する高比重リポ蛋白質を脱脂し、さらに精製を進め
るとアンチトロンビンIII又はそのホモログ蛋白質、
及びC1インヒビター又はそのホモログ蛋白質が単離さ
れた。公知の高比重リポ蛋白質は、通常、巨核球胞体突
起形成活性を有さないか、又は少なくとも殆どその活性
を有さないことが多いと推測される。
【0039】このアンチトロンビンIII(又はそのホ
モログ蛋白質)、及び/又はC1インヒビター(又はそ
のホモログ蛋白質)と、巨核球胞体突起形成活性を有さ
ない、又極めて活性の低い公知の高比重リポ蛋白質と
を、混合してインキュベーションすることにより、巨核
球胞体突起形成活性を有する高比重リポ蛋白質を製造す
ることができる。アンチトロンビンIIIとC1インヒ
ビターは、巨核球胞体突起形成活性を有する高比重リポ
蛋白質を、例えば、体積比3:2の冷エタノール−エー
テル溶液で脱脂する。
【0040】得られた蛋白画分を1mMのコール酸ナト
リウム、6.7mMのEDTAを含むpH7.4の40
mMのリン酸カリウム−ナトリウム緩衝液条件下でゲル
濾過し、巨核球胞体突起形成活性を有する画分を採取
し、6Mの尿素を含むpH7.5の20mMのTris
塩酸緩衝液条件下で陰イオン交換カラムクロマトで分画
し、巨核球胞体突起形成活性を有する画分をpH7.4
の10mMのHEPES緩衝液条件下でヘパリンカラム
クロマトで分画し、巨核球胞体突起形成活性を有する画
分を150mMの塩化ナトリウムを含むpH7.4の1
0mMのHEPES緩衝液条件下でゲル濾過することに
より2本の蛋白ピークとして精製できるが、市販のアン
チトロンビンIIIやC1インヒビターを添加混合する
こともできる。
【0041】こうして製造された巨核球胞体突起形成活
性を有する高比重リポ蛋白質は、これまで知られていな
い新規組成物であると信じられ、また少なくとも、血小
板産生増多剤を典型的な例とする医薬組成物としての用
途については従来全く知られていなかった。また、本発
明により、C1インヒビターは単独でも巨核球胞体突起
形成活性を有することが確認されたが、このC1インヒ
ビターはもとともヒト由来成分であり、しかもヒトの血
中濃度が250mg/Lと高いことから判断できるよう
にヒトに投与しても毒性が少ない医薬組成物となり得、
上述のマウスの実験によっても証明される。
【0042】該高比重リポ蛋白質及びC1インヒビター
は、巨核球の胞体突起形成を促進する研究用試薬とし
て、また該高比重リポ蛋白質及びC1インヒビター単独
で、あるいは有効量の該高比重リポ蛋白質及びC1イン
ヒビターに、薬学上許容される担体、例えば希釈液、賦
形剤、増粘剤、pH調製剤等を添加して適当な剤形と
し、医薬組成物として使用することができる。すなわち
本発明は有効量の前記高比重リポ蛋白質、C1インヒビ
ター及び薬学上許容される担体を含有することを特徴と
する医薬組成物である。
【0043】本発明の医薬組成物は、例えば、血小板産
生を促進するための薬剤として有用である。すなわち、
ある種の血小板減少症、例えば抗癌剤投与後の血小板減
少症、放射線治療後の血小板減少症、造血因子欠損によ
る血小板減少症、再生不良性貧血の血小板減少症、骨髄
異形成症侯群の血小板減少症、自己免疫疾患の血小板減
少症等の治療及び予防に有用である。
【0044】本発明の医薬組成物は、特に好ましくは注
射剤として用いることができる。例えば、注射用蒸留
水、ブドウ糖、ショ糖、グリセリン、塩化ナトリウム、
リン酸ナトリウム等の希釈液、増粘剤、等張剤、pH調
整剤等を加えることができる。本発明の高比重リポ蛋白
質及びC1インヒビターの成人1回当りの投与量は、年
齢、性別、体重、症状などによって異なるが、一般に1
μg〜1gであり、1日当り1回または必要に応じて数
回投与することができる。
【0045】本発明をより詳細に記述するために、参考
例及び実施例により説明するが、本発明はこれらの実施
例に限定されるものではない。
【参考例】巨核球胞体突起形成活性の測定法 マウス骨髄細胞をmplリガンド存在下で培養すること
により誘導した巨核球を用いて、巨核球からの血小板放
出を反映すると考えられる巨核球胞体突起形成活性を測
定する。
【0046】以下のIMDM液(Iscove’s m
odeification ofDallbecco’
s medium)は粉末IMDM(1リットル用)
(米国、ギブコ社)に重曹3.024gを加え、1リッ
トルにメスアップし、更に50IU/mlペニシリン及
び50μg/mlストレプトマイシン(いずれも米国、
フローラボラトリーズ社)を加えて調製したものであ
る。
【0047】また、巨核球誘導培地として10μg/m
lウシ由来インシュリン(ギブコ社)、5μg/mlウ
シ由来ホロタイプ トランスフェリン(ギブコ社)、
0.3ng/mlのヒト組換え型mplリガンド(英
国、ペプロテック社)を含むIMDM液を、巨核球胞体
突起形成培地として、10μg/mlウシ由来インシュ
リン(ギブコ社)、5μg/mlウシ由来ホロタイプ
トランスフェリン(ギブコ社)、10ng/mlヒト組
換え型IL−6(米国、アップステートバイオテクノロ
ジー社)、20μM硫酸亜鉛を含むIMDM液を用い
る。
【0048】6〜10週齢のddYマウス(雄)8匹の
大腿骨を採取し、その両端を切断し、pH7.4の1m
Mエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)を
含むカルシウム、マグネシウム不含ハンクス液(米国、
シグマ社)20mlをいれたプラスチック注射器(22
G針)を用いて、100mmプラスチックディッシュ中
に、骨髄を押し出す。
【0049】ピペッティングにより細胞を分散した後、
15mlのチューブに移し、100gで20分間遠心す
る。沈殿性の細胞を10mlのIMDMに分散し、35
0gで5分間遠心し、再び、沈殿性の細胞を10mlの
IMDMに分散し、350g、5分間遠心する。沈殿性
の細胞を5×106 /mlになるように巨核球誘導培地
に分散する。約40mlの骨髄細胞分散液が取得でき、
8個の25cm2 培養用フラスコ(米国、ベクトンディ
ッキンソン社)に5mlずつ分注し、37℃、5%CO
2 の条件下で2日間培養する。
【0050】細胞を数回のピペッティングにより分散し
た後、4本の15mlチューブに10mlずつ分注し、
1時間静置する。上部の8.5mlを吸い出し、下部の
1.5mlを取得し、数回のピペッティングをし、細胞
を分散する。2本の15mlチューブに下から1.5m
lの16%BSAを含むカルシウム、マグネシウム不含
ハンクス液(シグマ社)、3mlの4%BSAを含むカ
ルシウム、マグネシウム不含ハンクス液、1.5mlの
2%BSAを含むカルシウム、マグネシウム不含ハンク
ス液を重層した液に、3mlの細胞分散液を重層し1時
間静置する。上部7mlを吸い出し、下部2mlを取得
する。
【0051】各15mlチューブに8mlのIMDMを
加え、60gで5分間の遠心を行い、細胞を洗浄する。
顕微鏡観察により20μm以上の大きさを持つ細胞を巨
核球として、沈殿中の巨核球数を測定し、3000巨核
球/mlになるように胞体突起形成培地に分散し、培養
用96穴プレート(日本国、住友ベークライト社)に1
00μlずつ分注する。
【0052】測定すべき試料溶液(適宜の濃度に希釈す
る場合もある)を各穴当たり20μl添加して20%添
加群とする。また添加量を振るために試料溶液を各々5
μl、1μlの添加群(それぞれ5%添加群、1%添加
群)を設ける。さらに、試料無添加のコントロール群を
設ける。なお、高比重リポ蛋白質を脱脂して得られた試
料及びそれを分画して得られた試料の活性を測定する場
合は、1mg/mlのヘパリンを試料に添加した後に、
その試料を各穴に添加した。
【0053】これらの添加群やコントロール群を、37
℃、5%CO2の条件下で2日間培養した後、顕微鏡下
で観察し、胞体突起形成を起こした巨核球の数を測定す
る。巨核球胞体突起形成活性の強さはコントロール群で
の胞体突起形成巨核球数を100%としてその比率で表
す。
【0054】実施例1 ヒト血漿からの高比重リポ蛋白
質の精製 ヒト血液に10分の1量の3.8%クエン酸ナトリウム
水溶液を加え、1,000gで20分間遠心した後に得
られた上清を血漿とした。血漿350mlを500ml
のガラス製三角フラスコに入れ、湯浴で60℃、10分
間熱処理した。直ちに氷冷した後に、12,000gで
20分間遠心して得られた上清をpH4.5の10mM
の酢酸ナトリウム緩衝液に透析した。透析終了後、1
2,000gで20分間遠心して得られた上清をさらに
150mM塩化ナトリウムを含むpH7.4の10mM
のHEPES緩衝液に透析したものを前処理液とした。
【0055】前処理液を150mMの塩化ナトリウムを
含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液で十分平
衡化したSephacryl S−200HR(スウェ
ーデン、ファルマシア社)カラム(直径10cm×高さ
84cm)に添加し、同緩衝液で展開した。操作はすべ
て4℃、流速は試料添加時8ml/分、展開時13ml
/分、検出は280nmの吸収で行った。巨核球胞体突
起形成活性を有する精製開始後約220分から275分
までの溶出液、約720mlを集め、粗精製品1とし
た。図1にゲル濾過カラムクロマトグラフィーの結果の
一例を示した。
【0056】水で平衡化したChelating Se
pharose HP(スウェーデン、ファルマシア
社)カラム(直径5cm×高さ5cm)に10mMの硫
酸亜鉛溶液を400ml流した後、400mlの水で洗
浄することによりゲルに結合していない余分な亜鉛イオ
ンを除去した。さらに150mMの塩化ナトリウムを含
むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液で十分に平
衡化した後、360mlの粗精製品1を添加した。
【0057】カラムに約240mlの同緩衝液を流すこ
とにより、非吸着物を溶出した後、約400mlの50
0mM塩化ナトリウムを含むpH7.4の50mMのエ
チレンジアミン四酢酸ナトリウム溶液で吸着物を溶出し
た。操作はすべて4℃、流速は6.2ml/分、検出は
280nmの吸収で行った。巨核球胞体突起形成活性を
有する精製開始後約16分から88分までの溶出液、約
450mlを集めた。残りの粗精製品1、360mlに
ついても同様の操作を行ない、得られた約900mlの
溶出液を粗精製品2とした。図2に亜鉛キレーティング
カラムクロマトグラフィーの結果の一例を示した。
【0058】粗精製品2を限外濾過中空糸SIP−00
13(日本国、旭化成工業社)で約25mlまで濃縮し
た後、153g/lの塩化ナトリウムと354g/lの
臭化カリウムからなる高比重水溶液を約45ml加えて
比重をd=1.21に調製した。この溶液を2本の遠心
チューブに分け、SW28型ローター(米国、ベックマ
ン)を用いて、12℃、100,000gで48時間超
遠心した。黄色の高比重リポ蛋白質は液面に浮上するの
で、超遠心終了後それぞれの遠心チューブの液面から2
0mlをピペットを用いて注意深く採取した。
【0059】この採取した分画、合せて40mlを透析
チューブに入れ、150mMの塩化ナトリウムを含むp
H7.4の10mMのHEPES緩衝液中にて透析し、
精製標品として得た。各精製工程における蛋白質の回収
率を下記の表1に示した。なお、各試料の蛋白質量は、
280nmにおける紫外吸光係数A280,1%=10
と仮定して算出した。
【0060】
【表1】
【0061】実施例2 本発明の高比重リポ蛋白質の
分子量測定 該精製標品について、分子量を以下の方法に従って測定
した。150mMの塩化ナトリウムを含むpH7.4の
10mMのHEPES緩衝液で平衡化したSuperd
ex 200 HR 10/30(スウェーデン、ファ
ルマシア社)に1mlの精製標品を添加し、同緩衝液で
展開した。操作はすべて室温、流速は0.5ml/分、
検出は280nmの吸収で行った。なお分子量標準蛋白
質としてLMW KitとHMW Kitのチログロ
ブリン(669kd)、フェリチン(440kd)、
カタラーゼ(232kd)、牛血清アルブミン(6
7kd)、(スウェーデン、ファルマシア社)を用い
た。
【0062】分子量測定の結果を図3に示した。本発明
の高比重リポ蛋白質は、分子量300kd±100kd
をピークとして溶出された。したがって本発明の高比重
リポ蛋白質は、150mMの塩化ナトリウムを含むpH
7.4の10mMのHEPES緩衝液条件下のゲル濾過
カラムクロマトで分子量300kd±100kdに分画
されることがわかった。
【0063】実施例3 本発明の高比重リポ蛋白質を
構成する主蛋白質のアミノ酸配列分析 15μgの該精製標品をマルチゲル15/25(日本
国、第一化学社)を用いてSDS−PAGEした。なお
泳動緩衝液は25mMトリス、192mMグリシン、
0.1%SDSを用い、40mAの定電流で60分間泳
動した。泳動後ゲル中の蛋白をポリビニリデンジフルオ
リド膜(米国、パーキンエルマー社)に転写した。
【0064】なお転写用緩衝液は、10%のメタノール
を含むpH11.0の10mMの3シクロヘキシアルミ
ノプロパンスルホン酸(CAPS)緩衝液を用い、氷冷
下100Vの定電圧で60分間転写した。転写後、膜を
0.1%ポンソーSで染色し、28kdのメインバンド
を切りだし、ペプチドシークエンサー解析機にてN末ア
ミノ酸配列を決定した。ペプチドシークエンサー解析機
は、model 492(米国、パーキンエルマー社)
を使用し、付属の取り扱い説明書に従って解析した。
【0065】解析の結果、28kd蛋白のN末はAsp
−Glu−Pro−Pro−Gln−Ser−Pro−
Trp−Asp−Arg−Val−Lys−Asp−L
eu−Ala−Thr−のアミノ酸配列を有し、Gen
Bankを検索した結果、この配列は高比重リポ蛋白質
の主構成蛋白であるアポリポプロテインAーIと一致し
た。この結果と該精製標品の分子量が300kd±10
0kdであること、及び比重がd=1.21以下に分画
されることから該精製標品は高比重リポ蛋白質であるこ
とが確認された。
【0066】実施例4 本発明の高比重リポ蛋白質の
巨核球胞体突起形成活性 該精製標品について、参考例に示した巨核球胞体突起形
成活性の測定法に従って測定した結果を図4に示した。
ヒトの血漿から精製した該高比重リポ蛋白質はコントロ
ールに比べ濃度依存的に巨核球の胞体突起形成を促進
し、その活性の強さは最大300%を越えた。
【0067】一方巨核球胞体突起形成活性を有する既知
因子のヒト組換え型IL−6(米国、アップステートバ
イオテクノロジー社)およびヒト組換え型EPO(独
国、ベーリンガーマンハイム社)は最大でもその活性は
150%以下であり、本発明の高比重リポ蛋白質よりも
弱かった。ヒト組換え型mplリガンドには、巨核球胞
体突起形成活性は認められなかった。
【0068】本発明の高比重リポ蛋白質は、コントロー
ルに比べた巨核球胞体突起形成活性が少なくとも200
%以上、好ましくは300%以上の数値となりえる物質
であると判断される。
【0069】実施例5 本発明の高比重リポ蛋白質の
血小板産生能 該精製標品について、血小板産生能を以下の方法に従っ
て検討した。6週齢のオスのddyマウス(日本国、日
本SLC)に136mMの塩化ナトリウムを含むpH
7.4の10mMリン酸緩衝液(PBS)に透析した該
精製標品と、コントロールとして同緩衝液に溶かしたヒ
ト血清アルブミン(日本国、日本赤十字社)をそれぞれ
7匹ずつ50mg/kg/dayと13.3mg/kg
/day投与した。なお投与方法は皮下投与で、1日2
回にわけて5日間連続投与した。試料投与の前日、投与
開始後1、2、3、5、7、9日目に約70μlを眼底
採血し、Coulter Tー540(米国、コールタ
ー社)により血小板数を測定した。
【0070】試験結果として、試料投与の前日の血小板
数を100%としたときの血小板数の変化を図5に示し
た。コントロール投与群は試験期間中ほとんど血小板数
の変化は認められなかったのに対し、該精製標品投与群
は投与後1日目から約20%血小板数の増加が観察さ
れ、それは9日目まで継続した。なお、mplリガンド
は投与開始後4日目程度からようやく血小板増加作用が
みられる(Kiji K.et al.,Stem C
ells,14,651,1996)ので、本発明の高
比重リポ蛋白質は、mplリガンドよりも早い血小板産
生効果が期待できる。また巨核球数の増加及び成熟を促
進するmplリガンドと本発明の高比重リポ蛋白質を併
用することにより、さらに強力な血小板産生効果を得ら
れることが予想される。
【0071】実施例6 本発明の高比重リポ蛋白質の
活性成分の同定 本発明の高比重リポ蛋白質は、多種の蛋白質及び脂質に
より構成されているので、該精製標品について、以下の
方法に従って活性成分の同定を行った。該精製標品12
0mlを限外濾過中空糸SIP−0013(日本国、旭
化成工業社)で約12mlまで濃縮した後、体積比3:
2の冷エタノール・エーテル溶液500mlを加え、氷
中で1時間放置した。5,000gで10分間遠心して
得られた沈殿に、体積比3:2の冷エタノール・エーテ
ル溶液500mlを加え、氷中で1時間放置した。
【0072】5,000gで10分間遠心して得られた
沈殿に、20mlの冷エーテルを加え、沈殿を洗浄した
後に5,000gで10分間遠心した。沈殿に窒素ガス
を吹きかけ乾燥させた後に10mlの60mMの塩化ナ
トリウム、6.7mMのEDTA、6Mの尿素を含むp
H7.4の40mMのリン酸カリウム−ナトリウム緩衝
液に溶解した。この溶液を1mMのコール酸ナトリウ
ム、6.7mMのEDTA、を含むpH7.4の40m
Mのリン酸カリウム−ナトリウム緩衝液に十分透析し、
脱脂画分とした。
【0073】脱脂画分を1mMのコール酸ナトリウム、
6.7mMのEDTA、を含むpH7.4の40mMの
リン酸カリウム−ナトリウム緩衝液で十分平衡化したS
uperdex200pg(スウェーデン、ファルマシ
ア社)カラム(直径2.6cm×高さ60cm)に添加
し、同緩衝液で展開した。操作はすべて室温、流速は
0.5ml/分、検出は280nmの吸収で行った。巨
核球胞体突起形成活性を有する精製開始後約280分か
ら350分までの溶出液、約35mlを集め、ゲル濾過
カラムクロマト活性画分とした。図6にゲル濾過カラム
クロマトグラフィーの結果の一例を示した。
【0074】ゲル濾過カラムクロマト活性画分を6Mの
尿素を含むpH7.5の20mMのTris塩酸緩衝液
で平衡化したmonoQ16/10カラム(スウェーデ
ン、ファルマシア社)に添加した。カラムに約40ml
の同緩衝液を流すことにより、非吸着物を溶出した後、
200mlの0Mから0.3Mまでの塩化ナトリウムに
よる直線濃度勾配により吸着物を溶出した。操作はすべ
て室温、流速は5ml/分、検出は280nmの吸収で
行った。巨核球胞体突起形成活性を有する塩化ナトリウ
ムによる溶出開始後約25分から31分までの溶出液、
約30mlを集め、イオン交換カラムクロマト活性画分
とした。図7にイオン交換カラムクロマトグラフィーの
結果の一例を示した。
【0075】9mlのイオン交換カラムクロマト画分を
pH7.4の10mMのHEPES緩衝液に透析した
後、同緩衝液で十分に平衡化したTSKgel Hep
arin−5PW(日本国、東ソー、直径7.5mm×
高さ7.3cm)に添加した。カラムに10mlのpH
7.4の10mMのHEPES緩衝液を流すことによ
り、非吸着物を溶出した後、20mlの0Mから2Mま
での塩化ナトリウムによる直線濃度勾配により吸着物を
溶出した。操作はすべて室温、流速は0.5ml/分、
検出は280nmの吸収で行った。
【0076】巨核球胞体突起形成活性を有する精製開始
後約54分から55.5分までの溶出液、約0.75m
lを集め、ヘパリンカラムクロマト活性画分とした。図
8にヘパリンカラムクロマトグラフィーの結果の一例を
示した。0.5mlのヘパリンカラムクロマト活性画分
を150mMの塩化ナトリウムを含むpH7.4の10
mMのHEPES緩衝液で十分に平衡化したSuper
dex 200 HR 10/30(スウェーデン、フ
ァルマシア社)に添加し、同緩衝液で展開した。
【0077】操作はすべて室温、流速は0.5ml/
分、検出は280nmの吸収で行った。精製開始後約2
3分と28分に蛋白質のメインピークが認められ、共に
巨核球胞体突起形成活性が認められた。精製開始後21
分から24分までと27分から30分までをそれぞれ集
め、ゲル濾過カラムクロマト活性画分1、ゲル濾過カラ
ムクロマト活性画分2とした。図9にゲル濾過カラムク
ロマトの結果の一例を示した。各精製工程における蛋白
質の回収率を下記の表2に示した。なお、各試料の蛋白
質量は、280nmにおける紫外吸光係数A280,1
%=10と仮定して算出した。
【0078】
【表2】
【0079】1μlのゲル濾過カラムクロマト活性画分
1とゲル濾過カラムクロマト活性画分2を還元条件下
(5%メルカプトエタノール添加)及び非還元条件下で
PhastGel Gradient 8−25(スウ
ェーデン、ファルマシア社)を用いてSDS−PAGE
した。泳動装置はPhastSystem(スウェーデ
ン、ファルマシア社)を用い、添付の説明書に従って泳
動及び銀染色した。なお分子量マーカーとしてLMW
Kit E(ホスホリラーゼb94kd、アルブミン6
7kd、オブアルブミン43kd、カーボニックアンヒ
ドラーゼB30kd、トリプシンインヒビター20.1
kd、α−ラクトアルブミン14.4kd)(スウェー
デン、ファルマシア社)を用いた。
【0080】電気泳動の結果を図10に示した。還元条
件下及び非還元条件下共に、ゲル濾過カラムクロマト活
性画分1は、分子量約110kdの単一バンドが認めら
れ、ゲル濾過カラムクロマト活性画分2は、分子量約7
0kdの単一バンドが認められた。約2μgのゲル濾過
カラムクロマト活性画分1と約1μgのゲル濾過カラム
クロマト活性画分2をペプチドシークエンサー解析機に
かけて、N末アミノ酸配列を決定した。ペプチドシーク
エンサー解析機は、model492(米国、パーキン
エルマー社)を使用し、付属の取り扱い説明書に従って
解析した。
【0081】解析の結果、110kd蛋白のN末はAs
n−Pro−X−Ala−Thr−Ser−Ser−X
−X−Gln−Asp−Pro−Glu−Ser−Le
u−Gln−Asp−Arg−Gly−のアミノ酸配列
を有し、GenBankを検索した結果、C1インヒビ
ターのN末アミノ酸配列と一致した。このことと分子か
ら110kd蛋白はC1インヒビター、またはそのホモ
ログ蛋白質であると推測された。
【0082】また70kd蛋白のN末はHis−Gly
−Ser−Pro−Val−Asp−Ile−X−Th
r−Ala−Lys−X−Arg−Asp−Ile−P
ro−Met−Gln−のアミノ酸配列を有し、Gen
Bankを検索した結果、アンチトロンビンIIIのN
末アミノ酸配列と一致した。このことと分子量及びヘパ
リンに結合する性質から70kd蛋白はアンチトロンビ
ンIII、またはそのホモログ蛋白質であると推測され
た。
【0083】実施例7 C1インヒビターとアンチト
ロンビンIIIの巨核球胞体突起形成活性 高比重リポ蛋白質、C1インヒビター及びアンチトロン
ビンIIIについて、参考例に示した巨核球胞体突起形
成活性の測定法に従って測定した結果を図11に示し
た。市販品のC1インヒビター(米国、カルビオケム
社)は約200%の活性を示した。
【0084】一方市販品のアンチトロンビンIII(米
国、シグマ社)はわずか150%の活性しか示さなかっ
た。またヒトの血漿から精製した本発明の高比重リポ蛋
白質は、約400%以上の活性を示したが、市販の高比
重リポ蛋白質(米国、バイオメディカル テクノロジー
社)は約150%の活性しか示さなかった。しかし、こ
の低活性の市販の高比重リポ蛋白質とアンチトロンビン
IIIを37℃で2時間インキュベーションすることに
よりアンチトロンビンIII−高比重リポ蛋白質の混合
物を作製し、この混合物の活性を測定すると本発明の高
比重リポ蛋白質と同程度の活性を示すことがわかった。
【0085】一方、同様に市販のC1インヒビターと市
販の高比重リポ蛋白質とインキュべションして調製した
C1インヒビター−高比重リポ蛋白質の混合物はC1イ
ンヒビター単独と同程度の活性を示した。アンチトロン
ビンIII−C1インヒビター−高比重リポ蛋白質混合
物は、400%以上の活性を示した。なお、アンチトロ
ンビンIIIあるいはC1インヒビターと高比重リポ蛋
白質の混合物は、150mMの塩化ナトリウムを含むp
H7.4の10mMHEPES緩衝液条件下、37℃で
2時間インキュベーションすることにより作製した。
【0086】以上より、本発明の高比重リポ蛋白質はア
ンチトロンビンIIIとC1インヒビターを含有する高
比重リポ蛋白質であり、アンチトロンビンIIIとC1
インヒビターの両者、または各々、特にアンチトロンビ
ンIIIを含むと、強く血小板増加作用を発揮すること
がわかった。
【0087】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:16 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Asp Glu Pro Pro Gln Ser Pro Trp Asp Arg Val Lys Asp Leu Ala Thr 1 5 10 15
【0088】配列番号:2 配列の長さ:19 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Asn Pro X Ala Thr Ser Ser X X Gln Asp Pro Glu Ser Leu Gln 1 5 10 15 Asp Arg Gly
【0089】配列番号:3 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Gly Ser Pro Val Asp Ile X Thr Ala Lys X Arg Asp Ile Pro 1 5 10 15 Met Gln
【図面の簡単な説明】
【図1】熱、酸処理により得られた高比重リポ蛋白質前
処理液のゲル濾過カラムクロマトグラムである。
【図2】粗精製品1の亜鉛キレーティングカラムクロマ
トを行ったときのクロマトグラムである。
【図3】精製標品のゲル濾過カラムクロマトグラムであ
る。
【図4】精製標品の巨核球胞体突起形成活性を示したグ
ラフである。
【図5】精製標品の血小板産生能を示したグラフであ
る。
【図6】脱脂画分のゲル濾過カラムクロマトグラムであ
る。
【図7】ゲル濾過カラムクロマト活性画分のイオン交換
カラムクロマトグラムである。
【図8】イオン交換カラムクロマト活性画分のヘパリン
カラムクロマトグラムである。
【図9】ヘパリンカラムクロマト活性画分のゲル濾過カ
ラムクロマトグラムである。
【図10】ゲル濾過カラムクロマト活性画分1及び2の
SDS−PAGEを示した図である。
【図11】C1インヒビターとアンチトロンビンIII
の巨核球胞体突起形成活性を示したグラフである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巨核球胞体突起形成活性を有する高比重
    リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物。
  2. 【請求項2】 亜鉛キレーティングゲルに非吸着性の巨
    核球胞体突起形成活性を有する高比重リポ蛋白質を有効
    成分とする医薬組成物。
  3. 【請求項3】 アンチトロンビンIIIを含有する巨核
    球胞体突起形成活性を有する高比重リポ蛋白質を有効成
    分とする医薬組成物。
  4. 【請求項4】 巨核球胞体突起形成活性を有する高比重
    リポ蛋白質が、下記の性質を有することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。 (a)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
    エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で亜鉛キ
    レーティングゲルに吸着しない。 (b)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    HEPES緩衝液条件下のゲル濾過で分子量300kd
    ±100kdをピークとして分画される。 (c)比重がd=1.21以下に分画される。 (d)構成蛋白質としてアポリポプロテインA−Iを含
    む。 (e)血小板産生能を有する。
  5. 【請求項5】 巨核球胞体突起形成活性を有する高比重
    リポ蛋白質が、ヒトの血液を、60℃で10分間加熱し
    沈殿を除去して上清を調製し、該上清をpH4.5の1
    0mMの酢酸ナトリウム緩衝液にて透析し沈殿を除去し
    て上清を取得し、この上清を150mMの食塩を含むp
    H7.4の10mMのHEPES緩衝液にて透析した
    後、150mMの食塩を含むpH7.4の10mMのH
    EPES緩衝液条件下でゲル濾過し、巨核球胞体突起形
    成活性を有する画分を採取し、該画分を、150mMの
    食塩を含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液条
    件下で亜鉛キレーティングゲルに接触せしめ、該ゲルに
    吸着しない画分を採取し、さらに該画分を比重1.21
    に調製した後に超遠心分離し、液面に浮上した黄色の画
    分を採取することにより取得され得る巨核球胞体突起形
    成活性を有する高比重リポ蛋白質であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 C1インヒビターを有効成分とする医薬
    組成物。
  7. 【請求項7】 下記の性質を有することを特徴とする巨
    核球胞体突起形成活性を有する高比重リポ蛋白質を有効
    成分とする医薬組成物。 (a)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
    エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で亜鉛キ
    レーティングゲルに吸着しない。 (b)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    HEPES緩衝液条件下のゲル濾過で分子量300kd
    ±100kdをピークとして分画される。 (c)比重がd=1.21以下に分画される。 (d)構成蛋白質としてアポリポプロテインA−Iを含
    む。 (e)血小板産生能を有する。 (f)構成蛋白質としてアンチトロンビンIIIを含
    む。 (g)構成蛋白質としてC1インヒビターを含む。
  8. 【請求項8】 医薬組成物が、血小板減少症治療剤であ
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の医
    薬組成物。
  9. 【請求項9】 下記の性質を有することを特徴とする巨
    核球胞体突起形成活性を有する高比重リポ蛋白質。 (a)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
    エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で亜鉛キ
    レーティングゲルに吸着しない。 (b)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    HEPES緩衝液条件下のゲル濾過で分子量300kd
    ±100kdをピークとして分画される。 (c)比重がd=1.21以下に分画される。 (d)構成蛋白質としてアポリポプロテインA−Iを含
    む。 (e)血小板産生能を有する。
  10. 【請求項10】 下記の性質を有することを特徴とする
    巨核球胞体突起形成活性を有する高比重リポ蛋白質。
    (a)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
    エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で亜鉛キ
    レーティングゲルに吸着しない。 (b)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    HEPES緩衝液条件下のゲル濾過で分子量300kd
    ±100kdをピークとして分画される。 (c)比重がd=1.21以下に分画される。 (d)構成蛋白質としてアポリポプロテインA−Iを含
    む。 (e)血小板産生能を有する。 (f)構成蛋白質としてアンチトロンビンIIIを含
    む。
  11. 【請求項11】 下記の性質を有することを特徴とする
    巨核球胞体突起形成活性を有する高比重リポ蛋白質。 (a)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
    エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で亜鉛キ
    レーティングゲルに吸着しない。 (b)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    HEPES緩衝液条件下のゲル濾過で分子量300kd
    ±100kdをピークとして分画される。 (c)比重がd=1.21以下に分画される。 (d)構成蛋白質としてアポリポプロテインA−Iを含
    む。 (e)血小板産生能を有する。 (f)構成蛋白質としてアンチトロンビンIIIを含
    む。 (g)構成蛋白質としてC1インヒビターを含む。
  12. 【請求項12】 ヒトの血液を、60℃で10分間加熱
    し沈殿を除去して上清を調製し、該上清をpH4.5の
    10mMの酢酸ナトリウム緩衝液にて透析し沈殿を除去
    して上清を取得し、この上清を150mMの食塩を含む
    pH7.4の10mMのHEPES緩衝液にて透析した
    後、150mMの食塩を含むpH7.4の10mMのH
    EPES緩衝液条件下でゲル濾過し、巨核球胞体突起形
    成活性を有する画分を採取し、該画分を、150mMの
    食塩を含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液条
    件下で亜鉛キレーティングゲルに接触せしめ、該ゲルに
    吸着しない画分を採取し、さらに該画分を比重1.21
    に調製した後に超遠心分離し、液面に浮上した黄色の画
    分を採取することにより取得され得る請求項9〜11の
    いずれかに記載の巨核球胞体突起形成活性を有する高比
    重リポ蛋白質。
JP10146860A 1997-11-20 1998-05-28 高比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物 Withdrawn JPH11209399A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10146860A JPH11209399A (ja) 1997-11-20 1998-05-28 高比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-319587 1997-11-20
JP31958797 1997-11-20
JP10146860A JPH11209399A (ja) 1997-11-20 1998-05-28 高比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11209399A true JPH11209399A (ja) 1999-08-03

Family

ID=26477567

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10146860A Withdrawn JPH11209399A (ja) 1997-11-20 1998-05-28 高比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11209399A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014207199A1 (en) * 2013-06-28 2014-12-31 Csl Behring Gmbh Combination therapy using a factor xii inhibitor and a c1-inhibitor
US10286047B2 (en) 2013-03-08 2019-05-14 Csl Behring Gmbh Treatment and prevention of remote ischemia-reperfusion injury

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10286047B2 (en) 2013-03-08 2019-05-14 Csl Behring Gmbh Treatment and prevention of remote ischemia-reperfusion injury
US10973891B2 (en) 2013-03-08 2021-04-13 Csl Behring Gmbh Treatment and prevention of remote ischemia-reperfusion injury
WO2014207199A1 (en) * 2013-06-28 2014-12-31 Csl Behring Gmbh Combination therapy using a factor xii inhibitor and a c1-inhibitor
AU2014301041B2 (en) * 2013-06-28 2019-10-31 Csl Behring Gmbh Combination therapy using a Factor XII inhibitor and a C1-Inhibitor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4342828A (en) Method for producing substance capable of stimulating differentiation and proliferation of human granulopoietic stem cells
JP3159705B2 (ja) 血管形成ペプチド
US5547931A (en) Methods of stimulatory thrombocytopoiesis using modified C-reactive protein
CA1188244A (en) Angiotropins of leukocytes and inflamed tissue and process for their preparation
JPS6322526A (ja) 肝細胞増殖因子
JPS63239298A (ja) 巨核球促進因子
US20150031621A1 (en) Method for purification of complement factor h
Vermylen et al. Platelet‐Aggregating Activity in Neuraminidase‐Treated Human Cryoprecipitates: Its Correlation with Factor‐VIII‐Related Antigen
NZ225940A (en) Interleukin-1 inhibitors (il-1 inh) and pharmaceutical compositions
JPH11209399A (ja) 高比重リポ蛋白質を有効成分とする医薬組成物
JP3030312B2 (ja) 成熟肝実質細胞増殖因子(i)
JPH05247095A (ja) 新規な巨核球増幅因子とその製造方法および医薬組成物
WO2020210965A1 (zh) 水蛭素突变体的提取纯化方法及其应用
RU2719152C1 (ru) Линия клеток C-HAlb, секретирующих рекомбинантный альбумин человека
EP0047979B1 (en) Serum-derived "leukorecruitin": a protein mediator of inflammation from mammalian serum for specific induction of a leukocytosis reaction, a process for its biotechnical production and isolation in molecularly homogenous, crystallizable, biologically specific, active form, and leukorecruitin-containing pharmaceutical compositions
WO1992017500A1 (en) Novel megakaryocyte amplifying factor and production thereof
AU630106B2 (en) Tumor necrosis enhancing factor and methods of preparation and use
WO1993016106A1 (en) Novel megakaryocyte amplifier and production thereof
JPH02502640A (ja) Gm‐csfの精製
JP2846331B2 (ja) 骨髄細胞分化増殖因子、その産生細胞及びその製法
JP2003520805A (ja) 抗トロンビンiiiの精製の方法
JP2506472B2 (ja) 新規な巨核球系コロニ―刺激因子とその製法
JPH0827188A (ja) 新規な造血抑制因子
JPS6237605B2 (ja)
JPH02138199A (ja) 免疫抑制因子i及び2,その製造法及びそれを有効成分とする免疫抑制剤

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050802