JPH11207379A - 生物処理用の微生物担体 - Google Patents

生物処理用の微生物担体

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JPH11207379A
JPH11207379A JP10014696A JP1469698A JPH11207379A JP H11207379 A JPH11207379 A JP H11207379A JP 10014696 A JP10014696 A JP 10014696A JP 1469698 A JP1469698 A JP 1469698A JP H11207379 A JPH11207379 A JP H11207379A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間使用しても強度劣化しない生物処理用の
微生物担体の提供。 【解決手段】生物処理槽7内で廃水消化用の微生物を担
持する微生物担体1において、前記担体1を炭素繊維製
布により形成する。好ましくは 炭素繊維製布により中
空筒体2の多孔性周壁を形成し、中空筒体2を周方向及
び軸方向の形状保持能のある枠体4で支持して微生物担
体1とする。更に好ましくは、炭素繊維製布を、径1〜
30μmの炭素繊維からなる厚さ0.3〜6.0mm、単位重量20
〜300g/m2の不織布とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生物処理用の微生物
担体に関し、とくに廃水を生物処理する装置において廃
水消化用の微生物を担持する微生物担体に関する。
【0002】
【従来の技術】産業廃水などの浄化方法として、廃水を
微生物固定床が設けられた処理槽(以下、生物処理槽と
いう。)に導き、固定床に付着した微生物と接触させ、
その微生物の消化作用により廃水処理する方法(以下、
生物処理という。)が広く実施されている。生物処理槽
の固定床は、廃水処理効率化の観点から、所定量の微生
物が短期間で効率的に付着すること、及び廃水と微生物
との接触効率を低下させる変形や閉塞が発生しにくいこ
と等の条件を満たすことが要求される。これらの条件を
満たす固定床として、実公平7-021280号公報は、ガラス
繊維製織布又は不織布の多孔性材料による微生物担体を
開示している。
【0003】図1を参照するに、同公報の微生物担体1
は、ガラス繊維製織布又は不織布により形成した中空筒
体2の多孔性周壁を、合成樹脂製の周方向及び軸方向部
材からなり形状保持能のある枠体4で支持したものであ
る。この微生物担体1は、ガラス繊維製多孔性周壁の細
孔に微生物が捕捉されるので、短期間のうちに効率よく
微生物を固定できる。中空筒体2の内側経の大きさを適
当に調整することにより閉塞のおそれをなくし、また廃
水中の固形物等に対する抵抗を低くして生物処理の効率
化を図ることができる。さらに枠体4が中空筒体形状を
保持するので、例えば図3(A)又は(B)のように生
物処理槽内に多数の担体1を充填した場合でも、下方の
担体1の変形及び閉塞を防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしガラス繊維製の
微生物担体は、生物処理槽内で長期間使用すると脆弱化
(以下、強度劣化ということがある。)しやすい問題点
がある。この理由は、生物処理では微生物の消化作用に
より廃水中の有機物が分解される過程で酢酸、プロピオ
ン酸等の有機酸が発生するため、生物処理槽内の被処理
水が酸性化しやすく、酸性化した被処理水がガラス繊維
を徐々に溶かすからである。とくに微生物担体は生物処
理槽内に固定したまま継続的に使用されるので、長い間
にガラス繊維の溶解は微生物担体の強度劣化を招く原因
となる。図1においてガラス繊維製の中空筒体2が強度
劣化すると、枠体4による支持にも拘わらず中空筒体2
の崩壊、変形又は閉塞が起こり易くなり、生物処理効率
の低下を招くおそれがある。また定期的に微生物担体を
交換するメンテナンス処理を行うことは、生物処理槽の
ランニングコストの増加となる。生物処理槽内で長期間
使用しても強度劣化せず、生物処理槽内での寿命が長い
微生物担体の開発が望まれていた。
【0005】そこで本発明の目的は、長期間使用しても
強度劣化しない生物処理用の微生物担体を提供するにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の生物処理用の微
生物担体は、生物処理槽7内で廃水消化用の微生物を担
持する微生物担体1において、前記担体1を炭素繊維製
布により形成してなるものである。ここで炭素繊維の一
例は、石炭ピッチを高温で熔融紡糸し、不融炭素化して
得られる繊維であるが、本発明の炭素繊維の材質はこの
例に限定されない。
【0007】好ましくは炭素繊維製布を、径1〜30μm
の炭素繊維からなる厚さ0.3〜6.0mm、単位重量20〜300g
/m2の不織布とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者らは、従来の生物処理槽
の固定床に要求された所定量の微生物が効率的に付着す
ること、及び変形や閉塞が起こりにくいことの条件に加
え、酸に対する強度劣化が少ない担体材料の研究の結
果、炭素繊維に注目した。表1は、2種類のガラス繊維
製不織布A、B及び1種類の炭素繊維製不織布Cについ
て、酸に対する強度劣化の加速度実験を行った結果を示
す。表1に示す初期強度は、それぞれ所定幅の不織布
A、B、Cの両端をチャックし、オートグラフにより不
織布が破断するまで引張り加重をかけ、その破断を起こ
した加重をサンプル不織布の単位巾当たりで示したもの
である。また10年後の推定強度は、それぞれ不織布A、
B、Cを120℃に熱した0.1%酢酸溶液へ浸漬して加速劣
化させた後、上記方法により求めた強度を示す。
【0009】表1から分かるように、炭素繊維製不織布
Cの初期強度はガラス繊維製不織布A、Bに比べてかな
り小さいが、10年後の推定強度は炭素繊維製不織布Cの
方がガラス繊維製不織布A、Bより上回っている。すな
わち炭素繊維製不織布はガラス繊維製不織布に比し、酸
性溶液中で長期間使用した場合でも強度劣化が少ないこ
とが確認できた。微生物担体を炭素繊維製とすれば、ガ
ラス繊維製の場合よりも生物処理槽内での寿命が長い担
体とすることができる。
【0010】なお表1は不織布による実験結果を示す
が、本発明は不織布による微生物担体に限定されない。
炭素繊維製の織布により生物処理槽内での寿命が長い微
生物担体を形成することも可能である。また炭素繊維製
不織布の初期強度が小さい点については、例えば不織布
の厚さの調整又は多層化などにより必要な強度の微生物
担体とすることが可能である。
【0011】
【表1】
【0012】他方図2は、ガラス繊維製不織布及び炭素
繊維製不織布について、生物処理用の微生物の付着実験
を行った結果のグラフを示す。図2では、ガラス繊維製
不織布(単位重量100g/m2、エポキシバインダー、厚さ
約0.75mm)と炭素繊維製不織布(単位重量30g/m2、エポ
キシバインダー、厚さ約0.60mm)をそれぞれ嫌気性生物
処理槽の発酵液に浸漬し、90日間にわたり不織布の単位
面積当たりの嫌気性微生物付着量を測定した。図2のグ
ラフから分かるように、浸漬後20日頃からガラス繊維製
不織布に比し炭素繊維製不織布の微生物付着量が多くな
り始め、60日以降には微生物付着量の差は5mg/cm2以上
となった。すなわち炭素繊維製不織布はガラス繊維製不
織布に比し、単位面積当たり多くの微生物が効率的に付
着できることが確認できた。微生物担体を炭素繊維製と
すれば、ガラス繊維製の場合よりも単位面積当たりの微
生物量を多くできるので、生物処理効率の向上を図るこ
とができる。
【0013】微生物担体を形成する炭素繊維製布の炭素
繊維径、接合材料、布の厚さ、布の単位重量などは、微
生物の付着量、被処理水の流れやすさ、微生物担体の作
成しやすさ及び強度などを勘案して適当に選択すること
ができる。本発明者は、径1〜30μmの炭素繊維からな
る厚さ0.3〜6.0mm、単位重量20〜300g/m2の炭素繊維製
不織布により、長期間使用しても強度劣化せず且つ生物
処理槽の固定床に適する微生物担体が形成できることを
実験的に見出した。ただし本発明はこの例に限定される
ものではない。
【0014】また本発明で用いる炭素繊維製担体は、従
来のガラス繊維製担体とほぼ同等のコストで製造でき
る。従来と同程度のコストで微生物槽内での寿命が長い
微生物担体を製造できるので、微生物担体の寿命が長く
なることにより生物処理全体のコストの低減を図ること
ができる。
【0015】こうして本発明の目的である「長期間使用
しても強度劣化しない生物処理用の微生物担体」の提供
を達成することができる。
【0016】
【実施例】図1は、炭素繊維製布により中空筒体2の多
孔性周壁を形成し、中空筒体2を周方向及び軸方向の形
状保持能のある枠体4で支持して微生物担体1とした本
発明の実施例を示す。但し本発明の炭素繊維製布による
微生物担体は中空筒体に限定されず、生物処理槽の条件
に適する他の適当な形状とすることができる。炭素繊維
製布が有する酸性溶液中での強度劣化が少なく且つ単位
面積当たりの付着微生物量が多いという性質は、微生物
担体を中空筒体以外の形状とした場合でも失われない。
【0017】中空筒体2は図示例の円筒形の他、例えば
断面三角形、断面方形、断面多角形、又は周方向に凹凸
のある花弁状断面とすることができる。また中空筒体2
の長さ方向の形状もベローズ状や砂時計状のくびれのあ
るもの、又は断面形状が長さ方向に変化するものとする
ことができる。くびれのある形状は中空筒体2の表面積
を広げるので担体1の微生物保持能力を高める。中空筒
体2の径は小さ過ぎると閉塞のおそれがあり、大き過ぎ
ると微生物付着表面積が不足するので、炭素繊維製布の
性質を勘案して適当に選択することができる。
【0018】枠体4は中空筒体2を支持してその形状を
保持するものである。例えば図1(C)に示すように、
中空筒体2を内側又は外側から保持する合成樹脂製の螺
旋状の周方向部材と棒状の軸方向部材とからなる枠体4
とすることができる。必要に応じて中空筒体2と枠体4
とを接着剤又は溶着により固定することができる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の生物処理
用の微生物担体は、炭素繊維製布により微生物担体を形
成するので、次の顕著な効果を奏する。
【0020】(イ)酸性溶液中で長期間使用した場合で
も強度劣化し難いので、ガラス繊維製の場合よりも生物
処理槽内での寿命が長い微生物担体とすることができ
る。 (ロ)ガラス繊維製の場合よりも単位面積当たりの付着
微生物量を多くできるので、処理効率の良い生物処理槽
を作ることができる。 (ハ)微生物担体を交換するメンテナンス処理の頻度を
減らすことができるので、生物処理槽のランニングコス
トを低く押さえることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施例の説明図である。
【図2】は、担体への微生物付着量の経日変化を示すグ
ラフである。
【図3】は、本発明の担体を設けた生物処理槽の説明図
である。
【符号の説明】
1…微生物担体 2…中空筒体 4…枠体 7…生物処理槽 8…受け台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 雅史 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 横井 浩司 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 佐藤 幸男 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生物処理槽内で廃水消化用の微生物を担持
    する微生物担体において、前記担体を炭素繊維製布によ
    り形成してなる生物処理用の微生物担体。
  2. 【請求項2】請求項1の微生物担体において、前記炭素
    繊維製布を、径1〜30μmの炭素繊維からなる厚さ0.3〜
    6.0mm、単位重量20〜300g/m2の不織布としてなる生物処
    理用の微生物担体。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の微生物担体において、前
    記担体を、炭素繊維製布の中空筒体としてなる生物処理
    用の微生物担体。
  4. 【請求項4】請求項3の微生物担体において、前記中空
    筒体を周方向及び軸方向の形状保持能がある枠体で支持
    してなる生物処理用の微生物担体。
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