JPH11203970A - ポリマー碍管および電力ケーブルの終端接続部 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、電力ケーブルの終端接続部には、外周
に笠部が形成された略円筒状の磁器製の磁器碍管が使用
されており、この磁器碍管は重いと共にストレスコーン
受け部を別途用意しなければならないという問題があっ
た。 【解決手段】 絶縁内筒２と、この絶縁内筒２の外周に
設けられた笠部３Ａを有するポリマー外部被覆３を備え
てなるポリマー碍管を使用する。絶縁内筒２と一体的に
ストレスコーン受部２Ｂを設けると共に、ストレスコー
ン受部２Ｂの外周にも笠部３Ａを有するポリマー外部被
覆３を設ける。これによって軽量化を図れると共に、ス
トレスコーン受部を別に用意する必要がなくなり、部品
点数が減る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマー碍管と、
このポリマー碍管を使用した電力ケーブルの終端接続部
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、高電圧電力ケーブルの終端接続部
には、図３に示すような磁器碍管１０が使用されてい
る。この磁器碍管１０は外周に笠部が形成された略円筒
状の磁器製のものである。

【０００３】上記の磁器碍管１０を使用した場合の高電
圧電力ケーブルの終端接続部の組み立ては、次のように
行われていた。まず、電力ケーブルの端部を段剥ぎして
絶縁層１２と導体１４を順次露出させる。次に露出させ
た絶縁層１２の外周にストレスコーン１６を装着すると
共に、導体１４に導体引出し棒１８を接続する。次にこ
れらを磁器碍管１０内に挿入する。次に導体引出し棒１
８を上部金具２０から突出させて固定すると共に、スト
レスコーン１６をストレスコーン受部２２に係止する。
ストレスコーン受部２２は下部金具２４に下端側が固定
されている。次にストレスコーン１６を押し金具２６で
押し付けて所定の圧力を加える。なお図３において、２
８は押し金具２６を支持すると共にケーブル外周を保護
するケーブル保護金具、３０は上部金具２０を覆った上
部覆い金具である。また磁器碍管１０の内部には油３２
が充填されている。

【０００４】ところで近年、絶縁内筒と、この絶縁内筒
の外周に設けられたポリマー外部被覆を備えてなるポリ
マー碍管が開発されている。前記絶縁内筒としては絶縁
性に優れ、強度のあるＦＲＰ等が使用され、また前記ポ
リマー外部被覆にはシリコンゴム等の高分子材料が使用
されて、その外周には笠部が形成されている。このポリ
マー碍管は、軽量で、取扱いが容易という利点があるの
で、上記のような電力ケーブルの終端接続部に使用する
ことが検討されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高電圧
の電力ケーブルの終端接続部に単にポリマー碍管を使用
しただけでは軽量化の効果があるにすぎない。一方、従
来の磁器碍管は、地絡時に破損して内部の油が流出し、
二次災害を誘発するおそれがあるという問題があった。

【０００６】本発明の目的は、電力ケーブルの終端接続
部に使用するに際して部品点数を少なくできるポリマー
碍管を提供することにある。また万一碍管が破損した場
合でも油が流出しない電力ケーブルの終端接続部を提供
することにある。

【課題を解決するための手段】

【０００７】このため本発明は、絶縁内筒と、この絶縁
内筒の外周に設けられた笠部を有するポリマー外部被覆
を備えてなるポリマー碍管において、前記絶縁内筒と一
体的にストレスコーン受部を設けると共に、このストレ
スコーン受部の外周にも笠部を有するポリマー外部被覆
を設けたことを特徴とするものである。

【０００８】また本発明の電力ケーブルの終端接続部
は、絶縁内筒と一体的にストレスコーン受部を設けると
共に、前記絶縁内筒およびストレスコーン受部の各外周
に笠部を有するポリマー外部被覆を設けたポリマー碍管
と、絶縁層と導体が段剥ぎされて前記ポリマー碍管の絶
縁内筒内に挿入された電力ケーブル終端部と、前記スト
レスコーン受部に係止されたストレスコーンとを備えて
なり、前記ポリマー碍管の絶縁内筒内は油が入っていな
い乾式構造になっていることを特徴とするものである。

【０００９】本発明に係るポリマー碍管のように、絶縁
内筒と一体的にストレスコーン受部を設けると共に、ス
トレスコーン受部の外周にも笠部を有するポリマー外部
被覆を設けると、ストレスコーン受部を別途設ける必要
がないので部品点数が減って部品管理が容易になると共
に、外部の沿面距離も長くなるので耐汚損特性が良好に
なる。

【００１０】また本発明に係る電力ケーブルの終端接続
部のように、ポリマー碍管の絶縁内筒内に油を入れない
乾式構造にすることにより、万一ポリマー碍管が破損し
た場合でも油の流出事故をなくすことができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図１は本発明に係るポリマー碍管
と、それを用いた電力ケーブルの終端接続部の第１の実
施形態を示すものである。ポリマー碍管１は、絶縁内筒
２と、この絶縁内筒２の外周に形成されたポリマー外部
被覆３を備えている。絶縁内筒２は、ＦＲＰの円筒体２
Ａと、この円筒体２Ａの下部に一体的に取り付けられた
エポキシ樹脂製のストレスコーン受部２Ｂとから構成さ
れている。一方、ポリマー外部被覆３はシリコンゴム等
の高分子材料で構成されており、その外周面には長手方
向に間隔をあけて多数の笠部３Ａが形成されている。こ
のポリマー外部被覆３は、ＦＲＰの円筒体２Ａの外周
と、その円筒体２Ａの下部に一体的に取り付けられたエ
ポキシ樹脂製のストレスコーン受部２Ｂの外周をそれぞ
れ覆っている。

【００１２】上記構成のポリマー碍管１を使用した電力
ケーブルの終端接続部の組み立ては、次のように行われ
る。まず、電力ケーブルの端部を段剥ぎして絶縁層１２
と導体１４を順次露出させる。次に露出させた絶縁層１
２の外周にストレスコーン１６を装着すると共に、導体
１４に導体引出し棒１８を接続する。次にこれらをポリ
マー碍管１内に挿入し、導体引出し棒１８を上部金具２
０から突出させて固定すると共に、ストレスコーン１６
をストレスコーン受部２Ｂに係止する。次に該ストレス
コーン１６を押しパイプ２６Ａと押しバネ２６Ｂとで構
成される押し金具２６で押し付けて所定の圧力を加え
る。なお、図１において、２４はポリマー碍管の下部に
取り付けられた下部金具、２８は押し金具２６を支持す
ると共にケーブル外周を保護するケーブル保護金具、３
０は上部金具２０を覆った上部覆い金具である。またＦ
ＲＰの円筒体２Ａの内部にはＰＶＣ（ポリ塩化ビニル）
粉末５０が充填される。

【００１３】上記のようにストレスコーン受部２Ｂが予
め設けられているポリマー碍管を使用すると、別途スト
レスコーン受部を用意する必要がなく、簡単にストレス
コーン１６を係止することができる。またＦＲＰの円筒
体２Ａの外周と、その円筒体２Ａの下部に一体的に取り
付けられたエポキシ樹脂製のストレスコーン受部２Ｂの
外周をそれぞれ覆うようにポリマー外部被覆３を設ける
と、ポリマー外部被覆３の外部の沿面距離が長くなるの
で耐汚損特性を向上させることができる。

【００１４】また、ＦＲＰの円筒体２Ａの内部に油を充
填せずにＰＶＣ粉末を充填した乾式構造にすると、接続
部の重量が軽くなると共に、万一碍管が破壊する事故が
起きても油が流出するという問題が無くなる。

【００１５】図２は本発明に係るポリマー碍管と、それ
を用いた電力ケーブルの終端接続部の他の実施形態を示
すものである。ポリマー碍管１は、絶縁内筒２と、その
絶縁内筒２の外周にポリマー外部被覆３を備えている点
では前記実施形態と同じであるが、絶縁内筒２全体がエ
ポキシ樹脂で形成されている点およびその絶縁内筒２の
下方側に一体的にストレスコーン受部２Ｂが形成されて
いる点で前記実施形態と相違している。なおポリマー外
部被覆３は、ストレスコーン受部２Ｂを含む絶縁内筒２
の外周全体に形成されている点、シリコンゴム等の高分
子材料で構成されている点、長手方向に間隔をあけて多
数の笠部３Ａが形成されている点では前記実施形態と同
様である。

【００１６】また前記実施形態とのもう一つの相違点
は、エポキシ樹脂で形成された絶縁内筒２の内部に予め
引出し導体６０が一体的に埋め込まれている点である。
すなわち引出し導体６０は、上部がポリマー碍管１の上
面から突出しており、下部がストレスコーン受部２Ｂの
上部付近まで伸びており、その下部に電力ケーブルの導
体１４を接続するように構成されている。段剥ぎにより
露出させた電力ケーブルの導体１４は、引出し導体６０
の下部の導体接続部に接続されている。その他の点は前
記実施の形態と同様であるので、同一部分には同一符号
を付して説明を省略する。なおこの電力ケーブルの終端
接続部は、絶縁内筒２内に油は勿論ＰＶＣ粉末も入って
いない乾式構造である。

【００１７】上記の如きポリマー碍管においても、別に
ストレスコーン受部を用意する必要がないので、部品点
数が減少すると共に、ポリマー外部被覆の外部の沿面距
離が長くなるので耐汚損特性が優れているという効果が
ある。

【００１８】また、ＦＲＰの円筒体の内部に何も充填し
ない乾式構造であるので、油を充填したものに比して接
続部の重量が軽くなると共に、万一碍管の破壊事故が起
きても油が流出するという問題がなくなる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係るポリマ
ー碍管は、絶縁内筒と一体的にストレスコーン受部を設
けると共に、そのストレスコーン受部の外周にも笠部を
有したポリマー外部被覆を設けたので、ストレスコーン
受部を別途必要とせず部品点数が減って部品管理が容易
になると共に、外部の沿面距離が長くなることから耐汚
損特性を向上させることができる。

【００２０】また本発明に係る電力ケーブルの終端接続
部は、ポリマー碍管の絶縁内筒内に油を入れない乾式構
造としたので、万一ポリマー碍管が破損した場合でも油
の流出事故をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るポリマー碍管と、それを用いた
電力ケーブル終端接続部の第１の実施形態を示す半裁断
面図。

【図２】 本発明に係るポリマー碍管と、それを用いた
電力ケーブル終端接続部の第２に実施形態を示す半裁断
面図。

【図３】 従来の磁器碍管の使用状態を示す半裁断面
図。

【符号の説明】

１ ：ポリマー碍管 ２ ：絶縁内筒 ２Ｂ：ストレスコーン受部 ３ ：ポリマー碍管 ３Ａ：笠部 １２：絶縁層 １４：導体 １６：ストレスコーン ２４：押し金具 ５０：ＰＶＣ粉末 ６０：引出し導体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 謙一郎 東京都千代田区内幸町１丁目１番３号 東 京電力株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁内筒と、この絶縁内筒の外周に設けら
   れた笠部を有するポリマー外部被覆を備えてなるポリマ
   ー碍管において、前記絶縁内筒と一体的にストレスコー
   ン受部を設けると共に、このストレスコーン受部の外周
   にも笠部を有するポリマー外部被覆を設けたことを特徴
   とするポリマー碍管。
2. 【請求項２】絶縁内筒と一体的にストレスコーン受部を
   設けると共に、前記絶縁内筒およびストレスコーン受部
   の各外周に笠部を有するポリマー外部被覆を設けたポリ
   マー碍管と、絶縁層と導体が段剥ぎされて前記ポリマー
   碍管の絶縁内筒内に挿入された電力ケーブル終端部と、
   前記ストレスコーン受部に係止されたストレスコーンと
   を備えてなり、前記ポリマー碍管の絶縁内筒内は油が入
   っていない乾式構造になっていることを特徴とする電力
   ケーブルの終端接続部。