JPH11202268A - コンタクトレンズ用染料、それを用いたカラーコンタクトレンズの製法およびそれからえられたカラーコンタクトレンズ - Google Patents

コンタクトレンズ用染料、それを用いたカラーコンタクトレンズの製法およびそれからえられたカラーコンタクトレンズ

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JPH11202268A
JPH11202268A JP10005898A JP589898A JPH11202268A JP H11202268 A JPH11202268 A JP H11202268A JP 10005898 A JP10005898 A JP 10005898A JP 589898 A JP589898 A JP 589898A JP H11202268 A JPH11202268 A JP H11202268A
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dye
contact lens
vat
color
quaternary ammonium
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JP10005898A
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Junji Niwa
純二 丹羽
Hideaki Kamiya
英昭 神谷
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TOME KK
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TOME KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水不溶性及び耐煮沸性を満足し、モノマー原
料に可溶なコンタクトレンズ用染料、該染料を用いて着
色むらなく容易にカラーコンタクトレンズを製造する方
法、該方法によるカラーコンタクトレンズを提供するこ
と。 【解決手段】 バット染料と、式(I): 【化4】 (式中、Xはハロゲン原子、R1及びR2は同一又は異な
る基、R1とR2とが同一のとき、R1及びR2は炭素数2
〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、R1
2とが異なるとき、R1はメチル基又はエチル基、R2
はフェニル基又はベンジル基)で表わされる4級アンモ
ニウム塩とを反応させてなるモノマーに可溶なコンタク
トレンズ用染料、該コンタクトレンズ用染料を重合前の
モノマー混合物に予め溶解させた後、えられた溶解物を
重合させることを特徴とするカラーコンタクトレンズの
製法、及び該製法によってえられたカラーコンタクトレ
ンズ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンタクトレンズ
用染料、それを用いたカラーコンタクトレンズの製法お
よびそれからえられたカラーコンタクトレンズに関す
る。さらに詳しくは、コンタクトレンズ、とくにソフト
コンタクトレンズに着色する方法および該方法によって
えられたカラーコンタクトレンズ、とくにカラーソフト
コンタクトレンズならびに該方法に用いる染料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、落下時の識別のしやすさ、防眩効
果、美容上の効果などをうることを目的として、コンタ
クトレンズに着色することが行なわれてきている。
【0003】とくに、ソフトコンタクトレンズ用の染料
に求められる性能としては、 含水状態で使用するため、基本的に水に対して不溶
性を呈すること 消毒を行なう必要があるため、耐熱性(耐煮沸性)
を有すること があげられる。
【0004】また、ハードコンタクトレンズ用の染料と
しては、前記ソフトコンタクトレンズ用の染料に求めら
れる性能を有するものであれば充分である。
【0005】そこで、当業者による種々の検討の結果、
バット染料が、水不溶性、耐煮沸性および耐薬品性につ
いて満足しうるものであることから、コンタクトレンズ
用の染料として有望であることが見出された。
【0006】ここで、一般に、レンズの着色に採用され
る方法としては、たとえばレンズ原料となるモノマーに
あらかじめ染料を混合したのち、重合によってレンズを
成形する方法、モノマーにあらかじめ染料分子を化学的
に結合させたのち、重合によってレンズを成形する方
法、ソフトコンタクトレンズのばあい、レンズを成形し
たのち、染料溶液に浸漬して着色する方法が知られてい
る。
【0007】しかしながら、前記のごとき従来のレンズ
の着色方法をバット染料に適用するには、いずれも何ら
かの問題が内在している。たとえば、レンズ原料となる
モノマーにあらかじめ染料を混合したのち、重合によっ
てレンズを成形する方法は、通常バット染料がモノマー
に溶解しないため、採用することができない。モノマー
にあらかじめ染料分子を化学的に結合させたのち、重合
によってレンズを成形する方法には、モノマーと反応可
能なバット染料が限定されてしまうという問題がある。
さらに、レンズを成形したのち、染料溶液に浸漬して着
色する方法のばあい、コンタクトレンズの着色を一様に
行なうことが困難であり、着色むらが生じやすいこと
や、着色工程が別で煩雑であるなどの問題がある。
【0008】そこで、さらに前記バット染料をモノマー
に溶解させる方法について検討が重ねられてきた。
【0009】たとえば、バット染料をモノマーに溶解さ
せる方法として、バット染料をあらかじめスルホン化し
て水などに溶解可能とした可溶化バット染料をジメチル
アクリルアミドに溶解させる方法が提案されている(特
開平7−33808号公報)。しかしながら、かかる可
溶化バット染料は、水およびジメチルアクリルアミドの
みに可溶であり、他の一般的なモノマーには不溶なもの
である。
【0010】また、前記可溶化バット染料にトリアルキ
ル4級アンモニウム塩を反応させて有機溶媒に可溶化さ
せる方法が提案されている(特開昭62−186221
号公報)。かかる方法によれば、可溶化バット染料は、
モノマーにも溶解されうると考えられる。しかしなが
ら、かかる方法には前記のごとき特定の可溶化バット染
料を用いなければならず、現在可溶化バット染料は、入
手可能な市販品の種類が少ないため、選択の幅が狭く、
制限されてしまうといった欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、水不溶性および耐煮沸
性を満足し、通常のコンタクトレンズのモノマー原料に
可溶なコンタクトレンズ用染料、ならびに該コンタクト
レンズ用染料を用いて着色むらなく容易にカラーコンタ
クトレンズを製造する方法およびかかる方法によるカラ
ーコンタクトレンズを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、 バット染料と、式(I):
【0013】
【化2】
【0014】(式中、Xはハロゲン原子、R1およびR2
は同一または異なる基であり、R1とR2とが同一である
ばあい、R1およびR2は炭素数2〜6の直鎖状、分岐鎖
状または環状のアルキル基を示し、R1とR2とが異なる
ばあい、R1はメチル基またはエチル基、R2はフェニル
基またはベンジル基を示す)で表わされる4級アンモニ
ウム塩とを反応させてなるモノマーに可溶なコンタクト
レンズ用染料、 前記コンタクトレンズ用染料を重合前のモノマー混
合物にあらかじめ溶解させたのち、えられた溶解物を重
合させることを特徴とするカラーコンタクトレンズの製
法、および 前記製法によってえられたカラーコンタクトレンズ
に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のコンタクトレンズ用染料
は、前記したように、モノマーに可溶であり、バット染
料と、式(I):
【0016】
【化3】
【0017】(式中、Xはハロゲン原子、R1およびR2
は同一または異なる基であり、R1とR2とが同一である
ばあい、R1およびR2は炭素数2〜6の直鎖状、分岐鎖
状または環状のアルキル基を示し、R1とR2とが異なる
ばあい、R1はメチル基またはエチル基、R2はフェニル
基またはベンジル基を示す)で表わされる4級アンモニ
ウム塩とを反応させてえられる。このように、本発明の
コンタクトレンズ用染料は、バット染料と特定の4級ア
ンモニウム塩とを反応させてえられたものであるので、
従来のたとえば特開昭62−186221号公報に記載
のものとは異なり、スルホン基を有していない。バット
染料には、塩基である前記特定の4級アンモニウム塩と
酸塩基反応により直接反応しうる反応基が存在しないた
め、該4級アンモニウム塩によって還元され、この還元
部位と原料モノマーとが反応しているものと考えられ
る。したがって、本発明のコンタクトレンズ用染料は、
通常のコンタクトレンズの原料モノマーに可溶となるの
である。
【0018】本発明に用いられるバット染料は、水不溶
性、耐煮沸性および耐薬品性を有するものであり、たと
えばC.I.バットブラウン1(C.I.70800、
16,23−ジヒドロジナフト−[2,3a:2′,
3′i]ナフト[2′,3′:6,7]インドロ[2,
3c]カルバゾール−5,10,15,17,22,2
4−ヘキソン)、C.I.バットイエロー3(C.I.
61725、N,N′−(9,10−ジヒドロ−9,1
0−ジオキソ−1,5−アントラセネジイル)ビスベン
ザミド)、C.I.バットブルー6(C.I.6982
5、7,16−ジクロロ−6,15−ジヒドロ−5,
9,14,18−アントラジネテトロン)などのアント
ラキノン系バット染料;C.I.バットブルー1(C.
I.73000、インジゴ)、C.I.バットオレンジ
5(C.I.73335、6−エトキシ−2−(6−エ
トキシ−3−オキソベンゾ[b]チエン−2(3H)−
イリデン)ベンゾ[b]チオペン−3(2H)−オン)
などのインジゴ系バット染料;C.I.バットオレンジ
1(C.I.59105、1,7−ジブロモ−ジベンズ
(ef,no)クリセン−6,12−ジオン)、C.
I.バットグリーン1(C.I.59825、16,1
7−ジメトキシジナフト[1,2,3cd:3′,2′
lm]ペリレン−5,10−ジオン)などがあげられ、
これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることが
できる。これらのなかでは、入手が容易であり、一般式
(I)で表わされる4級アンモニウム塩と反応しやすい
という点から、C.I.バットブルー6、C.I.バッ
トブラウン1、C.I.バットグリーン1またはC.
I.バットオレンジ5が好ましい。
【0019】本発明に用いられる4級アンモニウム塩
は、前記一般式(I)で表わされるものであり、かかる
一般式(I)において、Xは、たとえば塩素原子、臭素
原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、R1およびR2
同一または異なる基であり、R1とR2とが同一であるば
あい、R1およびR2は炭素数2〜6の直鎖状、分岐鎖状
または環状のアルキル基を示し、R1とR2とが異なるば
あい、R1はメチル基またはエチル基、R2はフェニル基
またはベンジル基を示す。かかる4級アンモニウム塩の
なかでも、前記バット染料との反応の容易さなどの点か
ら、一般式(I)において、R1とR2とが同一であり、
1およびR2が炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状の
アルキル基を示す4級アンモニウム塩や、一般式(I)
において、R1とR2とが異なり、R1はメチル基または
エチル基、R2はフェニル基またはベンジル基を示す4
級アンモニウム塩が好ましい。
【0020】本発明のコンタクトレンズ用染料は、前記
バット染料と4級アンモニウム塩とを反応させることに
よりえられるが、かかるバット染料および4級アンモニ
ウム塩両成分の反応は、たとえばバット染料と、これに
対して当モル量以上、好ましくはバット染料1モルに対
して1〜4モル程度の4級アンモニウム塩とを適切な親
水性溶媒中で混合させることによって行なうことができ
る。
【0021】前記親水性溶媒としては、バット染料は本
質的に不溶性物質であるので、バット染料に対する溶解
能は問題外であり、4級アンモニウム塩を溶解しうるも
のであればよく、とくに限定がないが、たとえば水、エ
タノール、メタノール、テトラヒドロフラン、ジメチル
スルホキシド、ジメチルホルムアミドなどがあげられ
る。これらのなかでは、反応後のバット染料を分取しや
すいという点から、水が好ましく、両成分を親水性溶媒
中、とくに水中で還流して反応させることが好ましい。
【0022】また、両成分の反応は常温においても充分
に進行するが、たとえば80〜150℃程度に加熱する
ことによってその進行がより促進される。
【0023】両成分の反応が終了したのち、沈殿を濾別
し、過剰量の塩を水で洗い流す。ついで、たとえばアセ
トン、エタノール、メタノール、ヘキサン、クロロホル
ム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ジク
ロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサンなどの有機
溶媒にて可溶成分を抽出し、乾燥することにより、目的
とするコンタクトレンズ用染料がえられる。
【0024】かくしてえられる本発明のコンタクトレン
ズ用染料は、従来のバット染料とは異なり、たとえば前
記した種々の有機溶媒に可溶であるが、通常のバット染
料と同様に、たとえば酸化剤水溶液に浸漬したり、紫外
線照射のもとで空気酸化させるなどの酸化処理を施すこ
とにより、容易に4級アンモノウム塩が脱離されて有機
溶媒に不溶のバット染料が復元される。
【0025】本発明のカラーコンタクトレンズの製法
は、前記コンタクトレンズ用染料を重合前のモノマー混
合物にあらかじめ溶解させたのち、えられた溶解物を重
合させることを特徴とするものである。
【0026】前記コンタクトレンズ用染料を重合前のモ
ノマー混合物にあらかじめ溶解させる際のコンタクトレ
ンズ用染料の濃度にはとくに限定がないが、コンタクト
レンズが充分に着色されて目的とするカラーコンタクト
レンズがえられるようにするには、コンタクトレンズ用
染料の濃度が、えられる溶解物の0.001重量%以
上、好ましくは0.005重量%以上となるようにする
ことが望ましい。また、えられたカラーコンタクトレン
ズがコンタクトレンズとして必要な光線透過率を有する
ようにするには、コンタクトレンズ用染料の濃度が、前
記溶解物の5重量%以下、好ましくは1重量%以下とな
るようにすることが望ましい。
【0027】コンタクトレンズ用染料を重合前のモノマ
ー混合物にあらかじめ溶解させるには、たとえば室温で
両者をよく撹拌混合するなどすればよい。
【0028】本発明に用いられるモノマー混合物にはと
くに限定がなく、前記コンタクトレンズ用染料を溶解し
うる、通常コンタクトレンズの原料モノマーとして用い
られるものであればよい。
【0029】モノマー混合物に用いられるモノマーとし
ては、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;N,
N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチ
ル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メ
タ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)
アクリルアミド;N−ビニルピロリドン、N−ビニルピ
ペリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニルラク
タム;アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキ
ル(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキ
ル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレ
ン、メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレ
ンなどのアルキルスチレン、トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルスチレン、(トリメチルシロキシ)ジメチル
シリルスチレン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシ
リルスチレンなどのシリコン含有スチレンなどのスチレ
ン類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アク
リレートなどがあげられる。これらのモノマーは、目的
とするコンタクトレンズの種類やその物性に応じて適宜
組み合わせ、その量を調整して用いればよく、またこれ
らは使用可能なモノマーの一例であり、モノマーの例示
は、もちろんこれらのみに限定されるものではない。
【0030】コンタクトレンズ用染料を重合前のモノマ
ー混合物にあらかじめ溶解させたのち、えられた溶解物
を重合させ、適宜コンタクトレンズ形状に成形すること
により、本発明のカラーコンタクトレンズをうることが
できる。
【0031】溶解物を重合させる際には、通常の重合方
法を採用すればよい。たとえば、溶解物にラジカル重合
開始剤を配合したのち、室温ないし約130℃の温度範
囲で加熱する方法や、マイクロ波、紫外線、放射線(γ
線)などの電磁波を照射して行なう方法などがあげられ
る。なお、加熱重合させるばあいには、段階的に昇温さ
せてもよい。また、重合は塊状重合法によってなされて
もよく、溶媒などを用いた溶液重合法によってなされて
もよく、またそのほかの方法によってなされてもよい。
【0032】前記ラジカル重合開始剤の代表例として
は、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジ
メチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイドなどがあげられ、これらは単独でまたは2種
以上を混合して用いることができる。なお、紫外線など
を利用して重合させるばあいには、光重合開始剤や増感
剤をさらに添加することが好ましい。また、前記重合開
始剤や増感剤の量は、溶解物全量100重量部に対して
0.002〜2重量部、なかんづく0.01〜1重量部
であることが好ましい。
【0033】つぎに、前記のごとくえられた重合体をコ
ンタクトレンズ形状に成形する。
【0034】コンタクトレンズの成形方法にはとくに限
定がなく、当業者が通常行なっている成形方法を採用す
ることができる。かかる成形方法としては、たとえば切
削加工法や鋳型(モールド)法などがある。切削加工法
とは、適当な型または容器中で前記のごとく重合を行な
い、たとえば棒状、ブロック状、板状などの素材(重合
体)をえたのち、切削加工、研磨加工などの機械的加工
により所望の形状に加工する方法である。また鋳型法と
は、所望のコンタクトレンズ形状に対応した型を用意
し、この型の中で前記のごとく溶解物の重合を行なって
成形物(コンタクトレンズ材料)をえ、必要に応じて機
械的に仕上げ加工を施す方法である。さらにかかる切削
加工法と鋳型法とを組み合わせた方法も採用することが
できる。
【0035】かくしてえられる本発明のカラーコンタク
トレンズは、通常のモノマー混合物のみから作製したコ
ンタクトレンズと比べて何ら物性に劣るものではなく、
また従来のバット染料を用いて着色されたコンタクトレ
ンズと同程度のほんのわずかな量の溶出物しか認められ
ず、着色むらがないすぐれたコンタクトレンズである。
【0036】
【実施例】つぎに、本発明のコンタクトレンズ用染料、
それを用いたカラーコンタクトレンズの製法およびそれ
からえられたカラーコンタクトレンズを実施例に基づい
てさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみ
に限定されるものではない。
【0037】実施例1〜4 表1に示すバット染料1gに対して、臭化テトラブチル
アンモニウム2g(バット染料1モルに対してそれぞれ
約3.5モル(実施例1)、約3.5モル(実施例
2)、約2.7モル(実施例3)、約4モル(実施例
4))および水300mlを加え、100℃にて2時間
還流してバット染料と臭化テトラブチルアンモニウムと
を反応させた。
【0038】つぎに、反応物を熱時濾過したのち室温ま
で放冷し、沈殿を濾別して過剰量の塩を熱水で水洗し
た。ついで、メタノールにて可溶成分を抽出し、乾燥し
てコンタクトレンズ用染料をえた。
【0039】えられたコンタクトレンズ用染料の有機溶
媒に対する溶解性を調べた。その結果を表1に示す。
【0040】また、このコンタクトレンズ用染料の2−
ヒドロキシエチルメタクリレートに対する溶解性も調べ
た。その結果を表1に示す。なお、実施例1〜4でそれ
ぞれ用いたバット染料は、いずれも2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートに不溶であった。
【0041】なお、表1中にはコンタクトレンズ用染料
の略号もあわせて示す。
【0042】
【表1】
【0043】実施例5〜8 モノマー混合物として2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート100重量部およびエチレングリコールジメタクリ
レート0.3重量部と実施例1〜4でえられたコンタク
トレンズ用染料(実施例5:染料1、実施例6:染料
2、実施例7:染料3、実施例8:染料4)0.01重
量部とを室温で充分に撹拌混合し、コンタクトレンズ用
染料をモノマー混合物に溶解させて溶解物をえた。
【0044】つぎに、えられた溶解物100重量部に対
して2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)0.1重量部を添加し、これを40℃で24時間に
わたって重合させて棒状の透明でむらのない着色重合体
をえた。
【0045】えられた重合体に切削研磨加工を施し、直
径13mm、厚さ0.15mmのカラーソフトコンタク
トレンズ(実施例5:淡いブルー、実施例6:淡いグリ
ーン、実施例7:淡いオレンジ、実施例8:淡いブラウ
ン)をえた。
【0046】比較例1 モノマー混合物として2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート100重量部およびエチレングリコールジメタクリ
レート0.3重量部を用い、これに2,2−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1重量部を添
加し、これを40℃で24時間にわたって重合させて棒
状の無色透明な重合体をえた。
【0047】えられた重合体に切削研磨加工を施し、直
径13mm、厚さ0.15mmのソフトコンタクトレン
ズをえた。
【0048】試験例1 実施例5〜8でえられたカラーソフトコンタクトレンズ
および比較例1でえられたソフトコンタクトレンズに、
0.1%硫酸水溶液中にて酸化処理を施したのち、生理
食塩水中にて2時間煮沸処理を施した。
【0049】この処理溶液について、昭和45年8月1
0日厚生省告示第302号の「視力補正用コンタクトレ
ンズ基準」中の、「IV溶出物試験」の項目の「(3)水
による溶出物 オ.過マンガン酸カリウム還元性物質の
試験方法」に準じて溶出物試験を行なった。
【0050】まず、前記処理溶液10mlを共栓付き三
角フラスコにとり、0.01N過マンガン酸カリウム溶
液20mlおよび希硫酸(約2N)1mlを加えて電気
コンロにて3分間煮沸し、水で急冷したのち、ヨウ化カ
リウム0.1gおよびデンプン試液(可溶性デンプン1
gを20mlの水中に入れ、これを沸騰水60ml中に
流し込んで2分間煮沸し、さらに塩化ナトリウム20g
を添加して放冷したのち、水を加えて100mlとした
溶液を濾過したもの)5滴を加え、0.01Nチオ硫酸
ナトリウム液で滴定した。
【0051】つぎに、前記処理溶液10mlのかわりに
水10mlを用い、前記と同様にして空試験を行なっ
た。
【0052】なお、空試験の際との過マンガン酸カリウ
ム消費量の差が2.0ml以下であるばあい、溶出物試
験に合格である。
【0053】この試験をそれぞれ3回ずつ行なったとこ
ろ、いずれもほんのわずかな量の溶出物(0〜0.2m
lの過マンガン酸カリウム消費量の差)しか認められ
ず、本発明のカラーソフトコンタクトレンズは、いずれ
も従来のソフトコンタクトレンズと同程度にすぐれたも
のであることがわかる。
【0054】また、実施例5〜8でえられたカラーソフ
トコンタクトレンズに前記と同様にして酸化処理を施し
たのち、生理食塩水中にて120時間煮沸処理を施し
た。
【0055】その結果、いずれのカラーソフトコンタク
トレンズにも、煮沸処理前と比べて視覚的な変化、すな
わち脱色、退色などが認められず、透明で着色むらがな
いままであった。
【0056】
【発明の効果】本発明のコンタクトレンズ用染料は、水
不溶性および耐煮沸性を満足し、通常のコンタクトレン
ズのモノマー原料に可溶なものであり、本発明の製法に
よれば、該コンタクトレンズ用染料を用い、着色むらな
く容易にカラーコンタクトレンズを製造することができ
る。
【0057】また、前記製法によってえられた本発明の
カラーコンタクトレンズは、通常のコンタクトレンズと
比べて何ら物性に劣るものではなく、長時間にわたって
煮沸処理を施したとしても脱色、退色などの視覚的な変
化が認められないすぐれたものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バット染料と、式(I): 【化1】 (式中、Xはハロゲン原子、R1およびR2は同一または
    異なる基であり、R1とR2とが同一であるばあい、R1
    およびR2は炭素数2〜6の直鎖状、分岐鎖状または環
    状のアルキル基を示し、R1とR2とが異なるばあい、R
    1はメチル基またはエチル基、R2はフェニル基またはベ
    ンジル基を示す)で表わされる4級アンモニウム塩とを
    反応させてなるモノマーに可溶なコンタクトレンズ用染
    料。
  2. 【請求項2】 バット染料と4級アンモニウム塩とを親
    水性溶媒中で還流して反応させてなる請求項1記載のコ
    ンタクトレンズ用染料。
  3. 【請求項3】 バット染料がC.I.バットブルー6、
    C.I.バットブラウン1、C.I.バットグリーン1
    またはC.I.バットオレンジ5である請求項1または
    2記載のコンタクトレンズ用染料。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載のコンタクト
    レンズ用染料を重合前のモノマー混合物にあらかじめ溶
    解させたのち、えられた溶解物を重合させることを特徴
    とするカラーコンタクトレンズの製法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の製法によってえられたカ
    ラーコンタクトレンズ。
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