JPH11200270A - 古紙脱墨処理方法およびフローテーター - Google Patents

古紙脱墨処理方法およびフローテーター

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JPH11200270A
JPH11200270A JP135598A JP135598A JPH11200270A JP H11200270 A JPH11200270 A JP H11200270A JP 135598 A JP135598 A JP 135598A JP 135598 A JP135598 A JP 135598A JP H11200270 A JPH11200270 A JP H11200270A
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明 横井
Hiroshi Kawachi
啓 河内
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敦 日置
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純一郎 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のフローテーターは、回収される古紙原
料液に巻き込まれるフロスが多く、効率良くインキを除
去することができない。 【解決手段】 古紙原料液11を導入する処理槽12,
13の下部から気泡を吹き込み、この気泡の表面に古紙
原料液11中に介在するインキ粒子を付着させ、当該気
泡を処理槽12, 13の上部から溢流させ、古紙原料液
11中からインキ粒子を除去するようにしたフローテー
ターであって、処理槽12の下部に設けられて古紙原料
液11を処理槽12内に供給する原料液入口15と、処
理槽12,13内の古紙原料液11を導入するための原
料液導入口20, 23を上端部に有し、下部に古紙原料
液11を取り出すための原料液出口16が設けられた気
液分離槽19, 22とを具える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、古紙からインキを
除去するための古紙脱墨処理方法およびこの脱墨処理方
法を実現し得るフローテーターに関する。
【0002】
【従来の技術】再生紙は、一般に、印刷済みの古紙を離
解し、この古紙繊維に付着したインキを除去し、精選・
脱水した後、これを再び抄紙することにより得られる。
この場合、古紙繊維からインキを除去する脱墨処理に関
する事項は、後に続く精選処理に要する時間や、再生紙
の製造コストおよび品質を大きく左右する重要な因子と
なる。
【0003】古紙脱墨処理を行うためのフローテーター
においては、離解され、薬品処理された古紙原料液に気
泡を吹き込み、古紙原料液中の古紙繊維から遊離したイ
ンキ粒子を古紙原料液中を上昇する気泡に付着させ、古
紙原料液表面に浮き上がるフロス、すなわちインキ粒子
が付着した気泡を古紙原料液から排除することにより、
古紙原料液中のインキ粒子を除去するようにしている。
この場合、古紙原料液中に微細な気泡を均等に供給し、
古紙原料液中に浮遊するインキ粒子と気泡とが接触する
機会を増やすようすることが、大きな脱墨効果を得る上
で重要であり、例えば、特公平6−60473号公報な
どに開示されているように、従来から種々のフローテー
ターが提案されている。
【0004】このような従来の古紙脱墨処理を行うフロ
ーテーターの概略構造を図3に示す。すなわち、2連構
造の処理槽101, 102のそれぞれ下部には、外周面
に多数の空気吹き出しノズル103を放射状に突設した
回転式散気管104が配置されており、一方の処理槽1
01の上部には、原料液入口105が設けられ、他方の
処理槽102の上部には原料液出口106が設けられ、
これら2つの処理槽101, 102を仕切る仕切り壁1
07の上部には、一方の処理槽101の原料液出口とな
ると共に他方の処理槽の原料液入口となる連通口108
が設けられている。また、処理槽101, 102の上端
部には、これら処理槽101, 102に導入される古紙
原料液109の表面に浮き上がるフロス110を溢流さ
せて処理槽101, 102外に排出するための複数のフ
ロス樋111が設けられている。
【0005】従って、原料液入口105から第1の処理
槽101内に供給される古紙原料液109は、仕切り壁
107の連通口108を介して第2の処理槽102内に
供給され、原料液出口106から取り出される。この間
に、各処理槽101, 102に設けられた回転式散気管
104の回転運動に伴い、これらの空気吹き出しノズル
103から吹き出される気泡と古紙原料液109とが攪
拌されて気泡にインキ粒子が付着し、フロス110とな
って古紙原料液109の表面に浮き上がり、フロス樋1
11内に溢流して処理槽101, 102外に排出される
ため、インキ粒子を除去した古紙原料液109が原料液
出口106から取り出されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図3に示した従来のフ
ローテーターは、連通口108が仕切り壁107の上部
に設けられているため、大量のフロス110を含む古紙
原料液109が第2の処理槽102に流れ込む上、原料
液出口106が第2の処理槽102の上部に設けられて
いるため、フロス110を充分に除去し切れていない古
紙原料液109が取り出されて回収されることとなる。
このようなことから、処理槽102を直列に多数(例え
ば、4つ)連結したフローテーターを使用してフロス1
10の除去を行う必要があり、設備が大型化する割りに
はフロス110の除去を充分に行うことが困難であっ
た。しかも、後に続く精選処理に多大の時間を費やす必
要があり、製造コストが嵩んでしまう欠点があった。
【0007】
【発明の目的】本発明の目的は、回収される古紙原料液
に巻き込まれるフロスを少なくすることによって、イン
キ除去を効率良く行い得る古紙脱墨処理方法およびこの
古紙脱墨処理方法を実現し得るフローテーターを提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の形態は、
古紙原料液を導入する処理槽の下部から気泡を吹き込
み、この気泡の表面に前記古紙原料液中に介在するイン
キ粒子を付着させ、当該気泡を前記処理槽の上部から溢
流させ、前記古紙原料液から前記インキ粒子を除去する
ようにした古紙脱墨処理方法であって、前記古紙原料液
を前記処理槽の下部に供給するステップと、前記処理槽
の上部から前記古紙原料液を気液分離槽に導入するステ
ップと、前記気液分離槽に導入された前記古紙原料液中
の気泡の未分離分を前記処理槽の上部に浮上させて排出
するステップと、気泡が除去された前記古紙原料液を前
記気液分離槽の下端部から取り出すステップとを具えた
ことを特徴とするものである。
【0009】ここで、複数の前記処理槽と複数の前記気
液分離槽とが交互に直列に連結されていることが望まし
い。また、前記気液分離槽内を流下する前記古紙原料液
の流速は、毎秒0.005〜0.05 mの範囲にあることが望
ましく、さらに、前記処理槽の下部で回転駆動されると
共に内部に空気が圧送される円筒状のドラムと、このド
ラムの外周面に放射状に突設されて前記処理槽内の前記
古紙原料液中に気泡を噴出させる複数の空気吹き出しノ
ズルとを有する回転散気管を用い、前記処理槽の下部か
ら気泡を吹き込むことが望ましい。また、前記処理槽に
吹き込まれて気泡を形成するための空気供給量をG(N
3 /時)、またはg(Nm3 /分)、前記古紙原料液
の流量をL(m3 /時)、前記処理槽の水平面に沿った
断面積をA(m2 )とした場合、 3≦G/L≦20かつ 0. 2≦g/A≦2. 0 を満足するものであることが望ましい。
【0010】また、本発明の第2の形態は、古紙原料液
を導入する処理槽の下部から気泡供給手段によって気泡
を吹き込み、この気泡の表面に前記古紙原料液中に介在
するインキ粒子を付着させ、当該気泡を前記処理槽の上
部から溢流させ、前記古紙原料液中から前記インキ粒子
を除去するようにしたフローテーターであって、前記処
理槽の下部に設けられて前記古紙原料液を処理槽内に供
給するための原料液入口と、前記処理槽内の前記古紙原
料液を導入するための原料液導入口を上端部に有し、下
端部に前記古紙原料液を取り出すための原料液出口が設
けられた気液分離槽とを具えたことを特徴とするもので
ある。
【0011】ここで、前記気液分離槽は、前記処理槽内
の前記古紙原料液の液面よりも低い位置から前記処理槽
の底面に至る1枚の仕切り板によって仕切られて構成さ
れ、この仕切り板の上端によって形成される開口部から
前記処理槽内の前記古紙原料液が前記気液分離槽内に導
入されるものであることが望ましい。また、複数の前記
処理槽と複数の前記気液分離槽とが交互に直列に連結さ
れていることが望ましい。さらに、前記気泡供給手段
は、処理槽の下部に回転自在に設置されて回転駆動され
ると共に内部に空気が圧送される円筒状のドラムと、こ
のドラムの外周面に放射状に突設されて前記処理槽内の
前記古紙原料液中に気泡を噴出させる複数の空気吹き出
しノズルとを有する回転散気管であることが望ましい。
【0012】
【作用】本発明によると、処理槽の下部から吹き込まれ
る気泡は、原料液入口から供給された古紙原料液と攪拌
され、古紙原料液中に介在するインキ粒子が付着したフ
ロスとなって古紙原料液の表面に浮き上がり、処理槽の
上端部から外部に溢流して除去される。
【0013】また、原料液導入口から気液分離槽に流入
する古紙原料液は、その原料液出口に向けて流下する間
に、この古紙原料液に混在する未分離フロスが処理槽の
上部に向けて浮上し、除去される結果、原料液出口から
取り出される古紙原料液は、フロスの含有率が少ないも
のとなっている。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明による古紙脱墨処理方法を
実現し得る本発明によるフローテーターの一実施例につ
いて、その概略構造を表す図1およびこのフローテータ
ーに組み込まれる回転式散気管の外観を表す図2を参照
しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実施例
に限らず、同様な課題を内包する他の分野の技術にも応
用することができる。
【0015】すなわち、所定量の古紙原料液11をそれ
ぞれ導入する2連構造の処理槽12, 13は、仕切り壁
14を介して相互に連結された状態となっている。一方
の処理槽(以下、これを第1の処理槽と呼称する)12
の下部の一端側には、先行する離解工程で得られた古紙
原料液11をこの第1の処理槽12内に供給するための
原料液入口15が設けられ、他方の処理槽(以下、これ
を第2の処理槽と呼称する)13の下部の他端側には、
この第2の処理槽13内の古紙原料液11を取り出して
次の精選工程へ供給するための原料液出口16が設けら
れている。また、仕切り壁14の下端には、第1の処理
槽12側と第2の処理槽13側とを連通する連通口17
が形成され、この連通口17を介して第1の処理槽12
から第2の処理槽13へ古紙原料液11が流れるように
なっている。
【0016】第1の処理槽12の他端側には、上端が第
1の処理槽12内の古紙原料液11の液面よりも下方に
位置し、下端が第1の処理槽12の底板12aに接合さ
れて連通口17を仕切る仕切り板18が仕切り壁14に
沿ってこれと平行に立設され、第1の処理槽12に対す
る気液分離槽19を形成している。つまり、本実施例に
おける第1の気液分離槽19は、仕切り壁14と、仕切
り板18と、図1の紙面に対して垂直な方向に対向する
第1の処理槽12の図示しない一対の側壁とで形成さ
れ、第1の処理槽12内の古紙原料液11は、仕切り板
18の上端によって形成される原料液導入口20からこ
の第1の気液分離槽19内を流下し、その下端の連通口
17、つまり本発明でいう原料液出口から第2の処理槽
13内に送り出されるようになっている。
【0017】同様に、第2の処理槽13の他端側には、
上端が第2の処理槽13内の古紙原料液11の液面より
も下方に位置し、下端が第2の処理槽13の底板13a
に接合されて原料液出口16を仕切る仕切り板21が第
2の処理槽13の他端側の側壁13bに沿ってこれと平
行に立設され、第2の処理槽13に対する気液分離槽2
2を形成している。つまり、本実施例における第2の気
液分離槽22は、第2の処理槽13の他端側の側壁13
bと、仕切り板21と、図1の紙面に対して垂直な方向
に対向する第2の処理槽13の図示しない一対の側壁と
で形成され、第2の処理槽13内の古紙原料液11は、
仕切り板21の上端によって形成される原料液導入口2
3からこの第2の気液分離槽22内を流下し、その下端
の原料液出口16から取り出されて回収されるようにな
っている。
【0018】これら気液分離槽19, 22では、気液分
離槽19, 22内を流下する古紙原料液11と、この古
紙原料液11中に含まれる気泡およびインキ粒子が付着
した気泡であるフロス(以下、一括してフロスと呼称す
る)24とを分離させ、フロス24を原料液導入口2
0, 23から処理槽12, 13の上方に浮上させる必要
があるため、気液分離槽19, 22の長さ(図1中、原
料液導入口20から連通口17までの距離ならびに原料
液導入口23から原料液出口16までの距離)をできる
だけ長くすることが望ましいが、必要以上に長くしても
気液分離効果はある時点で平衡に達し、フローテーター
が大型化するのみで無意味となるので、一般的には処理
槽12, 13の設計寸法に合わせて気液分離槽19, 2
2の長さを最大限に設定すれば良い。
【0019】なお、原料液導入口20, 23の位置は、
気液分離槽19, 22の液面に近すぎると、古紙原料液
11と共にフロス24を引き込むことになるので、余り
多量のフロス24を吸引しないような位置に設定するこ
とが望ましい。
【0020】同上の理由から、気液分離槽19, 22内
を流下する古紙原料液11の流速は、できるだけ小さい
方が望ましいが、この流速を小さくするほど気液分離槽
19, 22の(水平面に沿って切断した)断面積を大き
くしなければならなくなり、フローテーターが大きくな
り過ぎてしまうことから、毎秒0.005m以上であること
が好ましい。逆に、その流速を速くし過ぎると、微細な
気泡の上昇速度よりも古紙原料液11の下降速度が速く
なってしまい、フロス24を分離できなくなるので、流
速は毎秒0.05 m以下にすることが好ましい。
【0021】従って、気液分離槽19, 22内を流下す
る古紙原料液11の流速は、毎秒0.005〜0.05 mの範
囲に収めることが望ましい。フローテーター内の気泡の
大きさは直径が1mm程度のものが多く、直径が小さくな
るほど上昇速度は遅くなるが、ちなみに、一般的な古紙
原料液11に対して直径が0.5mmの気泡の上昇速度は、
毎秒0.059m程度である。
【0022】処理槽12, 13の下部中央には、図1の
紙面に対して垂直な回転軸線回りに駆動回転する回転式
散気管25がそれぞれ設けられている。これら回転式散
気管25の外観を図2に示す。すなわち、本実施例にお
ける回転式散気管25は、処理槽12, 13の側壁を液
密に貫通し、内部が中空となって図示しないコンプレッ
サに回転継手を介して気密に接続する一対の回転軸26
と、処理槽12, 13内に位置する円筒ドラム27と、
この円筒ドラム27の外周面から放射状に突出する多数
の空気吹き出しノズル28とを有し、図示しない駆動装
置によって図1中、矢印方向に回転しながら空気吹き出
しノズル28から所定流量の空気が処理槽12, 13内
に噴射されるようになっている。
【0023】ここで、処理槽12, 13内に導入される
古紙原料液11の液面レベルを一定にして脱墨処理した
場合、処理槽12, 13に導入されている古紙原料液の
流量L(m3 /時)に対し、この古紙原料液11に吹き
込まれて気泡を形成するための空気供給量G(Nm3
時)の割合、すなわち空気供給率G/Lは、この値が大
きいほど(空気供給量Gが多く、古紙原料液量Lが少な
いほど)古紙原料液11の白色度は良くなるが、この空
気供給率G/Lをある値以上に大きくしても、処理槽1
2, 13内に導入される古紙原料液11の液面レベルを
調整し、一定以上のフロス率を保持すれば、その白色度
は変わらないことが実験から明らかとなった。具体的に
は、空気供給率G/Lを20より大きくしても供給空気
量が多くなるだけで白色度の向上が認められない。逆
に、空気供給率G/Lを3未満に設定すると、古紙原料
液11中のインキ粒子を付着させる気泡の量が少なすぎ
るため、脱墨が不充分となることから、3≦G/L≦2
0とすることが望ましい。
【0024】なお、上述のフロス率は、原料液入口1
5, 連通口17から処理槽12, 13に供給される古紙
原料液11の供給流量に対し、後述するフロス樋29か
ら気泡と共に排出されるインキ粒子, 填料, 古紙繊維な
どの固形分の排出流量の割合で定義される。
【0025】また、面積供給率、すなわち空気供給量g
(Nm3 /分)を処理槽12, 13の水平面に沿ったそ
の断面積A(m2 )で除した値g/Aが、0.2より小さ
くなると、古紙原料液11中のインキ粒子を付着させる
気泡の量が少なすぎるため、脱墨が不充分となる。逆
に、この面積供給率g/Aが2.0を越えると、処理槽1
2, 13内での気泡の突沸が生じ、脱墨処理を円滑に行
うことが困難となるため、0.2≦g/A≦2.0とするこ
とが望ましい。
【0026】また、処理槽12, 13の上端部および仕
切り壁14の上端には、古紙原料液11の液面に浮き上
がるフロス24を処理槽12, 13の外部に排出するた
めのフロス樋29がそれぞれ設けられており、処理槽1
2, 13に導入された古紙原料液11の液面からフロス
樋29を乗り越えて溢流するフロス24がフロス樋29
を伝わって処理槽12, 13外に排出されるようになっ
ている。
【0027】なお、本実施例では各処理槽12, 13の
回転式散気管25の上部にフロス24の流れが偏らない
ように整流するための整流板30を設けている。
【0028】従って、原料液入口15から第1の処理槽
12内に供給される古紙原料液11は、回転式散気管2
5の空気吹き出しノズル28から吹き出される空気と攪
拌され、古紙原料液11中を上昇する気泡の表面にこの
古紙原料液11中に含まれるインキ粒子が付着してフロ
ス24となり、古紙原料液11の液面に浮上してフロス
樋29へ溢流し、このフロス樋29により排出される。
【0029】第1の処理槽12内にてインキ粒子が除去
された古紙原料液11は、この第1の処理槽12の上部
に開口する原料液導入口20から第1の気液分離槽19
を流下し、連通口17から第2の処理槽13内に供給さ
れる。この場合、古紙原料液11が第1の気液分離槽1
9内を流下する間に、この古紙原料液11中に含まれる
フロス24が原料液導入口20から第1の処理槽12側
に排出されるため、第2の処理槽13側に供給される古
紙原料液11中に含まれるフロス24は極めて少量とな
り、古紙原料液11から効率良くフロス24を除去する
ことができる。
【0030】この古紙脱墨処理は、第2の処理槽13で
も同様にして行われ、このようにしてインキ粒子が除去
された古紙原料液11は、第2の処理槽13の上部に開
口する原料液導入口23から第2の気液分離槽22を流
下し、原料液出口16から取り出されて回収される。こ
の場合、古紙原料液11が第2の気液分離槽22内を流
下する間に、この古紙原料液11中に含まれるフロス2
4が原料液導入口23から第2の処理槽13側に排出さ
れるため、回収される古紙原料液11中に含まれるフロ
ス24は極めて少量となる。
【0031】具体的に、底板12a, 13aの寸法が10
00×1000mm、これら底板12a, 13aからフロス桶2
9の上端までの高さが2000mm、第1の処理槽12の仕切
り壁14と仕切り板18との間隔、および第2の処理槽
13の他端側の側壁13bと仕切り板21との間隔がそ
れぞれ100 mmに設定された図1に示す如きフローテータ
ーを用い、毎時12m3 の割合で古紙原料液11を供給
したところ、回収される古紙原料液11の白色度は、原
料液入口15から供給される古紙原料液11の白色度よ
りも13ポイント向上していた。
【0032】なお、このときの古紙原料液11の断面積
負荷は6m3/H・m2 であり、G/Lは4, 6, 8の3
種類で処理してその平均値を求めた。
【0033】これに対し、気液分離槽19, 22を構成
する仕切り板18, 21がない図3に示す如き従来のフ
ローテーターを用い、同一条件で脱墨処理を行ったとこ
ろ、回収される古紙原料液11の白色度は、原料液入口
15から供給される古紙原料液11の白色度に対して1
1ポイントしか向上させることができず、本発明による
気液分離槽19, 22が古紙原料液11の脱墨処理に有
効であることを確認することができた。
【0034】なお、本実施例では、仕切り板18, 21
を処理槽12, 13内に設けたが、処理槽12, 13に
対して独立した気液分離槽を各処理槽12, 13に連結
するようにしても良い。また、上述した実施例では、2
連構造のフローテーターについて説明したが、さらに多
くの処理槽と気液分離槽とを交互に直列に連結すること
によって、回収される古紙原料液11の白色度を向上さ
せることができる。
【0035】
【発明の効果】本発明によると、処理槽に導入された古
紙原料液を気液分離槽の原料液導入口から下部の原料液
出口に向けて流下させ、この間に古紙原料液中に混在す
るフロスを上方に浮き上がらせるようにしたので、原料
液出口から回収される古紙原料液に混在するフロスや気
泡を従来のものよりも著しく少なくすることができる。
この結果、処理槽の数を少なくしても脱墨処理を効率良
く行うことができ、設備コストを下げることができる
上、後に続く精選処理を短時間で済ませることができ、
再生紙の製造コストを低減させることが可能である。
【0036】また、気液分離槽内を流下する古紙原料液
の流速を毎秒0.005〜0.05 mの範囲に設定した場合に
は、古紙原料液に対してこの古紙原料液中に含まれる気
泡を最も効率良く分離させることができる。
【0037】さらに、古紙原料液量に対する処理槽に吹
き込まれて気泡を形成するための空気供給量の割合と、
処理槽の水平面に沿った断面積に対する単位時間当たり
の空気供給量の割合とがそれぞれ所定範囲に収めた場合
には、エネルギー消費を最小限に抑えた連続的な操業を
円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による古紙脱墨処理方法を実現し得る本
発明によるフローテーターの一実施例の概略構造を表す
断面図である。
【図2】図1に示したフローテーターに組み込まれる回
転式散気管の外観を表す斜視図である。
【図3】従来のフローテーターの一例の概略構造を表す
断面図である。
【符号の説明】
11 古紙原料液 12, 13 処理槽 12a, 13a 底板 13b 側壁 14 仕切り壁 15 原料液入口 16 原料液出口 17 連通口 18, 21 仕切り板 19, 22 気液分離槽 20, 23 原料液導入口 24 フロス 25 回転式散気管 26 回転軸 27 円筒ドラム 28 空気吹き出しノズル 29 フロス樋 30 整流板 101, 102 処理槽 103 空気吹き出しノズル 104 回転式散気管 105 原料液入口 106 原料液出口 107 仕切り壁 108 連通口 109 古紙原料液 110 フロス 111 フロス樋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日置 敦 愛知県春日井市王子町1番地 王子工営株 式会社名古屋事業部内 (72)発明者 佐藤 純一郎 愛知県春日井市王子町1番地 王子工営株 式会社名古屋事業部内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 古紙原料液を導入する処理槽の下部から
    気泡を吹き込み、この気泡の表面に前記古紙原料液中に
    介在するインキ粒子を付着させ、当該気泡を前記処理槽
    の上部から溢流させ、前記古紙原料液から前記インキ粒
    子を除去するようにした古紙脱墨処理方法であって、 前記古紙原料液を前記処理槽の下部に供給するステップ
    と、 前記処理槽の上部から前記古紙原料液を気液分離槽に導
    入するステップと、 前記気液分離槽に導入された前記古紙原料液中の気泡の
    未分離分を前記処理槽の上部に浮上させて排出するステ
    ップと、 気泡が除去された前記古紙原料液を前記気液分離槽の下
    端部から取り出すステップとを具えたことを特徴とする
    古紙脱墨処理方法。
  2. 【請求項2】 複数の前記処理槽と複数の前記気液分離
    槽とが交互に直列に連結されていることを特徴とする請
    求項1に記載の古紙脱墨処理方法。
  3. 【請求項3】 前記気液分離槽内を流下する前記古紙原
    料液の流速は、毎秒0.005〜0.05 mの範囲にあること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の古紙脱墨
    処理方法。
  4. 【請求項4】 前記処理槽の下部で回転駆動されると共
    に内部に空気が圧送される円筒状のドラムと、このドラ
    ムの外周面に放射状に突設されて前記処理槽内の前記古
    紙原料液中に気泡を噴出させる複数の空気吹き出しノズ
    ルとを有する回転散気管を用い、前記処理槽の下部から
    気泡を吹き込むようにしたことを特徴とする請求項1か
    ら請求項3の何れかに記載の古紙脱墨処理方法。
  5. 【請求項5】 前記処理槽に吹き込まれて気泡を形成す
    るための空気供給量をG(Nm3 /時)、またはg(N
    3 /分)、前記古紙原料液の流量をL(m3 /時)、
    前記処理槽の水平面に沿った断面積をA(m2 )とした
    場合、 3≦G/L≦20かつ 0. 2≦g/A≦2. 0 を満足することを特徴とする請求項1から請求項4の何
    れかに記載の古紙脱墨処理方法。
  6. 【請求項6】 古紙原料液を導入する処理槽の下部から
    気泡供給手段によって気泡を吹き込み、この気泡の表面
    に前記古紙原料液中に介在するインキ粒子を付着させ、
    当該気泡を前記処理槽の上部から溢流させ、前記古紙原
    料液中から前記インキ粒子を除去するようにしたフロー
    テーターであって、 前記処理槽の下部に設けられて前記古紙原料液を処理槽
    内に供給するための原料液入口と、 前記処理槽内の前記古紙原料液を導入するための原料液
    導入口を上端部に有し、下端部に前記古紙原料液を取り
    出すための原料液出口が設けられた気液分離槽と を具えたことを特徴とするフローテーター。
  7. 【請求項7】 前記気液分離槽は、前記処理槽内の前記
    古紙原料液の液面よりも低い位置から前記処理槽の底面
    に至る1枚の仕切り板によって仕切られて構成され、こ
    の仕切り板の上端によって形成される開口部から前記処
    理槽内の前記古紙原料液が前記気液分離槽内に導入され
    るものであることを特徴とする請求項6に記載のフロー
    テーター。
  8. 【請求項8】 複数の前記処理槽と複数の前記気液分離
    槽とが交互に直列に連結されていることを特徴とする請
    求項6または請求項7に記載のフローテーター。
  9. 【請求項9】 前記気泡供給手段は、処理槽の下部に回
    転自在に設置されて回転駆動されると共に内部に空気が
    圧送される円筒状のドラムと、このドラムの外周面に放
    射状に突設されて前記処理槽内の前記古紙原料液中に気
    泡を噴出させる複数の空気吹き出しノズルとを有する回
    転散気管であることを特徴とする請求項6から請求項8
    の何れかに記載のフローテーター。
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