JPH11199511A - 室温保存製剤 - Google Patents

室温保存製剤

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JPH11199511A
JPH11199511A JP30097298A JP30097298A JPH11199511A JP H11199511 A JPH11199511 A JP H11199511A JP 30097298 A JP30097298 A JP 30097298A JP 30097298 A JP30097298 A JP 30097298A JP H11199511 A JPH11199511 A JP H11199511A
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元範 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 pH4.5〜6.5、イオン強度0.0
001〜0.1M、分子量1,000〜10,000の
ポリエチレングリコール4〜10w/v%、温度0〜4
℃の条件下で分画処理して上清画分を回収し、該上清画
分をpH3.5〜5.0の条件下で濃縮処理する工程を
含んでなる静注用免疫グロブリン製剤の製造方法および
当該製造方法により調製される免疫グロブリン含有製
剤。 【効果】 室温保存時での安定性の改善が図られ、さら
に夾雑するアルブミンの除去あるいは不溶性異物を形成
する核となりうる微粒子を除去することにより、不溶性
異物の生成を抑えて、溶液状態における免疫グロブリン
の安定性をさらに改善した製剤、特に液状製剤を提供す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静注用免疫グロブリ
ン製剤に関するものである。より詳細には室温保存可能
な静注用免疫グロブリン液状製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】血漿蛋白成分であるγ−グロブリンのう
ち、特にIgGを主成分とする免疫グロブリン製剤は、
これまで広く各種感染症の予防並びに治療に役立てられ
てきた。ところで、免疫グロブリンは溶液状態において
不安定であり、免疫グロブリンの凝集、即ち重合体や二
量体の生成により、特に分別操作の間に生じる変性の結
果として、抗補体活性とよばれる免疫グロブリンの補体
結合能力が著しく増加し、人体に静脈内投与すると血清
補体濃度の低下を生じ、あるいはアナフィラキシーショ
ック等の重篤な副作用を起こすことが知られている。従
って、免疫グロブリンは液状製剤ではなく、乾燥製剤、
特に凍結乾燥の態様で製剤化されていた。しかし、乾燥
製剤は使用時には注射用蒸留水等に溶解する必要があっ
たため、簡単に投与することができないという問題があ
った。
【0003】一方、液状製剤は乾燥製剤に比べると注射
用蒸留水等への溶解の必要性もなく、簡単に投与できる
等の利点があるが、上記の如く免疫グロブリンの安定性
に劣るという欠点があった。従って、溶液状態において
も安定性のある静注用免疫グロブリン液状組成物の開発
が従来より試みられている。
【0004】例えば、特開昭63−192724号公報
には、低電導度、pH5.5±0.2、および安定化剤
としてのソルビトールの使用を組み合わせることによ
り、溶液状態においても安定性のある静注用免疫グロブ
リン液状組成物が提案されている。
【0005】特開昭58−43914号公報において
は、免疫グロブリンの凝集物を実質的に含有せず、免疫
血清グロブリンの単量体濃度が約90%よりも大である
免疫グロブリン組成物(製剤)を得るために、免疫血清
グロブリン溶液のイオン強度を0.001未満に、pH
を3.5〜5.0にする工程が開示されている。特開平
9−124507号公報には、トリ−n−ブチルホスフ
ェート(TNBP)処理によるウイルス不活化工程後
に、抗補体価の低下を目的として、pH3.5〜5.0
の条件下でイオン強度を低下させる工程が開示されてい
る。
【0006】また、特開平7−238036号公報に
は、安定性を改善するために、酸処理あるいは室温保存
により免疫グロブリンの凝集、即ち、重合体だけでなく
二量体の増加をも抑制する方法が開示されている。
【0007】バクスター特許(特表昭59−50154
6)にはpH5〜5.6、ポリエチレングリコール(P
EG)0.05〜2w/v%の存在下に限外濾過処理を
行うことが開示されている。
【0008】しかしながら、上述の開示は、各工程にお
ける効果を示したものにすぎず、未だ室温での保存、特
に溶液状態での免疫グロブリン製剤における保存安定性
には改善の余地が残されていた。
【0009】また一方、特開昭63−8340号公報に
は後天性免疫不全ウイルスを実質的に含まない免疫血清
グロブリンの製造方法、即ち、約5.4に等しいか、ま
たはそれ以下のpHにおいて冷エタノール分画法を用い
ることにより、ヒトの血漿源から免疫血清グロブリンを
調製し、次いでこの免疫血清グロブリンを、感染性のレ
トロウイルスを実質的に含まないよう、約4.25に等
しいかまたはそれ以下のpHにおいて少なくとも約3日
間貯蔵するか、または約6.8に等しいかまたはそれ以
下のpHで少なくとも45℃の温度下に貯蔵する工程を
含んでなる製造方法が開示されている。しかし、この発
明はレトロウイルスの不活性化を目的としており、調製
された免疫グロブリン製剤において免疫グロブリンの凝
集が改善されたという報告はされていない。
【0010】さらに、特表平9−500894号公報に
は夾雑するアルブミンを実質的に含まない製剤が開示さ
れているが、当該特許で開示された測定方法の感度では
相対比として1%以下の夾雑するアルブミンを検出する
ことはできない。特開昭63−183539号公報に
は、加熱処理工程とPEG4〜10%分画処理による上
清画分の回収工程、PEG10〜15%分画処理による
沈澱画分の回収工程を組合わせてなることを特徴とする
静注用免疫グロブリン製剤の製造方法を開示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように、免疫グロ
ブリンは、本来不安定な蛋白質であり、液状組成物を調
製した際、その安定性が最も懸念される課題の1つであ
る。本発明はこのような課題を解決するものであり、す
なわち本発明の目的は、溶液状態においても保存安定性
の良好な免疫グロブリン製剤を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の特徴を有
する。 (1)pH4.5〜6.5、イオン強度0.0001〜
0.1M、分子量1,000〜10,000のポリエチ
レングリコール4〜10w/v%、温度0〜4℃の条件
下で分画処理して上清画分を回収し、該上清画分をpH
3.5〜5.0の条件下で濃縮処理する工程を含んでな
る静注用免疫グロブリン製剤の製造方法。 (2)上記(1)記載の製造方法に、ウイルス不活化処
理する工程、陰イオン交換体で処理して非吸着画分を回
収する工程、平均孔径1〜100nmの多孔性膜を用い
て濾過処理する工程、およびコロイド珪酸を用いて接触
処理して非吸着画分を回収する工程のすくなくとも1つ
の工程をさらに含んでなる、就中全工程を含んでなる静
注用免疫グロブリン製剤の製造方法。 (3)上記(1)または(2)記載の製造方法により調
製される静注用免疫グロブリン製剤、就中非化学修飾完
全分子型免疫グロブリンを含んでなり、pH5〜6、電
導度1mmho以下(8℃での換算時)を有する静注用
免疫グロブリン製剤であって、製造後から少なくとも1
年間は室温保存が可能であり、その期間中は常に抗補体
価が20単位以下、免疫グロブリンのダイマー含量が7
%以下を維持可能な静注用免疫グロブリン液状製剤。 (4)液状で室温において少なくとも1年間安定であ
り、ヒト血清アルブミン含量が5μg/ml以下、MC
P−1(Human Monocyte Chemotactic Protein-1)含量
が16pg/ml以下、補体C3a含量が3μg/ml
以下、ポリエチレングリコール含量が1mg/dl以下
である静注用免疫グロブリン製剤。
【0013】
【発明の実施の形態】(1)出発原料 本発明製剤の出発原料としては、免疫グロブリンを含む
画分が使用され、これはヒト血漿由来であって、免疫グ
ロブリン画分を含むものであれば特に限定されない。具
体的には、コーンのエタノール分画により得られる画分
II+III、画分II、および免疫グロブリンを含む
これらと同等の画分のペースト等が挙げられる。また、
この出発原料は、ヒト血液型抗体、カリクレイン、プレ
カリクレイン、IgM、IgG重合体等を含んでいても
よい。
【0014】(2)製法 本発明製剤を得るための製造方法は、好ましくは以下の
処理工程よりなる。 PEG処理工程 本工程は出発原料をポリエチレングリコール(PEG)
で処理し、上清を回収する工程である。まず、出発原料
を適当な水性溶媒に懸濁して、免疫グロブリンを抽出す
る。この時当該出発原料の少なくとも2倍容量以上、好
ましくは5倍容量以上の水性溶媒が使用される。ここで
使用される水性溶媒の溶質としては、例えば、塩化ナト
リウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸、酢
酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等が挙げ
られ、pHは4.5〜6.5、イオン強度は0.000
1〜0.1Mが好ましい。この懸濁液を分子量1,00
0〜10,000(好適には約2,000〜6,00
0)のPEGで処理する(例えば両者を混合する)。処
理条件としては、PEG濃度4〜10w/v%(特に4
〜8w/v%)、pH4.5〜6.5(特にpH5〜
6)、イオン強度0.0001〜0.1M(特に0.0
001〜0.01M)であることが好ましい。この際、
懸濁液中の蛋白濃度は1〜20w/v%(特に5〜15
w/v%)であることが好ましい。当該処理は、0〜4
℃程度で通常30分〜6時間程度攪拌することによって
行われる。その後、例えば遠心分離(6,000〜8,
000rpm、10〜30分間)して上清を回収する。
【0015】酸性pHでの濃縮工程 本工程はの工程で得られた上清画分をpH3.5〜
5.0(好ましくはpH4〜4.5)の条件下で濃縮す
る工程である。具体的には分画分子量10万程度の限外
濾過膜を用いて濃縮処理を行う。加圧条件としては1〜
10kg/m2 が例示される。
【0016】陰イオン交換体処理工程 本工程は陰イオン交換体で接触処理して非吸着画分を回
収する工程である。本工程は、IgM、IgG重合体を
除くために行われる。 (i) 陰イオン交換体の調製 陰イオン交換体は陰イオン交換基を不溶性担体に結合し
たものであるが、陰イオン交換基としてはジエチルアミ
ノエチル(DEAE)基、四級アミノエチル(QAE)
基等を、不溶性担体としてはアガロース、セルロース、
デキストラン、ポリアクリルアミド等を用いることがで
きる。その結合は公知の方法で行われる。
【0017】(ii)処理方法 免疫グロブリンを含有する画分を適当な水性溶媒に溶解
する。水性溶媒はpH5〜7(好ましくはpH5.5〜
7)、低イオン強度(好ましくは0.0001〜0.1
M)の水溶液であることが好ましい。当該水性溶媒は
の工程で記載したものと同様の溶質を含んでいてもよ
い。当該溶液中の蛋白濃度としては1〜15w/v%
(特に、3〜10w/v%)が好ましい。さらに、上記
の水性溶媒で平衡化した陰イオン交換体と接触処理す
る。その処理に際してはバッチ法、カラム法のどちらを
用いてもよい。例えばバッチ法では、陰イオン交換体1
mlに対して処理対象溶液10〜100ml程度と混合
させ、0〜4℃で30分〜2時間程度攪拌した後、遠心
分離(6,000〜8,000rpm、10〜30分
間)して上清を回収する。カラム法でも、陰イオン交換
体1mlに対して処理対象溶液10〜100ml程度を
接触させ、非吸着画分を回収する。本発明においては、
本の工程を所望により省略することもできるが、Ig
M、IgG重合体の混入が懸念される場合には行うこと
が有利である。
【0018】多孔性膜による濾過処理 本発明の免疫グロブリン製剤は好ましくは、不溶性異物
の形成の核となり得る微粒子が除去されたものであり、
その除去方法としては、例えば、多孔性膜(例えば、中
空糸状、シート状等)等による濾過処理方法等が挙げら
れる。
【0019】本発明に使用される多孔性膜の素材として
は、特に制限はないが、好ましくは再生セルロースが挙
げられる。またその形状としては、中空糸状、シート状
等が挙げられるが、好ましくは中空糸状である。例えば
該再生セルロースの多孔性中空糸は、好ましくはセルロ
ース銅アンモニア溶液からのミクロ相分離法〔アメリカ
ン・ケミカル・ソサイアティー(Am.Chem.So
c.),9,197−228(1985)〕により調製
される。
【0020】多孔性膜の平均孔径は1〜100nm、好
ましくは10〜75nm、より好ましくは10〜50n
m、特に好ましくは35±2nmまたは15±2nmで
あり、膜厚は好ましくは35±3.5μmまたは27±
3μmであり、その膜は好ましくは多重層構造である。
多孔性膜が中空糸状である場合には、内径は好ましくは
330±30μmである。多孔性膜が中空糸状である場
合には、好ましくはモジュールの態様で使用される。該
モジュールは、膜面積が好ましくは0.001〜1.0
2 である多孔性中空糸膜とこれを充填するための容器
およびこれらを一体化するための接着剤により構成され
る。
【0021】多孔性膜による濾過処理は、例えば以下の
ようにして行われる。まず、免疫グロブリンを含有する
画分を適当な水性溶媒に溶解する。水性溶媒はpH4〜
7(特にpH5〜6)、低イオン強度(特に0.000
1〜0.1M)であることが好ましい。当該水性溶媒は
の工程で記載したものと同様の溶質を含んでいてもよ
い。当該溶液中の蛋白濃度としては0.1〜15w/v
%(特に、3〜10w/v%)が好ましい。
【0022】当該免疫グロブリン溶液は、本発明の目的
に反しない範囲で通常医薬品に用いられる薬理的に許容
される添加剤(例えば担体、賦形剤、希釈剤等)、安定
化剤または製薬上必要な成分を含有していてもよい。安
定化剤としては、グルコース等の単糖類、サッカロー
ス、マルトース等の二糖類、マンニトール、ソルビトー
ル等の糖アルコール、塩化ナトリウム等の中性塩、グリ
シン等のアミノ酸、ポリエチレングリコール、ポリオキ
シエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(プルロニ
ック)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(トゥイーン)等の非イオン系界面活性剤等が例示さ
れ、1〜10w/v%程度が添加されていることが好ま
しい。
【0023】上記の免疫グロブリン含有溶液を多孔性膜
を用いて濾過処理を行う。この時の濾過圧力は好ましく
は0.1〜1kgf/cm2 、より好ましくは0.1〜
0.5kgf/cm2 、特に好ましくは0.1〜0.3
kgf/cm2 である。また、処理温度は好ましくは4
〜50℃であり、処理時間は10分〜10時間、好まし
くは1〜5時間である。濾過処理の態様としては、流体
にひずみ速度を与えながら濾過するクロスフロー濾過法
(循環式)とひずみ速度を与えずに濾過するデッドエン
ド法(非循環式)があるが、好ましくは加圧空気による
クロスフロー濾過法が採用される。また、このような濾
過処理は複数回行うことができる。さらに、この濾過処
理前に、予め免疫グロブリン含有溶液に、上述の中空糸
膜による濾過処理以外の濾過処理を施してもよい。この
ようにして調製された免疫グロブリン製剤は、不溶性異
物の形成の核となり得る、平均粒径100nm以上、好
ましくは75nm以上、より好ましくは35nm以上の
不溶性の微粒子や、免疫グロブリンの分子量(約15
万)よりも大きい分子量を有する可溶性の微粒子が除去
されているので、このような製剤を25℃、30日間保
存しても、免疫グロブリンの凝集、即ち、不溶性異物の
発生がなく保存安定性が良好となる。
【0024】また、免疫グロブリンをさらに精製するた
めに公知の手法を用いてもよい。例えば、固定化ジアミ
ノ化合物を用いた処理(カリクレインまたはプレカリク
レインを除去するため)、固定化ヒト血液型物質を用い
た処理(ヒト血液型抗体を除去するため)等が例示され
る(特開平9−176045号公報参照)。本発明にお
いては本の工程を所望により省略することもできる。
【0025】コロイド珪酸処理による方法 本工程はコロイド珪酸で接触処理して非吸着画分を回収
する工程である。本工程は夾雑する血清アルブミンを除
去するために行われる。 (i) 吸着剤 吸着剤として用いられるコロイド珪酸としては、シリカ
ゲル、軽質無水珪酸、ケイソウ土、酸性白土、ベントナ
イト、カオリン、珪酸アルミン酸マグネシウム等が挙げ
られる。好適には軽質無水珪酸〔商品名エアロジル(日
本エアロジル社製)、商品名デリピト(ゼータ社製)
等〕が用いられる。
【0026】(ii)処理条件 免疫グロブリンを含有する画分を適当な水性溶媒に溶解
する。水性溶媒はpH4〜7(特にpH5〜6)、低イ
オン強度(特に0.0001〜0.1M)の水溶液であ
ることが好ましい。当該水性溶媒はの工程で記載した
ものと同様の溶質を含んでいてもよい。当該溶液中の蛋
白濃度としては1〜15w/v%(特に、3〜10w/
v%)が好ましい。当該免疫グロブリン溶液は、の工
程と同様に、本発明の目的に反しない範囲で通常医薬品
に用いられる薬理的に許容される添加剤、安定化剤また
は製薬上必要な成分を含有していてもよい。添加剤、安
定化剤等は、前述のの工程で述べたものと同様のもの
が同様の量で添加され得る。
【0027】次いで、この免疫グロブリン溶液を上記の
吸着剤と接触処理する。接触条件としては、免疫グロブ
リン濃度1〜100g/リットル(好ましくは10〜1
00g/リットル)に対して吸着剤量1〜30g/リッ
トルが使用される。本処理はバッチ法、カラム法のどち
らでも行われ得るが、好ましくはバッチ法を用いる。バ
ッチ法の条件としては、例えば、5〜25℃、5分〜1
時間程度、混和、攪拌する。その後、濾過または遠心分
離により上清(非吸着画分)を回収する。
【0028】このように、血清アルブミンを除去する工
程を経て調製された免疫グロブリン製剤は、免疫グロブ
リン50mg当たり血清アルブミンの夾雑量が10μg
以下、好ましくは5μg以下の性状を有するものであ
り、例えば、免疫グロブリンの5w/v%濃度の溶液状
態においては、血清アルブミンの夾雑量が10μg/m
l以下、好ましくは5μg/ml以下の性状を有する。
このような性状の免疫グロブリン製剤は従来のものと比
較して保存安定性が良好となり、例えば、37℃、39
日の保存においても、不溶性異物の生成が極めて少ない
ものとなる。また、免疫グロブリン製剤中の血清アルブ
ミンの定量法としては公知のものが利用でき、例えばE
LISA法、マンシーニー法、比濁法等が採用され得
る。本発明においてはの工程を所望により省略するこ
ともできるが、血清アルブミンの夾雑が懸念される場合
には有利に行われ得る。
【0029】ウイルス不活化処理工程 本工程は、例えば所望の段階で安定化剤の存在下に免疫
グロブリンの抗体活性の減少は最小限にとどめるが、夾
雑するウイルス、例えばHBウイルス、AIDSウイル
ス等は実質的に不活化する条件で加熱処理する工程が例
示される。このウイルス不活化処理は、例えば出発原料
の段階、各実施工程のいずれかの二工程の間、または各
実施工程全てを終了した段階等のいずれの処理段階にお
いても行うことができる。加熱処理は、含湿度3%以下
の乾燥状態(即ち、乾熱処理:乾燥状態で十分な時間加
熱処理することにより、ウイルスを不活化し得る)、ま
たは溶液状態、即ち免疫グロブリンの水溶液状態(即
ち、液状加熱処理)で行う。より好ましくは液状加熱処
理が推奨される。
【0030】安定化剤としては、いずれの処理の場合
も、二糖類(例、サッカロース、マルトース)、糖アル
コール(例、ソルビトール、マンニトール)が好適に例
示される。より好ましくはソルビトールである。安定化
剤の添加量は、溶液状態での添加量として、乾熱処理法
では、二糖類、糖アルコール等を0.5〜5w/v%
(好ましくは、1〜3w/v%)、液状加熱処理法では
二糖類、糖アルコール等を10w/v%以上(好ましく
は、10〜50w/v%)の添加が好適に例示される。
【0031】加熱の対象となる免疫グロブリンの、溶液
状態における量としては、乾熱処理では、蛋白量として
1〜10w/v%(好ましくは3〜7w/v%)となる
ように調整することが好適である。液状加熱処理では、
蛋白量として0.1〜30w/v%(好ましくは5〜2
0w/v%)に調整することが好ましい。
【0032】加熱処理は、乾熱処理の場合、安定化剤を
添加後、要すれば除菌濾過し、例えば凍結乾燥等によっ
て含水率3%以下、好ましくは1%以下とする。凍結乾
燥の条件としては0.5mmHgの真空下、20〜40
℃で24〜96時間程度が例示される。次いで、例えば
50〜70℃(好ましくは60℃程度)、10〜200
時間(好ましくは50〜100時間程度)で処理する。
【0033】また、本加熱処理工程は不活性ガス雰囲気
下で行うことにより、加熱時の安定性をより高めること
ができる。不活性ガスとしては例えば、窒素ガス、アル
ゴン、ヘリウム等が挙げられる。
【0034】液状加熱処理の場合は水溶液のpHを4.
5〜6.5、好ましくはpH5〜6に調整し、イオン強
度を0.0001〜0.1M(好ましくは0.0001
〜0.01M)として、50〜70℃(好ましくは60
℃程度)で10分間〜20時間(好ましくは10時間程
度)処理する。
【0035】加熱処理の工程は、乾熱処理の場合は最終
工程で行うことが好ましい。液状加熱処理の場合は、出
発原料に対して行うのが好適である。
【0036】また、免疫グロブリン含有組成物(出発原
料やの工程を経て得られた濃縮画分等が包含される)
をトリアルキルホスフェートに接触させることによって
もウイルスを不活化することができる。本発明のトリア
ルキルホスフェートとの接触時の免疫グロブリン含有組
成物の精製度は、特に限定されるものでなく、任意の精
製度のものに適用可能であり、従ってトリアルキルホス
フェートとの接触は前述の工程のどの段階に適用しても
よいが、好適には溶液状態の免疫グロブリン含有組成物
に接触させる。
【0037】本発明に使用されるトリアルキルホスフェ
ートは特に限定されないが、好適にはトリ−(n−ブチ
ル)ホスフェート、トリ−(tert−ブチル)ホスフ
ェート、トリ−(n−ヘキシル)ホスフェート、トリ−
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリ−(n−デ
シル)ホスフェート等が挙げられる。特に好ましいトリ
アルキルホスフェートは、トリ−(n−ブチル)ホスフ
ェート(以下TNBPと言う)である。なお、2種類以
上の異なるトリアルキルホスフェートの混合物も使用す
ることができる。免疫グロブリンの量は、蛋白質として
0.1〜30w/v%(好ましくは1〜20w/v%)
に調整することが好適である。本発明に使用されるトリ
アルキルホスフェートは、0.01〜10w/v%の範
囲の量、好ましくは約0.1〜3w/v%の範囲の量に
おいて使用される。当該トリアルキルホスフェートは、
0〜60℃(好ましくは20〜40℃)で、30分間以
上(好ましくは1〜30時間、より好ましくは3〜10
時間)、pH6〜8程度の条件下で接触させる。
【0038】トリアルキルホスフェートは界面活性剤を
伴ってまたは伴わないで使用することができる。好まし
くは、トリアルキルホスフェートは界面活性剤と組み合
わせて使用する。この界面活性剤はトリアルキルホスフ
ェートを免疫グロブリン含有組成物と接触する前、同
時、またはその後の任意の段階で添加することができ
る。界面活性剤の作用は、ウイルスとトリアルキルホス
フェートとの接触を強化することである。界面活性剤と
しては、脂肪酸のポリオキシエチレン誘導体、ソルビト
ール無水物の部分エステル(例えばトゥイーン80、ト
ゥイーン20およびポリソルベート80等)、および非
イオン性O/W型界面活性剤(例えばトライトンX10
0(オキシエチル化アルキルフェノール)等)等が挙げ
られる。さらにデオキシコール酸ナトリウム、およびス
ルホベタインとして周知の合成両性界面活性剤であるツ
ブイッタージェント(Zwittergents)(例
えばN−ドデシル−N,N−ジメチル−2−アンモニオ
−1−エタンスルホネート、およびその同族体等)や非
イオン性界面活性剤(例えばオクチル−β、D−グルコ
ピラノシド等)等が挙げられる。界面活性剤を使用する
場合、その量は臨界的ではなく、例えば約0.001%
〜約10%、好ましくは約0.01%〜3%の範囲で使
用することができる。
【0039】トリアルキルホスフェート処理はエンベロ
ープウイルス、例えばB型肝炎ウイルス、非A非B型肝
炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、水疱性
口内炎ウイルス(Vesicular Stomati
tis Virus)、シンドビスウイルス(Sind
bis Virus)等の不活化に特に有用である。
【0040】(3)最終製剤(特に液状製剤)について 液状製剤の調製 上述の本発明の静注用免疫グロブリン製剤の製造方法を
用いることにより、静注用免疫グロブリン製剤が得られ
る。特に非化学修飾完全分子型免疫グロブリンを常套手
段によって1〜10w/v%(好ましくは3〜7w/v
%)になるように水溶液に調整し、さらに安定化剤、例
えばソルビトール1〜20w/v%(好ましくは2〜1
0w/v%)、pH5.5±0.2(好ましくは約5.
5)、低電導度(好ましくは電導度1mmho以下、特
に0.6mmho以下、共に8℃換算)になるように、
自体既知の手段にて調整した後、通常の製剤化技術に基
づいて、除菌濾過、分注等を行い、静脈内投与可能な非
化学修飾完全分子型免疫ブロブリン液状組成物(製剤)
を調製することができる。かくして調製された製剤は、
非化学修飾完全分子型免疫グロブリンを含有し、pH5
〜6(好ましくは約5.5±0.2程度)、電導度1m
mho以下(好ましくは0.6mmho以下、ともに8
℃での換算時)を有し、製造後から少なくとも1年間は
室温保存が可能であり、その期間中は常に抗補体価が2
0単位以下、免疫グロブリンのダイマー含量が7%以下
を維持可能な静注用免疫グロブリン液状製剤を得ること
ができる。
【0041】本発明の静注用免疫グロブリン含有製剤に
含まれ得る非化学修飾完全分子型免疫グロブリンとは; (i) 自然のままで何らの修飾や変化もうけておらず、従
って免疫グロブリンのフラグメントであるFab、F
(ab’)2 、Fc等を含まない、(ii)抗体価の低下が
なく、同時に抗体スペクトルの低下もない、(iii) 抗補
体作用(補体結合性)が日本国生物学的製剤基準(以
下、生基準ともいう)で安全と見なされる20単位(C
50値)よりも十分に低い、という諸性状を備えたもの
をいう。
【0042】非化学修飾完全分子型免疫グロブリンを含
有してなる静注用免疫グロブリン含有製剤について、グ
ロブリン二量体の含有率の安全域を考慮すると、その含
有率を7%以下、好ましくは6%以下、最も好ましくは
4%以下にする。
【0043】さらに本発明の静注用免疫グロブリン製剤
の製造方法を用いることにより、保存安定性のよい、夾
雑物の低減された静注用免疫グロブリン製剤、特に液状
で室温において少なくとも1年間安定であり、ヒト血清
アルブミン含量が5μg/ml以下、MCP−1(Huma
n Monocyte Chemotactic Protein-1)含量が16pg/
ml以下、補体C3a含量が3μg/ml以下、ポリエ
チレングリコール含量が1mg/dl以下である静注用
免疫グロブリン製剤を得ることができる。
【0044】本発明の製剤は、免疫グロブリンが実質的
に不活化されておらず、しかもIgG重合体や夾雑物は
含まれておらず、溶解性もよく、抗補体活性も十分に低
い等の性質を有し、加熱処理等のウイルス不活化を実施
することにより、昭和60年度発行の生基準をパスでき
る安全な製剤である。本発明の製剤は、液状製剤の場合
はそのままで、あるいは適当な溶媒(例えば、注射用蒸
留水、生理食塩水、ぶどう糖液等)で希釈し、乾燥製剤
の場合は適当な溶媒(例えば注射用蒸留水)に溶解し
て、静脈内投与される。
【0045】適応疾患の具体例 1.低並びに無ガンマグロブリン血症 2.重症感染症 3.続発性血小板減少性紫斑病 4.川崎病の急性期
【0046】用法・用量 本発明の製剤は点滴注射するか、または直接静注する。
直接静注する場合は、極めて徐々に行うことが望まし
い。通常成人に対しては、1回ヒト免疫グロブリンGと
して2,500〜5,000mgを、小児に対しては1
回ヒト免疫グロブリンGとして100〜150mg/k
g体重を使用する。症状によって適宜増減できる。続発
性血小板減少性紫斑病に用いる場合、通常1日に、ヒト
免疫グロブリンGとして200〜400mg/kg体重
を投与する。年齢や症状に応じて適宜増減する。川崎病
に用いる場合、通常1日に、ヒト免疫グロブリンGとし
て400mg/kg体重を5日間投与する。なお、年齢
や症状に応じて適宜増減する。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではな
い。
【0048】実施例1 ヒト血漿から冷エタノール法により得られたコーン画分
II+III 1kgに水10リットルを加え、さらに
この溶液100ml当たりソルビトール50gを添加
し、pH5.5に調整した後、60℃で10時間加熱処
理した。その後pH5.5に調整した後、冷注射用水に
て当該溶液を3倍に希釈し、pH5.5の条件下で、ポ
リエチレングリコール(平均分子量4,000)を終濃
度が8%となるように添加し、2℃で遠心分離を行い上
清を得た。この上清をpH4に調整した後、分画分子量
10万の限外濾過膜(ペリコン2バイオマックス、ミリ
ポア社製)を用いて注射用水に対して溶液の濃縮を行っ
た。pH5〜7に調整した当該溶液に水で平衡化したD
EAE−セファデックスを添加(溶液50ml当たり2
ml)し、0〜4℃の条件下で約1時間接触処理し、処
理後濾過することによりDEAE−セファデックスを除
去して濾過液(免疫グロブリン含有溶液)を回収した。
この免疫グロブリン含有溶液を注射用水で5w/v%に
調整し、酢酸ナトリウムでこの溶液のpHを約5.5に
調整し、さらにソルビトールを終濃度が5%となるよう
に添加した。この水溶液(電導度約1mmho)を除菌
濾過し、静注用免疫グロブリン液状製剤を得た。
【0049】実施例2 実施例1で調製した5w/v%免疫グロブリン含有溶液
を、無水シリカを担持したフィルター(ゼータプラス・
デリピド、キュノ社製)に通して非吸着画分を回収し
た。さらに除菌濾過し、静注用免疫グロブリン液状製剤
を得た。このようにして得られた5w/v%免疫グロブ
リン含有溶液中の混入アルブミンは、マンシーニー法に
より定量したところ、5μg/mlであった。
【0050】実施例3 多孔性中空糸として旭化成(株)より購入した、平均孔
径35±2nm、膜面積0.001〜1.0m2 、中空
糸内径330±30μm、膜厚35±3.5μm、15
0層以上の多重層構造であり、銅アンモニア法再生セル
ロースを原料とした多孔性中空糸〔ベンベルグ マイク
ロポーラス メンブラン(Bemberg Micro
porous Membrane)以下、BMMとい
う〕をモジュール化したBMMモジュール(商品名:プ
ラノバ35)を使用した。このBMMモジュールは、ポ
リウレタン系接着剤により高圧蒸気滅菌可能なポリカー
ボネート製のプラスチック容器内に一体化されており、
モジュール内には注射用蒸留水が充填されている。プラ
ノバを構成する各種材料の安全性は、日本薬局方の定め
る方法により確認されている(BMM商品説明書よ
り)。実施例1で調製した5w/v%免疫グロブリン含
有溶液に対して、滅菌濾過(孔径0.2μm、メンブラ
ン・フィルターによる濾過)を行った後に5℃、濾過圧
力0.2kgf/cm2 で1〜5時間の膜濾過処理(空
気圧を用いたデッドエンド濾過法)を行った。冷却後に
再度滅菌処理を行い、静注用のヒト免疫グロブリン液状
製剤を調製した。
【0051】実施例4 実施例1で調製した5w/v%免疫グロブリン含有溶液
を、細孔性/低Al性フィルター(ゼータプラスLA9
0、キュノ社製)および無水シリカを担持したフィルタ
ー(ゼータプラス・デリピド、キュノ社製)に通して非
吸着画分を回収した。さらに除菌濾過し、静注用免疫グ
ロブリン液状製剤を得た。
【0052】実施例5 実施例1で調製した5w/v%免疫グロブリン含有溶液
を、細孔性/低Al性フィルター(ゼータプラスLA9
0、キュノ社製)および無水シリカを担持したフィルタ
ー(ゼータプラス・デリピド、キュノ社製)に通して非
吸着画分を回収した。さらに実施例3に準じてBMM処
理を行った後に除菌濾過し、静注用免疫グロブリン液状
製剤を得た。
【0053】実施例6 実施例1において、pH5.5で60℃10時間の液状
加熱処理を行う代わりに、pH7でTNBP(トリ−n
−ブチルホスフェート)0.3w/v%およびポリオキ
シエチレンソルビタンオレイン酸モノエステル(トゥイ
ーン80)1w/v%と30℃で6時間接触させること
によりウイルス不活化処理を行う以外は実施例1に準じ
て行い、同様に静注用免疫グロブリン液状製剤を調製し
た。
【0054】実施例7 実施例1において、pH5.5に調整してソルビトール
を配合して液状製剤を調製する代わりに、pH6.4〜
7.2に調整した上で、0.6%塩化ナトリウム、2%
マンニトールおよび1%アルブミンを配合して凍結乾燥
を行う以外は実施例1に準じて行い、静注用免疫グロブ
リンの粉末製剤を調製した。
【0055】実施例8 実施例1においては、最初の工程でpH5.5での60
℃、10時間の液状加熱処理を行い、製剤化工程でpH
5.5に調整してソルビトールを配合して液状製剤を調
製するが、その代わりに最初の工程で液状加熱処理を行
わずに、最終工程で、pH6.4〜7.2に調整した上
で0.6%塩化ナトリウム、2%マンニトールおよび1
%アルブミンを配合して凍結乾燥を行い、60℃、72
時間の加熱処理を行う以外は実施例1に準じて行い、静
注用免疫グロブリンの粉末製剤を調製した。
【0056】実験例1 実施例1〜8で調製した静注用免疫グロブリン製剤につ
いてその性状を調べた。粉末製剤であるものについては
注射用水に溶解した状態で測定した。pHはpHメータ
ー、電導度は電導度メーター、ダイマー/ポリマー含量
は高速液体クロマトグラフィー(HPLC、カラムはT
SK−G3000PW、展開液は等張化リン酸緩衝液、
PBS)を用いて測定した。濁度(turbidit
y)は600nmの吸光度を測定した。抗補体価の測定
は、カパットとマイヤーの方法〔エクスペリメンタル
イムノケミストリー(Experimental Immunochemistry)
,225(1961)〕および西岡、岡田の方法〔免
疫の生化学,103,昭46(共立出版)〕の方法に準
じた。すなわち、100単位の補体が試料を加えること
によって何単位に減少するかを測定し、その減少単位を
抗補体価として表した。麻疹抗体価はヘマグルチネーシ
ョン インヒビション テスト(Hemagglutination Inhi
biton test) 法により測定し、国際単位(IU/150
mg)で表した。
【0057】実施例1−6で調製された静注用免疫グロ
ブリン液状製剤の性状は以下のとおりである。性状 pH5.5 電導度1mmho以下(8℃での換算時) ダイマー含量7w/w%以下 ポリマー含量0.1w/w%以下 抗補体価は20単位/ml以下 浸透圧比は約1(生理食塩液に対する比) 外観は無色ないし淡黄色で澄明 麻疹抗体価は40IU以上 濁度は0.01以下 本発明の液状製剤(実施例5)を37℃で40日間保存
した後も当該性状は保存前(調製直後)と同程度であっ
た。故に当該製剤は室温保存においては、少なくとも1
年間は安定であるものと推測された。
【0058】実施例7または8で調製された静注用免疫
グロブリン粉末製剤の性状は以下のとおりである。性状 pH6.4〜7.2 ダイマー含量7w/w%以下 ポリマー含量0.1w/w%以下 抗補体価は20単位/ml以下 浸透圧比は約1(生理食塩液に対する比) 外観は淡黄色で澄明またはわずかに混濁。肉眼的にはほ
とんど沈澱を認めない。 麻疹抗体価は40IU以上
【0059】実施例9 実施例1において、最終製剤のpHを5.5に調整する
代わりに、pH4.25に調整する以外は全て実施例1
に準じて行い、同様に静注用免疫グロブリン液状製剤を
調製した。
【0060】実験例2 実験例1の方法に準じて、実施例9で調製した静注用免
疫グロブリン液状製剤の性状について調べた。性状は以
下のとおりである。性状 pH4.25 電導度1〜2mmho(8℃での換算時) ダイマー含量7w/w%以下 ポリマー含量0.1w/w%以下 抗補体価は20単位/ml以下 浸透圧比は約1(生理食塩液に対する比) 外観は無色澄明 麻疹抗体価は40IU以上 濁度は0.01以下
【0061】実施例10 実施例1において、最終製剤のpHを5.5に調整する
代わりに、pH5.2に調整する以外は全て実施例1に
準じて行い、同様に静注用免疫グロブリン液状製剤を調
製した。
【0062】実験例3 1)性状 実験例1の方法に準じて、実施例10で調製した静注用
免疫グロブリン液状製剤の性状について調べた。性状は
以下のとおりである。性状 pH5.2 電導度1mmho(8℃での換算時) ダイマー含量7w/w%以下 ポリマー含量0.1w/w%以下 抗補体価は20単位/ml以下 浸透圧比は約1(生理食塩液に対する比) 外観は無色ないし淡黄色で澄明 麻疹抗体価は40IU以上 濁度は0.01以下 本発明の液状製剤(実施例10)を30℃で6カ月保存
した後も当該性状は保存前(調製直後)と同程度であっ
た。
【0063】2)夾雑物 本発明の液状製剤(実施例10)に夾雑する物質を定量
した。測定方法は以下のとおりである。 ヒト血清アルブミン:比濁法 MCP−1(Human Monocyte Chemotactic Protein-
1):ELISA法 ヒト補体C3a: 125I−アルギニンを用いた放射活性
法 ポリエチレングリコール:バリウムおよびヨウ素を用い
た比色法〔マイクロケミカル・ジャーナル,20,19
0〜192(1975)〕またはゲル濾過クロマト法 結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、免疫グロブリンの収率
向上および室温保存時の安定性改善が図られている。ま
た、夾雑するアルブミンの除去あるいは不溶性異物を形
成する核となりうる微粒子を除去することにより、不溶
性異物の生成を抑えて、溶液状態における免疫グロブリ
ンの安定性をさらに改善した製剤、特に液状製剤を提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上村 八尋 大阪府枚方市招提大谷2−25−1 吉富製 薬株式会社大阪研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pH4.5〜6.5、イオン強度0.0
    001〜0.1M、分子量1,000〜10,000の
    ポリエチレングリコール4〜10w/v%、温度0〜4
    ℃の条件下で分画処理して上清画分を回収し、該上清画
    分をpH3.5〜5.0の条件下で濃縮処理する工程を
    含んでなる静注用免疫グロブリン製剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 さらにウイルス不活化処理をする工程を
    含んでなる請求項1記載の静注用免疫グロブリン製剤の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 さらに陰イオン交換体で処理して非吸着
    画分を回収する工程を含んでなる請求項1または2記載
    の静注用免疫グロブリン製剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 さらに平均孔径1〜100nmの多孔性
    膜を用いて濾過処理する工程を含んでなる請求項1〜3
    のいずれかに記載の静注用免疫グロブリン製剤の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 さらにコロイド珪酸を用いて接触処理し
    て非吸着画分を回収する工程を含んでなる請求項1〜4
    のいずれかに記載の静注用免疫グロブリン製剤の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 a)免疫グロブリンを含有する画分をウ
    イルス不活化処理し、b)pH4.5〜6.5、イオン
    強度0.0001〜0.1M、分子量1,000〜1
    0,000のポリエチレングリコール4〜10w/v
    %、温度0〜4℃の条件下で分画処理して上清画分を回
    収し、c)該上清画分をpH3.5〜5.0の条件下で
    濃縮処理し、d)陰イオン交換体で処理して非吸着画分
    を回収し、e)コロイド珪酸を用いて接触処理し、f)
    平均孔径1〜100nmの多孔性膜を用いて濾過処理し
    て非吸着画分を回収することからなる静注用免疫グロブ
    リン製剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方
    法により調製される静注用免疫グロブリン製剤。
  8. 【請求項8】 非化学修飾完全分子型免疫グロブリンを
    含んでなり、pH5〜6、電導度1mmho以下(8℃
    での換算時)を有する静注用免疫グロブリン液状製剤で
    あって、製造後から少なくとも1年間は室温保存が可能
    であり、その期間中は常に抗補体価が20単位以下、免
    疫グロブリンのダイマー含量が7%以下を維持可能な請
    求項7記載の静注用免疫グロブリン製剤。
  9. 【請求項9】 安定化剤を配合してなる請求項7または
    8記載の静注用免疫グロブリン製剤。
  10. 【請求項10】 液状で室温において少なくとも1年間
    安定であり、ヒト血清アルブミン含量が5μg/ml以
    下、MCP−1含量が16pg/ml以下、補体C3a
    含量が3μg/ml以下、ポリエチレングリコール含量
    が1mg/dl以下である静注用免疫グロブリン製剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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