JPH11196874A - Dna断片分析法 - Google Patents
Dna断片分析法Info
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- JPH11196874A JPH11196874A JP10005399A JP539998A JPH11196874A JP H11196874 A JPH11196874 A JP H11196874A JP 10005399 A JP10005399 A JP 10005399A JP 539998 A JP539998 A JP 539998A JP H11196874 A JPH11196874 A JP H11196874A
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- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
- C12Q1/6844—Nucleic acid amplification reactions
- C12Q1/6858—Allele-specific amplification
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 既知遺伝子に由来する信号と未知遺伝子に由
来する信号を区別して表示し、未知遺伝子に関する情報
を容易に得ることができるDNA断片分析法を提供する。 【解決手段】 共通の既知オリゴヌクレオチド配列に相
補的なヌクレオチド配列を含む第1共通プライマー、前
記の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに共通に
存在する既知のヌクレオチド配列あるいは末端に導入し
たオリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列
を含む第2共通プライマー、および配列が既知の遺伝子
またはその一部を含むDNA断片に特異的にハイブリダ
イズする特異プライマーを用い、第1共通プライマーお
よび第2共通プライマーのセットによる増幅で得られる
増幅産物DNAと、前記の第1共通プライマーおよび特
異プライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物D
NAとを標識することによって、前記の配列が既知の遺
伝子のDNA断片に関する情報を他のDNA断片に関す
る情報と区別できる。
来する信号を区別して表示し、未知遺伝子に関する情報
を容易に得ることができるDNA断片分析法を提供する。 【解決手段】 共通の既知オリゴヌクレオチド配列に相
補的なヌクレオチド配列を含む第1共通プライマー、前
記の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに共通に
存在する既知のヌクレオチド配列あるいは末端に導入し
たオリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列
を含む第2共通プライマー、および配列が既知の遺伝子
またはその一部を含むDNA断片に特異的にハイブリダ
イズする特異プライマーを用い、第1共通プライマーお
よび第2共通プライマーのセットによる増幅で得られる
増幅産物DNAと、前記の第1共通プライマーおよび特
異プライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物D
NAとを標識することによって、前記の配列が既知の遺
伝子のDNA断片に関する情報を他のDNA断片に関す
る情報と区別できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はDNA断片分析法に関
し、特に、DNAの比較あるいは遺伝子発現の分析法(全
ての遺伝子が生体内でどのように機能しているか調べる
手法)に関する。遺伝子は、まずmRNAに転写され、蛋白
質に翻訳されて生体内で機能する。そこで、生体中にあ
るmRNAの種類と量を調べると、種々遺伝子の活動状況が
わかる。mRNAは分解されやすいため、DNA に変換してcD
NAとして測定することが多い。本発明は、これら活動中
の遺伝子全てを一度に調べる遺伝子発現パターンの分
析、種々のDNAあるいはRNA混合物に含まれる各断片の存
在比の分析、あるいはペプチドやタンパク質の混合物の
分析方法に関するものである。とくに蛍光標識を用いた
ゲル電気泳動による遺伝子発現の測定法およびDNA断片
分析法に関するものである。
し、特に、DNAの比較あるいは遺伝子発現の分析法(全
ての遺伝子が生体内でどのように機能しているか調べる
手法)に関する。遺伝子は、まずmRNAに転写され、蛋白
質に翻訳されて生体内で機能する。そこで、生体中にあ
るmRNAの種類と量を調べると、種々遺伝子の活動状況が
わかる。mRNAは分解されやすいため、DNA に変換してcD
NAとして測定することが多い。本発明は、これら活動中
の遺伝子全てを一度に調べる遺伝子発現パターンの分
析、種々のDNAあるいはRNA混合物に含まれる各断片の存
在比の分析、あるいはペプチドやタンパク質の混合物の
分析方法に関するものである。とくに蛍光標識を用いた
ゲル電気泳動による遺伝子発現の測定法およびDNA断片
分析法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】遺伝子あるいはDNAの配列比較を行うに
はそれら遺伝子やDNAの配列を決定して比較すればよい
のであるが、長いDNAや多数のDNA断片の混合物からなる
試料では配列決定が困難である。長いDNAを調べる場
合、DNAを断片化し生成した断片のゲル電気泳動パター
ンを調べることが行われる。また、遺伝子の機能を調べ
るには、その遺伝子に関連したmRNAの量的変化を調べ、
外部から加えた刺激と相関があるかなどを見ていた。こ
れら遺伝子機能の分析は人手と時間を要しあまり沢山の
遺伝子について調べることはできなかった。最近、種々
計測法および装置の発展に伴い、非常に多くの遺伝子の
発現の様子をモニターできるようになってきた。そのひ
とつはDNAチップを用いる方法である。DNAチップは種々
遺伝子に対応したDNAプローブをプローブの種類ごとに
区分けして固体表面に固定した素子である。DNAチップ
を用いる方法では試料のmRNAの相補鎖(cDNA)を合成
し、断片化した後に各断片に蛍光標識をつける。これら
蛍光標識断片を固体表面に固定されたプローブにハイブ
リダイズさせる。配列が相補な蛍光標識断片は固体表面
に保持され、配列が相補でない蛍光標識断片は洗浄操作
で除去される。蛍光顕微鏡を用いて保持された蛍光標識
DNA断片の量と位置すなわち対応するDNAプローブの種類
を調べる。この情報を用いて発現遺伝子情報を得る試み
が報告されている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93,
10614-10619, 1996)。此の方法は配列既知の遺伝子の
発現をモニターするのに適している。
はそれら遺伝子やDNAの配列を決定して比較すればよい
のであるが、長いDNAや多数のDNA断片の混合物からなる
試料では配列決定が困難である。長いDNAを調べる場
合、DNAを断片化し生成した断片のゲル電気泳動パター
ンを調べることが行われる。また、遺伝子の機能を調べ
るには、その遺伝子に関連したmRNAの量的変化を調べ、
外部から加えた刺激と相関があるかなどを見ていた。こ
れら遺伝子機能の分析は人手と時間を要しあまり沢山の
遺伝子について調べることはできなかった。最近、種々
計測法および装置の発展に伴い、非常に多くの遺伝子の
発現の様子をモニターできるようになってきた。そのひ
とつはDNAチップを用いる方法である。DNAチップは種々
遺伝子に対応したDNAプローブをプローブの種類ごとに
区分けして固体表面に固定した素子である。DNAチップ
を用いる方法では試料のmRNAの相補鎖(cDNA)を合成
し、断片化した後に各断片に蛍光標識をつける。これら
蛍光標識断片を固体表面に固定されたプローブにハイブ
リダイズさせる。配列が相補な蛍光標識断片は固体表面
に保持され、配列が相補でない蛍光標識断片は洗浄操作
で除去される。蛍光顕微鏡を用いて保持された蛍光標識
DNA断片の量と位置すなわち対応するDNAプローブの種類
を調べる。この情報を用いて発現遺伝子情報を得る試み
が報告されている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93,
10614-10619, 1996)。此の方法は配列既知の遺伝子の
発現をモニターするのに適している。
【0003】もう一つの発現プロファイルの測定法は、
ゲル電気泳動によるものでスキャニング法と呼ばれる方
法である。この中にはFDD (Fluorescent Differential
Display) (FEBS Letters 351, 231-236, 1994)や末端識
別プライマーを用いた方法(Nucleic Acids Research, 1
996, 24, 2616-2617, Nucleic Acids Symposium Serie
s, 1996, No.35, 257-258)が含まれる。この電気泳動パ
ターンを用いる方法は遺伝子に対応した特異なプローブ
がなくても発現の様子を調べることができる。従って、
配列未知の遺伝子の発現情報を得ることができる利点が
ある。スキャニング法はいずれもいくつかのDNA断片に
共通に作用する複数のプライマーを用いて試料cDNAある
いはmRNAを鋳型としてPCR反応を行い(多くの場合蛍光
標識プライマーを用いる)、得られたPCR産物の電気泳
動パターンから遺伝子の発現情報を得るものである。例
えば、末端識別プライマーを用いる方法では全てのcDNA
からの発現情報を電気泳動パターンで表示することがで
きる。この方法では、2本鎖cDNAを制限酵素で切断す
る。DNA断片末端の切断部に既知配列を持つオリゴマー
を導入する。cDNAの3'末端には通常ポリA鎖が存在して
いる。このポリA鎖と導入されたオリゴマーとで挟まれ
る塩基配列はそれぞれのcDNAに特異的であると考えられ
るので,此の部分のDNA断片をcDNAを代表するあるいは
識別する部分として計測する。その結果、発現している
各cDNAの種類と量を知ることができる。計測する場合に
はオリゴdTプライマーと導入されたオリゴマーに相補的
なプライマーを用いてPCR反応(Polymerase Chain React
ion)によりDNAの断片数を装置の検出感度以上に増幅し
てから行う。このとき、少なくともどちらかのプライマ
ーを蛍光標識しておき、蛍光式DNAシーケンサー等の装
置を用いて計測する。実際には、この断片数は非常に多
く、一つの電気泳動レーンでは区別して計測できない。
このため、全ての上記代表断片をいくつかのグループに
分け、一つのグループ内のDNA断片数を十分分離計測で
きる程度に減らしてからゲル電気泳動を行う。これに
は、PCRプライマーの3'末端に2塩基からなる選択配列を
付加したプライマーを用いる。断片の末端2塩基がこの
選択配列に相補な断片だけが増幅される。2塩基の選択
塩基を持つプライマーセット2組から任意の2つのプライ
マーの組み合わせからなるグループができる。各グルー
プの電気泳動パターンに現れるDNA断片を合わせると全
ての発現している遺伝子に関する情報が得られる(特開
平9-149799)。
ゲル電気泳動によるものでスキャニング法と呼ばれる方
法である。この中にはFDD (Fluorescent Differential
Display) (FEBS Letters 351, 231-236, 1994)や末端識
別プライマーを用いた方法(Nucleic Acids Research, 1
996, 24, 2616-2617, Nucleic Acids Symposium Serie
s, 1996, No.35, 257-258)が含まれる。この電気泳動パ
ターンを用いる方法は遺伝子に対応した特異なプローブ
がなくても発現の様子を調べることができる。従って、
配列未知の遺伝子の発現情報を得ることができる利点が
ある。スキャニング法はいずれもいくつかのDNA断片に
共通に作用する複数のプライマーを用いて試料cDNAある
いはmRNAを鋳型としてPCR反応を行い(多くの場合蛍光
標識プライマーを用いる)、得られたPCR産物の電気泳
動パターンから遺伝子の発現情報を得るものである。例
えば、末端識別プライマーを用いる方法では全てのcDNA
からの発現情報を電気泳動パターンで表示することがで
きる。この方法では、2本鎖cDNAを制限酵素で切断す
る。DNA断片末端の切断部に既知配列を持つオリゴマー
を導入する。cDNAの3'末端には通常ポリA鎖が存在して
いる。このポリA鎖と導入されたオリゴマーとで挟まれ
る塩基配列はそれぞれのcDNAに特異的であると考えられ
るので,此の部分のDNA断片をcDNAを代表するあるいは
識別する部分として計測する。その結果、発現している
各cDNAの種類と量を知ることができる。計測する場合に
はオリゴdTプライマーと導入されたオリゴマーに相補的
なプライマーを用いてPCR反応(Polymerase Chain React
ion)によりDNAの断片数を装置の検出感度以上に増幅し
てから行う。このとき、少なくともどちらかのプライマ
ーを蛍光標識しておき、蛍光式DNAシーケンサー等の装
置を用いて計測する。実際には、この断片数は非常に多
く、一つの電気泳動レーンでは区別して計測できない。
このため、全ての上記代表断片をいくつかのグループに
分け、一つのグループ内のDNA断片数を十分分離計測で
きる程度に減らしてからゲル電気泳動を行う。これに
は、PCRプライマーの3'末端に2塩基からなる選択配列を
付加したプライマーを用いる。断片の末端2塩基がこの
選択配列に相補な断片だけが増幅される。2塩基の選択
塩基を持つプライマーセット2組から任意の2つのプライ
マーの組み合わせからなるグループができる。各グルー
プの電気泳動パターンに現れるDNA断片を合わせると全
ての発現している遺伝子に関する情報が得られる(特開
平9-149799)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上、現在提案されて
いるDNA断片比較法と遺伝子発現情報取得方法について
紹介したが、実用面ではいろいろ問題がある。DNA断片
比較法では電気泳動分離パターンを比較する必要があ
り、厳密な比較が困難である。遺伝子発現情報取得方法
のうち、DNAチップを用いる方法では、DNAチップを誰で
もが簡単に作れないこと、および、配列既知の遺伝子の
発現しかモニターできないことなどが難点である。一
方、電気泳動による遺伝子発現モニター方法では,観測
されるDNA断片の長さをコントロールできないことや、
種々遺伝子をグループ分けする際、遺伝子がどのグルー
プに入るかは遺伝子の種類あるいは発現量の大小により
変える事ができない。このため、発現量の大きな遺伝子
由来のDNA断片の電気泳動信号の近くに発現量の少ない
遺伝子由来のDNA断片があると信号が埋もれて計測でき
ない難点が生じる。また、測定の必要無いDNA断片に由
来した信号も観測されるので、得られる電気泳動パター
ンが複雑になる難点がある。さらに、既知遺伝子に由来
した信号も未知遺伝子に由来した信号も区別無く現れる
ので未知遺伝子に関する情報を得ようとするときに手間
がかる難点がある。
いるDNA断片比較法と遺伝子発現情報取得方法について
紹介したが、実用面ではいろいろ問題がある。DNA断片
比較法では電気泳動分離パターンを比較する必要があ
り、厳密な比較が困難である。遺伝子発現情報取得方法
のうち、DNAチップを用いる方法では、DNAチップを誰で
もが簡単に作れないこと、および、配列既知の遺伝子の
発現しかモニターできないことなどが難点である。一
方、電気泳動による遺伝子発現モニター方法では,観測
されるDNA断片の長さをコントロールできないことや、
種々遺伝子をグループ分けする際、遺伝子がどのグルー
プに入るかは遺伝子の種類あるいは発現量の大小により
変える事ができない。このため、発現量の大きな遺伝子
由来のDNA断片の電気泳動信号の近くに発現量の少ない
遺伝子由来のDNA断片があると信号が埋もれて計測でき
ない難点が生じる。また、測定の必要無いDNA断片に由
来した信号も観測されるので、得られる電気泳動パター
ンが複雑になる難点がある。さらに、既知遺伝子に由来
した信号も未知遺伝子に由来した信号も区別無く現れる
ので未知遺伝子に関する情報を得ようとするときに手間
がかる難点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記難点
を解決するために鋭意努力した結果、試料中の種々のDN
A断片を増幅させるための共通プライマーのセットに加
えて、配列が既知の遺伝子またはその一部を含むDNA断
片に特異的にハイブリダイズする特異プライマーを用い
て、DNA断片を増幅するにあたって、前記の共通プライ
マーのセットによる増幅で得られるべき増幅産物を短断
片化するように前記の特異プライマーを設計し、かつ共
通プライマーと特異プライマーとを異なる標識体を用い
て標識するか、あるいは共通プライマーと特異プライマ
ーのうち片方だけを標識することにより、前記の配列が
既知の遺伝子の情報と配列が未知の遺伝子の情報とを区
別し、かつ総合的な遺伝子情報をモニターすることに成
功し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明
は、複数のDNA断片を含む試料の分析方法であって、
以下の工程:
を解決するために鋭意努力した結果、試料中の種々のDN
A断片を増幅させるための共通プライマーのセットに加
えて、配列が既知の遺伝子またはその一部を含むDNA断
片に特異的にハイブリダイズする特異プライマーを用い
て、DNA断片を増幅するにあたって、前記の共通プライ
マーのセットによる増幅で得られるべき増幅産物を短断
片化するように前記の特異プライマーを設計し、かつ共
通プライマーと特異プライマーとを異なる標識体を用い
て標識するか、あるいは共通プライマーと特異プライマ
ーのうち片方だけを標識することにより、前記の配列が
既知の遺伝子の情報と配列が未知の遺伝子の情報とを区
別し、かつ総合的な遺伝子情報をモニターすることに成
功し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明
は、複数のDNA断片を含む試料の分析方法であって、
以下の工程:
【0006】DNA断片の各々の少なくとも一つの末端
に、共通の既知オリゴヌクレオチド配列を付加する工
程、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド配列あるいは
末端に導入したオリゴヌクレオチドに相補的なヌクレオ
チド配列を含む第1共通プライマー、前記の複数のDN
A断片のすべてまたはいくつかに共通に存在する既知の
ヌクレオチド配列あるいは末端に導入したオリゴヌクレ
オチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第2共通
プライマー、および配列が既知の遺伝子またはその一部
を含むDNA断片に特異的にハイブリダイズする特異プ
ライマーを用い、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド
配列が末端に付加されたDNA断片を鋳型として増幅反
応を行って、増幅産物DNAを得る工程、および前記の
増幅産物DNAを分析して、前記のDNA断片に関する
情報を得る工程を含み、ここで、前記の第1共通プライ
マーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で得
られるべき増幅産物DNAを短断片化するように、前記
の特異プライマーが設計されており、かつ前記の第1共
通プライマーおよび第2共通プライマーのセットによる
増幅で得られる増幅産物DNAと、前記の第1共通プラ
イマーおよび特異プライマーのセットによる増幅で得ら
れる増幅産物DNAとを区別できるような様式で、これ
らの増幅産物DNAを標識することによって、前記の配
列が既知の遺伝子またはその一部を含むDNA断片に関
する情報を他のDNA断片に関する情報と区別できるよ
うにする前記の方法を提供する。
に、共通の既知オリゴヌクレオチド配列を付加する工
程、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド配列あるいは
末端に導入したオリゴヌクレオチドに相補的なヌクレオ
チド配列を含む第1共通プライマー、前記の複数のDN
A断片のすべてまたはいくつかに共通に存在する既知の
ヌクレオチド配列あるいは末端に導入したオリゴヌクレ
オチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第2共通
プライマー、および配列が既知の遺伝子またはその一部
を含むDNA断片に特異的にハイブリダイズする特異プ
ライマーを用い、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド
配列が末端に付加されたDNA断片を鋳型として増幅反
応を行って、増幅産物DNAを得る工程、および前記の
増幅産物DNAを分析して、前記のDNA断片に関する
情報を得る工程を含み、ここで、前記の第1共通プライ
マーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で得
られるべき増幅産物DNAを短断片化するように、前記
の特異プライマーが設計されており、かつ前記の第1共
通プライマーおよび第2共通プライマーのセットによる
増幅で得られる増幅産物DNAと、前記の第1共通プラ
イマーおよび特異プライマーのセットによる増幅で得ら
れる増幅産物DNAとを区別できるような様式で、これ
らの増幅産物DNAを標識することによって、前記の配
列が既知の遺伝子またはその一部を含むDNA断片に関
する情報を他のDNA断片に関する情報と区別できるよ
うにする前記の方法を提供する。
【0007】複数のDNAを含む試料としては、脳、肝
臓、皮膚、腸、胃、各種ガンなどの組織、肝細胞、白血
球、膵臓などの細胞から抽出したmRNAから逆転写反応に
より作製したcDNAを含む溶液、およびゲノムDNAを切断
して断片化した溶液などを挙げることができる。通常、
ゲノムDNAは長すぎて直接分析することが困難であるた
め、切断して断片化した後に分析を行うことが多い。DN
Aの切断には、制限酵素を用いることができ、利用可能
な制限酵素としては、classII およびclassIISの種々エ
ンドヌクレアーゼ、より具体的には文献 Molecular Clo
ning に記載の種々酵素でEcoRI 、PstI、HhaI、NlaII
I、BspMI 、FokI、他、などを挙げることができる。
臓、皮膚、腸、胃、各種ガンなどの組織、肝細胞、白血
球、膵臓などの細胞から抽出したmRNAから逆転写反応に
より作製したcDNAを含む溶液、およびゲノムDNAを切断
して断片化した溶液などを挙げることができる。通常、
ゲノムDNAは長すぎて直接分析することが困難であるた
め、切断して断片化した後に分析を行うことが多い。DN
Aの切断には、制限酵素を用いることができ、利用可能
な制限酵素としては、classII およびclassIISの種々エ
ンドヌクレアーゼ、より具体的には文献 Molecular Clo
ning に記載の種々酵素でEcoRI 、PstI、HhaI、NlaII
I、BspMI 、FokI、他、などを挙げることができる。
【0008】断片化したDNAの末端には、共通の既知オ
リゴヌクレオチド配列を付加する。共通の既知オリゴヌ
クレオチド配列は、塩基数10〜30、好ましくは、塩基数
15〜25の既知の配列であるとよく、このような配列とし
ては、以下のものを用いることができる。 univ.: GTTTTCCCAGTCACGAC(配列番号1)、rev.: CAGG
AAACAGCTATGAC (配列番号2)、 T3: ATTAACCCTCACTAAAG (配列番号3)、T7; AATACGAC
TCACTATAG (配列番号4)、 KS: CGAGGTCGACGGTATCG (配列番号5)、SK: TCTAGAAC
TAGTGGATC (配列番号6) PA: TCTCCAAAAAAAAAAAAAAA(配列番号7)、PT: TGTGGT
TTTTTTTTTTTTTTT(配列番号8) これらの既知オリゴヌクレオチド配列は、断片化したDN
Aの二本の鎖の片方または両方の片側または両側の末端
に付加する。付加は、ライゲーションにより行うことが
できる。
リゴヌクレオチド配列を付加する。共通の既知オリゴヌ
クレオチド配列は、塩基数10〜30、好ましくは、塩基数
15〜25の既知の配列であるとよく、このような配列とし
ては、以下のものを用いることができる。 univ.: GTTTTCCCAGTCACGAC(配列番号1)、rev.: CAGG
AAACAGCTATGAC (配列番号2)、 T3: ATTAACCCTCACTAAAG (配列番号3)、T7; AATACGAC
TCACTATAG (配列番号4)、 KS: CGAGGTCGACGGTATCG (配列番号5)、SK: TCTAGAAC
TAGTGGATC (配列番号6) PA: TCTCCAAAAAAAAAAAAAAA(配列番号7)、PT: TGTGGT
TTTTTTTTTTTTTTT(配列番号8) これらの既知オリゴヌクレオチド配列は、断片化したDN
Aの二本の鎖の片方または両方の片側または両側の末端
に付加する。付加は、ライゲーションにより行うことが
できる。
【0009】DNAの断片化のためにclassIIS制限酵素(F
okI、BspMI 、BsmAI 、BsmFIなど)を用いた場合には、
この制限酵素による切断で一本鎖DNA末端が生じるの
で、この末端配列と同じ塩基数かそれより塩基数の1個
少ない任意配列 (任意の塩基の組み合わせからなる) を
末端に付加した共通の既知オリゴヌクレオチド配列を用
いてライゲーションを行うとよい。この任意配列が、cl
assIIS制限酵素による切断で生じた一本鎖DNA末端の配
列に相補的でなければ、ライゲーションが起こらない。
従って、このライゲーションによって、DNA断片のグル
ープ分け(選別)をすることができる。
okI、BspMI 、BsmAI 、BsmFIなど)を用いた場合には、
この制限酵素による切断で一本鎖DNA末端が生じるの
で、この末端配列と同じ塩基数かそれより塩基数の1個
少ない任意配列 (任意の塩基の組み合わせからなる) を
末端に付加した共通の既知オリゴヌクレオチド配列を用
いてライゲーションを行うとよい。この任意配列が、cl
assIIS制限酵素による切断で生じた一本鎖DNA末端の配
列に相補的でなければ、ライゲーションが起こらない。
従って、このライゲーションによって、DNA断片のグル
ープ分け(選別)をすることができる。
【0010】第1共通プライマーは、前記の共通の既知
オリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を
含む。第2共通プライマーは、前記の複数のDNA断片
のすべてまたはいくつかに共通に存在する既知のヌクレ
オチド配列あるいは末端に導入したオリゴヌクレオチド
配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。複数のDNA
断片のすべてまたはいくつかに共通に存在する既知のヌ
クレオチド配列の典型的な例としては、ポリA配列を挙
げることができる。このほかにも、DNA断片の末端に
ポリA鎖を付加して用いてもよい、また、ライゲーショ
ンでDNA断片の両側にオリゴマーを付加してこの片方
を用いてもよい。
オリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を
含む。第2共通プライマーは、前記の複数のDNA断片
のすべてまたはいくつかに共通に存在する既知のヌクレ
オチド配列あるいは末端に導入したオリゴヌクレオチド
配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。複数のDNA
断片のすべてまたはいくつかに共通に存在する既知のヌ
クレオチド配列の典型的な例としては、ポリA配列を挙
げることができる。このほかにも、DNA断片の末端に
ポリA鎖を付加して用いてもよい、また、ライゲーショ
ンでDNA断片の両側にオリゴマーを付加してこの片方
を用いてもよい。
【0011】第1共通プライマーおよび/または第2共
通プライマーは、1〜4個、好ましくは、1〜3個の塩
基からなる選択配列を3'末端に持っていてもよい。選択
配列を構成する塩基は、 A、 C、 G、 Tから任意に選ぶ
ことができる。このような選択配列を持つプライマーを
用いれば、末端の塩基または塩基配列がこの選択配列に
相補的なDNA 断片だけが増幅されるので、その結果、DN
A断片をグループ分け(選別)しつつ、増幅させること
になる。通常、1つの試料から得られるDNA断片の数は
非常に多く、一つの電気泳動レーンで区別して計測する
ことは困難であるので、このようなグループ分けによ
り、電気泳動の1レーン当たりのDNA断片の数を減ら
し、分析の分解能を向上させることができる。
通プライマーは、1〜4個、好ましくは、1〜3個の塩
基からなる選択配列を3'末端に持っていてもよい。選択
配列を構成する塩基は、 A、 C、 G、 Tから任意に選ぶ
ことができる。このような選択配列を持つプライマーを
用いれば、末端の塩基または塩基配列がこの選択配列に
相補的なDNA 断片だけが増幅されるので、その結果、DN
A断片をグループ分け(選別)しつつ、増幅させること
になる。通常、1つの試料から得られるDNA断片の数は
非常に多く、一つの電気泳動レーンで区別して計測する
ことは困難であるので、このようなグループ分けによ
り、電気泳動の1レーン当たりのDNA断片の数を減ら
し、分析の分解能を向上させることができる。
【0012】また、選択配列によるグループ分けの能力
(選別能)を向上させるために、第1共通プライマーに
おける選択配列を前記の共通の既知オリゴヌクレオチド
配列に相補的なヌクレオチド配列に隣接させ、該相補的
ヌクレオチド配列の一部の塩基を前記の共通の既知オリ
ゴヌクレオチド配列にミスマッチする塩基に変更すると
よい。同様に、第2共通プライマーにおける選択配列を
前記の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに共通
に存在する既知のヌクレオチド配列あるいは末端に導入
したオリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配
列に隣接させ、該相補的ヌクレオチド配列の一部の塩基
が、前記の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに
共通に存在する既知のヌクレオチド配列あるいは末端に
導入したオリゴヌクレオチド配列にミスマッチする塩基
に変更するとよい。
(選別能)を向上させるために、第1共通プライマーに
おける選択配列を前記の共通の既知オリゴヌクレオチド
配列に相補的なヌクレオチド配列に隣接させ、該相補的
ヌクレオチド配列の一部の塩基を前記の共通の既知オリ
ゴヌクレオチド配列にミスマッチする塩基に変更すると
よい。同様に、第2共通プライマーにおける選択配列を
前記の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに共通
に存在する既知のヌクレオチド配列あるいは末端に導入
したオリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配
列に隣接させ、該相補的ヌクレオチド配列の一部の塩基
が、前記の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに
共通に存在する既知のヌクレオチド配列あるいは末端に
導入したオリゴヌクレオチド配列にミスマッチする塩基
に変更するとよい。
【0013】特異プライマーは、配列が既知の遺伝子ま
たはその一部を含むDNA断片に特異的にハイブリダイ
ズする。この特異プライマーは、第1共通プライマーお
よび第2共通プライマーのセットによる増幅で得られる
べき増幅産物DNAを短断片化するように設計される。
第2共通プライマーがハイブリダイズするDNA鎖と同
じDNA鎖にハイブリダイズし、かつ、第1共通プライ
マーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で得
られる増幅産物DNAの内部配列にハイブリダイズする
ように、特異プライマーを設計し、前記の第1共通プラ
イマーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で
得られる増幅産物DNAより鎖長の短い増幅産物DNA
が前記の第1共通プライマーおよび特異プライマーのセ
ットによる増幅で得られるようにするとよい。また、特
異プライマーを第2共通プライマーと異なる蛍光体で標
識しておくとよい。よく知られているように、PCR増幅
では、同じ配列部分を増幅する異なるプライマーセット
があった時、生成物の長さが短い方が優先して生成する
ので、既知遺伝子に由来するDNA断片が短断片化するよ
うに設計された特異的プライマーを加えられたDNA断片
は,他のDNA断片と異なる蛍光体で標識されたDNA断片と
して優先的に生成物中に現れる。配列が既知の遺伝子群
としては、ハウスキーパー遺伝子群などをあげる事がで
きる。
たはその一部を含むDNA断片に特異的にハイブリダイ
ズする。この特異プライマーは、第1共通プライマーお
よび第2共通プライマーのセットによる増幅で得られる
べき増幅産物DNAを短断片化するように設計される。
第2共通プライマーがハイブリダイズするDNA鎖と同
じDNA鎖にハイブリダイズし、かつ、第1共通プライ
マーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で得
られる増幅産物DNAの内部配列にハイブリダイズする
ように、特異プライマーを設計し、前記の第1共通プラ
イマーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で
得られる増幅産物DNAより鎖長の短い増幅産物DNA
が前記の第1共通プライマーおよび特異プライマーのセ
ットによる増幅で得られるようにするとよい。また、特
異プライマーを第2共通プライマーと異なる蛍光体で標
識しておくとよい。よく知られているように、PCR増幅
では、同じ配列部分を増幅する異なるプライマーセット
があった時、生成物の長さが短い方が優先して生成する
ので、既知遺伝子に由来するDNA断片が短断片化するよ
うに設計された特異的プライマーを加えられたDNA断片
は,他のDNA断片と異なる蛍光体で標識されたDNA断片と
して優先的に生成物中に現れる。配列が既知の遺伝子群
としては、ハウスキーパー遺伝子群などをあげる事がで
きる。
【0014】本発明の方法において、1または2種類以
上の特異プライマーを用いることができる。2種類以上
の特異プライマーを用いる場合には、これらの特異プラ
イマーは互いに異なる遺伝子を含むDNA断片に特異的
にハイブリダイズし、かつ互いに異なる蛍光体で標識さ
れているとよい。第1共通プライマー、第2共通プライ
マー、および特異プライマーを用い、共通の既知オリゴ
ヌクレオチド配列が末端に付加されたDNA断片を鋳型
として増幅反応を行って、増幅産物DNAを得る。
上の特異プライマーを用いることができる。2種類以上
の特異プライマーを用いる場合には、これらの特異プラ
イマーは互いに異なる遺伝子を含むDNA断片に特異的
にハイブリダイズし、かつ互いに異なる蛍光体で標識さ
れているとよい。第1共通プライマー、第2共通プライ
マー、および特異プライマーを用い、共通の既知オリゴ
ヌクレオチド配列が末端に付加されたDNA断片を鋳型
として増幅反応を行って、増幅産物DNAを得る。
【0015】増幅反応は、まず、第1共通プライマーお
よび第2共通プライマーのセットを用いて行い、次い
で、第1共通プライマーおよび特異プライマーのセット
を用いて行ってもよい。増幅反応は、DNAを増幅させる
ことができるいかなる反応であってもよいが、PCRが好
ましい。前記のプライマーを蛍光標識して用いて増幅反
応を行い、増幅産物DNAのゲル電気泳動パターンを蛍
光検出することにより、DNA断片に関する情報を得る
ことができる。実時間蛍光検出で泳動中のDNAを計測
することもできる。
よび第2共通プライマーのセットを用いて行い、次い
で、第1共通プライマーおよび特異プライマーのセット
を用いて行ってもよい。増幅反応は、DNAを増幅させる
ことができるいかなる反応であってもよいが、PCRが好
ましい。前記のプライマーを蛍光標識して用いて増幅反
応を行い、増幅産物DNAのゲル電気泳動パターンを蛍
光検出することにより、DNA断片に関する情報を得る
ことができる。実時間蛍光検出で泳動中のDNAを計測
することもできる。
【0016】本発明の方法においては、第1共通プライ
マーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で得
られる増幅産物DNAと、第1共通プライマーおよび特
異プライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物D
NAとを区別できるような様式で、これらの増幅産物D
NAを標識する。第1共通プライマーおよび第2共通プ
ライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物DNA
のみを標識してもよいし、あるいはまた、第1共通プラ
イマーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で
得られる増幅産物DNAと、第1共通プライマーおよび
特異プライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物
DNAとを、異なる標識体で標識してもよい。後者の場
合には、第1共通プライマーおよび第2共通プライマー
のセットによる増幅で得られる増幅産物DNAと、第1
共通プライマーおよび特異プライマーのセットによる増
幅で得られる増幅産物DNAとを発光波長の差で識別し
ながら計測することができる。増幅産物の標識は、プラ
イマーを標識することによって行うことができる。ま
た、発現量の多い遺伝子またはその一部を含むDNA断片
は発光強度の小さい蛍光体で標識し、発現量の小さな遺
伝子またはその一部を含むDNA断片は発光量の大きな蛍
光体で標識して、両者を同時にモニターできるようにす
るとよい。
マーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で得
られる増幅産物DNAと、第1共通プライマーおよび特
異プライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物D
NAとを区別できるような様式で、これらの増幅産物D
NAを標識する。第1共通プライマーおよび第2共通プ
ライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物DNA
のみを標識してもよいし、あるいはまた、第1共通プラ
イマーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で
得られる増幅産物DNAと、第1共通プライマーおよび
特異プライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物
DNAとを、異なる標識体で標識してもよい。後者の場
合には、第1共通プライマーおよび第2共通プライマー
のセットによる増幅で得られる増幅産物DNAと、第1
共通プライマーおよび特異プライマーのセットによる増
幅で得られる増幅産物DNAとを発光波長の差で識別し
ながら計測することができる。増幅産物の標識は、プラ
イマーを標識することによって行うことができる。ま
た、発現量の多い遺伝子またはその一部を含むDNA断片
は発光強度の小さい蛍光体で標識し、発現量の小さな遺
伝子またはその一部を含むDNA断片は発光量の大きな蛍
光体で標識して、両者を同時にモニターできるようにす
るとよい。
【0017】別の見地からすると、本発明は、複数のD
NA断片を含む試料から配列が未知の遺伝子を含むDN
A断片を単離する方法であって、以下の工程:DNA断
片の各々の少なくとも一つの末端に、共通の既知オリゴ
ヌクレオチド配列を付加する工程、前記の共通の既知オ
リゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含
む第1共通プライマー、前記の複数のDNA断片のすべ
てまたはいくつかに共通に存在する既知のヌクレオチド
配列あるいは末端に導入したオリゴヌクレオチド配列に
相補的なヌクレオチド配列を含む第2共通プライマー、
および配列が既知の遺伝子またはその一部を含むDNA
断片に特異的にハイブリダイズする特異プライマーを用
い、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド配列が末端に
付加されたDNA断片を鋳型として増幅反応を行って、
増幅産物DNAを得る工程、および前記の増幅産物DN
Aから、配列が未知の遺伝子を含む増幅産物DNAを分
離する工程を含み、ここで前記の第1共通プライマーお
よび第2共通プライマーのセットによる増幅で得られる
べき増幅産物DNAを短断片化するように、前記の特異
プライマーが設計されており、かつ前記の第1共通プラ
イマーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で
得られる増幅産物DNAと、前記の第1共通プライマー
および特異プライマーのセットによる増幅で得られる増
幅産物DNAとを区別できるような様式で、これらの増
幅産物DNAを標識することによって、前記の配列が既
知の遺伝子またはその一部を含む増幅産物DNAと、配
列が未知の遺伝子を含む増幅産物DNAとの分離を容易
にする前記の方法を提供する。
NA断片を含む試料から配列が未知の遺伝子を含むDN
A断片を単離する方法であって、以下の工程:DNA断
片の各々の少なくとも一つの末端に、共通の既知オリゴ
ヌクレオチド配列を付加する工程、前記の共通の既知オ
リゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含
む第1共通プライマー、前記の複数のDNA断片のすべ
てまたはいくつかに共通に存在する既知のヌクレオチド
配列あるいは末端に導入したオリゴヌクレオチド配列に
相補的なヌクレオチド配列を含む第2共通プライマー、
および配列が既知の遺伝子またはその一部を含むDNA
断片に特異的にハイブリダイズする特異プライマーを用
い、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド配列が末端に
付加されたDNA断片を鋳型として増幅反応を行って、
増幅産物DNAを得る工程、および前記の増幅産物DN
Aから、配列が未知の遺伝子を含む増幅産物DNAを分
離する工程を含み、ここで前記の第1共通プライマーお
よび第2共通プライマーのセットによる増幅で得られる
べき増幅産物DNAを短断片化するように、前記の特異
プライマーが設計されており、かつ前記の第1共通プラ
イマーおよび第2共通プライマーのセットによる増幅で
得られる増幅産物DNAと、前記の第1共通プライマー
および特異プライマーのセットによる増幅で得られる増
幅産物DNAとを区別できるような様式で、これらの増
幅産物DNAを標識することによって、前記の配列が既
知の遺伝子またはその一部を含む増幅産物DNAと、配
列が未知の遺伝子を含む増幅産物DNAとの分離を容易
にする前記の方法を提供する。
【0018】本発明の分析方法およびDNA断片の単離
方法を実施するための装置を図10に示す。この装置
は、ゲルをつめたキャピラリーアレー分析部218、分
離されたDNA断片をシースフロー中に抜き出してレー
ザー照射210し、蛍光発光を得るシースフローセル部
219、得られる点線状蛍光像を検出する二次元検出器
209、およびデータ処理システム211からなる。タ
イタープレート217に保持された試料はキャピラリー
アレー中に電界により導入される。電気泳動分離された
DNA断片はシースフローセル中に溶出された後、移送
管208から排出される。点線状の発光点から出た蛍光
250は像分割プリズム221および色分離フィルター
222をとおり検出器209上に二本の色分解された線
状蛍光画像として結像し検出される。この二本の蛍光像
はそれぞれ異なる蛍光体からの発光に対応するものであ
るが、発光波長がこれら蛍光体で重なる領域がある場合
には、重なり部分の蛍光強度を差し引き処理して、各蛍
光体からの信号強度を得る。DNA断片を配列未知のc
DNAからの断片と、配列既知のcDNA断片からのも
のとで異なる蛍光体で標識し、各蛍光体からの信号強度
の比を比較計測することで未知遺伝子に関する発現情報
だけを抜き出すことなどができる。この種の演算処理
は、データ処理装置211を用いて実行することがで
き、さらに、当該演算処理の結果を表示器212に表示
させることができる。表示器212によってDNA情報
がモニターされている様子は図8に示されている。ま
た、この演算処理の結果に基づいて標本採取台215を
移動させて標本容器216を交換し、二つのDNA断片
(例えば、配列未知のcDNAからのものと配列既知の
cDNA断片からのもの)を分別して採取することがで
きる。分取の必要がなければ、試料採取部Cを除いても
よい。
方法を実施するための装置を図10に示す。この装置
は、ゲルをつめたキャピラリーアレー分析部218、分
離されたDNA断片をシースフロー中に抜き出してレー
ザー照射210し、蛍光発光を得るシースフローセル部
219、得られる点線状蛍光像を検出する二次元検出器
209、およびデータ処理システム211からなる。タ
イタープレート217に保持された試料はキャピラリー
アレー中に電界により導入される。電気泳動分離された
DNA断片はシースフローセル中に溶出された後、移送
管208から排出される。点線状の発光点から出た蛍光
250は像分割プリズム221および色分離フィルター
222をとおり検出器209上に二本の色分解された線
状蛍光画像として結像し検出される。この二本の蛍光像
はそれぞれ異なる蛍光体からの発光に対応するものであ
るが、発光波長がこれら蛍光体で重なる領域がある場合
には、重なり部分の蛍光強度を差し引き処理して、各蛍
光体からの信号強度を得る。DNA断片を配列未知のc
DNAからの断片と、配列既知のcDNA断片からのも
のとで異なる蛍光体で標識し、各蛍光体からの信号強度
の比を比較計測することで未知遺伝子に関する発現情報
だけを抜き出すことなどができる。この種の演算処理
は、データ処理装置211を用いて実行することがで
き、さらに、当該演算処理の結果を表示器212に表示
させることができる。表示器212によってDNA情報
がモニターされている様子は図8に示されている。ま
た、この演算処理の結果に基づいて標本採取台215を
移動させて標本容器216を交換し、二つのDNA断片
(例えば、配列未知のcDNAからのものと配列既知の
cDNA断片からのもの)を分別して採取することがで
きる。分取の必要がなければ、試料採取部Cを除いても
よい。
【0019】また、本発明は、1セットの共通プライマ
ー、および該共通プライマーセットによる増幅で得られ
るべき増幅産物DNAを短断片化するように設計された
特異プライマーを含むことを特徴とする試薬を提供す
る。さらに、本発明は、1セットの共通プライマー、お
よび該共通プライマーセットによる増幅で得られるべき
増幅産物DNAを短断片化するように設計された特異プ
ライマーを含むことを特徴とする試薬キットを提供す
る。この試薬キットにおいて、試薬を構成する要素は、
各々あるいは組み合わせてあるいはひとまとめにして、
バイアル, チューブなどのような容器に包含されていて
もよく、さらに、それらの容器はひとまとめにして納め
るための区画化された担持手段に納められていてもよ
い。上記のような試薬および試薬キットは、上記のよう
な、複数のDNA断片を含む試料の分析方法、複数のD
NA断片を含む試料から未知の遺伝子を含むDNA断片
を単離する方法などに利用することができる。
ー、および該共通プライマーセットによる増幅で得られ
るべき増幅産物DNAを短断片化するように設計された
特異プライマーを含むことを特徴とする試薬を提供す
る。さらに、本発明は、1セットの共通プライマー、お
よび該共通プライマーセットによる増幅で得られるべき
増幅産物DNAを短断片化するように設計された特異プ
ライマーを含むことを特徴とする試薬キットを提供す
る。この試薬キットにおいて、試薬を構成する要素は、
各々あるいは組み合わせてあるいはひとまとめにして、
バイアル, チューブなどのような容器に包含されていて
もよく、さらに、それらの容器はひとまとめにして納め
るための区画化された担持手段に納められていてもよ
い。上記のような試薬および試薬キットは、上記のよう
な、複数のDNA断片を含む試料の分析方法、複数のD
NA断片を含む試料から未知の遺伝子を含むDNA断片
を単離する方法などに利用することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を用いて具
体的に説明する。 〔実施例1〕図1は本発明による発現遺伝子モニターの概
念をフローチャートで示したものである。試料mRNA1(m
RNA混合物)をポリT配列を持つオリゴマー10を表面に固
定化したタイタープレート11などの固相上に捕獲する。
その後、オリゴマー10をプライマー、mRNA1をテンプレ
ートとした相補鎖合成反応を行い2本鎖cDNA2を得る。も
ちろん2本鎖cDNAを得るための操作は液相で行い、その
後必要に応じて得られた2本鎖cDNAを固相にトラップし
てもよい。2本鎖cDNA2を制限酵素により切断し、切断部
にライゲーション反応により既知配列のオリゴマー12を
結合する。ポリT配列を持つオリゴマー10を用いて2本鎖
cDNA2を合成したため、2本鎖cDNA2はポリT配列に相補な
ポリA配列9を有している。ポリT配列とこのオリゴマー1
2で挟まれたcDNA断片4以外のcDNA断片5を洗浄除去す
る。これにより各cDNA2(mRNA1)を代表するcDNA断片群
4を得る。
体的に説明する。 〔実施例1〕図1は本発明による発現遺伝子モニターの概
念をフローチャートで示したものである。試料mRNA1(m
RNA混合物)をポリT配列を持つオリゴマー10を表面に固
定化したタイタープレート11などの固相上に捕獲する。
その後、オリゴマー10をプライマー、mRNA1をテンプレ
ートとした相補鎖合成反応を行い2本鎖cDNA2を得る。も
ちろん2本鎖cDNAを得るための操作は液相で行い、その
後必要に応じて得られた2本鎖cDNAを固相にトラップし
てもよい。2本鎖cDNA2を制限酵素により切断し、切断部
にライゲーション反応により既知配列のオリゴマー12を
結合する。ポリT配列を持つオリゴマー10を用いて2本鎖
cDNA2を合成したため、2本鎖cDNA2はポリT配列に相補な
ポリA配列9を有している。ポリT配列とこのオリゴマー1
2で挟まれたcDNA断片4以外のcDNA断片5を洗浄除去す
る。これにより各cDNA2(mRNA1)を代表するcDNA断片群
4を得る。
【0021】発現遺伝子モニターは得られたcDNA断片群
4の種類と量を調べる事により試料mRNA1に関する情報を
得るのが目的である。しかし、これらポリA配列と既知
配列オリゴマー12で挟まれたcDNA断片群4は検出感度に
満たないことがほとんどであるのでPCR反応(Polymerase
Chain Reaction) によりコピー数を増やした後に分析
される。分析にはゲル電気泳動が用いられるが、mRNAの
種類は非常に多く(数千から数万種が分析対象)、一度
に全体の電気泳動エレクトロフェログラムを測定する
と、エレクトロフェログラム中に多くのDNA断片に由来
するピークがあらわれ、分離できずにエレクトロフェロ
グラムはスメアになってしまう。そこでPCR増幅に用い
るプライマーを工夫しDNA断片群をグループ分けして一
つのグループ内にあまり多くの断片が含まれないように
する。すなわち、PCR反応に用いるプライマーの3'末端
側に2塩基からなる選択配列をつけ、選択配列とハイブ
リダイズしないDNA断片は増幅されないようにする。既
知配列オリゴマー12とハイブリダイズするプライマー13
は既知配列オリゴマー12と相補な配列と2塩基からなる
選択配列14から構成されている。プライマー13の選択配
列14は2塩基からなる全ての配列であるので、プライマ
ー13は4x4=16通りのプライマーから構成されることにな
る。ポリA配列9とハイブリダイズするプライマー15はポ
リA配列と相補なポリT配列と2塩基からなる選択配列16
から構成されている。プライマーセット15の選択配列16
の1塩基目はT以外の塩基を用いるので選択配列16は3x4=
12通りとなり、プライマーセット15は12通りのプライマ
ーから構成されることになる。
4の種類と量を調べる事により試料mRNA1に関する情報を
得るのが目的である。しかし、これらポリA配列と既知
配列オリゴマー12で挟まれたcDNA断片群4は検出感度に
満たないことがほとんどであるのでPCR反応(Polymerase
Chain Reaction) によりコピー数を増やした後に分析
される。分析にはゲル電気泳動が用いられるが、mRNAの
種類は非常に多く(数千から数万種が分析対象)、一度
に全体の電気泳動エレクトロフェログラムを測定する
と、エレクトロフェログラム中に多くのDNA断片に由来
するピークがあらわれ、分離できずにエレクトロフェロ
グラムはスメアになってしまう。そこでPCR増幅に用い
るプライマーを工夫しDNA断片群をグループ分けして一
つのグループ内にあまり多くの断片が含まれないように
する。すなわち、PCR反応に用いるプライマーの3'末端
側に2塩基からなる選択配列をつけ、選択配列とハイブ
リダイズしないDNA断片は増幅されないようにする。既
知配列オリゴマー12とハイブリダイズするプライマー13
は既知配列オリゴマー12と相補な配列と2塩基からなる
選択配列14から構成されている。プライマー13の選択配
列14は2塩基からなる全ての配列であるので、プライマ
ー13は4x4=16通りのプライマーから構成されることにな
る。ポリA配列9とハイブリダイズするプライマー15はポ
リA配列と相補なポリT配列と2塩基からなる選択配列16
から構成されている。プライマーセット15の選択配列16
の1塩基目はT以外の塩基を用いるので選択配列16は3x4=
12通りとなり、プライマーセット15は12通りのプライマ
ーから構成されることになる。
【0022】プライマーセット13、15から選ばれた任意
のプライマーは、末端の選択配列部分がハイブリダイゼ
ーションの相手方に完全に相補的でないときには相補鎖
合成は起こらないか、僅かしかおこらない。図2は相補
鎖合成が起こるか否かを模式的に示した図である。プラ
イマー20はDNA断片24の末端に導入されたオリゴマー23
に相補な配列21と、2塩基からなる選択配列22から構成
されている。プライマー20と末端にオリゴマー23を導入
されたDNA断片24が2本鎖を形成した際に、ミスマッチな
くハイブリダイズした状態30では、相補鎖合成反応は進
行する。しかし、プライマー20と末端にオリゴマー23を
導入されたDNA断片24が2本鎖を形成した際に、選択配列
22にミスマッチがある状態31では相補鎖合成反応は進行
しない。プライマーの種類によってはこの選択能を向上
させるために、DNA断片24の末端に導入されたオリゴマ
ー23に相補な配列21にミスマッチを形成する塩基25を故
意に導入して、末端部分のミスマッチにより敏感に相補
鎖伸長の阻害が起こるようにする場合32もある。この特
性を利用してDNA断片のグループ分けを行う。
のプライマーは、末端の選択配列部分がハイブリダイゼ
ーションの相手方に完全に相補的でないときには相補鎖
合成は起こらないか、僅かしかおこらない。図2は相補
鎖合成が起こるか否かを模式的に示した図である。プラ
イマー20はDNA断片24の末端に導入されたオリゴマー23
に相補な配列21と、2塩基からなる選択配列22から構成
されている。プライマー20と末端にオリゴマー23を導入
されたDNA断片24が2本鎖を形成した際に、ミスマッチな
くハイブリダイズした状態30では、相補鎖合成反応は進
行する。しかし、プライマー20と末端にオリゴマー23を
導入されたDNA断片24が2本鎖を形成した際に、選択配列
22にミスマッチがある状態31では相補鎖合成反応は進行
しない。プライマーの種類によってはこの選択能を向上
させるために、DNA断片24の末端に導入されたオリゴマ
ー23に相補な配列21にミスマッチを形成する塩基25を故
意に導入して、末端部分のミスマッチにより敏感に相補
鎖伸長の阻害が起こるようにする場合32もある。この特
性を利用してDNA断片のグループ分けを行う。
【0023】図1においてプライマーセット13、15から
それぞれから1種類ずつのプライマーを選びPCR反応に用
いる。このうちポリA配列にハイブリダイズするプライ
マー15からのプライマーを蛍光体A17で標識しておき、
得られた蛍光標識PCR産物6のゲル電気泳動パターンを測
定し、観測されるDNA断片の断片長とその蛍光強度から
種々mRNAの種類と量を知ることができる。この方法で原
理的にはすべてのmRNAに由来するDNA断片を計測する事
ができる。
それぞれから1種類ずつのプライマーを選びPCR反応に用
いる。このうちポリA配列にハイブリダイズするプライ
マー15からのプライマーを蛍光体A17で標識しておき、
得られた蛍光標識PCR産物6のゲル電気泳動パターンを測
定し、観測されるDNA断片の断片長とその蛍光強度から
種々mRNAの種類と量を知ることができる。この方法で原
理的にはすべてのmRNAに由来するDNA断片を計測する事
ができる。
【0024】しかし、観測される断片の長さは制限酵素
の切断部の位置で決定されてしまう。本発明の特徴は図
1のフローに示したようにDNA断片群4に共通のプライマ
ーセット13、15に加えて、各DNA断片に特異的なプライ
マー19を加えてPCR増幅する事にある。図3に示すように
PCR増幅においては長いDNA断片よりも短いDNA断片が優
先的に増幅される。図3において縦軸は相対蛍光強度4
0、横軸は塩基長41を示している。レーン(a)42は394塩
基長のPCR産物が生成するプライマーの組み合わせでPCR
反応を行い、電気泳動分離したレーン、レーン(b)43は2
01塩基長のPCR産物が生成するプライマーの組み合わせ
でPCR反応を行い、電気泳動分離したレーンである。レ
ーン(c)44は201塩基長と394塩基長の産物が生成するよ
うにプライマーを組み合わせてPCR反応を行い、電気泳
動分離したレーンである。レーン(c)では短いPCR産物が
優先的に生成している。このためDNA断片の末端にハイ
ブリダイズする2つのプライマーとDNA断片の内部にハイ
ブリダイズするプライマーが共存する条件下でPCR増幅
すると、内部にハイブリダイズするプライマーが機能し
て、短いDNA断片が優先的に生成する。
の切断部の位置で決定されてしまう。本発明の特徴は図
1のフローに示したようにDNA断片群4に共通のプライマ
ーセット13、15に加えて、各DNA断片に特異的なプライ
マー19を加えてPCR増幅する事にある。図3に示すように
PCR増幅においては長いDNA断片よりも短いDNA断片が優
先的に増幅される。図3において縦軸は相対蛍光強度4
0、横軸は塩基長41を示している。レーン(a)42は394塩
基長のPCR産物が生成するプライマーの組み合わせでPCR
反応を行い、電気泳動分離したレーン、レーン(b)43は2
01塩基長のPCR産物が生成するプライマーの組み合わせ
でPCR反応を行い、電気泳動分離したレーンである。レ
ーン(c)44は201塩基長と394塩基長の産物が生成するよ
うにプライマーを組み合わせてPCR反応を行い、電気泳
動分離したレーンである。レーン(c)では短いPCR産物が
優先的に生成している。このためDNA断片の末端にハイ
ブリダイズする2つのプライマーとDNA断片の内部にハイ
ブリダイズするプライマーが共存する条件下でPCR増幅
すると、内部にハイブリダイズするプライマーが機能し
て、短いDNA断片が優先的に生成する。
【0025】図1においてDNA断片4の末端にハイブリダ
イズする2つのプライマー(プライマーセット13と15か
ら選ばれたプライマー)と特定のDNA断片に特異なプラ
イマー19が共存する条件下でPCR増幅する。その結果、
短い断片(特異プライマー19とプライマーセット13から
選ばれたプライマーで挟まれた領域の断片7)が優先的
に生成する。特異なプライマー19を前述の蛍光体A17と
は異なる蛍光体B18で標識し、発光波長を分離して計測
すると、既知配列を持つ遺伝子に由来するDNA断片と未
知配列を持つ遺伝子に由来するDNA断片とを区別しなが
ら計測できる。
イズする2つのプライマー(プライマーセット13と15か
ら選ばれたプライマー)と特定のDNA断片に特異なプラ
イマー19が共存する条件下でPCR増幅する。その結果、
短い断片(特異プライマー19とプライマーセット13から
選ばれたプライマーで挟まれた領域の断片7)が優先的
に生成する。特異なプライマー19を前述の蛍光体A17と
は異なる蛍光体B18で標識し、発光波長を分離して計測
すると、既知配列を持つ遺伝子に由来するDNA断片と未
知配列を持つ遺伝子に由来するDNA断片とを区別しなが
ら計測できる。
【0026】図4に得られる結果の一部を示す。50が電
気泳動の結果得られたエレクトロフェログラムの一部で
ある。51がPCR反応に用いたプライマーの組み合わせの
選択塩基配列、52は塩基長を示している。計測には多色
検出可能な実時間蛍光検出型のゲル電気泳動分析装置を
用いるが、これには平板ゲルを用いるものとキャピラリ
ー管のなかにゲルをつめて用いるキャピラリーゲル電気
泳動、特に多数のキャピラリーを同時に用いるキャピラ
リーアレーゲル電気泳動が用いられる。ここで得られる
電気泳動パターンの中には強度の強いピークや弱いピー
クがある。この強度が遺伝子発現の大きさに関連してい
るわけであるが、区別して測定したいピークがたまたま
重なったり、大きなピークにかくれて見えないこともあ
る。この場合大きなピークが既知遺伝子に由来するもの
であれば発光効率の低い蛍光体で標識したり、特異プラ
イマーの配列をずらして他のピークと重ならない様にす
ることができる。一方、これが未知遺伝子に由来するDN
A断片による場合には此の断片は共通配列を持つプライ
マーによってPCR増幅された断片であるため、長さを変
えたり蛍光標識をこの断片だけ変えることはできない。
しかし、強度が強い場合にはDNA断片の分取も容易であ
り、此の断片を分取して配列を決めれば既知遺伝子由来
のDNA断片と場合と同様の扱いができる。なお共通プラ
イマーとして2塩基からなる選択配列を用いたが1塩基あ
るいは3塩基選択のプライマーを用いても良い。
気泳動の結果得られたエレクトロフェログラムの一部で
ある。51がPCR反応に用いたプライマーの組み合わせの
選択塩基配列、52は塩基長を示している。計測には多色
検出可能な実時間蛍光検出型のゲル電気泳動分析装置を
用いるが、これには平板ゲルを用いるものとキャピラリ
ー管のなかにゲルをつめて用いるキャピラリーゲル電気
泳動、特に多数のキャピラリーを同時に用いるキャピラ
リーアレーゲル電気泳動が用いられる。ここで得られる
電気泳動パターンの中には強度の強いピークや弱いピー
クがある。この強度が遺伝子発現の大きさに関連してい
るわけであるが、区別して測定したいピークがたまたま
重なったり、大きなピークにかくれて見えないこともあ
る。この場合大きなピークが既知遺伝子に由来するもの
であれば発光効率の低い蛍光体で標識したり、特異プラ
イマーの配列をずらして他のピークと重ならない様にす
ることができる。一方、これが未知遺伝子に由来するDN
A断片による場合には此の断片は共通配列を持つプライ
マーによってPCR増幅された断片であるため、長さを変
えたり蛍光標識をこの断片だけ変えることはできない。
しかし、強度が強い場合にはDNA断片の分取も容易であ
り、此の断片を分取して配列を決めれば既知遺伝子由来
のDNA断片と場合と同様の扱いができる。なお共通プラ
イマーとして2塩基からなる選択配列を用いたが1塩基あ
るいは3塩基選択のプライマーを用いても良い。
【0027】〔実施例2〕実施例2は未知遺伝子に由来す
るDNA断片と既知遺伝子に由来するDNA断片を異なる蛍光
体で標識し、未知遺伝子に関連するDNA断片のうち、強
度がある定められたしきい値より大きな物を分取する例
である。実施例1ではDNA断片をグループ分けするため
に、選択配列を持つPCRプライマーを用いて相補鎖合成
反応をコントロールしたが、このグループ分けは他の方
法で行っても良い。第2の実施例ではmolecular index
法と呼ばれる方法でDNA断片調整した例で説明する。図5
に本発明による発現遺伝子モニターの概念をフローチャ
ートで示す。実施例1と同様にして試料mRNA61(mRNA混
合物)から二本鎖cDNA62を作製する。2本鎖cDNA62をcla
ss IISの制限酵素を用いて切断する。class IISの制限
酵素で切断された2本鎖DNA断片63は4塩基からなる一本
鎖DNA末端64を生じる。この1本鎖DNA末端64を糊代とし
て既知配列のオリゴマー70をライゲーション反応で結合
する。既知配列オリゴマー70は共通配列部分71と4塩基
からなる任意配列部分72から構成されている。このとき
糊代となる1本鎖DNA末端64の配列は任意であるから、既
知配列オリゴマー70の任意配列部分72は糊代にぴったり
と合致するためには、任意の4塩基からなる、44=256 通
りの任意配列部分72を準備する必要がある。4塩基のう
ちの3塩基が合致し、残りの1塩基は混合塩基からなる64
通りの任意配列部分72を用いてもライゲーション反応は
進行するため、この実施例では64通りのオリゴマー70を
用意した。
るDNA断片と既知遺伝子に由来するDNA断片を異なる蛍光
体で標識し、未知遺伝子に関連するDNA断片のうち、強
度がある定められたしきい値より大きな物を分取する例
である。実施例1ではDNA断片をグループ分けするため
に、選択配列を持つPCRプライマーを用いて相補鎖合成
反応をコントロールしたが、このグループ分けは他の方
法で行っても良い。第2の実施例ではmolecular index
法と呼ばれる方法でDNA断片調整した例で説明する。図5
に本発明による発現遺伝子モニターの概念をフローチャ
ートで示す。実施例1と同様にして試料mRNA61(mRNA混
合物)から二本鎖cDNA62を作製する。2本鎖cDNA62をcla
ss IISの制限酵素を用いて切断する。class IISの制限
酵素で切断された2本鎖DNA断片63は4塩基からなる一本
鎖DNA末端64を生じる。この1本鎖DNA末端64を糊代とし
て既知配列のオリゴマー70をライゲーション反応で結合
する。既知配列オリゴマー70は共通配列部分71と4塩基
からなる任意配列部分72から構成されている。このとき
糊代となる1本鎖DNA末端64の配列は任意であるから、既
知配列オリゴマー70の任意配列部分72は糊代にぴったり
と合致するためには、任意の4塩基からなる、44=256 通
りの任意配列部分72を準備する必要がある。4塩基のう
ちの3塩基が合致し、残りの1塩基は混合塩基からなる64
通りの任意配列部分72を用いてもライゲーション反応は
進行するため、この実施例では64通りのオリゴマー70を
用意した。
【0028】反応液を64分割し、それぞれの反応チュー
ブにそれぞれ64通りのオリゴマーを加えてライゲーショ
ン反応を行う。(そのうちの1区分のみを図示してい
る)ライゲーション反応は結合されるDNA同士がミスマ
ッチなく2本鎖を形成していなければ進行しないので、
ライゲーション反応が進行するか否かでDNA断片をグル
ープ分けすることができる。こうして得られたDNA断片
の中には片側の末端に既知配列オリゴマー70が導入され
たDNA断片65と、両末端に既知配列オリゴマー70が導入
されたDNA断片66と、片側に既知配列オリゴマー70が導
入され、もう一方にはポリA配列を持つDNA断片67とがあ
る。これらの断片65、66、67を鋳型として、共通配列部
分71に相補な配列を持つプライマー73と、ポリT配列の
先端に1ないし2塩基の選択配列75を持つプライマー74を
用いてPCR増幅する。プライマー74には蛍光体A76を標識
しておき、PCR産物80が蛍光標識されるようにしてお
く。得られたPCR産物80のゲル電気泳動分離パターンを
測定し、観測されるDNA断片の断片長とその蛍光強度か
ら種々mRNAの種類と量を調べる。この方法で原理的には
すべてのmRNAに由来するDNA断片を計測する事ができ
る。このとき、実施例1と同様に既知のDNA断片中の配列
に相補な配列を持ち蛍光体B78で標識されたプライマー7
7をPCRプライマーに加えておく。得られたPCR産物の電
気泳動分離パターンを測定すると、実施例1の場合と同
様に未知配列のDNA断片と既知配列のDNA断片を蛍光で識
別検出できる。プライマー77は2本鎖DNA断片のうちプラ
イマー74がハイブリダイズするDNA鎖と同じDNA鎖にハイ
ブリダイズし、かつPCRによりプライマー74で増幅され
る断片より短い断片を生じるように設計しておく。PCR
増幅では短いDNA断片の方が長いDNA断片よりも優先的に
増幅されるので、PCR増幅断片80よりも短いDNA断片81が
優先的に増幅される。DNA断片81はPCR増幅断片80とは異
なる蛍光体78で標識されているので、既知遺伝子由来の
断片81とPCR増幅断片80を区別して検出することができ
る。検出結果から、未知遺伝子に関連するDNA断片のう
ち、強度がある定められたしきい値より大きな物を分取
し、さらなる分析を行うことができる。
ブにそれぞれ64通りのオリゴマーを加えてライゲーショ
ン反応を行う。(そのうちの1区分のみを図示してい
る)ライゲーション反応は結合されるDNA同士がミスマ
ッチなく2本鎖を形成していなければ進行しないので、
ライゲーション反応が進行するか否かでDNA断片をグル
ープ分けすることができる。こうして得られたDNA断片
の中には片側の末端に既知配列オリゴマー70が導入され
たDNA断片65と、両末端に既知配列オリゴマー70が導入
されたDNA断片66と、片側に既知配列オリゴマー70が導
入され、もう一方にはポリA配列を持つDNA断片67とがあ
る。これらの断片65、66、67を鋳型として、共通配列部
分71に相補な配列を持つプライマー73と、ポリT配列の
先端に1ないし2塩基の選択配列75を持つプライマー74を
用いてPCR増幅する。プライマー74には蛍光体A76を標識
しておき、PCR産物80が蛍光標識されるようにしてお
く。得られたPCR産物80のゲル電気泳動分離パターンを
測定し、観測されるDNA断片の断片長とその蛍光強度か
ら種々mRNAの種類と量を調べる。この方法で原理的には
すべてのmRNAに由来するDNA断片を計測する事ができ
る。このとき、実施例1と同様に既知のDNA断片中の配列
に相補な配列を持ち蛍光体B78で標識されたプライマー7
7をPCRプライマーに加えておく。得られたPCR産物の電
気泳動分離パターンを測定すると、実施例1の場合と同
様に未知配列のDNA断片と既知配列のDNA断片を蛍光で識
別検出できる。プライマー77は2本鎖DNA断片のうちプラ
イマー74がハイブリダイズするDNA鎖と同じDNA鎖にハイ
ブリダイズし、かつPCRによりプライマー74で増幅され
る断片より短い断片を生じるように設計しておく。PCR
増幅では短いDNA断片の方が長いDNA断片よりも優先的に
増幅されるので、PCR増幅断片80よりも短いDNA断片81が
優先的に増幅される。DNA断片81はPCR増幅断片80とは異
なる蛍光体78で標識されているので、既知遺伝子由来の
断片81とPCR増幅断片80を区別して検出することができ
る。検出結果から、未知遺伝子に関連するDNA断片のう
ち、強度がある定められたしきい値より大きな物を分取
し、さらなる分析を行うことができる。
【0029】〔実施例3〕実施例3は既知配列からなるDN
A断片と未知配列からなるDNA断片を分離した後に電気泳
動パターンを得たり、DNAチップを用いて、DNA断片の種
類を計測する例である。図6に示すように、実施例1およ
び2と同様にcDNA断片を生成する。すなわち、試料mRNA9
1(mRNA混合物)から二本鎖cDNA92を作製する。得られ
た2本鎖cDNA92を制限酵素で切断して、2本鎖DNA断片93
を得る。DNA断片93の切断部にライゲーション反応によ
り既知配列オリゴマー100を導入し、末端に既知配列オ
リゴマー100の導入されたDNA断片94と、片側の末端に既
知配列オリゴマー100もう一方の末端にポリA鎖を持つDN
A断片95を得る。
A断片と未知配列からなるDNA断片を分離した後に電気泳
動パターンを得たり、DNAチップを用いて、DNA断片の種
類を計測する例である。図6に示すように、実施例1およ
び2と同様にcDNA断片を生成する。すなわち、試料mRNA9
1(mRNA混合物)から二本鎖cDNA92を作製する。得られ
た2本鎖cDNA92を制限酵素で切断して、2本鎖DNA断片93
を得る。DNA断片93の切断部にライゲーション反応によ
り既知配列オリゴマー100を導入し、末端に既知配列オ
リゴマー100の導入されたDNA断片94と、片側の末端に既
知配列オリゴマー100もう一方の末端にポリA鎖を持つDN
A断片95を得る。
【0030】次に、cDNA断片94、95を二つに分け、ひと
つは蛍光体101で標識した選択配列102付きオリゴdTプラ
イマー103とビオチン104で標識をした既知遺伝子特異プ
ライマー105を用いてPCR増幅し、cDNA断片94、95のうち
既知配列をもつDNA断片を増幅する。PCR増幅後、分子量
分画カラムなどによりプライマーを除去し、アビジン付
きのビーズ106にPCR合成産物96を捕獲する。熱変性など
によりPCR合成産物96を一本鎖とした後、ビーズから遊
離する蛍光標識鎖97を種々DNAプローブを固体表面に保
持したDNAチップあるいはゲル電気泳動で分析する。こ
れにより、既知配列を持つDNA断片の存在比を知ること
ができる。
つは蛍光体101で標識した選択配列102付きオリゴdTプラ
イマー103とビオチン104で標識をした既知遺伝子特異プ
ライマー105を用いてPCR増幅し、cDNA断片94、95のうち
既知配列をもつDNA断片を増幅する。PCR増幅後、分子量
分画カラムなどによりプライマーを除去し、アビジン付
きのビーズ106にPCR合成産物96を捕獲する。熱変性など
によりPCR合成産物96を一本鎖とした後、ビーズから遊
離する蛍光標識鎖97を種々DNAプローブを固体表面に保
持したDNAチップあるいはゲル電気泳動で分析する。こ
れにより、既知配列を持つDNA断片の存在比を知ること
ができる。
【0031】もう半分のcDNA断片94、95をPCR増幅する
際、プライマーとして蛍光体101で標識した選択配列102
付きオリゴdTプライマー103とビオチン104標識をした既
知遺伝子特異プライマー105および既知配列オリゴマー1
00と相補な配列107と選択配列108からなるプライマー10
9を用いる。PCR増幅後、分子量分画カラムなどによりプ
ライマーを除去し、プライマー103および105で増幅され
たPCR産物96をアビジン付きのビーズ106に捕獲する。残
りの溶液中には未知遺伝子由来のDNA断片つまり、プラ
イマー103および109で増幅されたPCR産物111が含まれる
(以下未知DNA断片群112と呼ぶ)。ビーズを除去し、ビ
ーズに結合していない未知DNA断片群112を得る。溶液中
に存在するDNA断片はほとんどが未知DNA断片群112に由
来するものである。この未知DNA断片群112のゲル電気泳
動分離パターンを測定する。これにより、未知DNA断片
群112の存在比を知ることができる。これら未知配列を
持つDNAは分取してその配列を決定し、以後は既知配列
のDNA断片として用いる事ができる。これらDNAの分取に
は先に出願したDNA分取装置(特開平7-181164号) が便
利であるが、平板ゲルを用いDNA断片を切り出してとっ
てきても良い。
際、プライマーとして蛍光体101で標識した選択配列102
付きオリゴdTプライマー103とビオチン104標識をした既
知遺伝子特異プライマー105および既知配列オリゴマー1
00と相補な配列107と選択配列108からなるプライマー10
9を用いる。PCR増幅後、分子量分画カラムなどによりプ
ライマーを除去し、プライマー103および105で増幅され
たPCR産物96をアビジン付きのビーズ106に捕獲する。残
りの溶液中には未知遺伝子由来のDNA断片つまり、プラ
イマー103および109で増幅されたPCR産物111が含まれる
(以下未知DNA断片群112と呼ぶ)。ビーズを除去し、ビ
ーズに結合していない未知DNA断片群112を得る。溶液中
に存在するDNA断片はほとんどが未知DNA断片群112に由
来するものである。この未知DNA断片群112のゲル電気泳
動分離パターンを測定する。これにより、未知DNA断片
群112の存在比を知ることができる。これら未知配列を
持つDNAは分取してその配列を決定し、以後は既知配列
のDNA断片として用いる事ができる。これらDNAの分取に
は先に出願したDNA分取装置(特開平7-181164号) が便
利であるが、平板ゲルを用いDNA断片を切り出してとっ
てきても良い。
【0032】〔実施例4〕実施例4は未知DNA断片を自動
的に分取してくる例である。本発明の有効な応用例は配
列未知の有用な遺伝子断片を自動的に分取することであ
る。遺伝子の発現情報はmRNAの存在比を調べる事で得ら
れる事については既に述べた。活動中の遺伝子に対応す
るmRNAの量は活動しない時に比べて増加する。従って、
どのようなmRNAがどれだけ増えているかを実施例3に記
載したような方法によって調べると疾病などに関連する
遺伝子の情報を得ることができる。実施例1では活動中
の遺伝子のうち既知遺伝子由来のDNA断片だけを発現遺
伝子全体から区別して標識したり、未知遺伝子に由来し
たDNA断片だけを他と区別して標識したりできる事を示
した。これをキャピラリーゲル電気泳動と組み合わせて
自動的に未知遺伝子断片だけを分取する事ができる。こ
こで用いる装置は特開平6-174693号および特開平7-1811
64号等に記載された装置である。
的に分取してくる例である。本発明の有効な応用例は配
列未知の有用な遺伝子断片を自動的に分取することであ
る。遺伝子の発現情報はmRNAの存在比を調べる事で得ら
れる事については既に述べた。活動中の遺伝子に対応す
るmRNAの量は活動しない時に比べて増加する。従って、
どのようなmRNAがどれだけ増えているかを実施例3に記
載したような方法によって調べると疾病などに関連する
遺伝子の情報を得ることができる。実施例1では活動中
の遺伝子のうち既知遺伝子由来のDNA断片だけを発現遺
伝子全体から区別して標識したり、未知遺伝子に由来し
たDNA断片だけを他と区別して標識したりできる事を示
した。これをキャピラリーゲル電気泳動と組み合わせて
自動的に未知遺伝子断片だけを分取する事ができる。こ
こで用いる装置は特開平6-174693号および特開平7-1811
64号等に記載された装置である。
【0033】以下発明を図7を用いて説明する。実施例3
と同様に試料mRNA121から二本鎖cDNA122を調製し、特定
の末端を含むDNA断片群123を作製する。これら小断片に
は末端に共通のオリゴマー130がついている。この部位
にハイブリダイズするプライマー131、132を用いPCR増
幅するが二つのプライマー131、132のうち片方のプライ
マー132に蛍光標識133を付けておくと得られたPCR産物1
25は蛍光標識されており、蛍光検出装置により容易に検
出できる。この生成物中には配列遺伝子に由来する断片
と未知遺伝子に由来する断片とがある。ここで得たPCR
産物125の一部を取り出し、再度PCR増幅をするが、この
とき、既知遺伝子由来のDNA断片に特異的にハイブリダ
イズし、PCRによりもとのDNA断片よりも短い断片(プラ
イマーの設計によっては同じ長さにもできる)で標識さ
れてない断片を生ずる特異プライマー134を加えてお
く。このPCRにより既知遺伝子由来のDNA断片からは標識
されないもとより短いDNA断片126が生成し、未知遺伝子
由来のDNA断片からは元の断片長の蛍光標識された断片1
25が生成する。(もちろん、既知配列断片を増幅する特
異プライマーを異なる蛍光体で蛍光標識しておいてもよ
い。)これを図8に示した実時間蛍光検出型ゲル電気泳
動装置により分離する。この実時間蛍光検出型ゲル電気
泳動装置は電気泳動装置140と電気泳動装置からの信号
を処理するためのコンピュータ141、モニター142から構
成されている。電気泳動装置140はDNA試料149を分離す
るゲル分離部145、電気泳動分離されたDNA断片を励起す
るためのレーザー源146、レーザー源146からのレーザー
ビーム147によって励起されたDNA断片からの蛍光信号を
検出するための検出カメラ148から構成されており、検
出カメラ148を通して得られた信号はコンピュータ141に
送られ、信号処理されモニター142に表示される。
と同様に試料mRNA121から二本鎖cDNA122を調製し、特定
の末端を含むDNA断片群123を作製する。これら小断片に
は末端に共通のオリゴマー130がついている。この部位
にハイブリダイズするプライマー131、132を用いPCR増
幅するが二つのプライマー131、132のうち片方のプライ
マー132に蛍光標識133を付けておくと得られたPCR産物1
25は蛍光標識されており、蛍光検出装置により容易に検
出できる。この生成物中には配列遺伝子に由来する断片
と未知遺伝子に由来する断片とがある。ここで得たPCR
産物125の一部を取り出し、再度PCR増幅をするが、この
とき、既知遺伝子由来のDNA断片に特異的にハイブリダ
イズし、PCRによりもとのDNA断片よりも短い断片(プラ
イマーの設計によっては同じ長さにもできる)で標識さ
れてない断片を生ずる特異プライマー134を加えてお
く。このPCRにより既知遺伝子由来のDNA断片からは標識
されないもとより短いDNA断片126が生成し、未知遺伝子
由来のDNA断片からは元の断片長の蛍光標識された断片1
25が生成する。(もちろん、既知配列断片を増幅する特
異プライマーを異なる蛍光体で蛍光標識しておいてもよ
い。)これを図8に示した実時間蛍光検出型ゲル電気泳
動装置により分離する。この実時間蛍光検出型ゲル電気
泳動装置は電気泳動装置140と電気泳動装置からの信号
を処理するためのコンピュータ141、モニター142から構
成されている。電気泳動装置140はDNA試料149を分離す
るゲル分離部145、電気泳動分離されたDNA断片を励起す
るためのレーザー源146、レーザー源146からのレーザー
ビーム147によって励起されたDNA断片からの蛍光信号を
検出するための検出カメラ148から構成されており、検
出カメラ148を通して得られた信号はコンピュータ141に
送られ、信号処理されモニター142に表示される。
【0034】電気泳動分離されたDNA断片は図8に示して
いるように電気泳動終点近傍ではなく、ゲルから泳動溶
液中に溶出された後にレーザー照射してDNA断片を検出
しても良い。この場合検出されるのは未知遺伝子に由来
したものばかりであり、蛍光信号が定められたしきい値
を超えるものを分取する。これは、標準サンプルと検査
体とを異なる蛍光体で標識して蛍光信号の差をとるより
も簡単である。以上示したように本実施例の目的は未知
遺伝子に由来する断片だけを取り出し配列解析していく
こと、あるいは、新しい機能を持った遺伝子を見つけて
いくことである。
いるように電気泳動終点近傍ではなく、ゲルから泳動溶
液中に溶出された後にレーザー照射してDNA断片を検出
しても良い。この場合検出されるのは未知遺伝子に由来
したものばかりであり、蛍光信号が定められたしきい値
を超えるものを分取する。これは、標準サンプルと検査
体とを異なる蛍光体で標識して蛍光信号の差をとるより
も簡単である。以上示したように本実施例の目的は未知
遺伝子に由来する断片だけを取り出し配列解析していく
こと、あるいは、新しい機能を持った遺伝子を見つけて
いくことである。
【0035】〔実施例5〕実施例5は異なる複数の試料中
に発現している遺伝子の組成の違いを調べる例である。
例えば、異なる組織から取り出したcDNA試料などで、組
織の違いによる遺伝子発現の違いを調べる例である。以
下、図9を用いて説明する。試料調製の時に組織Aから抽
出したmRNA151を二本鎖cDNA152に変換し、二本鎖cDNA15
2を制限酵素で切断してcDNA断片群153を得る。cDNA断片
群153に既知配列オリゴマー160を導入して、末端に既知
配列をもつcDNA断片群154を得る。また別の組織Bから抽
出したmRNA155も同様に二本鎖cDNA156へ変換し、制限酵
素で切断してcDNA断片群157を得る。cDNA断片群157には
先ほどの既知配列オリゴマー160とは配列の異なる既知
配列オリゴマー161を導入し、末端に既知配列を持つcDN
A断片群158を得る。次にcDNA断片群154と158を混合し、
PCR増幅に用いるテンプレートとする。cDNA断片群154を
増幅するプライマーとしてオリゴdT配列と2塩基からな
る選択配列162を持つプライマー163と既知配列オリゴマ
ー160に相補な配列164と2塩基からなる選択配列165を持
つプライマー166を用意する。cDNA断片群158を増幅する
プライマーとしてプライマー163と既知配列オリゴマー1
61に相補な配列167と2塩基からなる選択配列168を持つ
プライマー169を用意する。プライマー163、166、169は
いずれもPCR増幅産物を電気泳動分離する際に泳動パタ
ーンが複雑にならないように、一度に増幅されるDNA断
片の種類を少なくするための選択配列を持っている。ま
た、cDNA断片群154と158から増幅される産物を区別する
ために、プライマー166、169はそれぞれ異なる蛍光体17
1、172で標識されている。さらに既知遺伝子に由来する
DNA断片を増幅するためのプライマー173を用意する。プ
ライマー173は171、172いずれとも異なる蛍光体174で標
識されている。プライマーセット163、166、169から選
ばれた3つのプライマーとプライマー173を混ぜてPCR反
応を行う。得られた増幅産物を電気泳動分離しエレクト
ロフェログラムを測定するのであるが、測定の際には蛍
光波長を識別して計測を行う。種々の選択配列をもつプ
ライマーの組み合わせでPCR増幅してそれぞれの電気泳
動分離パターンを調べることでほとんど全ての遺伝子の
発現情報を得ることができる。PCR増幅産物181、182、1
83はそれぞれ異なる蛍光体で標識されるため、それぞれ
の波長を識別して検出することができる。以上のよう
に、前の実施例と同じように、特異プライマー173をい
れることで未知遺伝子に由来するDNA断片と既知遺伝子
由来のDNA断片、あるいは注目しているDNA断片とそうで
ないDNA断片とを区別して調べることができる。また、
本発明の方法を用いれば、2種類以上の異なる試料を混
合して分析にかけても、それぞれの試料に由来する遺伝
子の情報を区別して得ることができるので、2種類以上
の異なる試料の遺伝子情報の正確な比較もできる。
に発現している遺伝子の組成の違いを調べる例である。
例えば、異なる組織から取り出したcDNA試料などで、組
織の違いによる遺伝子発現の違いを調べる例である。以
下、図9を用いて説明する。試料調製の時に組織Aから抽
出したmRNA151を二本鎖cDNA152に変換し、二本鎖cDNA15
2を制限酵素で切断してcDNA断片群153を得る。cDNA断片
群153に既知配列オリゴマー160を導入して、末端に既知
配列をもつcDNA断片群154を得る。また別の組織Bから抽
出したmRNA155も同様に二本鎖cDNA156へ変換し、制限酵
素で切断してcDNA断片群157を得る。cDNA断片群157には
先ほどの既知配列オリゴマー160とは配列の異なる既知
配列オリゴマー161を導入し、末端に既知配列を持つcDN
A断片群158を得る。次にcDNA断片群154と158を混合し、
PCR増幅に用いるテンプレートとする。cDNA断片群154を
増幅するプライマーとしてオリゴdT配列と2塩基からな
る選択配列162を持つプライマー163と既知配列オリゴマ
ー160に相補な配列164と2塩基からなる選択配列165を持
つプライマー166を用意する。cDNA断片群158を増幅する
プライマーとしてプライマー163と既知配列オリゴマー1
61に相補な配列167と2塩基からなる選択配列168を持つ
プライマー169を用意する。プライマー163、166、169は
いずれもPCR増幅産物を電気泳動分離する際に泳動パタ
ーンが複雑にならないように、一度に増幅されるDNA断
片の種類を少なくするための選択配列を持っている。ま
た、cDNA断片群154と158から増幅される産物を区別する
ために、プライマー166、169はそれぞれ異なる蛍光体17
1、172で標識されている。さらに既知遺伝子に由来する
DNA断片を増幅するためのプライマー173を用意する。プ
ライマー173は171、172いずれとも異なる蛍光体174で標
識されている。プライマーセット163、166、169から選
ばれた3つのプライマーとプライマー173を混ぜてPCR反
応を行う。得られた増幅産物を電気泳動分離しエレクト
ロフェログラムを測定するのであるが、測定の際には蛍
光波長を識別して計測を行う。種々の選択配列をもつプ
ライマーの組み合わせでPCR増幅してそれぞれの電気泳
動分離パターンを調べることでほとんど全ての遺伝子の
発現情報を得ることができる。PCR増幅産物181、182、1
83はそれぞれ異なる蛍光体で標識されるため、それぞれ
の波長を識別して検出することができる。以上のよう
に、前の実施例と同じように、特異プライマー173をい
れることで未知遺伝子に由来するDNA断片と既知遺伝子
由来のDNA断片、あるいは注目しているDNA断片とそうで
ないDNA断片とを区別して調べることができる。また、
本発明の方法を用いれば、2種類以上の異なる試料を混
合して分析にかけても、それぞれの試料に由来する遺伝
子の情報を区別して得ることができるので、2種類以上
の異なる試料の遺伝子情報の正確な比較もできる。
【0036】図10に本実施例を実施するために用いた装
置を示す。装置は試料分析部A、試料検出部B、試料採取
部Cからなる。試料供給台217に保持された試料はゲルを
詰めたキャピラリーアレー泳動管218に電界注入され
る。電気泳動分離された試料はシースフローセル219中
で励起用光源204から発せられた励起光210によってレー
ザー照射され、蛍光250を発光する。蛍光250は像分割プ
リズム221および色分離フィルター222を通り、二次元検
出器209上に2〜4つに色分離された蛍光画像として結像
し検出される。この色分離された蛍光画像はそれぞれ異
なる蛍光体からの発光に対応するものである。シースフ
ローセル219中の試料は、液溜220から緩衝液糟205への
緩衝液の流れによってキャピラリー型試料移送管208か
ら試料採取部Cへ移送される。本実施例では異なる組織
由来の遺伝子からの信号が異なる蛍光体からの信号とし
て得られる。また未知遺伝子からの信号と既知遺伝子か
らの信号も異なる蛍光体からの信号として得られる。こ
のため、各蛍光体の信号強度の比を比較検討すること
で、組織特異的に発現している遺伝子の情報や、未知遺
伝子に関する発現情報だけを抜き出すことができる。こ
の比較検討処理は図10に示すデータ処理装置211を用い
て実行し、その当該演算処理結果をモニター212に表示
させる。この処理結果を採取台制御装置213に転送し、
採取台移動装置214を駆動させ、標本採取台215を移動さ
せて標本容器216を交換し、組織特異的に発現している
遺伝子由来のDNA断片や、未知遺伝子由来のDNA断片を分
取する。
置を示す。装置は試料分析部A、試料検出部B、試料採取
部Cからなる。試料供給台217に保持された試料はゲルを
詰めたキャピラリーアレー泳動管218に電界注入され
る。電気泳動分離された試料はシースフローセル219中
で励起用光源204から発せられた励起光210によってレー
ザー照射され、蛍光250を発光する。蛍光250は像分割プ
リズム221および色分離フィルター222を通り、二次元検
出器209上に2〜4つに色分離された蛍光画像として結像
し検出される。この色分離された蛍光画像はそれぞれ異
なる蛍光体からの発光に対応するものである。シースフ
ローセル219中の試料は、液溜220から緩衝液糟205への
緩衝液の流れによってキャピラリー型試料移送管208か
ら試料採取部Cへ移送される。本実施例では異なる組織
由来の遺伝子からの信号が異なる蛍光体からの信号とし
て得られる。また未知遺伝子からの信号と既知遺伝子か
らの信号も異なる蛍光体からの信号として得られる。こ
のため、各蛍光体の信号強度の比を比較検討すること
で、組織特異的に発現している遺伝子の情報や、未知遺
伝子に関する発現情報だけを抜き出すことができる。こ
の比較検討処理は図10に示すデータ処理装置211を用い
て実行し、その当該演算処理結果をモニター212に表示
させる。この処理結果を採取台制御装置213に転送し、
採取台移動装置214を駆動させ、標本採取台215を移動さ
せて標本容器216を交換し、組織特異的に発現している
遺伝子由来のDNA断片や、未知遺伝子由来のDNA断片を分
取する。
【0037】図11に試料としてヒトの肝臓組織細胞、脳
細胞から抽出したmRNAを分析して得られた結果の一部を
示す。ヒトの肝臓組織細胞、脳細胞から文献Molecular
Cloning記載のグアニジンチオシアネート法によってRNA
を抽出した。得られたRNAにフェノール・クロロホルム
抽出、エタノール沈殿、オリゴdTカラム精製を順次行い
蛋白質画分や塩を除いた後に、mRNAを得た。得られたmR
NAからオリゴdTプライマーを用いて文献Molecular Clon
ing記載のGubler and Hoffman法によりcDNAを調製し、
得られたcDNAを制限酵素MboIで切断した。肝臓組織細胞
由来のcDNA断片には配列ATTAACCCTCACTAAAG(配列番号
2)からなる既知配列オリゴマーT3をライゲーション反
応により導入し、脳細胞由来のcDNA断片には配列AATACG
ACTCACTATAG(配列番号4)からなる既知配列オリゴマ
ーT7をライゲーション反応により導入した。次にこれら
既知配列オリゴマーを導入したcDNA断片を混ぜ合わせて
PCR反応を行った。PCR反応には、どちらの組織由来のcD
NA断片にも共通のプライマーとして配列TTTTTTTTTTTTTT
TTTTMN(MはA, C, Gのいずれか、NはA, C, G, Tのいず
れかの塩基)(配列番号9)のプライマー、肝臓組織細
胞由来のcDNA断片を増幅するプライマーとして配列ATTA
ACCCTCACTAAAGGATCXY(X, YはA, C, G, Tのいずれかの
塩基)(配列番号10)であり蛍光体JOEで標識したプ
ライマー、脳細胞由来のcDNA断片を増幅するプライマー
として配列AATACGACTCACTATAGGATCXY(X, YはA, C, G,
Tのいずれかの塩基)(配列番号11)であり蛍光体FAM
で標識したプライマーを用いた。インシュリンやβアク
チンなどの既知遺伝子を増幅するプライマーとして配列
TAGTTGCAGTAGTTCTCCAG(配列番号12)や配列TCCTTCTG
CATCCTGTCGGCA(配列番号13)でありそれぞれ蛍光体R
OXで標識したプライマーを用いた。電気泳動マーカーと
して蛍光体TAMRAで標識した分子量マーカーをPCR反応産
物に混ぜて、図10に示す装置を用いて分析を行った。図
11において、260は電気泳動の結果得られたエレクトロ
フェログラムの一部である。エレクトロフェログラムの
縦軸は相対蛍光強度、横軸は塩基長264を示している。
エレクトロフェログラムL261、B262はそれぞれ肝臓(Liv
er)、脳(Brain)で発現している遺伝子由来の信号、エレ
クトロフェログラムK263は既知遺伝子(Known)由来の信
号である。これらは同じキャピラリーで泳動分離された
試料であるが、それぞれ異なる蛍光体で標識されている
ため像分割プリズム、色分離フィルタによって分離され
それぞれのエレクトロフェログラムとして表示、記録さ
れる。
細胞から抽出したmRNAを分析して得られた結果の一部を
示す。ヒトの肝臓組織細胞、脳細胞から文献Molecular
Cloning記載のグアニジンチオシアネート法によってRNA
を抽出した。得られたRNAにフェノール・クロロホルム
抽出、エタノール沈殿、オリゴdTカラム精製を順次行い
蛋白質画分や塩を除いた後に、mRNAを得た。得られたmR
NAからオリゴdTプライマーを用いて文献Molecular Clon
ing記載のGubler and Hoffman法によりcDNAを調製し、
得られたcDNAを制限酵素MboIで切断した。肝臓組織細胞
由来のcDNA断片には配列ATTAACCCTCACTAAAG(配列番号
2)からなる既知配列オリゴマーT3をライゲーション反
応により導入し、脳細胞由来のcDNA断片には配列AATACG
ACTCACTATAG(配列番号4)からなる既知配列オリゴマ
ーT7をライゲーション反応により導入した。次にこれら
既知配列オリゴマーを導入したcDNA断片を混ぜ合わせて
PCR反応を行った。PCR反応には、どちらの組織由来のcD
NA断片にも共通のプライマーとして配列TTTTTTTTTTTTTT
TTTTMN(MはA, C, Gのいずれか、NはA, C, G, Tのいず
れかの塩基)(配列番号9)のプライマー、肝臓組織細
胞由来のcDNA断片を増幅するプライマーとして配列ATTA
ACCCTCACTAAAGGATCXY(X, YはA, C, G, Tのいずれかの
塩基)(配列番号10)であり蛍光体JOEで標識したプ
ライマー、脳細胞由来のcDNA断片を増幅するプライマー
として配列AATACGACTCACTATAGGATCXY(X, YはA, C, G,
Tのいずれかの塩基)(配列番号11)であり蛍光体FAM
で標識したプライマーを用いた。インシュリンやβアク
チンなどの既知遺伝子を増幅するプライマーとして配列
TAGTTGCAGTAGTTCTCCAG(配列番号12)や配列TCCTTCTG
CATCCTGTCGGCA(配列番号13)でありそれぞれ蛍光体R
OXで標識したプライマーを用いた。電気泳動マーカーと
して蛍光体TAMRAで標識した分子量マーカーをPCR反応産
物に混ぜて、図10に示す装置を用いて分析を行った。図
11において、260は電気泳動の結果得られたエレクトロ
フェログラムの一部である。エレクトロフェログラムの
縦軸は相対蛍光強度、横軸は塩基長264を示している。
エレクトロフェログラムL261、B262はそれぞれ肝臓(Liv
er)、脳(Brain)で発現している遺伝子由来の信号、エレ
クトロフェログラムK263は既知遺伝子(Known)由来の信
号である。これらは同じキャピラリーで泳動分離された
試料であるが、それぞれ異なる蛍光体で標識されている
ため像分割プリズム、色分離フィルタによって分離され
それぞれのエレクトロフェログラムとして表示、記録さ
れる。
【0038】各蛍光体の発光波長が図12に示すように重
なる領域がある場合には、図10に示すデータ処理装置21
1を用いて重なり部分の蛍光強度を差し引く処理を行
い、各蛍光体からの信号強度を得る。図12の縦軸271は
相対蛍光強度、横軸272は波長を示している。273、27
4、275、276はそれぞれ異なる蛍光体A、B、C、Dの発光
波長曲線である。蛍光体B、Cの蛍光強度と蛍光体Dの蛍
光強度は約5倍異なっている。従って、発現量が5倍程度
異なる遺伝子をそれぞれ蛍光体B、C、Dなどの蛍光体で
標識すれば、同じ検出感度で検出することが可能であ
る。蛍光強度が約10倍異なる蛍光体がモレキュラープロ
ーブ社から販売されているため、蛍光強度の異なる蛍光
体で標識することにより1桁ダイナミックレンジを調節
することもできる。本実施例では使用したJOE、FAM、TA
MRA、ROX各蛍光体の蛍光強度を規格化して使用した。こ
のように、既知遺伝子、未知遺伝子由来の情報を別々の
エレクトロフェログラムに分けて表示できるため、得ら
れたエレクトロフェログラムの解析が容易になる。
なる領域がある場合には、図10に示すデータ処理装置21
1を用いて重なり部分の蛍光強度を差し引く処理を行
い、各蛍光体からの信号強度を得る。図12の縦軸271は
相対蛍光強度、横軸272は波長を示している。273、27
4、275、276はそれぞれ異なる蛍光体A、B、C、Dの発光
波長曲線である。蛍光体B、Cの蛍光強度と蛍光体Dの蛍
光強度は約5倍異なっている。従って、発現量が5倍程度
異なる遺伝子をそれぞれ蛍光体B、C、Dなどの蛍光体で
標識すれば、同じ検出感度で検出することが可能であ
る。蛍光強度が約10倍異なる蛍光体がモレキュラープロ
ーブ社から販売されているため、蛍光強度の異なる蛍光
体で標識することにより1桁ダイナミックレンジを調節
することもできる。本実施例では使用したJOE、FAM、TA
MRA、ROX各蛍光体の蛍光強度を規格化して使用した。こ
のように、既知遺伝子、未知遺伝子由来の情報を別々の
エレクトロフェログラムに分けて表示できるため、得ら
れたエレクトロフェログラムの解析が容易になる。
【0039】
【発明の効果】本発明により、既知遺伝子に由来する信
号と未知遺伝子に由来する信号を区別して表示できるよ
うになり、その結果として、未知遺伝子に関する情報を
容易に得ることができるようになった。また、発現量の
多い遺伝子に由来する信号と発現量の小さな遺伝子に由
来する信号が同時にモニターできるようになった。さら
に、既知の遺伝子に関するDNAはその機能毎に標識蛍光
体を変えてモニターすることができるようになった。
号と未知遺伝子に由来する信号を区別して表示できるよ
うになり、その結果として、未知遺伝子に関する情報を
容易に得ることができるようになった。また、発現量の
多い遺伝子に由来する信号と発現量の小さな遺伝子に由
来する信号が同時にモニターできるようになった。さら
に、既知の遺伝子に関するDNAはその機能毎に標識蛍光
体を変えてモニターすることができるようになった。
【0040】
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GTTTTCCCAG TCACGAC 17
【0041】配列番号:2 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CAGGAAACAG CTATGAC 17
【0042】配列番号:3 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 ATTAACCCTC ACTAAAG 17
【0043】配列番号:4 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AATACGACTC ACTATAG 17
【0044】配列番号:5 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CGAGGTCGAC GGTATCG 17
【0045】配列番号:6 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCTAGAACTA GTGGATC 17
【0046】配列番号:7 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCTCCAAAAA AAAAAAAAAA 20
【0047】配列番号:8 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TGTGGTTTTT TTTTTTTTTT T 21
【0048】配列番号:9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TTTTTTTTTT TTTTTTTTVN 20
【0049】配列番号:10 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 ATTAACCCTC ACTAAAGGAT CNN
23
23
【0050】配列番号:11 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AATACGACTC ACTATAGGAT CNN 23
【0051】配列番号:12 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TAGTTGCAGT AGTTCTCCAG 20
【0052】配列番号:13 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCCTTCTGCA TCCTGTCGGC A
21
21
【図1】実施例1に記載のように、発現遺伝子をモニタ
ーする手順を示した図。
ーする手順を示した図。
【図2】相補鎖合成が起こるか否かを模式的に示した
図。
図。
【図3】PCR増幅において、長いDNA断片よりも短いDNA
断片が優先的に増幅されることを示した図。
断片が優先的に増幅されることを示した図。
【図4】電気泳動の結果得られたエレクトロフェログラ
ムの一部を示した図。
ムの一部を示した図。
【図5】実施例2に記載のように、発現遺伝子をモニタ
ーする手順を示した図。
ーする手順を示した図。
【図6】実施例3に記載のように、既知配列からなるDNA
断片と未知配列からなるDNA断片を分離した後に、DNA断
片の種類を計測する手順を示した図。
断片と未知配列からなるDNA断片を分離した後に、DNA断
片の種類を計測する手順を示した図。
【図7】実施例4に記載のように、未知DNA断片を分取し
てくるための手順を示した図。
てくるための手順を示した図。
【図8】実時間蛍光検出型ゲル電気泳動装置の図。
【図9】実施例5に記載のように、異なる複数の試料中
に発現している遺伝子の組成の違いを調べる手順を示し
た図。
に発現している遺伝子の組成の違いを調べる手順を示し
た図。
【図10】本発明を実施するための装置の図。
【図11】電気泳動の結果得られたエレクトロフェログ
ラムの一部を示した図。
ラムの一部を示した図。
【図12】異なる4つの蛍光体の蛍光スペクトルを示し
た図。
た図。
1…試料mRNA、2…2本鎖cDNA、4…ポリT配列とオリゴマ
ー12で挟まれたcDNA断片、5…cDNA断片4以外のcDNA断
片、6…蛍光標識PCR産物、7…蛍光標識PCR産物、9…ポ
リA配列、10…ポリT配列を持つオリゴマー、11…タイタ
ープレート、12…既知配列オリゴマー、13…オリゴマー
12とハイブリダイズするプライマー、14…選択配列、15
…ポリA配列9とハイブリダイズするプライマー、16…選
択配列、17…蛍光体、18…蛍光体、19…特異的プライマ
ー、20…プライマー、21…オリゴマー23に相補な配列、
22…選択配列、23…DNA断片24の末端に導入されたオリ
ゴマー、24…DNA断片、25…ミスマッチを形成する塩
基、30…プライマー20と末端にオリゴマー23を導入され
たDNA断片24がミスマッチなくハイブリダイズした状
態、31…プライマー20と末端にオリゴマー23を導入され
たDNA断片24がミスマッチを含んでハイブリダイズした
状態、32…末端部分のミスマッチにより敏感に相補鎖伸
長の阻害が起こるようにする場合、40…相対蛍光強度、
41…塩基長、42…レーン(a)、43…レーン(b)、44…レー
ン(c)、50…得られるエレクトロフェログラムの一部、5
1…PCR反応に用いたプライマーの選択配列、52…塩基
長、61…試料mRNA、62…2本鎖cDNA、63…2本鎖DNA断
片、64…一本鎖DNA末端、65…片側の末端に既知配列オ
リゴマー70が導入されたDNA断片、66…両末端に既知配
列オリゴマー70が導入されたDNA断片、67…片側に既知
配列オリゴマー70が導入され、もう一方にはポリA配列
を持つDNA断片、70…既知配列オリゴマー、71…共通配
列部分、72…任意配列部分、73…共通配列部分71に相補
な配列を持つプライマー、74…プライマー、75…選択配
列、76…蛍光体、77…特異プライマー、78…蛍光体、80
…PCR産物、81…DNA断片、91…試料mRNA、92…2本鎖cDN
A、93…DNA断片、94…末端に既知配列オリゴマー100の
導入されたDNA断片、95…片側の末端に既知配列オリゴ
マー100もう一方の末端にポリA鎖を持つDNA断片、100…
既知配列オリゴマー、101…蛍光体、102…選択配列、10
3…蛍光体101で標識した選択配列102付きオリゴdTプラ
イマー、104…ビオチン、105…ビオチン104で標識をし
た既知遺伝子特異プライマー、106…アビジン付きのビ
ーズ、107…オリゴマー100と相補な配列、108…選択配
列、109…プライマー、111…PCR産物、112…未知DNA断
片群、121…試料mRNA、122…二本鎖cDNA、123…DNA断片
群、125…PCR産物、126…DNA断片、130…オリゴマー、1
31…プライマー、132…プライマー、133…蛍光標識、13
4…特異プライマー、140…電気泳動装置、141…コンピ
ュータ、142…モニター、145…ゲル分離部、146…レー
ザー源、147…レーザービーム、148…検出カメラ、149
…DNA断片、151…組織Aから抽出したmRNA、152…二本鎖
cDNA、153…cDNA断片群、154…末端に既知配列をもつcD
NA断片群、155…組織Bから抽出したmRNA、156…二本鎖c
DNA、157…cDNA断片群、158…末端に既知配列を持つcDN
A断片群、160…既知配列オリゴマー、161…既知配列オ
リゴマー、162…選択配列、163…プライマー、164…オ
リゴマー160に相補な配列、165…選択配列、166…プラ
イマー、167…オリゴマー161に相補な配列、168…選択
配列、169…プライマー、171…蛍光体、172…蛍光体、1
73…プライマー、174…蛍光体、181…PCR増幅産物、182
…PCR増幅産物、183…PCR増幅産物、A…試料分離部、
B…試料検出部、C…試料採取部、204…励起用光源、2
05…緩衝液槽、208…キャピラリー型試料移送管、209…
二次元検出器、210…励起光、214…採取台移動装置、21
5…標本採取台、216…標本容器、217…試料供給台、218
…キャピラリー型ゲル泳動管、219…シースフローセ
ル、220…液溜、221…像分割プリズム、222…色フィル
タ、250…蛍光、260…得られるエレクトロフェログラム
の一部、261…肝臓で発現している遺伝子由来の信号を
表示したエレクトロフェログラム、262…脳で発現して
いる遺伝子由来の信号を表示したエレクトロフェログラ
ム、263…既知遺伝子由来の信号を表示したエレクトロ
フェログラム、264…塩基長、271…相対蛍光強度、272
…波長、273…蛍光体Aの蛍光スペクトル曲線、274…蛍
光体Bの蛍光スペクトル曲線、275…蛍光体Cの蛍光スペ
クトル曲線、276…蛍光体Dの蛍光スペクトル曲線
ー12で挟まれたcDNA断片、5…cDNA断片4以外のcDNA断
片、6…蛍光標識PCR産物、7…蛍光標識PCR産物、9…ポ
リA配列、10…ポリT配列を持つオリゴマー、11…タイタ
ープレート、12…既知配列オリゴマー、13…オリゴマー
12とハイブリダイズするプライマー、14…選択配列、15
…ポリA配列9とハイブリダイズするプライマー、16…選
択配列、17…蛍光体、18…蛍光体、19…特異的プライマ
ー、20…プライマー、21…オリゴマー23に相補な配列、
22…選択配列、23…DNA断片24の末端に導入されたオリ
ゴマー、24…DNA断片、25…ミスマッチを形成する塩
基、30…プライマー20と末端にオリゴマー23を導入され
たDNA断片24がミスマッチなくハイブリダイズした状
態、31…プライマー20と末端にオリゴマー23を導入され
たDNA断片24がミスマッチを含んでハイブリダイズした
状態、32…末端部分のミスマッチにより敏感に相補鎖伸
長の阻害が起こるようにする場合、40…相対蛍光強度、
41…塩基長、42…レーン(a)、43…レーン(b)、44…レー
ン(c)、50…得られるエレクトロフェログラムの一部、5
1…PCR反応に用いたプライマーの選択配列、52…塩基
長、61…試料mRNA、62…2本鎖cDNA、63…2本鎖DNA断
片、64…一本鎖DNA末端、65…片側の末端に既知配列オ
リゴマー70が導入されたDNA断片、66…両末端に既知配
列オリゴマー70が導入されたDNA断片、67…片側に既知
配列オリゴマー70が導入され、もう一方にはポリA配列
を持つDNA断片、70…既知配列オリゴマー、71…共通配
列部分、72…任意配列部分、73…共通配列部分71に相補
な配列を持つプライマー、74…プライマー、75…選択配
列、76…蛍光体、77…特異プライマー、78…蛍光体、80
…PCR産物、81…DNA断片、91…試料mRNA、92…2本鎖cDN
A、93…DNA断片、94…末端に既知配列オリゴマー100の
導入されたDNA断片、95…片側の末端に既知配列オリゴ
マー100もう一方の末端にポリA鎖を持つDNA断片、100…
既知配列オリゴマー、101…蛍光体、102…選択配列、10
3…蛍光体101で標識した選択配列102付きオリゴdTプラ
イマー、104…ビオチン、105…ビオチン104で標識をし
た既知遺伝子特異プライマー、106…アビジン付きのビ
ーズ、107…オリゴマー100と相補な配列、108…選択配
列、109…プライマー、111…PCR産物、112…未知DNA断
片群、121…試料mRNA、122…二本鎖cDNA、123…DNA断片
群、125…PCR産物、126…DNA断片、130…オリゴマー、1
31…プライマー、132…プライマー、133…蛍光標識、13
4…特異プライマー、140…電気泳動装置、141…コンピ
ュータ、142…モニター、145…ゲル分離部、146…レー
ザー源、147…レーザービーム、148…検出カメラ、149
…DNA断片、151…組織Aから抽出したmRNA、152…二本鎖
cDNA、153…cDNA断片群、154…末端に既知配列をもつcD
NA断片群、155…組織Bから抽出したmRNA、156…二本鎖c
DNA、157…cDNA断片群、158…末端に既知配列を持つcDN
A断片群、160…既知配列オリゴマー、161…既知配列オ
リゴマー、162…選択配列、163…プライマー、164…オ
リゴマー160に相補な配列、165…選択配列、166…プラ
イマー、167…オリゴマー161に相補な配列、168…選択
配列、169…プライマー、171…蛍光体、172…蛍光体、1
73…プライマー、174…蛍光体、181…PCR増幅産物、182
…PCR増幅産物、183…PCR増幅産物、A…試料分離部、
B…試料検出部、C…試料採取部、204…励起用光源、2
05…緩衝液槽、208…キャピラリー型試料移送管、209…
二次元検出器、210…励起光、214…採取台移動装置、21
5…標本採取台、216…標本容器、217…試料供給台、218
…キャピラリー型ゲル泳動管、219…シースフローセ
ル、220…液溜、221…像分割プリズム、222…色フィル
タ、250…蛍光、260…得られるエレクトロフェログラム
の一部、261…肝臓で発現している遺伝子由来の信号を
表示したエレクトロフェログラム、262…脳で発現して
いる遺伝子由来の信号を表示したエレクトロフェログラ
ム、263…既知遺伝子由来の信号を表示したエレクトロ
フェログラム、264…塩基長、271…相対蛍光強度、272
…波長、273…蛍光体Aの蛍光スペクトル曲線、274…蛍
光体Bの蛍光スペクトル曲線、275…蛍光体Cの蛍光スペ
クトル曲線、276…蛍光体Dの蛍光スペクトル曲線
Claims (16)
- 【請求項1】 複数のDNA断片を含む試料の分析方法
であって、以下の工程:DNA断片の各々の少なくとも
一つの末端に、共通の既知オリゴヌクレオチド配列を付
加する工程、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド配列
に相補的なヌクレオチド配列を含む第1共通プライマ
ー、前記の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに
共通に存在する既知のヌクレオチド配列あるいは末端に
導入したオリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチ
ド配列を含む第2共通プライマー、および配列が既知の
遺伝子またはその一部を含むDNA断片に特異的にハイ
ブリダイズする特異プライマーを用い、前記の共通の既
知オリゴヌクレオチド配列が末端に付加されたDNA断
片を鋳型として増幅反応を行って、増幅産物DNAを得
る工程、および前記の増幅産物DNAを分析して、前記
のDNA断片に関する情報を得る工程を含み、ここで、
前記の第1共通プライマーおよび第2共通プライマーの
セットによる増幅で得られるべき増幅産物DNAを短断
片化するように、前記の特異プライマーが設計されてお
り、かつ前記の第1共通プライマーおよび第2共通プラ
イマーのセットによる増幅で得られる増幅産物DNA
と、前記の第1共通プライマーおよび特異プライマーの
セットによる増幅で得られる増幅産物DNAとを区別で
きるような様式で、これらの増幅産物DNAを標識する
ことによって、前記の配列が既知の遺伝子またはその一
部を含むDNA断片に関する情報を他のDNA断片に関
する情報と区別できるようにする前記の方法。 - 【請求項2】 第1共通プライマーおよび/または第2
共通プライマーが、1〜4個の塩基からなる選択配列を
3'末端に持つ請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 第1共通プライマーにおける選択配列
が、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド配列に相補的
なヌクレオチド配列に隣接しており、該相補的ヌクレオ
チド配列の一部の塩基が前記の共通の既知オリゴヌクレ
オチド配列にミスマッチする塩基に変更されている請求
項2記載の方法。 - 【請求項4】 第2共通プライマーにおける選択配列
が、前記の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに
共通に存在する既知のヌクレオチド配列あるいは末端に
導入したオリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチ
ド配列に隣接しており、該相補的ヌクレオチド配列の一
部の塩基が、前記の複数のDNA断片のすべてまたはい
くつかに共通に存在する既知のヌクレオチド配列あるい
は末端に導入したオリゴヌクレオチド配列にミスマッチ
する塩基に変更されている請求項2記載の方法。 - 【請求項5】 複数のDNA断片のすべてまたはいくつ
かに共通に存在する既知のヌクレオチド配列がポリA配
列あるいはポリT配列である請求項1記載の方法。 - 【請求項6】 第2共通プライマーがハイブリダイズす
るDNA鎖と同じDNA鎖にハイブリダイズし、かつ、
第1共通プライマーおよび第2共通プライマーのセット
による増幅で得られる増幅産物DNAの内部配列にハイ
ブリダイズするように、特異プライマーが設計されてお
り、その結果、前記の第1共通プライマーおよび第2共
通プライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物D
NAより鎖長の短い増幅産物DNAが前記の第1共通プ
ライマーおよび特異プライマーのセットによる増幅で得
られる請求項1記載の方法。 - 【請求項7】 2種類以上の特異プライマーを用いる
が、これらの特異プライマーは互いに異なる遺伝子を含
むDNA断片に特異的にハイブリダイズし、かつ互いに
異なる蛍光体で標識されている請求項1記載の方法。 - 【請求項8】 まず、第1共通プライマーおよび第2共
通プライマーのセットを用いて増幅反応を行い、次い
で、第1共通プライマーおよび特異プライマーのセット
を用いて増幅反応を行う請求項1記載の方法。 - 【請求項9】 前記のプライマーを蛍光標識して用いて
増幅反応を行い、増幅産物DNAのゲル電気泳動パター
ンを蛍光検出することにより前記のDNA断片に関する
情報を得る請求項1記載の方法。 - 【請求項10】 実時間蛍光検出で泳動中のDNAを計
測する請求項9記載の方法。 - 【請求項11】 第1共通プライマーおよび第2共通プ
ライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物DNA
のみを標識する請求項1記載の方法。 - 【請求項12】 第1共通プライマーおよび第2共通プ
ライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物DNA
と、第1共通プライマーおよび特異プライマーのセット
による増幅で得られる増幅産物DNAとを、異なる標識
体で標識する請求項1記載の方法。 - 【請求項13】 第1共通プライマーおよび第2共通プ
ライマーのセットによる増幅で得られる増幅産物DNA
と、第1共通プライマーおよび特異プライマーのセット
による増幅で得られる増幅産物DNAとを発光波長の差
で識別しながら計測する請求項12記載の方法。 - 【請求項14】 複数のDNA断片を含む試料から配列
が未知の遺伝子を含むDNA断片を単離する方法であっ
て、以下の工程:DNA断片の各々の少なくとも一つの
末端に、共通の既知オリゴヌクレオチド配列を付加する
工程、前記の共通の既知オリゴヌクレオチド配列に相補
的なヌクレオチド配列を含む第1共通プライマー、前記
の複数のDNA断片のすべてまたはいくつかに存在する
既知のヌクレオチド配列あるいは末端に導入したオリゴ
ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第
2共通プライマー、および配列が既知の遺伝子またはそ
の一部を含むDNA断片に特異的にハイブリダイズする
特異プライマーを用い、前記の共通の既知オリゴヌクレ
オチド配列が末端に付加されたDNA断片を鋳型として
増幅反応を行って、増幅産物DNAを得る工程、および
前記の増幅産物DNAから、配列が未知の遺伝子を含む
増幅産物DNAを分離する工程を含み、ここで前記の第
1共通プライマーおよび第2共通プライマーのセットに
よる増幅で得られるべき増幅産物DNAを短断片化する
ように、前記の特異プライマーが設計されており、かつ
前記の第1共通プライマーおよび第2共通プライマーの
セットによる増幅で得られる増幅産物DNAと、前記の
第1共通プライマーおよび特異プライマーのセットによ
る増幅で得られる増幅産物DNAとを区別できるような
様式で、これらの増幅産物DNAを標識することによっ
て、前記の配列が既知の遺伝子またはその一部を含む増
幅産物DNAと、配列が未知の遺伝子を含む増幅産物D
NAとの分離を容易にする前記の方法。 - 【請求項15】 1セットの共通プライマー、および該
共通プライマーセットによる増幅で得られるべき増幅産
物DNAを短断片化するように設計された特異プライマ
ーを含むことを特徴とする試薬。 - 【請求項16】 1セットの共通プライマー、および該
共通プライマーセットによる増幅で得られるべき増幅産
物DNAを短断片化するように設計された特異プライマ
ーを含むことを特徴とする試薬キット。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00539998A JP3784162B2 (ja) | 1998-01-14 | 1998-01-14 | Dna断片分析法 |
US09/228,942 US6203988B1 (en) | 1998-01-14 | 1999-01-12 | DNA fragment preparation method for gene expression profiling |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00539998A JP3784162B2 (ja) | 1998-01-14 | 1998-01-14 | Dna断片分析法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11196874A true JPH11196874A (ja) | 1999-07-27 |
JP3784162B2 JP3784162B2 (ja) | 2006-06-07 |
Family
ID=11610081
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00539998A Expired - Fee Related JP3784162B2 (ja) | 1998-01-14 | 1998-01-14 | Dna断片分析法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6203988B1 (ja) |
JP (1) | JP3784162B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002048352A1 (fr) * | 2000-12-12 | 2002-06-20 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Methode d'analyse d'expression genique |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6960439B2 (en) | 1999-06-28 | 2005-11-01 | Source Precision Medicine, Inc. | Identification, monitoring and treatment of disease and characterization of biological condition using gene expression profiles |
US20080183395A1 (en) * | 1999-06-28 | 2008-07-31 | Michael Bevilacqua | Gene expression profiling for identification, monitoring and treatment of multiple sclerosis |
US6692916B2 (en) | 1999-06-28 | 2004-02-17 | Source Precision Medicine, Inc. | Systems and methods for characterizing a biological condition or agent using precision gene expression profiles |
WO2003040404A1 (en) | 2001-11-09 | 2003-05-15 | Source Precision Medicine, Inc. | Identification, monitoring and treatment of disease and characterization of biological condition using gene expression profiles |
US20040248102A1 (en) | 2003-06-03 | 2004-12-09 | Diane Ilsley-Tyree | Methods and compositions for performing template dependent nucleic acid primer extension reactions that produce a reduced complexity product |
AU2007341981A1 (en) * | 2006-12-29 | 2008-07-10 | The Salk Institute For Biological Studies | Methods for enhancing exercise performance |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DK0519338T3 (da) * | 1991-06-20 | 1996-10-28 | Hoffmann La Roche | Forbedrede fremgangsmåder til nukleinsyreamplifikation |
JP3209592B2 (ja) | 1992-12-01 | 2001-09-17 | 株式会社日立製作所 | 分離分取装置及び分離分取方法 |
JP3340544B2 (ja) | 1993-12-24 | 2002-11-05 | 株式会社日立製作所 | 分別採取装置及び分別採取方法 |
-
1998
- 1998-01-14 JP JP00539998A patent/JP3784162B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
1999
- 1999-01-12 US US09/228,942 patent/US6203988B1/en not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002048352A1 (fr) * | 2000-12-12 | 2002-06-20 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Methode d'analyse d'expression genique |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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US6203988B1 (en) | 2001-03-20 |
JP3784162B2 (ja) | 2006-06-07 |
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