JPH11190350A - 鋳包み部材及びその製造方法 - Google Patents

鋳包み部材及びその製造方法

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JPH11190350A
JPH11190350A JP36087497A JP36087497A JPH11190350A JP H11190350 A JPH11190350 A JP H11190350A JP 36087497 A JP36087497 A JP 36087497A JP 36087497 A JP36087497 A JP 36087497A JP H11190350 A JPH11190350 A JP H11190350A
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cast iron
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bearing outer
molten
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Abuhei Mene
メネ・アブヘイ
Eiji Nakano
英治 中野
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 鋼材からなる被鋳包み材を鋳鉄溶湯で鋳包
み、確実に接合して一体で高強度の鋳包み部材とするこ
とで、製造工程の効率化が実現できる鋳包み部材及びそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 砂鋳型内に、鋼材からなる被鋳包み材を
配置して、前記被鋳包み材を鋳包むキャビティを形成
し、前記キャビティ内に鋳鉄溶湯を注入して、前記鋳鉄
溶湯が凝固後に前記被鋳包み材と一体とする鋳包み部材
の製造方法であって、前記被鋳包み材の側面のキャビテ
ィ部を通過する前記鋳鉄溶湯の体積と、前記被鋳包み材
の体積との体積比を18以上とする。そして、前記鋳鉄
溶湯により被鋳包み材の鋳包み界面を1200℃以上に
加熱後、1100℃以上で少なくとも400秒にわたり
維持する。また、前記鋳鉄溶湯が球状黒鉛鋳鉄組成を有
し、前記被鋳包み材が、機械構造用炭素鋼または高炭素
クロム軸受鋼からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳包み部材及びそ
の製造方法に関し、より詳しくは、車両用の終減速装置
のリテーナ・ユニットまたは車両用のホイールハブ・ユ
ニットにおいて、リテーナまたはホイールハブとベアリ
ングアウタレースとの鋳包み界面を拡散接合して密着す
る鋳包み部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用の終減速装置のリテーナや車両用
のホイールハブに使用されるベアリングは、ベアリング
アウタレースと、ベアリングインナーレース、ローラ、
および保持器よりなり、高トルクを伝達する軸を保持し
たり、車両の荷重を支えるため、相当な強度が要求され
る。そして、ベアリングアウタレース、ベアリングイン
ナーレース、およびローラは、機械構造用炭素鋼あるい
は高炭素クロム軸受鋼などの強度を有する材質で形成さ
れている。また、リテーナおよびホイールハブは、形状
が複雑で、かつ強度と靱性が要求されるため、一般に球
状黒鉛鋳鉄材(JIS FCD400またはFCD45
0相当材)で形成されている。
【0003】次に、リテーナやホイールハブを加工後、
ベアリングを組立てて、リテーナ・ユニットまたはホイ
ールハブ・ユニットとする一般的な工程を、図7に示す
従来の終減速装置のリテーナ・ユニット組立断面図にも
とづき説明する。 (1)リテーナの内径加工 球状黒鉛鋳鉄材からなるリテーナ22の内径22a、2
2bを、ベアリングアウターレース23、24の外径2
3a、24aが締り嵌めで圧入する寸法に精密中ぐり盤
などで精密加工する。 (2)ベアリングアウターレースの全面研削加工 一方、機械構造用炭素鋼材あるいは高炭素クロム軸受鋼
からなるベアリングアウターレース23、24は、熱処
理を施して高硬度にした後、外径23a、24aと、テ
ーパーローラ27、28が転動する面23b、24b
と、端面23c、23d、24c、24dの部位を、円
筒研削盤などで精密加工する。 (3)リテーナにベアリングアウターレースを圧入 リテーナ22の内径22a、22bに、各々ベアリング
アウターレース23、24を油圧プレスで圧入し、リテ
ーナ・ユニットとする。 (4)ベベルギヤ軸との組立て また、ベベルギヤ軸25に、テーパーローラ27、28
を装着したベアリングインナーレース29、30を、ス
ペーサ31を介して組立する。 (5)終減速装置への組立て さらに、オイルシール32、カバー33、駆動フランジ
34ほかを、ナット35で締結して、これをボルト38
で終減速装置に組立てる。
【0004】ところで、このうち、上記(1)、(2)
および(3)の工程を削除することにより、製造コスト
の低減を図ることが試みられている。例えば、実用新案
登録第2522749号の公報には、鋳包み一体とした
ベアリングアウタレース構造とすることで簡素な構成と
し、ベアリングアウタレース全体を高価な高炭素クロム
軸受鋼材または機械構造用炭素鋼材によることなく、製
造原価を安くして製品のコストダウンを図るほか、主体
部分を形成する鋳物部分を成形性をよく軽量として、製
造作業を容易にする等の効果が得られるとの開示があ
る。
【0005】一方、特開昭58−38654号公報に
は、鋳鉄または鋼製部品の一方の側をアルミニウム合金
等の金属で鋳包む複合部材の製造法に関して、鋳鉄また
は鋼製部品の他方の側に、アルミニウム合金その他の金
属溶湯を鋳込んで鋳鉄または鋼製部品を予熱し、この状
態で鋳包み金属溶湯を注湯して拡散反応を行わること
で、アルミニウム合金等の鋳包み金属の注湯温度を上げ
たり、鋳鉄または鋼製部品の被鋳包み材を予め高温加熱
することなく、複合部材を製造しようとする開示があ
る。
【0006】また、特公昭55−3074号公報には、
軟鋼材を耐摩耗鋳鉄で鋳包む方法として、軟鋼材の鋳包
み表面に、B:1.0〜1.7重量%、Si:2.0〜
3.0重量%、Niおよび不可避不純物:残り、からな
る成分組成の自溶性ニッケル合金の溶射層を形成した
後、軟鋼材を耐摩耗性鋳鉄で鋳包むことにより、接合境
界部の合金接合層を強固にすると共に、自溶性ニッケル
合金の溶射層が、冷却凝固の際に発生する収縮応力の緩
和材として働き、欠陥のない健全な鋳包み部材を製造で
きるとの開示がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、上記
実用新案登録第2522749号の公報に開示する技術
を参考にして、機械構造用炭素鋼あるいは高炭素クロム
軸受鋼からなるベアリングアウターレースを球状黒鉛鋳
鉄材で鋳包むことで、リテーナ・ユニットまたはホイー
ルハブ・ユニットとすることで製造工程を短縮しようと
した。しかし、単に機械構造用炭素鋼あるいは高炭素ク
ロム軸受鋼からなるベアリングアウタレースを球状黒鉛
鋳鉄材で鋳包みしようとすると、鋳包み界面での拡散接
合が不完全になることが多く、高強度を必要とする部品
として適用するにはまだまだ改善の余地があることがわ
かった。
【0008】一方、特開昭58−38654号公報に開
示する技術では、鋳包み材とは異なる予熱溶湯や予熱溶
湯が凝固した部分の除去が必要であり、製造工程が複雑
になる。また、特公昭55−3074号公報に開示する
技術では、自溶性ニッケル合金の溶射層を形成する工程
が必要であり、同じく製造工程が複雑になる。
【0009】本発明の課題は、鋼材からなる被鋳包み材
を鋳鉄溶湯で鋳包み、確実に接合して一体で高強度の鋳
包み部材として、これを例えば、車両用に終減速装置の
一部品のリテーナ・ユニットまたは車両用のホイールハ
ブ・ユニットに適用して、(1)リテーナまたはホイー
ルハブへのベアリングアウターレース圧入内径の精密加
工、(2)ベアリングアウターレース外径の研削加工、
および(3)ベアリングアウターレース圧入の工程を不
要とし、鋳包み後にベアリングアウターレースのテーパ
ーローラが転動する面のみを精密に研削加工すること
で、製造工程の効率化が実現できる鋳包み部材及びその
製造方法を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、被鋳包み
材が機械構造用炭素鋼または高炭素クロム軸受鋼で、鋳
包み材が球状黒鉛鋳鉄組成とした鋳包み部材について、
鋳包み界面が全面密着となる鋳包み部材の製造方法につ
いて鋭意研究した。
【0011】そして、鋳包み工程において、被鋳包み材
の側面のキャビティ部を通過して凝固した鋳鉄の体積
が、被鋳包み材の体積に対して一定以上の比であること
が必要であることを見出した。さらに鋳鉄溶湯により被
鋳包み材を一定温度以上に加熱した後、所定温度以上に
維持することにより、被鋳包み材と鋳包み材との鋳包み
界面を全面密着すると高強度の鋳包み部材を製造できる
との知見を得、本発明に到達した。本発明で定義する鋳
包み部材とは、被鋳包み材と接する鋳鉄部材とともに被
鋳包み材を離れて押湯効果や熱の供給効果を有する鋳鉄
の部位を含む概念である。例えば、図5で言えば12の
体積と8の体積も含むものである。
【0012】すなわち、本発明の鋳包み部材は、被鋳包
み材の体積に対し、前記被鋳包み材の側面のキャビティ
部を通過して凝固した鋳鉄の体積が18倍以上であるこ
とを特徴とする。そして、前記被鋳包み材が機械構造用
炭素鋼または高炭素クロム軸受鋼であって、前記鋳鉄が
球状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする。
【0013】本発明の鋳包み部材の製造方法は、砂鋳型
内に、鋼材からなる被鋳包み材を配置して、前記被鋳包
み材を鋳包むキャビティを形成し、前記キャビティ内に
鋳鉄溶湯を注入して、前記鋳鉄溶湯が凝固後に前記被鋳
包み材と一体とする鋳包み部材の製造方法であって、前
記被鋳包み材の側面のキャビティ部を通過する前記鋳鉄
溶湯の体積と、前記被鋳包み材の体積との体積比を18
以上とすることを特徴とする。
【0014】そして、前記鋳鉄溶湯により被鋳包み材の
鋳包み界面を1200℃以上に加熱後、1100℃以上
で少なくとも400秒にわたり維持することを特徴とす
る。
【0015】また、前記鋳鉄溶湯が球状黒鉛鋳鉄組成を
有し、前記被鋳包み材が、機械構造用炭素鋼または高炭
素クロム軸受鋼からなることを特徴とする。
【0016】そして、前記鋳包み部材が車両用の終減速
装置のリテーナ・ユニット、または車両用ホイールハブ
・ユニットとなることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を詳細に説明
する。 (実施の形態1)図4は、機械構造用炭素鋼(JIS
S53C)からなるベアリングアウターレース2、3
を、球状黒鉛鋳鉄材(JIS FCD450)のリテー
ナ4で鋳包み一体とした車両用の終減速装置の一部品の
リテーナ・ユニット1の断面図である。このリテーナ・
ユニット1においては、鋳包み工程において、球状黒鉛
鋳鉄溶湯からベアリングアウターレース2、3への熱伝
達を良くするため、ベアリングアウターレース2、3
は、テーパーローラ(図示せず)が転動する面に研削加工
代を付与した面2a、3aから同一肉厚でらっぱ状に形
成している。
【0018】次に、ベアリングアウターレース2、3を
リテーナ4で鋳包み一体として、最終的にはリテーナ・
ユニット1とする製造方法について説明する。図5は、
図4のリテーナ・ユニット1を製造する鋳型の断面図で
ある。図5で、2、3は被鋳包み材のベアリングアウタ
ーレース、5は砂鋳型の下型、6は砂鋳型の上型、7は
炭酸ガス硬化で造型した中子、8は吐かせ部、9は湯
口、10は湯道、11は堰である。
【0019】ベアリングアウターレース2、3は、中子
7の造型のとき中子造型用金型内(図示せず)に予めセ
ットしておき、中子7と一体として形成している。下型
5、上型6、および中子7からなる鋳型と、セットした
ベアリングアウターレース2、3により、鋳包み材とな
る溶湯が注入されるキャビティ12を形成している。
【0020】図5に示す鋳型には、ベアリングアウター
レース2、3の界面に万遍なく溶湯が行き渡るように放
射状に堰11を複数配置している。また、溶湯が注入完
了までの間、ベアリングアウターレース2、3の界面を
溶湯が円滑に流れ続けることができるように、キャビテ
ィ12上部に吐かせ部8を設けている。
【0021】注入溶湯がキャビティ12を経て吐かせ部
8に至った吐かせ高さhにより、ベアリングアウターレ
ース2、3の側面のキャビティ部12を通過する球状黒
鉛鋳鉄溶湯の体積を変化させた。また、鋳造の際のベア
リングアウターレース2、3の温度を測定した。なお、
ベアリングアウターレース2、3の温度は、ベアングア
ウターレース2、3に、鋳包み界面から2mmの位置に
小径の孔をあけ、この孔にRh(10%)−Pt熱電対
を挿入して測定した。
【0022】鋳包み材としての球状黒鉛鋳鉄溶湯の組成
は、質量比で、C:3.63%、Si:2.32%、M
n:0.41%、P:0.020%、S:0.005
%、Mg:0.043%、Cu:0.52%、残部Fe
および不可避不純物よりなるもので、1380〜140
0℃で鋳造し、凝固後、鋳包み界面の接合状態を調査し
た。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】 レース体積 通過溶湯体積 体積比 加熱温度 ≧1100℃維持時間 接合状態 (×103mm3) (×103mm3) (℃) (秒) (s) 実施例 1 115 2998 26.0 1230 420 OK 2 165 3003 18.2 1230 400 OK 3 115 2415 21.0 1220 450 OK 比較例 1 185 2912 15.6 1120 300 NG 2 115 1938 16.8 1110 150 NG
【0024】なお、表1で、通過溶湯体積はベアリング
アウターレースの側面のキャビティ部を通過する球状黒
鉛鋳鉄溶湯の体積であり、体積比は通過溶湯体積/ベア
リングアウタース体積である。
【0025】図1は、表1での実施例1および実施例2
のベアリングアウタレースの加熱温度変化を示す。実線
で示す実施例1は、リテーナ・ユニット1上部、点線で
示す実施例2はリテーナ・ユニット1下部のものであ
る。
【0026】また図2は、表1での実施例3および比較
例1のベアリングアウタレースの加熱温度変化を示す。
実線は実施例3、点線は比較例1である。
【0027】図1で示す実施例1は、球状黒鉛鋳鉄溶湯
を注湯後、ベアリングアウタレースの温度は、約30秒
のうちに1230℃に急上昇し、その後約100秒経過
すると熱的飽和に達し、1130〜1115℃のほぼ一
定温度が100〜520秒の420秒間にわたって維持
された。実施例1の鋳包み界面の顕微鏡組織写真(×1
00)を図3に示す。機械構造用炭素鋼(JIS S5
3C)からなるベアリングアウターレースと、球状黒鉛
鋳鉄材(JIS FCD450)のリテーナの溶着部は
拡散接合層が存在し、良好に密着していた。
【0028】また、図1で示す実施例2は、球状黒鉛鋳
鉄溶湯を注湯後、ベアリングアウタレースの温度は、約
30秒のうちに1240℃に急上昇し、その後約100
秒経過すると熱的飽和に達し、1130〜1115℃の
ほぼ一定温度が110〜510秒の400秒間にわたっ
て維持されていた。実施例1と同様にベアリングアウタ
レースの外周面と球状黒鉛鋳鉄材の溶着部は拡散接合層
が存在し、良好に密着していた。
【0029】さらに、図2で示す実施例3は、球状黒鉛
鋳鉄溶湯を注湯後、ベアリングアウタレースの温度は、
約10秒のうちに1220℃に急上昇し、その後約10
0秒経過すると熱的飽和に達し、約1110℃のほぼ一
定温度が100〜550秒の450秒間にわたって維持
されていた。実施例1、および実施例2と同様にベアリ
ングアウタレースの外周面と球状黒鉛鋳鉄材の溶着部は
拡散接合層が存在し、良好に密着していた。
【0030】一方、表1に示す比較例1の加熱温度変化
は、図2に点線で示すように、球状黒鉛鋳鉄溶湯を注湯
後、ベアリングアウタレースの温度は、約20秒のうち
に1120℃に急上昇し、その後当該温度で約300秒
間にわたって維持された。比較例1の鋳包み界面の顕微
鏡組織写真(×100)を図8に示す。比較例1では、
加熱温度が低く、維持時間も短いため、ベアリングアウ
タレースの外周面と球状黒鉛鋳鉄材の溶着部は隙間が存
在し、拡散接合層が存在せず密着していなかった。
【0031】表1の比較例2は、図示していないが、球
状黒鉛鋳鉄溶湯を注湯後、ベアリングアウタレースの温
度は、約20秒のうちに1110℃に急上昇し、その後
当該温度で約150秒間にわたって維持された。比較例
2は、加熱温度が低く、維持時間も短かかったため、比
較例1と同様にベアリングアウタレースの外周面と球状
黒鉛鋳鉄材の溶着部は隙間が存在し、拡散接合層が存在
せず密着していなかった。
【0032】(実施の形態2)図6は、高炭素クロム軸
受鋼(JIS SUJ2)からなるベアリングアウター
レース17、18を、球状黒鉛鋳鉄材(JIS FCD
450)のホイールハブ19で鋳包み一体とした車両用
のホイールハブ・ユニット16の断面図である。このホ
イールハブ・ユニット16においては、鋳包み工程にお
いて、球状黒鉛鋳鉄溶湯からベアリングアウターレース
17、18への熱伝達を良くするため、ベアリングアウ
ターレース17、18は、テーパーローラ(図示せず)
が転動する面に研削加工代を付与した面17a、18a
から同一肉厚でらっぱ状に形成している。
【0033】ベアリングアウターレース17、18をホ
イールハブ19で鋳包み一体として、最終的にはホイー
ルハブ・ユニット16とするには、前記実施の形態1の
リテーナ・ユニット1と同様である。すなわち、ベアリ
ングアウターレース17、18を中子造型のとき中子造
型用金型内(図示せず)に予めセットしておき、中子と
一体として形成した。また、下型、上型、および中子か
らなる鋳型と、セットしたベアリングアウターレース1
7、18により、鋳包み材となる溶湯が注入されるキャ
ビティを形成している。
【0034】鋳型は、ベアリングアウターレース17、
18の界面に万遍なく溶湯が行き渡るように放射状に堰
を複数配置し、溶湯が注入完了までの間、ベアリングア
ウターレース17、18の界面を溶湯が円滑に流れ続け
ることができるように、キャビティ上部に吐かせ部を設
けている。
【0035】鋳包み材としての球状黒鉛鋳鉄溶湯の組成
は、質量比で、C:3.64%、Si:2.35%、M
n:0.44%、P:0.021%、S:0.004
%、Mg:0.042%、Cu:0.50%、残部Fe
および不可避不純物よりなるもので、1380〜140
0℃で鋳造している。
【0036】ホイールハブ・ユニット16の下部のベア
リングアウターレース17の体積は280×103mm3
とし、ベアリングアウターレース17の側面を通過する
溶湯体積を5320×103mm3として、ベアリングア
ウターレース17の側面のキャビティ部を通過する球状
黒鉛鋳鉄溶湯の体積とベアリングアウターレース17の
体積との体積比を19とした。ベアリングアウターレー
ス17にRh(10%)−Pt熱電対をセットして温度
を測定した結果、球状黒鉛鋳鉄溶湯を注湯後、ベアリン
グアウタレース17の温度は、約32秒のうちに124
0℃に急上昇し、その後約110秒経過すると熱的飽和
に達し、1140〜1125℃のほぼ一定温度が105
〜520秒の415秒間にわたって維持された。
【0037】また、ホイールハブ・ユニット16の上部
のベアリングアウターレース18の体積は220×10
3mm3であり、ベアリングアウターレース18の側面を
通過する溶湯体積を4800×103mm3として、ベア
リングアウターレース17の側面のキャビティ部を通過
する球状黒鉛鋳鉄溶湯の体積とベアリングアウターレー
ス17の体積との体積比を22とした。ベアリングアウ
ターレース18にRh(10%)−Pt熱電対をセット
して温度を測定した結果、球状黒鉛鋳鉄溶湯を注湯後、
ベアリングアウタレース18の温度は、約30秒のうち
に1250℃に急上昇し、その後約100秒経過すると
熱的飽和に達し、1100〜1125℃のほぼ一定温度
が100〜550秒の450秒間にわたって維持され
た。
【0038】高炭素クロム軸受鋼(JIS SUJ2)
からなるベアリングアウターレース17およびベアリン
グアウターレース18と、球状黒鉛鋳鉄材(JIS F
CD450)のホイールハブ19の溶着部は拡散接合層
が存在し、良好に密着していた。
【0039】
【発明の効果】以上詳細に説明のとおり、砂鋳型内に、
鋼材からなる被鋳包み材を配置して、被鋳包み材を鋳包
むキャビティを形成し、キャビティ内に鋳鉄溶湯を注入
することで、鋳鉄溶湯が凝固後に被鋳包み材と一体とす
る鋳包み部材の製造方法において、被鋳包み材の側面の
キャビティ部を通過する鋳鉄溶湯の体積と被鋳包み材の
体積との体積比を18以上とすることで、また、鋳鉄溶
湯により被鋳包み材の鋳包み界面を1200℃以上に加
熱後、1100℃以上で少なくとも400秒にわたり維
持することで、鋳包み界面が全面密着となる鋳包み部材
が製造でき、これを例えば、車両用の終減速装置の一部
品のリテーナ・ユニットまたは車両用のホイールハブ・
ユニットに適用することで、(1)リテーナまたはホイ
ールハブへのベアリングアウターレース圧入内径の精密
加工、(2)ベアリングアウターレース外径の研削加
工、および(3)ベアリングアウターレース圧入の工程
を不要とし、鋳包み後にベアリングアウターレースのテ
ーパーローラが転動する面のみを精密に研削加工するこ
とで、製造工程の効率化が実現できる.
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および実施例2のベアリングアウタレ
ースの加熱温度変化を示す図である。
【図2】実施例1および比較例1のベアリングアウタレ
ースの加熱温度変化を示す図である。
【図3】実施例1の鋳包み界面の金属組織顕微鏡写真
(×100)である。
【図4】車両用の一部品のリテーナ・ユニットの断面図
である。
【図5】リテーナ・ユニットを製造する鋳型の断面図で
ある。
【図6】車両用のホイールハブ・ユニットの断面図であ
る。
【図7】従来の終減速装置のリテーナ・ユニットの組立
断面図である。
【図8】比較例1の鋳包み界面の金属組織顕微鏡写真
(×100)である。
【符号の説明】
1:リテーナ・ユニット 2、3:ベアリングアウターレース 4:リテーナ 5:下型 6:上型 7:中子 8:吐かせ部 9:湯口 10:湯道 11:堰 16:ホイールハブ・ユニット 17、18:ベアリングアウターレース 19:ホイールハブ 22:リテーナ 23、24:ベアリングアウターレース 25:ベベルギヤ軸 27、28:テーパローラー 29、30:ベアリングインナーレース h:吐かせ高さ。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被鋳包み材の体積に対し、前記被鋳包み
    材の側面のキャビティ部を通過して凝固した鋳鉄の体積
    が18倍以上であることを特徴とする鋳包み部材。
  2. 【請求項2】 前記被鋳包み材が機械構造用炭素鋼また
    は高炭素クロム軸受鋼であって、前記鋳鉄が球状黒鉛鋳
    鉄であることを特徴とする請求項1に記載の鋳包み部
    材。
  3. 【請求項3】 砂鋳型内に、鋼材からなる被鋳包み材を
    配置して、前記被鋳包み材を鋳包むキャビティを形成
    し、前記キャビティ内に鋳鉄溶湯を注入することで、前
    記鋳鉄溶湯が凝固後に前記被鋳包み材と一体とする鋳包
    み部材の製造方法であって、前記被鋳包み材の側面のキ
    ャビティ部を通過する前記鋳鉄溶湯の体積と前記被鋳包
    み材の体積との体積比を18以上とすることを特徴とす
    る鋳包み部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記鋳鉄溶湯により前記被鋳包み材の鋳
    包み界面を1200℃以上に加熱後、1100℃以上で
    少なくとも400秒にわたり維持することを特徴とする
    請求項3に記載の鋳包み部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記鋳鉄溶湯が、球状黒鉛鋳鉄組成を有
    することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の
    鋳包み部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記被鋳包み材が機械構造用炭素鋼から
    なることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか1
    項に記載の鋳包み部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記被鋳包み材が高炭素クロム軸受鋼か
    らなることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか
    1項に記載の鋳包み部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記鋳包み部材が車両用の終減速装置の
    リテーナ・ユニットとなることを特徴とする請求項3乃
    至請求項7の何れか1項に記載の鋳包み部材の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記鋳包み部材が車両用のホイールハブ
    ・ユニットとなることを特徴とする請求項3乃至請求項
    7の何れか1項に記載の鋳包み部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011101899A (ja) * 2009-11-10 2011-05-26 Georg Fischer Automobilguss Gmbh 鋳込まれた鋼芯を備える鋳造ナックルおよびその製造方法

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