JPH11189410A - アーウィンの製造方法 - Google Patents

アーウィンの製造方法

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JPH11189410A
JPH11189410A JP9367120A JP36712097A JPH11189410A JP H11189410 A JPH11189410 A JP H11189410A JP 9367120 A JP9367120 A JP 9367120A JP 36712097 A JP36712097 A JP 36712097A JP H11189410 A JPH11189410 A JP H11189410A
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Tadashi Sueoka
忠士 末岡
Satoru Fujii
悟 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミ灰から高効率で容易にアーウィンを製
造する。 【解決手段】 微粉アルミ灰と含酸素カルシウム化合物
と石膏との混合物に苛性アルカリと水を加えたもの、又
は微粉アルミ灰と含酸素カルシウム化合物との混合物に
苛性アルカリと水を加えた後、これに石膏を加えたもの
の何れかを焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミ灰を原料と
するアーウィンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム精錬工程又はアルミニウム
スクラップなどからアルミニウムを回収する際、必然的
に発生するアルミ灰は、一般に酸化アルミニウム、窒化
アルミニウム、炭化アルミニウムなどが混在したもので
あることが多く、特に金属アルミニウム含有量が少ない
ものについては有効利用が殆どされないまま、通常、廃
棄処分されている。また、この廃棄処分に際しては、ア
ルミ灰が水と接触するとアンモニア、炭化水素等が容易
に発生するため、無害化処理を行う必要があり、多くの
手間と費用を要している。
【0003】このようなアルミ灰を有効利用することが
検討されており、その有効活用策の一つとして、カルシ
ウムアルミネート等の酸化アルミニウム源として一部が
有効利用されているが全量の有効利用は未だにされてい
ない。このアルミ灰を有効利用する場合の難点として
は、アルミ灰中に混在する金属アルミニウムが表面に安
定な酸化皮膜を形成し易く、該酸化皮膜によって内部の
酸化が極めて進行し難く、更に窒化アルミニウム、炭化
アルミニウムも比較的安定な化合物であり、何れも容易
に分解又は酸化し難く、水硬性物質であるアーウィンの
製造原料の酸化アルミニウム源としてアルミ灰を用いる
と強還元物質である金属アルミニウムによりアーウィン
生成に必要な石膏が分解される。このように金属アルミ
ニウムを含有するアルミ灰を酸化アルミニウムに直接変
換するのは甚だ困難であるため、アーウィンの製造用原
料として大量使用迄には至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アルミ灰からアーウィ
ンを製造するには、アルミ灰と石膏との混合物を大気中
で焼成することでアルミ灰を構成する種々のアルミニウ
ム化合物の熱分解と該熱分解物の酸化合成反応を生じさ
せて酸化物を生成させてきたが、この方法ではアルミ灰
中のとりわけ金属アルミニウムと窒化アルミニウムの存
在によって焼成雰囲気は還元性雰囲気となり易いため酸
化反応が起こり難く、また、添加した石膏も分解し易
く、アーウィンの生成が困難になる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミ灰
中のアルミニウム及びその化合物をアルミニウムの酸化
物に変化せしめるに際し、アルミニウム及びその化合物
から容易に生成することができ、かつ酸化が起こり易い
物質であるアルミン酸塩や水酸化アルミニウムに着目
し、これらの物質をアルミ灰から効率良く反応生成さ
せ、これらの物質を経てアーウィンが形成される製造プ
ロセスとしたこと。更に、該反応生成物と石膏の混合物
を焼成することで石膏の分解を防ぎアーウィン形成に有
効的に寄与させたこと。また一般に活性度が高い反応源
ほど反応し易いことから、出発原料として活性度を高め
たアルミ灰を用いることなどにより前記課題を解消し
た。
【0006】即ち、本発明はアルミ灰と含酸素カルシウ
ム化合物と石膏との混合物に苛性アルカリと水を加えた
もの、若しくは、アルミ灰と含酸素カルシウム化合物と
の混合物に苛性アルカリと水を加えた後、これに石膏を
加えたものの何れかを1000〜1350℃で焼成する
ことを特徴とするアーウィンの製造方法である。また、
本発明は前記アルミ灰の粒度が0.15mm以下である
ことを特徴とするアーウィンの製造方法である。
【0007】
【発明の実施形態】本発明の原料としてのアルミ灰は、
特に発生源は限定されないが、通常はアルミニウムスク
ラップ、アルミニウム溶融再生工程で発生するものの
他、アルミニウム製品の廃棄処理の焼却時に発生するも
のなどを用いることができる。また、使用に先立ち、例
えば磁力選別等で他の金属不純物を除去するなど必要に
応じ、公知の方法でアルミニウム又はアルミニウム化合
物以外の混入物を除去しておくのが望ましい。
【0008】このようなアルミ灰中の金属アルミニウム
の含有量は、概ねアルミ灰の粒度に比例し、粒度が大き
いものほど金属アルミニウムを多量に含む傾向があり、
金属アルミニウム高含有のものは、一般にアルミニウム
金属原料への再生利用に供されることが多い。本発明で
は、金属アルミニウム含有量が比較的高い粒度が大きい
アルミ灰であっても用いることができるが、寧ろ、従来
廃棄処理されていたような粒度の小さいアルミ灰を好適
な使用対象とする。これは粒度が小さいものほど反応活
性が高いためであって、もとのアルミ灰の粒度によって
は、粉砕・分級等の操作を施し、粒度0.15mm以下
に調整したアルミ灰を使用するのが好ましい。
【0009】本発明の製造方法では、前記アルミ灰に含
酸素カルシウム化合物を加えて混合する、又は前記アル
ミ灰に含酸素カルシウム化合物と石膏との混合物を加え
て混合する。含酸素カルシウム化合物としては、水酸化
カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸
カルシウムなどのカルシウムの酸素を含む無機塩であれ
ば何れのものでも用いることができ、また係る無機塩の
混合物でも良いが、望ましくは反応性が高い酸化カルシ
ウムを用いる。該含酸素カルシウム化合物の添加量はア
ルミ灰100重量部に対し、酸化カルシウム換算で35
〜50重量%とする。また、石膏を添加する場合の添加
量はアルミ灰100重量部に対し、35〜50重量部と
する。石膏はアーウィン形成成分としての硫酸塩源とし
ての作用を有するが、この段階では分解したり、アルミ
ニウム化合物と複塩を形成することはない。
【0010】前記アルミ灰と含酸素カルシウム化合物と
の混合物、又はアルミ灰と含酸素カルシウム化合と石膏
との混合物に、水と苛性アルカリを添加する。苛性アル
カリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等を用いることができる。アルミ灰中の金属アルミニ
ウムは酸化カルシウム及び水と反応し、水素を発生して
酸化が容易なアルミン酸塩を生成する。同時に添加する
苛性アルカリはこの反応を促進する作用を有する。また
アルミ灰中の窒化アルミニウムは水と極めて容易に反応
し、アンモニアガスを生じて水酸化アルミニウムを生成
する。以上の各生成反応に際しては外部からの加熱等を
行う必要は無く、室温で速やかに進行する。反応終了の
目安としては水素ガス又はアンモニアガスの何れもが発
生しなくなった時点とする。また、水と苛性アルカリの
添加量は、アルミ灰中の金属アルミニウム含有量に応じ
て変化させるのが望ましく、一般に金属アルミニウム含
有量が高いものほど水の添加量と苛性アルカリの添加量
を共に多くするのが良い。水の添加量は、含酸素カルシ
ウム化合物と石膏とアルミ灰との混合物、若しくは含酸
素カルシウム化合物とアルミ灰との混合物100重量部
に対して、50〜500重量部の範囲で選択することが
でき、また苛性アルカリの添加量は、含酸素カルシウム
化合物と石膏とアルミ灰との混合物100重量部に対し
て、1〜10重量部の範囲で選択することができる。水
及び苛性アルカリの添加量が少ない場合は、アルミ灰中
の金属アルミニウムが全量反応せず、一部が未反応のま
ま残ることがあるので好ましくない。また苛性アルカリ
の添加量が10重量部を越えても、反応性の向上は殆ど
見られず、また水の添加量が500重量部を越えるとア
ルミン酸生成反応に寄与しない水分が過多となることが
あるので好ましくない。尚、アルミ灰と含酸素カルシウ
ム化合物のみからなる混合物に水と苛性アルカリを添加
したものについては前記反応終了後に石膏を加える。こ
の場合の石膏添加量もアルミ灰100重量部に対して3
5〜50重量部とする。
【0011】前記反応処理を行ったものは、水分含有量
が多いものでは必要に応じて乾燥・脱水処理を行う。水
分含有量が殆どないものを焼成することによって高品位
のアーウィンを得ることが出来る。焼成は空気中又は酸
化性雰囲気下で行うのが望ましく、焼成温度は1000
℃〜1350℃とする。1000℃未満ではアーウィン
生成が不十分となることがあり、また1350℃を越え
る温度では、成形物が溶融するため好ましくない。より
一層好ましい焼成温度は1200〜1300℃である。
尚、焼成装置は前記焼成条件が発現可能な装置であれば
特に限定されない。
【0012】
【実施例】[実施例1] 表1に表す成分(何れも重量
%)からなるアルミ灰をバッチ式ボールミル粉砕機で粉
砕し、得られた粉砕物を分級し、0.15mm以下のア
ルミ灰を得た。
【0013】
【表1】
【0014】このアルミ灰52Kgに酸化カルシウム2
7Kgと無水石膏21Kgを加え、ナウターミキサーで
約15分間混合した。混合後、これに水300Kgと水
酸化ナトリウム5Kgを加えて約15分間撹拌混合し
た。撹拌混合によってアルミン酸生成反応が開始し、湿
式混合後、該反応に伴う水素ガスの発生が終わるまで静
置した。次いで、これを約105℃に保った乾燥機中に
入れ残水の脱水を行った後、バッチ式ボールミル粉砕機
で粉砕した。粉砕物は篩を通し、150μm通過粉を用
いてパン型ペレタイザーで造粒し、粒径5〜10mmに
調整した顆粒をロータリーキルンを用いて焼成した。焼
成は送入量5Kg/時、焼成温度1300℃、窯内滞留
時間約60分で行った。得られた焼成物は粉末エックス
線回折(CuKα線)により、主な生成相を調べたとこ
ろ、大量のアーウィンが生成していた。また、窒化アル
ミニウム、水酸化アルミニウム、カルシウムアルミネー
トは何れも検出されなかった。
【0015】[比較例1] 前記実施例1と同様の成分
からなるアルミ灰を1100℃で空気中で焼成した後、
焼成物を粉砕・分級し、0.15mm以下のアルミ灰焼
成粉末を得た。該アルミ灰焼成粉末52Kgに酸化カル
シウム27Kgと無水石膏21Kgを加え、パン型ペレ
タイザーで造粒し、得られた顆粒をロータリーキルンを
用いて焼成した。焼成は送入量5Kg/時、焼成温度1
260℃、窯内滞留時間約60分で行った。得られた焼
成物は前記実施例1と同様に粉末エックス線回折により
生成相を調べた。その結果、アーウィンが生成相として
検出されたが、その生成量は前記実施例1よりもかなり
少なく、更に多量のカルシウムアルミネートが生成相と
して検出された。
【0016】[比較例2] 前記実施例1と同様の成分
からなるアルミ灰を粉砕・分級し、0.15mm以下の
アルミ灰粉末5.2Kgに酸化カルシウム2.7Kgと
水30Kgを加え、ハンドミキサーで約15分間混合し
た。混合物を温度約80℃に保った恒温器に約120分
間入れた。加熱後の混合物を濾過し、液分除去した後の
固形分残渣に無水石膏約2.1Kgを加えてボールミル
を用いて混合したものを電気炉により空気中で約800
℃で焼成した。得られた焼成物は粉末エックス線回折に
より、主な生成相とその生成量を調べた。その結果、ア
ーウィンは検出されず、カルシウムアルミネートと無水
石膏が何れも多量に検出された。
【0017】
【発明の効果】本発明により、主に埋め立て廃棄処分さ
れていた金属含有量の少ないアルミ灰をアーウィン系水
硬性材料構成成分の酸化アルミニウム源として使用する
ことが十分可能となり、資源の有効利用を図ることがで
きる。また本発明の製造方法はアーウィンを比較的安価
にかつ高い効率で容易に製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ灰と含酸素カルシウム化合物と石
    膏との混合物に苛性アルカリと水を加えたもの、若しく
    は、アルミ灰と含酸素カルシウム化合物との混合物に苛
    性アルカリと水を加えた後、これに石膏を加えたものの
    何れかを1000〜1350℃で焼成することを特徴と
    するアーウィンの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミ灰の粒度が0.15mm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載のアーウィンの製造方
    法。
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