JPH11188621A - 研削盤におけるテーパ補正方法及びその装置 - Google Patents

研削盤におけるテーパ補正方法及びその装置

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JPH11188621A
JPH11188621A JP36157897A JP36157897A JPH11188621A JP H11188621 A JPH11188621 A JP H11188621A JP 36157897 A JP36157897 A JP 36157897A JP 36157897 A JP36157897 A JP 36157897A JP H11188621 A JPH11188621 A JP H11188621A
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Yoshiharu Oyabe
快晴 親部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワークのテーパ補正を迅速に行い、ワークの
研削能率を向上することができる研削盤のテーパ補正方
法を提供する。 【解決手段】 砥石車31〜35によるワークWの研削
前に該ワークに要求されるテーパ補正量εを、予め記憶
したデータベースから検索したテーパ補正量に基づいて
補正する。その後、ワークWの研削作業に移行し、複数
の定寸装置28,29により測定されたワーク両端部の
被研削面の外径寸法データに基づいてワークWの回転軸
線O1に対する砥石車31〜35の回転軸線O2の傾角
θを補正してワークの外周面のテーパを補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、研削盤のテーパ
補正方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、クランクシャフトやカムシャフ
ト等の非真円形状のワークを研削する研削盤は、ワーク
の一端を主軸台上の心押台で支持し、他端を主軸のワー
クチャックによりクランプして回転させるようになって
いる。又、ワークの回転軸線と砥石台に設けた複数の砥
石車の回転軸線とを平行にして、前記ワークの回転軸線
と直交する方向に砥石車を研削方向へ進退する。そし
て、ワークの研削作業中に複数の定寸装置により測定さ
れたワーク両端部の被研削面の外径寸法データに基づい
てワークの回転軸線に対する前記砥石車の回転軸線の傾
角を調整してワークの外周面のテーパが「零」、つまり
ワークの両端部の被研削面の外径寸法が同一になるよう
にしている。
【0003】ワーク支持機構により支持されて回転する
ワークの回転軸線と砥石台に支持された砥石車の回転軸
線とは研削盤の設計段階で平行になるように設計されて
いる。又、複数の砥石車の直径も同じになるように設計
されている。しかし、研削盤の各部品の製造誤差及び組
み付け誤差等によりワークを研削した場合、そのワーク
の両端部の被研削面の外径寸法が異なりワークの被研削
面がテーパとなる場合が多い。
【0004】特に、研削盤によりワークの研削作業を開
始した稼働初期においては、研削盤の温度が次第に上昇
していくので、その温度変化により研削盤を構成する各
部品の熱膨張の相違によりワークが同一の切削条件であ
ってもワークの両端部の外径寸法の差、つまりワークの
テーパ精度が大きく変化する。稼働初期においては、例
えば第1回目〜第5回目のワークの研削時にはワークの
テーパ補正に必要となるワークの回転軸線に対する砥石
車の回転軸線の傾角が大きく変化する。これらのテーパ
補正は、従来、砥石車が待機位置からワークの被研削面
に接触する直前までは全く行われず、砥石車がワークの
研削を開始した後、定寸装置によるワーク両端部の外径
寸法の測定データに基づいてテーパ補正装置のサーボモ
ータがフィードバック制御されることにより行われる。
【0005】又、研削盤においては、ワークの研削作業
中にワークが砥石車により必要以上に押されないように
砥石車に対向する位置に複数のレスト装置を設け、研削
量の変化に追従してワークに接触するレスト装置の前進
位置を制御したり、ワークの被研削面に対するレスト装
置の押圧力を制御したりしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の研削
盤の稼働初期におけるワークのテーパ補正方法は、前述
したように、砥石車がワークの被研削面に接触してから
行われるので、テーパ補正に要する時間が長くなりワー
クの研削時間を短縮することができないという問題があ
った。この理由を以下に説明する。
【0007】ワークのテーパ補正装置を簡略化した図1
5に示すように、ワークWの回転軸線O1に対する砥石
車91,92,93の回転軸線O2の支点Oを中心とす
る傾角は、モータM1により調整される。この傾角の調
整は前記両回転軸線O1,O2が平行な状態を基準位置
として、モータM2による砥石車91,92,93のワ
ークWの回転軸線O1に直交する送り方向と同方向に進
退する。上記のテーパ補正が切削方向と同方向の場合に
は、砥石車91,92,93の回転軸線O2の補正点P
1をワークWの切り込み量を増大しワークWの右端ピン
部W3の外径寸法が左端ピン部W1の外径寸法よりも減
少するマイナス側への補正となる。又、逆方向の場合に
は、ワークWの切り込み量を減少しワークの右端ピン部
W3の外径寸法を左端ピン部W1の外径寸法よりも増大
するプラス側への補正となる。そして、後者のプラス側
へのテーパ補正のみであれば、研削中にテーパ補正を行
ってもモータM2による砥石車の前進送り速度を遅くす
る必要はないので、研削時間が延びることはない。しか
し、このプラス側への補正を行いながらワークを研削す
ると、ワークの歪みの増加や面粗度の悪化等が生じるの
で、結局は砥石車の送り速度及びテーパ補正送り速度を
共に遅くしているのが実状である。反対に前記マイナス
側へのテーパ補正は、研削中に砥石車の送り動作を停止
して行う必要があり、テーパ補正量が大きいほど研削作
業時間が長くなるという問題がある。
【0008】上記の問題は、研削盤の稼働初期において
顕著であるが、定常運転中においても生じる。即ち、研
削盤による研削動作が所定回数行われて、研削盤の各機
構が安定した動作を行う定常運転領域にあっては、同じ
種類のワークのそれぞれのテーパ補正量は減少し、か
つ、個々のワークのテーパ補正量は殆ど変化しない安定
領域である。しかし、研削中にテーパ補正量を行うの
で、その分研削作業時間が長くなる。
【0009】以上のことを勘案すると、ワークの研削中
に砥石車の補正点のプラス側及びマイナス側へのテーパ
補正が全く行われないか、行われても補正量が極めて少
ないことが研削作業時間の短縮とワークの被研削面の歪
みや面粗度等の精度を向上する上で理想的である。
【0010】一方、前記レスト装置はサーボモータによ
り前後進され、位置決めのみ、又は、急速前後進を位置
決めで行い、その他をトルクで制御するようになってい
る。そして、ワークのテーパ補正装置を動作させて、ワ
ークの被研削面の外径寸法差、つまりテーパを補正する
際、その外径寸法差に微妙な影響を与えるレスト装置の
前進位置の補正及び被研削面に対する押圧力の補正は従
来行われていない。従って、ワークのテーパ補正量の変
化の大きな研削盤では、レスト装置の前進位置あるいは
押圧力の不良によりワークの被研削面の支持機能が過大
又は低下し、ワークの真円度あるいは真直度等の精度が
不安定になるという問題があった。
【0011】この発明は、従来の技術に存在する問題点
に着目してなされたものであって、その第1の目的は、
ワークのテーパ補正を迅速に行い、ワークの研削能率を
向上することができる研削盤におけるテーパ補正方法及
びその装置を提供することにある。
【0012】この発明の第2の目的は、上記の第1の目
的に加えて、レスト装置によるワークの被研削面の支持
機能を適正化し、ワークの真円度あるいは真直度等の精
度を向上することができる研削盤におけるテーパ補正方
法及びその装置を提供することにある。
【0013】この発明の第3の目的は、上記の第1又は
第2の目的に加えて、ワークのテーパ精度を向上するこ
とができるテーパ補正方法及びその装置を提供すること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記目的を達成するために、ワーク支持機構により両端
部を把持されたワークの回転軸線と砥石台に設けた砥石
車の回転軸線とをほぼ平行にして、前記ワークの回転軸
線と直交する方向に砥石車を進退し、ワークの研削作業
中に少なくとも2個の定寸装置により測定されたワーク
両端部の被研削面の外径寸法に基づいてワークの回転軸
線に対する前記砥石車の回転軸線の傾角を補正してワー
クの被研削面のテーパが「零」になるようにした研削盤
において、前記砥石車によるワークの研削に要求される
テーパ補正量を、予め記憶したデータベースから検索し
たテーパ補正量に基づいて補正量を加減算して、ワーク
の研削作業に移行し、前記定寸装置により測定されたワ
ーク両端部の被研削面の外径寸法に基づいて砥石車の回
転軸線の前記傾角を補正してワークの被研削面のテーパ
が「零」になるようにするという手段をとっている。
【0015】請求項2記載の発明においては、請求項1
において、複数個のワークを順次試研削し、それらのワ
ークの被研削面のテーパ補正された補正量を、各ワーク
の種類や大きさ等のワークデータ及びそれらの研削条件
データとともにデータベースとして記憶する第1の工程
と、前記データベースから新たに研削するワークのワー
クデータに対応する研削条件データを検索し、この検索
データに対応して記憶されたテーパ補正量を、新たに研
削するワークのテーパ補正量として設定する第2の工程
と、砥石車が待機位置からワークに接触して前記研削作
業に移行するまでの間に、前記第2の工程で設定された
前記テーパ補正量を砥石車の回転軸線の前記傾角を所定
角度に調整する第3の工程とを備えている。
【0016】請求項3記載の発明においては、請求項2
において、前記第1の工程で、ワークの被研削面のテー
パ補正量が比較的大きく現れる研削作業開始の稼働初期
に複数個のワークが順次試研削され、前記第2の工程
で、新たに研削するワークのワークデータに対応する研
削条件データの検索は、次回に加工する研削盤の稼働初
期において行われるものである。
【0017】請求項4記載の発明においては、請求項3
において、砥石車の回転軸線の前記傾角の調整に追従し
て、ワークの複数の被研削面への複数の砥石車の押圧力
に対抗する複数のレスト装置のワーク支持開始位置を調
整するようにしている。
【0018】請求項5記載の発明においては、請求項3
において、砥石車の回転軸線の前記傾角の調整に追従し
て、ワークの被研削面への複数の砥石車の押圧力に対抗
する複数のレスト装置によるワークの被研削面への押圧
力を調整するようにしている。
【0019】請求項6記載の発明においては、請求項3
〜5のいずれか一つにおいて、前記第1の工程で、複数
のワークデータ及びそれらと対応するテーパ補正量に基
づいて、該ワークデータと近似するワークのテーパ補正
量を演算する演算用データをデータベースに記憶し、前
記第2の工程で、新たに研削するワークのワークデータ
がない場合に、前記演算用データに基づいて新たに研削
するワークのテーパ補正量を演算設定するようにしてい
る。
【0020】請求項7記載の発明においては、請求項3
〜5のいずれか一つにおいて、第1の工程でワークの研
削加工の回数をデータベースとして記憶し、このデータ
ベースから第2の工程で新たに研削するワークの研削加
工の回数と対応する加工回数のテーパ補正量を検索し、
これを新たに研削するワークのテーパ補正量として設定
するようにしている。
【0021】請求項8記載の発明においては、請求項3
〜5のいずれか一つにおいて、同種の複数のワークの研
削時の周囲温度をそれぞれサンプリングし、同種の複数
のワークについて温度変化した場合のテーパ補正量の修
正係数を算定してデータベースに記憶し、新たに研削す
るワークのテーパ補正量を設定する際、新たに研削する
ワークの研削時の周囲温度と前記記憶された周囲温度を
比較し、その温度における前記補正値によりワークのテ
ーパ補正量を修正演算するようにしている。
【0022】請求項9記載の発明においては、請求項3
〜5のいずれか一つにおいて、研削終了後の常温状態に
おけるワークの両端部の被研削面の外径寸法差が「零」
となるように研削中におけるワークの前記テーパ補正値
を、各ワークの種類毎に予め試研削してデータベースに
記憶し、該データベースから新たに研削するワークに対
応する研削時におけるテーパ補正値を検索し、このテー
パ補正値に基づいて第1の工程の試研削を行うようにし
ている。
【0023】請求項10記載の発明においては、請求項
9において、前記テーパ補正値に基づいて第1の工程の
試研削を行う動作に代えて、このテーパ補正値に基づい
て前記ワークのテーパ補正量を修正演算するようにして
いる。
【0024】請求項11記載の発明においては、請求項
9において、前記ワークのテーパ補正値を中心として、
粗研削、中研削及び精研削工程毎にテーパ補正量の許容
範囲を段階的に減少するようにしている。
【0025】請求項12記載の発明においては、請求項
11において、前記粗研削、中研削及び精研削工程の各
初期の段階ではテーパ補正せず、終期にテーパ補正を行
うようにしている。
【0026】請求項13記載の発明においては、ワーク
テーブルに設けた主軸台上の主軸と心押台とによりワー
クの両端部を把持してワークを回転させるワーク支持機
構と、前記ワークの被研削面に回転接触して被研削面を
研削する砥石車を有する砥石台と、前記砥石台と砥石車
の間に設けられ、ワークの外周面のテーパ補正量に応じ
て前記ワークの回転軸線に対する前記砥石車の回転軸線
の傾角を調整する傾角調整手段と、前記ワークに対し前
記砥石台を前記砥石車とともに進退移動する砥石台駆動
手段と、前記ワークの両端部の被研削面の外径寸法を測
定する少なくとも2個の定寸装置とを備えた研削盤にお
いて、研削盤により複数のワークを研削して得られた各
ワークの種類、長さ、重量、材質あるいは硬度等のワー
クデータ、該ワークデータに応じた砥石車の回転速度、
送り速度等の研削条件データ及びそれらに対応するワー
クの外周面のテーパ補正量をデータベースとして記憶し
た記憶手段と、前記データベースから新たに研削するワ
ークに対応するワークデータ、研削条件データ及びテー
パ補正量を検索する検索手段と、前記研削条件データ及
びテーパ補正量に基づいて前記傾角調整手段、砥石台駆
動手段の動作を制御する制御手段とを備えている。
【0027】請求項14記載の発明においては、請求項
13において、前記記憶手段は、研削盤の稼働初期に複
数のワークを研削して得られた各ワークのワークデー
タ、研削条件データ及びそれらに対応するワークの被研
削面のテーパ補正量を記憶したものであり、前記検索手
段は、次回に加工する研削盤の稼働初期において、前記
データベースから新たに研削するワークに対応するワー
クデータ、研削条件データ及びテーパ補正量を検索する
ものである。
【0028】請求項15記載の発明においては、請求項
14において、研削盤は前記ワークを砥石車により研削
する際、ワークの被研削面を支持する複数のレスト装置
と、前記レスト装置をワークの研削量に応じて移動する
レスト装置駆動手段とを備え、前記制御手段は、テーパ
補正量の変更に追従して前記各レスト装置の前進位置を
調整し、レスト装置のワークへの押圧力を調整するもの
である。
【0029】請求項16記載の発明においては、請求項
14又は15のいずれかにおいて、前記研削盤は、ワー
クの研削回数を検出する回数検出手段を備え、前記検索
手段は、前記回数検出手段からの回数データに基づい
て、前記記憶手段のデータベースから該当する研削条件
データ及びテーパ補正量を検索するものである。
【0030】請求項17記載の発明においては、請求項
16において、前記研削盤は、周囲の室内温度、あるい
は研削盤の砥石台付近の温度を検出する温度検出手段を
備え、前記制御手段は、前記温度検出手段からの温度デ
ータに基づいて、テーパ補正量を演算する手段を有する
ものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施形態を図
1〜図14に基づいて説明する。図1は本発明をクラン
クシャフトのジャーナル部を研削する研削盤に適応した
場合を示す全体の構成図である。図1において符号11
はクランクシャフトW(以下ワークWという)の被研削
部にある5個のジャーナル部W1,W2,W3,W4,
W5を同時に研削加工する研削盤、51は研削盤11を
制御する数値制御装置である。研削盤11のベッド12
の上面にはテーブル13が設けられ、このテーブル13
上の左右2箇所にはワークWを支持する主軸台14,1
5が配設されている。前記ベッド12上の後部側には砥
石台16がワークWに向かって前後進可能に装設されて
いる。
【0032】前記主軸台14,15は、数値制御装置5
1により同期制御されるサーボモータ(図示略)を備
え、このサーボモータにより回転される主軸17,18
の先端には、チャック19,20が取り付けられてい
る。前記両チャック19,20は、ワークWの両端のジ
ャーナル部をクランプする。図1において、主軸台1
4,15の中間部分に位置するようにテーブル13上に
は第1〜第3のレスト装置21a,21b,21cが装
設されている。このレスト装置21a,21b,21c
は、研削加工中の各ジャーナル部W1,W2,W3,W
4,W5の内、ジャーナル部W1,W3,W5をその外
周の砥石車31,33,35に対向する位置から支持す
る。前記ワークWのジャーナル部W2,W4と対応する
ように、各レスト装置21a,21b,21cの間には
第1及び第2の定寸装置28,29がテーブル13に装
設されている。この両定寸装置28,29により測定さ
れた両ジャーナル部W2,W4の外径寸法の測定値が数
値制御装置51に入力される。
【0033】前記砥石台16はワークWの回転軸線O1
方向に並ぶ第1〜第5のジャーナル部W1〜W5を同時
に研削する第1〜第5の砥石車31,32,33,3
4,35と、これらの砥石車31〜35を装着した砥石
軸36を備えている。前記砥石軸36は前記テーブル1
3上において軸受部材37,38により支持されてい
る。前記砥石軸36の一方の端部には駆動プーリ39が
嵌合固定され、図示しない駆動ベルト及び駆動モータ4
0により回転される。前記一方の軸受部材38側にはワ
ークWの回転軸線O1に対する砥石車31〜35の回転
軸線O2の傾角を調整して、ワークWのテーパを「零」
に補正するための傾角調整手段41が装着されている。
この傾角調整手段41のサーボモータ42は駆動回路4
3を介して数値制御装置51に接続されている。さら
に、前記ベッド12には前記砥石台16をワークWに向
かって前後に送り動作するための砥石台送り用の正逆回
転するサーボモータ44が取り付けられ、該モータ44
は駆動回路45を介して数値制御装置51に接続されて
いる。
【0034】前記数値制御装置51は研削盤全体の各種
動作を制御し、管理する中央処理装置(以下CPUとい
う)52、ランダムアクセスメモリ(以下RAMとい
う)53及びリードオンリメモリー(以下ROMとい
う)54を備えている。前記RAM53にはワークWの
ジャーナル部W1〜W5の研削加工プログラム、レスト
装置の動作制御プログラムなどが格納されている。符号
55はインターフェース(IF)、57は制御データな
どを入力するキーボードを有する入力装置、58はディ
スプレイなどを有する表示装置である。又、各サーボモ
ータ42,44の回転位置検出器(図示略)は数値制御
装置51に接続されている。
【0035】次に、前記第1〜第3のレスト装置21
a,21b,21c及び両定寸装置28,29について
説明する。前記レスト装置21a,21b,21cはそ
れぞれテーブル13に装着され、前記三つのジャーナル
部W1,W3,W5に対応する送り用サーボモータ2
2,23,24を備え、各サーボモータ22,23,2
4は、それぞれの駆動回路25,26,27を介して数
値制御装置51に接続されている。図2に示すようにワ
ークWの各ジャーナル部W1,W3,W5は、レスト装
置21a,21b,21cを構成する上部ラム61及び
下部ラム62の先端部に取着した上部シュー63及び下
部シュー64によって支持され、砥石車31,33,3
5によるワークのジャーナル部W1,W3,W5の研削
作業中において、砥石車31,33,35の押圧力を反
対側及び下側から支持し、ワークの研削を適正に行う。
前記上部ラム61は送り用サーボモータ22,23,2
4によってワークのジャーナル部W1,W3,W5に対
し水平方向に個別に前後進動作される。前記下部ラム6
2は送り用サーボモータ22a,23a,24aによっ
てワークのジャーナル部W1,W3,W5に対し上下方
向に個別に進退動作される。各サーボモータ22a,2
3a,24aは、それぞれの駆動回路25a,26a,
27aを介して数値制御装置51に接続されている。
【0036】定寸装置28,29は支持部材71に支持
された上下一対の測定用レバー72,73を備え、第1
〜第5のジャーナル部W1〜W5のうち第2,4のジャ
ーナル部W2,W4の外周面に上下両側から測定用レバ
ー72,73を当接し、この測定レバー72,73の機
械的変位を内蔵の作動トランス(図示略)により電気的
信号に変換し、この信号をワークWのジャーナル部W
2,W4の外径寸法信号として数値制御装置51に出力
する。なお、この実施形態では第2,4のジャーナル部
W2,W4の外径寸法を測定するようにしたが、この測
定位置はジャーナル部W1,W5あるいはW1,W4で
あっても良く、要するにワークのジャーナル部W1〜W
5のテーパを測定できる箇所であれば、どのジャーナル
部を測定してもよい。特許請求の範囲におけるワークの
両端部の外径寸法とは上記のことも含むものとする。
【0037】次に、砥石軸36の回転軸線O2の傾角調
整手段41の構成を図3に基づいて説明する。前記砥石
軸36を支持する一対の軸受部材37,38のうち一方
の軸受部材38を砥石台16に支持された固定支持軸8
1に取付固定したブラケット82に支持している。固定
支持軸81から側方に所定距離をおいた位置にカム83
が所定位置において回動可能に支持され、該カム83に
より作動ロッド84を上下に動作し、軸受部材38を図
3において水平方向に往復動するようにしている。これ
によって図4に示すようにワークWの回転軸線O1に対
する砥石車31〜35の回転軸線O2の支点Oを中心と
する傾角θを両軸線O1,O2が平行となる基準位置か
らプラス側あるいはマイナス側に調整し、ワークWのジ
ャーナル部W2,W4の外径寸法差δ(0μm)が同一
(テーパが無し)になるように補正したり、外径寸法差
δが設定された狙い値(μm>0)となるように調整し
たりすることが可能である。
【0038】この実施形態では前記傾角θは傾角調整手
段41による回転軸線O2上の補正点P1の補正量でも
あるので、これを砥石車の回転軸線O2のテーパ補正量
εということにする。
【0039】次に、前記のように構成した研削盤を使用
して、ワークWのテーパを補正する第1〜第3のテーパ
補正方法について以下に順次説明する。 (第1のテーパ補正方法)この第1のテーパ補正方法
は、研削作業中においてワークWの両端部のジャーナル
部W2,W4の外径寸法差δの狙い値が「零」となるよ
うにテーパ補正するものである。従って、この補正方法
は、前記ワークWを研削盤から外して常温で外径寸法差
δを測定しても「零」となるワークを対象とするもので
ある。
【0040】図5のフローチャートは、研削盤が起動さ
れてから安定した研削作業を行うことができるまでの複
数回(例えば第1〜第13回)のワークWの研削作業を
行って、各加工回数とテーパ補正量εとの関係を予め求
める動作工程を示す。
【0041】図5のステップS1においては、研削盤が
起動されてからワークWの回転軸線O1に対する砥石車
31〜35の回転軸線O2の傾角θに比例する砥石車3
1〜35のテーパ補正量εが安定化するまでの複数回数
(第1〜第13回)のテーパ補正量εをサンプリングす
る。
【0042】次に、ステップS2において、ステップS
1で得られた各研削回数のテーパ補正量εを、ワークの
種類、長さ、重量、材質、硬度等のワークデータ、砥石
車31〜35の回転数、送り速度等の研削条件データと
共にRAM53にデータベースとして記憶する。
【0043】なお、例えばワークデータとしてはワーク
の種類(クランクシャフト、カムシャフト)、長さ(3
00mm,400mm)、重量(10kg,12kg,
14kg)、材質(S53C,FCD70)、硬度(R
D90,RB100)などがある。又、研削条件データ
としては、主軸17,18の回転速度(粗研削120/
rpm,中研削80/rpm,精研削60/rpm)、
砥石車の送り速度(粗研削 80μm/秒、中研削20
μm/秒、精研削3μm/秒)がある。
【0044】次に、ステップS3において、ステップS
2で得られたデータベースに記憶された各データを基
に、同じ種類で同一規格のワークWの第1回目〜第13
回目までのテーパ補正量εの傾向を図6に示すグラフの
ように求め、これをRAM53にデータベースとして記
憶する。なお、このデータベースとして、異なる種類の
ワークについて、同様のサンプリングがそれぞれ行わ
れ、第1〜第13回目のテーパ補正量εの傾向がそれぞ
れ記憶されている。
【0045】次に、前記のようにして得られたデータベ
ースのテーパ補正量εに基づいて、ワークWを試し加工
し、記憶されたテーパ補正量εの精度が目標精度になる
か否かを検証する動作を図7のフローチャートに基づい
て説明する。
【0046】図7において、ステップS11で、試し研
削するワークWのワークデータ(長さ、材質、硬度、重
量、クランクシャフト、カムシャフトなどの種類)をデ
ィスプレイの画面にて入力装置57により入力する。
【0047】次に、ステップS12において入力された
ワークデータがデータベースに記憶されているか否かを
判別してYESの場合には、ステップS13においてデ
ータベースに記憶された該当するワークのテーパ補正量
εを検索して設定する。又、ステップS12でNOと判
断された場合にはステップS14でデータベースのテー
パ補正量εの傾向グラフから中間のテーパ補正量εを演
算して設定する。
【0048】次に、ステップS15で、設定されたテー
パ補正量εにより砥石車31〜35の傾角調整手段41
を作動してワークWを試し研削加工する。次に、ステッ
プS16で研削されたワークWのテーパ精度を測定し、
ステップS17でテーパ精度が目標精度であるか否かが
判断され、YESの場合にはデータベースに記憶された
テーパ補正量εを修正することなく終了する。又、反対
にステップS17でNOと判断された場合にはステップ
S18でデータベースのテーパ補正量εを修正した後、
ステップS15に戻って試し加工を行う。そして、図6
に示すテーパ補正量εの傾向グラフを精度の高いものに
修正する。
【0049】次に、前記のようにして得られた各種のワ
ークの研削加工回数とテーパ補正量εの関係(傾向グラ
フ)を記憶したデータベースに基づいて、新たにワーク
Wの研削加工を行う動作を図8のフローチャートに基づ
いて説明する。
【0050】図8のステップS31において、第1回目
のワークWの研削作業を研削盤の起動スイッチをONし
た直後に行う際、そのワークのデータを入力装置57に
より入力する。このワークデータとしては、例えばワー
クの種類がクランクシャフトの場合、その長さ:300
mm、重量:10kg、材質:FCD70、硬度:RB
90が入力される。次に、ステップS32において、新
たに研削される第1回目のワークのデータと同じワーク
データがあるか否かを前記データベースにより検索する
動作を開始する。そして、ステップS33において、入
力されたワークデータがデータベースに記憶されている
と判断された場合には、そのデータベースから第1回目
のワークのテーパ補正量「ε=−50μm、図6のグラ
フ参照」を検索して、この値を新たに研削する第1回目
のワークの研削時の砥石車31〜35のテーパ補正量ε
として設定する。ステップS33でNOと判断された場
合には、図6に示す傾向グラフから適正テーパ補正量ε
が演算され、ステップS36に移行する。
【0051】ステップS36では、一対の定寸装置2
8,29のワークWのジャーナル部W2,W4の外径寸
法差δの狙い値が「零」に設定保持される。図9(a)
参照次に、ステップS37において、砥石車31〜35
が待機位置からワークWに接触する直前位置に位置決め
するまでの間に砥石車31〜35の回転軸線O2の傾角
θを変更してテーパ補正量εを−50μmに変更する。
【0052】次に、ステップS38において、砥石車3
1〜35を前記急速前進位置から高速(80μm/秒)
で砥石車31〜35の回転軸線O2の傾角θを所定角度
に保持したままワークWの回転軸線O1に向かって直交
する方向に移動し、粗研削を所定量行う。次に、ステッ
プS39において、定寸装置28,29の外径寸法デー
タに基づいてテーパ補正を行いながら粗研削を所定量行
う。
【0053】前記ステップS38においてはワークWの
ジャーナル部W2,W4の外径寸法が例えば25mmの
場合に、粗研削量は直径の取代分で800μmに設定さ
れ、この場合には、600μmまで傾角調整手段41に
よるテーパ補正を行わないで粗研削が行われる。そし
て、残りの取代が200μmで定寸装置28,29のジ
ャーナル部W2,W4の外径寸法の測定データに基づい
て、ワークのジャーナル部W2,W4の外径寸法差δが
「零」を狙い値として、±15μmの許容範囲に収まる
ように粗研削が行われる。図9(a)参照。
【0054】次に、粗研削が終わった後、引き続いてス
テップS40で、砥石車31〜35の送り速度が高速か
ら中速(20μm/秒)に切替えられてテーパ補正を行
うことなく中研削が所定量行われる。次に、ステップS
41において、定寸装置28,29の外径寸法が予め設
定された寸法になると測定データに基づいてテーパ補正
を行いながら中研削を所定量行う。
【0055】前記中研削量が例えば100μmの場合、
80μmまではテーパ補正が行われず、残りの20μm
になった時点からテーパ補正を開始して研削中にワーク
のジャーナル部W2,W4の外径寸法差δが「零」を狙
い値として、±5μmの許容範囲に収まるように中研削
が行われる。図9(a)参照。
【0056】さらに、ステップS42で砥石車の送り速
度が中速から低速(3μm/秒)に切り換えられてテー
パ補正することなく精研削が所定量行われ、次に、ステ
ップS43において、定寸装置28,29の外径寸法が
予め設定された直径になると定寸装置28,29の測定
データに基づいてテーパ補正を行いながら精研削を所定
量行う。
【0057】前記精研削量が例えば50μmの場合、4
0μmまではテーパ補正が行われず、残りの10μmの
精研削中にワークのジャーナル部W2,W4の外径寸法
差δが「零」を狙い値として、±2μmの許容範囲に収
まるように精研削が行われる。図9(a)参照。そし
て、最終的にジャーナル部W2,W4の外径寸法が2
4.05mmに研削加工される。
【0058】前述した研削盤の第1のテーパ補正方法に
より得られる効果を構成とともに列記する。 前記実施形態では、ワークの種類毎に第1〜第n回
目までの砥石車31〜35のテーパ補正量εの傾向をデ
ータベースに記憶し、データベースのデータから次回の
ワークの研削時に対応するワークの同じ研削回数に記憶
されたデータを検索して、このテーパ補正量εに基づい
て、砥石車31〜35のテーパ補正量εを研削開始前に
補正するようにした。このため、ワークの研削中に砥石
車の回転軸線O2の傾角θを調整してワークのテーパ補
正を行うものと比較して、研削中におけるテーパ補正量
εを必要最小限にすることができ、そのテーパ補正に要
する時間を短縮してワークの研削作業を能率的に行うこ
とができる。
【0059】 前記実施形態ではワークのジャーナル
部W2,W4の外径寸法差δの狙い値を「零」を中心と
して設定し、この狙い値に対する許容範囲を粗研削、中
研削及び精研削毎に段階的に小さくするようにした。こ
のため、各工程の研削時の実際のテーパ補正量εをそれ
ぞれ小さくしてワークの被研削面の面粗度を向上するこ
とができる。
【0060】 前記実施形態では研削中における砥石
車のテーパ補正量εを大幅に低減することができるの
で、第1〜第3のレスト装置21a,21b,21cが
ワークに接触する前進位置の調整範囲及びトルクの制御
範囲を小さくすることができる。このため、次のような
効果がある。ワークの研削作業において、レスト装置2
1a,21b,21cの上部シュー63及び下部シュー
64の研削中のワークWへの押圧力は、ワークの真円度
や真直度の精度を向上するため、一定になるようにサー
ボモータ22,23,24,22a,23a,24aの
トルク(電流値)が制御される。従来はワークの研削中
に砥石車31〜35のテーパ補正を大きい範囲で行うの
で、ワークの研削量が左右で大きく変動し、押圧力も変
動する。このため、レスト装置21a,21b,21c
をその変動に応じて迅速に制御しなければならないが、
その応答性が悪いと、レスト装置の位置の不良によりワ
ークのジャーナル部W1〜W5の支持機能の過大又は低
下が激しくなる。しかし、前記実施形態では上述したよ
うに研削中のテーパ補正量εが非常に少なくなるので、
レスト装置21a,21b,21cのトルクの制御範囲
あるいはワークの支持を開始する前進位置の設定範囲が
小さくなり、既存のレスト装置の前進位置設定あるいは
トルク制御方法でもワークの真円度や真直度の精度を向
上することができる。
【0061】しかしながら、上記の効果をさらに向上す
るためには、レスト装置の制御を以下のように工夫する
ことが有効である。即ち、砥石車31,33,35のテ
ーパ補正量εは予めワークの研削前に検索設定されてい
るので、ワークWのジャーナル部W1,W3,W5の切
り込み深さの大小に応じて、砥石車31,33,35に
よるワークWの押圧力も変動する。この押圧力の変動に
応じて、レスト装置21a,21b,21cの上部シュ
ー63及び下部シュー64の前進位置の設定及び研削開
始時におけるワークの押圧力、つまりサーボモータ2
2,22a,23,23a,24,24aのトルク(電
流値)を各レスト装置21a,21b,21c毎に調整
することによりワークの支持機能を適正化してワークの
真円度や真直度の精度を一層向上することができる。 (第2のテーパ補正方法)前述した第1のテーパ補正方
法では、定寸装置28,29からの測定データに基づく
両ジャーナル部W2,W4の外径寸法差δの狙い値が
「零」となるように設定し、この狙い値に収束するよう
に砥石車31〜35の回転軸線O2の傾角θを制御し
た。しかし、同じ研削盤であってもワークの種類によっ
て研削盤の研削加工終了直後の両ジャーナル部W2,W
4の外径寸法が同じでテーパ無しの場合であっても、ワ
ークを研削盤から外して数時間後にワークの両端部の外
径寸法を測定すると、異なる場合がある。この外径寸法
差δは、ワークの種類により変動することが経験的に判
っているので、この常温時におけるワークの外径寸法差
δを、研削作業中のワークの外径寸法差δのねらい値
「零」を修正するデータとして利用し、ワークのテーパ
精度をさらに向上することができる。
【0062】この第2のテーパ補正方法を以下に説明す
る。前述したRAM53には予めワークの種類、長さ、
重量、材質、硬度等のワークデータ、砥石車31〜35
の回転数、送り速度等の研削条件データ及び各ワークの
外径寸法差δの狙い値がデータベースとして記憶されて
いる。表1はデータベースの一覧を示す。
【0063】
【表1】 従って、上記のデータベースから新たに研削しようとす
るワークと同じ種類で同一の規格のワークデータがある
か否かを検索して、データがある場合にはワークデータ
のワークの外径寸法差δの狙い値を前述した図8のフロ
ーチャートのステップS34における狙い値として設定
すればよい。表1に示すデータベースにおいて、狙い値
は例えば−8μm〜+4μmの範囲にあるが、この数値
から例えば狙い値「−4μm」が検索して設定される
と、図9(b)に示すようにこの狙い値「−4μm」を
中心として粗研削、中研削及び精研削のテーパ補正量ε
の許容範囲が「−19μm〜+11μm」、「−9μm
〜+1μm」及び「−6μm〜−2μm」というように
設定される。このようにして研削されたワークは研削盤
から取り外された後に常温状態でテーパが無しとなる。
【0064】なお、近似したデータしかない場合には、
例えば図11に示すようにワークの重量と狙い値との傾
向グラフを予め用意したり、図12に示すようにワーク
の長さと狙い値との傾向グラフを用意したりして、その
グラフから狙い値を演算する。 (第3のテーパ補正方法)次に、ワークの温度補正を行
う第3のテーパ補正方法を、図13及び図14に基づい
て説明する。
【0065】この補正方法においては、図13のステッ
プS51で研削盤のおかれている室内温度と砥石軸36
付近の温度を第1〜第n回目のワークの研削加工毎にサ
ンプリングし、ステップS52でそのサンプリングデー
タをデータベースに記録する。次に、ステップS53で
各研削回数とテーパ補正量と周囲温度との関係を図14
に示すようにグラフ化してデータベースとしてRAM5
3に記憶する。さらに、ステップS54で温度修正係数
を算出する。この係数の算出は例えば図14において、
実線で示すデータベースに記憶された周囲温度Tの傾向
グラフとテーパ補正量εの傾向グラフから求められる。
即ち、測定周囲温度T1が図14の鎖線で示すようにな
った場合に、修正後のテーパ補正量ε1は同図の鎖線で
示すようになり、単位温度差によりテーパ補正量の修正
値が算定され、これを修正係数とする。この修正係数は
ワークの試し加工により求めることもできる。
【0066】新たに加工するワークについて、温度検出
器により室内温度及び砥石軸付近の温度等の周囲温度を
検出し、この検出された温度がデータベースに記録され
た温度と異なる場合には、前記修正係数に基づいてテー
パ補正量εを補正する。
【0067】以上のようにこの第3のテーパ補正方法に
おいては、新しくワークを加工する際周囲温度を検出し
て、その温度とデータベースに記録された温度とが異な
る場合に、その温度差分の補正を行うようにしたので、
より適正なテーパ補正量εを得ることができる。
【0068】なお、この発明は前記各実施形態の構成に
限定されるものではなく、各部の構成を以下のように変
更して具体化することも可能である。 (1)前記実施形態では、データベースに研削盤の稼働
初期にサンプリングした各種のデータを第1回目のワー
クから第n回目のワークまで多数サンプリングして記録
した。これに代えて、研削回数と全く無関係に、新たに
加工しようとするワークのデータと対応するものがデー
タベースに記憶されているか否かを検出し、かつ、それ
らのデータベースに記憶された周囲温度と同じもしくは
近似した研削時の温度があるか否かを検索し、その検索
されたテーパ補正量εあるいは温度補正係数により修正
演算されたテーパ補正量εに基づいて、ワークの研削を
行うようにすることもできる。
【0069】この場合にも、研削盤の稼働初期における
温度変化によるテーパ補正量εの変動に基づいて、適正
なテーパ補正量εが検索あるいは演算されるので、前述
した第1のテーパ補正方法とほぼ同様の効果を奏する。
【0070】(2)前記実施形態では第1〜第5の砥石
車31〜35を用いたが、これに代えて一つの砥石車を
使用すること。 (3)前記実施形態ではレスト装置を三箇所に装着した
が、これを中央の一箇所のみとすること。
【0071】(4)前記レスト装置21a〜21cの制
御動作をワークの種類に応じて予め設定した前進位置、
粗研削終了位置、中研削終了位置、精研削終了位置、レ
スト装置のサーボモータ22〜24、22a〜24aの
トルク、つまりワークの押圧力に比例する電流値の適正
値を予めRAM54に制御パターンとしてデータベース
に記憶しておき、このデータベースから新たに研削する
ワークに対応したレスト装置の制御パターンを検索して
レスト装置の動作を制御するようにしてもよい。
【0072】この場合には、ワークの真円度や真直度の
精度をさらに向上することができる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜17記
載の発明は、ワークのテーパ補正を迅速に行い、ワーク
の研削能率を向上することができるという優れた効果を
奏する。
【0074】請求項4,5記載の発明は、請求項1記載
の発明の効果に加えて、レスト装置によるワークの被研
削面の支持機能を適正化し、ワークの真円度あるいは真
直度等の精度を向上することができる。
【0075】請求項6,8,9,10,11記載の発明
は、請求項1記載の発明の効果に加えて、ワークのテー
パ精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化した研削盤の制御装置を示
す略体説明図。
【図2】 レスト装置及び定寸装置の構造を示す側面
図。
【図3】 傾角調整手段を示す正断面図。
【図4】 ワーク、砥石車及びレスト装置の関係を示す
略体平面図。
【図5】 データベース作成のためのフローチャート。
【図6】 研削回数とテーパ補正量との関係を示すグラ
フ。
【図7】 設定されたテーパ補正量により試し加工を行
う場合のフローチャート。
【図8】 テーパ補正動作を示すフローチャート。
【図9】 ワークの粗研削、中研削及び精研削のテーパ
補正許容範囲を示す説明図。
【図10】 ワークの粗研削、中研削及び精研削のテー
パ補正時期を示す説明図。
【図11】 ワークの重量と狙い値との関係を示すグラ
フ。
【図12】 ワークの長さと狙い値との関係を示すグラ
フ。
【図13】 周囲温度データと補正量との関係を求める
フローチャート。
【図14】 周囲温度データとテーパ補正量との関係を
示すグラフ。
【図15】 傾角調整手段を示す略体平面図。
【符号の説明】
11…研削盤、14,15…主軸台、21a,21b,
21c…レスト装置、28,29…定寸装置、31〜3
5…砥石車、36…砥石軸、41…砥石車の回転軸線の
傾角調整手段、42…傾角調整用サーボモータ、52…
数値制御装置、52…中央処理装置、53…記憶手段と
してのRAM、δ…ワークのジャーナル部W2,W4の
外径寸法差、ε…砥石軸36のテーパ補正量。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワーク支持機構により両端部を把持され
    たワークの回転軸線と砥石台に設けた砥石車の回転軸線
    とをほぼ平行にして、前記ワークの回転軸線と直交する
    方向に砥石車を進退し、ワークの研削作業中に少なくと
    も2個の定寸装置により測定されたワーク両端部の被研
    削面の外径寸法に基づいてワークの回転軸線に対する前
    記砥石車の回転軸線の傾角を補正してワークの被研削面
    のテーパが「零」になるようにした研削盤において、 前記砥石車によるワークの研削に要求されるテーパ補正
    量を、予め記憶したデータベースから検索したテーパ補
    正量に基づいて補正量を加減算して、ワークの研削作業
    に移行し、前記定寸装置により測定されたワーク両端部
    の被研削面の外径寸法に基づいて砥石車の回転軸線の前
    記傾角を補正してワークの被研削面のテーパが「零」に
    なるようにすることを特徴とする研削盤におけるテーパ
    補正方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 複数個のワークを順次試研削し、それらのワークの被研
    削面のテーパ補正された補正量を、各ワークの種類や大
    きさ等のワークデータ及びそれらの研削条件データとと
    もにデータベースとして記憶する第1の工程と、 前記データベースから新たに研削するワークのワークデ
    ータに対応する研削条件データを検索し、この検索デー
    タに対応して記憶されたテーパ補正量を、新たに研削す
    るワークのテーパ補正量として設定する第2の工程と、 砥石車が待機位置からワークに接触して前記研削作業に
    移行するまでの間に、前記第2の工程で設定された前記
    テーパ補正量を砥石車の回転軸線の前記傾角を所定角度
    に調整する第3の工程とを備える研削盤におけるテーパ
    補正方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記第1の工程で、ワークの被研削面のテーパ補正量が
    比較的大きく現れる研削作業開始の稼働初期に複数個の
    ワークが順次試研削され、 前記第2の工程で、新たに研削するワークのワークデー
    タに対応する研削条件データの検索は、次回に加工する
    研削盤の稼働初期において行われるものである研削盤に
    おけるテーパ補正方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、砥石車の回転軸線の
    前記傾角の調整に追従して、ワークの複数の被研削面へ
    の複数の砥石車の押圧力に対抗する複数のレスト装置の
    ワーク支持開始位置を調整する研削盤におけるテーパ補
    正方法。
  5. 【請求項5】 請求項3において、砥石車の回転軸線の
    前記傾角の調整に追従して、ワークの被研削面への複数
    の砥石車の押圧力に対抗する複数のレスト装置によるワ
    ークの被研削面への押圧力を調整する研削盤におけるテ
    ーパ補正方法。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれか一つにおいて、
    前記第1の工程で、複数のワークデータ及びそれらと対
    応するテーパ補正量に基づいて、該ワークデータと近似
    するワークのテーパ補正量を演算する演算用データをデ
    ータベースに記憶し、前記第2の工程で、新たに研削す
    るワークのワークデータがない場合に、前記演算用デー
    タに基づいて新たに研削するワークのテーパ補正量を演
    算設定する研削盤におけるテーパ補正方法。
  7. 【請求項7】 請求項3〜5のいずれか一つにおいて、
    第1の工程でワークの研削加工の回数をデータベースと
    して記憶し、このデータベースから第2の工程で新たに
    研削するワークの研削加工の回数と対応する加工回数の
    テーパ補正量を検索し、これを新たに研削するワークの
    テーパ補正量として設定する研削盤におけるテーパ補正
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項3〜5のいずれか一つにおいて、
    同種の複数のワークの研削時の周囲温度をそれぞれサン
    プリングし、同種の複数のワークについて温度変化した
    場合のテーパ補正量の修正係数を算定してデータベース
    に記憶し、新たに研削するワークのテーパ補正量を設定
    する際、新たに研削するワークの研削時の周囲温度と前
    記記憶された周囲温度を比較し、その温度における前記
    補正値によりワークのテーパ補正量を修正演算する研削
    盤におけるテーパ補正方法。
  9. 【請求項9】 請求項3〜5のいずれか一つにおいて、
    研削終了後の常温状態におけるワークの両端部の被研削
    面の外径寸法差が「零」となるように研削中におけるワ
    ークの前記テーパ補正値を、各ワークの種類毎に予め試
    研削してデータベースに記憶し、該データベースから新
    たに研削するワークに対応する研削時におけるテーパ補
    正値を検索し、このテーパ補正値に基づいて第1の工程
    の試研削を行う研削盤におけるテーパ補正方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記テーパ補正値
    に基づいて第1の工程の試研削を行う動作に代えて、こ
    のテーパ補正値に基づいて前記ワークのテーパ補正量を
    修正演算する研削盤におけるテーパ補正方法。
  11. 【請求項11】 請求項9において、前記ワークのテー
    パ補正値を中心として、粗研削、中研削及び精研削工程
    毎にテーパ補正量の許容範囲を段階的に減少する研削盤
    におけるテーパ補正方法。
  12. 【請求項12】 請求項11において、前記粗研削、中
    研削及び精研削工程の各初期の段階ではテーパ補正せ
    ず、終期にテーパ補正を行う研削盤におけるテーパ補正
    方法。
  13. 【請求項13】 ワークテーブルに設けた主軸台上の主
    軸と心押台とによりワークの両端部を把持してワークを
    回転させるワーク支持機構と、 前記ワークの被研削面に回転接触して被研削面を研削す
    る砥石車を有する砥石台と、 前記砥石台と砥石車の間に設けられ、ワークの外周面の
    テーパ補正量に応じて前記ワークの回転軸線に対する前
    記砥石車の回転軸線の傾角を調整する傾角調整手段と、 前記ワークに対し前記砥石台を前記砥石車とともに進退
    移動する砥石台駆動手段と、 前記ワークの両端部の被研削面の外径寸法を測定する少
    なくとも2個の定寸装置とを備えた研削盤において、 研削盤により複数のワークを研削して得られた各ワーク
    の種類、長さ、重量、材質あるいは硬度等のワークデー
    タ、該ワークデータに応じた砥石車の回転速度、送り速
    度等の研削条件データ及びそれらに対応するワークの外
    周面のテーパ補正量をデータベースとして記憶した記憶
    手段と、 前記データベースから新たに研削するワークに対応する
    ワークデータ、研削条件データ及びテーパ補正量を検索
    する検索手段と、 前記研削条件データ及びテーパ補正量に基づいて前記傾
    角調整手段、砥石台駆動手段の動作を制御する制御手段
    とを備えた研削盤のテーパ補正装置。
  14. 【請求項14】 請求項13において、 前記記憶手段は、研削盤の稼働初期に複数のワークを研
    削して得られた各ワークのワークデータ、研削条件デー
    タ及びそれらに対応するワークの被研削面のテーパ補正
    量を記憶したものであり、 前記検索手段は、次回に加工する研削盤の稼働初期にお
    いて、前記データベースから新たに研削するワークに対
    応するワークデータ、研削条件データ及びテーパ補正量
    を検索するものである研削盤のテーパ補正装置。
  15. 【請求項15】 請求項14において、研削盤は前記ワ
    ークを砥石車により研削する際、ワークの被研削面を支
    持する複数のレスト装置と、前記レスト装置をワークの
    研削量に応じて移動するレスト装置駆動手段とを備え、
    前記制御手段は、テーパ補正量の変更に追従して前記各
    レスト装置の前進位置を調整し、レスト装置のワークへ
    の押圧力を調整するものである研削盤のテーパ補正装
    置。
  16. 【請求項16】 請求項14又は15のいずれかにおい
    て、前記研削盤は、ワークの研削回数を検出する回数検
    出手段を備え、前記検索手段は、前記回数検出手段から
    の回数データに基づいて、前記記憶手段のデータベース
    から該当する研削条件データ及びテーパ補正量を検索す
    るものである研削盤のテーパ補正装置。
  17. 【請求項17】 請求項16において、前記研削盤は、
    周囲の室内温度、あるいは研削盤の砥石台付近の温度を
    検出する温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記温
    度検出手段からの温度データに基づいて、テーパ補正量
    を演算する手段を有するものである研削盤のテーパ補正
    装置。
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