JPH1118779A - 新規核酸及びそのエイズ発症抑制剤としての用途 - Google Patents
新規核酸及びそのエイズ発症抑制剤としての用途Info
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Abstract
を抑制する手段を提供すること。 【解決手段】 配列表の配列番号2で示される塩基配列
又は該塩基配列のうちの1個ないし数個の塩基が置換、
欠失又は挿入された塩基配列であって、アンチサイレン
サー因子との結合能を有する塩基配列から成る核酸領域
を含む核酸を提供した。
Description
酸のエイズ発症抑制剤としての用途に関する。
immunodeficiency virus) であり、CD4分子を発現し
ているヘルパーT細胞やマクロファージに特異的に感染
する。HIVは通常、宿主の染色体中に組込まれ、臨床
症状のない不顕性感染の状態となる。その後、種々の原
因でウイルスの増殖が起るとヘルパーT細胞の減少、免
疫機能の低下が起り、日和見感染や悪性腫瘍の好発を特
徴とするエイズが発症する。
とワクチンの開発が主であった。HIVの逆転写酵素を
阻害するAZTやddIは臨床試験でもエイズの進行を
遅らせる効果があることが確認されているが、重篤な副
作用や、薬剤耐性のウイルスの出現等の問題点がある。
また、ワクチン療法も、HIV遺伝子が急速に変異を蓄
積していくために、その効果は一過性であり、実用化の
めどは立っていない。その他、可溶性CD4、インター
フェロン等の研究が行われているが、期待される効果は
得られていない。
方法がある。先ず、HIVの増殖を阻止できるような抗
HIV遺伝子を導入する方法である。例えば、HIV遺
伝子のmRNAと相補的な配列を持つアンチセンスヌク
レオチドである。アンチセンスとの結合により、遺伝情
報の発現を抑制する。また、RNAを切断するリボザイ
ムをアンチセンスと組み合わせ、標的とするmRNAを
切断する方法も考案されている。これらの方法では、生
体内でアンチセンスやリボザイムの安定性が低いことが
問題点である。また、ウイルスタンパクであるGagや
Env、Revの変異タンパクを細胞内で産生させ、正
常タンパクの機能を阻害し、感染性のあるウイルスの産
生を阻止しようという方法があるが、現在、in vitroで
の効果の検討が主であり、Revの変異体を用いた臨床
試験が始まったばかりである。また、最近、HIV遺伝
子を組込んだベクターをマウスや、サル等に注射し、H
IVに特異的な細胞障害性T細胞や抗体を誘導する、D
NAワクチン療法が開発された。誘導される免疫反応に
は交差反応が認められ、その点では通常のワクチン療法
よりも優れているが、免疫応答の程度には個体差が著し
く、効果の見られない場合もまれではない。
を防止する方法として、可溶性のCD4レセプターを投
与する方法も提案されている。すなわち、HIVは、ヘ
ルパーT細胞上に発現しているCD4レセプターを介し
てヘルパーT細胞内に侵入することが知られており、可
溶性CD4レセプターを投与することにより、HIVを
この可溶性CD4レセプターと結合させてしまい、それ
によってHIVがヘルパーT細胞上のCD4レセプター
と結合して該細胞内に侵入することを阻止しようという
方法である。しかしながら、この方法では、HIV株に
よりその効果が異なり、特にprimary isolatesのウイル
スの感染阻止にはあまり効果がないことが知られてい
る。
インレセプター(CCR5、CCR3、CXCR4レセ
プターなど)が、HIVの細胞指向性にも関与している
ことが明かになり、これらコレセプターの発現を抑制し
てウイルスエントリーを阻止する可能性が考えられた
が、ある特定のコレセプターの発現が抑制できても生体
内ではすぐに代替のレセプターに適応したウイルスが増
殖してくることが明らかになった。
は、種々のHIVに対して有効な、エイズの発症を抑制
する手段を提供することである。
T細胞上のCD4分子は、通常安定発現しており、抗原
刺激後もその発現は維持されている。サル類には野生状
態でエイズ様ウイルス、SIV(simian immunodeficie
ncy virus)に感染している例が知られている。その中で
もアフリカミドリザルは特に注目されている。このサル
はアフリカのサバンナに生息しており、野生ザルの30
〜50%もの個体がSIVagm(アフリカミドリザル
由来のSIV)に感染しているにもかかわらず、エイズ
発症例が観察されていない。実験感染例でも、ウイルス
感染はするが、エイズの発症には至らない。
るエイズ発症抑制機構が明らかになれば、これをヒトに
応用することにより、ヒトのエイズの発症を抑制するこ
とができるのではないかと考えた。そこで、このサルに
おけるCD4分子、遺伝子の発現を解析した結果、以下
のことが明らかになった。アフリカミドリザルCD4
細胞は、抗原刺激等によりリンパ球活性化後、CD4分
子が細胞表面から消失する、CD4分子消失はCD4
遺伝子の転写抑制による、アフリカミドリザル生体内
にはCD4陰性のヘルパー活性を持つ細胞群が分化して
いる、CD4陰性となったヘルパーT細胞はSIV感
染に抵抗性を示す。これらの結果は、アフリカミドリザ
ルヘルパーT細胞が抗原刺激後、その細胞表面からCD
4分子を失い、CD4陰性のヘルパーT細胞となって末
梢を循環することを示唆している。また、SIVもCD
4分子をウイルスレセプターとして使用しているので、
このCD4陰性ヘルパーT細胞はウイルス感染を免れる
ことになり、ヘルパーT細胞の減少に基づく致命的免疫
不全状態を回避できるようになる。このCD4分子隠蔽
機構のために、アフリカミドリザルはSIV感染しても
発症しないと考えた。
4発現機構を調べるために、CD4サイレンサー領域を
クローニングし、塩基配列を決定した。その結果、アン
チサイレンサー配列の両端近傍に塩基置換が認められ
た。この配列にはある種の調節タンパク(アンチサイレ
ンサー因子)が結合することが知られており、アフリカ
ミドリザルでは塩基置換のためにこの調節タンパクが結
合できず、CD4遺伝子の発現を維持できない可能性が
考えられた。そこで、ルシフェラーゼ遺伝子をレポータ
ーに用いて、ヒト及びアフリカミドリザルのCD4サイ
レンサー領域の転写調節機能を比較した。前述したよう
に、CD4細胞においてはこの領域は転写促進活性を示
す。ヒトCD4細胞株にヒトCD4サイレンサーを組込
んだベクターを導入するとレポーター遺伝子の発現は、
ベクターのみを導入した場合と比較して3倍近い転写促
進活性を示した。一方、アフリカミドリザルのCD4サ
イレンサーを組込んだベクターではそのような転写促進
は認められず、ベクターのみを導入した場合とほぼ同じ
であった。つまり、アフリカミドリザルCD4サイレン
サーにはCD4遺伝子の発現に必要なアンチサイレンサ
ー活性が欠如していることを示している。この実験例で
はヒト及びアフリカミドリザルのアンチサイレンサー配
列に認められた塩基置換のためにアンチサイレンサー因
子が結合できず、そのために転写促進活性が認められな
かったと考えられる。
ヒトCD4細胞からCD4遺伝子の転写を抑制するに
は、このアンチサイレンサー活性が発現できないように
してやればよいことに想到した。一般的に遺伝子が発現
するためには転写因子が、遺伝子内やその近傍に位置す
る認識配列に結合することが必要である。このときに遺
伝子とは関係のない認識配列を持つ核酸が細胞内に大量
にあると転写因子と結合してしまい、本来の遺伝子の認
識配列とは結合できないために、遺伝子発現が阻害され
る。このような競合阻害を起こす核酸分子をデコイ(de
coy )というが、CD4遺伝子の発現抑制にもこの方法
が適用できる。すなわち、アンチサイレンサー領域のD
NAを合成し、細胞外から投与することによってCD4
細胞におけるCD4遺伝子の転写を抑制することが可能
になる。また、細胞外から投与する代りに、プラスミド
ベクターや、ウイルスベクターでアンチサイレンサー領
域を細胞に導入し、アンチサイレンサー因子が核内に到
達する前に、その活性を中和してしまうことによりエイ
ズ発症を抑制することもできる。
で示される塩基配列又は該塩基配列のうちの1個ないし
数個の塩基が置換した塩基配列であって、アンチサイレ
ンサー因子との結合能を有する塩基配列から成る核酸領
域を含む核酸を提供する。また、本発明は、配列表の配
列番号1で示される塩基配列又は該塩基配列と80%以
上の相同性を有する塩基配列を有し、かつ、アンチサイ
レンサー因子との結合能を有する塩基配列から成る核酸
領域を含む核酸を提供する。さらに、本発明は、上記本
発明の核酸を含む組換えベクターであって、ヒト細胞内
で該核酸を産生することができる組換えベクターを提供
する。さらに、本発明は、上記本発明の核酸を有効成分
として含有するエイズ発症抑制剤を提供する。
により決定したアフリカミドリザル(AGM)のCD4
遺伝子の塩基配列及びアカゲザル(Rh)のCD4サイ
レンサー領域の塩基配列を、ヒトのCD4遺伝子の塩基
配列と共に図1に示す。また、図1に示されるヒトのC
D4遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号1に示す。な
お、図1中、サルの配列の「−」はヒトと同一の塩基で
あることを示す。ヒトCD4サイレンサー領域内には、
2ケ所の調節タンパクの結合部位が同定されており、そ
の1つはFPIサイト(CCACCAACCACAAGA)であり、もう
1つはFPIIサイト(CTAGTCAGCAGTAGAGAGGG)である。F
PIサイトは、ヒト、アフリカミドリザル及びアカゲザ
ルの全てにおいて保存されている(すなわち塩基配列が
同一)のに対し、FPIIサイトでは、アフリカミドリザ
ルとヒトの間では該サイトの両端近傍に各1ケ所、合計
2ケ所の塩基置換があり、アカゲザルでは、これらのう
ち1ケ所の塩基置換のみが存在した。そして、下記実施
例において測定した、ルシフェラーゼ遺伝子をレポータ
ー遺伝子として用いた転写促進活性の測定試験では、ヒ
トのCD4サイレンサー領域が最も転写促進活性が強
く、アフリカミドリザルが最も弱く、アカゲザルはこれ
らの中間であった。このことから、アフリカミドリザル
におけるCD4遺伝子のアンチサイレンサー活性はFP
IIサイトにあることが示された。FPIIサイトは、図1
中の四角で囲まれた部分であり、また、この部分の塩基
配列を取出して配列表の配列番号2に示す。
列から成る核酸領域を含む核酸は、アンチサイレンサー
因子と結合することができるので、これをデコイとして
用いることにより、CD4遺伝子の発現を抑制すること
ができ、ひいてはエイズの発症を抑制することができ
る。配列番号2に示す塩基配列から成る核酸領域を含む
核酸は、この20塩基の核酸のみから成っていてもよい
し、この両端又は一端に他の塩基配列が結合したもので
もよい。配列番号2に示す塩基配列の両端又は一端に結
合される核酸領域は、任意の塩基配列を有していてよ
い。もっとも、配列番号2に示す塩基配列及びその両端
又は一端に他の核酸が結合して成る核酸は、配列番号1
に示される配列の一部分であることが好ましい。核酸の
サイズは配列番号2で示される領域が含まれてさえおれ
ば特に限定されないが、あまりに大きくてもそれによる
利点がないので、通常、20塩基からCD4サイレンサ
ーの全体である513塩基程度が好ましい。
いて、その塩基配列のうち、少数の塩基が置換し、欠失
し又は挿入された場合であっても、その生理活性が維持
される場合があることは当業者に広く知られている。従
って、配列番号2で示される塩基配列のうち、1個又は
数個の塩基が置換、欠失又は挿入されている場合であっ
ても、アンチサイレンサー因子との結合活性を有するも
のは、本発明の範囲に含まれる。なお、アンチサイレン
サー因子との結合活性は、例えば、下記実施例に詳述す
る、レポーター遺伝子を用いた転写促進活性の測定試験
により調べることができる。
レンサー領域は、少なくともその全体でアンチサイレン
サー因子との結合能を有することが下記実施例において
実験的に確認されたので、このCD4サイレンサー領域
を含む核酸をデコイとして用いることによりエイズの発
症を抑制できることは明らかである。この場合も、上記
と同様、少数の塩基が置換し、欠失し又は挿入されてい
てもアンチサイレンサー因子との結合能が維持される場
合があると考えられるので、配列番号1で示される塩基
配列と80%以上の相同性を有する塩基配列を有し、か
つ、アンチサイレンサー因子との結合能を有する塩基配
列から成る核酸領域を含む核酸も本願発明の範囲に含ま
れる。この相同性は高い方が好ましく、従って、好まし
くは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上で
あり、最も好ましくは100%(すなわち配列番号1で
示される配列)である。また、配列番号1で示される塩
基配列を有する核酸のみから成るものであってもよい
し、この両端又は一端に他の核酸領域が結合したもので
あってもよい。もっとも、配列番号1で示される塩基配
列の両端又は一端に結合される他の核酸領域は必要なも
のではなく、その塩基配列も任意のものであってよい。
(200個以下)には、市販の核酸合成機を用いて合成
することが可能であり、また、塩基数が多い場合には、
ヒト末梢リンパ球のDNAを鋳型として用いるPCRに
より容易に調製することができる。また、本発明の核酸
は、DNAでもRNAでもよいが、DNAの方が安定性
が高いので好ましい。さらに、安定性や吸収率が改善さ
れたPNA等の修飾核酸であることも好ましい。
者にデコイとして外部から投与することにより、エイズ
の発症を抑制することができる。投与経路は、静脈内投
与、筋肉内投与、経腸投与等の非経口投与が好ましい。
また、投与量は、患者の状態等により異なるが、通常体
重1kg、1日当り本発明の核酸を0.001 mmol〜1000mm
ol 程度投与する。本発明の核酸は、例えば生理食塩水
に溶解する等の常法に基づき製剤することができ、他の
エイズ治療薬と併用することも可能である。
与してもよいし、あるいは、ヒト細胞内で複製可能なベ
クターに組込みんで患者に投与し、患者の体内で該組換
えベクターにより本発明の核酸を生産してもよい。ヒト
に対する遺伝子治療に用いられるプラスミドベクターや
ウイルスベクターは既にこの分野において周知であり、
そのマルチクローニング部位に本発明の核酸を組込むこ
とにより本発明の組換えベクターが得られる。
説明する。もっとも、本発明は、下記実施例に限定され
るものではない。
のCD4サイレンサー領域をクローニングし、塩基配列
を決定した。AGM及びRhの末梢リンパ球から分離し
たDNAをテンプレートとしてPCRを行ない、CD4
サイレンサー領域を増幅した。PCRに用いたプライマ
ーは既に報告されているヒト塩基配列をもとに設計した
(フォワードプライマー:TCTGAGTTTGAGCTCTGTTC、リバ
ースプライマー:CAAAGCGCAGGGTAGTAC) 。得られたPC
R産物を精製後、pCR-TRAPクローニングベクターに組込
んだ。E. coli HB101 コンピテント細胞を用いてトラン
スフォーメーションを行なった。各々の大腸菌コロニー
に含まれるプラスミドについてPCR法でインサートチ
ェックを行ない、そのPCR産物のサイズからCD4サ
イレンサー領域を含まれると思われるプラスミドを持つ
コロニーを得た。得られたPCR産物を精製して、Perk
in Elmer DNA sequencer 377を用いてdye-terminator法
により塩基配列を解析した。
ストラクトの作製 ルシフェラーゼ遺伝子を含むプロモーターベクターにC
D4サイレンサー領域を組込み、レポータージーンアッ
セイで転写調節能を比較した。ベクターのMluI制限酵素
部位に組込むため、両端にMluI部位を持つCD4サイレ
ンサー配列を準備した。決定した塩基配列をもとに、Ml
u 認識部位を持つプライマーを設計した(ヒトフォワー
ドプライマー:AGCTACGCGTACTTTTGAGGGGATGAGGGAAGGAGG
G 、AGM及びRhフォワードプライマー:AGCTACGCGT
ATCTTTGAGGGGATGAGGGGAGGAGGG 、リバースプライマー:
CATTTGCGCAACAAAAAAAGAGGAAAAGAAGAAATTC)。ヒト、AG
M及びRhのCD4サイレンサー領域をクローニングし
たプラスミドをテンプレートとして用い、PCRを行な
った。得られたPCR産物をMluIで37℃、1.5時間
処理して接着末端とし、精製した。
用プロモーターベクターであるPGV-P2(和光純薬工業株
式会社より市販)をMluIで37℃、3時間処理し、プラ
スミドを切断した。セルフライゲーションを防ぐため、
アルカリフォスファターゼ処理を行なった。このプラス
ミドと、各霊長類由来CD4サイレンサー配列を結合
し、Hu-PGV-V2 、AGM-PGV-P2、Rh-PGV-P2 を作製した。
これらのレポーターベクターを用いて、E. coli JM109
コンピテント細胞を用いてトランスフォーメーションを
行なった。PCR法でCD4サイレンサーの挿入された
プラスミドを持つコロニーをスクリーニングした。
腸菌コロニーから、プラスミドDNAを回収し、ヒトC
D4陽性細胞株であるCemX174 (Immunogenetics 21:23
5, 1985 )にトランスフェクションした。トランスフェ
クションにはエレクトロポレーション法を用いた。CemX
174 細胞を回収し、ウシ胎児血清(FCS)を含まない
RPMI1640培地で洗浄後、2×107 個/mlに調整し
た。細胞浮遊液200μlにPGV-P2、Hu-PGV-P2 、Rh-P
GV-P2 のいずれか20μgと、コントロールベクターで
あるpRL-CMV 1μgを加えた。pRL-CMV はシーパンジ
ーのルシフェラーゼ遺伝子を持ち、テスト用レポーター
ベクターとコトランスフェクションすることにより、イ
ンターナルコントロールとして用いることができる。電
圧150V、静電気容量2700μF、抵抗129Ωでエレ
クトロポレーションを行い、室温で5分静置後、細胞懸
濁液を10%FCS RPMI1640 培地5ml中に移し、37℃で
48時間培養した。
カジーンデュアル・シーパンジーシステム(和光純薬工
業株式会社より市販)を用いてホタルルシフェラーゼ活
性(Luc F)及びシーパンジールシフェラーゼ活性(Luc
S)を測定した。それぞれの細胞についてLuc F/Luc S を
算出した後、PGV-P2をトランスフェクションした細胞の
Luc F/Luc S を1としてHu-PGV-P2 、AGM-PGV-P2、Rh-P
GV-P2 のトランスフェクタントの相対的ルシフェラーゼ
活性を算出した。
た。ヒト配列とAGM配列間では13ケ所、ヒト配列と
Rh配列間では8ケ所の塩基置換が存在し、このうちの
5ケ所はAGM特異的であった。ヒトCD4サイレンサ
ー領域内には、2ケ所の調節タンパク結合部位、すなわ
ち、FPIサイト(CCACCAACCACAAGA)及びFPIIサイト
(CTAGTCAGCAGTAGAGAGGG) が知られており(Eur. J. Im
munol. 26:493-500, 1996 )、AGM、RhともにFP
Iサイトは保存されているが、AGMではFPIIサイト
の両端近傍に、Rhでは片端近傍に塩基置換が存在し
た。
ェラーゼ活性を算出したところ(図2)、コントロール
ベクターをトランスフェクトした場合に比較して、Hu-P
GV-P2 をトランスフェクションした細胞では2.5倍、
Rh-PGV-P2 では2.1倍の転写促進活性を示した。一
方、AGM-PGV-P2をトランスフェクトした細胞ではヒトや
Rhに比べて明らかに転写促進活性が低く、1.4倍の
値を示したに過ぎなかった。トランスフェクションに使
用したCemX174 はCD4陽性であるので、Hu-PGV-P2 で
はFPIIサイトが存在することにより、レポーター遺伝
子(ルシフェラーゼ遺伝子)の発現を増強したものと考
えられる。一方、FPIIサイトの両端に塩基配列を持つ
AGM−PGV−P2ではエンハンサー活性がほとんど
観察されなかった。Rh-PGV-P2 ではヒトとAGMの中間
のエンハンサー活性が観察された。Rhでは、AGMで
見られた2ケ所の塩基置換の一方にのみ変異していた。
また、ヒト、AGM及びRhのCD4サイレンサー領域
の転写調節能と、それぞれの末梢リンパ球におけるCD
4陽性細胞率あるいはCD4分子密度と相関しており
(図3)、生体内におけるCD4発現調節にこの領域が
深く関与していると考えられる。
な新規核酸及びそれを有効成分とするエイズ発症抑制剤
が提供された。本発明のエイズ発症抑制剤は、従来の可
溶性CD4を用いる方法やケモカインレセプターの発現
を抑制する方法とは異なり、ヘルパーT細胞の細胞表面
からCD4分子の発現を抑制するので、Tリンパ球及び
マクロファージ指向性を持つあらゆるHIV株にも有効
であり、生体内で生じるウイルス変異にも対応できる。
D4サイレンサー領域の塩基配列を示す図である。
D4サイレンサー領域の転写促進活性を比較して示す図
である。
梢リンパ球のフローサイトメトリーの結果を示す図であ
り、黒く塗りつぶされているのがCD4レセプターを発
現している末梢リンパ球を示す。
Claims (9)
- 【請求項1】 配列表の配列番号2で示される塩基配列
又は該塩基配列のうちの1個ないし数個の塩基が置換、
欠失又は挿入された塩基配列であって、アンチサイレン
サー因子との結合能を有する塩基配列から成る核酸領域
を含む核酸。 - 【請求項2】 配列表の配列番号2で示される塩基配列
から成る核酸領域を含む請求項1記載の核酸。 - 【請求項3】 配列表の配列番号1で示される塩基配列
又は該塩基配列と80%以上の相同性を有する塩基配列
を有し、かつ、アンチサイレンサー因子との結合能を有
する塩基配列から成る核酸領域を含む核酸。 - 【請求項4】 配列表の配列番号1で示される塩基配列
又は該塩基配列と80%以上の相同性を有する塩基配列
を有し、かつ、アンチサイレンサー因子との結合能を有
する塩基配列から成る核酸領域から成る請求項3記載の
核酸。 - 【請求項5】 前記相同性が95%以上である請求項3
又は4記載の核酸。 - 【請求項6】 前記相同性が100%である請求項5記
載の核酸。 - 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
の核酸を含む組換えベクターであって、ヒト細胞内で該
核酸を産生することができる組換えベクター。 - 【請求項8】 エイズ発症抑制用である請求項7記載の
組換えベクター。 - 【請求項9】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
の核酸を有効成分として含有するエイズ発症抑制剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9193239A JPH1118779A (ja) | 1997-07-03 | 1997-07-03 | 新規核酸及びそのエイズ発症抑制剤としての用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9193239A JPH1118779A (ja) | 1997-07-03 | 1997-07-03 | 新規核酸及びそのエイズ発症抑制剤としての用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1118779A true JPH1118779A (ja) | 1999-01-26 |
Family
ID=16304653
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9193239A Pending JPH1118779A (ja) | 1997-07-03 | 1997-07-03 | 新規核酸及びそのエイズ発症抑制剤としての用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1118779A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002534979A (ja) * | 1999-01-25 | 2002-10-22 | マスク ファウンデーション フォー リサーチ デヴェロップメント | Hiv薬剤抵抗性のモニタリング方法 |
-
1997
- 1997-07-03 JP JP9193239A patent/JPH1118779A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002534979A (ja) * | 1999-01-25 | 2002-10-22 | マスク ファウンデーション フォー リサーチ デヴェロップメント | Hiv薬剤抵抗性のモニタリング方法 |
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