JP3728463B2 - 新規マキシザイム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、悪性腫瘍細胞、特に急性前骨髄球性白血病細胞において特異的に発現する融合遺伝子に対して特異的切断活性を有するマキシザイム及びかかるマキシザイムのスクリーニング方法、並びにかかるマキシザイムの利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
急性前骨髄球性白血病(APL)は急性骨髄性白血病(AML)の一亜種で、我国でAMLの約15%、日本全体で約500人/年の割合で発症すると推測されている。APLはAMLの中でFAB分類上M3とされ、細胞形態的に多数の粗大顆粒と異形成の強い核を有し、束状のアウエル小体(Faggot)を認めることが多いが、一部の症例では顆粒が繊細で変異型が認められている。ペルオキシダーゼ、アセテートエステラーゼ強陽性、CD33(+)、CD13(+)、HLA−DR(−)であり、骨髄系細胞分化過程において前骨髄球レベルで分化の停止した腫瘍と考えられている。細胞遺伝学的にはt(15;17)(q22;q11)が80%以上の症例において認められ、逆にこの転座はAPL以外では認められていない。
【0003】
APLに特徴的なt(15;17)は15番染色体上のPML遺伝子と17番染色体上のRAR(レチノイン酸受容体)α遺伝子間の転座である。転座切断部位は主に、RARα遺伝子イントロン2とPML遺伝子イントロン3ないし6である。いずれの場合も、der(15)上でPML/RARαキメラ遺伝子が生じ、キメラ蛋白110kD(ロングフォーム)ないし90kD(ショートフォーム)が産生される。このキメラ蛋白は、DNA結合ドメインとダイマー形成部を有し、しかもレチノイン酸結合部を持っている蛋白で、PMLやRXRとヘテロダイマーを形成し、おそらくPMLやRXRが有する一連の核内転写因子機能を阻止し、骨随系細胞の分化をブロックし、細胞増殖のみを促進させる(ドミナントネガティブ作用)。またPML−RARαはホモダイマーを形成し独自の転写因子として働く可能性もあり、ドミナント変異としての性格も有すると考えられている。
【0004】
PML/RARα遺伝子産生トランスジェニックマウスを使った最近の研究により、このキメラ蛋白質がAPLの白血病誘発において重要な役割を担うことが明らかにされている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94,5302−5307,1997、Blood 89,376−387,1997、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94,2551−2556,1998)。上記APL患者にとって非常に効果的な薬品として、白血病細胞の分化誘導に対して効能を有するオールトランス型レチノイン酸(オールトランスRA)が知られている(Blood 72,567−572,1988)。しかし、オールトランスRAだけで治療した患者の寛解は通常短期間しか持続しない。また、かかる患者にはしばしばRA耐性疾患にかかることがあり、その結果細胞分化誘導治療の障害になるという深刻な問題がある(Blood 82,1941−1953,1993)。したがって、APL細胞によるRA耐性を克服する治療法は未だ確立されていない。
【0005】
一方、位置指定ハンマーヘッドリボザイムを用いた腫瘍形成PML/RARαmRNAのターゲッティングは、APLのRA耐性を克服するアプローチの1つとして期待されている。ハンマーヘッドリボザイムは、オリゴヌクレオチドの特定部位NUX(N=いかなるリボヌクレオチドでも可、X=A、C又はU)でPML/RARαを切断することができる(Biochemistry 34, 3649−3654, 1995)が、この特定部位は上記融合遺伝子の切断点により得られるRARα蛋白質側に存在しているため、PML/RARαに対するハンマーヘッドリボザイムは、野生型RARα mRNAも、APL特異的PML/RARα mRNAも切断することが知られており(Cancer Res. 54, 6365−6369, 1994)、ハンマーヘッドリボザイムで腫瘍形成PML/RARα mRNAだけを特異的に切断する活性を有するハンマーヘッドリボザイムをデザインすることは難しいと考えられている。アロステリックとしてトランス活性化された新規リボザイムであるマキシザイムは、特定のRNA配列を認識するセンサーアームを有し、切断に必要なMg2+結合部位におけるMg2+イオンを捕捉するMg2+結合ポケットを介して、認識した特定のRNA配列から離れた部位でターゲットRNAを切断する(Mol. Cell 2, 617−627, 1998)。以上のように、マキシザイムは理論的にはどのような配列も切断することができ、また副作用が少なく、標的遺伝子だけを特異的に破壊しうることから、現在ハンマーヘッドリボザイムよりもPML/RARα mRNAなどの種々の配列に対するマキシザイムが研究・開発されている。
【0006】
マキシザイムをデザインする際、いくつかのパラメーター、例えば、融合遺伝子のヌクレオチドのNUX部位の選択に関しては、切断部位の配列の長さ及びエフェクター部位から切断部位までの距離などのパラメーターが挙げられる(Biomacromolecules 1, 108−117, 2000)。PML/RARαに対するマキシザイムについてはすでに報告されており(Biomacromolecules 1, 108−117, 2000)、その切断部位はキメラ遺伝子のPML部分上に位置し、PML/RARα融合部位から活性型における左右センサーアーム配列の分岐点までの距離が4塩基ある。このことは、このマキシザイムがセルフリーシステムにおいてPML/RARαのエフェクター存在下でPML部分を切断するということを示している(Biomacromolecules 1, 108−117, 2000)。上記のようにマキシザイムは、あらゆる配列を特異的に切断するようにデザインすることができ、それに関連する正常な転写に対してダメージを与えることなく、特異的に切断できるという優れた点を有する。したがって、特異性の高い多くの遺伝子発現を、マキシザイムを使用することによって制御できるはずである。
【0007】
BCR/ABL、PML/RARα及びAML1/ETO(Biochem.Biophys.Res.Commun.215,431−437,1995、Br.J.Cancer 79,1325−1331,1999、Blood 92,1758−1767,1998、Oncogene 17,1759−1768,1998)などの染色体転座由来のキメラ遺伝子は白血病細胞に発現し、白血病を誘発するという特徴を有する。したがって、白血病を誘発するキメラ遺伝子に対するマキシザイムは、上記染色体転座由来のキメラ遺伝子に対するマキシザイムと同様に、リボザイムの確実なターゲットとして白血病細胞を認識すると考えられる。現在、マキシザイムとしては強い切断活性とターゲット遺伝子に対する高選択性を有するものが期待されている。BCR/ABLに対するマキシザイムの最近の報告では、マキシザイムがインビトロ、インビボ両方で作用するということが報告されている(Nature 460,473−474,2000)。従って、マキシザイムの作用は、異常なmRNAを特異的に認識するセンサーアームによってアロステリック的にコントロールすることができ、これはマキシザイムが異常なキメラ遺伝子をターゲットとして破壊する強力な武器であり、将来のAPL患者の治療するための遺伝子治療に有用であることを示唆している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
急性前骨髄球性白血病細胞が発現しているPML/RARα融合遺伝子には、ロングフォーム(long form)とショートフォーム(short form)の2つのアイソフォームが存在し、これらはPML領域での切断点の違いによるものであることが知られている(Cell 66, 663−674, 1991)。2つのアイソフォームのうち、ロングフォームのPML/RARα融合遺伝子に対するマキシザイムについてはすでに報告されている(Biomacromolecules 1,108−117, 2000)が、かかるマキシザイムは、その認識部位の中心(活性型における左右センサーアーム配列の分岐点)がPML/RARα融合遺伝子の融合部位から4塩基離れており、特異性・切断活性において十分なものではなかった。本発明の課題は、急性前骨髄球性白血病等の悪性腫瘍細胞において特異的に発現する融合遺伝子に対して、従来のものより特異性や切断活性が高いマキシザイムや、かかるマキシザイムのスクリーニング方法や、悪性腫瘍治療薬等のかかるマキシザイムの利用方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、悪性腫瘍として急性前骨髄球性白血病に着目し、かかる白血病細胞において特異的に発現するPML/RARα融合遺伝子に対する種々のマキシザイムを、マキシザイムのセンサーアーム(sensor arm)によって認識されるPML/RARα融合遺伝子のエフェクター(sequence of interest)との相互作用によって触媒作用が活性化されるヘテロダイマーRNAモチーフをもとにデザインし(図1参照)、それらのセルフリー系における切断活性を調べてみたところ、ほとんどのマキシザイムはエフェクターが存在しなくてもPML/RARα RNAを非特異的に切断することがわかった。このことから、特異的切断活性が不活性型における安定性に依存しているのではないかと考え、Mg2+結合ポケット周囲の配列を変化させ、不活性型と同様な安定性を有するように、PML/RARαの融合部位をセンサーアーム配列の分岐点近くに位置するように種々の候補マキシザイムをデザインし、セルフリー系における切断活性を調べたところ、特異的切断活性を有するマキシザイムを見い出した。また、かかる特異的切断活性を有するマキシザイム等を含む候補マキシザイムの構造解析から、特異的切断活性に必要な基本構造を決定し、かかる基本構造を数塩基変異させたマキシザイム、すなわち、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム、活性型におけるMg2+結合ポケットを形成するMg2+結合ポケット、前記融合遺伝子のmRNAの切断部位を含む配列の相補塩基配列からなる切断部位アーム(cleavage site arm)等の配列を変異させたマキシザイムが、同様に特異的切断活性を有することを見い出し、PML/RARアルファ融合遺伝子をもつ急性前骨髄急性白血病に対する特異的治療薬として有用であること確認しを、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、悪性腫瘍細胞において特異的に発現する融合遺伝子のmRNA中に存在し、ヒトの他のmRNA中の塩基配列と相同性を有さない塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg2+結合ポケットを形成するMg2+結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備えたヘテロダイマーからなり、活性型における左右センサーアーム配列の分岐点が前記融合遺伝子のmRNAの融合部位から4塩基以内に位置する種々の候補マキシザイムを作製し、その特異性及び切断活性を測定・評価することを特徴とする悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法(請求項1)や、悪性腫瘍細胞が、白血病細胞であることを特徴とする請求項1記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法(請求項2)や、白血病細胞が、急性前骨髄球性白血病細胞であることを特徴とする請求項2記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法(請求項3)や、急性前骨髄球性白血病細胞において特異的に発現する融合遺伝子が、PML/RARα融合遺伝子であることを特徴とする請求項3記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法(請求項4)や、候補マキシザイムが、活性型における左右センサーアーム配列の分岐点が前記融合遺伝子のmRNAの融合部位から2塩基以内に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法(請求項5)や、候補マキシザイムが、配列CUGANGA(N=A、C、G又はU)と配列GAAAを含むMg2+結合ポケット周囲配列を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法(請求項6)や、以下の(a)又は(b)と、(c)又は(d)とのヘテロダイマーからなることを特徴とするマキシザイム。(a)配列番号1に示される塩基配列からなるRNA(b)配列番号1に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(c)又は(d)とのヘテロダイマーが、塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg 2+ 結合ポケットを形成するMg 2+ 結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備え、mRNA切断酵素活性を有するRNA(c)配列番号2に示される塩基配列からなるRNA(d)配列番号2に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(a)又は(b)とのヘテロダイマーが、塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg 2+ 結合ポケットを形成するMg 2+ 結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備え、mRNA切断酵素活性を有するRNA(請求項7)や、以下の(a)又は(b)と、(c)又は(d)とからなることを特徴とするマキシザイム。(a)配列番号3に示される塩基配列からなるRNA(b)配列番号3に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(c)又は(d)とのヘテロダイマーが、塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg 2+ 結合ポケットを形成するMg 2+ 結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備え、酵素活性を有するRNA(c)配列番号4に示される塩基配列からなるRNA(d)配列番号4に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(a)又は(b)とのヘテロダイマーが、塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg 2+ 結合ポケットを形成するMg 2+ 結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備え、mRNA切断酵素活性を有するRNA(請求項8)に関する。
【0011】
また本発明は、請求項7又は8記載のマキシザイムに、ポリA及び/又はキャップ構造を付加することを特徴とする安定化マキシザイム(請求項9)や、請求項7〜9のいずれか記載のマキシザイムを発現することができるベクター(請求項10)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法としては、急性前骨髄球性白血病細胞、慢性骨髄性白血病細胞、急性骨髄性白血病細胞、小児急性リンパ性白血病細胞等の白血病細胞や、悪性リンパ腫瘍細胞、急性リンパ芽球性白血病などの悪性腫瘍細胞において特異的に発現する融合遺伝子のmRNA(標的mRNA)中に存在し、ヒトの他のmRNA中の塩基配列と相同性を有さない塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg2+結合ポケットを形成するMg2+結合ポケット周囲配列と、前記標的mRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備えたヘテロダイマーからなり、活性型における左右センサーアーム配列の分岐点が前記標的mRNAの融合部位の近傍(融合部位から4塩基以内)に位置する種々の候補マキシザイムを作製し、インビトロ(セルフリー系)又はインビボにおいて、候補マキシザイムの特異性及び切断活性を測定・評価する方法であれば特に制限されるものではなく、スクリーニングにより得られる特異的切断活性を有するマキシザイムを用いると、悪性腫瘍細胞において特異的に発現する融合遺伝子をmRNAの段階で切断し、その機能を破壊することができる。
【0013】
上記悪性腫瘍細胞において特異的に発現する融合遺伝子としては、遺伝子の転座により悪性腫瘍細胞において特異的に発現するものであれば特に限定されるものでなく、PML/RARα(急性前骨髄球性白血病)、BCR/ABL(慢性骨髄性白血病)、AML1/ETO(MTG8)(急性骨髄性白血病)、AML1/Evi1(急性骨髄性白血病)、CBFβ/MYH11(急性骨髄性白血病)、DEK/CAN(急性骨髄性白血病)、Fus/ERG(急性骨髄性白血病)、PDGFRβ/TEL(慢性骨髄単球性白血病)、TEL/AML1(小児急性リンパ性白血病)、MLL/AF4(急性リンパ性白血病)、MLL/AF9(急性リンパ性白血病、MLL/ENL(急性リンパ性白血病)、IGH/BCL2(悪性リンパ腫)、IGH/PAX5(悪性リンパ腫)IgH/C−MYC(悪性リンパ腫)、IgH/PRAD1(悪性リンパ腫)、ALK/NPM(悪性リンパ腫)等の融合遺伝子を具体的に例示することができる。
【0014】
候補マキシザイムにおける上記切断部位アーム配列は、標的mRNA中に存在するNUXを含む塩基配列と相補的配列からなり、上記NUXを含む塩基配列がヒトの他のmRNA中の塩基配列と実質的に相同性をもたないことから、標的mRNAの塩基配列中のNUXを切断部位として認識し、センサーアーム配列と協働して、標的mRNAを特異選択的に切断することを可能とする。例えば、融合遺伝子がPML/RARαアイソフォームの場合、PML/RARα融合部位から71塩基下流に位置する、RARαのヌクレオチド配列における476〜478番目のAUCの3つの塩基を含む16のヌクレオチド配列はヒトのどの配列にも相同しないことから、切断部位として好適に選択することができる。
【0015】
候補マキシザイムにおける上記Mg2+結合ポケット周囲配列は、図1(上)に示されるように、上記切断部位アーム配列と前記標的mRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とが、標的mRNAにハイブリダイズした活性型(active form)におけるMg2+結合ポケットを形成する配列で、例えば、融合遺伝子がPML/RARαアイソフォームの場合などにおいては、Mg2+結合ポケット周囲配列を配列CUGANGA(N=A、C、G又はU)と配列GAAAを保存配列として含み、他の部分を変異させた構成とすることが、特異的切断活性を有するマキシザイムを効率よくスクリーニングする上で好ましい。
【0016】
候補マキシザイムにおける上記センサーアーム配列は、前記標的mRNAの融合部分を認識することができるように、該融合部分と相補的な配列からなり、活性型における左右センサーアーム配列の分岐点が前記標的mRNAの融合部位の近傍、好ましくは融合部位から2塩基以内に位置するように構成されている。活性型における左右センサーアーム配列の分岐点を標的mRNAの融合部位の近傍、特に融合部位から2塩基以内に位置するように構成することにより、形成される前記活性型におけるMg2+結合ポケットが高切断活性構造となり、標的mRNAの特異的切断活性に優れたマキシザイムを作製しうる可能性が高くなる。
【0017】
また、候補マキシザイムとして、不活性型(inactive form)において安定な構造を有するマキシザイムを用いることが好ましい。不活性型マキシザイムは、Mg2+結合ポケットが形成されたヘテロダイマーで構成される上記活性型マキシザイムと異なり、図1(下)に示されるように、前記切断部位アーム配列のみが標的mRNAにハイブリダイズし、Mg2+結合ポケットが形成されていないヘテロダイマーで構成されている。そして、不活性型において安定な構造とは、Mg2+結合ポケットに相当する配列間に形成される相補塩基対が多い構造をいい、例えば、融合遺伝子がPML/RARαアイソフォームの場合などにおいては、不活性型において8〜9の相補塩基対を有する候補マキシザイムが、標的mRNAの特異的切断活性に優れたものとなる可能性が大きくなる。
【0018】
標的mRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニングは、種々の濃度の候補マキシザイムを用いて、インビトロ及び/又はインビボで行われるが、その簡便さからしてセルフリー系で行うことが好ましい。上記候補マキシザイムの特異性は、上記切断部位NUXを有する非融合遺伝子のmRNA(正常mRNA)を切断することなく、標的mRNAを選択的に切断するかどうかにより評価され、候補マキシザイムの切断活性はマキシザイムの使用濃度により評価することができる。かかるスクリーニング方法によって得られる標的mRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムは、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、小児急性リンパ性白血病等の白血病や、悪性リンパ種などの悪性腫瘍に対する治療に有用である。以下に悪性腫瘍細胞として急性前骨髄球性白血病細胞を例に挙げ、急性前骨髄球性白血病細胞において特異的に発現するPML/RARα融合遺伝子を特異的に認識し、高い切断活性を有するマキシザイムについて説明する。
【0019】
本発明において、急性前骨髄球性白血病細胞において特異的に発現するPML/RARα融合遺伝子を認識し、高い切断活性を有するマキシザイムとしては、例えば、ロングフォーム(long form)PML/RARα融合遺伝子の場合、次の(a)又は(b)と、(c)又は(d)とのヘテロダイマーからなるマキシザイムを挙げることができる。(a)は配列番号1に示される塩基配列からなるRNA(MzPRT50L)で、(b)は配列番号1に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(c)又は(d)とのヘテロダイマーが酵素活性(RNA切断活性)を有するRNAで、(c)は配列番号2に示される塩基配列からなるRNA(MzPRT50R)で、(d)は配列番号2に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ上記(a)又は(b)とのヘテロダイマーが酵素活性を有するRNAである。かかる(a)又は(b)と、(c)又は(d)とのヘテロダイマーからなるマキシザイムとしては、図16に示されるMzPRT50や、図18に示されるMzPRT50+Gを具体的に挙げることができる。
【0020】
他方、ショートフォーム(short form)PML/RARα融合遺伝子の場合、次の(a)又は(b)と、(c)又は(d)とのヘテロダイマーからなるマキシザイムを挙げることができる。(a)は配列番号3に示される塩基配列からなるRNA(MzPRK55L)で、(b)は配列番号3に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(c)又は(d)とのヘテロダイマーが酵素活性を有するRNAで、(c)は配列番号4に示される塩基配列からなるRNA(MzPRK55R)で、(d)は配列番号4に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ上記(a)又は(b)とのヘテロダイマーが酵素活性を有するRNAである。かかる(a)又は(b)と、(c)又は(d)とのヘテロダイマーからなるマキシザイムとしては、図17に示されるMzPRK55や、図19に示されるMzPRK55+Gを具体的に挙げることができる。
【0021】
本発明の安定化マキシザイムとしては、上記MzPRT50やMzPRK55等の前記スクリーニング方法により得られる本発明のマキシザイムに、ポリA及び/又はキャップ構造が付加され、リボヌクレアーゼ等による分解から保護され、安定性の高い構造を有するものであれば特に制限されるものではなく、上記キャップ構造としては、マキシザイムの5'末端ヌクレオシドにリン酸基を介して5'→5'結合した7−メチルグアノシン5'−リン酸[(7MeG)−5'−ppp−末端ヌクレオシド]を付加したCap0構造や、Cap0構造にさらに1番目の末端ヌクレオチドの2'位のOHをメチル化させたCap1構造や、Cap1構造にさらに2番目のヌクレオチドの2'位のOHをメチル化させるCap2構造を例示することができ、安定化マキシザイムとしてこれらキャップ構造と3'側にポリA構造を共に付加した構造を有するマキシザイムをより好適に挙げることができる。
【0022】
本発明のRNAベクターとしては、本発明のマキシザイムを悪性腫瘍細胞等の細胞内において発現することができるベクターであれば特に制限されるものではなく、プラスミド、ウイルス、レトロトランスポゾン及びコスミドを含む種々のベクターを用いることができる。また、これらベクターの種類に応じて、マキシザイムのヘテロダイマーを構成するRNA配列をそのまま、あるいは該RNA配列の逆転写物であるDNA配列を1又は2以上ベクターに組み込むことができる。マキシザイム発現用のプラスミドベクターとしては、pol IIIプロモーター(例えば、アデノウイルス由来のtRNA又はVA−1)、CMVプロモーター、SV40後期プロモーター、又はSV40初期プロモーターのような真核プロモーターを有するものを挙げることができ、ウイルスベクターとしては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス1型又はアデノ随伴ウイルス2型ベクター、レトロウイルスベクターなどを具体的に挙げることができる。これらベクターの作製については公知の方法(例えば、Gene Therapy:Application of MolecularBiology,Elsevier SciencePublishing Co.,Inc.,ニューヨーク,1991参照)を用いることができ、例えば、組換えレトロウイルスベクターを用いて、悪性腫瘍細胞等をトランスフェクトすることにより、本発明のマキシザイムをコードする遺伝子をヒト細胞の染色体中へ導入し、効率よくマキシザイムを発現させることができる。
【0023】
本発明はまた、本発明のマキシザイム、安定化マキシザイム、マキシザイム発現ベクターが導入された悪性腫瘍細胞や、本発明のマキシザイム、安定化マキシザイム、マキシザイム発現ベクターを用いる標的mRNAの特異的切断方法や、本発明のマキシザイム、安定化マキシザイム、マキシザイム発現ベクターを悪性腫瘍患者の悪性腫瘍細胞に導入することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法に関する。本発明のマキシザイム、安定化マキシザイム、マキシザイム発現ベクターを悪性腫瘍細胞に導入する方法としては、リン酸カルシウム沈降を用いるトランスホーメーション法、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法等を挙げることができる。悪性腫瘍細胞に本発明のマキシザイム、安定化マキシザイム、マキシザイム発現ベクターを導入すると、標的mRNAが特異的に切断されることから、本発明のマキシザイム等は悪性腫瘍患者における遺伝子治療や養子免疫療法に有用である。
【0024】
本発明の悪性腫瘍治療薬としては、本発明のマキシザイム、安定化マキシザイム、マキシザイム発現ベクターを有効成分とし、必要に応じて薬学的に又は生理的に許容しうる担体、賦形剤又は希釈剤を含有するものであれば特に制限されるものではなく、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、小児急性リンパ性白血病等の白血病や、悪性リンパ種などの悪性腫瘍の発症に関与する融合遺伝子を切断することから、上記悪性腫瘍に対する特異的な治療法に好適に使用することができる。本発明の悪性腫瘍治療薬は、経口、静脈内、腹腔内、鼻腔内、皮内、皮下、筋肉内等種々の形態で投与することができる。また、投与すべき有効量は、悪性腫瘍治療薬の種類・組成、投与方法、患者の年齢や体重等を考慮して適宜決定することができ、これらを1日当たり1〜数回投与することが好ましい。また、静脈等の注射により投与する場合には、本発明の悪性腫瘍治療薬を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液等に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。またこれらの製剤は、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1(マキシザイムのデザインと作製)
最近の研究により、PML/RARα融合蛋白質による転写抑制のメカニズムが、APLの分子病因論と、オールトランスレチノイン酸(RA)によるAPLでの異なる反応により明らかにされている(Nature 391, 811−814, 1998、Nature 391, 815−818, 1998)。さらに、PML/RARαの変異は、APL患者でのRA耐性の発達による1つのメカニズムではないかと考えられている(Blood 92, 374−382, 1998)。したがって、PML/RARαのターゲッティングは、RA耐性の場合を含むAPL患者の治療において役立つと考えられる。上記PML/RARαはPML領域における切断点の違いから、今までに2つのアイソフォームが明らかとなっている。そこで、PML/RARαの2つのアイソフォームに対して、2つのRNA分子(MzLとMzR)によるヘテロダイマーとして構成されているいくつかのマキシザイムをデザインした。かかるマキシザイムは、図1に示されるエフェクター(sequence of interest)がセンサーアームによって認識されることから(Mol. Cell 2, 617−627, 1998)、かかるエフェクターとの相互作用によって活性化されるヘテロ二量体RNAモチーフに基づきデザインした。
【0026】
上記デザインしたマキシザイムの全ての2次構造はmFold version3.1(http://bioinfo.math.rpi.edu/〜mfold/rna/form1.cgi)によって予測した(J.Mol.Biol.288,911−940,1999)。RARαのヌクレオチド配列における476〜478番目のAUCは、PML/RARα融合点から71塩基下流に位置し、この3つの塩基を含む16のヌクレオチド配列は、前記のように、ヒトのどの配列にも相同性を有しないことから切断部位として選択し(Nature 330,444−450,1987)、図1中のP及びQで示した非保存塩基を適切な塩基に置換し、不活性型マキシザイムを安定化させた。なお、図1中の枠で囲んだヌクレオチドは切断活性に必要な保存配列を示し、また、Y及びZは標的mRNA配列に対して相補的であることを意味している。
【0027】
上記デザインしたマキシザイムの切断活性及び特異性をセルフリー系により調べた。セルフリー系での切断反応は、10μlのリアクションバッファー[50mMのTris−HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、10mMのMgCl、5ng/μlの基質(センサーアームが認識することができるエフェクター部位を有するPML/RARα RNA、センサーアームが認識することができるエフェクター部位を有しないPML/RARα RNA、又はRARα RNA)、及びマキシザイム(基質/マキシザイム=1/1、1/2、1/4、1/8、又は1/16)を含む溶液]中で37℃にて行った。その後、8μlのストップバッファー(US Biochemical Co,Cleveland,OH社製)を加えることにより反応を停止させ、6%ポリアクリルアミド/7M尿素ゲルで分析した。この結果、ほとんどのマキシザイムはエフェクターが存在しないPML/RARα RNAも切断しているのが確認できた。このことは、切断活性の特異性が不活性型マキシザイムの安定性に依存していることを示唆している。
【0028】
図1の活性型の構造は、エフェクター“sequence of interest”分子によって安定化し、エフェクター“sequence of interest“を有しない場合、MzL及びMzRはMg2+結合ポケットを形成することができないので不活性型をとる。また、PML/RARαに対してデザインされたマキシザイムにおける切断活性は、PML/RARαの融合部位から活性型におけるセンサーアームの分岐点が離れるにつれ減少することがわかった。以上のことから、Mg2+結合ポケット周囲の配列を変化させ、不活性型において安定性を有し、かつPML/RARαの融合部位がセンサーアームの分岐点の近くに位置するように再度マキシザイムをデザインした(表1及び図2〜15)。
【0029】
【表1】
【0030】
デザインした14のマキシザイムは、文献(Biochem.Biophys.Res.Commun.215,431−437,1995)記載のインビトロ転写により作製した。マキシザイム又はエフェクターの鋳型cDNAは、それらの3′末端にバクテリオファージT7RNAポリメラーゼプロモータ領域を含んでいる。各マキシザイムcDNAに、バクテリオファージT7RNAポリメラーゼプロモータに相補的なDNAオリゴマーを同量混合し、各2mMのATP、GTP、CTP、及びUTP(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN社製)と、T7RNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Beverly,MI社製)とを含む200μlの緩衝液で37℃,4時間インキュベーションした。その後、RQ1 RNase−free DNAse(Promega, Madison,WI社製)で37℃で15分間インキュベーションし、次いでDEPCで処理した水に再度懸濁した。基質RARα RNAも、各0.5mMのATP、GTP及びUTPと、0.1mMのCTPと、3.7MBq[α−32P]CTPとを含む緩衝液中で、ヌクレオチド位置464−737(EMBL/Genbank:X06538)(Nature 330,444−450,1987)等のRARαセグメントのcDNAを有するTAクローニングベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA社製)をインビトロ転写することにより作製した。
【0031】
実施例2(各マキシザイムの切断活性及び特異性)
次に、実施例1により新たにデザインした14のマキシザイム(図2〜15)の切断活性及び特異性を実施例1記載の方法と同様にセルフリー系で調べてみた。その結果を表1に示す。この結果から、MzPRT50(図16)及びMzPRK55(図17)の構造が切断活性、特異性共に高いことが確認できた。これらのマキシザイムは、認識部位(活性型センサーアームの分岐点)がPML/RARα融合遺伝子の融合部位から2塩基と非常に近く、不活性型における相補塩基対数がそれぞれ8(MzPRT50)又は9(MzPRK55)であることから、高い特異的切断活性を有すると考えられた。このMzPRT50やMzPRK55における活性型Mg2+結合ポケット周囲RNA配列を基本構造とし、MzPRT50+R(図18)やMzPRK55+R(図19)等かかる基本構造に数塩基配列を加えたり、変えたりした類似構造のマキシザイムは、特異的切断活性を有することもわかった。なお、各マキシザイムにおける活性型Mg2+結合ポケットの1塩基は、Sheldon et alの記載の方法により欠失させた(Nucleic Acids Res.17,5679−5685,1989)。また、センサーアームや切断部位アームを短くしたマキシザイム、あるいは延長したマキシザイムも同様に特異的切断活性を有することも確認できた。
【0032】
実施例3(エフェクターによる効果)
次に、実施例1と同様に、マキシザイムとして各種濃度のMzPRT50を、各種基質[センサーアームに認識されるmRNAが非存在(No)、PML/RARα、又はRARα単独]に作用させ、特異的切断反応の効果を調べてみた。結果を図20に示す。なお、図20中の基質とマキシザイムの割合(Sub/Mz ratio)は、一定濃度の基質に対するマキシザイムの濃度の割合を示す。この結果、マキシザイムMzPRT50は、標的mRNAにおけるRARα RNAを特異的に切断するが、正常型RARα単独及びエフェクターが存在しないPML/RARαにおいては切断活性を有しないことがわかった。MzPRK55についてもMzPRT50と同様に、PML/RARαエフェクターが存在するときにのみRARα RNAを特異的に切断していた。
【0033】
【発明の効果】
本発明のマキシザイムは、悪性腫瘍細胞において特異的に発現する融合遺伝子のmRNAを選択的に認識して切断することができることから、従来のマキシザイムに比べて特異性・切断活性において優れている。したがって、本発明のマキシザイム、安定化マキシザイム、マキシザイム発現ベクター等は、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、小児急性リンパ性白血病等の白血病や、悪性リンパ種などの悪性腫瘍に対する治療薬として有用である。
【0034】
【配列表】

【図面の簡単な説明】
【図1】デザインしたマキシザイムの基本構造を示す図である。
【図2】マキシザイムMzPRT1の基本構造を示す図である。
【図3】マキシザイムMzPRT2の基本構造を示す図である。
【図4】マキシザイムMzPRK1の基本構造を示す図である。
【図5】マキシザイムMzPRK2の基本構造を示す図である。
【図6】マキシザイムMzPRK1−22の基本構造を示す図である。
【図7】 マキシザイムMzPRK1−33の基本構造を示す図である。
【図8】 マキシザイムMzPRK1−54の基本構造を示す図である。
【図9】 マキシザイムMzPRK55の基本構造を示す図である。
【図10】 マキシザイムMzPRK60の基本構造を示す図である。
【図11】 マキシザイムMzPRK61の基本構造を示す図である。
【図12】 マキシザイムMzPRT50の基本構造を示す図である。
【図13】 マキシザイムMzPRT51の基本構造を示す図である。
【図14】 マキシザイムMzPRT52の基本構造を示す図である。
【図15】 マキシザイムMzPRT53の基本構造を示す図である。
【図16】 マキシザイムMzPRT50のスタンダードフォームの基本構造を示す図である。
【図17】 マキシザイムMzPRK55のスタンダードフォームの基本構造を示す図である。
【図18】 マキシザイムMzPRT50+Gのスタンダードフォームの基本構造を示す図である。
【図19】 マキシザイムMzPRK55+Gのスタンダードフォームの基本構造を示す図である。
【図20】 本発明のMzPRT50を用いた場合の、エフェクターの存在下又は非存在下での切断
活性の結果を示す図である。

Claims (10)

  1. 悪性腫瘍細胞において特異的に発現する融合遺伝子のmRNA中に存在し、ヒトの他のmRNA中の塩基配列と相同性を有さない塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg2+結合ポケットを形成するMg2+結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備えたヘテロダイマーからなり、活性型における左右センサーアーム配列の分岐点が前記融合遺伝子のmRNAの融合部位から4塩基以内に位置する種々の候補マキシザイムを作製し、その特異性及び切断活性を測定・評価することを特徴とする悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法。
  2. 悪性腫瘍細胞が、白血病細胞であることを特徴とする請求項1記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法。
  3. 白血病細胞が、急性前骨髄球性白血病細胞であることを特徴とする請求項2記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法。
  4. 急性前骨髄球性白血病細胞において特異的に発現する融合遺伝子が、
    PML/RARα融合遺伝子であることを特徴とする請求項3記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法。
  5. 候補マキシザイムが、活性型における左右センサーアーム配列の分岐点が前記融合遺伝子のmRNAの融合部位から2塩基以内に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法。
  6. 候補マキシザイムが、配列CUGANGA(N=A、C、G又はU)と配列GAAAを含むMg2+結合ポケット周囲配列を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の悪性腫瘍細胞特異的融合遺伝子のmRNAに対して特異的切断活性を有するマキシザイムのスクリーニング方法。
  7. 以下の(a)又は(b)と、(c)又は(d)とのヘテロダイマーからなることを特徴とするマキシザイム。
    (a) 配列番号1に示される塩基配列からなるRNA
    (b) 配列番号1に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(c)又は(d)とのヘテロダイマーが、塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg 2+ 結合ポケットを形成するMg 2+ 結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備え、mRNA切断酵素活性を有するRNA
    (c) 配列番号2に示される塩基配列からなるRNA
    (d) 配列番号2に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(a)又は(b)とのヘテロダイマーが、塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg 2+ 結合ポケットを形成するMg 2+ 結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備え、mRNA切断酵素活性を有するRNA。
  8. 以下の(a)又は(b)と、(c)又は(d)とからなることを特徴とするマキシザイム。
    (a) 配列番号3に示される塩基配列からなるRNA
    (b) 配列番号3に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(c)又は(d)とのヘテロダイマーが、塩基 配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg 2+ 結合ポケットを形成するMg 2+ 結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備え、酵素活性を有するRNA
    (c) 配列番号4に示される塩基配列からなるRNA
    (d) 配列番号4に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ(a)又は(b)とのヘテロダイマーが、塩基配列中のNUX(N=A、C、G又はU、X=A、C又はU)を切断部位として認識する切断部位アーム配列と、活性型におけるMg 2+ 結合ポケットを形成するMg 2+ 結合ポケット周囲配列と、前記融合遺伝子のmRNAの融合部分を認識するセンサーアーム配列とを備え、mRNA切断酵素活性を有するRNA。
  9. 請求項7又は8記載のマキシザイムに、ポリA及び/又はキャップ構造を付加することを特徴とする安定化マキシザイム。
  10. 請求項7〜9のいずれか記載のマキシザイムを発現することができるベクター。
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