JPH11186563A - 半導体装置およびその作製方法 - Google Patents

半導体装置およびその作製方法

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JPH11186563A
JPH11186563A JP15671998A JP15671998A JPH11186563A JP H11186563 A JPH11186563 A JP H11186563A JP 15671998 A JP15671998 A JP 15671998A JP 15671998 A JP15671998 A JP 15671998A JP H11186563 A JPH11186563 A JP H11186563A
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thin film
film
semiconductor thin
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tft
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舜平 山崎
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久 大谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能な電気光学装置や半導体回路、さらに
はそれらを搭載した電子機器を低価格で提供する。 【解決手段】 結晶化を助長する触媒元素を利用して形
成した結晶性半導体薄膜に対して、ハロゲン元素を含む
雰囲気中において 700℃を超える加熱処理を施すと実質
的に結晶粒界の存在しない結晶構造が得られる。本願発
明では上記結晶性半導体薄膜を安価で耐熱性の高い結晶
化ガラス基板上に形成することで低価格な半導体装置を
提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本明細書で開示する発明は、
絶縁表面を有する基板上に形成された結晶性半導体薄膜
を利用した半導体装置に関する。
【0002】なお、本明細書中では薄膜トランジスタ
(以下、TFT)、半導体回路、電気光学装置および電
子機器を全て「半導体装置」に範疇に含めて扱う。即
ち、半導体特性を利用して機能しうる装置全てを半導体
装置と呼ぶ。
【0003】従って、上記特許請求の範囲に記載された
半導体装置は、薄膜トランジスタ等の単体素子だけでな
く、それを集積化した半導体回路や電気光学装置および
それらを部品として搭載した電子機器をも包含する。
【0004】
【従来の技術】近年、絶縁表面を有する基板上に形成さ
れた半導体薄膜(厚さ数十〜数百nm程度)を用いて薄膜
トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されてい
る。薄膜トランジスタは特に画像表示装置(例えば液晶
表示装置:LCD)のスイッチング素子としての開発が
急がれている。
【0005】例えば、液晶表示装置においてはマトリク
ス状に配列された画素領域を個々に制御する画素マトリ
クス回路、画素マトリクス回路を制御する駆動回路、さ
らに外部からのデータ信号を処理するロジック回路(演
算回路、メモリ回路、クロックジェネレータなど)等の
あらゆる電気回路にTFTを応用する試みがなされてい
る。
【0006】現状においては、活性層として非晶質珪素
膜(アモルファスシリコン膜)を用いたTFTが実用化
されているが、駆動回路やロジック回路などの様に、さ
らなる高速動作性能を求められる電気回路には、結晶性
珪素膜(ポリシリコン膜等)を利用したTFTが必要と
される。
【0007】例えば、ガラス基板上に結晶性珪素膜を形
成する方法としては、本出願人による特開平7-130652号
公報、特開平8-78329 号公報に記載された技術が公知で
ある。これらの公報記載の技術は、非晶質珪素膜の結晶
化を助長する触媒元素を利用することにより、500 〜60
0 ℃、4時間程度の加熱処理によって結晶性の優れた結
晶性珪素膜を形成することを可能とするものである。
【0008】特に、特開平8-78329 に記載された技術は
上記技術を応用して基板面とほぼ平行な結晶成長を行わ
すものであり、発明者らは形成された結晶化領域を特に
横成長領域(またはラテラル成長領域)と呼んでいる。
【0009】しかし、この様なTFTを用いて駆動回路
を構成してもまだまだ要求される性能を完全に満たすに
は及ばない。特に、メガヘルツからギガヘルツにかけて
の極めて高速な動作を要求する高速ロジック回路を従来
のTFTで構成することは不可能なのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これま
で結晶粒界を有する結晶性珪素膜(ポリシリコン膜と呼
ばれる)の結晶性を向上させるために様々な思考錯誤を
繰り返してきた。セミアモルファス半導体(特開昭57-1
60121 号公報等)やモノドメイン半導体(特開平8-1390
19号公報等)などが挙げられる。
【0011】上記公報に記載された半導体膜に共通の概
念は、結晶粒界の実質的な無害化にある。即ち、結晶粒
界を実質的になくし、キャリア(電子または正孔)の移
動を円滑に行わせることが最大の課題であった。
【0012】しかしながら、上記公報に記載された半導
体膜をもってしてもロジック回路が要求する高速動作を
行うには不十分と言える。即ち、ロジック回路を内蔵し
たシステム・オン・パネルを実現するためには、従来に
ない全く新しい材料の開発が求められているのである。
【0013】本願発明は、その様な要求に答えるもので
あり、従来のTFTでは作製不可能であった様な高速ロ
ジック回路を構成しうる極めて高性能な半導体装置を実
現することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本明細書で開示する発明
の構成は、歪点が750℃以上であるガラス基板と、前
記ガラス基板の少なくとも表面及び裏面に対して形成さ
れた絶縁性珪素膜と、前記絶縁性珪素膜上に形成された
複数の棒状または偏平棒状結晶の集合体からなる半導体
薄膜をチャネル形成領域とするTFTと、を構成に含む
半導体装置であって、前記チャネル形成領域の面方位は
概略{110}配向であり、且つ、結晶粒界において9
0%以上の結晶格子に連続性があることを特徴とする。
【0015】また、他の発明の構成は、歪点が750℃
以上であるガラス基板と、前記ガラス基板の少なくとも
表面及び裏面に対して形成された絶縁性珪素膜と、前記
絶縁性珪素膜上に形成された複数の棒状または偏平棒状
結晶の集合体からなる半導体薄膜をチャネル形成領域と
するTFTと、を構成に含む半導体装置であって、前記
チャネル形成領域の面方位は概略{110}配向であ
り、且つ、結晶粒界を横切る様にして観測される格子縞
の90%以上が、前記結晶粒界を形成する異なる結晶粒
間で直線的に連続していることを特徴とする。
【0016】また、他の発明の構成は、歪点が750℃
以上であるガラス基板と、前記ガラス基板の少なくとも
表面及び裏面に対して形成された絶縁性珪素膜と、前記
絶縁性珪素膜上に形成された複数の棒状または偏平棒状
結晶の集合体からなる半導体薄膜をチャネル形成領域と
するTFTと、を構成に含む半導体装置であって、前記
チャネル形成領域に垂直に電子線を照射した際に観測さ
れる電子線回折パターンは、{110}配向に特有の規
則性を示すことを特徴とする。
【0017】また、他の発明の構成は、歪点が750℃
以上であるガラス基板の全面に対して非晶質半導体薄膜
を形成する工程と、第1の加熱処理により前記非晶質半
導体薄膜を酸化し、完全に熱酸化膜に変成させる工程
と、前記ガラス基板の表面側に形成された熱酸化膜上に
再び非晶質半導体薄膜を形成する工程と、前記非晶質半
導体薄膜上の一部又は全部に当該半導体薄膜の結晶化を
助長する触媒元素を添加又は保持する工程と、第2の加
熱処理により前記非晶質半導体薄膜の一部又は全部を結
晶化させ、結晶性半導体薄膜に変成させる工程と、前記
結晶性半導体薄膜中から前記触媒元素をゲッタリングす
る工程と、前記ゲッタリング工程後の結晶性半導体薄膜
をパターニングして活性層を形成し、当該活性層表面に
熱酸化膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】また、他の発明の構成は、歪点が750℃
以上であるガラス基板の全面に対して減圧熱CVD法に
より絶縁性珪素膜を形成する工程と、前記ガラス基板の
表面側に形成された絶縁性珪素膜上に非晶質半導体薄膜
を形成する工程と、前記非晶質半導体薄膜上の一部又は
全部に当該半導体薄膜の結晶化を助長する触媒元素を添
加又は保持する工程と、加熱処理により前記非晶質半導
体薄膜の一部又は全部を結晶化させ、結晶性半導体薄膜
に変成させる工程と、前記結晶性半導体薄膜中から前記
触媒元素をゲッタリングする工程と、前記ゲッタリング
工程後の結晶性半導体薄膜をパターニングして活性層を
形成し、当該活性層表面に熱酸化膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0019】本願発明の重要な構成要件としては、 (1)基板として 750℃以上の温度に耐えうる耐熱性を
有するガラス基板(歪点が 750℃以上であるガラス基
板)を用いる。 (2)上記高耐熱性ガラス基板の外周面(少なくとも表
面及び裏面、好ましくは全面)を絶縁性珪素膜で保護す
る。 (3)絶縁性珪素膜で包まれた上記高耐熱性ガラス基板
上に、結晶粒界の整合性に優れた結晶性半導体薄膜を設
ける。 という3点が挙げられる。
【0020】まず、本発明者らが開発した結晶粒界の整
合性に優れた結晶性半導体薄膜を形成するためには、70
0 ℃を超える加熱処理が必要となる。この形成方法につ
いての詳細は
【発明の実施の形態】の欄で説明する。
【0021】上記理由により基板としては歪点が少なく
とも 750℃以上である基板を用いる必要がある。その様
な基板としては石英基板が一般的であるが、石英基板は
高価であるため全体的なコストを上げてしまう。また、
熱膨張係数が0.48×10-6-1であり、珪素の熱膨張係数
(約4.15×10-6-1)の1/10程度と小さい。即ち、珪素
との間に応力を発生しやすく、加熱処理の際に珪素のピ
ーリング(膜剥がれ)などを引き起こしやすい。
【0022】そこで、本願発明では歪点が 750℃以上
(代表的には 950〜1100℃、好ましくは1000〜1050℃)
である耐熱性の高い結晶化ガラスを基板として用いる。
結晶化ガラスは石英よりも薄くできるため、液晶モジュ
ール等の製造コストを安く抑えられる。また、ガラス基
板であるため大版化が可能であり、多面取りによるコス
トダウンも図れる。
【0023】さらに、熱膨張係数は結晶化ガラスを構成
する成分組成を適切なものとすることで容易に変えるこ
とができる。そのため、結晶性半導体薄膜の熱膨張係数
に近いものを選択するのも容易である。
【0024】本発明者らの目指すところはシステム・オ
ン・パネルであり、安価で高性能な電子機器の実現であ
る。その利点を生かすためには、コスト高な石英基板よ
りも安価な結晶化ガラスを基板として用いることの方が
遙かに効果的である。
【0025】ただし、結晶化ガラスは様々な成分組成を
持つため、半導体装置の製造過程における成分物質の流
出が懸念される。そのため、結晶化ガラスを絶縁膜(結
晶性珪素膜との相性を考慮すると絶縁性珪素膜が好まし
い)で保護することが重要となる。そのためには、全プ
ロセス過程において結晶化ガラスの少なくとも表面(素
子が形成される側)及び裏面を絶縁膜で保護する必要が
ある。
【0026】なお、結晶化ガラスの側面は全体から見る
と非常に小さい面積であるので露出していてもさほど問
題とはならない。しかし、表面、側面及び裏面を絶縁膜
で完全に包み込んでしまい、成分物質の流出を完全に防
ぐことが最も好ましいことは言うまでもない。
【0027】ただし、絶縁膜を成膜する際の基板支持部
(プッシャーピン等)の部分には成膜されない部分がで
きる。しかしながら、全体の面積と比較すると非常に微
小な領域なので問題とはならない。
【0028】以上の点を考慮して、本願発明者らは絶縁
性珪素膜で外周面(好ましくは全面)を保護された高耐
熱性ガラス基板上に、結晶粒界の整合性に優れた結晶性
半導体薄膜を設ける、という本願発明の構成に至ったの
である。
【0029】
【発明の実施の形態】ここでは、結晶粒界の整合性に優
れた結晶性半導体薄膜を形成する所までの工程について
図1を用いて説明する。まず、基板として 0.5〜1.1mm
厚(代表的には 0.7mm厚)の結晶化ガラス基板101を
用意する。結晶化ガラスはガラスセラミクスとも呼ば
れ、ガラス生成の段階で微小な結晶を均一に成長させて
得られたガラス基板と定義される。この様な結晶化ガラ
スは耐熱性が高く、熱膨張係数が小さいという特徴があ
る。
【0030】本願発明で用いるガラス基板には 750℃以
上、好ましくは 950〜1100の歪点温度を有する高い耐熱
性が要求される。現状ではその様な耐熱性を実現するガ
ラス材料は結晶化ガラスしかないが、結晶化ガラスの定
義に入らないガラス基板(例えば非晶質状態の高耐熱性
ガラス基板等)であっても上記耐熱性を有する基板であ
れば本願発明に利用することができる。
【0031】なお、結晶化ガラスに関する詳細は「ガラ
スハンドブック;作花済夫 他,pp.197〜217 ,朝倉書
店,1975」を参考にすると良い。
【0032】結晶化ガラスの種類も様々であるが、基本
的には石英(SiO2)、アルミナ(Al2O3 )を中心とした
アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス(B2O3
含まれる)などが実用的と言える。しかしながら、半導
体装置用の基板として用いることを考慮すれば無アルカ
リガラスであることが望ましく、そういった意味で、Mg
O-Al2O3-SiO2系、PbO-ZnO-B2O3系、Al2O3-B2O3-SiO2
系、ZnO-B2O3-SiO2 系などが好ましい。
【0033】MgO-Al2O3-SiO2系の高絶縁結晶化ガラス
は、核形成剤として、TiO2、SnO2、ZrO2などを含み、コ
ージュライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2 )を主結晶相とす
る結晶化ガラスである。このタイプの結晶化ガラスは耐
熱性が高く、電気絶縁性が高周波域でも優れている点に
特徴がある。コージュライト系結晶化ガラスの組成例及
び熱膨張係数を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】熱膨張係数は小さいほど熱によるシュリン
ケージ(熱による縮み)の影響が小さくなるため、微細
パターン加工を行う半導体用基板としては好ましい。し
かし、半導体薄膜の熱膨張係数との差が大きいと膜剥が
れなどを起こしやすくなるため、なるべく半導体薄膜の
熱膨張係数に近いものを用いることが望ましい。この様
なことを考慮すると、SiO2が45〜57% 、Al2O3 が20〜27
% 、MgO が11〜18% 、TiO2が 9〜12% のコージュライト
系結晶化ガラスが好ましいと言える。
【0036】また、例えば透過型LCDを作製する場合
には結晶化ガラスには透光性が要求される。その様な場
合には無アルカリの透明結晶化ガラスを用いると良い。
例えば、結晶相が充填β−石英固溶体で、熱膨張係数が
1.1〜3.0 ×10-6℃の結晶化ガラスとして、表2に示す
様な結晶化ガラスがある。
【0037】
【表2】
【0038】本願発明の構成要件の第1は、以上の様な
結晶化ガラスを基板として用いることである。勿論、適
切な工夫(本願発明の様に絶縁膜で完全に保護する等)
を施せばアルカリ系結晶化ガラス(Na2O-Al2O3-SiO2
系、Li2O-Al2O3-SiO2 系等)を用いることもできる。ま
た、熱膨張係数が非常に小さい(またはゼロに近い)結
晶化ガラスでも、 2.0〜3.0 ×10-6℃の熱膨張係数を有
するガラスをコーティングして、半導体薄膜との熱膨張
係数の差を緩和することも可能である。
【0039】以上の様な構成の結晶化ガラス101を用
意したら、結晶化ガラス101に対して非晶質珪素膜1
02を成膜する。成膜は減圧熱CVD法で行い、成膜ガ
スとしてはシラン(SiH4)又はジシラン(Si2H6 )を用
いる。なお、膜厚は50〜250nm(代表的には 100〜150 n
m)とすれば良い。(図1(A))
【0040】この様に減圧熱CVD法で成膜すると基板
101を包み込む様にして表面、裏面及び側面に対して
非晶質珪素膜102を成膜することができる。なお、厳
密には基板を保持するためのプッシャーピンが接する部
分に非晶質珪素膜102は成膜されない。しかし、全体
の面積から見れば微々たるものである。
【0041】次に、加熱処理を行い、非晶質珪素膜10
2を完全に熱酸化することで熱酸化膜103を形成す
る。この場合、非晶質珪素膜102は完全に熱酸化して
熱酸化膜103に変化するため、熱酸化膜103の膜厚
は 100〜500 nm(代表的には 200〜300 nm)となる。
【0042】また、加熱処理の条件は公知のドライO2
酸化、ウェットO2 酸化、スチーム酸化、パイロジェニ
ック酸化、酸素分圧酸化、塩酸(HCl)酸化のいずれ
の手段によっても構わない。処理温度及び処理時間はプ
ロセスを考慮した上で適切な条件を設定すれば良い。
【0043】なお、この加熱処理は結晶化ガラスの歪点
以上、徐冷点以下の温度で行い、その温度で保持した
後、徐冷するといった処理を行うことが好ましい。この
様な処理を行うと熱酸化膜の形成と同時にガラスのシュ
リンケージ対策を行うことができる。即ち、上述の処理
によって予め基板を十分に縮ませておくことでその後の
加熱処理による基板のシュリンケージ量を低減すること
ができる。これに関連した技術は特開平8-250744号公報
に記載されている。
【0044】以上の様にして、熱酸化膜(酸化珪素膜)
103が形成されるが、前述の様に非晶質珪素膜102
は基板101を包み込む様にして形成されているので、
熱酸化膜103も基板101を包み込む様にして形成さ
れる。即ち、結晶化ガラス基板101は完全に絶縁性珪
素膜で包まれるので、成分物質の流出を防止することが
可能となる。
【0045】なお、ここではSixOy で表される酸化珪素
膜を絶縁性珪素膜として用いているが、他にもSixNy で
表される窒化珪素膜やSiOxNyで表される酸化窒化珪素膜
などの絶縁性珪素膜を用いることも可能である。
【0046】こうして、本願発明の重要な構成のうちの
二つ、結晶化ガラスを用いる点と結晶化ガラスを絶縁性
珪素膜で包み込む点とが達成される。
【0047】次に、結晶粒界の整合性に優れた結晶性半
導体薄膜を形成するための技術について説明する。図1
(B)に示す状態が得られたら、非晶質半導体薄膜10
4を減圧熱CVD法、プラズマCVD法またはスパッタ
法により形成する。
【0048】ただし、減圧熱CVD法で成膜した場合に
は裏面及び側面に成膜された膜を後の結晶化工程を行う
前に除去しておくことが好ましい。本発明者らの経験で
は、裏面や側面に非晶質半導体薄膜を残したまま結晶化
工程を行うと結晶状態が悪化する様である(原因は不
明)。
【0049】なお、非晶質半導体薄膜104としては代
表的には非晶質珪素膜を用いれば良い。この他、半導体
薄膜としてSix Ge1-x (0<X<1)で示される珪素とゲルマ
ニウムの化合物を利用することも可能である。非晶質半
導体薄膜104の膜厚は25〜100nm (好ましくは30〜60
nm)とする。
【0050】なお、成膜中に混入する炭素、酸素、窒素
等の不純物は後の結晶化を阻害する恐れがあるので徹底
的に低減することが好ましい。具体的には炭素及び窒素
の濃度はいずれも 5×1018atoms/cm3 未満(代表的には
5×1017atoms/cm3 以下)とし、酸素の濃度は 1.5×10
19atoms/cm3 未満(代表的には 1×1018atoms/cm3
下)とするこのが望ましい。成膜時に上記濃度としてお
けば、完成したTFTにおける上記不純物の濃度も上述
の範囲に収まる。
【0051】なお、成膜時にTFTのしきい値電圧(V
th)を制御するための不純物元素(13族元素、代表的
にはボロン又は15族元素、代表的にはリン)を添加す
ることは有効である。添加量は上記Vth制御用不純物を
添加しない場合のVthを鑑みて決定する必要がある。
【0052】次に、非晶質半導体薄膜104の結晶化工
程を行う。結晶化の手段としては本発明者らによる特開
平7-130652号公報記載の技術を用いる。同公報の実施例
1および実施例2のどちらの手段でも良いが、本願発明
では実施例2に記載した技術内容(特開平8-78329 号公
報に詳しい)を利用するのが好ましい。
【0053】特開平8-78329 号公報記載の技術は、まず
触媒元素の添加領域を選択するマスク絶縁膜105を形
成する。そして、非晶質半導体薄膜104の結晶化を助
長する触媒元素を含有した溶液をスピンコート法により
塗布し、触媒元素含有層106を形成する。(図1
(C))
【0054】なお、触媒元素としてはニッケル(N
i)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、パラジウム(P
d)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、ゲルマ
ニウム(Ge)、鉛(Pb)から選ばれた一種または複
数種の元素を用いることができる。特に、珪素との格子
の整合性に優れたニッケルを用いることが好ましい。
【0055】また、上記触媒元素の添加工程はスピンコ
ート法に限らず、マスクを利用したイオン注入法または
プラズマドーピング法を用いることもできる。この場
合、添加領域の占有面積の低減、横成長領域の成長距離
の制御が容易となるので、微細化した回路を構成する際
に有効な技術となる。
【0056】次に、触媒元素の添加工程が終了したら、
500 ℃2時間程度の水素出しの後、不活性雰囲気、水素
雰囲気または酸素雰囲気中において 500〜700 ℃(代表
的には 550〜650 ℃、好ましくは570 ℃)の温度で 4〜
24時間の加熱処理を加えて非晶質半導体薄膜104の結
晶化を行う。(図1(D))
【0057】この時、非晶質半導体薄膜104の結晶化
は触媒元素を添加した領域で発生した核から優先的に進
行し、基板101の基板面に対してほぼ平行に成長した
結晶領域107が形成される。本発明者らはこの結晶領
域107を横成長領域と呼んでいる。横成長領域は比較
的揃った状態で個々の結晶が集合しているため、全体的
な結晶性に優れるという利点がある。(図1(D))
【0058】結晶化のための加熱処理が終了したら、マ
スク絶縁膜105を除去した後、触媒元素を除去するた
めの加熱処理(触媒元素のゲッタリング工程)を行う。
この加熱処理は処理雰囲気中にハロゲン元素を含ませ、
ハロゲン元素による金属元素のゲッタリング効果を利用
するものである。
【0059】なお、ハロゲン元素によるゲッタリング効
果を十分に得るためには、上記加熱処理を700 ℃を超え
る温度で行なうことが好ましい。この温度以下では処理
雰囲気中のハロゲン化合物の分解が困難となり、ゲッタ
リング効果が得られなくなる恐れがある。そのため加熱
処理温度を好ましくは800 〜1000℃(代表的には950
℃)とし、処理時間は 0.1〜 6hr、代表的には 0.5〜 1
hrとする。
【0060】代表的には酸素雰囲気に対して塩化水素
(HCl)を0.5 〜10体積%(好ましくは3体積%)の
濃度で含有させ、950 ℃、30分の加熱処理を行えば良
い。HCl濃度を上記濃度以上とすると、横成長領域1
07の表面に膜厚程度の凹凸が生じてしまうため好まし
くない。
【0061】また、ハロゲン元素を含む化合物してはH
Clガス以外にもHF、NF3 、HBr、Cl2 、Cl
3 、BCl3 、F2 、Br2 等のハロゲン元素を含む
化合物から選ばれた一種または複数種のものを用いるこ
とが出来る。
【0062】この工程においては横成長領域107中の
触媒元素が塩素の作用によりゲッタリングされ、揮発性
の塩化物となって大気中へ離脱して除去される。そし
て、この工程後の横成長領域108中における触媒元素
の濃度は 5×1017atoms/cm3 以下(代表的には 2×1017
atoms/cm3 以下)にまで低減される。
【0063】こうして得られた横成長領域108は棒状
または偏平棒状結晶の集合体からなる特異な結晶構造を
示す。以下にその特徴について示す。
【0064】〔活性層の結晶構造に関する知見〕上記作
製工程に従って形成した横成長領域を用いたTFTの活
性層は、微視的に見れば複数の棒状(または偏平棒状)
結晶が互いに概略平行に特定方向への規則性をもって並
んだ結晶構造を有する。このことはTEM(透過型電子
顕微鏡法)による観察で容易に確認することができる。
【0065】ここで、棒状または偏平棒状結晶同士の結
晶粒界を 800万倍に拡大したHR−TEM写真を図10
に示す。なお、本明細書中において結晶粒界とは、棒状
または偏平棒状結晶が接した境界に形成される粒界を指
すものと定義する。従って、例えば横成長領域がぶつか
りあって形成される様なマクロな意味あいでの粒界とは
区別して考える。
【0066】ところで前述のHR−TEM(高分解能透
過型電子顕微鏡法)とは、試料に対して垂直に電子線を
照射し、透過電子や弾性散乱電子の干渉を利用して原子
・分子配列を評価する手法である。
【0067】HR−TEMでは結晶格子の配列状態を格
子縞として観察することが可能である。従って、結晶粒
界を観察することで、結晶粒界における原子同士の結合
状態を推測することができる。なお、格子縞は白と黒の
縞模様となって現れるが、コントラストの相違であって
原子の位置を示すものではない。
【0068】図10(A)は本願発明で得られる結晶性
珪素膜の代表的なTEM写真であり、異なる二つの結晶
粒が写真左上から右下にかけて見られる結晶粒界で接し
た状態が観察されている。この時、二つの結晶粒は結晶
軸に多少のずれが含まれているものの概略{110}配
向であった。
【0069】なお、後述するが複数の結晶粒を調べた結
果、殆ど全てが概略{110}配向であることをX線回
折や電子線回折によって確認している。なお、多数観察
した中には(011)面や(200)面などもあるはず
だが、それら等価な面はまとめて{110}面と表すこ
とにする。
【0070】ところで、図10(A)に図示した様に、
面内には{111}面、{100}面に対応する格子縞
が観察されている。なお、{111}面に対応する格子
縞とは、その格子縞に沿って結晶粒を切断した場合に断
面に{111}面が現れる様な格子縞を指している。格
子縞がどの様な面に対応するかは、簡易的に格子縞と格
子縞の間隔から確認できる。
【0071】なお、図10(A)において格子縞の見え
方に差が見られるのは、結晶粒の微妙な傾きの違いによ
るものである。即ち、片方の結晶粒の結晶面に垂直に電
子線が照射される様に設定すると、他方の結晶粒は僅か
に斜めから電子線が照射される状態になるため、格子縞
の見え方が変わるのである。
【0072】ここで{111}面に対応する格子縞に注
目する。図10(A)において粒界を挟んで上側の結晶
粒の{111}面に対応する格子縞は、下側の結晶粒の
{111}面に対応する格子縞と約70°(正確には70.5
°)の角度をなして交わっている。
【0073】この様な結晶構造(正確には結晶粒界の構
造)は、結晶粒界において異なる二つの結晶粒が極めて
整合性よく接合していることを示している。即ち、結晶
粒界において結晶格子が連続的に連なり、結晶欠陥等に
起因するトラップ準位を非常に作りにくい構成となって
いる。換言すれば、結晶粒界において結晶格子に連続性
があるとも言える。
【0074】なお、参考までに従来の高温ポリシリコン
膜のHRーTEM写真を図10(B)に示す。図10
(B)の場合、後述するが結晶面に規則性がなく、{1
10}面が主体となる配向ではなかった。ただし、ここ
では図10(A)と比較するために{111}面に対応
する格子縞が現れる様な結晶粒を観察した。
【0075】図10(B)を詳細に観察して見ると、図
中において矢印で示す様に、結晶粒界では格子縞が途切
れた部分が多数確認できる。この様な部分では未結合手
(結晶欠陥と呼べる)が存在することになる、トラップ
準位としてキャリアの移動を阻害する可能性が高い。
【0076】ただし、確かに本願発明の半導体薄膜にも
図10(B)に示した様な未結合手は存在する。これは
本願発明の半導体薄膜が多結晶である以上しかたのない
ことである。しかしながら、本願発明の半導体薄膜を広
範囲に渡って詳細にTEM観察した結果、その様な未結
合手はごく僅かであることが判明している。
【0077】本出願人は、本願発明で用いる半導体薄膜
の様に格子縞が整合性良く対応した場合の原子の結合状
態を整合結合と呼び、その時の結合手を整合結合手と呼
ぶ。また、逆に従来の高温ポリシリコン膜に多く見られ
る様に格子縞が整合性良く対応しない場合の原子の結合
状態を不整合結合と呼び、その時の結合手を不整合結合
手(又は不対結合手又は未結合手)と呼ぶ。
【0078】本願発明で用いる半導体薄膜は結晶粒界に
おける整合性が極めて優れているため、上述の不整合結
合手が極めて少ない。本出願人の調べでは、全体の結合
手に対する不整合結合手の存在割合は10%以下(好まし
くは5%以下、さらに好ましくは3%以下)であった。
即ち、全体の結合手の90%以上(好ましくは95%以上、
さらに好ましくは97%以上)が整合結合手によって構成
されている。
【0079】この事からも本願発明の結晶性珪素膜は従
来の高温ポリシコンとは明らかに異なる半導体膜である
と言えよう。
【0080】次に、本願発明の半導体薄膜を電子線回折
によって調べた結果を図2(A)に示す。また、リファ
レンスとして従来の高温ポリシリコン膜の電子線回折パ
ターンを図2(B)に示す。なお、図2(A)、(B)
において電子線の照射エリアの径はそれぞれ4.25μm、
1.35μmである。本実施例では複数箇所を測定したうち
の代表的な写真を示す。
【0081】図2(A)の場合、〈110〉入射に対応
する回折スポット(回折斑点)が比較的きれいに現れて
おり、電子線の照射エリア内では殆ど全ての結晶粒が
{110}配向していることが確認できる。
【0082】なお、本出願人は特開平7−321339
号公報に記載した手法に従ってX線回折を行い、本願発
明の半導体薄膜について配向比率を算出した。同公報で
は下記数1に示す様な算出方法で配向比率を定義してい
る。
【0083】
【数1】
【0084】本願発明の半導体薄膜の配向性をX線回折
で調べた結果、X線回折パターンには(220)面に相
当するピークが現れた。その結果を図11に示す。勿
論、(220)は{110}と等価であることは言うま
でもない。この測定の結果、{110}面が主たる配向
面であり、配向比率は0.7 以上(典型的には0.9 以上)
であることが判明した。
【0085】一方、図2(B)に示す従来の高温ポリシ
リコン膜の場合、回折スポットには明瞭な規則性が見ら
れず、ほぼランダムに配向している、換言すれば{11
0}面以外の面方位の結晶粒が不規則に混在することが
判明した。
【0086】なお、各回折スポットは同心円上の広がり
を僅かにもっているが、これは個々の結晶粒が結晶軸ま
わりにある程度の回転角をもって隣接しているためと予
想される。即ち、単結晶ならば完全に円形の回折スポッ
トが得られるはずであるが、本願発明で用いる半導体薄
膜は多結晶であるが故に、回折スポットのゆらぎを生じ
るのである。
【0087】しかしながら、回折スポットが円形に近い
という事は複数の結晶粒間に存在する回転角が非常に小
さいことを意味する。従って、回折スポットが極めて円
形に近い本願発明の半導体薄膜は実質的に単結晶に近い
ことに他ならない。
【0088】以上の様に、図1に示した作製工程で作製
された半導体薄膜は従来の半導体薄膜とは全く異なる結
晶構造(正確には結晶粒界の構造)を有する半導体薄膜
である。本出願人はこの様な結晶構造を有する半導体薄
膜を連続粒界結晶シリコン(Continuous Grain Silico
n:CGS)呼んでいる。従って、本願発明で利用する
TFTの活性層は、この様な特異な結晶構造を有するC
GS膜で形成される。
【0089】なお、CGS膜を形成するにあたって結晶
化に要した温度以上の温度でのアニール工程(ここでは
図1(E)に示す工程)は、結晶粒内の欠陥低減に関し
て重要な役割を果たしている。その事について説明す
る。
【0090】図12(A)は図5(C)に示した結晶化
工程までを終了した時点での結晶シリコン膜を25万倍
に拡大したTEM写真であり、結晶粒内(黒い部分と白
い部分はコントラストの差に起因して現れる)に矢印で
示される様なジグザグ状に見える欠陥が確認される。
【0091】この様な欠陥は主としてシリコン結晶格子
面の原子の積み重ね順序が食い違っている積層欠陥であ
るが、転位などの場合もある。図12(A)は{11
1}面に平行な欠陥面を有する積層欠陥と思われる。そ
の事は、ジグザグ状に見える欠陥が約70°の角をなし
て折れ曲がっていることから推測できる。
【0092】一方、図12(B)に示す様に、同倍率で
見た本発明の結晶シリコン膜は、結晶粒内には殆ど積層
欠陥や転位などに起因する欠陥が見られず、非常に結晶
性が高いことが確認できる。この傾向は膜面全体につい
て言えることであり、欠陥数をゼロにすることは現状で
は困難であるが、実質的にゼロと見なせる程度にまで低
減することができる。
【0093】即ち、図12(B)に示す結晶シリコン膜
は結晶粒内の欠陥が殆ど無視しうる程度にまで低減さ
れ、且つ、結晶粒界が高い連続性によってキャリア移動
の障壁になりえないため、単結晶または実質的に単結晶
と見なせる。
【0094】この様に、図12(A)と(B)の写真に
示した結晶シリコン膜は結晶粒界はほぼ同等の連続性を
有しているが、結晶粒内の欠陥数には大きな差がある。
本発明の結晶シリコン膜が図12(A)に示した結晶シ
リコン膜よりも遙に高い電気特性を示す理由はこの欠陥
数の差によるところが大きい。
【0095】本出願人は、図1(E)の工程によって起
こる現象について次の様なモデルを考えている。まず、
図12(A)に示す状態では結晶粒内の欠陥(主として
積層欠陥)には触媒元素(代表的にはニッケル)が偏析
している。即ち、Si-Ni-Siといった形の結合が多数存在
していると考えられる。
【0096】しかしながら、触媒元素のゲッタリングプ
ロセスを行うことで欠陥に存在するNiが除去されると、
Si-Ni 結合は切れる。そのため、シリコンの余った結合
手はすぐにSi-Si 結合を形成して安定する。こうして欠
陥が消滅する。
【0097】勿論、高い温度での熱アニールによって結
晶シリコン膜中の欠陥が消滅することは知られている
が、本発明ではニッケルとの結合が切れて未結合手が多
く発生するためシリコンの再結合がさらにスムーズに行
われると推測できる。
【0098】また、同時に結晶シリコン膜が熱酸化され
る際に発生する余剰シリコン原子が欠陥へと移動し、Si
-Si 結合の生成に大きく寄与していると考えられる。こ
の概念はいわゆる高温ポリシリコン膜の結晶粒内に欠陥
が少ない理由として知られている。
【0099】また、本出願人は結晶化温度を超える温度
(代表的には 700〜1100℃)で加熱処理を行うことで結
晶シリコン膜とその下地との間が固着し、密着性が高ま
ることで欠陥が消滅するというモデルを考えている。
【0100】結晶シリコン膜と下地膜となる酸化珪素膜
とでは、熱膨張係数に10倍近くの差がある。従って、
非晶質シリコン膜から結晶シリコン膜に変成した段階
(図12(A))では、結晶シリコン膜が冷却される時
に非常に大きな応力が結晶シリコン膜にかかる。
【0101】この事について、図13を用いて説明す
る。図13(A)は結晶化工程後の結晶シリコン膜にか
かる熱履歴を示している。まず、温度(t1 )で結晶化
された結晶シリコン膜は冷却期間(a)を経て室温まで
冷やされる。
【0102】ここで図13(B)に示すのは冷却期間
(a)にある時の結晶シリコン膜であり、10は石英基
板、11は結晶シリコン膜である。この時、結晶シリコ
ン膜11と石英基板10との界面12における密着性は
あまり高くなく、それが原因となって多数の粒内欠陥を
発生していると考えられる。
【0103】即ち、熱膨張係数の差によって引っ張られ
た結晶シリコン膜11は石英基板10上で非常に動きや
すく、引っ張り応力などの力によって積層欠陥や転位な
どの欠陥13を容易に生じてしまうと考えられる。
【0104】こうして得られた結晶シリコン膜が図12
(A)に示した様な状態となるのである。そしてその
後、図13(A)に示す様に温度(t2 )で触媒元素の
ゲッタリング工程が施され、その結果、結晶シリコン膜
中の欠陥が前述の理由によって消滅する。
【0105】ここで重要なことは触媒元素のゲッタリン
グ工程が行われると同時に結晶シリコン膜石英基板に固
着され、石英基板との密着性が高まる点である。即ち、
このゲッタリング工程は結晶シリコン膜と石英基板(下
地)との固着工程を兼ねていると考えられる。
【0106】こうしてゲッタリング+固着工程を終了す
ると冷却期間(b)を経て室温まで冷やされる。ここで
結晶化工程の後の冷却期間(a)と異なる点は、石英基
板10とアニール後の結晶シリコン膜14との界面15
が非常に密着性の高い状態となっている点である。(図
13(C))
【0107】この様に密着性が高いと石英基板10に対
して結晶シリコン膜14が完全に固着されるので、結晶
シリコン膜の冷却段階において結晶シリコン膜に応力が
加わっても欠陥を発生するには至らない。即ち、再び欠
陥が発生する様なことを防ぐことができる。
【0108】なお、図13(A)では結晶化工程後に室
温まで下げるプロセスを例にとっているが、結晶化が終
了したらそのまま温度を上げてゲッタリング+固着工程
を行うこともできる。その様なプロセスを経ても本発明
の結晶シリコン膜を得ることは可能である。
【0109】こうして得られた本発明の結晶シリコン膜
(図12(B))は、単に結晶化を行っただけの結晶シ
リコン膜(図12(A))に較べて格段に結晶粒内の欠
陥数が少ないという特徴を有している。
【0110】この欠陥数の差は電子スピン共鳴分析(El
ectron Spin Resonance :ESR)によってスピン密度
の差となって現れる。現状では本発明の結晶シリコン膜
のスピン密度は少なくとも 5×1017spins/cm3 以下(好
ましくは 3×1017spins/cm3以下)であることが判明し
ている。ただし、この測定値はは現存する測定装置の検
出限界に近いので、実際のスピン密度はさらに低いと予
想される。
【0111】(TFTの電気特性に関する知見)上述の
CGSを活性層とするTFTは単結晶シリコンを用いた
MOSFETに匹敵する電気特性を示す。本発明者らが
試作したTFTからは次に示す様なデータが得られてい
る。
【0112】(1)TFTのスイッチング性能(オン/
オフ動作の切り換えの俊敏性)の指標となるサブスレッ
ショルド係数が、Nチャネル型TFTおよびPチャネル
型TFTともに60〜100mV/decade(代表的には60〜85mV
/decade )と小さい。 (2)TFTの動作速度の指標となる電界効果移動度
(μFE)が、Nチャネル型TFTで200 〜650cm2/Vs
(代表的には250 〜300cm2/Vs )、Pチャネル型TFT
で100 〜300cm2/Vs (代表的には150 〜200cm2/Vs )と
大きい。 (3)TFTの駆動電圧の指標となるしきい値電圧(V
th)が、Nチャネル型TFTで-0.5〜1.5 V、Pチャネ
ル型TFTで-1.5〜0.5 Vと小さい。
【0113】以上の様に、極めて優れたスイッチング特
性および高速動作特性が実現可能であることが確認され
ている。
【0114】(回路特性に関する知見)次に、CGS膜
を利用して作製したTFTを用いたリングオシレータに
よる周波数特性を示す。リングオシレータとはCMOS
構造でなるインバータ回路を奇数段リング状に接続した
回路であり、インバータ回路1段あたりの遅延時間を求
めるのに利用される。実験に使用したリングオシレータ
の構成は次の様になっている。 段数:9段 TFTのゲイト絶縁膜の膜厚:30nm及び50nm TFTのゲイト長: 0.6μm
【0115】このリングオシレータによって発振周波数
を調べた結果、最大値で1.04GHzの発振周波数を得る
とができた。また、実際にLSI回路のTEGの一つで
あるシフトレジスタを作製して動作周波数を確認した。
その結果、ゲイト絶縁膜の膜厚30nm、ゲイト長 0.6μ
m、電源電圧5V、段数50段のシフトレジスタ回路に
おいて動作周波数100 MHzの出力パルスが得られた。
【0116】以上の様なリングシレータおよびシフトレ
ジスタの驚異的なデータは、本発明のTFTが単結晶シ
リコンを利用したIGFETに匹敵する、若しくは凌駕
する性能を有していることを示している。
【0117】(TFT特性とCGSの関係に関する知
見)上述の様な優れたTFT特性及び回路特性は、TF
Tの活性層として、結晶粒界において結晶格子に連続性
を有するCGS膜を利用している点によるところが大き
い。その理由について以下に考察する。
【0118】結晶粒界における結晶格子の連続性は、そ
の結晶粒界が「平面状粒界」と呼ばれる粒界であること
に起因する。本明細書における平面状粒界の定義は、
「Characterization of High-Efficiency Cast-Si Sola
r Cell Wafers by MBIC Measurement ;Ryuichi Shimok
awa and Yutaka Hayashi,Japanese Journal of Applie
d Physics vol.27,No.5,pp.751-758,1988」に記載さ
れた「Planar boundary」である。
【0119】上記論文によれば、平面状粒界には{11
1}双晶粒界、{111}積層欠陥、{221}双晶粒
界、{221}twist 粒界などが含まれる。この平面状
粒界は電気的に不活性であるという特徴を持つ。即ち、
結晶粒界でありながらキャリアの移動を阻害するトラッ
プとして機能しないため、実質的に存在しないと見なす
ことができる。
【0120】特に{111}双晶粒界はΣ3の対応粒
界、{221}双晶粒界はΣ9の対応粒界とも呼ばれ
る。Σ値は対応粒界の整合性の程度を示す指針となるパ
ラメータであり、Σ値が小さいほど整合性の良い粒界で
あることが知られている。
【0121】本出願人が本願発明の半導体薄膜を詳細に
TEMで観察した結果、結晶粒界の殆ど(90%以上、
典型的には95%以上)がΣ3の対応粒界、即ち{11
1}双晶粒界であることが判明した。
【0122】二つの結晶粒の間に形成された結晶粒界に
おいて、両方の結晶の面方位が{110}である場合、
{111}面に対応する格子縞がなす角をθとすると、
θ=70.5°の時にΣ3の対応粒界となることが知られて
いる。
【0123】従って、図10(A)のTEM写真に示さ
れた結晶粒界では、隣接する結晶粒の各格子縞が約70°
の角度で連続しており、この結晶粒界は{111}双晶
粒界であると容易に推察することができる。
【0124】なお、θ= 38.9 °の時にはΣ9の対応粒
界となるが、この様な他の結晶粒界も存在した。
【0125】この様な対応粒界は、同一面方位の結晶粒
間にしか形成されない。即ち、本願発明の半導体薄膜は
面方位が概略{110}で揃っているからこそ、広範囲
に渡ってこの様な対応粒界を形成しうるのである。この
特徴は、面方位が不規則な他のポリシリコン膜ではあり
得ることではない。
【0126】ここで、本願発明の半導体薄膜を1万5千
倍に拡大したTEM写真(暗視野像)を図14(A)に
示す。白く見える領域と黒く見える領域とが存在する
が、同色に見える部分は配向性が同一であることを示し
ている。
【0127】図14(A)で特筆すべきはこれだけ広範
囲の暗視野像において、白く見える領域がかなりの割合
で連続的にまとまっている点である。これは配向性の同
じ結晶粒がある程度の方向性をもって存在し、隣接する
結晶粒同士で殆ど同一の配向性を有していることを意味
している。
【0128】他方、従来の高温ポリシリコン膜を1万5
千倍に拡大したTEM写真(暗視野像)を図14(B)
に示す。従来の高温ポリシリコン膜では同一面方位の部
分はばらばらに点在するのみであり、図14(A)に示
す様な方向性のあるまとまりは確認できない。これは隣
接する結晶粒同士の配向性が全く不規則であるためと考
えられる。
【0129】なお、本出願人は図10(A)に示した測
定点以外にも多数の領域に渡って観察と測定を繰り返
し、TFTを作製するのに十分な広い領域において、結
晶粒界における結晶格子の連続性が保たれていることを
確認している。
【0130】以上の構成からなる本願発明について、以
下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うことと
する。
【0131】
【実施例】〔実施例1〕本実施例では、本願発明の構成
を有する半導体装置の作製工程について図3を用いて説
明する。具体的にはNTFT(Nチャネル型TFT)と
PTFT(Pチャネル型TFT)とを相補的に組み合わ
せたCMOS回路で構成される駆動回路及びロジック回
路と、NTFTで構成される画素マトリクス回路とを同
一基板上に一体形成する例を示す。
【0132】なお、ロジック回路とは、シフトレジスタ
などに代表される駆動回路とは別の機能を有する信号処
理回路であり、D/Aコンバータ回路、メモリ回路、γ
補正回路、さらには演算処理回路など、従来外付けIC
で行っていた様な信号処理を行う回路の総称を意味す
る。
【0133】まず、図1を用いて説明した作製工程に従
って、触媒元素のゲッタリング工程までを終了させる。
そして、横成長領域のみから構成される活性層303〜
305を形成する。303はCMOS回路のPTFTの
活性層、304はCMOS回路のNTFTの活性層、3
05は画素マトリクス回路の活性層であり、それぞれの
膜厚は30nmとなる様に調節してある。
【0134】なお、本実施例では基板301としてSi
O2:65%、Al2O3:25% 、MgO:10% 、ZrO2:10%の組成を有す
る結晶化ガラスを用いる。この基板301は透明である
点に特徴がある。また、302は非晶質珪素膜を熱酸化
させて得た酸化珪素膜であり、膜厚は 400nmである。
【0135】こうして図3(A)の状態が得られる。次
に、酸化珪素膜から構成されるゲイト絶縁膜306を 1
20nmの膜厚に形成する。なお、他にも酸化窒化珪素膜又
は窒化珪素膜を用いることができる。さらに、これら絶
縁性珪素膜を自由に組み合わせて積層構造としても良
い。
【0136】ゲイト絶縁膜306を形成したら、その状
態で 800〜1000℃(好ましくは 900〜950 ℃)の温度範
囲で熱酸化工程を行う。この時、活性層とゲイト絶縁膜
との界面で熱酸化反応が進行するため、活性層は薄膜化
され、ゲイト絶縁膜の膜厚は増加する。この構成はエッ
ジシニング現象(活性層端部で熱酸化膜が極端に薄くな
る現象)によるゲイト絶縁膜の絶縁破壊を抑える上で効
果的である。
【0137】また、この時、加熱処理の雰囲気は酸化雰
囲気でも良いが、ハロゲン元素(代表的には塩化水素)
を含む雰囲気で行うとさらに効果的である。なぜならば
塩化水素が分解して生成する塩素(Cl)は、活性層と
ゲイト絶縁膜との間の界面準位を低減する効果を有する
と考えられるからである。
【0138】また、 800〜1000℃の温度範囲で加熱処理
を行うことによりゲイト絶縁膜自体の膜質も向上する。
【0139】次に、ゲイト絶縁膜306の上にN型導電
性を呈する結晶性珪素膜からなるゲイト電極307〜3
09を形成する。ゲイト電極307〜309の膜厚は 2
00〜300 nmの範囲で選択すれば良い。(図3(B))
【0140】ゲイト電極307〜309を形成したら、
ゲイト電極307〜309をマスクとしてドライエッチ
ング法によりゲイト絶縁膜306をエッチングする。本
実施例では酸化珪素膜をエッチングするためにCHF3
ガスを用いる。
【0141】この工程によりゲイト電極(及びゲイト配
線)の直下のみにゲイト絶縁膜が残存する状態となる。
勿論、ゲイト電極の下に残った部分が実際にゲイト絶縁
膜として機能する部分である。
【0142】次に、PTFTとなる領域をレジストマス
ク310で隠し、N型を付与する不純物(本実施例では
リン)をイオンインプランテーション法またはプラズマ
ドーピング法により添加する。この時形成される低濃度
不純物領域311、312の一部は後にLDD(Lightl
y Doped Drain )領域となるので、 1×1017〜 5×1018
atoms/cm3 の濃度でリンを添加しておく。(図3
(C))
【0143】次に、レジストマスク310を除去した
後、NTFTとなる領域をレジストマスク313で隠
し、P型を付与する不純物(本実施例ではボロン)をイ
オンインプランテーション法またはプラズマドーピング
法により添加する。この時も、リンの場合と同様に低濃
度不純物領域314を形成する。(図3(D))
【0144】こうして図3(D)の状態が得られたら、
レジストマスク313を除去した後、エッチバック法を
用いてサイドウォール315〜317を形成する。本実
施例ではサイドウォール315〜317を窒化珪素膜を
用いて構成する。
【0145】なお、サイドウォールの材料として酸化珪
素膜を用いる場合、結晶化ガラス301の側面を保護す
る酸化珪素膜302の膜厚が薄いとエッチバック工程で
なくなってしまう場合も起こりうる。ガラス側面は全体
の面積よりも十分に小さいためガラス成分の流出はさほ
ど問題とならないが、予め酸化珪素膜302の膜厚を厚
くしてエッチバック工程後も残る様にしておくことは有
効である。
【0146】こうしてサイドウォール315〜317を
形成したら、再びPTFTとなる領域をレジストマスク
318で隠し、リンを添加する。この時は先程の添加工
程よりもドーズ量を高くする。
【0147】このリンの添加工程によりCMOS回路を
構成するNTFTのソース領域319、ドレイン領域3
20、低濃度不純物領域(LDD領域)321、チャネ
ル形成領域322が画定する。また、画素マトリクス回
路を構成するNTFTのソース領域323、ドレイン領
域324、低濃度不純物領域(LDD領域)325、チ
ャネル形成領域326が画定する。(図4(A))
【0148】次に、レジストマスク315を除去した
後、レジストマスク327でNTFTとなる領域を隠
し、ボロンを先程よりも高いドーズ量で添加する。この
ボロンの添加工程によりCMOS回路を構成するPTF
Tのソース領域328、ドレイン領域329、低濃度不
純物領域(LDD領域)330、チャネル形成領域33
1が画定する。(図4(B))
【0149】以上の様にして、活性層への不純物の添加
工程が終了したら、ファーネスアニール、レーザーアニ
ールまたはランプアニールによって熱処理を行い、添加
した不純物の活性化を行う。また、この時、不純物の添
加時に活性層が受けた損傷も回復される。
【0150】なお、チャネル形成領域322、326、
331は全く不純物元素が添加されず、真性または実質
的に真性な領域である。ここで実質的に真性であると
は、N型又はP型を付与する不純物濃度がチャネル形成
領域のスピン密度以下であること、或いは同不純物濃度
が 1×1014〜 1×1017atoms/cm3 の範囲に収まっている
ことを指す。
【0151】次に、25nm厚の窒化珪素膜と 900nm厚の酸
化珪素膜との積層膜からなる第1の層間絶縁膜332を
形成する。そして、Ti/Al/Ti(膜厚は順に100/500/100
nm)からなる積層膜で構成されるソース電極333〜3
35、ドレイン電極336、337を形成する。
【0152】次に、50nm厚の窒化珪素膜338、20nm厚
の酸化珪素膜(図示せず)、1μm厚のポリイミド膜3
39の積層構造からなる第2の層間絶縁膜を形成する。
なお、ポリイミド以外にもアクリル、ポリアミド等の他
の有機性樹脂膜を用いることができる。また、この場合
の20nm厚の酸化珪素膜はポリイミド膜339をドライエ
ッチングする際のエッチングストッパーとして機能す
る。
【0153】第2の層間絶縁膜を形成したら、後に補助
容量を形成する領域においてポリイミド膜339をエッ
チングして開口部を設ける。この時、開口部の底部には
窒化珪素膜338のみ残すか、窒化珪素膜338と酸化
珪素膜(図示せず)を残すかのいずれかの状態とする。
【0154】そして、300 nm厚のチタン膜を成膜し、パ
ターニングによりブラックマスク340を形成する。こ
のブラックマスク340は画素マトリクス回路上におい
て、TFTや配線部など遮光を要する部分に配置され
る。
【0155】この時、前述の開口部では画素マトリクス
回路のドレイン電極337とブラックマスク340とが
窒化珪素膜338(又は窒化珪素膜と酸化珪素膜との積
層膜)を挟んで近接した状態となる。本実施例ではブラ
ックマスク340を固定電位に保持して、ドレイン電極
337を下部電極、ブラックマスク340を上部電極と
する補助容量341を構成する。この場合、誘電体が非
常に薄く比誘電率が高いため、大きな容量を確保するこ
とが可能である。
【0156】こうしてブラックマスク340及び補助容
量341を形成したら、1μm厚のポリイミド膜を形成
して第3の層間絶縁膜342とする。そして、コンタク
トホールを形成して透明導電膜(代表的にはITO)で
構成される画素電極343を120nmの厚さに形成する。
【0157】最後に、水素雰囲気中で 350℃2時間程度
の加熱処理を行い、素子全体の水素化を行う。こうして
図4(C)に示す様なアクティブマトリクス基板が完成
する。後は、公知のセル組み工程によって対向基板との
間に液晶層を挟持すればアクティブマトリクス型の液晶
表示装置(透過型)が完成する。
【0158】なお、アクティブマトリクス基板の構造は
本実施例に限定されず、あらゆる構造とすることができ
る。即ち、本願発明の構成要件を満たしうる構造であれ
ば、TFT構造や回路配置等は実施者が自由に設計する
ことができる。
【0159】例えば、本実施例では画素電極として透明
導電膜を用いているが、これをアルミニウム合金膜など
反射性の高い材料に変えれば容易に反射型のアクティブ
マトリクス型液晶表示装置を実現することができる。ま
た、この場合、アクティブマトリクス基板の母体となる
結晶化ガラスは透明である必要はなく、遮光性の基板を
用いても構わない。
【0160】〔実施例2〕本実施例では実施例1の構成
において結晶化ガラスを保護するための絶縁性珪素膜を
減圧熱CVD法により形成する場合の例について説明す
る。
【0161】まず、基板としてSiO2: 52.5、Al2O3:26.
5、MgO:11.9、TiO2:11.4 を組成成分とする結晶化ガラ
スを用意する。これは核形成剤としてTiO2を利用した無
アルカリのコージュライト系結晶化ガラスである。
【0162】次に、結晶化ガラスの表面、裏面及び側面
に対して酸化窒化珪素膜を形成する。本実施例では成膜
ガスとしてシラン(SiH4) と亜酸化窒素(N2O)を用いた
減圧熱CVD法により酸化窒化珪素膜を形成する。
【0163】この場合、成膜温度は 800〜850 ℃(本実
施例では850 ℃)で行い、それぞれの成膜ガスの流量は
SiH4:10〜30sccm、N2O : 300〜900sccm とする。ま
た、反応圧力は 0.5〜1.0torr とすれば良い。
【0164】また、成膜ガスとしてシランと二酸化窒素
(N2O)又は一酸化窒素(NO)を用いれば 600〜650 ℃の温
度で酸化窒化珪素膜を形成することもできる。その場
合、反応圧力は 0.1〜1.0torr とし、それぞれのガス流
量はSiH4:10〜30sccm、NO2 又はNO: 300〜900sccm と
すれば良い。
【0165】本実施例の場合、減圧熱CVD法により酸
化窒化珪素膜を形成するため、結晶化ガラスの全面が絶
縁膜で包まれる形となる。また、結晶化ガラスの歪点が
850℃以下であればシュリンケージ対策も成膜と同時に
行うことが可能である。
【0166】また、成膜ガスを異なるものとすることで
結晶化ガラスの保護膜として窒化珪素膜を形成すること
もできる。その場合、成膜ガスとして40〜50sccmのジク
ロールシラン(SiH2Cl2)と 200〜250sccm のアンモニア
(NH3)とを用い、成膜温度を750〜800 ℃、反応圧力を
0.1〜0.5torr とすれば良い。
【0167】窒化珪素膜はガラス成分の流出を阻止する
には最適な絶縁膜であるが応力が強いのでTFTの下地
膜としては不向きであった。しかしながら、本願発明で
は結晶化ガラスの少なくとも表面及び裏面に窒化珪素膜
が形成されるので窒化珪素膜の応力が基板の裏表で相殺
され、基板の反り等は発生しない。
【0168】〔実施例3〕本実施例では、実施例1また
は実施例2においてゲイト絶縁膜として減圧熱CVD法
により成膜した絶縁性珪素膜を用いる場合の例を示す。
説明には図5を用いる。図5に示す状態は、ゲイト電極
を形成した後にゲイト絶縁膜をエッチングした直後の状
態である。
【0169】図5において、501は結晶化ガラス、5
02は結晶化ガラスからの成分物質の流出を阻止するた
めの保護膜(下地膜)となる酸化窒化珪素膜である。結
晶化ガラス501の表面側には活性層503〜505が
形成され、ゲイト絶縁膜を成膜した後、ゲイト電極50
6〜508が形成される。
【0170】このゲイト電極506〜508をマスクと
してドライエッチングを行うことでゲイト電極直下にゲ
イト絶縁膜509〜511が残存する。
【0171】本実施例の最も重要な構成は、ゲイト絶縁
膜として減圧熱CVD法により成膜した絶縁性珪素膜
(本実施例では酸化窒化珪素膜)を用いる点にある。即
ち、ゲイト絶縁膜も結晶化ガラス501の表面、裏面及
び側面側の全ての面に成膜される点が特徴である。
【0172】従って、ゲイト絶縁膜(酸化窒化珪素膜)
のエッチング工程が終了した時点(図5の状態)では基
板の表面側はゲイト電極でマスクされた部分以外は完全
に除去され、基板の裏面及び側面にはそのまま酸化窒化
珪素膜512が残る。なお、側面に形成された酸化窒化
珪素膜は条件によっては除去されてしまうが、側面は除
去されてしまっても問題ない。
【0173】本実施例の構成を用いれば、後の工程で裏
面及び側面が酸化窒化珪素膜をエッチングしうるエッチ
ャント又はエッチングガスに曝されることがあっても結
晶化ガラス501に直接成膜した酸化窒化珪素膜502
を残すことができる。即ち、ガラス基板からの成分物質
の流出を徹底的に阻止することが可能である。
【0174】〔実施例4〕実施例1ではゲイト電極とし
てN型導電性を呈する結晶性珪素膜を利用しているが、
導電性を有する材料であればあらゆる材料を用いること
ができる。特に、直視用の液晶表示装置を作製する場合
には、画素マトリクス回路の面積が大きくなるため配線
抵抗の小さい材料を用いることが好ましい。
【0175】その様な場合には、ゲイト電極としてアル
ミニウムまたはアルミニウムを主成分とする材料を用い
ることが望ましい。本実施例ではゲイト電極として2wt
% のスカンジウムを含有したアルミニウム膜を用いる。
【0176】アルミニウムを主成分とする材料をゲイト
電極として利用する場合には、本発明者らによる特開平
7-135318号公報に記載された技術を利用すると良い。同
公報では実施例1で用いたサイドウォールの代わりにゲ
イト電極を陽極酸化して得られる陽極酸化膜を利用して
いる。
【0177】本実施例の様にゲイト電極としてアルミニ
ウムまたはアルミニウムを主成分とする材料を用いるこ
とで配線抵抗の小さいゲイト配線を形成することが可能
となり、応答速度の速いアクティブマトリクス基板を作
製することができる。
【0178】なお、本実施例は実施例1〜3の構成と組
み合わせることが可能である。
【0179】〔実施例5〕実施例1において、活性層中
にTFTのしきい値電圧(Vth)を制御するための不純
物元素を添加することは有効である。非晶質半導体薄膜
の成膜時に添加しうることは既に述べたが、少なくとも
チャネル形成領域にさえ添加されていれば良いので、ゲ
イト電極の形成前であれば何時添加しても良い。
【0180】成膜時以外に添加する場合には、イオンイ
ンプランテーション法またはプラズマドーピング法によ
る添加、気相中からの拡散による添加、固相中からの拡
散による添加などの手段を用いることができる。これら
の手段は、例えばNTFTとPTFTとで添加する不純
物を異ならせるといった具合に選択的な添加が可能であ
るため有効である。
【0181】また、添加する不純物元素としては、Vth
をプラス側に移動させるのであれば13族元素(ボロ
ン、ガリウム又はインジウム)を用い、マイナス側に移
動させるのであれば15元素(リン、砒素又はアンチモ
ン)を用いる。
【0182】なお、本実施例は実施例1〜4の構成と組
み合わせることが可能である。
【0183】〔実施例6〕実施例1〜5はトップゲイト
型TFT(プレーナ型TFT)を例にとって説明してき
たが、本願発明の構成はボトムゲイト型TFT(代表的
には逆スタガ型TFT)に適用することもできる。本実
施例では、本願発明の構成を逆スタガ型TFTに対して
適用した場合の例を図6に示す。
【0184】図6において、601は結晶化ガラス、6
02は非晶質珪素膜を熱酸化して得られた酸化珪素膜で
あり、基板全面を包む様にして形成される。また、60
3はタンタル(Ta) と窒化タンタル(TaN)とを積層した
ゲイト電極である。
【0185】本実施例の場合、活性層に対する触媒元素
のゲッタリング処理がゲイト電極603の形成後に形成
されるので、ゲイト電極603としては700 ℃を超える
加熱処理に耐えうるだけの耐熱性を有する材料を用い
る。その様な材料としては、タンタル以外にもクロム、
タングステン、モリブデン、導電性を呈する結晶性珪素
膜が挙げられる。
【0186】次に、ゲイト電極603の上にはゲイト絶
縁膜604が形成される。本実施例では減圧熱CVD法
により酸化窒化珪素膜を成膜してゲイト絶縁膜としてい
る。そのため、基板の表面側のみならず裏面及び側面に
もゲイト絶縁膜604が形成され、基板全体を包み込ん
でいる。
【0187】ゲイト絶縁膜604の上にはソース領域6
05、ドレイン領域606、低濃度不純物領域(LDD
領域)607、チャネル形成領域608で構成される活
性層が形成されている。本実施例の場合、ソース/ドレ
イン領域はイオンインプランテーション法またはプラズ
マドーピング法により形成している。勿論、気相法や固
相法を用いた拡散による添加を行ってもよい。
【0188】また、609で示されるのはチャネル保護
膜であるが、これは絶縁性珪素膜で構成される。本実施
例の場合、チャネル保護膜609はチャネル形成領域6
08を保護するだけでなく、ソース/ドレイン領域と低
濃度不純物領域とを形成するためのドーピングマスクと
しても活用する。
【0189】具体的には、最初、低濃度不純物領域及び
チャネル形成領域となる部分の上にチャネル保護膜を形
成し、そのチャネル保護膜をマスクとして不純物を添加
することによりソース/ドレイン領域を形成する。その
後、チャネル保護膜をチャネル形成領域となる部分の上
のみ残して除去し、次の不純物添加によって低濃度不純
物領域を形成する。
【0190】そして、活性層への不純物添加が終了した
ら、ファーネスアニール、レーザーアニール、ランプア
ニールのいずれかの手段を用いるか、それらを併用して
熱アニール工程を行い、不純物の活性化を行う。その
際、不純物添加工程の後もそのまま残されたチャネル保
護膜609は、ソース/ドレイン領域または低濃度不純
物領域からチャネル形成領域へと不純物が拡散するのを
防ぐ効果を持つ。
【0191】次に、層間絶縁膜610として、2μm厚
のアクリル膜が形成される。勿論、ポリイミド等の他の
有機性樹脂膜であっても良い。この場合、チャネル保護
膜609はアクリル膜でなる層間絶縁膜610とチャネ
ル形成領域608とが直接接触するのを防ぎ、有機汚染
によるTFT特性の変化を阻止することができる。
【0192】そして、層間絶縁膜610に対してコンタ
クトホールを形成してアルミニウムを主成分とする材料
からなるソース電極611とドレイン電極612とを形
成し、最後に水素化を行って図6に示す様な逆スタガ型
TFTが完成する。
【0193】なお、本実施例では単体の逆スタガ型TF
Tの作製工程しか説明していないが、本実施例の構造の
逆スタガ型TFTでCMOS回路を構成したり、画素マ
トリクス回路を構成したりすることは実施例1の作製工
程を参考にすれば容易であるので説明は省略する。
【0194】従って、本実施例に示した様な構造の逆ス
タガ型TFTを用いてアクティブマトリクス基板を完成
させ、アクティブマトリクス型液晶表示装置を実現する
ことは容易である。
【0195】〔実施例7〕図1(E)に示す工程では触
媒元素のゲッタリング手段としてハロゲン元素を含む雰
囲気中での加熱処理を行っているが、本実施例では別の
手段によって触媒元素を除去する場合の例について図7
を用いて説明する。
【0196】まず、図1(A)〜(D)までの工程を終
了したら、マスク絶縁膜105を再度パターニングして
新たな開口部701を形成する。(図7(A))
【0197】次に、15族から選ばれた元素(本実施例
ではリン)を添加する。この時の添加量は 1×1019〜 1
×1021atoms/cm3 で良い。また、ここではリンの添加手
段としてプラズマドーピング法を利用している。
【0198】このリンの添加工程によって、開口部70
1で露出した領域には高濃度のリンが添加される。本明
細書ではこの領域702をゲッタリング領域と呼ぶ。ま
た、マスク絶縁膜105でマスクされてリンが添加され
なかった領域703を被ゲッタリング領域と呼ぶ。(図
7(B))
【0199】次に、図7(C)に示す様に、 600〜800
℃の温度範囲で2〜24時間の加熱処理を行い、被ゲッタ
リング領域703中に含まれる触媒元素をゲッタリング
領域702中へと移動させる。これはリンによる金属元
素のゲッタリング効果を利用した現象である。なお、処
理温度が 600℃未満ではゲッタリング能力が著しく低下
してしまい、 800℃を超えるとリンが被ゲッタリング領
域703へ逆拡散してしまうので好ましくない。
【0200】以上の様にして、触媒元素をゲッタリング
領域702へと捕獲することで処理後の被ゲッタリング
領域704中に残存する触媒元素の濃度は 5×1017atom
s/cm3 以下にまで低減される。後は、活性層を形成する
際にゲッタリング領域を完全にエッチングして除去して
しまえば良い。
【0201】なお、本実施例の構成は実施例1〜6の全
ての構成と組み合わせることが可能である。また、本実
施例の作製工程を利用しても、前述のCGS膜を形成す
ることができる。
【0202】〔実施例8〕本実施例では、図3(C)に
示したアクティブマトリクス基板の画素構造についてよ
り具体的に説明する。画素TFTの断面構造を図15
(A)に、その上面図を図15(B)に示す。図15
(A)、(B)において、21は活性層、22はゲイト
線、23はソース線、24はドレイン電極、25はブラ
ックマスク、26はドレイン電極24と画素電極27と
を接続するためのコンタクトホールである。
【0203】本実施例の特徴は、画素TFTの上方にお
いてドレイン電極24とブラックマスク25との間で補
助容量を形成する点にある。
【0204】また、画素TFTの構造を上面から見た図
を図15(B)に示す。なお、図15(A)は図15
(B)をA−A’で切断した時の断面図に相当する。ま
た、図15(A)と図15(B)には共通の符号を用い
ている。
【0205】この様に、ゲイト線23と重なる様な配置
でドレイン電極25が形成され、誘電体28を挟んで対
向するブラックマスク25との間に補助容量が形成され
ている。なお、本実施例ではドレイン電極25としてチ
タン膜をアルミニウム膜で挟んだ三層構造を採用してい
る。
【0206】本実施例の場合、ドレイン電極25を形成
した後で窒化珪素膜/酸化珪素膜/アクリル膜の三層構
造でなる層間絶縁膜を形成し、その上にブラックマスク
25を形成する。
【0207】この時、ブラックマスク25の形成前に、
後に補助容量となる領域のアクリル膜のみを除去して開
口部を形成しておく。すると、開口部の底には酸化珪素
膜と窒化珪素膜しか残らず、この二層構造でなる絶縁層
が補助容量の誘電体28として機能するのである。
【0208】〔実施例9〕実施例1〜8に示した構成を
有するアクティブマトリクス基板を用い、液晶表示装置
を構成した例を図8に示す。図8は液晶表示装置の本体
に相当する部位であり、液晶モジュールとも呼ばれる。
【0209】図8において、801は結晶化ガラス、8
02は結晶化ガラスの全面を包む様にして形成された絶
縁性珪素膜である。大版基板から多面取りによって複数
枚のアクティブマトリクス基板を切り出す場合には切断
面となる側面には絶縁性珪素膜が存在しないが、それ以
外の側面には絶縁性珪素膜が残るというのが本願発明の
特徴である。勿論、アクティブマトリクス基板として完
成してしまっているので絶縁性珪素膜で保護されていな
くても成分物質が流出する心配はない。
【0210】そして、この様な構成の基板上に実質的に
結晶粒界が存在しないという特徴を有する半導体薄膜で
もって複数のTFTが形成されている。これらのTFT
は基板上に画素マトリクス回路803、ゲイト側駆動回
路804、ソース側駆動回路805、ロジック回路80
6を構成する。その様なアクティブマトリクス基板に対
して対向基板807が貼り合わされる。アクティブマト
リクス基板と対向基板807との間には液晶層(図示せ
ず)が挟持される。
【0211】また、図8に示す構成では、アクティブマ
トリクス基板の側面と対向基板の側面とをある一辺を除
いて全て揃えることが望ましい。こうすることで大版基
板からの多面取り数を効率良く増やすことができる。ま
た、前述の一辺では、対向基板の一部を除去してアクテ
ィブマトリクス基板の一部を露出させ、そこにFPC
(フレキシブル・プリント・サーキット)808を取り
付ける。ここには必要に応じてICチップ(単結晶シリ
コン上に形成されたMOSFETで構成される半導体回路)を
搭載しても構わない。
【0212】本願発明で利用する半導体薄膜を活性層と
したTFTは極めて高い動作速度を有しているため、数
百MHz〜数GHzの高周波数で駆動する信号処理回路
を画素マトリクス回路と同一の基板上に一体形成するこ
とが可能である。即ち、図8に示す液晶モジュールはシ
ステム・オン・パネルを具現化したものである。
【0213】なお、本実施例では本願発明を液晶表示装
置に適用した場合について記載しているが、アクティブ
マトリクス型EL(エレクトロルミネッセンス)表示装
置などを構成することも可能である。また、光電変換層
を具備したイメージセンサ等を同一基板上に形成するこ
とも可能である。
【0214】なお、上述の液晶表示装置、EL表示装置
及びイメージセンサの様に光学信号を電気信号に変換す
る、又は電気信号を光学信号に変換する機能を有する装
置を電気光学装置と定義する。本願発明は絶縁表面を有
する基板上に半導体薄膜を利用して形成しうる電気光学
装置ならば全てに適用することができる。
【0215】〔実施例10〕本願発明は実施例9に示し
た様な電気光学装置だけでなく、機能回路を集積化した
薄膜集積回路(または半導体回路)を構成することもで
きる。例えば、マイクロプロセッサ等の演算回路や携帯
機器用の高周波回路(MMIC:マイクロウェイブ・モ
ジュール・IC)などを構成することもできる。
【0216】さらには、薄膜を用いるTFTの利点を生
かして三次元構造の半導体回路を構成し、超高密度に集
積化されたVLSI回路を構成することも可能である。
この様に、本願発明のTFTを用いて非常に機能性に富
んだ半導体回路を構成することが可能である。なお、本
明細書中において、半導体回路とは半導体特性を利用し
て電気信号の制御、変換を行う電気回路と定義する。
【0217】〔実施例11〕本実施例では、実施例9や
実施例10に示された電気光学装置や半導体回路を搭載
した電子機器(応用製品)の一例を図9に示す。なお、
電子機器とは半導体回路および/または電気光学装置を
搭載した製品と定義する。
【0218】本願発明を適用しうる電子機器としてはビ
デオカメラ、電子スチルカメラ、プロジェクター、ヘッ
ドマウントディスプレイ、カーナビゲーション、パーソ
ナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュー
タ、携帯電話、PHS等)などが挙げられる。
【0219】図9(A)は携帯電話であり、本体200
1、音声出力部2002、音声入力部2003、表示装
置2004、操作スイッチ2005、アンテナ2006
で構成される。本願発明は音声出力部2002、音声出
力部2003、表示装置2004等に適用することがで
きる。
【0220】図9(B)はビデオカメラであり、本体2
101、表示装置2102、音声入力部2103、操作
スイッチ2104、バッテリー2105、受像部210
6で構成される。本願発明は表示装置2102、音声入
力部2103、受像部2106等に適用することができ
る。
【0221】図9(C)はモバイルコンピュータ(モー
ビルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2
202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示
装置2205で構成される。本願発明はカメラ部220
2、受像部2203、表示装置2205等に適用でき
る。
【0222】図9(D)はヘッドマウントディスプレイ
であり、本体2301、表示装置2302、バンド部2
303で構成される。本発明は表示装置2302に適用
することができる。
【0223】図9(E)はリア型プロジェクターであ
り、本体2401、光源2402、表示装置2403、
偏光ビームスプリッタ2404、リフレクター240
5、2406、スクリーン2407で構成される。本発
明は表示装置2403に適用することができる。
【0224】図9(F)はフロント型プロジェクターで
あり、本体2501、光源2502、表示装置250
3、光学系2504、スクリーン2505で構成され
る。本発明は表示装置2503に適用することができ
る。
【0225】以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて
広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能で
ある。また、電気光学装置や半導体回路を必要とする製
品であれば全てに適用できる。
【0226】
【発明の効果】本願発明では安価で大版化の可能な結晶
化ガラスを使用し、且つ、結晶化ガラスを安全に(汚染
の心配なく)活用するためにガラスの少なくとも表面及
び裏面(好ましくは全面)を絶縁性珪素膜で保護すると
いった構成を採用している。
【0227】そして、その上に結晶粒界の整合性に優れ
た(実質的に結晶粒界の存在しない)特異な結晶構造を
有する半導体薄膜を用いてTFTを作製することでシス
テム・オン・パネルを実現し、高性能な電気光学装置や
半導体回路、さらにはそれらを搭載した電子機器を低価
格で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 半導体薄膜の作製工程を示す図。
【図2】 電子回折パターンを示す写真。
【図3】 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図4】 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図5】 薄膜トランジスタの構成を示す図。
【図6】 薄膜トランジスタの構成を示す図。
【図7】 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図8】 液晶モジュールの構成を示す図。
【図9】 電子機器の構成を示す図。
【図10】 CGS膜の結晶粒の格子縞を示すTEM
写真。
【図11】 CGS膜のX線回折の結果を示す図。
【図12】 CGS膜の粒内欠陥の様子を示すTEM
写真。
【図13】 欠陥の生成及び消滅に関するモデルを説
明するための図。
【図14】 CGS膜の暗視野像を示すTEM写真。
【図15】 画素TFTの上面及び断面構造を示す
図。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】歪点が750℃以上であるガラス基板と、 前記ガラス基板の少なくとも表面及び裏面に対して形成
    された絶縁性珪素膜と、 前記絶縁性珪素膜上に形成された複数の棒状または偏平
    棒状結晶の集合体からなる半導体薄膜をチャネル形成領
    域とするTFTと、 を構成に含む半導体装置であって、 前記チャネル形成領域の面方位は概略{110}配向で
    あり、且つ、結晶粒界において90%以上の結晶格子に
    連続性があることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】歪点が750℃以上であるガラス基板と、 前記ガラス基板の少なくとも表面及び裏面に対して形成
    された絶縁性珪素膜と、 前記絶縁性珪素膜上に形成された複数の棒状または偏平
    棒状結晶の集合体からなる半導体薄膜をチャネル形成領
    域とするTFTと、 を構成に含む半導体装置であって、 前記チャネル形成領域の面方位は概略{110}配向で
    あり、且つ、結晶粒界を横切る様にして観測される格子
    縞の90%以上が、前記結晶粒界を形成する異なる結晶
    粒間で直線的に連続していることを特徴とする半導体装
    置。
  3. 【請求項3】歪点が750℃以上であるガラス基板と、 前記ガラス基板の少なくとも表面及び裏面に対して形成
    された絶縁性珪素膜と、 前記絶縁性珪素膜上に形成された複数の棒状または偏平
    棒状結晶の集合体からなる半導体薄膜をチャネル形成領
    域とするTFTと、 を構成に含む半導体装置であって、 前記チャネル形成領域に垂直に電子線を照射した際に観
    測される電子線回折パターンは、{110}配向に特有
    の規則性を示すことを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至請求項3において、前記ガラ
    ス基板は結晶化ガラスであることを特徴とする半導体装
    置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至請求項4において、前記ガラ
    ス基板の歪点は 950〜1100℃であることを特徴とする半
    導体装置。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5において、前記半導
    体薄膜とは結晶粒界を有する珪素膜であることを特徴と
    する半導体装置。
  7. 【請求項7】歪点が750℃以上であるガラス基板の全
    面に対して非晶質半導体薄膜を形成する工程と、 第1の加熱処理により前記非晶質半導体薄膜を酸化し、
    完全に熱酸化膜に変成させる工程と、 前記ガラス基板の表面側に形成された熱酸化膜上に再び
    非晶質半導体薄膜を形成する工程と、 前記非晶質半導体薄膜上の一部又は全部に当該半導体薄
    膜の結晶化を助長する触媒元素を添加又は保持する工程
    と、 第2の加熱処理により前記非晶質半導体薄膜の一部又は
    全部を結晶化させ、結晶性半導体薄膜に変成させる工程
    と、 前記結晶性半導体薄膜中から前記触媒元素をゲッタリン
    グする工程と、 前記ゲッタリング工程後の結晶性半導体薄膜をパターニ
    ングして活性層を形成し、当該活性層表面に熱酸化膜を
    形成する工程と、 を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  8. 【請求項8】歪点が750℃以上であるガラス基板の全
    面に対して減圧熱CVD法により絶縁性珪素膜を形成す
    る工程と、 前記ガラス基板の表面側に形成された絶縁性珪素膜上に
    非晶質半導体薄膜を形成する工程と、 前記非晶質半導体薄膜上の一部又は全部に当該半導体薄
    膜の結晶化を助長する触媒元素を添加又は保持する工程
    と、 加熱処理により前記非晶質半導体薄膜の一部又は全部を
    結晶化させ、結晶性半導体薄膜に変成させる工程と、 前記結晶性半導体薄膜中から前記触媒元素をゲッタリン
    グする工程と、 前記ゲッタリング工程後の結晶性半導体薄膜をパターニ
    ングして活性層を形成し、当該活性層表面に熱酸化膜を
    形成する工程と、 を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  9. 【請求項9】請求項7または請求項8において、前記ガ
    ラス基板とは結晶化ガラスであることを特徴とする半導
    体装置の作製方法。
  10. 【請求項10】請求項7乃至請求項9において、前記ガ
    ラス基板の歪点は 950〜1100℃であることを特徴とする
    半導体装置の作製方法。
  11. 【請求項11】請求項7乃至請求項10において、前記
    非晶質半導体薄膜とは非晶質珪素膜であり、前記結晶性
    半導体薄膜とは結晶粒界を有する珪素膜であることを特
    徴とする半導体装置の作製方法。
  12. 【請求項12】請求項7乃至請求項11において、前記
    触媒元素をゲッタリングする工程とは、ハロゲン元素を
    含む雰囲気中において 700℃を超える温度で行われる加
    熱処理であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  13. 【請求項13】請求項7乃至請求項12において、前記
    触媒元素をゲッタリングする工程は、 前記結晶性半導体薄膜の一部に対して選択的に15族か
    ら選ばれた不純物元素を添加する工程と、 前記不純物元素が添加されなかった領域中に残存する前
    記触媒元素を、加熱処理により前記不純物元素が添加さ
    れた領域に対して移動させる工程と、 を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  14. 【請求項14】請求項7乃至請求項13において、前記
    触媒元素とはNi、Ge、Co、Fe、Pd、Pt、C
    u、Au、Pbから選ばれた一種または複数種の元素で
    あることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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