JPH11186018A - 複合磁性部材およびその製造方法 - Google Patents

複合磁性部材およびその製造方法

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JPH11186018A
JPH11186018A JP9347724A JP34772497A JPH11186018A JP H11186018 A JPH11186018 A JP H11186018A JP 9347724 A JP9347724 A JP 9347724A JP 34772497 A JP34772497 A JP 34772497A JP H11186018 A JPH11186018 A JP H11186018A
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JP9347724A
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Tatsuya Tomioka
達也 冨岡
Akitake Takayama
昭武 高山
Haruo Koyama
治雄 小山
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強磁性部分と非磁性部分とが連続して一体に
形成された安価で、かつ、高性能な複合磁性部材とその
製造方法とを提供する。 【解決手段】 強磁性のα相よりなるFe−Cr合金粉
末と、Ni−Cr合金粉末、Fe−Ni合金粉末および
Ni粉末などとの化学組成の異なる2種以上の合金粉末
を均一に混合し、熱間押出しによって一体に成形するこ
とによって、前記複数の合金粉末相が均一に分散する金
属組織を有する強磁性成形体とする。次いで、その一部
を固溶化加熱することによって拡散均質化し、局部的に
非磁性のγ相とすることにより強磁性成形体と非磁性部
分とが一体に形成された複合磁性部材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧燃料噴射ポン
プ用電磁弁のスリーブ等に適する、強磁性部分と非磁性
部分とが連続して一体に形成された複合磁性部材および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用エンジンの燃費向上およ
び排ガスの清浄化に効果的な方法として燃料の筒内直接
噴射法が注目されるようになった。筒内直接噴射法によ
って希薄燃料混合気を効果的に完全燃焼するためには、
燃料を超微細粒に噴霧することが必要であり、このた
め、燃料噴射ポンプは、高圧で燃料を噴射する必要があ
る。このような高圧燃料噴射ポンプでは、燃料噴射ノズ
ルの開閉用のニードルを駆動・制御する磁気回路は、高
い磁束密度と優れた磁気応答性とを有することが望まれ
る。
【0003】ところで、従来、燃料噴射ポンプの励磁コ
イルは、例えば、PVAのような非磁性樹脂材料で作っ
た円筒状スリーブに捲かれており、ニードルはこのスリ
ーブに捲かれたコイルとコネクタ、コア、ハウジングと
により形成される磁気回路によって駆動される構造とな
っている。そのため、ニードルに作用する磁力は、スリ
ーブの厚さ分だけ低減されることを免れないきらいがあ
った。このような磁力の低減をなくすために、前記スリ
ーブとして、強磁性体の一部に、連続してかつ一体に形
成された非磁性部分を有する複合磁性部材を用いること
により、ニードルに作用する磁力を格段に向上すること
ができる。
【0004】このように、一つの部品の中で強磁性部分
と非磁性部分とが連続して形成された複合磁性部材とし
ては、例えば、強磁性部材である軟鋼製の部品と非磁性
材料であるオーステナイト系ステンレス鋼製部品とを、
適宜ろう付け等によって、接合して一つの磁気回路部品
に構成することが行われている。しかし、このような方
法では、複数の部品を製作し、これらを接合する必要が
あるため、その製造に多くの工数と費用を要するという
難点があった。
【0005】また、特開昭50−3017号公報、特開
平6−74124号公報、特開昭63−161146号
公報、特開平7−11397号公報においては、例えば
オーステナイト系ステンレス鋼や高マンガン鋼などの室
温では非磁性のオーステナイト組織を示す一様な組成の
鋼に熱処理や冷間加工を施すことによってマルテンサイ
トなどの強磁性体を形成したのち、その一部を加熱して
固溶化することによって、局部的に非磁性部分を形成す
る技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、高圧燃
料噴射ポンプの磁気回路では、高い磁力と優れた磁気応
答性とを有することが望まれる。具体的には、複合磁性
部材の強磁性部分は磁束密度B50が0.8T以上で、か
つ、比抵抗ρが50μΩcm以上であり、非磁性部分
は、比透磁率μが1.2以下で、かつ、比抵抗ρが50
μΩcm以上であることが要求される。しかし、上記の
ように一様な組成のオーステナイト鋼をマルテンサイト
化する方法では強度の冷間加工を施す必要があって、所
要の磁気特性を得ることが困難であったり、また、所要
の磁気特性を得るためには高価な合金が必要であったり
するという問題がある。
【0007】本発明は、上記の現状に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、おのおの別個に製作し
た強磁性部材と非磁性部材とを接合する等の繁雑な工程
と高い費用とを要することなく、しかも、高価な合金を
用いることがない、高圧燃料噴射ポンプ用電磁弁のスリ
ーブ等に適する、強磁性部分と非磁性部分とが連続して
一体に形成された安価で、かつ、高性能な複合磁性部材
とその製造方法とを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の複合磁性部材は、 (1)化学組成が異なる2種以上の金属相が均一に混合
してなる強磁性成形体と、前記強磁性成形体の平均化学
組成と同等の化学組成を有し、かつ、一様な金属組織を
呈する非磁性部分とが一体に形成されてなることを特徴
とする。 (2)(1)において、前記強磁性成形体は、磁束密度
50が0.8T以上で、かつ、比抵抗ρが50μΩcm
以上であり、前記非磁性部分は、比透磁率μが1.2以
下で、かつ、比抵抗ρが50μΩcm以上であることを
特徴とする。 (3)(1)および(2)のいずれかにおいて、前記強
磁性成形体は、Fe−Cr合金よりなる強磁性のα相8
0〜95%と、残部主としてNi−Cr合金よりなる非
磁性のγ相との混合組織を有することを特徴とする。 (4)(1)および(2)のいずれかにおいて、前記強
磁性成形体は、Fe−Cr合金よりなる強磁性のα相と
Fe−Ni合金よりなる強磁性のγ相との混合組織を有
することを特徴とする。 (5)(1)、(2)および(3)のいずれかにおい
て、前記金属相の化学組成が、第1の金属相にあって
は、C :0.1質量%以下、Al+Si:3.0質量
%以下、Cr:9〜25質量%、Mo:4質量%以下、
残部Feおよび不可避的不純物からなり、第2の金属相
にあっては、C :0.1質量%以下、Cr:5〜25
質量%、残部Niおよび不可避的不純物からなり、か
つ、前記強磁性成形体の平均化学組成が、C :0.1
質量%以下、Ni:5〜25質量%、Cr:9〜25質
量%、Al+Si:3.0質量%以下、Mo:4質量%
以下、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特
徴とする。 (6)(1)、(2)および(4)のいずれかにおい
て、前記金属相の化学組成が、第1の金属相にあって
は、C :0.1質量%以下、Al+Si:3.0質量
%以下、Cr:9〜25質量%、Mo:4質量%以下、
残部Feおよび不可避的不純物からなり、第2の金属相
にあっては、C :0.1質量%以下、Ni:20質量
%以上、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ
前記強磁性成形体の平均化学組成が、C :0.1質量
%以下、Ni:5〜25質量%、Cr:9〜25質量
%、Al+Si:3.0質量%以下、Mo:4質量%以
下、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴
とする。
【0009】また、本発明の複合磁性部材の製造方法
は、 (7)金属粉末および合金粉末から選ばれた化学組成の
異なる2種以上の粉末の均一混合物を加熱・加圧によっ
て一体に成形して強磁性成形体とする工程と、前記強磁
性成形体の一部を加熱することによって拡散均質化して
非磁性部分を形成する工程とを含むことを特徴とする。 (8)金属粉末および合金粉末から選ばれた化学組成の
異なる2種以上の粉末の均一混合物を加熱・加圧によっ
て一体に成形し、続いて該成形体に冷間加工を加えて強
磁性成形体とする工程と、前記強磁性成形体の一部を加
熱することによって拡散均質化して非磁性部分を形成す
る工程とを含むことを特徴とする。 (9)(7)および(8)のいずれかにおいて、前記粉
末の均一混合物は、強磁性のα相よりなるFe−Cr合
金粉末を80〜95質量%含み、残部非磁性のγ相より
なるNi−Cr合金粉末であることを特徴とする。 (10)(7)および(8)のいずれかにおいて、前記
粉末の均一混合物は、強磁性のα相よりなるFe−Cr
合金粉末と、強磁性のγ相よりなるFe−Ni合金粉末
とよりなることを特徴とする。 (11)(9)において、前記Fe−Cr合金粉末の化
学組成が、C :0.1質量%以下、Al+Si:3.
0質量%以下、Cr:9〜25質量%、Mo:4質量%
以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、前記N
i−Cr合金粉末の化学組成が、C :0.1質量%以
下、Cr:5〜25質量%、残部Niおよび不可避的不
純物からなり、かつ、前記粉末の均一混合物の化学組成
が、C :0.1質量%以下、Ni:5〜25質量%、
Cr:9〜25質量%、Al+Si:3.0質量%以
下、Mo:4質量%以下、残部Feおよび不可避的不純
物からなることを特徴とする。 (12)(10)において、前記Fe−Cr合金粉末の
化学組成が、C :0.1質量%以下、Al+Si:
3.0質量%以下、Cr:9〜25質量%、Mo:4質
量%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、前
記Fe−Ni合金粉末の化学組成が、C :0.1質量
%以下、Ni:20質量%以上、残部Feおよび不可避
的不純物からなり、かつ、前記粉末の均一混合物の化学
組成が、C :0.1質量%以下、Ni:5〜25質量
%、Cr:9〜25質量%、Al+Si:3.0質量%
以下、Mo:4質量%以下、残部Feおよび不可避的不
純物からなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の複合磁性部材は、次のよ
うにして製造する。すなわち、先ず、金属粉末および合
金粉末から選ばれた化学組成の異なる2種以上の粉末を
均一に混合し、この混合物を加熱・加圧によって一体に
成形して強磁性成形体とする。
【0011】粉末混合物の加熱・加圧は、通常金属粉末
を成形焼結するのに用いる方法に準じて、常温での加圧
成形後加熱、ホットプレスによる高温加圧成形、高温恒
圧プレス処理等の方法および粉末の熱間押出し、熱間圧
延、熱間鍛造等によって行う。このとき、加熱温度、加
熱時間等の加熱条件、加圧条件を調整することによっ
て、粉末を焼結して緻密な焼結体とするが、粉末間にお
いては広範囲の元素拡散を生じないようにすることが必
要である。これによって成形体は、化学組成の異なる2
種以上の金属相が均一に混合した状態となり、粉末粒子
が有する磁気特性を損うことなく、全体として磁束密度
の高い強磁性成形体とすることができる。
【0012】また、前記加熱・加圧によって各粉末は加
工方向に変形を生じて延伸し、或いは偏平化するが、こ
のとき、粉末の短径方向の粒径が100μm以下となる
ようにすることが好ましい。これによって、次工程で行
う加熱において、化学成分の拡散均一化が一層容易とな
る。さらに、前記加熱・加圧の後、この成形体に冷間引
抜き、冷間鍛造などの冷間加工を施すことが好ましい。
これによって、次工程で行う加熱において、化学成分の
拡散均一化が一層容易となるとともに、成形体の一層の
緻密化、磁性の向上を図ることができる。
【0013】次に、前記強磁性成形体の一部を加熱する
ことによって、局部的に化学成分を拡散均質化して非磁
性部分を形成する。加熱の方法としては、高周波誘導加
熱などの局所的に加熱できる方法が好ましい。この加熱
によって、この被加熱部分は、化学組成の異なる金属相
の間における成分元素の拡散が促されて均質化するとと
もに、固溶化して非磁性を呈するようになる。
【0014】以下、本発明のさらに好ましい実施態様に
ついて説明する。前記粉末の均一混合物は、強磁性のα
相よりなるFe−Cr合金粉末を80〜95質量%含
み、残部を非磁性のγ相よりなるNi−Cr合金粉末と
する。強磁性のα相よりなるFe−Cr合金粉末の含有
率を80質量%以上とすることにより、強磁性成形体に
おける強磁性のα相を80%以上とすることができ、強
磁性成形体の磁気特性を向上することができる。Fe−
Cr合金粉末の含有率の上限を95質量%としたのは、
この強磁性成形体の一部を加熱して均質化するときに、
非磁性部分を形成するためには、平均化学組成として少
なくとも5質量%以上のNi成分を含有していることが
望ましいことによる。このNi成分はNi−Cr合金粉
末から供給される。
【0015】さらに好ましい他の実施態様では、前記F
e−Cr合金粉末の化学組成が、C:0.1質量%以
下、Al+Si:3.0質量%以下、Cr:9〜25質
量%、Mo:4質量%以下、残部Feおよび不可避的不
純物からなり、前記Ni−Cr合金粉末の化学組成が、
C:0.1質量%以下、Cr:9〜25質量%、残部N
iおよび不可避的不純物からなり、かつ、前記粉末の均
一混合物の化学組成が、C:0.1質量%以下、Ni:
5〜25質量%、Cr:9〜25質量%、Al+Si:
3.0質量%以下Mo:4質量%以下、残部Feおよび
不可避的不純物からなるものとする。
【0016】前記Fe−Cr合金粉末の化学組成におい
て、Cは、合金のγ相を安定化する元素であり、また、
保磁力を高め、透磁率μを低めて磁気回路の応答性を低
下せしめるのでC含有率は低いことが望ましい。許容範
囲としてC含有率の上限を0.1質量%とする。Alお
よびSiは合金の比抵抗を高め、磁気回路の応答性を増
すために添加するが過剰に含有すると飽和磁気を低下さ
せる上、合金の加工性を損うので含有率の上限をAl+
Siとして3.0質量%以下とする。
【0017】Crは、合金の耐食性を向上し、強磁性の
α相を安定化する元素として9質量%以上を添加する。
しかし、過剰に含有すると飽和磁気が低下する上、α相
が安定となりすぎて、後工程において行う加熱処理の際
に、合金を非磁性のγ相とすることができなくなるの
で、Cr含有率の上限は25質量%とする。Moは、合
金の耐食性を高める元素でありCrと同様にα相を安定
化する元素であるが、高価なので、4質量%以下の範囲
で添加してもよい。
【0018】前記Ni−Cr合金粉末において、Cは、
合金の保磁力を高めるので、その含有率を0.1質量%
以下に制限する。Crは、耐食性を向上する元素として
9〜25質量%の範囲で添加する。前記化学組成を有す
るFe−Cr合金粉末を80〜95質量%と、残部Ni
−Cr合金粉末とを混合したときの平均化学組成を前記
のように制限することによって、前記強磁性成形体の磁
気特性を高いものとすることができるとともに、非磁性
化のための加熱において被加熱部を安定なγ相とするこ
とができ、非磁性化が容易に達成される。
【0019】さらに好ましい他の実施態様では、前記粉
末の均一混合物が、強磁性のα相よりなるFe−Cr合
金粉末と、強磁性のγ相よりなるFe−Ni合金粉末も
しくはNi粉末とよりなるものとする。ここに、Fe−
Ni合金粉末は、C含有率0.1質量%以下、Ni含有
率30質量%以上とするのが好ましい。本実施態様で
は、いずれも強磁性を呈するFe−Cr合金粉末および
Fe−Ni合金粉末を用いるので前記強磁性成形体の磁
気特性を高いものとすることができる。
【0020】なお、前記Fe−Ni合金粉末において、
Cは、合金の保磁力を高めるので、その含有率を0.1
質量%以下に制限する。強磁性部の電気抵抗を50μΩ
以上確保するためにはFe−Cr合金粉末を50%以上
含有する必要があり、Fe−Ni合金と均質化し非磁性
化するためには、少なくともFe−Ni合金のNiは2
0質量%以上含有する必要がある。
【0021】なお、前記の合金粉末および前記強磁性成
形体には、それらの所要特性を損わない限りにおいて、
本発明が限定する化学成分のほか、Mn、P、S、C
u、Ni、Cr、Fe、Mo、Co、Nb、Ta、T
i、V等の元素を含有してもよい。以上のようにして得
られる複合磁性部材は、化学組成が異なる2種以上の金
属相が均一に混合してなる強磁性成形体と、前記強磁性
成形体の平均化学組成と同等の化学組成を有し、かつ、
一様な金属組織を呈する非磁性部分とが一体に形成され
ている。また、前記強磁性成形体は、磁束密度B50
0.8T以上で、かつ、比抵抗ρが50μΩcm以上で
あり、前記非磁性部分は、比透磁率μが1.2以下で、
かつ、比抵抗ρが50μΩcm以上の特性を有するもの
とする。
【0022】(実施例1)ガスアトマイズ法によって、
表1に示す合金1および合金2の化学組成を有する粉末
粒度500μm以下の粉末を製造した。それぞれ単独に
HIP処理した後に測定した磁気特性を表1に併記す
る。合金1の粉末90質量%と合金2の粉末10質量%
とを配合し、粉末混合機を用いて混合し、均一混合物と
した。
【0023】
【表1】
【0024】前記均一混合物を、外径110mm、内径
90mm、長さ220mmの軟鋼製シースに充填し、真
空槽中において、EB溶接によって前記シースの開口端
側に軟鋼製蓋を溶接して封止し、粉末充填体を製作し
た。該粉末充填体を850℃に加熱し、前方押出しによ
って外径15mmの丸棒とした。シース部分を切削除去
して、外径10mmの熱間押出し丸棒を得た。次いで、
全体を850℃×2hr真空焼鈍後、前記熱間押出し丸
棒の中間部で長さ約10mmの部分を高周波加熱によっ
て1200℃に加熱し、10分間加熱保持後放冷して固
溶化部を形成した。これによって熱間押出し部と固溶化
部とが連続して一体に形成された試料を得た。
【0025】前記試料の熱間押出し部および固溶化部に
ついて縦断面の金属組織を観察した。その結果、熱間押
出し部は、腐食液(ビレラ試薬(硝酸10%、塩酸20
%、グリセリン70%))によって腐食され易い相と、
腐食液によって腐食され難い相とからなる混合組織であ
ることを示した。また、いずれの相も押出し方向に延伸
しており、その短径方向の粒径はいずれも100μm以
下であった。
【0026】EPMAによる微小部分の分析の結果、前
記腐食され易い相は合金1からなるα相であり、腐食さ
れ難い相は合金2からなるγ相であることが認められ
た。また、画像解析法によって各相の面積率を調べた結
果、α相90%、γ相10%の構成比率であることが認
められた。金属組織観察の結果、固溶化部は、腐食液に
よって腐食され難い1相からなることが認められた。固
溶化部の化学分析の結果を表1に合金3として示す。
【0027】前記試料の熱間押出し部および固溶化部に
ついて磁気特性、比抵抗を測定した。その結果は表2に
示すとおりで、熱間押出し部は、磁束密度B50が0.8
T以上の高い強磁性を示し、また、固溶化部は、比透磁
率μが1.2以下の非磁性を示す。また、熱間押出し部
および固溶化部のいずれも比抵抗ρが50μΩcm以上
の値を示し、磁気応答性に優れることを示す。
【0028】
【表2】
【0029】(実施例2)ガスアトマイズ法によって、
表3に示す合金4および合金5の化学組成を有する粉末
粒度500μm以下の粉末を製造した。合金4および合
金5について測定した磁気特性を表3に併記する。合金
4の粉末80質量%と合金5の粉末20質量%とを配合
し、粉末混合機を用いて混合し、均一混合物とした。
【0030】
【表3】
【0031】実施例1と同様にして、前記合金4と合金
5との均一混合物の粉末充填体を製作し、熱間前方押出
し、切削加工して外径10mmの熱間押出し丸棒を得
た。さらに、全体を850℃×2hr真空焼鈍後、前記
熱間押出し丸棒の中間部を高周波加熱によって加熱、放
冷して固溶化部を形成した。これによって熱間押出し部
と固溶化部とが連続して一体に形成された試料を得た。
【0032】前記試料の縦断面について金属組織を観察
した。その結果、熱間押出し部は、腐食液(ビレラ試
薬)によって腐食され易い相と、腐食液によって腐食さ
れ難い相とからなる混合組織であることを示した。ま
た、いずれの相も押出し方向に延伸しており、その短径
方向の粒径はいずれも100μm以下であった。EPM
Aによる微小部分の分析の結果、前記腐食され易い相は
合金4からなるα相であり、腐食され難い相は合金5か
らなるγ相であることが認められた。また、金属組織観
察の結果、固溶化部は、腐食液によって腐食され難い1
相からなることが認められた。固溶化部の化学分析の結
果を表3に合金6として示す。
【0033】前記試料の熱間押出し部および固溶化部に
ついて磁気特性、比抵抗を測定した。その結果は表4に
示すとおりで、熱間押出し部は、磁束密度B50が0.8
T以上の高い強磁性を示し、また、固溶化部は、比透磁
率μが1.2以下の非磁性を示した。また、熱間押出し
部および固溶化部のいずれも比抵抗ρが50μΩcm以
上の値を示し、磁気応答性に優れることを示した。
【0034】
【表4】
【0035】(実施例3)実施例1と同様にして、前記
合金1と合金2との均一混合物の粉末充填体を製作し、
熱間前方押出して外径15mmの熱間押出し丸棒を得
た。該熱間押出し丸棒に減面率40%の冷間引抜きを施
して外径10mmの冷間引抜き丸棒とし、全体を850
℃×2hr真空焼鈍後、さらに、前記冷間引抜き丸棒の
中間部を高周波加熱によって加熱、放冷して固溶化部を
形成した。これによって冷間引抜き部と固溶化部とが連
続して一体に形成された試料を得た。
【0036】前記試料の金属組織を観察およびEPMA
による微小部分の分析の結果、冷間引抜き部は、加工方
向に延伸した2相からなる混合組織を呈することが認め
られた。また、いずれの相も押出し方向に延伸してお
り、その短径方向の粒径はいずれも100μm以下であ
った。固溶化部は、腐食液によって腐食され難い1相か
らなることが認められた。固溶化部の化学分析の結果
は、表3に示す合金3と同等であった。
【0037】前記試料の冷間引抜き部および固溶化部に
ついて磁気特性、比抵抗を測定した。その結果は表5に
示すとおりで、冷間引抜き部は焼鈍後、磁束密度B50
0.8T以上の高い強磁性を示し、また、固溶化部は、
比透磁率μが1.2以下の非磁性を示した。また、冷間
引抜き部および固溶化部のいずれも比抵抗ρが50μΩ
cm以上の値を示し、磁気応答性に優れることを示し
た。
【0038】
【表5】
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明の複合磁性部材に
おいては、磁束密度B50が0.8T以上の高い強磁性を
示す強磁性部分と、比透磁率μが1.2以下の非磁性を
示す非磁性部分とが連続して一体に形成されており、か
つ、比抵抗ρとして50μΩcm以上の高い値を有して
磁気応答性に優れているので、高圧燃料噴射ポンプ用電
磁弁のスリーブ等の厳しい磁気特性を要求される用途に
適し、合金としても安価な複合磁性部材を提供すること
ができる。
【0040】さらに、本発明の製造方法によれば、おの
おの別個に製作した強磁性部材と非磁性部材とを接合す
る等の繁雑な工程と高いコストとを要することなく、高
性能な複合磁性部材を製造する方法を提供することがで
きる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成が異なる2種以上の金属相が均
    一に混合してなる強磁性成形体と、前記強磁性成形体の
    平均化学組成と同等の化学組成を有し、かつ、一様な金
    属組織を呈する非磁性部分とが一体に形成されてなるこ
    とを特徴とする複合磁性部材。
  2. 【請求項2】 前記強磁性成形体は、磁束密度B50
    0.8T以上で、かつ、比抵抗ρが50μΩcm以上で
    あり、前記非磁性部分は、比透磁率μが1.2以下で、
    かつ、比抵抗ρが50μΩcm以上であることを特徴と
    する請求項1記載の複合磁性部材。
  3. 【請求項3】 前記強磁性成形体は、Fe−Cr合金よ
    りなる強磁性のα相80〜95%と、残部主としてNi
    −Cr合金よりなる非磁性のγ相との混合組織を有する
    ことを特徴とする請求項1および請求項2のいずれか一
    項記載の複合磁性部材。
  4. 【請求項4】 前記強磁性成形体は、Fe−Cr合金よ
    りなる強磁性のα相とFe−Ni合金よりなる強磁性の
    γ相ないしNiとの混合組織を有することを特徴とする
    請求項1および請求項2のいずれか一項記載の複合磁性
    部材。
  5. 【請求項5】 前記金属相の化学組成が、第1の金属相
    にあっては、 C :0.1質量%以下、 Al+Si:3.0質量%以下、 Cr:9〜25質量%、 Mo:4質量%以下、 残部Feおよび不可避的不純物からなり、第2の金属相
    にあっては、 C :0.1質量%以下、 Cr:5〜25質量%、 残部Niおよび不可避的不純物からなり、かつ、前記強
    磁性成形体の平均化学組成が、 C :0.1質量%以下、 Ni:5〜25質量%、 Cr:9〜25質量%、 Al+Si:3.0質量%以下、 Mo:4質量%以下、 残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
    る請求項1、請求項2および請求項3のいずれか一項記
    載の複合磁性部材。
  6. 【請求項6】 前記金属相の化学組成が、第1の金属相
    にあっては、 C :0.1質量%以下、 Al+Si:3.0質量%以下、 Cr:9〜25質量%、 Mo:4質量%以下、 残部Feおよび不可避的不純物からなり、第2の金属相
    にあっては、 C :0.1質量%以下、 Ni:20質量%以上、 残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ前記強磁
    性成形体の平均化学組成が、 C :0.1質量%以下、 Ni:5〜25質量%、 Cr:9〜25質量%、 Al+Si:3.0質量%以下、 Mo:4質量%以下、 残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
    る請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項記
    載の複合磁性部材。
  7. 【請求項7】 金属粉末および合金粉末から選ばれた化
    学組成の異なる2種以上の粉末の均一混合物を加熱・加
    圧によって一体に成形して強磁性成形体とする工程と、
    前記強磁性成形体の一部を加熱することによって拡散均
    質化して非磁性部分を形成する工程とを含むことを特徴
    とする複合磁性部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属粉末および合金粉末から選ばれた化
    学組成の異なる2種以上の粉末の均一混合物を加熱・加
    圧によって一体に成形し、続いて該成形体に冷間加工を
    加えて強磁性成形体とする工程と、前記強磁性成形体の
    一部を加熱することによって拡散均質化して非磁性部分
    を形成する工程とを含むことを特徴とする複合磁性部材
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記粉末の均一混合物は、強磁性のα相
    よりなるFe−Cr合金粉末を80〜95質量%含み、
    残部非磁性のγ相よりなるNi−Cr合金粉末であるこ
    とを特徴とする請求項7および請求項8のいずれか一項
    記載の複合磁性部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記粉末の均一混合物は、強磁性のα
    相よりなるFe−Cr合金粉末と、強磁性のγ相よりな
    るFe−Ni合金粉末もしくはNi粉末とよりなること
    を特徴とする請求項7および請求項8のいずれか一項記
    載の複合磁性部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記Fe−Cr合金粉末の化学組成
    が、 C :0.1質量%以下、 Al+Si:3.0質量%以下、 Cr:9〜25質量%、 Mo:4質量%以下、 残部Feおよび不可避的不純物からなり、前記Ni−C
    r合金粉末の化学組成が、 C :0.1質量%以下、 Cr:5〜25質量%、 残部Niおよび不可避的不純物からなり、かつ、前記粉
    末の均一混合物の化学組成が、 C :0.1質量%以下、 Ni:5〜25質量%、 Cr:9〜25質量%、 Al+Si:3.0質量%以下、 Mo:4質量%以下、 残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
    る請求項9記載の複合磁性部材の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記Fe−Cr合金粉末の化学組成
    が、 C :0.1質量%以下、 Al+Si:3.0質量%以下、 Cr:9〜25質量%、 Mo:4質量%以下、 残部Feおよび不可避的不純物からなり、前記Fe−N
    i合金粉末の化学組成が、 C :0.1質量%以下、 Ni:20質量%以上、 残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、前記粉
    末の均一混合物の化学組成が、 C :0.1質量%以下、 Ni:5〜25質量%、 Cr:9〜25質量%、 Al+Si:3.0質量%以下、 Mo:4質量%以下、 残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
    る請求項10記載の複合磁性部材の製造方法。
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