JPH11181134A - ポリエチレン多孔質膜およびその製造方法 - Google Patents

ポリエチレン多孔質膜およびその製造方法

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JPH11181134A
JPH11181134A JP9348809A JP34880997A JPH11181134A JP H11181134 A JPH11181134 A JP H11181134A JP 9348809 A JP9348809 A JP 9348809A JP 34880997 A JP34880997 A JP 34880997A JP H11181134 A JPH11181134 A JP H11181134A
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polyethylene
solvent
film
porous membrane
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JP9348809A
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Yoshihiro Uetani
慶裕 植谷
Hiroyuki Higuchi
浩之 樋口
Yasuhisa Tojo
泰久 東條
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Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い電気抵抗および高い突刺し強度を有する
ポリエチレン多孔質膜、および、そのようなポリエチレ
ン多孔質膜を製造する方法を提供する。 【解決手段】 粘度平均分子量が1×106 以上である
超高分子量ポリエチレンを主成分とするポリエチレンフ
ィルムを、キシレンなどのポリエチレンを膨潤させるこ
とのできる溶媒に、95〜125℃の温度範囲で接触さ
せながら少なくとも1軸方向に延伸した後、前記溶媒で
ポリエチレンが膨潤した状態で、前記溶媒よりもポリエ
チレンを膨潤させる能力の小さい、エタノールなどの溶
媒に接触させ、その後フィルムに残存する溶媒を乾燥除
去してポリエチレン多孔質膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解液電池用
セパレータとして使用するのに好適なポリエチレン多孔
質膜およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、電気機器のコードレス化などに対
応する電池として、高エネルギー密度、高起電力、自己
放電の少なさから、リチウム電池が注目を集めている。
このリチウム電池の正極構成材料としては、(CF)n
で示されるフッ化黒鉛、LiCoO2 、LiNiO2
LiMn2 4 、V2 5 、CuO、Ag2 CrO4
どの金属酸化物、TiS、CuSなどの硫化物が知られ
ている。一方、負極構成材料としては、金属リチウム、
リチウム合金、カーボンやグラファイトなどのリチウム
イオンを吸蔵もしくは吸着する能力を有する材料、また
はリチウムイオンをドーピングした導電性高分子などが
知られている。また、電解液としては、エチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ
−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラ
ヒドロフランなどの有機溶媒にLiClO4 、LiPF
6 、LiAsF6 などの電解質を溶解した有機電解液が
知られている。
【0003】このリチウム電池には正・負極の短絡を防
止するために、両電極間にセパレータが介在させられ
る。セパレータには、イオン透過能力を有すること、つ
まり、電解液中における電気抵抗が小さいことが求めら
れるため、ポリエチレンやポリプロピレン製の多孔質膜
や不織布が用いられる。特に多孔質膜は、細孔の孔径が
小さく、負極上に析出した金属リチウムによる内部短絡
を有利に阻止できるなどの利点を有するため、セパレー
タとして好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】リチウム電池において
は、通常正極・負極の活性物質を集電板上に塗布した電
極とセパレータとを積層捲回して電極体を作製するが、
このとき電極の凸部や混入異物によりセパレータが突き
破られると正・負極が短絡して電池として機能しなくな
り不都合である。このような内部短絡の発生率を低減す
るため、セパレータにはできるだけ高い突き刺し強度が
要求される。
【0005】高強度の膜を得る方法の一つとしては、膜
の構成材料に超高分子量ポリエチレンなどの分子量の高
い材料を使用することが挙げられる。一般に超高分子量
ポリエチレンは結晶化度が低いので、結晶化度の高い材
料を使用したアニール後の延伸による多孔質膜の製造と
同様の方法を適用すると、結晶ラメラ間の破壊が十分に
起こらず非晶質部分の分子鎖が伸びてしまうため開孔し
難い。そのため、得られる多孔質膜において十分に高い
空孔率、すなわち、十分に低い電気抵抗を実現すること
が容易でなかった。
【0006】そこで、超高分子量ポリエチレンの多孔質
膜を得る他の製造方法として、超高分子量ポリエチレン
を溶媒に加熱溶解させた溶液からゲル状シートを成形
し、該ゲル状シート中の溶媒量を10〜80%に脱溶媒
処理し、次いで加熱延伸した後、溶媒を除去する方法が
提案されている(特公平5−54495号公報)。しか
し、この方法においては、ゲル状シート中の溶媒量を安
定にするためパラフィン油などの不揮発性の溶媒が使用
されるため、得られる多孔質膜中に溶媒が残存し、電池
用セパレータとして使用したときなどに電池特性に影響
を与えるおそれがあった。
【0007】本発明は、上述の問題を解決し、電解液中
での電気抵抗が低く、且つ、突刺し強度が高いポリエチ
レン多孔質膜、および、このような多孔質膜の製造方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のポリエチレン多孔質膜は、粘度平均分子量
が1×106 以上である超高分子量ポリエチレンを主成
分とし、空孔率が15〜75%であり、かつ、単位厚さ
当たりの突刺し強度が0.25N/μm以上であり、電
解液中の単位厚さ当たりの電気抵抗Rt が100mΩ・
cm2 /μm以下であることを特徴とする。ここで、電
気抵抗Rt は、JIS C 2313に準ずる方法で測
定される値であり、前記電解液中に面積S(cm2 )、
膜厚t(μm)のポリエチレン多孔質膜を浸漬した状態
で前記ポリエチレン多孔質膜の厚さ方向に測定した電気
抵抗をR1 (mΩ)、このポリエチレン多孔質膜がない
状態で測定した前記電解液の電気抵抗をR0 (mΩ)と
したとき、Rt =(R1 −R 0 )×S/tで表される。
【0009】このような構成の多孔質膜は、低い電気抵
抗と高い突刺し強度とを兼備するため、非水電解液電池
用セパレータとして使用したとき、良好な電池特性を確
保しながら、電池の内部短絡の発生率を低減することが
できる。
【0010】前記目的を達成するため、本発明のポリエ
チレン多孔質膜の製造方法は、粘度平均分子量が1×1
6 以上である超高分子量ポリエチレンを主成分とする
ポリエチレンフィルムを、ポリエチレンを膨潤させるこ
とのできる第1の溶媒に接触させながら少なくとも1軸
方向に延伸し、前記第1の溶媒で膨潤した状態のポリエ
チレンフィルムを前記第1の溶媒よりもポリエチレンを
膨潤させる能力の小さい第2の溶媒に接触させた後、ポ
リエチレンフィルム中に残存する溶媒を低減することを
特徴とする。
【0011】このような構成の製造方法は、超高分子量
ポリエチレンを構成材料とするフィルムを十分に多孔化
することができるため、前記ポリエチレン多孔質膜のよ
うに突刺し強度が高く、且つ、電解液中での電気抵抗の
低い多孔質膜を製造する方法として好適である。また、
使用する溶媒の揮発性についても制限がないため、易揮
発性の溶媒を使用して、溶媒が多孔質膜中に残存するこ
とを実質的に回避することが可能である。
【0012】また、前記の製造方法においては、延伸時
のポリエチレンフィルムの膨潤は、最終的に得られる多
孔質膜の電解液中での単位厚さ当たりの電気抵抗Rt
100mΩ・cm2 /μm以下とすることができる程度
であることが好ましい。
【0013】具体的には、ポリエチレンフィルムに第1
の溶媒を接触させる温度が95〜125℃であることが
好ましい。この温度範囲で接触させれば、ポリエチレン
を適度に膨潤させることが容易であるため、フィルムの
破断などを招くおそれなく良好な空孔率、すなわち電気
抵抗の低い多孔質膜を確実に得ることができる。
【0014】また、第1の溶媒としては、ヒルデブラン
ト溶解度パラメーターが15〜21J1/2cm-3/2であ
る溶媒を使用することが好ましい。このような溶媒は、
ポリエチレンに対する親和力が高く、ポリエチレンフィ
ルムを十分に膨潤させることができるため、電気抵抗の
低い多孔質膜を容易に製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明のポリエチレン多孔
質膜の製造方法について説明する。
【0016】材料となる超高分子量ポリエチレンは、粘
度平均分子量が1×106 以上のものであればその密度
については特に限定されるものではなく、密度が0.9
5g/cm3 以下である中密度ポリエチレンや低密度ポ
リエチレンであってもよい。ポリエチレンフィルムの成
形方法は特に制限されるものではなく、例えば、溶融押
出し、熱プレス法、溶融キャスティング法などの慣用の
成形方法を採用することができる。
【0017】このポリエチレンフィルムを、ポリエチレ
ンを膨潤させることができる溶媒(以下、「膨潤溶媒」
とする。)に接触、好ましくは浸漬させながら少なくと
も1軸方向に延伸する。フィルムを膨潤溶媒に接触させ
ることにより、ポリエチレンが膨潤して分子鎖間に隙間
が生じるため、延伸による多孔化が容易となる。前述し
たように、膨潤は、フィルムの破断などを招かず、多孔
質膜の電解液中の電気抵抗を膜厚当たり100mΩ・c
2 /μm以下とすることができる程度とすることが好
ましい。
【0018】より確実にポリエチレンフィルムを膨潤さ
せるため、延伸前にフィルムを予め膨潤溶媒に浸漬させ
ておくことが好ましい。この場合、通常、膨潤溶媒の温
度は後述する延伸温度と同等の範囲とし、浸漬時間は1
秒〜10分、好ましくは5秒〜5分とする。
【0019】延伸温度、すなわちフィルムに接触させる
膨潤溶媒の温度は、フィルムの延伸性および多孔質膜の
特性をより良好なものとするため、使用する膨潤溶媒お
よびポリエチレンの種類によっても異なるが、好ましく
は95〜125℃、更に好ましくは100〜115℃と
する。
【0020】使用する膨潤溶媒としては、ポリエチレン
を延伸条件下において膨潤させることができるものであ
れば特に限定するものではないが、ヒルデブラント溶解
度パラメーターが15〜21J1/2cm-3/2であるもの
が、ポリエチレンに対する親和力に優れるため好まし
い。
【0021】また膨潤溶媒は、上記の延伸温度を実現す
るために、沸点が110℃以上、更には130℃以上で
あることが好ましい。また、膨潤溶媒としては易揮発性
の溶媒を使用することが、最終的に得られる多孔質膜中
に膨潤溶媒が残存することを実質的に回避することがで
きるため好ましい。
【0022】膨潤溶媒としては、例えば、オクタン、o
−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、
ベンゼン、スチレン、デカン、デカヒドロナフタレン、
テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、1,2−ジブ
ロモエタン、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、
o−シメン、m−シメン、p−シメン、1,2−ジエチ
ルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ジエ
チルベンゼン、2,2,3,3−テトラメチルヘキサ
ン、2,2,5,5−テトラメチルヘキサン、3,3,
5−トリメチルヘプタン、ドデカン、ノナン、4−メチ
ルヘプタン、3−メチルへプタン、2−メチルヘプタ
ン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキ
サン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘ
キサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチル
ヘキサン、3−エチルヘキサン、2,3,3−トリメチ
ルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メ
チル−3−エチルペンタン、3−メチル−3−エチルペ
ンタンなどを挙げることができる。これらの溶媒は単独
でも、2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
【0023】延伸は、ロール延伸、テンター延伸などの
慣用の延伸方法によって、1軸または2軸方向に行うこ
とができる。延伸倍率は、通常、1軸方向に50〜50
0%、好ましくは100〜400%とする。また、延伸
速度は、通常、1〜300%/分、好ましくは5〜20
0%/分とする。なお、延伸倍率は下記式(1)により
算出される値である。
【0024】 延伸倍率(%)=(L1 −L0 )/L0 ×100 (1) 但し、L0 は延伸前の寸法、L1 の延伸後の寸法であ
る。
【0025】延伸後、膨潤溶媒で膨潤した状態のポリエ
チレンフィルムを、使用した膨潤溶媒よりもポリエチレ
ンを膨潤させる能力の小さい溶媒(以下、「置換溶媒」
とする。)に接触、好ましくは浸漬させる。この置換工
程を経ることにより、密度が0.95g/cm3 以下で
ある中・低密度ポリエチレンであっても高い空孔率の多
孔質膜とすることが可能となる。このとき、延伸によっ
て引き伸ばされた寸法を維持したまま置換溶媒に接触さ
せると、開孔が確実に得られるため好ましい。
【0026】置換溶媒としては、用いた膨潤溶媒よりも
ポリエチレンを膨潤させる能力が小さいものであれば、
特に限定するものではない。置換溶媒の好ましい例とし
てはヒルデブラント溶解度パラメーターが22J1/2
-3/2以上ものが挙げられ、このような溶媒を使用すれ
ば確実に良好な空孔率の多孔質膜とすることができる。
置換溶媒の例としては、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート、2,3
−ブチレンカーボネート、ジメチルフタレート、ニトロ
メタン、アセトニトリル、ニトロエタン、1−ブロモナ
フタレンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独でも2
種以上を混合して用いてもよい。
【0027】また、膨潤の程度は温度に依存し、高温で
ある程進行しやすい。従って、ヒルデブラント溶解度パ
ラメーターが22J1/2cm-3/2未満の溶媒、更には膨
潤溶媒と実質的に同じ溶媒であっても、温度条件を膨潤
時より低く調整してポリエチレンを膨潤させる能力を低
下させることにより、置換溶媒として使用することが可
能である。
【0028】置換溶媒の温度は特に限定されるものでは
なく、通常、10〜50℃程度が適当である。また、置
換溶媒に接触させる時間も特に限定されず、膨潤溶媒の
全部、または、得られる多孔質膜が十分な多孔性を有す
る範囲で膨潤溶媒の一部が、置換溶媒で置換できる時間
であればよい。通常は5秒以上、好ましくは30秒以上
である。
【0029】置換溶媒に浸漬した後、置換溶媒および残
存する膨潤溶媒を低減、好ましくは除去する。その方法
としては、通常、これらの溶媒が蒸発するのに十分な温
度で乾燥する方法が採用される。乾燥方法としては、加
熱乾燥、風乾、真空乾燥などが挙げられる。乾燥時に多
孔構造が大きく損なわれないように、乾燥温度はポリエ
チレンの軟化温度以下とし、延伸されたフィルムの寸法
を維持しながら乾燥することが好ましい。
【0030】また、得られた多孔質膜の寸法安定性を得
るため、多孔化した膜に熱処理を施すことが好ましい。
この熱処理は、多孔構造を損なわない範囲で延伸後のフ
ィルムを熱収縮させる方法や、延伸方向の寸法が変化し
ないように規制して加熱する「ヒートセット」とよばれ
る方法などで行う。加熱温度は通常90〜130℃であ
り、加熱時間は通常2秒〜10分である。
【0031】本発明のポリエチレン多孔質膜は、上記の
製造方法によって製造することができ、空孔率が15〜
75%であり、電解液中における電気抵抗が100mΩ
・cm2 /μm以下と低く、突刺し強度が0.25N/
μm以上と高いため、非水電解液電池用セパレータとし
て使用するのに好適である。なお、膜厚は10〜200
μm、孔径は0.01〜1μmであることが好ましい。
【0032】また、本発明の多孔質膜は、電池が過昇温
した際にセパレータの構成物質が溶融して細孔を塞いで
電流を遮断する、いわゆるシャットダウン特性を向上さ
せるため、融点の低いポリエチレンを多孔質膜の表面や
細孔内部に塗布、または積層するなどの加工を施すこと
ができる。
【0033】
【実施例】実施例および比較例において得られたポリエ
チレン多孔質膜の特性は、以下に示す方法によって測定
した。
【0034】(電気抵抗)JIS C 2313に準じ
て測定した。電解液としてはプロピレンカーボネートと
1,2−ジメトキシエタンを同容量づつ混合した液に、
電解質である無水過塩素酸リチウムを1mol/リット
ルの濃度になるように溶解して用いた。そして、抵抗計
にて1kHzの交流抵抗を測定し、下記式(2)によ
り、多孔質フィルムの厚さ1μm当たりの電気抵抗値R
t (mΩ・cm2 /μm)を算出した。なお、(2)式
中のR0 は電解液の電気抵抗値(mΩ)、R1 は電解液
中に多孔質フィルムを浸漬した状態で測定した電気抵抗
値(mΩ)、Sは多孔質膜の面積(cm2 )、tは多孔
質膜の膜厚(μm)である。
【0035】 Rt =(R1 −R0 )×S/t (2)
【0036】(突き刺し強度)カトーテック株式会社製
ハンディー圧縮試験機KES−G5を用いて、測定する
膜がたわまないように内径11.3mmのホルダーで固
定し、所定の形状の針を膜に垂直に当てて荷重をかけ、
膜が破断するまでの最大荷重を測定した。針の形状は、
直径が1mmφ、先端部の曲率半径が0.5mmである
ものを用いた。
【0037】(実施例)ポリエチレンフィルムとして、
三井石油化学工業製ハイゼックスミリオン240M(粘
度平均分子量3.5×106 、密度0.935g/cm
3 )の押出し成形フィルム(厚さ30μm)を用いた。
このフィルムを1軸延伸機にセットし、所定の温度の膨
潤溶媒浴に1分間浸漬した後、300%/分の延伸速度
で所定の倍率まで延伸した。延伸終了後直ちに、延伸さ
れた寸法を保持した状態で、膨潤溶媒で膨潤したポリエ
チレンフィルムを、25℃の置換溶媒浴に所定時間浸漬
した。その後、フィルムを置換溶媒浴から取り出し延伸
された寸法を保持した状態のまま風乾した後、115℃
恒温器中で5分間ヒートセットを行った。
【0038】上記の方法によって、膨潤溶媒、延伸温
度、延伸倍率、置換溶媒および置換溶媒浴浸漬時間を表
1に示すように種々に変化させ、7種のポリエチレン多
孔膜(試料No.1〜7)を得た。
【0039】(比較例1)延伸後のフィルムの置換溶媒
浴への浸漬を行わないこと以外は、実施例と同様の方法
で2種のポリエチレン多孔質膜(試料No.8および
9)を得た。なお、膨潤溶媒、延伸温度および延伸倍率
は各々表1に示す通りである。
【0040】(比較例2)Tダイ押し出しにより作製し
た高密度ポリエチレン(粘度平均分子量1×10 5 、密
度0.961g/cm3 )のフィルム(厚さ100μ
m)を90℃のキシレンに60秒間浸漬した後、300
%/分の延伸速度で延伸倍率200%まで延伸した。延
伸終了後、風乾によりキシレンを除去し、その後、11
5℃恒温器中で5分間ヒートセットを行いポリエチレン
多孔膜(試料No.10)を得た。
【0041】(比較例3)延伸終了後、フィルムを風乾
する前に、ポリエチレンフィルムをキシレンで膨潤した
状態のまま25℃の置換溶媒浴へ60秒浸漬したこと以
外は比較例2と同様にしてポリエチレン多孔質膜(試料
No.11)を得た。なお、置換溶媒にはエタノールを
用いた。
【0042】(比較例4)高密度ポリエチレン(粘度平
均分子量1×105 、密度0.961g/cm3)を2
20℃でTダイ押し出しによりフィルム状に成形し、1
20℃で24時間熱処理を行い、その後、ロール延伸機
により、まず30℃で延伸倍率100%まで延伸した
後、更に115℃で延伸倍率200%まで延伸しポリエ
チレン多孔膜(試料No.12)を得た。
【0043】上記のようにして得た試料No.1〜9の
多孔質膜について、空孔率および電気抵抗を測定した結
果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1に示すように、膨潤溶媒に接触させな
がら延伸した後、置換溶媒に浸漬することにより、電気
抵抗の小さい多孔質膜とすることができる。
【0046】次に、試料No.1〜3および10〜12
の多孔質膜について、突き刺し強度を測定した結果を表
2に示す。
【0047】
【表2】 試料 単位厚さ当たりのNo. 突き刺し強度(N/μm) 1 0.28 2 0.30 3 0.31 10 0.11 11 0.1312 0.19
【0048】表2に示すように、本発明の製造方法で作
製された多孔膜は、通常の分子量の高密度ポリエチレン
を使用したものに比べて高い突き刺し強度を有する。
【0049】
【発明の効果】本発明のポリエチレン多孔質膜は、超高
分子量ポリエチレンを主成分とし、空孔率が15〜75
%、単位厚さ当たりの突刺し強度が0.25N/μm以
上、電解液中における単位厚さ当たりの電気抵抗が10
0mΩ・cm2 /μm以下としたことにより、非水電解
液電池用セパレータとして使用したとき、良好な電池特
性を確保しながら電池の内部短絡を低減することができ
る。
【0050】また、本発明の製造方法によれば、超高分
子量ポリエチレンを主成分とするポリエチレンフィルム
を膨潤溶媒に接触させながら延伸し、膨潤した状態のポ
リエチレンフィルムを置換溶媒に接触させた後フィルム
に残存する溶媒を低減することにより、従来の延伸方法
では十分な多孔化が困難であった超高分子量ポリエチレ
ンを十分な空孔率にまで多孔化することができるため、
上記のような低い電気抵抗と高い突刺し強度を有する多
孔膜を作製する方法として好適である。また、製造に使
用する溶媒として易揮発性のものを使用することがで
き、多孔質膜中に溶媒が残存することを実質的に回避す
ることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均分子量が1×106 以上である
    超高分子量ポリエチレンを主成分とし、空孔率が15〜
    75%であり、かつ、単位厚さ当たりの突刺し強度が
    0.25N/μm以上であり、電解液中における単位厚
    さ当たりの電気抵抗Rt が100mΩ・cm2 /μm以
    下であることを特徴とするポリエチレン多孔質膜。但
    し、前記電気抵抗Rt は、前記電解液中に面積S(cm
    2 )、膜厚t(μm)のポリエチレン多孔質膜を浸漬し
    た状態で前記ポリエチレン多孔質膜の厚さ方向に測定し
    た電気抵抗をR1 (mΩ)、このポリエチレン多孔質膜
    がない状態で測定した前記電解液の電気抵抗をR0 (m
    Ω)としたとき、Rt =(R1 −R0)×S/tで表さ
    れる値である。
  2. 【請求項2】 粘度平均分子量が1×106 以上である
    超高分子量ポリエチレンを主成分とするポリエチレンフ
    ィルムを、ポリエチレンを膨潤させることのできる第1
    の溶媒に接触させながら少なくとも1軸方向に延伸し、
    前記第1の溶媒で膨潤した状態のポリエチレンフィルム
    を前記第1の溶媒よりもポリエチレンを膨潤させる能力
    の小さい第2の溶媒に接触させた後、ポリエチレンフィ
    ルム中に残存する溶媒を低減することを特徴とするポリ
    エチレン多孔質膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンフィルムに前記第1の溶媒
    を接触させる温度が、95〜125℃である請求項2に
    記載のポリエチレン多孔質膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の溶媒のヒルデブラント溶解度
    パラメーターが、15〜21J1/2cm-3/2である請求
    項2または3に記載のポリエチレン多孔質膜の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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