JPH11180906A - シクロデキストリン又はその誘導体の水溶液による臭化メチルの捕捉方法及び捕捉後の離脱方法並びに回収方法と回収装置 - Google Patents

シクロデキストリン又はその誘導体の水溶液による臭化メチルの捕捉方法及び捕捉後の離脱方法並びに回収方法と回収装置

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JPH11180906A
JPH11180906A JP35542697A JP35542697A JPH11180906A JP H11180906 A JPH11180906 A JP H11180906A JP 35542697 A JP35542697 A JP 35542697A JP 35542697 A JP35542697 A JP 35542697A JP H11180906 A JPH11180906 A JP H11180906A
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JP
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cyclodextrin
methyl bromide
aqueous solution
derivative
air
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JP35542697A
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English (en)
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Hiroshi Nagano
弘 永野
Kuniharu Nishizawa
邦治 西澤
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NIPPON KUNJOU GIJUTSU KYOKAI
Morikawa Sangyo KK
Original Assignee
NIPPON KUNJOU GIJUTSU KYOKAI
Morikawa Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 農産物等を収容した倉庫等においては殺菌、
殺虫等のために臭化メチルガスによるくん蒸が行われ
る。このくん蒸に用いたガスは空気と混合しているから
この混合ガスから臭化メチルを回収することを目的とし
て、シクロデキストリン又はその誘導体の水溶液による
臭化メチルの捕捉方法及び捕捉後の離脱方法、並びに回
収方法と回収装置を提供する。 【解決手段】 空気と臭化メチルの混合ガスをシクロデ
キストリン又はその誘導体の水溶液に供給し、臭化メチ
ルのみを包接、捕捉させる。この捕捉した臭化メチルを
60℃〜80℃に加熱することによって離脱させる。離
脱した臭化メチルはその一例として冷却により固体化
し、又は固体、液体の混合物として回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は倉庫における農産
物のくん蒸等の際に用いられる、シクロデキストリン又
はその誘導体の水溶液(以下シクロデキストリン水溶液
と略称する。シクロデキストリンは、シクロデキストリ
ンの外に後述するようにその誘導体が有り、これ等はす
べて同様に使用されるので、この発明においてはそれら
すべてを含むものであるが、説明の便宜上シクロデキス
トリンと略称する。)による臭化メチルの捕捉方法及び
捕捉後の離脱方法並びに回収方法と回収装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来倉庫等に収容された農産物は殺虫、
殺菌のためのくん蒸が行われる。この場合一般に臭化メ
チルのガスによって行われる。そして所定時間が経過し
たならば同くん蒸は終了し、同くん蒸の際に空気と混合
した臭化メチルガスはそのまま大気中に放出されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記のように空
気と混合した臭化メチルガスを大気中に放出することは
人畜に有害であり、特に臭化メチルがオゾン層破壊物質
であるため公害をもたらす。この発明はこのような問題
を解決するためになされたもので、その目的は上記公害
を解消するために、シクロデキストリン水溶液による臭
化メチルの捕捉方法及び捕捉後の離脱方法並びに回収方
法と回収装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するこの
発明について、まずシクロデキストリン水溶液による臭
化メチルの捕捉方法について述べるとそれは、シクロデ
キストリンの水溶液に、空気と臭化メチルの混合ガスを
供給し、前記シクロデキストリンの水溶液において、前
記臭化メチルのみを前記シクロデキストリンの水溶液に
包接して捕捉し、混合されていた空気は空気中に放出さ
れることを特徴とするシクロデキストリン水溶液による
臭化メチルの捕捉方法である。又、シクロデキストリン
の水溶液は高くとも25℃以下で低くとも5℃の温度に
保たれる前記シクロデキストリン水溶液による臭化メチ
ルの捕捉方法である。
【0005】次にシクロデキストリン水溶液による臭化
メチルの捕捉後の離脱方法について述べるとそれは、臭
化メチルを包接して捕捉したシクロデキストリン水溶液
を加熱し、該シクロデキストリン水溶液から前記臭化メ
チルを離脱させることを特徴とする、シクロデキストリ
ン水溶液による臭化メチルの捕捉後の離脱方法である。
又、シクロデキストリン水溶液の加熱は低くとも60℃
以上で、高くとも80℃の温度で行われる前記シクロデ
キストリン水溶液による臭化メチルの捕捉後の離脱方法
である。
【0006】次にシクロデキストリン水溶液による臭化
メチルの回収方法について述べるとそれは、シクロデキ
ストリン水溶液に、空気と混合した臭化メチルを供給
し、該混合ガスから臭化メチルのみを、前記シクロデキ
ストリン水溶液中に包接して捕捉し、混合していた空気
を空気中に放出させ、臭化メチルを捕捉した該シクロデ
キストリン水溶液を加熱して臭化メチルを離脱させ、該
臭化メチルを回収することを特徴とする、シクロデキス
トリン水溶液による臭化メチルの回収方法である。
【0007】又、シクロデキストリン水溶液による臭化
メチルの包接、捕捉は、シクロデキストリン水溶液を高
くとも25℃以下で低くとも5℃以上の温度において行
われ、離脱はシクロデキストリン水溶液を低くとも60
℃以上で高くとも80℃以下の温度において行われる前
記シクロデキストリン水溶液による臭化メチルの回収方
法である。又、シクロデキストリン水溶液から離脱した
臭化メチルは冷却されて固体又は固体、液体混合状態と
して回収される前記シクロデキストリン水溶液による臭
化メチルの回収方法である。
【0008】又、冷却は2段階に行なわれ、最初の段階
では含有水蒸気を氷らせて除去し、その後の段階で更に
低温とさせ、臭化メチルを固体化又は固体、液体の混合
状態とさせる前記シクロデキストリンの水溶液による臭
化メチルの回収方法である。又、シクロデキストリン水
溶液1を、上部に空間2を残して収容した少なくとも二
つ以上の複数の密閉した液槽3;前段の液槽3の前記空
間2と後段の液槽3のシクロデキストリン水溶液1を連
通させた連通管4;初段の液槽3のシクロデキストリン
水溶液1に連通して設けられた、空気、臭化メチルガス
の混合ガスの供給口5;終段の液槽3の、前記空間2に
連通して設けられた空気の放出口6;前記複数の液槽3
を一括して、又はそれぞれに所定温度にすることのでき
る温度管理装置7;前記供給口5から臭化メチル及び空
気の混合ガスを供給する供給装置8;を具備することを
特徴とするシクロデキストリン水溶液による臭化メチル
の回収装置である。
【0009】又、温度管理装置は液槽3を、高くとも2
5℃で低くとも5℃にさせることのできる装置である前
記シクロデキストリン水溶液による臭化メチルの回収装
置である。又、複数の液槽3及び温度管理装置7はそれ
ぞれ車載されている前記シクロデキストリン水溶液によ
る臭化メチルの回収装置である。又、下部に臭化メチル
と空気の混合ガスを供給する供給口5を有する、シクロ
デキストリン水溶液1を収容した降下液槽9;該降下液
槽9の下部に形成された、臭化メチルを包接、捕捉して
降下したシクロデキストリン水溶液を収容する収容部1
0;該収容部10と臭化メチルを離脱させる離脱槽11
を連通させる第一連通路12;前記離脱槽11と、熱交
換機13を介して前記降下液槽9に連通する第二連通路
14;前記降下液槽9を冷却し、前記離脱槽11を加熱
する温度装置15;前記離脱槽11に連通して設けられ
た臭化メチルの回収部16;を具備することを特徴とす
るシクロデキストリン水溶液による臭化メチルの回収装
置である。
【0010】又、回収装置16は冷却により臭化メチル
を固体又は固体、液体混合体とさせる装置である前記シ
クロデキストリン水溶液による臭化メチルの回収装置で
ある。又、温度装置15は冷凍機であり、降下液槽9を
冷却する装置は蒸発器であり、離脱槽の加熱装置は凝縮
器である前記シクロデキストリン水溶液による臭化メチ
ルの回収装置である。
【0011】
【作用】請求項1の発明は、前記のように構成され、シ
クロデキストリン水溶液に空気と混合した臭化メチルガ
スを供給すると、シクロデキストリン水溶液は臭化メチ
ルのみを包接して空気は包接しないため、何等の分離手
段を講じなくとも自動的に上記混合ガスを分離し、臭化
メチルを捕捉することができる。請求項2の発明は比較
的低温で、高温にする必要がなく、常温の近くで、シク
ロデキストリン水溶液に臭化メチルを包接させることが
できるから比較的少ないエネルギーで捕捉することがで
きる。
【0012】請求項3の発明は前記のように構成され、
臭化メチルを包接したシクロデキストリン水溶液は単に
加熱しただけで臭化メチルを離脱させることができるの
で、他の特別な手段を講じることなくきわめて容易に離
脱させることができる。請求項4の発明は前記のように
構成され、シクロデキストリン水溶液は60℃〜80℃
の範囲で加熱されることにより臭化メチルを離脱させる
ため、加熱装置を作動するだけのきわめて容易な手段で
離脱させることができる。
【0013】請求項5の発明は前記のように構成され、
臭化メチルをシクロデキストリン水溶液により捕捉、離
脱して回収するため、液体層にガスを供給するだけの簡
単な手段により公害をもたらす臭化メチルを回収でき
る。しかもシクロデキストリン水溶液の量を増加するだ
けの簡単な手段で臭化メチルの回収量を増大できる。請
求項6の発明は前記のように構成されたことにより、臭
化メチルの捕捉と離脱による回収作業を、シクロデキス
トリン水溶液の温度操作というきわめて簡単な手段で回
収することができる。
【0014】請求項7の発明は前記のように構成され、
シクロデキストリン水溶液から離脱した臭化メチルは冷
却により固体又は固体、液体混合状態とされるため、殆
ど全量を確実に、効果的に回収することができる。請求
項8の発明は前記のように構成され、冷却の最初の段階
で含有水蒸気を除去するから、その後の段階で水を含有
しない純粋の臭化メチルを得ることができる。請求項9
の発明は前記のように構成され、シクロデキストリン水
溶液1を、上部に空間2を残して収容した複数の密閉し
た液槽3を、前段の液槽3の空間2と後段の液槽3のシ
クロデキストリン水溶液1を連通管4により連通させ、
初段の液槽3の、シクロデキストリン水溶液1に空気、
臭化メチルの混合ガスの供給口5を設け、終段の液槽3
の空間2に連通する空気の放出口6を設けたことによ
り、前記混合ガスは各液槽3を直列に通過させられる結
果、シクロデキストリン水溶液1と接触する距離を充分
に長く形成されるため、殆ど完全に、確実に包接して捕
捉することができる。
【0015】請求項10の発明は前記のように構成され
たことにより、この回収装置を温度管理によって容易に
操作することができる。請求項11の発明は前記のよう
に構成されたことにより、車載の回収装置を用いて、各
所に点在する倉庫等からくん蒸に用いた臭化メチルガス
を回収することができる。
【0016】請求項12の発明は前記のように構成され
たことにより、臭化メチルを包接して捕捉したシクロデ
キストリン水溶液1は収容部10に降下するからこれを
容易に取り出すことができ、これを離脱槽11で加熱す
ることにより容易に回収することができる。又離脱槽1
1で、臭化メチルを離脱したシクロデキストリン水溶液
1は、熱交換器13で冷却して降下液槽9に供給される
ため、連続的に回収運転を行うことができる。請求項1
3の発明は前記のように構成されたことにより、シクロ
デキストリン水溶液1から離脱した臭化メチルは冷却に
より回収するため、殆ど全量を確実に回収することがで
きる。請求項14の発明は前記のように構成され、温度
装置15を冷凍機としたことにより降下液槽9の冷却
と、離脱槽11の加熱とを一つの冷凍機により行なうこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1において、3は密閉した複数
の液槽であり、内部にシクロデキストリン水溶液1を収
容させてあり、その上部に空間2が形成されている。4
は前段の液槽3の空間2と、後段の液槽3の、シクロデ
キストリン水溶液1とを連通させた連通管である。そし
て初段の液槽3においてはシクロデキストリン水溶液1
に連通して、空気と臭化メチルガスの混合ガスの供給口
5が設けられている。なお前記液槽3のそれぞれには図
1の紙背方向にバルブを有する通口が設けられているが
図には現われない。6は最終段の液槽3の上部空間2と
外部の大気とを連通する放出口である。
【0018】7は温度管理装置であり、一例として冷凍
機であって前記液槽3を収容した収納室17を所定温度
(一例として5℃〜25℃)に保つことができるように
なっている。8は供給口5から空気と臭化メチルの混合
ガスを供給する供給装置であり、一例としてポンプが用
いられている。なお18は前記各種装置を載せた車であ
り、一例として自動車である。19はポンプ、20は開
閉扉を有するハウジング、21は倉庫、22は倉庫21
の下部に設けられた、カップリング23(図に現れな
い)を有する通口、24はカップリング25を有する前
記供給装置8に連通するホースを示す。又前記連通管
4、供給口5は前記液槽3内において多数の小孔26を
有する散気部27に連通しており、同小孔26からシク
ロデキストリン水溶液1中に、前記混合ガスを放出する
ようになっている。28はこのように形成された回収設
備を示す。
【0019】倉庫21内において臭化メチルガスによる
くん蒸が終了した場合、回収設備28を設けた車18
が、そのホース24を通口22にカップリング23、2
5により接続し、供給装置8のポンプを作動させて倉庫
21内の臭化メチル、空気の混合ガスを吸引し、これを
供給口5から液槽3に供給する。混合ガスは散気部27
からシクロデキストリン水溶液1中を上昇し、その間シ
クロデキストリン水溶液1に臭化メチルのみが包接して
捕捉される。捕捉を免れた臭化メチルと空気は空間2に
達し連通管4により後段の液槽3に入り、前段同様に臭
化メチルが捕捉、回収され、以下同様の作用が繰り返さ
れ、最終段の液槽3の空間2から、前記混合ガスは殆ど
空気のみとなって放出口6から放出される。そしてこの
間温度管理装置7が作動し、前記シクロデキストリン水
溶液1を一例として20℃に保っている。なおこれは、
25℃〜5℃の範囲が最も良好に包接が行われるからで
ある。
【0020】このようにして回収された臭化メチルは車
18により運搬されて、図2に示す回収装置29にもた
らされる。そして、この場合多数の倉庫21に対して一
つの回収装置29で対応することができる。図2におい
て、9は降下液槽であり、その下部に臭化メチルを包接
して重量が増して降下する包接したシクロデキストリン
水溶液1を収容する収容部10が設けられてある。11
は前記収容部10の包接したシクロデキストリン水溶液
1を60℃〜80℃、一例として60℃に加熱して、臭
化メチルを離脱させる離脱槽である。なおこの60℃〜
80℃の温度範囲についてはこの範囲が効果的に離脱が
行われるのである。そして前記両者10、11は連通管
12により連通させられてあり、その途中に第二熱交換
器30が設けられている。31はポンプを示す。そして
同図においては離脱槽11は二つが連通して設けられて
いる。
【0021】次に15は温度装置であり、前記降下液槽
9を、これを取り巻く蛇管32により一例として20℃
とし、前記離脱槽11を一例として60℃に保てるよう
になっている。なお前記温度装置15は一例として冷凍
機であり、圧縮機33により冷媒ガスを凝縮器34で放
熱させ、膨張弁35により蒸発器36で冷却するように
なっている。13は熱交換器である。次に37はタン
ク、38は前記離脱槽11に接続した脱水槽であり、冷
凍機39に接続され、臭化メチルガス中の水分を冷却し
て分離するようになっている。16は回収部であり、前
記冷凍機39により一例として−100℃程度に冷却し
て前記臭化メチルを固体化し、又は固体、液体の混合体
とし、回収するようになっている。40は活性炭装置、
6は放出口である。
【0022】図1に示す車18で運ばれた空気混合の臭
化メチルは降下液槽9の下部の供給口5から供給され、
温度装置15により1例として20℃とされたシクロデ
キストリン水溶液1中を上昇し、その間同水溶液1に包
接され、包接して重量を増したシクロデキストリン水溶
液は収容部10に降下し、ポンプ31により離脱槽11
に送入され、ここにおいて一例として70℃に加熱さ
れ、臭化メチルはシクロデキストリン水溶液1から離脱
し、脱水槽38に至り冷却されて含有水分が氷となって
脱水され、ついで回収部16に入り一例として−100
℃とされて固化し、又は固、液混合体となって回収され
る、一方離脱槽11で臭化メチルを失ったシクロデキス
トリン水溶液1はタンク37に収容され、ポンプ31に
より送られ、第二熱交換機30で冷却され又熱交換器1
3で更に冷却され、一例として20℃となって降下液槽
9に供給される。降下液槽9の上部からは臭化メチルを
失った空気が、活性炭層40を通り放出口6から大気中
に放出される。こうして臭化メチルは回収される。
【0023】次に、この発明に関して、図3に示すよう
な装置を用いてシクロデキストリン水溶液による臭化メ
チルの包接、及び離脱の試験が行われたので、これにつ
いて説明する。まず、シクロデキストリンの特性につい
て述べると、シクロデキストリンは澱粉をアミラーゼの
一種で加水分解して得られるリング状のブドー糖が6個
以上縮合して王冠状の構造をしたものである。シクロデ
キストリンの外側にはOH基が多数出ており親水性、内
側は疎水性で、色々の有機分子はこの王冠内空洞に取り
込まれ包接錯体を形成する。このシクロデキストリンと
有機分子との包接の際の結合は物理吸着に近いもので
る。
【0024】唯、これらシクロデキストリンは水にたい
する溶解度が低いのでシクロデキストリンのOH基をグ
ルコシル基、又はマルトシル基等で置換して誘導体を形
成し水溶性を高めている。初めに臭化メチル捕捉実験に
ついて説明する。この実験ではシクロデキストリンのO
H基をグルコシル基で置換して水溶性を高めたシクロデ
キストリン誘導体を形成し、これを0.1MO1/1の
水溶液として200mlを容器に溜め、別に臭化メチル
9.5gr(0.1mol)を20lのバッグに入れ、
気化させた。このバッグから0.5l/minのわりで
臭化メチルを含む空気を室温のシクロデキストリン水溶
液に流し、このシクロデキストリン水溶液を3分毎に1
0μl採取し、液中濃度をガスクロマトグラフにて測定
した。図3に捕捉試験装置を示す。左側から41はガス
バッグ、42はシクロデキストリン水溶液容器、43は
定量ポンプ、44は流量計である。
【0025】図示しないガスクロマトグラフで溶液中の
臭化メチル濃度の時間変化を示したのが図4に示すグラ
フであり、横軸は時間(分)を示し、縦軸はガスクロマ
トグラフによる、記録用紙に現われるグラフの面積を示
している。そして同図のグラフに示されるように空気・
臭化メチルの混合気体を流しはじめて6分位の間包接捕
捉は直線的に増加するが、その後はあまり包接せず18
分以降飽和してくる。これから常にフレッシュなシクロ
デキストリン水溶液を使用することが臭化メチルを捕捉
するには重要であることが分かる。次に臭化メチル脱離
実験について説明する。シクロデキストリン水溶液に包
接捕捉された臭化メチルは、同水溶液の温度を上げると
脱離するので図3の空気の流れを逆にし、但し水溶液容
器の配管は逆につないで、その温度を70℃に保持し
た。空気を流したのは溶液を攪拌するためである。図5
は3分毎にやはり同水溶液を10μl採取して臭化メチ
ルの濃度を測り、時間と濃度の関係を示すこの図からは
20分経過したのちでもまだ僅か残存しているかに見え
る。この場合には80℃位に温度を上げればよい。
【0026】
【発明の効果】請求項1の発明は、前記のように構成さ
れ、シクロデキストリン水溶液に空気と混合した臭化メ
チルガスを供給すると、シクロデキストリン水溶液は臭
化メチルのみを包接して空気は包接しないため、何等の
分離手段を講じなくとも、自動的に上記混合ガスを分離
し、臭化メチルを捕捉することができる。請求項2の発
明は比較的低温で、高温にする必要がなく、常温の近く
で、シクロデキストリン水溶液に臭化メチルを包接させ
ることができるから比較的少ないエネルギーで捕捉する
ことができる。
【0027】請求項3の発明は前記のように構成され、
臭化メチルを包接したシクロデキストリン水溶液は単に
加熱しただけで臭化メチルを離脱させることができるの
で、他の特別な手段を講じることなくきわめて容易に離
脱させることができる。請求項4の発明は、前記のよう
に構成され、シクロデキストリン水溶液は60℃〜80
℃の範囲で加熱されることにより臭化メチルを離脱させ
るため、加熱装置を作動するだけのきわめて容易な手段
で離脱させることができる。
【0028】請求項5の発明は前記のように構成され、
臭化メチルをシクロデキストリン水溶液により捕捉、離
脱して回収するため、液体層にガスを供給するだけの簡
単な手段により公害をもたらす臭化メチルを回収でき
る。しかもシクロデキストリン水溶液の量を増加するだ
けの簡単な手段で臭化メチルの回収量を増大できる。請
求項6の発明は前記のように構成されたことにより、臭
化メチルの捕捉と離脱による回収作業を、シクロデキス
トリン水溶液の温度操作というきわめて簡単な手段で回
収することができる。
【0029】請求項7の発明は前記のように構成され、
シクロデキストリン水溶液から離脱した臭化メチルは冷
却により固体又は固体、液体混合状態とされるため、殆
ど全量を確実に、効果的に回収することができる。請求
項8の発明は前記のように構成され、冷却の最初の段階
で含有水蒸気を除去するから、その後の段階で水を含有
しない純粋の臭化メチルを得ることができる。請求項9
の発明は前記のように構成され、シクロデキストリン水
溶液1を、上部に空間2を残して収容した複数の密閉し
た液槽3を、前段の液槽3の空間2と後段の液槽3のシ
クロデキストリン水溶液1を連通管4により連通させ、
初段の液槽3の、シクロデキストリン水溶液1に空気、
臭化メチルの混合ガスの供給口5を設け、終段の液槽3
の空間2に連通する空気の放出口6を設けたことによ
り、前記混合ガスは各液槽3を直列に通過させられる結
果、シクロデキストリン水溶液1と接触する距離を充分
に長く形成されるため、殆ど完全に、確実に包接して捕
捉することができる。
【0030】請求項10の発明は前記のように構成され
たことにより、この回収装置を温度管理によって容易に
操作することができる。請求項11の発明は前記のよう
に構成されたことにより、車載の回収装置を用いて、各
所に点在する倉庫等からくん蒸に用いた臭化メチルガス
を回収することができる。
【0031】請求項12の発明は前記のように構成され
たことにより、臭化メチルを包接して捕捉したシクロデ
キストリン水溶液1は収容部10に降下するからこれを
容易に取り出すことができ、これを離脱槽11で加熱す
ることにより容易に回収することができる。又離脱槽1
1で、臭化メチルを離脱したシクロデキストリン水溶液
1は、熱交換器13で冷却して降下液槽9に供給される
ため、連続的に回収運転を行うことができる。請求項1
3の発明は前記のように構成されたことにより、シクロ
デキストリン水溶液1から離脱した臭化メチルは冷却に
より回収するため、殆ど全量を確実に回収することがで
きる。
【0032】請求項14の発明は前記のように構成さ
れ、温度装置15を冷凍機としたことにより降下液槽9
の冷却と、離脱槽11の加熱とを一つの冷凍機により行
なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示し、シクロデキストリ
ン水溶液による臭化メチルの回収設備を示す図である。
【図2】 同じくシクロデキストリン水溶液による臭化
メチルの回収装置を示す図である。
【図3】 同じく、シクロデキストリン水溶液による臭
化メチルの捕捉方法及び捕捉後の離脱方法の試験に用い
た装置を示す図である。
【図4】 図3に示す装置を用い、シクロデキストリン
水溶液による臭化メチルの捕捉試験の結果を示すグラフ
である。
【図5】 同じく捕捉後の離脱方法の試験の結果を示す
グラフである。
【符号の説明】 1 シクロデキストリン水溶液 2 空間 3 液槽 4 連通管 5 供給口 6 放出口 7 温度管理装置 8 供給装置 9 降下液槽 10 収容部 11 離脱槽 12 第一連通路 13 熱交換器 14 第二連通路 15 温度装置 16 回収部

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロデキストリン又はその誘導体の水
    溶液に、空気と臭化メチルの混合ガスを供給し、前記シ
    クロデキストリン又はその誘導体の水溶液において、前
    記臭化メチルのみを前記シクロデキストリン又はその誘
    導体の水溶液に包接して捕捉し、混合されていた空気は
    空気中に放出されることを特徴とする、シクロデキスト
    リン又はその誘導体の水溶液による臭化メチルの捕捉方
    法。
  2. 【請求項2】 シクロデキストリン又はその誘導体の水
    溶液は高くとも25℃以下で低くとも5℃の温度に保た
    れる請求項1記載のシクロデキストリン又はその誘導体
    の水溶液による臭化メチルの捕捉方法。
  3. 【請求項3】 臭化メチルガスを包接して捕捉したシク
    ロデキストリン又はその誘導体の水溶液を加熱し、該シ
    クロデキストリン又はその誘導体の水溶液から前記臭化
    メチルガスを離脱させることを特徴とする、シクロデキ
    ストリン又はその誘導体の水溶液による臭化メチルの捕
    捉後の離脱方法。
  4. 【請求項4】 シクロデキストリン又はその誘導体の水
    溶液の加熱は低くとも60℃以上で、高くとも80℃の
    温度で行われる請求項3記載の、シクロデキストリン又
    はその誘導体の水溶液による臭化メチルの捕捉後の離脱
    方法。
  5. 【請求項5】 シクロデキストリン又はその誘導体の水
    溶液に、空気と混合した臭化メチルを供給し、該混合ガ
    スから臭化メチルのみを、前記シクロデキストリン又は
    その誘導体の水溶液中に包接して捕捉し、混合していた
    空気を空気中に放出させ、臭化メチルを捕捉した該シク
    ロデキストリン又はその誘導体の水溶液を加熱して臭化
    メチルを離脱させ、該臭化メチルを回収することを特徴
    とする、シクロデキストリン又はその誘導体の水溶液に
    よる臭化メチルの回収方法。
  6. 【請求項6】 シクロデキストリン又はその誘導体の水
    溶液による臭化メチルの包接、捕捉は、シクロデキスト
    リン又はその誘導体の水溶液を高くとも25℃以下で低
    くとも5℃以上の温度において行われ、離脱はシクロデ
    キストリン又はその誘導体の水溶液を低くとも60℃以
    上で高くとも80℃以下の温度において行われる請求項
    5記載のシクロデキストリン又はその誘導体の水溶液に
    よる臭化メチルの回収方法。
  7. 【請求項7】 シクロデキストリン又はその誘導体から
    離脱した臭化メチルは冷却されて固体又は固体、液体混
    合状態として回収される請求項5、又は6記載のシクロ
    デキストリン又はその誘導体の水溶液による臭化メチル
    の回収方法。
  8. 【請求項8】 冷却は2段階に行なわれ、最初の段階で
    は含有水蒸気を氷らせて除去し、その後の段階で更に低
    温とさせて臭化メチルの固体化又は固体、液体の混合状
    態化とさせる請求項7記載のシクロデキストリン又はそ
    の誘導体の水溶液による臭化メチルの回収方法。
  9. 【請求項9】 シクロデキストリン又はその誘導体の水
    溶液1を、上部に空間2を残して収容した少なくとも二
    つ以上の複数の密閉した液槽3;前段の液槽3の前記空
    間2と後段の液槽3のシクロデキストリン又はその誘導
    体の水溶液1を連通させた連通管4;初段の液槽3のシ
    クロデキストリン又はその誘導体の水溶液1に連通して
    設けられた、空気、臭化メチルガスの混合ガスの供給口
    5;終段の液槽3の、前記空間2に連通して設けられた
    空気の放出口6;前記複数の液槽3を一括して、又はそ
    れぞれに所定温度にすることのできる温度管理装置7;
    前記供給口5から臭化メチル及び空気の混合ガスを供給
    する供給装置8;を具備することを特徴とするシクロデ
    キストリン又はその誘導体の水溶液による臭化メチルの
    回収装置。
  10. 【請求項10】 温度管理装置は液槽3を、高くとも2
    5℃で低くとも5℃にさせることのできる装置である請
    求項9記載のシクロデキストリン又はその誘導体の水溶
    液による臭化メチルの回収装置。
  11. 【請求項11】 複数の液槽3及び温度管理装置7はそ
    れぞれ車載されている請求項9又は10記載のシクロデ
    キストリン又はその誘導体の水溶液による臭化メチルの
    回収装置。
  12. 【請求項12】 下部に臭化メチルと空気の混合ガスを
    供給する供給口5を有する、シクロデキストリン又はそ
    の誘導体の水溶液1を収容した降下液槽9;該降下液槽
    9の下部に形成された、臭化メチルを包接、捕捉して降
    下したシクロデキストリン又はその誘導体の水溶液1を
    収容する収容部10;該収容部10と臭化メチルを離脱
    させる離脱槽11を連通させる第一連通路12;前記離
    脱槽11と、熱交換機13を介して前記降下液槽9に連
    通する第二連通路14;前記降下液槽9を冷却し、前記
    離脱槽11を加熱する温度装置15;前記離脱槽11に
    連通して設けられた臭化メチルの回収部16;を具備す
    ることを特徴とするシクロデキストリン又はその誘導体
    の水溶液による臭化メチルの回収装置。
  13. 【請求項13】 回収装置16は冷却により臭化メチル
    を固体又は固体、液体混合体とさせる装置である請求項
    12記載のシクロデキストリン又はその誘導体の水溶液
    による臭化メチルの回収装置。
  14. 【請求項14】 温度装置15は冷凍機であり、降下液
    槽9を冷却する装置は蒸発器であり、離脱槽11の加熱
    装置は凝縮器である請求項12又は13記載のシクロデ
    キストリン又はその誘導体の水溶液による臭化メチルの
    回収装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003516944A (ja) * 1999-12-17 2003-05-20 アグロウフレッシュ・インコーポレーテッド 植物においてエチレン応答阻害化合物の安全でしかも都合の良い貯蔵、輸送ならびに適用のための合成方法、複合体形成方法ならびに送達方法
CN112461953A (zh) * 2020-11-09 2021-03-09 山东鲁抗医药股份有限公司 一种7-氮鎓双环[2.2.1]庚烷衍生物中溴甲烷的检测方法
US11420158B2 (en) 2017-09-27 2022-08-23 The Trustees Of The Stevens Institute Of Technology Process and apparatus for alkyl halide fumigant recovery and conversion

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