JPH11180733A - 光触媒膜付きガラス - Google Patents

光触媒膜付きガラス

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JPH11180733A
JPH11180733A JP9349089A JP34908997A JPH11180733A JP H11180733 A JPH11180733 A JP H11180733A JP 9349089 A JP9349089 A JP 9349089A JP 34908997 A JP34908997 A JP 34908997A JP H11180733 A JPH11180733 A JP H11180733A
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JP
Japan
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glass
light
film
photocatalytic film
sheet
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Application number
JP9349089A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nakajima
弘 中嶋
Seiji Yamazaki
誠司 山崎
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線を人体に暴露することなく、板ガラス
の少なくとも片面の光触媒膜に光照射して光触媒膜を活
性化し、防曇機能を発揮できるようにすること。 【解決手段】 板ガラスの少なくとも片面に光触媒膜を
形成し、板ガラスの端面、または一方の面周縁部の、光
触媒膜を形成していない適宜箇所に、前記光触媒の励起
光源を、励起光が前記箇所から漏出しないように配設
し、または/および入射面を設計し、前記箇所より板ガ
ラス内に励起光を入射し、板ガラス内を繰返し全反射さ
せて板ガラス内を伝播させるようにした光触媒膜付きガ
ラス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両などの輸送機
器用や、ショウウインドウやショウケースなどの表示
用、あるいは一般建築用の窓材等として利用される板ガ
ラスにおいて、板ガラス(窓材)の少なくとも片面に光
触媒膜を形成し、それに励起光(紫外線)照射すること
により、光触媒膜を光化学的に活性化させ、板ガラス
(窓材)に付着した有機質の塵埃を分解除去したり、前
記活性化により、板ガラス(窓材)に親水性を付与し、
その一面側と他面側における温度や湿度の違いに基づく
水蒸気の露滴の発生を抑制するものあり、殊に前記励起
光(紫外線)が人体に悪影響を及ぼさないように設計し
た光触媒膜付きガラスに関する。
【0002】
【従来技術および解決すべき課題】光触媒物質(例えば
TiO2半導体)は、それが高エネルギー光(紫外線)で励
起されて、電子−正孔対が生じ、これら電子(e-)、正
孔(h+) が、その表面の吸着、付着物質を酸化還元し、
例えば有機物質は分解、酸化・還元され除去されるもの
で、光触媒物質は、吸着有機物質(疎水性物)を分解除
去して親水化し、また水が光触媒物質表面で−OHのかた
ちで化学吸着され、さらに付着する水はそれと結合して
滑らかな水膜を形成し、水の露滴すなわち曇りを防ぐも
のと考えられている。
【0003】光触媒物質を活性化するうえで励起光が必
要であり、太陽光(紫外域)も有効な活性化手段である
が、太陽光が充分に入射しない箇所においては、励起光
である紫外線を照射する必要が生ずる。ところが、紫外
線は人の目や皮膚に接すると炎症を生じさせたり、とき
に癌を発生させる等、人体の健康を害するものである。
【0004】本発明は、紫外線の照射に際して、上記弊
害を排除した光触媒膜付きガラスを提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、板ガラスの少
なくとも片面に光触媒膜を形成し、板ガラスの端面に対
して前記光触媒の励起光源を、励起光が前記端面から漏
出しないように配し、前記端面から板ガラス内に励起光
を入射し、板ガラス内を繰返し全反射させて板ガラス内
を伝播させるようにした光触媒膜付きガラスである。
【0006】また本発明は、板ガラスの少なくとも片面
に光触媒膜を形成し、板ガラスの一方の面の周縁部の光
触媒膜を形成していない適宜箇所に、前記光触媒の励起
光源を、励起光が前記箇所から漏出しないように配し、
前記箇所より板ガラス内に励起光を入射し、板ガラス内
を繰返し全反射させて板ガラスを伝播させるべく、前記
励起光の前記一方の面 X−X'における屈折角γt を設定
してなる光触媒膜付きガラスである。
【0007】なお、上記において、一方の面 X−X'に対
する入射励起光の屈折角γt が、41.8°以上になるよう
に励起光入射条件を調整するものである。
【0008】更に、励起光の入射箇所のガラス面を、上
記一方の面 X−X'に対して傾斜させた面とするのがよ
い。
【0009】また、前記いずれのケースにおいても、励
起光の入射箇所に、光導入ホログラム、またはプリズム
を添設し、それら光導入ホログラム、またはプリズムを
介して励起光を入射するようにすることもできる。
【0010】加えて、前記いずれのケースにおいても、
光触媒膜と板ガラスとの間に、該光触媒膜より屈折率の
低い透明酸化物の膜を介在させるのもよい。
【0011】
【発明の実施の形態および実施例】先述した如く、本発
明は車両などの輸送機器用や、ショウウインドウやショ
ウケースなどの表示用、あるいは一般建築用の窓材等と
して利用される板ガラスの少なくとも片面に光触媒膜を
形成するものである。特に自動車や鉄道車両等の窓や、
厨房、浴室等の窓においては、室内側の水分(水蒸気)
の篭もり易い側のガラス面に、水滴の付着による曇りが
発生し易い。このようなケースにおいては、ガラス板片
面に光触媒膜を形成すれば、曇りを除去できる。
【0012】勿論、ガラス板両面に光触媒膜を形成する
場合は、いずれの面に曇りが生じても、曇りの除去が可
能となる。
【0013】I. 励起光を板ガラス端面から入射する実
施形態および実施例 図1は、本発明における励起光を板ガラス端面から入射
する形態を示した概略断面図であり、図1Aは励起光源
としてランプ5を用いた態様、図1Bは励起光を光ファ
イバーを介し光照射部5’より照射する態様を示した。
【0014】板ガラス1としては、アルミノ珪酸アルカ
リ系ガラス、アルカリ珪酸系ガラス、硼珪酸系ガラス、
ソーダ石灰シリカ系ガラスを含むアルカリ石灰珪酸系ガ
ラスなど、あるいはそれらの強化ガラス等があるが、1
例としてフロート法により製板したソーダ石灰系の板ガ
ラス1を採用する。
【0015】前記板ガラス1の片面には、光触媒物質よ
りなり、あるいは光触媒物質を主体とする膜(光触媒
膜)3を形成し、他方の面9には、光触媒膜は形成して
いない。
【0016】なお、板ガラス1は表裏面が平行なガラス
であるから、板ガラスの片面に配した光触媒膜3は、板
ガラスの他方の面9と平行しており、また、板ガラスの
端面4(帯状に連続生産される板ガラスの切断面)を表
裏面と直交させる(表裏面と直角に切断する)ことも当
然のことである。
【0017】図1Aにおいて、光源5は板ガラスの端面
4の例えば上方に配置され、ランプシェード6に覆わ
れ、励起光2が外に漏出しないようにする。図1Bにお
いては、光源からの励起光を、凸レンズや凹面鏡等の集
光手段を介して光ファイバーに導入し(図示せず)、該
光ファイバーを介して光照射部5’より照射するように
したもので、同様にシェード6により励起光2の漏出を
防ぐ。このケースにおいては、太陽光等、別箇所に配し
た紫外線光源を利用でき、また、図1Aのランプ5を用
いる場合に比べ光発散(照射)スペースをコンパクトに
設計できるという利点を有する。
【0018】励起光2(以下単に光という)は、前記光
触媒膜を構成する光触媒物質を励起し、活性化する光を
いい、好適例としては、光触媒物質として最適なアナタ
ーゼ(アナターゼを混在した複合物質も含む)を活性化
するうえで効果的な波長域 320〜 390nm程度の紫外光を
含む光をいう。
【0019】光源5より発散し、または光照射部5’よ
り照射して、板ガラスの端面4に入射し、板ガラス1の
内を伝搬する光2は、図示のごとく板ガラスの他方の面
9と、光触媒膜3との間で入・反射を繰返し、また光触
媒膜3は光2により励起されて親水作用を呈する。
【0020】その間、光2はガラスに吸収され、また光
触媒膜3を活性化するために減衰する。光2が光触媒膜
3の全面にゆき渡るようにするためには、板ガラス1の
サイズや光触媒膜3の膜付面積を勘案し、初期の光強度
を設計するものであるが、それは設計者の適宜設計事項
である。
【0021】例えば、後述実施例1に示すようなサイズ
の光触媒膜付き板ガラスにおいて、図1Bに示す如く、
光照射部5’より、光を板ガラス端面4に対し斜め入射
させ(光2を直に対向端面4’に放出しないようす
る)、かつ板ガラスの端面4での光強度が20mW/cm2
なるごとく配置設計し、光2が光触媒膜3と板ガラス他
方の面9との間の繰返し反射のみによって、板ガラスの
上下長さ 455mmにおける対向端面4’に達するようにし
て、該対向端面4’での光2の漏出を検査したところ5
mW/cm2 以上の光が検知され、光エネルギーがガラス中
に吸収され、また光触媒膜によって吸収され、減衰して
も、なお、余剰の光エネルギーが検知され、光触媒膜全
体が万遍なく活性化されることが伺える。
【0022】図2は、板ガラスへの光の入射(屈折)、
反射経路を示した拡大部分断面図であり、この図を参照
して、板ガラスの端面4への入射光2が板ガラス1内で
全反射する条件を説明する。なお、図中記号は以下のと
おりである。 αi :空気/板ガラス端面の界面での入射角 αt :空気/板ガラス端面の界面での屈折角 βi :板ガラス/光触媒膜の界面での入射角 βt :板ガラス/光触媒膜の界面での屈折角 θi :光触媒膜/空気の界面での入射角 θt :光触媒膜/空気の界面での屈折角 n0 :空気の屈折率(1.00) n1 :板ガラスの屈折率(1.53) n2 :光触媒膜(アナターゼ)の屈折率(2.15) 注1:屈折率はいずれも光触媒膜の励起波長域(320nm
〜390nm)での屈折率である。注2:板ガラスの屈折率は
ソーダ石灰系ガラスの組成にもよるが殆どが1.53前後で
ある。
【0023】I-1. 光触媒膜/空気空間界面で全反射さ
せる入射角度について 板ガラスの端面4から光2を入射させて、板ガラス1の
表裏面の外に光2を漏出することなく光触媒膜3を励起
させるには、板ガラス片面に設けた光触媒膜3と空気a
の界面で、また、板ガラスの他方の面9と空気aとの界
面で、光2を全反射させる必要がある。
【0024】まず光2が光触媒膜3から漏出しない、す
なわち光触媒膜/空気空間界面で全反射させる入射角
は、スネルの式から求めることができる。なお、空気/
光触媒膜/板ガラス/空気それぞれの界面は、全て平行
であり、これらの面は光を入射させる板ガラスの端面と
直交することを前提とする。
【0025】光触媒膜/空気の界面での入射角θiは、
下記[式1]であらわされる。 θi = sinー1[(n0/n2)sin θt] (界面で全反射させるためのθtは90°の故) = sinー1(n0/n2) −−−−−[式1] すなわち光触媒膜/空気の界面での入射角θi ≧ sinー1
(n0/n2) であれば全反射し、空気空間に漏出するこ
とはない。
【0026】<<前記光触媒膜/空気空間で全反射するた
めの入射角θi を得るための板ガラス/光触媒膜界面で
の入射角について>>板ガラス/光触媒膜界面での入射角
βi は下記式より得られる。 βi = sinー1[(n2/n1)sin βt] (βt =θi である故、[式1]を代入する) = sinー1[(n2/n1)sin θi ] = sinー1[(n2/n1)(n0/n2)] = sinー1(n0/n1) −−−−−[式2] =41.8 すなわち、光触媒の屈折率如何にかかわらず、板ガラス
/光触媒膜界面での入射角βi ≧ 41.8°であれば、前
記光触媒膜/空気空間界面で全反射することになる。
【0027】<<前記板ガラス/光触媒膜界面での入射角
βi を得るための板ガラスの端面への光入射角について
>>空気空間/板ガラス端面の界面での入射角αi は以下
の式より得られる。 αi = sinー1 [(n1/n0)sin αt] (前提条件より、αt=90.0−βi ) = sinー1 [(n1/n0)cos βi] −−−−−[式3] ところで、βi =41.8°の故、 sinαi ≦1.14となり、
いかなる板ガラス端面での入射角αi においても、光触
媒膜側において全反射が生ずることになる。
【0028】また、この結果から、板ガラスの片面のみ
ならず、両面に光触媒膜を設けた場合においても入射角
αi の如何にかかわらず、全反射することが分かる。
【0029】I-2. 板ガラスの他方の面/空気空間界面
で全反射させる入射角度について 前記のとおり、光触媒の屈折率如何にかかわらず、板ガ
ラス/光触媒膜界面での入射角βi ≧41.8°であれば、
光触媒膜/空気空間界面で全反射することになる。すな
わち、光触媒膜の屈折率が板ガラスと同等であろうと、
或いは空気と同等であろうと、βi ≧41.8°であれば全
反射することになり、換言すれば、光触媒膜を形成しな
い板ガラスの他方の面でも、βi ≧41.8°であれば全反
射することになる。更に前記βi ≧41.8°の場合、前記
のとおり板ガラス端面への入射角αi において sinαi
≦1.14となり、いかなる入射角αi においても、板ガラ
スの他方の面側において全反射が生ずることになり、光
は光触媒膜から漏出しない。
【0030】以上より、板ガラスの光触媒膜側、および
光触媒膜非形成面側いずれにおいても、板ガラスに対面
する人物が紫外線の暴露から回避できるものである。
【0031】なお、現実には、膜の表面が基板の板ガラ
スと完全に平行にはならない。平行からのずれをあらわ
す端的な物性値としてヘーズ値があり、該ヘーズ値は膜
面に垂直入射した光の散乱光と全透過光の強度比として
あらわされる。
【0032】光触媒膜が板ガラスと完全に平行である時
に、光触媒膜/空気界面で、全反射が生じる条件におい
て、前記垂直入射光により測定した膜のヘーズ値が 0.5
%ならば、光触媒膜/空気の界面で臨界角より小さい角
度で斜め入射する光が存在し、その光は系外、すなわち
空気中に漏出する。その量は、多くとも 0.5%であり、
その程度の光量なら人体に対する影響は僅少と推察され
る。
【0033】実際に、後述実施例で示すように、ヘーズ
値 0.5%以下であれば、紫外線検出器においても検知し
得ず、人体に対する影響も皆無と考えてよい。
【0034】光触媒膜を構成する光触媒物質としては、
アナターゼが最良の触媒活性を示すことは知られている
が、膜の強度向上、および基板ガラスとの密着性向上の
ために、シリカ、アルミナ、酸化錫、酸化ジルコニウム
等の1種以上を混在させることができる。
【0035】あるいは、板ガラスと光触媒膜との間に、
それら光触媒膜より低屈折率の膜を介在させ、また、そ
の膜厚を調整すれば、光触媒膜からの反射(二重像を生
ずる)を、光干渉により緩和することができる。
【0036】上記光触媒膜におけるアナターゼや、アナ
ターゼを含む複合金属酸化物の膜を形成するには、チタ
ン等の金属アルコキシドや、チタン等の金属アセチルア
セトナート等を出発原料とする酸化物ゾル溶液を加熱基
板に塗布し、加熱焼成するゾルゲル法や、同様な金属化
合物蒸気を加熱基板に吹付け、熱分解等により酸化物膜
を形成するCVD法、それら金属酸化物を物理的蒸着手
段により基板に蒸着するPVD法等が好適であり、いず
れもヘーズ値を 0.5%以下にできる。
【0037】以上は、板ガラス表面からの光の漏出を抑
えることについて述べたが、光の入射する板ガラスの端
面(図1中符号4)に対向する端面4’や、板ガラスの
側部端面からの光の漏出は、人が板ガラスに対面してい
る限り、大きな問題とはならない。上記各端部からの漏
出を抑えようとすれば、該各端部に反射性物質(ステン
レス、アルミニウム等の各種金属)や吸収性物質(セリ
アやチタニア)よりなる膜を被覆するようにすればよ
い。好適例としてはディッピング法により、板ガラスの
光入射すべき箇所を除いて光触媒物質とりなる塗膜を膜
付けし、硬化させ膜形成してもよい。また、板ガラスの
側辺や下辺をサッシ等の枠体で覆ってしまえば前記被覆
処理の必要もない。
【0038】別に、例えば図1A中符号7(破線で示
す)のように対向端面4’に反射性物質を被覆すれば、
漏出すべき光2は系内に反射されることとなり、余剰光
を再度光触媒膜の活性に有効利用できるので好都合であ
り、あるいは、図示しないが、光を板ガラスの端面4に
加え、対向する端面4’からも入射し、光触媒の活性化
をより早める等の設計も随意にできる。以下に具体的な
実施の数例を示す。
【0039】<<実施例1>>大きさ 363mm× 455mmの板ガ
ラスの片面に膜厚 153±20nmのアナターゼ型光触媒膜を
ゾルゲル成膜法で被覆した。
【0040】なお、出発原料としてはチタニウムイソプ
ロポキシドを用い、イソプロピルアルコール溶媒に溶解
させ、加水分解によりチタニアゾル溶液とし、この液
に、上下端面および光触媒膜非形成面をマスク膜被覆し
た板ガラスを浸漬したうえで、徐々に引上げて片面膜付
けし、これを乾燥して、 500℃程度に加熱焼成すること
により、アナターゼ型光触媒膜3を形成するものであ
る。このガラスのヘーズ値は、ヘーズメーターにより求
めたところ 0.3%であった。
【0041】図1Aに示すように、前記板ガラス1の長
さ 363mm、幅5mmの上下端面4、4’および他方の面9
のマスク膜を剥離し、前記上端面4を覆うごとくランプ
シェード6を配設し、中に高圧水銀灯5を配在し、上記
上端面での光強度が20mW/cm 2 になる位置に高圧水銀灯
をセッティングした。なお高圧水銀灯の発光スペクトル
は、輝線スペクトルで、波長 305nmの相対強度は75%、
357nmで95%、 395nmで67%である。
【0042】ちなみに、光2を板ガラスの上端面4より
入射し、板ガラスの光触媒膜面3および他方の光触媒膜
非形成面9から漏出する光の量を大塚電気製フォトマル
(MCPD−1100型)で測定したところ、いずれにおいても
光は検出できなかった。
【0043】別に、図1Bに示す如く、光照射部5’よ
り、光を板ガラス上端面4に対し斜め入射させ(光2を
直に対向端面4’に放出しないようする)、かつ板ガラ
スの上端面4での光強度が20mW/cm2 になるごとく配置
設計し、光2が光触媒膜3および他方の光触媒膜非形成
面9の間の繰返し反射のみによって、板ガラスの上下長
さ 455mmにおける対向(下)端面4’(図1A参照)に
達するようにして、該対向端面4’での光の漏出を検査
したところ5mW/cm2 以上の光が検知され、光エネルギ
ーがガラス中に吸収され、また光触媒膜によって吸収さ
れ、減衰しても、なお、余剰の光エネルギーが検知さ
れ、光触媒膜全体が万遍なく活性化されることが伺え
た。
【0044】実施例1として、前記図1Aの如く光源ラ
ンプ5を配した片面光触媒膜付き板ガラスと、比較例1
としての両面に光触媒膜を被覆しない素板としての板ガ
ラスの両方を、約43℃の飽和水蒸気に約3分間接触させ
た後、約40℃の乾燥器中に約10分間放置し、室温に1時
間放置し、再度最初の飽和水蒸気接触を開始するまでを
1サイクルとして、10サイクルまでの板ガラスの曇り発
生試験を実施し、各サイクルで、飽和水蒸気に約3分間
接触させる間の板ガラス片面(実施例1においては光触
媒膜面)の曇りの発生状況を目視で評価した。評価に際
しては対象としない他方の面は曇りを払拭除去した。ま
た、対比を明確にするために、実施例1、比較例1の板
ガラスとも、このテストの間、常に高圧水銀灯の光を端
面より入射した。
【0045】その結果、表1に示したように、比較例1
の板ガラスは、3サイクルからに曇りが発生したが、実
施例1の板ガラスは10サイクルの間、曇りの発生は認め
られなかった。 〔表1〕 試料 判 定 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 実施例1 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 比較例1 ○ ○ × × × × × × × × (註)○: 曇りの発生が認められない。 ×: 曇りの発生が認められた。
【0046】<<実施例2>>チタニウムテトライソプロポ
キシドにオクチレングリコールを添加した溶液を定量ポ
ンプで約 200℃に加熱されたステンレス製密封容器(蒸
発器)に注入した。該容器には、別に乾燥した窒素ガス
を通してあり、更に出口側で約 200℃の乾燥空気と混合
し、常圧CVD用ガスを調製した。
【0047】実施例1同様の板ガラスを、移送コンベア
により加熱炉内に搬送し、最高温度約 620℃程度まで昇
温し、該加熱炉より移送コンベアにより搬出直後の板ガ
ラス上面に、予め用意したCVD装置により、前記調製
ガスをCVDノズルより吹付け、アナターゼ型光触媒膜
3を成膜し、片面光触媒膜付き板ガラスを作製した。こ
のガラスの光触媒膜の膜厚は 120±25nmであり、ガラス
のヘーズ値は 0.5%であった。
【0048】これを実施例1と全く同様にランプシェー
ドを覆設した高圧水銀灯5をセッティングし、板ガラス
の光触媒膜面3、他方の光触媒膜非形成面9から漏出す
る光の量を測定したところ、いずれも光は検出できなか
った。
【0049】この板ガラスの光触媒膜3上に、ヘーズメ
ーターで測定してヘーズ値が約3%になるようにステア
リン酸を塗布し、前記高圧水銀灯で紫外線を約20分間端
面入射し、再度ヘーズ値を測定したところ、ヘーズ値が
1%以下に減少した。
【0050】なお、光触媒膜を膜付けしない前記比較例
1同様の板ガラス片面にステアリン酸を塗布し、同時間
経過後のヘーズ値をみたところ、塗布時3%のヘーズ値
は経過後も全く変化がなかった。
【0051】<<実施例3>>実施例1と同様の板ガラスを
用い、実施例1と同様で、但し出発原料としてはチタニ
ウムイソプロポキシドとシリコンテトラエトキシド(酸
化物重量換算でチタニア:シリカ=70:30)を用い、イ
ソプロピルアルコール溶媒に溶解させ、加水分解により
チタニア・シリカゾル溶液とし、この液に実施例1同様
にマスキングした板ガラスを浸漬したうえで、徐々に引
上げて片面に膜付けし、これを乾燥して、 500℃程度に
加熱焼成することにより、アナターゼ・シリカ混合光触
媒膜3を形成した。このガラスのヘーズ値は、ヘーズメ
ーターにより求めたところ 0.3%であった。
【0052】これを実施例1と全く同様にランプシェー
ドを覆設した高圧水銀灯5をセッティングし、板ガラス
の光触媒膜面3および他方の光触媒膜非形成面9から漏
出する光の量を測定したところ、光は検出できなかっ
た。
【0053】実施例2同様、この板ガラスの光触媒膜3
上に、ヘーズ値が約3%になるようにステアリン酸を塗
布し、前記高圧水銀灯で紫外線を約20分間端面入射し、
再度ヘーズ値を測定したところ、ヘーズ値が1%程度に
減少した。
【0054】なお、光触媒膜中にシリカを混在させたこ
とにより、磨耗輪による磨耗試験においてもアナターゼ
単味のものより膜が剥離し難いことが判った。
【0055】II. 励起光を板ガラス表(裏)面周縁部か
ら入射する実施形態および実施例 図3は、本発明における励起光を板ガラス表面または裏
面の周縁部から入射する形態を示した概略断面図であ
り、図3Aは光源としてランプ5を用い、プリズム8よ
り光入射した態様、図3Bは先の実施形態で示した光照
射部5’より、板ガラス表面周縁の斜断面1a'に光入射
した態様、図3Cは斜断面1a'に光導入ホログラムを介
して光入射した態様をあらわす。
【0056】板ガラス1としては、先の実施形態同様の
板ガラスを採用する。また、先の実施形態同様に板ガラ
ス1の片面には、光触媒物質よりなり、あるいは光触媒
物質を主体とする膜(光触媒膜)3を形成し、他方の面
9には、光触媒膜は形成していない。
【0057】本実施形態において、光源5は板ガラス1
の表面側(または裏面側)で、光触媒膜を施さない箇所
1a に対して配置され、ランプシェード6に覆われ、波
長320nm 〜390nm を主とする紫外線よりなる励起光(以
下光という)2が外に漏出しないようにする。
【0058】板ガラスの表面側周縁部1a から入射し、
板ガラス1の内を伝搬する光2は、図示のごとく光触媒
膜3および他方の面9の間で入・反射を繰返し、その際
光触媒膜3に照射した光により光触媒膜3が励起されて
親水作用を呈する。その間、光2はガラスに吸収され、
また光触媒膜3を活性化するために減衰する。光2が光
触媒膜3の全面にゆき渡るようにするためには、板ガラ
ス1のサイズや光触媒膜3の膜付面積を勘案し、初期の
光強度を設計するものであるが、それは設計者の適宜設
計事項であり、先の実施形態およびそれにかかる実施例
1に示したことと同様である。
【0059】図4は、板ガラスへの光の入射(屈折)、
反射経路を示した拡大部分断面図であり、この図を参照
して、板ガラスの表面側周縁部1a への入射光2が板ガ
ラス1内で全反射する条件を説明する。なお、図中記号
は以下のとおりである。 γi :空気/板ガラス表(裏)面界面での入射角 γt :空気/板ガラス表(裏)面界面での屈折角 (以下の記号は先の実施形態で示した記号と一致する) βi :板ガラス/光触媒膜の界面での入射角 βt :板ガラス/光触媒膜の界面での屈折角 θi :光触媒膜/空気の界面での入射角 θt :光触媒膜/空気の界面での屈折角 n0 :空気の屈折率(1.00) n1 :板ガラスの屈折率(1.53) n2 :光触媒膜(アナターゼ)の屈折率(2.15) 注1:屈折率はいずれも光触媒膜の励起波長域(320nm
〜390nm)での屈折率である。注2:板ガラスの屈折率は
ソーダ石灰系ガラスの組成にもよるが殆どが1.53前後で
ある。
【0060】II-1. 光触媒膜/空気空間界面で全反射さ
せる入射角度について 板ガラスの端縁部近傍の表面側1a から光2を入射させ
て、板ガラス1の表裏面の外に光2を漏出することなく
光触媒膜3を励起させるには、光触媒膜3と空気aの界
面で、光2を全反射させる必要がある。光2が光触媒膜
3から漏出しないための入射角は、先の実施形態同様ス
ネルの式から求めることができる。なお、空気/光触媒
膜/板ガラスそれぞれの界面は、全て平行であることは
先述と同様である。
【0061】光触媒膜/空気の界面での入射角θiは、
下記[式4]であらわされる。 θi = sinー1[(n0/n2)sin θt] (界面で全反射させるためのθtは90°の故) = sinー1(n0/n2) −−−−−[式4] すなわち光触媒膜/空気の界面での入射角θi ≧ sinー1
(n0/n2) であれば全反射し、空気空間に漏出するこ
とはない。
【0062】<<前記光触媒膜/空気空間で全反射するた
めの入射角θi を得るための板ガラス/光触媒膜界面で
の入射角について>>板ガラス/光触媒膜界面での入射角
βi は下記式より得られる。 βi = sinー1[(n2/n1)sin βt] (βt =θi である故、[式4]を代入する) = sinー1[(n2/n1)sin θi ] = sinー1[(n2/n1)(n0/n2)] = sinー1(n0/n1) −−−−−[式5] = 41.8 すなわち、光触媒の屈折率如何にかかわらず、板ガラス
/光触媒膜界面での入射角βi ≧41.8°であれば、前記
光触媒膜/空気空間界面で全反射することになり、ま
た、前提条件より、βi =γt (空気/板ガラス界面で
の屈折角、なお、前記界面、すなわち板ガラス表面は各
図の X−X'のラインであらわされる)であるから、屈折
角γt ≧41.8°であれば、全反射することになる。
【0063】<<前記板ガラス/光触媒膜界面での入射角
βi を得るための板ガラスの端縁近傍の表面側への光入
射角について>>空気空間/板ガラスの界面での入射角γ
i は以下の式より得られる。 γi = sinー1 [(n1/n0)sin γt] (前提条件より、γt=βi ) = sinー1 [(n1/n0)sin βi] −−−−−[式6] ところで、βi ≧41.8°であるから、入射角γi >90°
であることが必要となり、そのままでは光入射できな
い。
【0064】図3Aに示す態様においては、光入射箇所
1a において、プリズム8を添設したものであり、それ
により、容易にβi =γt ≧41.8°にでき、それにより
全反射を生じさせ、光は光触媒膜から漏出しない。従っ
て、周囲の人物が紫外線の暴露から回避できるものであ
る(上記角度は先述のように板ガラスの屈折率を1.53と
した場合の角度であるが、板ガラス組成により屈折率も
若干変動し、従って角度も些少の変動があることはいう
までもない)。前記プリズム8の角度の開き<φや、屈
折率は、前記光源1の位置も勘案して、適宜に設計する
ことができる。
【0065】別に、図3Bに示すように、板ガラス1の
光入射箇所を、板ガラス端面にかけて薄くなるように傾
斜させた面1a'とし、光入射するようにすれば、見掛上
の板ガラス表面 X−X'ラインに対して前記屈折角γt ≧
41.8°にできるので、上記同様、光は光触媒膜から漏出
しない。
【0066】なお、光源部5’としては、太陽光や、別
箇所に配した紫外線光源からの光を集光し、光ファイバ
ーにより該光源部5’に伝送し、光入射させる等の設計
ができる。
【0067】さらに、図3Cにおいては、上記同様板ガ
ラス1の光入射箇所を傾斜させた面1a'とし、該部に公
知の、反射光を屈折角41.8°以上の所望の角度になるよ
うに回折させる光導入ホログラムよりなるシート8’を
添着すれば、所望の屈折角を得ることができる。
【0068】なお、上記結果から、板ガラスの片面のみ
ならず、両面に光触媒膜を設けた場合においても屈折角
41.8°以上となるように設計すれば、光は全反射するこ
とが分かる。
【0069】II-2. 板ガラスの他方の面/空気空間界面
で全反射させる入射角度について 前記のとおり、光触媒の屈折率如何にかかわらず、板ガ
ラス/光触媒膜界面での入射角βi ≧41.8°であれば、
光触媒膜/空気空間界面で全反射することになる。すな
わち、光触媒膜の屈折率が板ガラスと同等であろうと、
或いは空気と同等であろうと、βi ≧41.8°であれば全
反射することになり、換言すれば、光触媒膜を形成しな
い板ガラスの他方の面でも、βi ≧41.8°であれば全反
射することになる。更に前記同様、βi =γt(屈折角)
≧41.8°となるように入射方式を設計すれば、板ガラス
の他方の面側において全反射が生ずることになり、光は
該面から漏出しない。
【0070】以上より、板ガラスの光触媒膜側、および
光触媒膜非形成面側いずれにおいても、板ガラスに対面
する人物が紫外線の暴露から回避できるものである。
【0071】なお、先の実施形態同様、膜の表面が基板
の板ガラスと完全に平行にはならず、ヘーズが生ずる
が、ヘーズ値は、多くとも 0.5%であり、その程度の光
量なら紫外線検出器においても検知し得ず、人体に対す
る影響も皆無と考えてよい。
【0072】また、先の実施形態同様、光触媒膜を構成
する光触媒物質としては、アナターゼが最良の触媒活性
を示すことは知られているが、膜の強度向上、および基
板ガラスとの密着性向上のために、シリカ、アルミナ、
酸化錫、酸化ジルコニウム等の1種以上を混在させるこ
とができ、あるいは、板ガラスと光触媒膜との間に、そ
れら光触媒膜より低屈折率の膜を介在させ、また、その
膜厚を調整すれば、光触媒膜からの反射(二重像を生ず
る)を、光干渉により緩和することができる。
【0073】更に、上記光触媒膜におけるアナターゼ
や、アナターゼを含む複合金属酸化物の膜を形成するう
えで、チタン等の金属アルコキシド等を出発原料とする
ゾルゲル法や、同様な金属化合物蒸気によるCVD法、
それら金属酸化物を物理的蒸着手段により基板に蒸着す
るPVD法等(いずれもヘーズ値を 0.5%以下)が好適
であることも、先の実施形態同様である。
【0074】加えて、板ガラスの端面4' や、板ガラス
の側部端面からの光の漏出を抑えるうえで、該各端部に
反射性物質や吸収性物質よりなる膜を被覆したり、サッ
シ等の枠で覆ったりする等先の実施形態例同様の、設計
工夫ができる。以下に具体的な実施の数例を示す。
【0075】<<実施例4>>実施例1同様の、 363mm× 4
55mm×5mm(厚)のサイズからなる板ガラス1におい
て、光触媒膜非形成の他方の面9の一周縁部1a(幅10m
m)から光入射するようにし、片面に膜厚 153±20nmの
アナターゼ型光触媒膜3をゾルゲル成膜法で被覆した。
【0076】すなわち実施例1同様に、チタニウムイソ
プロポキシドのイソプロピルアルコール溶液について、
加水分解によりチタニアゾル溶液とし、この液に光触媒
膜非形成部分をマスク膜被覆した板ガラスを浸漬したう
えで、徐々に引上げて片面膜付けし、これを乾燥して、
500℃程度に加熱焼成することにより、アナターゼ型光
触媒膜を形成した。このガラスのヘーズ値は、ヘーズメ
ーターにより求めたところ 0.3%と実施例1同様であっ
た。
【0077】この板ガラスの長さ 363mm、幅10mmの、マ
スク膜を剥離した他方の面9の1周縁部1a に、板ガラ
スと同屈折率のプリズム8を添設し、それを覆うごとく
ランプシェードを配設し、中に高圧水銀灯5を配在し、
上記プリズム8の光入射表面での光強度が20mW/cm2
なる位置に高圧水銀灯をセッティングした。
【0078】ちなみに、上記高圧水銀灯から光入射し、
板ガラス片面の光触媒膜3および他方の光触媒膜非形成
面9から漏出する光の量を大塚電気製フォトマル(MCPD
−1100型)で測定したところ、いずれにおいても光は検
出できなかった。
【0079】先の実施例1と全く同様に、上記片面光触
媒膜付き板ガラスを約43℃の飽和水蒸気に約3分間接触
させた後、約40℃の乾燥器中に約10分間放置し、室温に
1時間放置し、再度最初の飽和水蒸気接触を開始するま
でを1サイクルとして、10サイクルまでの曇り発生試験
を実施し、各サイクルで、飽和水蒸気に約3分間接触さ
せる間の曇りの発生状況を目視で評価した。なお、本実
施例4の板ガラスはこのテストの間、常に高圧水銀灯の
光をプリズム8を介して入射した。
【0080】その結果、本実施例の板ガラスは、10サイ
クルの間、曇りの発生は認められず、先の実施例1同様
の効果が認められた。
【0081】<<実施例5>>チタニウムテトライソプロポ
キシドにオクチレングリコールを添加した溶液を定量ポ
ンプで約 200℃に加熱されたステンレス製密封容器(蒸
発器)に注入した。該容器には、別に乾燥した窒素ガス
を通してあり、更に出口側で約 200℃の乾燥空気と混合
し、常圧CVD用ガスを調製した。
【0082】実施例4同様の板ガラスを移送コンベアに
より加熱炉内に搬送し、最高温度約620℃程度まで昇温
し、該加熱炉より移送コンベアにより搬出直後に、板ガ
ラス上面に予め用意したCVD装置により、前記調製ガ
スをCVDノズルより吹付け、アナターゼ型光触媒膜を
成膜した。このガラスの膜厚は 120±25nmであり、ガラ
スのヘーズ値は 0.5%であった。
【0083】これを実施例4と全く同様に、光触媒膜非
形成面の周縁部1a にプリズムを配置し、ランプシェー
ドを覆設した高圧水銀灯をセッッティングした。実施例
4同様に、上記片面光触媒膜付き板ガラスを約43℃の飽
和水蒸気に約3分間接触させた後、約40℃の乾燥器中に
約10分間放置し、室温に1時間放置し、再度最初の飽和
水蒸気接触を開始するまでを1サイクルとして、10サイ
クルまでの曇り発生試験を実施し、各サイクルで、飽和
水蒸気に約3分間接触させる間の曇りの発生状況を目視
で評価した。なお、この板ガラスはこのテストの間、常
に高圧水銀灯の光をプリズム8を介して入射した。
【0084】その結果、本実施例5の板ガラスは、10サ
イクルの間、曇りの発生は認められず、実施例4同様の
効果が認められた。
【0085】なお、上記各実施形態および実施例によれ
ば、板ガラスが接着剤層を介在させた合せガラスであっ
て、その一方のガラスの外側面に光触媒膜を形成した場
合、あるいは両方のガラスの外側面に光触媒膜を形成し
た場合も、本発明の範疇であることは、いうまでもな
い。
【0086】また、ガラス自体に少量のCeO2やTiO2等を
混在させ、通常のガラスより太陽光における紫外域の吸
収率を増大した、いわゆる紫外線吸収ガラスがあるが、
その吸収に充分打ち克つ光(紫外線)を照射するように
すればよい。
【0087】更に、車両用ガラスなどの例としては、平
板状の板ガラスに限らず、曲率半径の大きい曲げガラス
が多く採用されるが、その一方の面、あるいは両方の面
に光触媒膜を形成した場合においても、本発明に基づく
ところの適宜設計事項に過ぎない。
【0088】すなわち、曲げガラス、強化ガラス、合せ
ガラス、紫外線吸収ガラスのいずれか、または全ての組
合せにおいても、本発明の範疇にあるものである。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、紫外線を人体に暴露す
ることなく、板ガラス片面または両面の光触媒膜に照射
し、光触媒膜を活性化でき、満足し得る防曇機能を発揮
できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態における光触媒膜付き板ガラスの断
面図であり、図1Aは光源ランプから光入射した態様、
図1Bは光照射部から光入射した態様をあらわす。
【図2】図1にかかる板ガラス端面より光入射した例の
拡大部分断面図である。
【図3】他の実施形態における光触媒膜付き板ガラスの
断面図であり、図3Aは光源ランプよりプリズムを介し
光入射した態様、図3Bは光照射部より、板ガラス表面
周縁の斜断面に光入射した態様、図3Cは斜断面に光導
入ホログラムを介して光入射した態様をあらわす。る。
【図4】図3にかかる板ガラスの表(裏)面の周縁部よ
り光入射した例の拡大部分断面図である。
【符号の説明】
1 板ガラス 1a 板ガラスの一表面周縁部 1a' 傾斜させた面 2 光(励起紫外線) 3 光触媒膜 4 板ガラスの一端面 5 光源(ランプ) 5’ 光照射部 8 プリズム 8’ 光導入ホログラムよりなるシート 9 板ガラスの他方(光触媒膜非形成)の面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F21V 8/00 601 F21V 8/00 601A 19/00 310 19/00 310Z // F21V 3/04 3/04 D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板ガラスの少なくとも片面に光触媒膜を形
    成し、板ガラスの端面に対して前記光触媒の励起光源
    を、励起光が前記端面から漏出しないように配し、前記
    端面から板ガラス内に励起光を入射し、板ガラス内を繰
    返し全反射させて板ガラス内を伝播させるようにしたこ
    とを特徴とする光触媒膜付きガラス。
  2. 【請求項2】板ガラスの少なくとも片面に光触媒膜を形
    成し、板ガラスの一方の面の周縁部の、光触媒膜を形成
    していない適宜箇所に、前記光触媒の励起光源を励起光
    が前記箇所から漏出しないように配し、前記箇所より板
    ガラス内に励起光を入射し、板ガラス内を繰返し全反射
    させて板ガラス内を伝播させるべく、前記励起光の前記
    一方の面 X−X'における屈折角γt を設定してなること
    を特徴とする光触媒膜付きガラス。
  3. 【請求項3】一方の面 X−X'に対する入射励起光の屈折
    角γt が、41.8°以上になるように励起光入射条件を調
    整したことを特徴とする請求項2記載の光触媒膜付きガ
    ラス。
  4. 【請求項4】励起光の入射箇所のガラス面を、一方の面
    X−X'に対して傾斜させた面としたことを特徴とする請
    求項2または3記載の光触媒膜付きガラス。
  5. 【請求項5】励起光の入射箇所に、光導入ホログラム、
    またはプリズムを添設し、それら光導入ホログラム、ま
    たはプリズムを介して励起光を入射するようにしたこと
    を特徴とする請求項1ないし4記載の光触媒膜付きガラ
    ス。
  6. 【請求項6】光触媒膜と板ガラスとの間に、該光触媒膜
    より屈折率の低い透明酸化物の膜を介在させたことを特
    徴とする請求項1ないし5記載の光触媒膜付きガラス。
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