JPH11177356A - 広帯域増幅器 - Google Patents

広帯域増幅器

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JPH11177356A
JPH11177356A JP9346758A JP34675897A JPH11177356A JP H11177356 A JPH11177356 A JP H11177356A JP 9346758 A JP9346758 A JP 9346758A JP 34675897 A JP34675897 A JP 34675897A JP H11177356 A JPH11177356 A JP H11177356A
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JP
Japan
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amplifier
stage
output
circuit
input
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JP9346758A
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English (en)
Inventor
Shinji Mitsuya
伸司 三矢
Masaru Ozaki
勝 尾崎
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な段間整合回路を要することなく、回路
設計が容易で、小型化が可能な広帯域増幅器。 【解決手段】 入出力整合機能を有する複数個の広帯域
な単位増幅器20と、電力分配器30と、電力合成器4
0とを基本回路としてシングルエンド型の2段の広帯域
増幅器を構成し、この2段の広帯域増幅器をカプラ2,
3間に2対並列接続することによって、シングルエンド
型を構成する広帯域な単位増幅器20の帯域をほぼその
まま維持しつつ、利得が約2倍となるバランス型の2段
増幅器を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波、特に、5
GHz以上の準ミリ波、ミリ波帯の無線通信システムに
用いられる広帯域増幅器に関するものであり、特に、送
信部最終段に用いられる電力増幅用のMMIC(Monol
ithic Microwave IC)回路により構成された広帯域
増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報通信の高速化、多様化に伴い
民生用途のデジタル無線通信に5GHz以上の準ミリ波
ないしミリ波の利用が提案、実施されている。
【0003】ミリ波帯、準ミリ波帯で汎用として使える
広帯域のMMIC電力増幅器は、量産効果による低コス
ト化の観点から、より望ましい。この観点から、広帯域
のMMIC電力増幅器の回路構成の提案が近年盛んであ
る(例えば、IEEE、Microwave and Milimeter−
Wave Monolithic Circurt Simposium digest 、1
996年、p.29〜32)。
【0004】一般に、広帯域のMMIC電力増幅器の回
路構成は、(1)分布型、(2)シングルエンド型、
(3)バランス型のいずれかに分類できる。
【0005】このうち(1)の分布型の回路の場合は、
電力増幅器に応用するにあたっては増幅器の帯域の高い
方の端の周波数を決めた時点で、実はFETの総ゲート
幅が決定されてしまうため、出力が制限されるという問
題点がある。
【0006】特に、ミリ波帯の電力増幅器として使用す
る場合には、例えば40GHzを高い方の端の周波数と
した場合、トランジスタとして高性能な、InGaAs
−PHEMTを用いた場合でも、この制限により、およ
そ15から17dBm程度が出力限界となってしまう。
【0007】一方、(2)のシングルエンド型の回路に
は、様々な回路構成があり、そのような出力限界の問題
は存在しない。しかしながら、広帯域増幅器の性能とし
て、帯域内での出力電力だけでなく、入出力の良好なV
SWR(Voltage StandingWave Ration :入出力端
子での不整合による反射の度合いを示す)が帯域内全て
の周波数に要求されている場合には、(3)のバランス
型の方が容易に、かつ、より良好なVSWRが一般に達
成可能であることは従来からよく知られている事実であ
る。
【0008】(3)のバランス型の回路においては、V
SWRの改善効果の他にも、送信器相互変調特性の大き
な改善効果のあることが、理論、実験の両面で近年知ら
れており(例えば、H.Hayashi他、IEICE、Tra
nsaction on Electronics、E80−C、No.6、1
997年、p.768 〜781 )、QPSK(Quardrature
Phase Shift Keying )や16QAM(Quardra
ture Amplitude Modulation )等の良好な線形性の
要求されるデジタル高速無線通信用途の電力増幅器に
は、この点からも(3)のバランス型が優れている。な
お、バランス型の増幅器は良く知られているように、シ
ングルエンド型の増幅器を2つ並列に配し、入力分配、
出力合成のためのカプラ(90度3dB方向性結合器)
で結合して構成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】準ミリ波、ミリ波帯の
広帯域のMMIC電力増幅器は、実用上十分な利得を実
現するために、一般に2段以上の増幅器が望ましく、こ
のような観点からも、前述した(2)のシングルエンド
型や(3)のバランス型の回路が優れている。
【0010】しかし、シングルエンド型やバランス型の
2段増幅器における段間整合回路は、初段トランジスタ
への出力整合機能を与えながら、同時に、後段トランジ
スタへの入力整合機能を実現するものである。このよう
な段間整合回路を用いて広帯域増幅器を構成する場合、
それら2つの整合機能のいずれをも同時に広帯域化し、
かつ、初段、後段それぞれの増幅器の帯域を広くする必
要があるため、段間整合回路の設計がかなり複雑化す
る。
【0011】さらに、広帯域の2段増幅器の段間整合回
路の設計では、初段、後段の増幅器の帯域を重ねること
により、2段増幅器としての利得を大きくすることも必
要であり、1段のみの広帯域増幅器の場合に比べて格段
の複雑さが段間整合回路の構成において存在する。
【0012】ここで、段間整合回路を用いて広帯域の2
段増幅器を構成する場合の問題点を具体例を挙げて説明
する。
【0013】図14は、カスケードによる2段増幅器の
例である。入力整合回路101とトランジスタ102と
出力整合回路103とによって、1段目の増幅回路を構
成している。入力整合回路104とトランジスタ105
と出力整合回路106とによって、2段目の増幅回路を
構成している。この場合、1段目の出力整合回路103
と2段目の入力整合回路104とを直結した回路によっ
て、段間整合回路100が構成される。
【0014】一般に、広帯域の2段増幅器を構成する場
合、段間整合回路は、周波数依存性のない端子、例えば
50オーム端子に対して、50オームからの不整合の度
合いをある限度以下に抑える形で設計される。
【0015】しかし、図14のように、1段目の出力整
合回路103と2段目の入力整合回路104とを直結す
ると、段間整合の良否は、双方のインピーダンスに対す
る共役整合としての良否となり、各50オームに対して
もっていた整合の良否とは異なってしまう。その結果、
段間整合によって、増幅器の帯域は大幅に狭まれてしま
い、著しい場合では50%以上の帯域幅の縮小が起こっ
てしまい、広帯域の2段増幅器として構成することがで
きなくなる。
【0016】そこで、段間整合回路100の内部回路を
調整あるいは大幅に変更して広帯域の2段増幅器を構成
しようとすると、その段間整合回路100を構成する
L、C、R等の受動素子数が増加し、結果として、回路
が複雑化、大型化するという問題が生じる。
【0017】また、段間整合回路100を用いて広帯域
化する場合、1段目の回路への出力整合と2段目の回路
への入力整合との両方が満足された帯域だけが増幅器の
有効帯域となるため、折角、広帯域の入力整合回路や出
力整合回路ができたとしても、増幅器の帯域が、段間整
合回路100の帯域によって制限される。
【0018】このような帯域の制限を避けるために、比
較的帯域の狭い段間整合回路を複数段重ねて帯域を補い
合うという手段もあるが、設計の複雑化、回路の大き
さ、消費電流の増加等の問題が生じる。
【0019】そこで、本発明の目的は、回路構成が複雑
な段間整合回路を要することなく、回路設計が容易で、
小型化が可能な広帯域増幅器を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、多段接続され
る広帯域な増幅器であって、1段目の増幅器として構成
され、一定の帯域幅と入出力整合機能とを有する1個の
単位増幅器と、前記1個の単位増幅器に接続される1個
の入力端子と電力が分配される2個の出力端子とを有
し、入出力間のインピーダンス整合を行う電力分配器
と、前記電力分配器の2個の出力端子に各々接続され、
前記1段目の増幅器と同等の帯域幅と入出力整合機能と
を有する2段目の増幅器として構成される2個の単位増
幅器と、前記2個の単位増幅器に各々接続される2個の
入力端子と電力を合成する1個の出力端子とを有し、入
出力間のインピーダンス整合を行う電力合成器とを具え
ることによって、シングルエンド型の2段増幅器を構成
した。
【0021】ここで、入力カプラと出力カプラとの間
に、前記シングルエンド型の2段増幅器を2対並列接続
することによって、バランス型の2段増幅器を構成する
ことができる。
【0022】入力カプラおよび出力カプラをランゲ型の
回路により構成し、電力分配器および電力合成器をウィ
ルキンソン型の回路により構成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態を詳細に説明する。
【0024】本発明の第1の実施の形態を、図1ないし
図10に基づいて説明する。
【0025】本発明に係る回路構成を、設計手順(1)
〜(3)に従って説明する。
【0026】(単位増幅器) (1)まず、単位増幅器となる1段の広帯域増幅器を設
計する。
【0027】特に、電力増幅器を設計する場合には、入
力側は共役整合回路、出力側はロードプル結果による最
大出力ロード回路とするのが代表的であるが、一般に
は、目的とする性能にあわせて入力整合回路、出力整合
回路を構成する。例えば、出力整合回路を最大利得ロー
ド、すなわち共役整合回路とする、電力付加効率最大の
ロードとする等の選択が有り得る。この場合、単位増幅
器の出力は、目的とする2段増幅器の出力のおよそ4分
の1となるように、トランジスタのゲート幅も含めて設
計する。
【0028】図3は、広帯域増幅器としての単位増幅器
20の構成例を示す。21は、増幅器としてのトランジ
スタである。このトランジスタ21の入力側には入力整
合回路22が接続され、その出力側には出力整合回路2
3が接続されている。
【0029】入力整合回路22は、信号が入力される入
力端子Viおよびバイアス端子Vgを備え、抵抗R1、
コンデンサC1,C2、伝送線路(分布定数素子)Z
1,Z2を含む構成とされている。また、出力整合回路
23は、信号を出力する出力端子Voおよびバイアス端
子Vdを備え、コンデンサC3,C4、伝送線路Z3を
含む構成とされている。また、抵抗R2、コンデンサC
5、伝送線路Z4によって負帰還回路を構成している。
【0030】入力整合回路22および出力整合回路23
は、周波数依存性のない50オーム端子に対しての不整
合の度合いがある程度以下に収まるように設計されてい
る。
【0031】このように、1段の単位増幅器20におい
ては、入力整合回路22は入力側だけ、出力整合回路2
3はロード側だけを広帯域化すれば済むため、増幅器の
広帯域化を容易に行うことができる。
【0032】(シングルエンド型増幅器) (2)次に、本発明の基本回路の構成となる2段の電力
増幅器を設計する。
【0033】図1は、2段の電力増幅器としてのシング
ルエンド型の2段増幅器の回路構成を示す。30は、1
段目と2段目とを接続する同相の電力分配器である。4
0は、出力段に設けられた同相の電力合成器である。こ
の場合、電力分配器30は、1段目の増幅器を構成する
1個の単位増幅器20の電力を、2段目の増幅器を構成
する2個の単位増幅器20に分配する。また、電力合成
器40は、分配された2個の単位増幅器20の電力を合
成する。
【0034】図4は、電力分配器30および電力合成器
40として用いられるウィルキンソン型の回路の構成例
である。このウィルキンソン型の回路は、4分の1波長
の独立した2本の伝送線路Z5,Z6により、1信号を
2信号へ分配又は2信号を1信号に合成するものであ
り、2本の伝送線路Z5,Z6の分岐端は50オームの
抵抗で終端とされている。
【0035】電力分配器30として構成する場合は、c
端子を入力端子とし、a,b端子を出力端子とする。ま
た、電力合成器40として構成する場合は、a,b端子
を入力端子とし、c端子を出力端子とする。これら電力
分配器30、電力合成器40は、3端子回路によって入
出力の整合を保つ機能を有しているため、広帯域な1段
の単位増幅器20の直列2段重ねを良好に行うことがで
きる。
【0036】このように2個の単位増幅器20をウィル
キンソン型の電力分配器30と電力合成器40との間で
並列接続し、さらに、電力分配器30の入力側に初段増
幅器を構成する1個の単位増幅器20を接続することに
よって、本発明の基本回路となる2段増幅器を構成する
ことができる。なお、一般に、単位増幅器20は、利得
が5dB以上であれば2段増幅器の初段として使用した
とき、必要な後段への入力を十分供給できる増幅器とな
っている。
【0037】(バランス型増幅器) (3)次に、バランス型の2段増幅器を設計する。
【0038】図2は、バランス型の2段増幅器の回路構
成を示す。1は入力端子であり、2は入力カプラであ
る。3は出力カプラであり、4は出力端子である。入力
カプラ2および出力カプラ3は、広帯域増幅器である単
位増幅器20の帯域を狭くしないような周波数特性のも
のを使用する。具体的には、設計のパラメータとなる4
分の1波長を決定することによって行う。
【0039】これら入力カプラ2と出力カプラ3との間
に、図1に示したシングルエンド型の2段増幅器を上下
2段にわたって並列接続することによって、バランス型
の2段増幅器を構成することができる。
【0040】図5は、入力カプラ2および出力カプラ3
として用いられるランゲ型の回路の構成例である。この
ランゲ型の回路は、4分の1波長の長さをもつ通常2本
ずつ以上の櫛形に組み合わさった結合伝送線路Zにより
構成され、4つの端子d1〜d4を有する。このうち、
アイソレーション端子d4は、50オームの抵抗で終端
とされている。このランゲ型の回路の使用方向を逆にす
ることにより、入力カプラ2および出力カプラ3として
利用できる。
【0041】(帯域と利得)次に、広帯域な2段増幅回
路の帯域と利得の関係について説明する。
【0042】広帯域の2段増幅回路の帯域は、(a)単
位増幅器20の帯域、(b)電力分配器30、電力合成
器40の帯域、(c)入力カプラ2、出力カプラ3の帯
域のうち、最も狭い帯域で制限されることになる。通
常、(a)が最も狭くなることが多いため、単位増幅器
20の帯域が、そのまま2段増幅回路の帯域として用い
られる。
【0043】図6は、単位増幅器20、シングルエンド
型の2段増幅器、バランス型の2段増幅器の周波数と利
得の関係を示す。foは、単位増幅器20の中心周波数
である。△fは、単位増幅器20の帯域幅である。
【0044】ここで、G1を単位増幅器20の利得と
し、G2をシングルエンド型の2段増幅器の利得とし、
G3をバランス型の2段増幅器の利得とすると、
【0045】
【数1】 G2=2×G1−2×(ウィルキンソン回路の挿入損) …(1) G3=G2−2×(ランゲ回路の挿入損) …(2) の関係として表わすことができる。なお、電力増幅器と
して構成する場合は、G1の値は5以上であることが、
電力付加効率の点から望ましい。
【0046】本回路では、単位増幅器20の帯域は、ほ
ぼそのまま2段増幅器の帯域となるため、従来のような
2段化による帯域の縮小は存在しない。言い替えると、
1段の単位増幅器20を広帯域に設計するだけで、従来
の複雑な段間整合回路のことは考慮せず、単位増幅器2
0とほぼ同等の帯域を有し、中心周波数を含む広い周波
数範囲で単位増幅器20の約2倍の利得を有するような
2段増幅器を構成することが可能となる。
【0047】上述したような設計において、使用する単
位増幅器20、入力カプラ2、出力カプラ3、電力分配
器30、電力合成器40の各中心帯域を合わせておくこ
とにより、本回路の帯域は、基本的に使用した単位増幅
器20の構成で決定され、2段増幅器としたことによる
帯域劣化がほとんどない。これは、ランゲ型の入力カプ
ラ2、出力カプラ3と、ウィルキンソン型の電力分配器
30、電力合成器40とは、単位増幅器20の分配・結
合に関して有効に機能する帯域が通常非常に大きく、単
位増幅器20が1段広帯域増幅器として通常設計しうる
帯域を超えているためである。
【0048】従って、単位増幅器20をより広帯域に設
計することによって、最大でランゲ型の入力カプラ2、
出力カプラ3と、ウィルキンソン型の電力分配器30、
電力合成器40とによって制限されるところまで、本回
路の帯域を広くすることができる。
【0049】また、増幅器帯域の周辺へ向かうにしたが
って、ミスマッチの度合いは大きくなるが、本発明の回
路によると、例えば38GHzカプラを使用した場合
で、15〜40GHzの有効帯域を有する広帯域2段増
幅器の構成は十分に可能である。
【0050】(広帯域なインピーダンス整合)次に、広
帯域なインピーダンス整合が行なえる理由について説明
する。
【0051】本例では、電力分配器30、電力合成器4
0の3端子機能を有効に活用することにより、広帯域な
2段増幅器を構成している。広帯域の1段増幅器である
単位増幅器20を1段目、2段目に共通に用いている
が、3端子の電力分配器30を介入させることにより、
通常のカスケード接続の際に生じていた帯域の縮小の問
題を解決することができる。
【0052】電力分配器30は、1入力を2出力に均等
に(3dB)同相で分配する機能を有し、段間のインピ
ーダンス整合を行う。単位増幅器20の入力整合回路2
2と出力整合回路23は、それぞれ50オームに対して
の不整合の度合いがある程度以下に収まるように構成さ
れているが、電力分配器30を介在させると、カスケー
ド接続時に生じたような、接続による共役不整合の拡大
を大幅に抑えることができる。このことは、電力分配器
30の一方の端子(例えば、入力端)に50オームとの
整合度合いの比較的悪い回路を接続したような場合で
も、逆側の端子(例えば、出力端)は50オームのイン
ピーダンスを維持するように働くという、インピーダン
ス不整合に対する緩衝機能に基づくものである。
【0053】このような緩衝機能をもつ段間整合におい
て、帯域が問題となるが、例えば、ウィルキンソン型の
回路を分布定数素子(伝送線路)と50オームの抵抗と
で構成することにより、帯域比(帯域幅/中心周波数)
=50%以上にすることは容易であり、単位増幅器20
の帯域がこの帯域以下であれば、全てをカバーすること
が可能である。
【0054】また、電力分配器30、電力合成器40の
もつ3dB分配、3dB合成という本来の機能により、
図1のシングルエンド型の回路での電力損失は、電力分
配器30、電力合成器40の挿入損失のみであるため、
高性能の増幅器を実現できる。さらに、図2のバランス
型の回路として構成する場合、入力カプラ2、出力カプ
ラ3の帯域が狭いと、増幅器の帯域が狭まってしまう
が、ランゲ型の回路とする場合には帯域比50%以上は
容易に実現することが可能である。
【0055】(広帯域の範囲)ここで、本回路で用いら
れる広帯域の範囲について説明する。
【0056】本回路でいう広帯域とは、マイクロ波(3
〜30GHz)およびミリ波帯(30〜100GHz)
で、かつ、帯域比(帯域幅/中心周波数)が50%を超
えるような周波数範囲のことをいう。本回路は、特に、
5GHz以上の帯域に対して好適である。
【0057】従来例の場合には、段間整合回路が帯域を
制限してしまうことが多いのに対して、本例では、主に
単位増幅器20の帯域によって帯域が決定されるため、
回路の設計が容易化する。
【0058】(試作例)次に、試作例について説明す
る。
【0059】本例では、単位増幅器20として、広帯域
に最適化された負帰還型の1段増幅器を用いた。負帰還
型は、比較的容易に広帯域化しやすい回路であることは
良く知られている。0.25μmのPHEMTでのMM
ICプロセスによって、本発明の回路構成による広帯域
のバランス型の増幅器を作製した。
【0060】まず、単位増幅器20について説明する。
単位増幅器20としては、図3に示す回路を用いた。図
7は、単位増幅器20およびバランス型の増幅器の利得
を比較して示したものである。単位増幅器20は、シミ
ュレーションの結果により、28GHzから48GHz
で7.8〜8.8dBの平坦な利得をもつ。
【0061】また、シングルエンド型の増幅器の利得
は、バランス型の増幅器の利得に、0.4×2=0.8
dBの値を加算した値となる。このシングルエンド型の
入出力特性としては、例えば、30GHzでの入力反射
(S11)の値は−5dBとなる。
【0062】次に、図8は、ランゲ型の入力カプラ2、
出力カプラ3の測定用の回路例である。図9は、図8の
回路を用いて測定した端子間特性を示す。S21は、端
子1から端子2への通過特性である。S31は、端子1
から端子3への通過特性である。S11は、端子1での
反射特性(入力カプラのときは入力反射特性)である。
S33は、端子3での反射特性(入力カプラのときは出
力反射特性)である。
【0063】また、ウィルキンソン型の電力分配器3
0、電力合成器40を、幅30μmで設計し、図10に
示すようにループ状にレイアウトした。
【0064】これらランゲ型の入力カプラ2、出力カプ
ラ3、および、ウィルキンソン型の電力分配器30、電
力合成器40のいずれも38GHzを中心周波数とし
た。38GHzでの挿入損は、それぞれ0.6dBと
0.4dBとなる。
【0065】そして、これら単位増幅器20、ランゲ型
の入力カプラ2、出力カプラ3、ウィルキンソン型の電
力分配器30、電力合成器40を図2に示すバランス型
の増幅器として構成し、MMICの1チップに集積して
作製した。チップサイズは、2.3mm×1.8mmで
ある。
【0066】バランス型の増幅器の性能は、28GHz
〜48GHzで、11.7〜14.5dBの平坦な利得
をもち、帯域内で、入力反射特性(S11)は−14d
B以下、出力反射特性(S22)は−18dB以下と良
好な入出力反射特性も満足している。帯域内利得は、ほ
ぼ単位増幅器20の利得の2倍から挿入損の合計を引い
た値に近いものとなっている。
【0067】このように、6個の同一の広帯域1段増幅
器(単位増幅器20)と、1対のランゲ型の入力カプラ
2、出力カプラ3と、2対のウィルキンソン型の同相の
電力分配器30、同相の電力合成器40とを用いること
によって、1段のシングルエンド型の広帯域増幅器の帯
域はほぼそのまま維持しつつ、利得を約2倍となるよう
な2段バランス型増幅器の回路を、容易な回路設計によ
って作製することができる。
【0068】また、本回路においては、入力カプラ2
と、出力カプラ3と、電力分配器30と、電力合成器4
0とに挿入損失が存在するが、例えば、ミリ波帯のMM
ICでのそれらの値は、比較的小さく2段増幅器の性能
を一般に大きく劣化させない程度である。具体的には、
100μmGaAs基板上の一般的なMMICプロセス
の場合、例えば38GHzにおいて、ランゲ型の入力カ
プラ2、出力カプラ3と、ウィルキンソン型の電力分配
器30とを、中心周波数において、それぞれ0.6d
B、0.4dB以下の挿入損失に抑える設計は容易であ
り、この損失は合わせても1dB以下で済む。周波数が
低く挿入損が大きいときには、いわゆるMICの技術に
よりアルミナ基板上に、より低損失のカプラ、分配器を
構成して本回路に利用するような手法もある。
【0069】また、入力カプラ2と、出力カプラ3と、
電力分配器30と、電力合成器40とのレイアウトサイ
ズも、ミリ波帯では、MMICとして十分小型である。
例えば、38GHzで、ランゲ型カプラの長さをおよそ
0.75mm以下、ウィルキンソン型の電力分配器3
0、電力合成器40のための4分の1波長伝送線路長を
0.85mmとする設計は容易である。これら入力カプ
ラ2と、出力カプラ3と、電力分配器30と、電力合成
器40とを組み合わせた回路は、小型なレイアウトがし
やすいため、1チップMMICの構成にも好適である。
【0070】上述したように、本回路は、広帯域の2段
増幅器の回路として、設計手順が簡潔である点、バラン
ス型である点、結果として段間のミスマッチや挿入損が
比較的小さい点、広帯域を容易に実現できる点、小型の
レイアウトが可能である点などを特徴としてもつ回路で
ある。
【0071】次に、本発明の第2の実施の形態を、図1
1〜図13に基づいて説明する。なお、前述した第1の
実施の形態と同様な部分については同一符号を用い、そ
の説明は省略する。
【0072】本例は、バランス型の広帯域電力増幅器の
例である。
【0073】本回路は、第1の実施の形態の例と同じプ
ロセスにより、MMICのバランス型の増幅器を作製し
た。
【0074】図11は、本回路で用いた単位増幅器50
の構成を示す。51は、トランジスタである。52は、
入力整合回路である。53は、出力整合回路である。Z
10〜Z15は、伝送線路である。
【0075】入力整合回路52は、抵抗整合回路を用い
る。この回路は、抵抗終端したスタブにより、トランジ
スタ51内のCgs成分をキャンセルし、純抵抗に近い
インピーダンスに変性した後に、直列伝送線、オープン
スタブと続けて50オームに対して広帯域なマッチング
となるようにする。
【0076】出力整合回路53は、最大利得ではなく、
最大出力を実現するように、最適ロード回路を広帯域で
実現するような回路構成である。この回路では、4つの
整合素子を用いることによって、広帯域化している。
【0077】その他の入力カプラ2、出力カプラ3、電
力分配器30、電力合成器40には、前例と同様なもの
を用い(中心周波数38GHz)、図10のレイアウト
で、図2のバランス型の電力増幅器を構成した。
【0078】図12は、バランス型の電力増幅器の40
GHzまでの帯域特性を示す。この図12から、約15
GHz〜40GHzの間で、12dB〜20dBの利得
をもつことがわかる。S21は、利得である。S11は
入力反射特性(入力VSWR)である。S22は出力反
射特性(出力VSWR)である。S12は、逆方向アイ
ソレーションである。
【0079】また、この帯域内では、入力反射特性(S
11)、出力反射特性(S22)とも、どの周波数でも
−10dB以下の良好な入出力反射特性を達成している
ことがわかる。
【0080】図13は、バランス型の電力増幅器の出力
の周波数特性を示す。バイアスVd=4.0Vと4.5
Vの場合でまとめた。バイアスVd=4.5Vのとき
は、測定した20〜38GHzの範囲で、1dB利得圧
縮点(P1dB)での出力が19.5dBmから20.
8dBmと極めて平坦な出力特性を実現している。
【0081】電力付加効率は、帯域内で、9.5%〜1
3%であり、他の方式の広帯域電力増幅器と比較しても
大きな差はないという、良好な特性の広帯域電力増幅器
を実現している。
【0082】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、入出
力整合機能を有する複数個の広帯域な1段増幅器(単位
増幅器)と、電力分配器と、電力合成器とを基本回路と
してシングルエンド型の2段の広帯域増幅器を構成し、
このシングルエンド型の2段の広帯域増幅器をカプラ間
に2対並列接続することによって、シングルエンド型を
構成する広帯域な単位増幅器の帯域をほぼそのまま維持
しつつ、利得が約2倍となるようなバランス型の2段増
幅器を作製することができ、従来のように複雑な回路設
計が必要な段間整合回路のことを考慮することなく、簡
単な回路設計によって小型な広帯域2段増幅器を実現す
ることができる。
【0083】また、バランス型の2段増幅器では、後段
(最終段)のトランジスタは4つに分割しているので、
電力増幅器で問題になる局所的な熱の集中も綬和しやす
いといった、単位トランジスタが小さいことによる付随
的な効果も得られる。
【0084】さらに、広帯域でかつVSWRの良好なバ
ランス型の増幅器は、デジタル用途以外に、測定機器等
の用途にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるシングルエン
ド型の2段の広帯域増幅器を示す構成図である。
【図2】バランス型の2段の広帯域増幅器を示す構成図
である。
【図3】単位増幅器の構成図である。
【図4】ウィルキンソン型の電力分配器、分力合成器の
構成を示す回路図である。
【図5】ランゲ型の入力カプラ、出力カプラの構成を示
す回路図である。
【図6】周波数と利得との関係を示す特性図である。
【図7】周波数と利得との関係を示す特性図である。
【図8】ランゲ型の回路の測定回路例を示す回路図であ
る。
【図9】ランゲ型の回路の線形特性を示す特性図であ
る。
【図10】バランス型の2段の広帯域増幅器のレイアウ
トを示す説明図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態である単位型増幅
器を示す構成図である。
【図12】バランス型の2段の広帯域電力増幅器の利得
および反射特性を示す特性図である。
【図13】バランス型の2段の広帯域電力増幅器の出力
および電力付加効率特性を示す特性図である。
【図14】従来の段間整合回路を含む構成を示す回路図
である。
【符号の説明】
2 入力カプラ 3 出力カプラ 20 単位増幅器 30 電力分配器 40 電力合成器 50 単位増幅器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多段接続される広帯域な増幅器であっ
    て、 1段目の増幅器として構成され、一定の帯域幅と入出力
    整合機能とを有する1個の単位増幅器と、 前記1個の単位増幅器に接続される1個の入力端子と電
    力が分配される2個の出力端子とを有し、入出力間のイ
    ンピーダンス整合を行う電力分配器と、 前記電力分配器の2個の出力端子に各々接続され、前記
    1段目の増幅器と同等の帯域幅と入出力整合機能とを有
    する2段目の増幅器として構成される2個の単位増幅器
    と、 前記2個の単位増幅器に各々接続される2個の入力端子
    と電力を合成する1個の出力端子とを有し、入出力間の
    インピーダンス整合を行う電力合成器とを具えることに
    よって、シングルエンド型の2段増幅器を構成したこと
    を特徴とする広帯域増幅器。
  2. 【請求項2】 入力カプラと出力カプラとの間に、前記
    シングルエンド型の2段増幅器を2対並列接続すること
    によって、バランス型の2段増幅器を構成したことを特
    徴とする請求項1記載の広帯域増幅器。
  3. 【請求項3】 入力カプラおよび出力カプラをランゲ型
    の回路により構成し、電力分配器および電力合成器をウ
    ィルキンソン型の回路により構成したことを特徴とする
    請求項1又は2記載の広帯域増幅器。
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