JPH11174274A - 光ファイバアレイおよび金型の製造方法 - Google Patents

光ファイバアレイおよび金型の製造方法

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JPH11174274A
JPH11174274A JP9342480A JP34248097A JPH11174274A JP H11174274 A JPH11174274 A JP H11174274A JP 9342480 A JP9342480 A JP 9342480A JP 34248097 A JP34248097 A JP 34248097A JP H11174274 A JPH11174274 A JP H11174274A
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JP
Japan
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optical fiber
ferrule
groove
fiber array
shaped
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Application number
JP9342480A
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English (en)
Inventor
Kei Sunaga
圭 須永
Hidetoshi Ishida
英敏 石田
Toshiaki Kakii
俊昭 柿井
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Mechanical Coupling Of Light Guides (AREA)
  • Optical Couplings Of Light Guides (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度特性が良好で、高密度の光ファイバアレ
イを提供する。 【解決手段】 フェルール1は、前方にV溝部1aが形
成され、後方に被覆部分載置部1bが形成され、両側に
梁状部1cが設けられ、その後部には、鍔部1dが設け
られている。フェルール1は、ガラスより線膨張係数が
小さい合成樹脂の成形により作成される。光ファイバ3
aをV溝部に配置し、押さえ蓋2で押圧力を加えた状態
で、接着剤4を、フェルール1と押さえ蓋の隙間、なら
びに、V溝部の後部にある光ファイバおよび被覆3bに
かけて流し込んで、これらを一体的に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路等の光デ
バイスと、光ファイバを接続するための光ファイバアレ
イ、および、この光ファイバアレイに用いられるフェル
ールを成形するための金型の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の光ファイバアレイでは、光ファイ
バの挿入孔を有するフェルールをプラスチック成形し、
光ファイバを挿通させて結線する構造や、ガラス、シリ
コンなどの基板に加工したV溝と押さえカバーによって
光ファイバを位置決めする構造が用いられている。
【0003】しかしながら、光ファイバの挿入孔を有す
るフェルールを用いる構造では、光導波路部分(石英)
とフェルール(プラスチック)の線膨張係数の差が大き
いため、経時的な温度変化によって調心状態に乱れが生
じ、性能が低下するという問題があった。
【0004】一方、基板に加工したV溝と押さえカバー
を用いる構造では、V溝の研削加工が難しいこと、端面
の研磨性が悪いこと、などの理由によって、加工コスト
がかかるという問題があった。
【0005】特開平7−253522号公報に記載され
た光ファイバ端末部と光デバイスとの接続構造では、上
記の問題点を解決するため、光導波路部分の線膨張係数
に近い線膨張係数を有する材質からなる接続部材を光導
波路(光デバイス)との突き合わせ端面側に設けたフェ
ルールを提案している。
【0006】しかし、接続部材をフェルールと光デバイ
スの間に介在させる方法では、フェルール成形時に接続
部材を金型にインサートするため、接続部材と光ファイ
バの挿入孔の成形ピンの接触により、成形ピンを曲げた
り折ったりする恐れがある。さらに、光ファイバをフェ
ルールの光ファイバ挿入孔に挿通させる構造であるた
め、光ファイバのピッチが光ファイバ外径にほぼ等しく
なると、隣接する光ファイバ挿入孔同士がつながってし
まい、光ファイバの位置決めの精度が確保できないとい
う問題もある。したがって、光ファイバの高密度化が困
難となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、温度特性が良好で、高密度
の光ファイバアレイ、ならびに、この光ファイバアレイ
の成形に用いられるフェルールを成形するための金型に
おいて、V溝の底部の丸まりを小さくできる製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、単数あるいは複数の光ファイバを把持した光ファイ
バアレイにおいて、光ファイバを把持するための単数あ
るいは所定ピッチで並行に形成された複数のV溝を備え
た合成樹脂の成形体からなるフェルールを有し、前記V
溝に配置された光ファイバを押圧するための押さえ蓋に
よって光ファイバを把持したことを特徴とするものであ
る。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の光ファイバアレイにおいて、前記フェルールを構成す
る合成樹脂の線膨張係数が、1×10-5/℃以下である
ことを特徴とするものでる。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の光ファイバアレイにおいて、前記フェルール
を構成する合成樹脂が、充填材として二酸化ケイ素を含
み、その充填率が85重量%以上であることを特徴とす
るものである。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の光ファイバアレイにおいて、
前記フェルールのV溝部の両側において長手方向に沿う
梁状の部分が設けられていることを特徴とするものであ
る。
【0012】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の光ファイバアレイにおいて、前記フェルールの後端部
において、前記梁状の部分よりも張り出した鍔状の部分
が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】請求項6に記載の発明は、請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の光ファイバアレイにおいて、
前記押さえ蓋が、波長350nm近傍の紫外線に対して
透明であることを特徴とするものである。
【0014】請求項7に記載の発明は、請求項4ないし
6のいずれか1項に記載の光ファイバアレイにおいて、
前記押さえ蓋の幅が、前記フェルールのV溝部の両側に
おいて長手方向に沿って設けられた2つの梁状の部分の
内壁間の距離よりも、0.05mm〜0.2mm小さい
ことを特徴とするものである。
【0015】請求項8に記載の発明は、請求項1,6,
7のいずれか1項に記載の光ファイバアレイにおいて、
前記押さえ蓋の外周に面取りまたはR加工が施してある
ことを特徴とするものである。
【0016】請求項9に記載の発明は、請求項1ないし
8のいずれか1項に記載の光ファイバアレイにおいて、
前記複数の光ファイバが、テープ状光ファイバ心線の先
端部として構成され、該テープ状光ファイバ心線を構成
する光ファイバのほぼ半分のピッチだけ横方向にずらし
て2枚のテープ状光ファイバ心線を重ね、前記フェルー
ルのV溝部において、上下のテープ状光ファイバから出
ている各光ファイバが交互にV溝に配置されていること
を特徴とするものである。
【0017】請求項10に記載の発明は、請求項9に記
載の光ファイバアレイにおいて、前記フェルールのV溝
部よりも後方にあるテープ状光ファイバ心線の共通被覆
部分の載置部において、この部分で生じる光ファイバの
曲げ形状に沿って、フェルールが斜面状または階段状に
加工してあることを特徴とするものである。
【0018】請求項11に記載の発明は、請求項10に
記載の光ファイバアレイにおいて、前記テープ状光ファ
イバ心線の共通被覆部分の載置部における光ファイバ曲
げ部分と、載置部の底面までの距離が0.15mm以下
に保たれていることを特徴とするものである。
【0019】請求項12に記載の発明は、請求項1ない
し11のいずれか1項に記載の光ファイバアレイにおい
て、前記V溝の角度が80゜〜100゜であることを特
徴とするものである。
【0020】請求項13に記載の発明は、光ファイバを
把持するための所定ピッチで並行に形成された複数のV
溝を備えた合成樹脂の成形体からなるフェルールを成形
する金型の製造方法において、光ファイバ外径とほぼ等
しいピッチを持つV溝列に対応するV溝列を、単結晶ダ
イヤモンドバイトによる切削加工で形成することを特徴
とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の光ファイバアレ
イの第1の実施の形態を説明するためのもので、図1
(A)は光ファイバを配置する前の斜視図、図1(B)
は光ファイバを把持した状態の斜視図、図1(C)は端
面の拡大図、図1(D)は図1(C)の部分拡大図であ
る。図中、1はフェルール、1aはV溝部、1bは被覆
部分載置部、1cは梁状部、1dは鍔部、1eは端面、
2は押さえ蓋、3は光ファイバ心線、3aは光ファイ
バ、3bは被覆、4は接着剤である。
【0022】図1(A)から説明する。フェルール1
は、前方にV溝部1aが形成され、後方に被覆部分載置
部1bが形成され、両側に梁状部1cが設けられ、その
後部には、鍔部1dが設けられている。フェルール1は
合成樹脂の成形により作成される。後述するように、光
ファイバ心線3は、フェルール1に接着剤で固定される
から、フェルール1に温度変化によって、膨張収縮が生
じ、調心状態が乱れたり、損失増加の原因となる。した
がって、フェルール1を構成する合成樹脂の線膨張係数
は、1×10-5/℃以下であることが望ましい。
【0023】フェルール1を構成する合成樹脂の線膨張
係数を小さくし、成形精度を向上させるために、合成樹
脂の充填材として、二酸化ケイ素を用いるのがよい、充
填率は、85重量%以上であるのが望ましい。二酸化ケ
イ素を90重量%充填した場合、フェルールの線膨張係
数は、8×10-6/℃以下にすることができた。
【0024】光ファイバ心線3は、この実施の形態で
は、テープ状光ファイバ心線を用いている。テープ状光
ファイバ心線の一例の断面を図2に示す。コア5,クラ
ッド6からなるガラスの光ファイバ素線の上に保護被覆
7が施された光ファイバ心線の8本を平面状に配列し
て、共通被覆層8で被覆して偏平状に一体化したもので
ある。一般的に用いられている光ファイバ4の外径dは
125μm、保護被覆5の外径Dは250μmである。
【0025】このようなテープ状光ファイバ心線を用い
る場合、フェルールのV溝部1aのピッチはテープ状光
ファイバ心線の心線ピッチである250μmである。テ
ープ状光ファイバ心線3の先端部の共通被覆層と保護被
覆を所定の長さにわたって除去し、V溝部1aに光ファ
イバ3aを整列させて、図1(B)に示すように、押さ
え蓋2でその上から押圧力を加えた状態で、接着剤4
を、フェルール1と押さえ蓋の隙間、ならびに、V溝部
の後部にある光ファイバおよび被覆3bにかけて流し込
んで、これらを一体的に固定する。接着剤4は、図1
(D)に示すように、光ファイバ3aの周囲にまで流し
込まれるようにするのがよい。接着剤4としては、熱硬
化型接着剤や紫外線硬化型接着剤を用いるとよい。紫外
線硬化型接着剤を用いる場合には、押さえ蓋2には、例
えば、波長350nmの近傍の波長の紫外線を透過する
材料、例えば、ガラスを用いるのがよい。
【0026】ついで、端面1eを研磨する。研磨する角
度は、直角でもよいが、光デバイス等の接続の際の接続
部における反射光の戻り光を減少させるために斜めに、
例えば、8゜の角度で研磨する。図1(C)に端面にお
ける光ファイバ3aの配列ピッチPは、光ファイバ3a
がV溝で位置規制されることによって、上述の例では、
250μmである。
【0027】図3は、本発明の光ファイバアレイの使用
状態の一例を説明するためのものであり、図3(A)は
側面図、図3(B)は平面図である。なお、内部を見易
くするために、細線で図示した。図中、3,3’は8心
のテープ状光ファイバ心線、9,9’は光ファイバアレ
イ、10は導波路チップ、11は導波路である。導波路
チップ10の両端面は、8゜の傾斜角度に研磨され、両
側から調心されて光ファイバアレイ9,9’が接着され
る。導波路チップ10には、導波路で4組のカプラが形
成されており、両側の8つのポートがそれぞれ両側の光
ファイバアレイ9,9’のテープ状光ファイバ心線3,
3’に結合されており、合波・分波を行なう。
【0028】光ファイバアレイ9,9’と導波路チップ
10とを接着する接着剤には、信頼性上紫外線硬化型接
着剤を用いるのがよい。しかし、光ファイバアレイ9,
9’と導波路チップ10との線膨張係数に差があると、
その差によって、接着面での剥離が生じる。本発明の光
ファイバアレイでは、フェルールを構成する合成樹脂の
線膨張係数を所定の値より小さくすることによって、剥
離を防止することができる。
【0029】図4は、本発明の光ファイバアレイの第2
の実施の形態におけるフェルールと押さえ蓋の斜視図で
ある。図中、図1と同様の部分には同じ符号を付して説
明を省略する。この実施の形態では、押さえ蓋2につい
て第1の実施の形態と相違している。フェルール1につ
いては、第1の実施の形態と同じであるが、第1の実施
の形態で説明を省略した部分を加えて説明をすることに
する。
【0030】フェルール1のV溝部1aの両側において
長手方向に沿う梁状の部分、すなわち、梁状部1cが設
けられているが、梁状部1cを設けたことによって、押
さえ蓋2をフェルール1のV溝部1aに仮配列させた光
ファイバの上に載せる際の位置決めが容易であり、か
つ、接着剤がアレイの側面から漏れる心配がないので、
取り付け作業性が良好である。
【0031】押さえ蓋2の幅wは、2つの梁状部1cの
内壁間の距離Wよりも、0.05mm〜0.2mm程度
小さいことが望ましい。そうすることによって、押さえ
蓋2の位置決めが容易であるとともに、押さえ蓋2とフ
ェルール1との間の接着剤の量を少なくできる。接着剤
の量が多くなると、温度変化等で、フェルール1が割れ
やすくなるが、接着剤の量を少なくできることにより、
割れを少なくできる。
【0032】フェルール1の後端部において、梁状部1
cよりも張り出した鍔状の部分、すなわち、鍔部1dが
設けられている。押さえ蓋2を介して、光ファイバをフ
ェルール1のV溝部1aに整列させ、接着剤4で固定し
た後に、光ファイバアレイの端面を研磨するが、研磨装
置に光ファイバアレイを取り付ける際に、鍔部1dの前
面または後面を基準面として、光ファイバアレイを研磨
治具に把持させる。このように、基準面を設けて、研磨
装置に取り付けることによって、端面と研磨装置の研磨
板との位置を繰り返し再現性よく保つことができ、バラ
ツキのない研磨面を得ることができる。
【0033】以上は、第1の実施の形態と第2の実施の
形態とに共通する説明である。第2の実施の形態におい
ては、押さえ蓋2の形状のみが第1の実施の形態と相違
している。すなわち、梁状部1cに沿う側部の角部2a
の部分に面取りまたはR加工(曲面加工)を施した。押
さえ蓋2を光ファイバの上に載せて押圧し、光ファイバ
をV溝に押しつける際に、押さえ蓋2のエッジによって
光ファイバに破断が生じさせないようにするためであ
る。
【0034】なお、上述した説明では、光ファイバアレ
イを構成する光ファイバ心線としてテープ状光ファイバ
心線を用いたものについて説明したが、本発明は、テー
プ状光ファイバ心線に限られるものではなく、複数本の
単心の光ファイバ心線を用いてもよい。単心の光ファイ
バ心線は、光ファイバに保護被覆をした光ファイバ心線
(図2の例でいえば、外径250μmの保護被覆をした
光ファイバ心線)または、その上に、合成樹脂の被覆を
した光ファイバ心線である。単心の光ファイバ心線は、
1本でもよく、その場合は、複数本のV溝が形成された
フェルールを用いて、そのうちの1本のV溝に光ファイ
バを配置してもよく、あるいは、1本のV溝が形成され
たフェルールを用いてもよい。
【0035】図5は、本発明の光ファイバアレイの第3
の実施の形態そ説明するためのもので、図5(A)は光
ファイバを把持した状態の斜視図、図5(B)は端面の
拡大図、図5(C)は光ファイバに沿う縦断面図であ
る。図中、図1と同様の部分には同じ符号を付して説明
を省略する。3,3はテープ状光ファイバ心線、3a,
3a’は光ファイバである。この実施の形態では、2枚
のテープ状光ファイバ心線を上下に重ねて用いた点に特
徴がある。2枚のテープ状光ファイバ心線3,3’は、
ほぼ1/2ピッチだけ横にずらせて重ねて、上下のテー
プ状光ファイバ3,3’から出ている各光ファイバを交
互にV溝に配置するようにした。この状態を示す図5
(A)では、図を見やすくするために、光ファイバ3
a,3a’は、それぞれ曲線で図示し、接着剤の図示は
省略し、図5(B)においても、接着剤の図示を省略し
た。
【0036】図5(B)に示す端面の拡大図では、一方
のテープ状光ファイバ心線の光ファイバの端面は円で示
し、他方のテープ状光ファイバ心線の光ファイバの端面
は園内に×印をつけて図示して、区別を分かりやすくし
た。それぞれのテープ状光ファイバ心線の光ファイバが
交互に配置されていることが分かる。配置された光ファ
イバの配列ピッチPは、光ファイバの外径が125μm
のものを用いた場合、127μmとした。この配列ピッ
チPは、製造上の外径の公差を考慮して、光ファイバの
外径の125μmより僅かに大きい値としたのである。
したがって、上下のテープ状光ファイバ心線のずれは、
127μmとし、テープ状光ファイバ心線における光フ
ァイバの配列ピッチのほぼ1/2である。したがって、
テープ状光ファイバ心線を用いる場合についていえば、
第1および第2の実施の形態に比較して、ほぼ2倍の密
度で光ファイバを配列させることができ、高密度の光フ
ァイバアレイが構成できる。
【0037】特開平7−253522号公報に記載され
ているように、フェルールに光ファイバを挿通させるた
めの孔を設けたものは、配列ピッチが光ファイバの外径
(通常125μm)に近づくと、隣接する光ファイバ同
士が挿入される孔がつながってしまい、光ファイバを安
定して挿入することができない。
【0038】この実施の形態では、V溝に光ファイバを
配置する構成であり、V溝ピッチを光ファイバの外径と
ほぼ同じになるまで、高密度に作成でき、既存のテープ
状光ファイバを用いたままで、従来より光ファイバアレ
イを高密度化し、光ファイバ1心あたりの材料費、加工
費を削減させることができる。
【0039】第1および第2の実施の形態において、テ
ープ状光ファイバ心線を用いた場合、被覆部分載置部の
深さは、テープ状光ファイバ心線の光ファイバがV溝に
把持される位置と同じとなるようにされるのがよく、そ
れによって、テープ状光ファイバ心線からV溝への光フ
ァイバは、ほぼ一直線状となり、曲げが生じない。
【0040】しかし、第3の実施の形態におけるテープ
状光ファイバ心線3,3’の一方をテープ状光ファイバ
心線からV溝への光ファイバがほぼ一直線状となるよう
に、被覆部分載置部の深さを決めると、他方のテープ状
光ファイバ心線の光ファイバがV溝へ至るまでに大きな
曲げが加えられる。したがって、図5(C)に示すよう
に、被覆部分載置部の深さを第1および第2の実施の形
態より深くして、上下のテープ状光ファイバ心線の接触
面がV溝において光ファイバが把持される高さと同じ程
度にして、両方のテープ状光ファイバ心線の光ファイバ
に同様の曲げを与えるようにするのがよい。
【0041】図6(A),(B)は、第3の実施の形態
における変形例を説明するためのもので、図5(C)と
同様の断面図である。図中、図1,図5と同様の部分に
は同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態で
は、フェルール1の被覆部分載置部の底面を、図6
(A)に示すように、光ファイバの曲げ部分の形状に沿
って、斜面状に加工した。また、図6(B)に示すよう
に、階段状に加工してもよい。図5(C)に示すフェル
ール1に比べて、テープ状光ファイバの被覆の厚みによ
って生じる接着剤の厚くなる部分を排除することができ
る。接着剤が厚くなると、接着剤中に気泡が生じたり、
割れやすくなったりすることが問題となるが、この変形
例のように、接着剤の量を少なくすることによって、割
れ等の問題の発生を抑えることができる。
【0042】なお、上述した問題の発生を考慮すると、
フェルールの被覆部分載置部における光ファイバ曲げ部
分と、載置部の底面までの距離は、0.15mm以下に
保たれていることが望ましい。この条件を満たすことに
よって、接着剤中に気泡が発生や、割れの発生を十分に
抑えることができる。
【0043】フェルールを合成樹脂で成形する場合は、
金型を用いて成形する。図7は、金型の断面図である。
上金型12と下金型13との空間14に合成樹脂により
フェルールが成形される。V溝は、この例では、下金型
13に形成された条溝により形成される。この条溝は、
フェルールのV溝と反対形状であり、金型に形成された
V溝の底によって、成型品であるフェルールのV溝の頂
部が形成される。
【0044】金型のV溝の底部に図8(A)に示すよう
な曲率半径Rの丸まりがある場合を考える。丸まりがな
い場合は、V溝の形状は、破線に示すように尖ってお
り、光ファイバ3aとは、Q点で接する。しかし、金型
のV溝の底部の丸まりの曲率半径Rが大きいと、成形さ
れたフェルールのV溝を形成する両側の山の頂部の曲率
半径(Rと同じである)は、大きくなって、Q点よりも
下方で、V溝に接することとなる。この様子を図8
(B)で説明する。図8(B)は、V溝の両側の山部の
頂部近傍と光ファイバ3aとの接触状態の説明図であ
る。V溝の両側の山部の頂部の曲率半径が小さいR1
は、光ファイバ3aはV溝の直線部で内接できる。V溝
の両側の山部の頂部の曲率半径が大きいR3 では、光フ
ァイバ3aはV溝の直線部で接することはできない。し
たがって、両者の間に直線部で接することができる曲率
半径の最大値R2 が存在する。この最大値の曲率半径R
2 は、V溝の角度θに依存する。V溝角度θと曲率半径
2 との関係を計算してプロットした線図を図10に示
す。なお、図10において、Hで示した曲線は、欠けの
ない場合のV溝の両側の山部の頂点の高さと、光ファイ
バがV溝の直線部で接する場合の接点Qの高さとの差を
示している。Hについては、V溝角度θの依存性は少な
いことが分かる。最大値の曲率半径R2 については、金
型の加工性を考慮すると、20μm以上が望ましい。そ
うすると、V溝角度θは、80゜以上が望ましい。しか
し、V溝角度θが大きくなれば、図9に示すように、V
溝に接触している光ファイバ3aがV溝から受ける反力
の水平方向成分が小さくなり、横方向の把持力を小さく
する。これを考慮すると、V溝角度θの最大値は、10
0゜程度が望ましい。したがって、かかる考察から、V
溝角度θは、80゜〜100゜であるのがよく、したが
って、フェルールを合成樹脂で成形する場合は、従来の
V溝角度の60゜〜75゜を採用すると問題があるとい
える。
【0045】フェルールにおいて、V溝角度θを80゜
〜100゜とし、V溝の両側の山部の頂部の曲率半径を
20μm以下として、光ファイバ外径とほぼ等しいピッ
チを持つV溝列を形成するためには、図7で説明した金
型のV溝列における底部の丸まりは、20μm程度の加
工が可能なものが必要となる。砥石による研削では、丸
まりは、10μm程度が限度であるから、加工精度の限
界近い技術を必要とする。しかも、曲率半径R2 が最大
値であることを考慮すると、砥石による研削は、不向き
でるといえる。
【0046】本発明では、単結晶ダイヤモンドバイトに
よる切削加工で金型のV溝を形成した。単結晶ダイヤモ
ンドバイトは、高精度の加工が可能であり、一例では、
金型の加工面にニッケル層を電鋳し、その上から単結晶
ダイヤモンドバイトで切削加工を行なった場合には、金
型のV溝の底部の丸まりを約2μm以下にすることがで
きた。この加工によって、光ファイバの外径とほぼ等し
いピッチのV溝を持つフェルールにおいて、光ファイバ
をV溝の直線部で内接させることを確実にし、精度のよ
い光ファイバフェルールを実現することが可能となっ
た。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1に記載の発明によれば、フェルールに合成樹脂を用い
たことによって、従来のガラスやシリコン基板を用いた
ものに比べて、線膨張係数を小さくでき、また、成形ピ
ンの代わりにV溝を用いているため、成形ピンを曲げた
り折ったりする恐れがない。また、光ファイバピッチを
光ファイバ外径に近づけた場合、光ファイバ孔がつなが
って成形される可能性があるが、V溝を用いた構造であ
れば、このような問題が回避されるという効果がある。
【0048】また、請求項2,3に記載の発明によれ
ば、線膨張率を小さくすることによって、光導波路など
の光デバイスと接続した際の信頼性をより確保すること
ができる。
【0049】請求項4に記載の発明によれば、フェルー
ルのV溝部の両側において長手方向に沿う梁状の部分を
設けたことによって、押さえ蓋の位置決めが容易とな
り、また、接着剤がアレイの側面から漏れる心配がない
ので、取り付け作業性が良好となる。
【0050】請求項5に記載の発明によれば、フェルー
ルの後端部において、鍔状の部分を設けらたことによ
り、鍔部の前面または後面を基準面として、研磨装置に
取り付けることによって、端面の位置精度を高くでき
る。
【0051】請求項6に記載の発明によれば、押さえ蓋
が、波長350nm近傍の紫外線に対して透明であるこ
とにより、信頼性の高い紫外線硬化型接着剤を用いるこ
とが可能となる。
【0052】請求項7,10,11に記載の発明によれ
ば、接着剤の量を少なくすることができ、温度変化によ
るフェルールの歪みを小さくでき、割れを防止すること
もできる。
【0053】請求項8に記載の発明によれば、押さえ蓋
の外周に面取りまたはR加工が施してあることにより、
光ファイバに傷を与えることを防止できる。
【0054】請求項9に記載の発明によれば、2枚のテ
ープ状光ファイバ心線を、光ファイバのほぼ半分のピッ
チだけ横方向にずらして重ね、上下のテープ状光ファイ
バから出ている各光ファイバを交互にV溝に配置したこ
とにより、高密度の光ファイバフェルールを構成するこ
とができるとともに、低コストにできる。
【0055】請求項12に記載の発明によれば、V溝の
角度を80゜〜100゜としたことにより、光ファイバ
をV溝の直線部に接するようにできるためのV溝の両側
の山部の頂部の曲率半径を大きくでき、しかも、横方向
の把持力を大きくできる。
【0056】光ファイバの外径とほぼ等しいピッチのV
溝を持つフェルールを成形する場合、成形品のV溝の直
線部で光ファイバを確実に内接させるには、金型に加工
したV溝の底部の丸まりを小さくする必要があるが、請
求項13に記載の発明によれば、一般の加工方法である
砥石による研削に比べて、丸まりを小さくすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバアレイの第1の実施の形態
を説明するためのもので、図1(A)は光ファイバを配
置する前の斜視図、図1(B)は光ファイバを把持した
状態の斜視図、図1(C)は端面の拡大図、図1(D)
は図1(C)の部分拡大図である。
【図2】テープ状光ファイバ心線の一例の断面図であ
る。
【図3】本発明の光ファイバアレイの使用状態の一例を
説明するためのものであり、図3(A)は側面図、図3
(B)は平面図である。
【図4】本発明の光ファイバアレイの第2の実施の形態
におけるフェルールと押さえ蓋の斜視図である。
【図5】本発明の光ファイバアレイの第3の実施の形態
そ説明するためのもので、図5(A)は光ファイバを把
持した状態の斜視図、図5(B)は端面の拡大図、図5
(C)は光ファイバに沿う縦断面図である。
【図6】第3の実施の形態の変形例を説明するための断
面図である。
【図7】図7は、金型の一例の断面図である。
【図8】光ファイバとV溝の接触状態の説明図である。
【図9】V溝角度が大きい場合の光ファイバとV溝の接
触状態の説明図である。
【図10】V溝角度に対する、山部の頂部の最大曲率半
径および接触位置の関係を示す線図である。
【符号の説明】
1…フェルール、1a…V溝部、1b…被覆部分載置
部、1c…梁状部、1d…鍔部、1e…端面、2…押さ
え蓋、3,3’…光ファイバ心線、3a,3a’…光フ
ァイバ、3b…被覆、4…接着剤。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単数あるいは複数の光ファイバを把持し
    た光ファイバアレイにおいて、光ファイバを把持するた
    めの単数あるいは所定ピッチで並行に形成された複数の
    V溝を備えた合成樹脂の成形体からなるフェルールを有
    し、前記V溝に配置された光ファイバを押圧するための
    押さえ蓋によって光ファイバを把持したことを特徴とす
    る光ファイバアレイ。
  2. 【請求項2】 前記フェルールを構成する合成樹脂の線
    膨張係数が、1×10-5/℃以下であることを特徴とす
    る請求項1に記載の光ファイバアレイ。
  3. 【請求項3】 前記フェルールを構成する合成樹脂が、
    充填材として二酸化ケイ素を含み、その充填率が85重
    量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の光ファイバアレイ。
  4. 【請求項4】 前記フェルールのV溝部の両側において
    長手方向に沿う梁状の部分が設けられていることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光ファ
    イバアレイ。
  5. 【請求項5】 前記フェルールの後端部において、前記
    梁状の部分よりも張り出した鍔状の部分が設けられてい
    ることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバアレ
    イ。
  6. 【請求項6】 前記押さえ蓋が、波長350nm近傍の
    紫外線に対して透明であることを特徴とする請求項1な
    いし5のいずれか1項に記載の光ファイバアレイ。
  7. 【請求項7】 前記押さえ蓋の幅が、前記フェルールの
    V溝部の両側において長手方向に沿って設けられた2つ
    の梁状の部分の内壁間の距離よりも、0.05mm〜
    0.2mm小さいことを特徴とする請求項4ないし6の
    いずれか1項に記載の光ファイバアレイ。
  8. 【請求項8】 前記押さえ蓋の外周に面取りまたはR加
    工が施してあることを特徴とする請求項1,6,7のい
    ずれか1項に記載の光ファイバアレイ。
  9. 【請求項9】 前記複数の光ファイバが、テープ状光フ
    ァイバ心線の先端部として構成され、該テープ状光ファ
    イバ心線を構成する光ファイバのほぼ半分のピッチだけ
    横方向にずらして2枚のテープ状光ファイバ心線を重
    ね、前記フェルールのV溝部において、上下のテープ状
    光ファイバから出ている各光ファイバが交互にV溝に配
    置されていることを特徴とする請求項1ないし8のいず
    れか1項に記載の光ファイバアレイ。
  10. 【請求項10】 前記フェルールのV溝部よりも後方に
    あるテープ状光ファイバ心線の共通被覆部分の載置部に
    おいて、この部分で生じる光ファイバの曲げ形状に沿っ
    て、フェルールが斜面状または階段状に加工してあるこ
    とを特徴とする請求項9に記載の光ファイバアレイ。
  11. 【請求項11】 前記テープ状光ファイバ心線の共通被
    覆部分の載置部における光ファイバ曲げ部分と、載置部
    の底面までの距離が0.15mm以下に保たれているこ
    とを特徴とする請求項10に記載の光ファイバアレイ。
  12. 【請求項12】 前記V溝の角度が80゜〜100゜で
    あることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1
    項に記載の光ファイバアレイ。
  13. 【請求項13】 光ファイバを把持するための所定ピッ
    チで並行に形成された複数のV溝を備えた合成樹脂の成
    形体からなるフェルールを成形する金型の製造方法にお
    いて、光ファイバ外径とほぼ等しいピッチを持つV溝列
    に対応するV溝列を、単結晶ダイヤモンドバイトによる
    切削加工で形成することを特徴とする金型の製造方法。
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