JPH11172615A - 人工芝生およびその製造方法 - Google Patents

人工芝生およびその製造方法

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JPH11172615A
JPH11172615A JP36308497A JP36308497A JPH11172615A JP H11172615 A JPH11172615 A JP H11172615A JP 36308497 A JP36308497 A JP 36308497A JP 36308497 A JP36308497 A JP 36308497A JP H11172615 A JPH11172615 A JP H11172615A
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elastic
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材に弾性層を有しながらも、熱変形および
吸水変形がともに生じにくく、しかも加工性および取扱
性が良好である人工芝生を提供する。 【解決手段】 基礎シート材11とその上面にほぼ一体
的に設けられた弾性層12とからなる基材を備え、同基
材の弾性層12側に多数のパイル14を立設してなる人
工芝生において、弾性層12を基礎シート材11の上面
に沿って不連続的に形成された複数の弾性体12aの集
合体とするとともに、その各弾性体12a間に、熱や水
分に起因する個々の膨張、収縮力を相互に伝達しない緩
衝間隙13を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人工芝生に関し、さ
らに詳しく言えば、温度や水分などに起因する変形が生
じにくく、特に天候や気温の変化の影響を直接的に受け
る屋外施設に好適な人工芝生およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】人工芝生はシート状の基材に合成樹脂製
のパイルを多数植設したものからなり、パイル強度が高
く、水はけもよいことから、ほとんどメンテナンスフリ
ーで連続使用に耐える。このことから、天然芝生に代わ
るものとして、近年急速に普及している。
【0003】この間に、より安全でしかも運動をしやす
い人工芝生を実現するため、様々な改良が加えられ、特
にプレーヤーなどに対する衝撃力を緩和するため、基材
面に弾性層を設ける提案が数多くなされている。
【0004】例えば、特開平8−109610号公報に
おいては、図16に示すように、繊維基材1の上面に弾
性シート2を一体的に接合した基布に、芝葉が弾性シー
ト2側に植設されるべく合成樹脂製パイル糸3をタフテ
ィングするとともに、繊維基材1の下面にバッキング材
4を設けた人工芝生が提案されている。
【0005】この従来例において、弾性シート2は柔軟
性およびクッション性を有する比較的嵩高なシート状物
で、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹
脂発泡体、ウレタンゴムなどのゴム質体もしくはその発
泡体などが用いられ、繊維基材1に対してウレタン系、
エポキシ系などの接着剤にて一体的に接合される。な
お、弾性シート2上の芝目内には、砂などの充填材5が
充填されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、繊維基材1の全面に弾性シート2が接着剤に
て一体的に接合されているため、熱もしくは水分による
膨張、収縮率の差から次のような問題があった。
【0007】すなわち、一般的に繊維基材1は熱や水分
に対して比較的安定しているのに対して、弾性シート2
はその材質からして大きな膨張、収縮率を示す。したが
って、周囲温度が上昇する夏場などでは、図17(a)
に誇張して示すように、芝表面に膨れが生ずる。また、
同図(b)に示すように、人工芝生のジョイントテープ
Tによるつなぎ目にあっては、その部分が持ち上がって
しまうこともある。この現象は弾性シート2に水分が過
剰に吸水されたときにも生ずる。
【0008】これに対して、周囲温度が低下する冬場な
どにおいては、弾性シート2側が大きく縮むため、図1
8(a)に誇張して示すように、芝表面が凹面状に変形
するおそれがある。また、同図(b)に示すように、人
工芝生のジョイントテープTによるつなぎ目にあって
は、その部分に剥がれが生ずることもある。この現象は
乾燥が激しく、弾性シート2内の水分が過小の場合にも
同様に生ずる。
【0009】また、繊維基材1の全面に弾性シート2が
接着剤にて一体的に接合されていることに起因する別の
問題として、パイルがタフトされた人工芝生を原反ロー
ルとして巻き取る場合、全体として重く、かつ、柔軟性
に欠けるため、巻き取りにくく、しかも巻径が大きくな
ってしまうという問題がある。
【0010】本発明は、このような従来の諸問題を解決
するためになされたもので、その第1の目的は、基材に
弾性層を有しながらも、熱変形および吸水変形がともに
生じにくく、しかも加工性および取扱性が良好である人
工芝生を提供することにある。また、本発明の第2の目
的は、製造工程の簡素化が図れるとともに、使用材料が
少なくて済むようにした人工芝生の製造方法を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため、本発明は、基礎シート材と同基礎シート材の上
面にほぼ一体的に設けられた弾性層とからなる基材を備
え、同基材の上記弾性層側に多数のパイルを立設してな
る人工芝生において、上記弾性層は上記基礎シート材の
上面に沿って不連続的に形成された複数の弾性体を含
み、その各弾性体間には、熱や水分に起因する個々の膨
張、収縮力を相互に伝達しない緩衝間隙が設けられてい
ることを特徴としている。
【0012】このように、弾性層を緩衝間隙を介しての
不連続の複数の弾性体としたことにより、その個々の弾
性体が熱変形もしくは吸水変形したとしても、それによ
って基礎シート材全体が変形をきたすことがない。した
がって、芝生面も変形することはないとともに、ジョイ
ントテープによるつなぎ目が持ち上がったり、剥がれた
りすることもない。
【0013】ここで、不連続の弾性体には、まず、基礎
シート材上に点在状に独立して形成された弾性体が含ま
れる。その個々の形状は半円状、山状(円錐状、角錐
状)、円柱状、多角形の柱状体などの任意の凸状体であ
ってよい。この場合、各弾性体は、その個々の膨張、収
縮力が実質的に相互に伝達されないことを条件として、
細幅のアームや薄肉部にて連結されていてもよい。ま
た、半円状、山状の弾性体については、同じくその個々
の膨張、収縮力が実質的に相互に伝達されないことを条
件として、それらの裾部が連結されていてもよい。
【0014】次に、基礎シート材上に所定の緩衝間隙を
もって形成された帯状の弾性体も本発明の不連続の弾性
体に含まれる。典型的には、対辺が平行な帯形状が例示
されるが、幅の狭い部分と幅の広い部分とが規則的もし
くは不規則的に繰り返されるような帯形状であってもよ
い。また、帯状間の間隔も必ずしも一定である必要はな
い。この帯状の弾性体も、上記と同様に、その個々の膨
張、収縮力が実質的に相互に伝達されないことを条件と
して、細幅のアームや薄肉部にて連結されてもよい。
【0015】また、基礎シート材の全面にシート状の弾
性層を貼り付けた後、その上面から下面に向けて上記緩
衝間隙としての凹溝を例えば碁盤目状に設けて、不連続
の複数の弾性体を形成してもよい。この場合、各弾性体
個々の膨張、収縮力が相互に伝達されないようにするた
め、その凹溝底部の肉厚は上記弾性層の厚さの80%以
下であることが好ましく、より好ましくは60%以下で
あり、さらに好ましくは30%以下である。
【0016】なお、凹溝とするのではなく、その部分を
カッターなどで切り取って不連続の複数の弾性体を形成
してもよい。さらには、粉砕された無定形の弾性体もし
くは任意の凸状態に形成された弾性体の多数を基礎シー
ト材上に、それらの間に緩衝間隙を残すようにして接着
剤により貼り付けてもよく、これらのいずれの態様も本
発明の不連続の複数の弾性体の概念に含まれる。
【0017】本発明において、上記弾性層は好ましくは
ポリマー分散液状体により形成される。すなわち、液状
体であるため、基礎シート材上に塗布して、その硬化前
に不連続の弾性体を種々の形状に作り上げることができ
る。また、基礎シート材上に塗布して、その基礎シート
材に接合するものであるため、接着性に難がある基礎シ
ート材に対しても、良好に接合することができる。さら
には、弾性体の目付量および形状の均一化が容易とな
る。
【0018】また、溶剤を使用しないという、製造上の
安全性の点からすれば、上記弾性層をポリマー水分散
体、すなわちラテックス、エマルジョン(固形成分が5
0%前後のもの)を用いるのが好ましい。
【0019】このポリマー水分散体をわが国で多用され
ているポリマー別に例示すると、天然ゴム(略称、N
R:通称、天然ゴムラテックス)、ポリブタジエン(略
称、EBR,BR:通称、EBRラテックス、BRラテ
ックス)、スチレン−ブタジエン系重合体(略称、SB
R:通称、SBRラテックス、SBラテックス、HSラ
テックス)、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体
(略称、NBR:通称、NBRラテックス)、メチルメ
タアクリレート−ブタジエン系重合体(略称、MBR:
通称、MBRラテックス)、2−ビニルピリジン−スチ
レン−ブタジエン重合体(略称、VP:通称、VPラテ
ックス、ビニルピリジンラテックス)、ポリクロロプレ
ン(略称、CR:通称、クロロプレンラテックス)、ポ
リイソプレン(略称、IR:通称、IRラテックス)、
ポリスチレン(略称、PS:通称、ポリスチレンラテッ
クス、ポリスチレンエマルジョン)、ポリウレタン(略
称、U:通称、ウレタンラテックス、ウレタンエマルジ
ョン)、アクリレート系重合体(略称、AR:通称、ア
クリルエマルジョン、アクリレートラテックス)、ポリ
酢酸ビニル(略称、PVAc:通称、酢ビホモ(ポリマ
ー)エマルジョン、酢ビエマルジョン)、酢酸ビニル共
重合体(通称、酢ビコポリエマルジョン(例;酢ビ・ア
クリル、酢ビ・ベオバ))、酢ビ−エチレン系共重合体
(略称、EVA:通称、EVAエマルジョン)、アクリ
レート−スチレン系共重合体(通称、アクリルスチレン
エマルジョン)、ポリエチレン(略称、PE:通称、ポ
リエチレンエマルジョン)、塩化ビニル系共重合体(略
称、PVC:通称、塩ビラテックス)、塩化ビニリデン
系共重合体(略称、PVdC:通称、(塩ビ)ビニリデ
ンラテックス)、エポキシ(通称、エポキシエマルジョ
ン)が挙げられる。
【0020】この種のラテックス、エマルジョンに反応
性モノマーを導入し、その反応基を用いて架橋するのが
一般的であるが、ブタジエン含有量の多い非変性ラテッ
クスでは硫黄加硫も有効である。
【0021】その反応性モノマーとしては、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、2−アミノエチルビニルエーテル、ジメ
チルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエ
チルメタクリレート、N−メチロール化アクリルアミ
ド、N−メチロール化メタクリルアミド、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルグリ
シジルエーテルなどが例示される。
【0022】上記のように、本発明において、弾性層に
は好ましくはポリマー分散液状体やポリマー水分散体が
用いられるが、さらに好ましくは上記弾性層が発泡体か
らなり、そのポリマー100部に対してフィラー含有量
が100部以下(より好ましくは50部以下)であるこ
とが推奨される。この発泡体は、一般的には連続気泡で
あるため透水性の低下がなく、しかもポリマー純度が高
いため、いわゆるヘタリが小さく、回復性に優れてい
る。なお、フィラーとしては、水酸化アルミニウム、炭
酸カルシウム、クレーなどが好ましく採用可能である。
【0023】上記弾性層に、より高い強度とより優れた
耐ヘタリを持たせ、また、低コスト化を図るには、独立
気泡の発泡体が好ましく採用される。すなわち、気泡が
ポリマーにて拘束されて独立して存在するため、連続気
泡のものよりも、耐ヘタリ性に優れている。
【0024】特に、発泡層が形成されたときにマイクロ
カプセルが膨張しているものは、その気泡構造が強く耐
ヘタリ性に非常に優れている。また、気泡体を混入する
ことから、安定して設計どおりの独立気泡の発泡体の製
作が可能である。
【0025】水中放置安定吸水率が50%以下であれ
ば、本発明で好ましく採用される独立気泡の発泡体に該
当する。特に、水中放置安定吸水率が30%以下である
ものは、ヘタリをより効果的に防止することができる。
さらに、強度を高めるには、水中放置安定吸水率が15
%以下とするのが好ましい。なお、弾性層を独立気泡と
する場合、透水性に欠けることになるが、本発明の弾性
層は不連続に形成されるため、特に支障は生じない。
【0026】上記パイルの芝目内に、充填材として砂な
どの副資材が充填されていることも本発明の特徴の一つ
として挙げることができる。すなわち、弾性層が基礎シ
ート材の上面に配置されると、紫外線に晒されることに
なり、特に弾性層がラテックスの場合、紫外線による劣
化の進行が早くなるおそれがあるが、本発明によれば、
副資材の存在により紫外線が遮られ弾性層の劣化を防止
することができる。また、プレーヤーなどの踏圧からも
弾性層が保護され、総じて圧縮や剥離に対する抵抗力が
高められ、施工初期の状態をよりよく維持することがで
きる。
【0027】基礎シート材上に弾性層を形成するのは、
基礎シート材にパイルをタフトする前もしくはタフト後
のいずれでもよいが、基礎シート材に多数のパイルを植
設した後、その基礎シート材のパイル植設面側に、弾性
層の素材としてのポリマー分散液状体もしくはポリマー
水分散体などの高分子分散体を不連続的に塗布し、乾燥
させることにより、上記基礎シート材上に不連続的な弾
性層を形成することが好ましく、これにより、上記第2
の目的が達成される。
【0028】すなわち、この製造方法によれば、パイル
が弾性層を形成する高分子分散体により基礎シート材に
強固に接合されるため、従来必要とされていたバッキン
グ材を完全にもしくは大幅に低減することができる。ま
た、従来行なわれていたシート状弾性層の基礎シート材
への接合工程をも省くことができる。
【0029】なお、基礎シート材には、一般的に平織り
のポリプロピレンが用いられるが、例えば不織布や樹脂
シートであってもよい。また、芝葉としてのパイルに
は、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの各種ポ
リ塩化系の合成樹脂繊維、ナイロン、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリプロピレンなどの合成樹脂繊維などが
用いられ、場合によっては天然繊維が用いられることも
ある。
【0030】通常、パイルは基礎シート材に対してタフ
トにより植設されるが、本発明においては、他の方法で
パイルが形成されてもよい。例えば、基礎シート材が樹
脂シートよりなる場合には、パイルをその樹脂シートと
一体に成形したものも本発明に含まれる。また、ラッセ
ル織りにより形成したパイルを有する人工芝に上記の高
分子液状体を流し込んで弾性層を形成したものも本発明
に含まれる。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、本発明の技術的思想をより
よく理解するため、その実施の形態について説明する。
【0032】本発明によると、基礎シート材上に弾性層
が不連続的に形成されるが、まず、その不連続的な形状
とは、について具体的に説明する。図1は第1実施形態
であり、同図(a)はその一部断面図、同図(b)その
平面図である。
【0033】この第1実施形態においては、基礎シート
材11上に設けられる弾性層12が、同基礎シート材1
1の上面に沿って独立的に形成された複数の角柱状の弾
性体12aにより構成されている。なお、角柱状に代え
て、三角柱状などの多角柱状や円柱状であってもよい。
【0034】この場合において、各弾性体12a間に
は、熱や水分に起因する個々の膨張、収縮力を相互に伝
達しない緩衝間隙13が設けられている。すなわち、緩
衝間隙13は、互いに隣接する弾性体12a,12aが
水平方向に最大限膨張したとしても、その双方がぶつか
り合うことのない幅とされている。
【0035】図2は第2実施形態であり、同図(a)は
その一部断面図、同図(b)その平面図である。この第
2実施形態では、弾性層12が基礎シート材11の上面
に所定の緩衝間隙13をもって互いに平行に形成された
帯状の弾性体12bにより構成されている。
【0036】本発明において、この帯状の弾性体12b
は必ずしも均等間隔で設けられる必要はない。また、そ
の帯状の形態としては、この図2のように対辺が互いに
平行なものに限られず、幅の狭い部分と幅の広い部分と
が規則的もしくは不規則的に繰り返されるような帯形状
であってもよい。
【0037】図3は第3実施形態であり、同図(a)は
その一部断面図、同図(b)その平面図である。
【0038】この半円状の各弾性体12cは、その個々
の膨張、収縮力が実質的に相互に伝達されないことを条
件として、その裾部間がつながっていてもよく、このよ
うな場合、その裾部から上の半円部間の隙間が緩衝間隙
13となる。なお、この半円状に代わる形状としては、
円錐状、角錐状を含む山形状およびその截頭形を例示す
ることができる。
【0039】図4は上記第1実施形態の第1変形例を示
した断面図である。すなわち、本発明において、弾性層
12を構成する各弾性体12aは、基礎シート材11上
に点在するような完全に独立した形状として形成される
必要はなく、その個々の膨張、収縮力が実質的に相互に
伝達されないことを条件として、それらの底部側の一部
分がつながっていてもよい。
【0040】この変形例は、基礎シート材11上に例え
ばポリマー分散液状体もしくはポリマー水分散体などの
高分子分散体を所定厚さに塗布し、それが乾燥する前に
図示しないエンボスローラを押し付けて、その表面側に
基礎シート材11にまで至らない深さの緩衝間隙13を
設けることにより形成される。
【0041】この場合、各弾性体12a間において、個
々の膨張、収縮力が実質的に相互に伝達されないという
条件を満たすには、弾性層12の厚さをd、緩衝間隙1
3の底部の肉厚をΔdとすると、Δd/d≦0.60、
さらにはΔd/d≦0.30であることが好ましい。
【0042】また、図5は上記第1実施形態の第2変形
例を示した平面図である。この第2変形例で各弾性体1
2aはたまたま円柱状として示されているが、同変形例
のように、各弾性体12aの一部分を幅の狭いアーム1
21にて相互に連結してもよい。
【0043】もっとも、このアーム121も、各弾性体
12a間において、その個々の膨張、収縮力が実質的に
相互に伝達されるものであってはならない。なお、この
第1および第2変形例は、上記第2実施形態と第3実施
形態のいずれにも適用可能である。
【0044】図6は第4実施形態であり、同図(a)は
その一部断面図、同図(b)その平面図である。この第
4実施形態では、弾性層12を構成する弾性体として、
破砕などにより無定形に粉砕された例えばゴム片からな
る弾性体12dが用いられ、この弾性体12dの多数が
基礎シート材11の上面に沿って並べられている。
【0045】これらの弾性体12dは、基礎シート材1
1に対しては接着剤などにより接合されるが、各弾性体
12d間は、接触する場合はあるにしても接着剤などに
て接合されていない。好ましくは、各弾性体12d間に
も上記各実施形態と同じく、緩衝間隙が設けられるとよ
い。
【0046】上記第1実施形態ないし第3実施形態の各
弾性体12a〜12cは、好ましくはポリマー分散液状
体もしくはポリマー水分散体などの高分子分散体により
形成されるが、次に、ポリマー水分散体を用いる場合の
代表的な配合例を2例挙げておく。
【0047】ゲルフォームの配合例 SBRラテックス 100 オレイン酸カリ 3 硫黄 2 促進剤EZ 1.5 促進剤MZ 1 老防 1 アンモニア 0.5 分散剤 適量 充填剤(クレー) 75 ZnO(#1) 5 酢酸アンモニウム 3 (固形分濃度;65〜70%、乾燥条件;100〜18
0℃、5〜10分)
【0048】ノンゲルフォームの配合例 SBRラテックス 100 アルキルサルフォサクシナメートソーダ 5 ポリリン酸 0.5 硫黄 2 促進剤EZ 1.5 促進剤MZ 1 老防 1 分散剤 1 充填剤(水酸化アルミニウム) 150 ZnO(#1) 3 ラウリル硫酸ソーダ 1 (固形分濃度;73〜78%、乾燥条件;100〜18
0℃、5〜10分)
【0049】次に、本発明による人工芝生の作製例を2
例説明する。図7は第1作製例の断面図である。この第
1作製例においては、基礎シート材11にポリプロピレ
ンの平織り布を用い、この上面に弾性層12としてSB
R/NRラテックス(3倍発泡)を形成した。
【0050】そして、その乾燥前に図4で説明した緩衝
間隙13としての凹溝を碁盤目状に刻設し、弾性層12
に不連続の複数の弾性体12aを形成した。弾性層12
の厚さdに対して、緩衝間隙(凹溝)13の底部肉厚Δ
dを0.6以下とした。
【0051】このようにして作製した基材に対して、ス
テッチ間隔を凹溝13に合わせてパイル14(ポリプロ
ピレン製10000デニール)をタフトし、しかる後、
基礎シート材11の裏面にバッキング材15としてMB
Rラテックス層を形成した。
【0052】図7には、この人工芝生を下地基盤E上に
敷設した状態が示されているが、下地基盤Eは全体が一
様に平坦な面であればよく、コンクリート、アスファル
トのほかに、転圧砕石層、弾性シート、現場打ち弾性
層、透水孔を有するシートなど適宜選択することができ
る。
【0053】図8は第2作製例の断面図である。この第
2作製例においては、基礎シート材11にポリエステル
の平織り布を用い、この上面に塩ビエマルジョン(4倍
発泡)にて多数の弾性体12aを適当な緩衝間隙13を
おいて島状に不連続的に形成し弾性層12とした。
【0054】このようにして作製した基材に対して、ス
テッチ間隔をその緩衝間隙13に合わせてパイル14
(ナイロンモノフィラメント、合計6400デニール)
をタフトし、しかる後、基礎シート材11の裏面にバッ
キング材15としてMBRラテックス層を形成した。
【0055】そして、この人工芝生を下地基盤E上に敷
設したのち、パイル14の芝目内に砂を散布して充填層
16を形成した。これによれば、特にこの人工芝生が屋
外施設に適用される場合、充填層16によって弾性層1
2が紫外線に直接さらされることがなく、耐候性に富む
ことになる。
【0056】本発明の人工芝生を製造するにはいくつか
の方法がある。図9を参照しながら、それらの各製造方
法について説明する。まず、第1の製造方法は、基礎シ
ート材11に図9(a)に示すように、パイル14をタ
フトし、しかる後、デイスペンサなどにて例えばラテッ
クスを不連続的に塗布、好ましくはパイル14の植設部
分に塗布して乾燥させ、基礎シート材11上に多数の弾
性体の集合による弾性層12を形成する(図9(b)参
照)。
【0057】この第1の製造方法によれば、弾性層12
にてパイル14が基礎シート材11に強固に固定される
ため、バッキング材を完全に、もしくはバッキング材の
使用量を大幅に低減することができる。また、従来のよ
うにシート状弾性体を基礎シート材11に接着剤などに
て接合する手間も省くことが可能となり、工程の簡素化
およびコスト的な面から、総じてもっとも好ましい製造
方法といえる。
【0058】次なる第2の製造方法は、図9(c)に示
すように、まず最初に、基礎シート材11に弾性層12
を形成する。この弾性層12は、あらかじめシート状に
形成されたものを接着剤を介して貼り付けてもよいし、
もしくはラテックスなどを所定厚さに塗布して乾燥させ
たものでもよい。
【0059】次に、図9(d)に示すように、弾性層1
2を貫いてパイル14を基礎シート材11にタフトす
る。しかる後、例えばパイル14の芝目間の弾性層12
をカッターなどで除去し、同弾性層12を不連続な弾性
体12aとする(図9(e)参照)。
【0060】第3の製造方法は、図9(c)に示すよう
に、基礎シート材11に弾性層12を形成した後、パイ
ル14をタフトする前に、図9(f)に示すように、弾
性層12を不連続な弾性体12aに分割すべく、例えば
カッターなどで弾性層12を部分的に除去する。しかる
後、基礎シート材11にパイル14をタフトする(図9
(g)参照)。
【0061】第4の製造方法は、図9(h)に示すよう
に、あらかじめ基礎シート材11に弾性層12の構成要
素としての弾性体12aを不連続的に形成する。この弾
性体12aを形成するには、あらかじめ所定形状とされ
た弾性体12aを基礎シート材11に貼り付けてもよい
が、好ましくはラテックスなどを基礎シート材11上に
不連続的に塗布して形成することが好ましい。
【0062】しかる後、パイル14をタフトして、結果
的に図9(g)に示されている人工芝生を得る。このよ
うにして、本発明の人工芝生を種々の製造方法によって
作製することができるが、生産性の面からすれば、第1
の製造方法がもっとも好ましいことが、理解されよう。
【0063】
【実施例】次に、実施例1〜10およびその比較例1,
2について説明する。各例とも、その各々の基材に、4
50dのナイロン製モノフィラメント糸16本を1束に
し、5/16Ge,5.0Stの植え付け条件で、25
±5℃の工場内で植設したタフテッド人工芝生であり、
これらについて下記の試験を行なった。
【0064】対温寸法変化試験:真夏の炎天下で想定
される最高人工芝温度(80℃)になるように人工芝表
面を加熱し、その人工芝表面の状態を観察し、次のよう
に評価した。 ◎=全く変化なしで、きわめて良好。 〇=やや伸び縮みがあるが、実用上全く支障なし。 △=伸び縮みが目視で確認できる。 ×=伸び縮みがきわめて大きい。
【0065】圧縮耐久性試験:圧力80kg/φ50
mmで100000回繰り返し圧縮荷重を加えた際の弾
性層の形状を調べ、次の評価を行なった。 ◎=全く変化なしで、きわめて良好。 〇=良好。 △=くぼみが残る。 ×=原形をとどめない。
【0066】DIN試験前後衝撃力の変化量試験:上
記〓の試験前後の衝撃力の変化を調べた。評価値ΔF
は、(圧縮後衝撃力−圧縮前衝撃力)/圧縮前衝撃力で
ある(値は、いずれもプラス)。 ◎=0.05以下。 〇=0.1以下。 △=0.2以下。 ×=0.2以上。
【0067】加工性試験:加工のしやすさ、仕上がり
性の熟練作業者による評価。なお、加工のしやすさと
は、基礎シート材に弾性層を形成し基材にする工程、お
よびその基材にパイルをタフトしてタフテッド人工芝生
にする工程での作業の難易性を意味しており、次の4段
階評価とした。 ◎=きわめて良好。 〇=良好。 △=不良。 ×=きわめて不良。
【0068】そして、これら〜の試験結果を集計し
て、次の4段階にて最終的な総合評価を行なった。 ◎=きわめて良好。 〇=良好。 △=不良。 ×=きわめて不良。
【0069】《実施例1》図10(a)の断面図および
同図(b)の平面図に示すように、基礎シート材11上
に、弾性層材料として、NR/SBR(連続気泡で3倍
発泡、フィラー(水酸化アルミニウム)含有量150)
を厚さd(5.3mm)に塗布し、その表面にエンボス
ローラにて図4で説明した緩衝間隙13を碁盤目状に刻
設した後、乾燥させて多数の不連続的な弾性体12aか
らなる弾性層12を形成し、これを基材とした。なお、
緩衝間隙13底部の肉厚ΔdはΔd/d=0.29の
1.5mmとした。また、この基材に上記の条件でパイ
ル14をタフトした後、その裏面にヒガシ化学社製のバ
ッキング材15を塗布し、乾燥硬化させてバッキング層
を形成した。そして、上記の各種試験を行なったとこ
ろ、対温寸法変化試験の結果は、◎〜〇の範囲で概ね
実用上支障なしであった。圧縮耐久性試験の結果は、
〇の良好であった。DIN試験前後衝撃力の変化量試
験の成績は、〇の0.1以下であった。加工性試験
は、◎のきわめて良好であり、総合評価としては〇の良
好であった。
【0070】《実施例2》図11(a)の断面図および
同図(b)の平面図に示すように、基礎シート材11上
に、弾性層材料として、NR/SBR(連続気泡で3倍
発泡、フィラー(水酸化アルミニウム)含有量150)
を相互の緩衝間隙13を2.0mmとして角柱状に不連
続に塗布し、乾燥させて多数の弾性体12aからなる弾
性層12を形成し、これを基材とした。この基材に上記
の条件でパイル14をタフトし、上記の各種試験を行な
ったところ、対温寸法変化試験の結果は、◎で全く変
化がなく、きわめて良好であった。圧縮耐久性試験の
結果は、〇の良好であった。DIN試験前後衝撃力の
変化量試験の成績は、〇の0.1以下であった。加工
性試験は、◎のきわめて良好であり、総合評価としては
〇の良好であった。
【0071】《実施例3》弾性層材料として、NR/S
BR(独立気泡で3倍発泡、フィラー(水酸化アルミニ
ウム)含有量150)を用いたほかは、実施例2と同様
にして人工芝を作製した。これについて、上記の各種試
験を行なったところ、対温寸法変化試験の結果は、◎
で全く変化がなく、きわめて良好であった。圧縮耐久
性試験の結果は、◎〜〇できわめて良好と良好の範囲内
であった。DIN試験前後衝撃力の変化量試験の成績
は、◎の0.05以下であった。加工性試験は、◎の
きわめて良好であり、総合評価としては◎のきわめて良
好であった。
【0072】《実施例4》弾性層材料として、NR/S
BR(連続気泡で3倍発泡、フィラー(水酸化アルミニ
ウム)含有量100)を用いたほかは、実施例2と同様
にして人工芝を作製した。これについて、上記の各種試
験を行なったところ、実施例3と同じく、対温寸法変
化試験の結果は、◎で全く変化がなく、きわめて良好で
あった。圧縮耐久性試験の結果は、◎〜〇できわめて
良好と良好の範囲内であった。DIN試験前後衝撃力
の変化量試験の成績は、◎の0.05以下であった。
加工性試験は、◎のきわめて良好であり、総合評価とし
ては◎のきわめて良好であった。
【0073】《実施例5》弾性層材料として、ポリエチ
レン10倍発泡体を平均粒径5.0mmに粉砕した粒状
弾性体を図6で説明したように、基礎シート材11上
に、住友ゴム工業社製ウレタン系接着剤(商品名C−9
26)を介して貼り付けて不連続な弾性層を形成して基
材とした。そして、同基材に上記の条件でパイル14を
タフトし、上記の各種試験を行なったところ、対温寸
法変化試験の結果は、◎で全く変化がなく、きわめて良
好であった。圧縮耐久性試験の結果は、◎〜〇できわ
めて良好と良好の範囲内であった。DIN試験前後衝
撃力の変化量試験の成績は、〇の0.1以下であった
が、粒状弾性体に若干の剥がれが見られた。また、加
工性試験は、粒状弾性体の基礎シート材11に対する接
着性にやや難があり、評価は△であったものの、総合評
価としては〇の良好であった。
【0074】《実施例6》弾性層材料として、SBR非
発泡体を平均粒径5.0mmに粉砕した粒状弾性体を用
いたほかは、上記実施例5と同じとして人工芝を作製
し、上記の各種試験を行なったところ、実施例5と同じ
く、対温寸法変化試験の結果は、◎で全く変化がな
く、きわめて良好であった。圧縮耐久性試験の結果
は、◎〜〇できわめて良好と良好の範囲内であった。
DIN試験前後衝撃力の変化量試験の成績は、〇の0.
1以下であったが、粒状弾性体に若干の剥がれが見られ
た。また、加工性試験は、粒状弾性体の基礎シート材
11に対する接着性にやや難があり、評価は△であった
ものの、総合評価としては〇の良好であった。
【0075】《実施例7》弾性層材料として、NR/S
BR(連続気泡で3倍発泡、フィラー(水酸化アルミニ
ウム)含有量100)を用いて、上記実施例4と同様の
人工芝を形成し、その芝目内に平均粒径1.0mmの砂
16を厚さ20mmに充填した(図12(a)の断面
図,(b)の平面図参照)。これについて、上記の各種
試験を行なったところ、の対温寸法変化試験、の圧
縮耐久性試験、のDIN試験前後衝撃力の変化量試験
および加工性試験のいずれも、最高評価の◎であり、
総合評価としても◎のきわめて良好であった。
【0076】《実施例8》基礎シート材11に上記の条
件でパイル14をタフトした後、図13(a)の断面図
および同図(b)の平面図に示すように、そのパイル1
4間に弾性層材料として、NR/SBR(連続気泡で3
倍発泡、フィラー(水酸化アルミニウム)含有量10
0)を幅2.0mmの緩衝間隙13を置いて帯状に塗布
し、乾燥させて帯状の弾性体12aからなる弾性層12
を形成した。この人工芝生に上記の各種試験を行なった
ところ、対温寸法変化試験の結果は、◎〜〇の範囲で
概ね実用上支障なしであった。圧縮耐久性試験の結果
は、◎〜〇できわめて良好と良好の範囲内であった。
DIN試験前後衝撃力の変化量試験の成績も、◎の0.
05以下であった。また、加工性試験も、◎のきわめ
て良好であり、総合評価としても◎のきわめて良好であ
った。
【0077】《実施例9》図10(a)の断面図および
同図(b)の平面図に示すように、実施例1と同じく、
基礎シート材11上に、弾性層材料として、NR/SB
R(連続気泡で3倍発泡、フィラー(水酸化カルシウ
ム)含有量150)を厚さd(5.1mm)に塗布し、
その表面に緩衝間隙13を碁盤目状に刻設した後、乾燥
させて多数の弾性体12aからなる弾性層12を形成し
たが、この実施例9においては、緩衝間隙13底部の肉
厚ΔdをΔd/d=0.59の3.0mmとした。この
基材に上記の条件でパイル14をタフトし、その裏面に
バッキング材を形成することなく、上記の各種試験を行
なったところ、対温寸法変化試験の結果は、やや伸び
縮みがあるが実用上支障がなく、概ね〇の良好とするこ
とができた。圧縮耐久性試験の結果も、〇の良好であ
った。また、DIN試験前後衝撃力の変化量試験の成
績は、〇の0.1以下であった。加工性試験は、◎の
きわめて良好であり、総合評価としては〇の良好であっ
た。
【0078】《実施例10》図10(a)の断面図およ
び同図(b)の平面図に示すように、実施例1と同じ
く、基礎シート材11上に、弾性層材料として、NR/
SBR(連続気泡で3倍発泡、フィラー(水酸化カルシ
ウム)含有量150)を厚さd(5.0mm)に塗布
し、その表面に緩衝間隙13を碁盤目状に刻設した後、
乾燥させて多数の弾性体12aからなる弾性層12を形
成したが、この比較例2においては、緩衝間隙13底部
の肉厚ΔdをΔd/d=0.80の4.0mmとした。
この基材に上記の条件でパイル14をタフトし、その裏
面にバッキング材を形成することなく、上記の各種試験
を行なったところ、対温寸法変化試験の結果は、○〜
△であり、圧縮耐久性試験の結果は、〇の良好であっ
た。DIN試験前後衝撃力の変化量試験の成績は、〇
の0.1以下であった。加工性試験は、◎〜○の良好
であり、全体としての総合評価は〇であった。
【0079】〈比較例1〉図14(a)の断面図および
同図(b)の平面図に示すように、基礎シート材11上
の全面に、ポリエチレン10倍発泡体からなる厚さ5.
0mmのシート状弾性層12をウレタン系接着剤で貼り
付けて基材とし、この基材に上記の条件でパイル14を
タフトするとともに、その裏面側にヒガシ化学社製のバ
ッキング材15を塗布し、乾燥硬化させてバッキング層
を形成した。そして、上記の各種試験を行なったとこ
ろ、対温寸法変化試験の結果は、伸び縮みがきわめて
大きく×であった。圧縮耐久性試験の結果は、◎〜〇
できわめて良好と良好の範囲内であった。DIN試験
前後衝撃力の変化量試験の成績は、〇の0.1以下であ
った。加工性試験は、△の不良であり、総合評価とし
ては×のきわめて不良であった。
【0080】〈比較例2〉図15(a)の断面図および
同図(b)の平面図に示すように、実施例1と同じく、
基礎シート材11上に、弾性層材料として、NR/SB
R(連続気泡で3倍発泡、フィラー(水酸化カルシウ
ム)含有量150)を厚さd(5.0mm)に塗布し、
その表面に緩衝間隙13を碁盤目状に刻設した後、乾燥
させて多数の弾性体12aからなる弾性層12を形成し
たが、この比較例2においては、緩衝間隙13底部の肉
厚ΔdをΔd/d=0.92の4.6mmとした。この
基材に上記の条件でパイル14をタフトし、その裏面に
バッキング材を形成することなく、上記の各種試験を行
なったところ、対温寸法変化試験の結果は、△〜×で
伸び縮みが大きく目視で確認できた。圧縮耐久性試験
の結果は、〇の良好であった。DIN試験前後衝撃力
の変化量試験の成績は、〇の0.1以下であった。加
工性試験は、◎のきわめて良好であったが、総合評価と
しては△の不良であった。
【0081】上記実施例1〜10および比較例1,2の
対比を容易にするため、それらの試験結果を表1に示
す。
【表1】
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような効果が奏される。まず、基礎シート材上に設
けられる弾性層を緩衝間隙を介しての不連続の複数の弾
性体としたことにより、その個々の弾性体が熱変形もし
くは吸水変形したとしても、それによって基礎シート材
全体が変形をきたすことがない。したがって、芝生面も
変形することがないとともに、ジョイントテープによる
つなぎ目が持ち上がったり、剥がれたりすることもな
い。
【0083】上記弾性層の素材として、ポリマー分散液
状体を用いることにより、基礎シート材上に塗布して、
その硬化前に不連続の弾性体を種々の形状に作り上げる
ことができる。また、基礎シート材上に塗布して、その
基礎シート材に接合するものであるため、接着性に難が
ある基礎シート材に対しても、良好に接合することがで
きる。さらには、弾性体の目付量および形状の均一化が
容易となる。
【0084】また、上記弾性層の素材として、ポリマー
水分散体、すなわちラテックス、エマルジョンを用いる
ことにより、上記ポリマー分散液状体を用いる場合の効
果に加えて、溶剤を使用しないため、安全に使用するこ
とができる、という効果が奏される。
【0085】さらに、上記弾性層を発泡体で、かつ、そ
のポリマー100部に対してフィラー含有量が100部
以下とすることにより、いわゆるヘタリが小さく、回復
性に優れ、しかも連続気泡であることから、透水性の良
好な弾性層が得られる。
【0086】上記弾性層を独立気泡の発泡体とすること
により、弾性層により高い強度とより優れた耐ヘタリを
持たせ、また、気泡体を混入することから、安定して設
計どおりの独立気泡の発泡体の製作が可能であり、気泡
の混入分、材料消費量が少なくて済み低コスト化をも図
ることができる。
【0087】また、パイルの芝目内に砂などの副資材を
充填することにより、弾性層の紫外線による劣化が防止
されるとともに、プレーヤーなどの踏圧からも弾性層が
保護され、総じて圧縮や剥離に対する抵抗力が高めら
れ、施工初期の状態をよりよく維持することができる。
【0088】一方、この人工芝生の製造方法として、基
礎シート材に多数のパイルを植設した後、その基礎シー
ト材のパイル植設面側に、弾性層の素材としてのポリマ
ー分散液状体もしくはポリマー水分散体などの高分子分
散体を不連続的に塗布し乾燥させて、基礎シート材上に
不連続的な弾性層を形成することにより、パイルが弾性
層を形成する高分子分散体により基礎シート材に強固に
接合されるため、従来必要とされていたバッキング材を
完全にもしくは大幅に低減することができる。また、従
来行なわれていたシート状弾性層の基礎シート材への接
合工程をも省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示した模式的断面図お
よびその平面図。
【図2】本発明の第2実施形態を示した模式的断面図お
よびその平面図。
【図3】本発明の第3実施形態を示した模式的断面図お
よびその平面図。
【図4】上記第1実施形態の第1変形例を示した模式的
断面図。
【図5】上記第1実施形態の第2変形例を示した模式的
断面図。
【図6】本発明の第4実施形態を示した模式的断面図お
よびその平面図。
【図7】本発明の第1作製例を示した模式的断面図。
【図8】本発明の第2作製例を示した模式的断面図。
【図9】本発明の人工芝生の製造方法の各例をその工程
順に示した模式図。
【図10】実施例1および実施例9を示した模式的断面
図および平面図。
【図11】実施例2を示した模式的断面図および平面
図。
【図12】実施例7を示した模式的断面図および平面
図。
【図13】実施例8を示した模式的断面図および平面
図。
【図14】比較例1を示した模式的断面図および平面
図。
【図15】比較例2を示した模式的断面図および平面
図。
【図16】従来例を示した模式的断面図。
【図17】上記従来例の問題点を説明するための模式
図。
【図18】上記従来例の問題点を説明するための模式
図。
【符号の説明】
11 基礎シート材 12 弾性層 12a 弾性体 13 緩衝間隙 14 パイル 15 バッキング材 16 充填材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎シート材と同基礎シート材の上面に
    ほぼ一体的に設けられた弾性層とからなる基材を備え、
    同基材の上記弾性層側に多数のパイルを立設してなる人
    工芝生において、上記弾性層は上記基礎シート材の上面
    に沿って不連続的に形成された複数の弾性体を含み、そ
    の各弾性体間には、熱や水分に起因する個々の膨張、収
    縮力を相互に伝達しない緩衝間隙が設けられていること
    を特徴とする人工芝生。
  2. 【請求項2】 上記緩衝間隙には上記弾性層の上面から
    下面に向けて形成された凹溝が含まれることを特徴とす
    る請求項1に記載の人工芝生。
  3. 【請求項3】 上記弾性層の素材がポリマー分散液状体
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の人工
    芝生。
  4. 【請求項4】 上記弾性層の素材がポリマー水分散体で
    あることを特徴とする請求項3に記載の人工芝生。
  5. 【請求項5】 上記弾性層が発泡体からなり、そのポリ
    マー100部に対してフィラー含有量が100部以下で
    あることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項
    に記載の人工芝生。
  6. 【請求項6】 上記弾性層が独立気泡を主成分とした発
    泡体からなることを特徴とする請求項1ないし5のいず
    れか1項に記載の人工芝生。
  7. 【請求項7】 上記パイルの芝目内に、充填材として砂
    などの副資材が充填されていることを特徴とする請求項
    1ないし6のいずれか1項に記載の人工芝生。
  8. 【請求項8】 基礎シート材に多数のパイルを植設した
    後、その基礎シート材のパイル植設面側に、弾性層の素
    材としてのポリマー分散液状体もしくはポリマー水分散
    体などの高分子分散体を不連続的に塗布し、乾燥させる
    ことにより、上記基礎シート材上に不連続的な弾性層を
    形成することを特徴とする人工芝生の製造方法。
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