JPH1117238A - 酸化物超電導体装置 - Google Patents

酸化物超電導体装置

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JPH1117238A
JPH1117238A JP9165864A JP16586497A JPH1117238A JP H1117238 A JPH1117238 A JP H1117238A JP 9165864 A JP9165864 A JP 9165864A JP 16586497 A JP16586497 A JP 16586497A JP H1117238 A JPH1117238 A JP H1117238A
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JP
Japan
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reba
oxide
oxide superconductor
insulator
superconductor
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JP9165864A
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English (en)
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Toshiyuki Usagawa
利幸 宇佐川
Hiromi Unoki
博海 鵜木
Yoichi Enomoto
陽一 榎本
Yoshiyasu Ishimaru
喜康 石丸
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KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTSU KENKYU CENTER
Fujitsu Ltd
Hitachi Ltd
Original Assignee
KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTSU KENKYU CENTER
Fujitsu Ltd
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化物超電導体と絶縁体との接合、層間絶縁
膜、保護膜が結晶構造が異なる絶縁物質で形成されてい
る場合の問題点を解決する。 【解決手段】 化学組成式ReBa2Cu3Ox(Reは希土類元素
である)で表わされる酸化物超電導体と、これと同一結
晶構造を有する化学組成式ReBa2Xn3O8-y(Reは希土類元
素、XnはFe,Cr,Al,Gaなどの+3価の金属元素である)で
表わされる酸化物絶縁体との接合を有する酸化物超電導
体薄膜及び装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物超電導体を
素子に応用した技術に関し、特に、酸化物超電導体と絶
縁体との接合、層間絶縁膜、保護膜、基板に適用して有
効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体のエレクトロニクス用素
子応用を考えるとき、その薄膜技術が基本になること
は、半導体技術の場合と同じである。その場合、(a)
能動素子としては、SIS(超電導体/絶縁体/超電導
体接合構造)デバイスやSNS(超電導体/正常導体/
超電導体接合構造)デバイス、(b)SIS素子やSN
S素子を超電導体で結ぶ超電導配線とその超電導体間の
電気的絶縁材料、(c)能動素子を水などの外敵から化
学的に守り、電気的には安定な動作を保証する保護材
料、(d)超電導体材料や素子を形成させる母体となる
基板材料が問題となる。
【0003】これらの能動素子、配線、保護膜、基板の
技術として、従来の酸化物超電導体薄膜技術としては、
基板材料と薄膜材料の結晶構造が異なる物質である場
合(以下、ヘテロエピと称する)や、SIS構造の場
合、YBa2Cu3Ox(以下単にYBCOと略記し、結晶構造を通
例に従って123系と称する)等の酸化物超電導体と
は、結晶構造の異なる、PrGaO3(以下単にPGOと略記す
る)、SrTiO3(以下単にSTOと略記する)、Gd2CuO4等の絶
縁体もしくは、半導体を絶縁体層(I層)に用いていた
(例えば、文献:宮澤信太郎他3名、酸化物高温超伝導
体薄膜のエピタキシーと基板結晶、日本結晶成長学会誌
23巻No.5、1996年、17ページから32ページを参照)。一
方、結晶構造が同一の123系酸化物として、低温にな
ると電気抵抗が急速に増大する半導体的性質を示すPrBa
2Cu3Ox(以下単にPBCOと略記する)やCo(コバルト)等をY
BCOにドープして、超電導性をなくすか、超電導転移温
度Tcを下げることで正常金属とみなし、SNS(超電
導体/正常導体/超電導体接合構造)デバイスの正常導
体層(N層)に用いてきた。
【0004】また、超電導配線とその超電導体間の電
気的絶縁材料としては、STO等の結晶構造の異なる絶縁
体が用いられるか、あるいは結晶構造が同一のPBCOが用
いられてきた。更に、能動素子を水などの外敵から化
学的に守る保護材料としては、SiO2などの結晶構造が異
なる物質で形成されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】結晶構造が同一の12
3系酸化物としてPBCOやドープしたYBCOを従来のように
使用した場合以下のような問題点が発生していた。
【0006】(イ)PBCOを用いる場合、電気抵抗が酸素
欠損(PrBa2Cu3O7-yy)とPrがBaサイトに置換する割合
z(Pr1+zBa2-zCu3O7-yz)に応じて、電気抵抗が何桁も
変わることが知られている(例えば、文献:M.Tagami an
d Y.Shiohara:ジャーナル オブ クリスタルグロウス 17
1巻1997年409ページから414ページ参照)。
【0007】絶縁体とみなせる10MΩcm以上の電気抵
抗を実現することが難しいため、超電導体間を挟む材料
として挿入した場合、超電導体どうしの間でショートが
おこり、超電導体間クーパ対のトンネル現象を実現でき
ず、ヒシテリシスを特徴とするSIS接合の特徴がだせ
ず、SNS接合の電流電圧特性(SIS構造で超電導体間を導
体でショートした特性、このため、超電導体素子の高速
性の目安である接合の電気抵抗Rnと接合の臨界超電導
電流Icの積をサブミリボルト程度にしかできない)し
か実現できていない。
【0008】また、PBCOのPrがBaサイトに置換する割合
zを再現性よく制御できないため、電気抵抗の値を再現
性よく制御できない。このためSNS素子を用いた電気回
路の素子設計が難しくなり、本来、絶縁体ではないた
め、超電導配線とその超電導体間の電気的絶縁材料とし
て用いると、PBCO部分を電流が漏れ、絶縁性が悪く、電
気回路の設計を難しくするという問題があった。
【0009】(ロ)ドープしたYBCOを用いた場合、超電
導配線とその超電導体間の電気的絶縁材料としては用い
ることができない。また、実現できるのは、SNS接合素
子だけである。PBCOに不純物をドープする場合も前記問
題点は解決できない。
【0010】超電導体素子の高速性を引き出したり、つ
まり、Rn・Ic積を10mV程度に大きくしたり、超電導
配線間の絶縁性を高めたりするには、SIS素子を実現で
きる絶縁体が不可欠であった。
【0011】結晶構造の異なるヘテロエピの場合、基板
と薄膜の結晶構造の違いにより、原子間に強い応力が発
生し、(A)バルク材料と比べて超電導転移温度Tcが
劣化する。しかも、薄膜を薄くすると急速に超電導転移
温度Tcが劣化し、逆に薄膜を厚くすることでも超電導
転移温度Tcをバルクの値にすることは難しい。
【0012】(B)表面の凹凸が大きくなりやすく、ピ
ンホールなどの欠陥やグレイン境界に発生する段差のた
め、SIS構造を実現できないでいた。また、超電導配
線の場合、絶縁膜上の超電導体の超電導転移温度Tcが
大きく劣化する。
【0013】(C)保護膜としては、結晶構造の違いに
起因するクラックやグレインの影響で、水などの外敵か
ら化学的に守ることができなかったり、酸化物超電導体
との接着が悪くなり電気特性の面では、ノイズや不安定
動作の原因となっていた。また、現実の素子や回路に適
用する場合、酸化物超電導体とほぼ同一の結晶成長条件
で前記絶縁体が形成できる必要がある。
【0014】本発明の目的は、前記問題点(イ),
(ロ)及び結晶構造が異なる絶縁物質で形成されている
場合の前記問題点(A),(B),(C)を解決するこ
とが可能な技術を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、化学組成式ReBa2Cu3
Ox(Reは希土類元素である)で表わされる酸化物超電導
体と、これと同一結晶構造を有する化学組成式ReBa2Xn3
O8-y(Reは希土類元素、XnはFe,Cr,Al,Gaなどの+3価の
金属元素である)で表わされる酸化物絶縁体との接合を
有する酸化物超電導体薄膜及び装置を提供することにあ
る。
【0016】本発明の前記ならびにその他の目的及び新
規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明ら
かになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以
下のとおりである。
【0018】(1)化学組成式ReBa2Cu3Ox(Reは希土類
元素である)で表わされる酸化物超電導体と、これと同
一結晶構造を有する化学組成式ReBa2Xn3O8-y(Reは希土
類元素、XnはFe,Cr,Al,Gaなどの+3価の金属元素であ
る)で表わされる酸化物絶縁体との接合を有する酸化物
超電導体薄膜である。
【0019】(2)化学組成式ReBa2Cu3Ox(Reは希土類
元素である)で表わされる酸化物超電導体と、これと同
一結晶構造を有する化学組成式ReBa2Xn3O8-y(Reは希土
類元素、XnはFe,Cr,Al,Gaなどの+3価の金属元素であ
る)で表わされる酸化物絶縁体との接合を有する酸化物
超電導体装置である。
【0020】(3)前記(2)の酸化物超電導体装置に
おいて、前記ReBa2Cu3OxとReBa2Xn3O8-yを用いてReBa2C
u3Ox/ReBa2Xn3O8-y/ReBa2Cu3Ox三層積層構造が形成され
ているものである。
【0021】(4)前記(2)の酸化物超電導体装置に
おいて、ReBa2Xn3O8-y酸化物絶縁体の上に前記ReBa2Cu3
Oxからなる超電導配線が形成されてなり、該ReBa2Cu3Ox
配線はReBa2Xn3O8-y酸化物絶縁体を層間絶縁体として、
下部に形成されるReBa2Cu3Ox配線と接続されているもの
である。
【0022】(5)前記(2)乃至(4)のうちいずれ
か1つの酸化物超電導体装置において、基板がReBa2Xn3
O8-y酸化物絶縁体からなるものである。
【0023】(6)123系超電導体と格子整合性を改
良する方法として、YBFO系のBa原子をより小さいイオン
半径を持つSr,Ca原子に置き換える方法もある。格子整
合性を良くするとSIS接合の形成部留りが向上し、接合
のリーク電流低減に効果がある。又、格子整合性の改善
は、絶縁体層122上に形成した超電導体層13の超電
導転移温度Tcの向上に効果がある。
【0024】すなわち、本発明は、化学組成式ReBa2Cu3
Ox(Reは希土類元素である)で表わされる酸化物超電導
体(以下単にRBCOと略記する)と、これと同一結晶構造
を有する化学組成式ReBa2Xn3O8-y(Reは希土類元素、Xn
はFe,Cr,Al,Gaなどの+3価の金属元素である。)で表わ
される酸化物絶縁体(以下単にRBXOと略記する)との接
合を有する(ただし、RBXOはテトラゴナルで、RBCOは超
電導を示す物は、a軸とb軸の長さの異なるオルソロン
ビックであるが、a軸とb軸の長さの差が小さいため、
同一結晶構造とみなしてよいので、以後同一結晶構造と
称する)。
【0025】以下、前記酸化物超電導体としては、最も
良く用いるYBCOを、RBXO絶縁体としては単結晶基板に成
功しているYBa2Fe3O8-y(以下単にYBFOと略記する)を用
いて本発明を説明する。
【0026】本発明の実施形態(実施例)で説明するYB
CO結晶成長条件と同じ条件下で、YBFOを(100)MgO基
板上に42.4nm形成したときのX線回折のデータ(図
5(a))と電気抵抗の温度変化(図5(b))の実験データ
を示す。電気抵抗は長さ5mm、幅3mmの試料である。8
0Kで109ohm・cm以上の高い比抵抗を示している。X線
回折のデータからc軸配向した膜が初めてできているの
が分かる。この時、c軸長は1.1911nmとYBCOに非
常に近い値を得た。更に、a軸長は0.39nmとこれもY
BCOの値に近いことを見出した。
【0027】YBCO単結晶を用いて、(100)方向を持つ
表面をウエーハ状に切り出し、図1(a)に素子断面構
造を示すSIS素子を作成した場合について、本発明を説
明する。先ず、基板10の不完全性(マイクロクラック
やディスロケーションなど)を除去する目的でYBCO11
をホモエピタキシャル結晶成長させる。更にYBFO12と
YBCO13を結晶成長させる。
【0028】YBFO12とYBCO11の結晶構造が同一であ
るため、YBCO上にYBFOが結晶成長する場合、YBFOのYとB
a,Oは迷わず基板のY,Ba,Oのサイトに被着し、Fe原子
は、強制的にCuサイトに導入され、YBCOとYBFO間の多少
の格子定数の違い(最大a軸の2.5%程度)は無視さ
れ、歪みを含んだ歪エピ成長することを見出した。
【0029】STO等のように結晶構造は違うものの、格
子定数は近い(最大2.5%程度)物質の場合、YBCOと
結晶を構成する元素が全く異なるため、格子整合した良
質の界面を実現できなっかた。
【0030】以下に実施形態(実施例)で更に説明する
が、YBCOとYBFOが結晶構造が同一のため、プロセス工程
を経たYBFO上のYBCOは、超電導転移温度Tc、臨界超電
導電流密度Jcの劣化がほとんど起こらない。更に、YBF
O自身が、化学的に安定で、YBCOが水、酸、アルカリに
対して極めて脆弱なのに対して、これらの溶剤に対して
非常に強く、高い選択エッチング比を実現することを見
出した。これは、YBFOがテトラゴナルであり、結晶的に
強いことに起因している。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して、本発明の
実施形態(実施例)を詳細に説明する。
【0032】(実施形態1)図1は本発明の実施形態1
のSIS(超電導体/絶縁体/超電導体)構造及びそれを有す
る酸化物超電導体装置を示す断面図であり、図1(a)
は(100)面方位YBCO単結晶基板上に直接SIS構造を形
成した例を示し、図1(b)は図1(a)に示すSIS構
造を有する酸化物超電導体装置の例を示す図である。
【0033】図1(a)に示すように、(100)面方位
を有するYBa2Cu3Ox(YBCO)単結晶基板ウエーハ10上
にオフアクシスマグネトロン高周波スパッタ装置によ
り、基板温度710℃、酸素/アルゴン比9/1で80mt
orrの雰囲気中で40Wのプラズマ出力でYBa2Cu3Ox(YB
CO)薄膜11を2時間結晶成長した。この時膜厚は、1
00nmであった。更に、YBa2Fe3O8-y(YBFO)12をYBC
Oストイキオメトリックターゲットに対向するYBFOスト
イキオメトリックターゲットを同一条件下で2.7nm形
成後、YB2Cu3Ox(YBCO)薄膜13を150nm、3時間結
晶成長した。結晶成長後、酸素/アルゴン比1/3で40
0torrの雰囲気中で2時間かけて室温まで冷却した。次
に通例のリソグラフィー技術により、パターニングし、
Au電極16、17を形成した(図1(b))。
【0034】この接合の特性としては、臨界超電導電流
密度Jcは4×105A/cm2であり、接合抵抗Rnとの積は
液体窒素温度で5mVであった。上部のYBCO薄膜13とYB
CO薄膜11の超電導転移温度Tcはそれぞれ90Kと92
Kであった。本実施形態1では、(100)面方位の場合
を議論したが、(110)面方位でも同様の、SIS素子を
形成できる。(001)面方位の場合にも、同様にSIS構
造を実現できるが、YBFOの膜厚は1.2nm程度である。
更に、成膜後の酸素アニールは500℃で5時間追加す
る必要があった。
【0035】(実施形態2)図2は本発明の実施形態2
のSIS(超電導体/絶縁体/超電導体)構造及びそれを有す
る酸化物超電導体装置を示す断面図であり、図2(a)
は(100)面方位YBFO単結晶基板上に直接SIS構造を形
成した例を示し、図2(b)は図2(a)に示すSIS構
造を有する酸化物超電導体装置の例を示す図である。
【0036】図2(a)に示すように、(100)面方位
を有するYBa2Fe3Ox単結晶基板ウエーハ20上にオフア
クシスマグネトロン高周波スパッタ装置により、基板温
度710℃、酸素/アルゴン比9/1で80mtorrの雰囲
気中で40Wのプラズマ出力でYBa2Fe3Ox薄膜31を5
0nm成長した。次に、YBa2Cu3Ox薄膜21を100nm成
長した。更に、YBFO22を実施形態1と同一条件下で
3.2nm形成後、更に、YBa2Cu3Ox薄膜23を150nm、
3時間結晶成長した。結晶成長後、酸素/アルゴン比1/
3で400torrの雰囲気中で2時間かけて室温まで冷却
した。次に、通例のリソグラフィー技術により、パター
ニングしAu電極16、17を形成した(図2(b))。こ
の接合の特性としては、臨界超電導電流密度Jcは4×
105A/cm2で接合抵抗Rnとの積は液体窒素温度で3mV
であった。上部のYBCO薄膜23とYBCO薄膜21の超電導
転移温度Tcはそれぞれ90Kと92Kであった。
【0037】本実施形態2では、(100)面方位の場合
を議論したが、(110)面方位でも同様の、SIS素子を
形成できる。(001)面方位の場合にも、同様にSIS構
造を実現できるが、YBFOの膜厚は1.2nm程度である。
更に、成膜後の酸素アニールは500℃で5時間追加す
る必要があった。絶縁層のYBFOの膜厚は通例1.2〜5.
5nmの範囲で形成することが多い。YBCOだけでなくNBCO
においても有効である。
【0038】(実施形態3)次に、超電導配線に本発明
を適用した場合の実施形態3を積層型SISジョセフソン
接合を用いたSQUID(超電導量子干渉計)の配線に適用し
た場合について説明する。
【0039】本実施形態3のSQUIDの形成プロセスを図
3(a),(b),(c)を用いて説明する。図3
(a)に示す膜の積層構造は前記実施形態2と同じであ
る。図3(b)に示すように、SQUIDを構成するSIS接合
構造を、前記実施形態2と同様の方法で、2個YBFO基板
上に形成する。この時、実施形態2と同様の酸素アニー
ルを行う。この後、SIS接合のYBCO上部電極23と23'
を酸化物超電導体で配線する必要がある。そこで、YBFO
40を300nmを全面に被着させる(図3(b))。こ
の時にも、酸素アニールを施した。次に、図3(c)に
示すように、超電導配線を施すYBCO上部電極23と2
3'、及びYBCO下部電極21と21'の対応する部分にコ
ンタクトホールをテーパ状に開け、全面にYBCO24を3
00nm形成した。この時にも、酸素アニールを施した。
この場合、図3(c)では、必ずしも明瞭ではないが、
YBFOによる段差はラウンドさせて、上部のYBCO膜24中
にグレイン境界が発生しないように工夫する。例えば、
あらかじめSIS素子のメサ部分にテーパをつけてグレイ
ン境界が発生しないようにする。これは、グレイン境界
が弱結合のSNS型I−V特性になり、流せる超電導電流
が小さくなることを防ぐためである。その後YBCO24超
電導配線を加工しSQUIDを形成した。図3(c)では、
加工したYBCO24に直接取り出し電極36,37を取り
出した例を示したが、現実には、YBCO24超電導配線の
保護膜を形成する。また、このYBFO40は、SIS素子の
保護膜としても働いている。これは、周囲のYBCO,YBFO
と結晶構造が同じであるため、YBFO40が結晶成長して
しまう点で従来の半導体、超電導体デバイスと全く異な
るタイプであり、極めて強い保護膜となる。
【0040】この時、YBCO膜やYBFO薄膜はa軸配向であ
った。本実施形態3では、SIS構造でSQUIDを形成した
が、通例のSNS構造を用いて、本発明を形成しても同じ
効果が表れることは言うまでもない。特に、N層がYBCO
と同じ結晶構造をするZn,Co,Fe,Ni,GaドープYBCOやPBCO
を用いた時特に有効である。本SQUID素子は、最後の金
電極を除き全て同じ結晶構造の酸化物で形成されている
点で従来に無い高性能、高信頼性を実現している。例え
ば、従来のSQUIDセンサ(応用物理66巻No.4、377-380ペ
ージ、1997年参照)のグレイン接合に比べ、ノイズを1/
100にでき、熱雑音のみになった。
【0041】(実施形態4)次に、本発明を高周波フィ
ルターの保護膜に適用した場合の実施形態4を図4を用
いて説明する。
【0042】(001)面方位を有するLaAlO3単結晶基板
100上に実施形態1と同様にYBa2Cu3Ox薄膜25、2
5'を500nm形成後、フィルター用のパターニングに
加工した。その断面の一部を図4に示す。その後、保護
膜としてYBFO51を300nm形成した。
【0043】本実施形態4では、基板として、LaAlO3
示したが、サファイヤ、MgO,YBFOで形成しても良い。
【0044】以上の実施形態1〜4では、絶縁膜として
YBFOの例を示したが、薄膜としては、存在できるYBa2Cr
3O8-y,YBa2Al3O8-y,YBa2Ga3O8-y,YBa2Fe3-zCrzO8-yなど
の絶縁膜も有効である。特に、YBa2Cr3O8-yにするとYBF
Oより更にYBCOとの格子整合性はよくなる。酸化物超電
導体としては、YBa2Cu3Oxの場合も示したが、NdBa2Cu3O
xやSmBa2Cu3Oxの場合も有効である。この場合、絶縁膜
としては、NdBa2Fe3OxやSmBa2Fe3Oxが特に良質の格子整
合をする。
【0045】また、格子定数をさらに良く整合させるた
め絶縁膜としてのYBFOのBaの部分をSrやCaに置き換える
こともできる。この場合ReBa2-vSrvXn3O8-y(XnはFe,C
r,Al,Gaなどの+3価の金属元素,vはBaに対するSrの割
合である)絶縁体を用いることになる。
【0046】ところで、YBCOと格子整合性を改良する方
法として、YBFO系のBa原子をより小さいイオン半径を持
つSr,Ca原子に置き換える方法がある。これを次の実施
例で説明する。YBFOのBaをSrに置換するとc軸長が著し
く縮むことは、焼結体では、知られている。(例えば、
P.D.Battle等;ジャーナル オブ ソリッド ステイト ケ
ミストリー 79巻、1989年86ページから98ページ;テー
ブル4に1.1662nmと記されている。)(実施形態
5)実施形態1に示したSIS構造に本絶縁体を適用した
場合の実施形態を図6に示す。以下では、実施形態1と
異なる部分のみを説明する。絶縁体層122としてYBa
2xSr2(1-x)Fe3O8-yを2.7nm形成した。YBCOに格子整
合させるために、Baの割合xは0.05に選んでいる。
スパッタ条件等は同じである。CaはSrより更にイオン半
径が小さいので絶縁体層122として用いる場合、YBa
2xCa2(1-x)Fe3O8 -yのBaの割合xは0.3に選んでいる。
絶縁体層122の原子混合の割合xは、接合の相手とな
る超電導体に応じて調整できる。格子整合性を良くする
とSIS接合の形成部留りが向上し、接合のリーク電流低
減に効果がある。又、格子整合性の改善は、絶縁体層1
22上に形成した超電導体層13の超電導転移温度Tc
の向上に効果がある。
【0047】以上の説明からわかるように、本発明は、
123系酸化超電導体ReBa2Cu3Ox(RBCO)と同一結晶構造
を有し、格子定数の近いReBa2Xn3O8-y(RBXO)絶縁体を用
いてSIS接合を形成したり、酸化物超電導体による配線
間の絶縁材料として用いたり、酸化物超電導体素子の保
護膜に用いたり、YBFO単結晶基板として用いたりするこ
とができる。
【0048】以上、本発明を実施形態(実施例)に基づ
き具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定さ
れるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において
種々変更し得ることはいうまでもない。
【0049】
【発明の効果】本願によって開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以
下のとおりである。
【0050】本発明によれば、化学組成式ReBa2Cu3O
x(Reは希土類元素である)で表わされる酸化物超電導体
と、これと同一結晶構造を有する化学組成式ReBa2Xn3O
8-y(Reは希土類元素、XnはFe,Cr,Al,Gaなどの+3価の
金属元素である)で表わされる酸化物絶縁体との接合を
有することにより、 (1)ReBa2Xn3O8-yとReBa2Cu3Oxがほとんど同一の結晶
成長条件で形成できるので、格子整合性がよくなり、従
来不可能であったヒシテリスを持つ理想的SIS特性を実
現でき、Rn・Ic積が一桁以上高くでき、そのためサブ
ピコ秒の高速動作が実現できる。
【0051】(2)絶縁材料上に形成される酸化物超電
導体配線の超電導転移温度Tcの劣化が非常に少なく、
臨界超電導電流密度Jcを劣化させることがない。
【0052】(3)周囲とエピすることで極めて化学的
に安定な保護膜として使える。
【0053】(4)特に、YBFO,YBFCrOは、123系酸
化物超電導体薄膜の性質を劣化させることのない基板材
料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のSIS(超電導体/絶縁体/超
電導体)構造及びそれを有する酸化物超電導体装置を示
す断面図である。
【図2】本発明の実施形態2のSIS(超電導体/絶縁体/超
電導体)構造及びそれを有する酸化物超電導体装置を示
す断面図である。
【図3】本実施形態3のSQUIDの形成プロセスを説明す
るための図である。
【図4】本発明を高周波フィルターの保護膜に適用した
場合の実施形態4を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態のYBFO薄膜の物性測定図であ
る。
【図6】本発明の実施形態5のSIS(超電導体/絶縁体/超
電導体)構造及びそれを有する酸化物超電導体装置を示
す断面図である。
【符号の説明】
10…(100)YBCO単結晶基板、11,13,21,2
3…(100)YBCO薄膜、12,22,31…(100)YB
FO薄膜、20…(100)YBFO単結晶基板、40…YBFO層
間絶縁膜、24…YBCO配線、16,17,36,37…
Au電極、25,25'…YBCO薄膜、51…YBFO保護膜、
100…LaAlO3基板。
フロントページの続き (72)発明者 宇佐川 利幸 東京都江東区東雲一丁目14番3 財団法人 国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 鵜木 博海 東京都江東区東雲一丁目14番3 財団法人 国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 榎本 陽一 東京都江東区東雲一丁目14番3 財団法人 国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 石丸 喜康 東京都江東区東雲一丁目14番3 財団法人 国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成式ReBa2Cu3Ox(Reは希土類元素
    である)で表わされる酸化物超電導体と、これと同一結
    晶構造を有する化学組成式ReBa2Xn3O8-y(Reは希土類元
    素、XnはFe,Cr,Al,Gaなどの+3価の金属元素である)で
    表わされる酸化物絶縁体との接合を有することを特徴と
    する酸化物超電導体薄膜。
  2. 【請求項2】 化学組成式ReBa2Cu3Ox(Reは希土類元素
    である)で表わされる酸化物超電導体と、これと同一結
    晶構造を有する化学組成式ReBa2Xn3O8-y(Reは希土類元
    素、XnはFe,Cr,Al,Gaなどの+3価の金属元素である)で
    表わされる酸化物絶縁体との接合を有することを特徴と
    する酸化物超電導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の酸化物超電導体装置に
    おいて、前記ReBa2Cu3OxとReBa2Xn3O8-yを用いてReBa2C
    u3Ox/ReBa2Xn3O8-y/ReBa2Cu3Ox三層積層構造が形成され
    ていることを特徴とする酸化物超電導体装置。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の酸化物超電導体装置に
    おいて、ReBa2Xn3O8 -y酸化物絶縁体の上に前記ReBa2Cu3
    Oxからなる超電導配線が形成されてなり、このReBa2Cu3
    Ox配線はReBa2Xn3O8-y酸化物絶縁体を層間絶縁体とし
    て、下部に形成されるReBa2Cu3Ox配線と電気的に接続さ
    れていることを特徴とする酸化物超電導体装置。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至4のうちいずれか1項に記
    載の酸化物超電導体装置において、基板がReBa2Xn3O8-y
    酸化物絶縁体からなることを特徴とする酸化物超電導体
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至5のうちいずれか1項に記
    載の酸化物超電導体装置において、前記酸化物絶縁体は
    ReYn2Xn3O8-y(YnはBa,Sr,Ca原子のいずれか又はその混
    合体である)で形成されることを特徴とする酸化物超電
    導体装置。
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