JPH11171789A - 直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤 - Google Patents

直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤

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JPH11171789A
JPH11171789A JP9334421A JP33442197A JPH11171789A JP H11171789 A JPH11171789 A JP H11171789A JP 9334421 A JP9334421 A JP 9334421A JP 33442197 A JP33442197 A JP 33442197A JP H11171789 A JPH11171789 A JP H11171789A
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peptide hormone
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organic acid
rectal administration
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JP9334421A
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Hiromi Tazawa
博実 田澤
Madoka Ito
円 伊藤
Nobuo Funayama
宣夫 船山
Takashi Shibata
孝史 柴田
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Pola Chemical Industries Inc
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SRD KK
Pola Chemical Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨代謝関連ペプチドホルモンの薬効量を十分
に吸収させることが可能であり、さらに安全に使用でき
る直腸投与用の骨代謝関連ペプチドホルモン製剤を提供
する。 【解決手段】 直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン
製剤に、骨代謝関連ペプチドホルモンと共に、5個以下
の水酸基を有する、1気圧25℃で油状の、直鎖もしく
は分岐鎖脂肪族又は芳香族の、有機酸エステルを、配合
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は直腸投与用骨代謝関
連ペプチドホルモン製剤に関し、詳しくは骨代謝関連ペ
プチドホルモンの吸収性が促進され、さらに安全に使用
できる直腸投与用の骨代謝関連ペプチドホルモン製剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】骨代謝関連ペプチドホルモンはカルシウ
ムの代謝に関連し、骨粗鬆症等の治療に用いられてお
り、その代表的なものとしてサケカルシトニン、エルカ
トニン等が挙げられる。骨代謝関連ペプチドホルモンの
投与形態としては、骨代謝関連ペプチドホルモンがポリ
ペプチドであり、経口投与においては加水分解を受けて
失活し易いことから経口投与は行われておらず、注射剤
に製剤して投与するのが一般的であった。
【0003】しかし、治療のために骨代謝関連ペプチド
ホルモンの注射を行うことは、医者にとっては院外での
治療が困難であり、患者にとっては投薬の度に通院しな
ければならない、さらに回数が重なることにより注射部
位が無くなる等の不便が生じていた。
【0004】この様な状況下、骨代謝関連ペプチドホル
モンを分解することなく効率よく吸収させることが可能
な、注射剤以外の投与形態の検討がなされ、吸収促進剤
として非イオン界面活性剤、胆汁酸、胆汁酸塩等の界面
活性剤を使用したカルシトニンの直腸投与製剤が見出さ
れ(特公昭62−36498号公報)、新しい剤形への
道が拓かれた。
【0005】しかしながら、界面活性剤は一般に粘膜に
おいて刺激性を発現することがあるため、直腸投与用の
骨代謝関連ペプチドホルモン製剤において、骨代謝関連
ペプチドホルモンの吸収性を促進し、さらに安全に使用
できる製剤が求められるようになってきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点から
なされたものであり、骨代謝関連ペプチドホルモンの薬
効量を十分に吸収させることが可能であり、さらに安全
に使用できる直腸投与用の骨代謝関連ペプチドホルモン
製剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために、直腸粘膜において骨代謝関連ペプチド
ホルモンの吸収を促進する物質を求めて鋭意研究を重ね
た結果、常温において油状の有機酸エステルのうちの特
定のものが、骨代謝関連ペプチドホルモンの直腸投与時
の吸収性を著しく促進する作用を有することを見出し
た。さらに、これらの特定の有機酸エステルは粘膜に対
して極めて刺激性が低いことを見出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0008】すなわち本発明は、5個以下の水酸基を有
する、1気圧25℃で油状の、直鎖もしくは分岐鎖脂肪
族又は芳香族の有機酸エステルと、骨代謝関連ペプチド
ホルモンとを含有する直腸投与用骨代謝関連ペプチドホ
ルモン製剤である。
【0009】本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホ
ルモン製剤が含有する上記有機酸エステルとして具体的
には、上記性質を有する、フタル酸のジエステル、直鎖
モノ脂肪酸のエステル、クエン酸のトリエステル、脂肪
族カルボン酸のトリグリセライド、アジピン酸ジグリセ
リルの混合脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0010】また、本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプ
チドホルモン製剤が含有する上記有機酸エステルとし
て、好ましくは、上記性質に加えて、前記有機酸エステ
ルの有する炭素原子数が8〜30個であり、酸素原子数
が水酸基の酸素原子を含めて10個以下である、直鎖も
しくは分岐鎖脂肪族又は芳香族の有機酸エステルを挙げ
ることができ、この様な有機酸エステルとして具体的に
は、フタル酸ジオクチル、トリアセチン、ミリスチン酸
イソプロピル、クエン酸トリエチル、カプリル酸トリグ
リセライド等が挙げられる。
【0011】また、本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプ
チドホルモン製剤が含有する骨代謝関連ペプチドホルモ
ンとして具体的には、サケカルシトニン、エルカトニン
等が挙げられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤
は、5個以下の水酸基を有する、1気圧25℃で油状
の、直鎖もしくは分岐鎖脂肪族又は芳香族の、有機酸エ
ステルと、骨代謝関連ペプチドホルモンとを含有するも
のである。以下、本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチ
ドホルモン製剤の薬効成分である骨代謝関連ペプチドホ
ルモンについて説明し、次いで上記有機酸エステル、本
発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤の順
に説明する。 (1)骨代謝関連ペプチドホルモン 本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤に
用いる骨代謝関連ペプチドホルモンとしては、医薬品に
一般に用いられている骨代謝関連のペプチドホルモンで
あれば特に制限されず、生体由来のポリペプチドホルモ
ンのうち骨代謝関連のもの及びこれらをもとに改質され
た前記ポリペプチドホルモンの薬学上許容される誘導
体、さらにはこれらの化学合成品等を挙げることができ
る。
【0013】この様な骨代謝関連ペプチドホルモンとし
て、具体的には、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、
ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、サル、ヒト等の哺乳動物の
甲状腺から分泌されたカルシトニン;サケ、マス、ウナ
ギ、コイ、ヒラメ、タイ等の魚類、ニワトリ等の鳥類、
両生類の鰓後腺から分泌されたカルシトニン;及びこれ
らのカルシトニンをもとに改質された薬学上許容される
誘導体、さらには、化学的に合成された前記各種カルシ
トニンおよびその誘導体等が挙げられる。
【0014】これらのうちでも、本発明の直腸投与用骨
代謝関連ペプチドホルモン製剤においては、サケ由来の
カルシトニンであるサケカルシトニン、ウナギ由来のカ
ルシトニンの誘導体であるエルカトニン等が好ましく用
いられる。なお、上記サケカルシトニン、エルカトニン
は、上記同様、化学合成品であってもよい。
【0015】本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホ
ルモン製剤には、上記骨代謝関連ペプチドホルモンの唯
一種を用いることも、または、二種以上を組み合わせて
用いることも可能である。
【0016】本発明において使用される骨代謝関連ペプ
チドホルモンは、医薬品に一般に用いられている既知化
合物であり、例えば、上記生物の骨代謝関連ペプチドホ
ルモンを含有する器官から抽出等の通常採用される方法
により製造することができる。或いは、生物由来の骨代
謝関連ペプチドホルモンのうち、これと同じものを既知
の方法で合成できることが既に知られているものについ
ては、この様な方法により本発明に用いる骨代謝関連ペ
プチドホルモンを合成することも可能である。
【0017】さらに、骨代謝関連ペプチドホルモンのな
かには既に市販されているものもあり、市販品は入手も
容易であるので、これらを本発明に用いることも可能で
ある。この様な骨代謝関連ペプチドホルモンの市販品と
して、例えば、サケカルシトニンについては、マリンク
ロット・インターナショナル・コーポレーション製の
「サーモンカルシトニン」等が、エルカトニンについて
は、第一化学薬品製の「エルカトニン」等が挙げられ
る。また、本発明において使用される骨代謝関連ペプチ
ドホルモンは、医薬品製造のために行われる一般的な処
理、例えば、凍結乾燥等の処理、が施されたものであっ
てもよい。
【0018】(2)有機酸エステル 本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤
は、上記骨代謝関連ペプチドホルモンの他に、5個以下
の水酸基を有する、1気圧25℃で油状の、直鎖もしく
は分岐鎖脂肪族又は芳香族の、有機酸エステルを含有す
る。
【0019】本発明に用いる有機酸エステルとしては、
直鎖もしくは分岐鎖脂肪族の有機酸エステル又は芳香族
の有機酸エステル、言い換えれば、脂肪族環状構造を有
さない有機酸エステルであり、水酸基数が5個以下であ
って、1気圧25℃で油状の有機酸エステルであり、薬
学上許容されるものであれば特段の限定は受けないが、
本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤に
おいては、上記条件を満たし、さらに該有機酸エステル
を構成する炭素原子数が8〜30個であり、酸素原子数
が水酸基の酸素原子を含めて10個以下である有機酸エ
ステルがより好ましく用いられる。ここで、本明細書に
おいて用いる「油状」とは、一定の形を持たず流動性を
有する状態をいう。
【0020】本発明に用いる上記有機酸エステルとし
て、具体的には、芳香族有機酸エステルとして、水酸基
数が5個以下であり、1気圧25℃で油状の、フタル酸
ジエステル等が挙げられ、直鎖又は分岐鎖の脂肪族有機
酸エステルとして、水酸基数が5個以下であり、1気圧
25℃で油状の、直鎖モノ脂肪酸のエステル、クエン酸
のトリエステル、直鎖又は分岐鎖脂肪族カルボン酸のト
リグリセライド、アジピン酸ジグリセリルの直鎖又は分
岐鎖脂肪酸混合エステル等を挙げることができる。
【0021】本発明に用いる上記有機酸エステルとし
て、より具体的には、上記フタル酸ジエステルとして、
フタル酸のジエチル、ジブチル、ジオクチルや、フタル
酸とブチルアルコールおよびグリコール酸ブチルとのジ
エステルであるブチルフタリルブチルグリコレート等が
挙げられる。また、上記直鎖モノ脂肪酸のエステルとし
ては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等
と、イソプロピルアルコール、ブタノール等から得られ
る、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、
パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等が挙
げられ、上記クエン酸のトリエステルとしては、クエン
酸トリエチル等が挙げられる。
【0022】さらに、上記直鎖又は分岐鎖脂肪族カルボ
ン酸のトリグリセライドとしては、グリセリンと酢酸、
カプリル酸、カプリン酸等から得られるトリアセチン、
カプリル酸トリグリセライド、カプリン酸トリグリセラ
イド等が挙げられ、アジピン酸ジグリセリルの直鎖又は
分岐鎖脂肪酸混合エステルとしては、アジピン酸ジグリ
セリルと、カプリル酸、カプリン酸、イソステアリン
酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の混合脂肪酸エス
テルが挙げられる。
【0023】さらに、この様な有機酸エステルのうちで
も、本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製
剤においては、フタル酸ジオクチル、トリアセチン、ミ
リスチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、カプリ
ル酸トリグリセライド等をより好ましい有機酸エステル
として挙げることができる。
【0024】また、本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプ
チドホルモン製剤には、上記有機酸エステルの唯一種を
用いることも、または、二種以上を組み合わせて用いる
ことも可能である。
【0025】本発明で用いられる上記5個以下の水酸基
を有する、1気圧25℃で油状の、直鎖もしくは分岐鎖
脂肪族又は芳香族の、有機酸エステルは、本発明に用い
る上記有機酸エステルを得るための適当な原料成分、例
えば、適当な有機酸とアルコール等を含む原料成分を用
いて、通常の製造方法により製造することができる。
【0026】また、本発明に用いる上記性質を有する有
機酸エステルは、有機酸エステル単独の純正品として、
あるいはこれらを主成分として含む組成物として市販さ
れており、本発明においては、これらの市販品を用いる
ことも可能である。
【0027】この様な市販品のうち有機酸エステル単独
の純正品として、具体的には、フタル酸ジオクチル(和
光純薬製、1級)、トリアセチン(和光純薬製、特
級)、ミリスチン酸イソプロピル(日光ケミカルズ
製)、クエン酸トリエチル(ファイザー製、商品名:シ
トロフレックス−2)等が挙げられる。また、有機酸エ
ステルを主成分として含む組成物の市販品としては、ア
ジピン酸ジグリセリルの混合脂肪酸エステルを主成分と
するソフチザン649(商品名、ヒュルス社製)、カプ
リル酸トリグリセライドを主成分として含有する中鎖飽
和脂肪酸トリグリセリド混合物であるパナセート810
(商品名、日本油脂製)等が挙げられる。本発明の直腸
投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤に用いる上記有
機酸エステルは、後述の実施例に示される通り、直腸粘
膜からの骨代謝関連ペプチドホルモンの吸収を促進する
作用を有するとともに、粘膜に対する安全性にも極めて
優れている。
【0028】(3)本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプ
チドホルモン製剤 本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤
は、上記骨代謝関連ペプチドホルモン及び上記有機酸エ
ステルを含有するものである。
【0029】本発明の直腸投与用製剤における骨代謝関
連ペプチドホルモンの含有量は、製剤の剤形や適応対
象、投与頻度等にもよるが、薬効量に関しては、製剤1
個あたりの含有量として、概ね、400〜50IU単位
とすることが好ましく、380〜70IU単位とするこ
とがより好ましく、350〜80IU単位とすることが
さらに好ましい。また、重量%に関しては、製剤全量に
対して、概ね0.001〜40重量%とすることが好ま
しく、0.001〜30重量%とすることがより好まし
く、0.001〜20重量%とすることがさらに好まし
い。
【0030】なお、本明細書で用いるIU単位とは、体
重150gの雄ラットに24時間の絶食の後、検体を静
脈内注射した際に、その1時間後の血清カルシウム量が
絶食前の血清カルシウム量に対して約1%低下する検体
量の1000倍の量のことを言う。
【0031】また、本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプ
チドホルモン製剤における上記有機酸エステルの含有量
は、上記骨代謝関連ペプチドホルモン1IU単位に対し
て0.01〜10mgが好ましく、0.1〜5mgがよ
り好ましい。
【0032】本発明の直腸投与用製剤の剤形としては、
直腸投与に用いられている剤形であれば特段の限定なく
採用することができ、このような剤形として、例えば、
油脂を主成分とし紡錘形等に成形した坐剤やオイルゲル
坐剤、多価アルコール分散型水性坐剤、部分乳化型オイ
ルゲル坐剤等の坐剤やカプセル剤等を挙げることができ
る。
【0033】また、本発明の直腸投与用製剤の製剤化に
際しては、上記骨代謝関連ペプチドホルモン製剤及び上
記有機酸エステル以外に、一般に製剤上許容される基
剤、賦形剤、乳化・可溶化・分散剤、安定剤、pH調整
剤、等張剤等の直腸投与用製剤において一般的に用いら
れている任意成分を任意の量、用いることが可能であ
り、各種剤形にあわせて適宜選択した任意成分と上記骨
代謝関連ペプチドホルモン製剤及び上記有機酸エステル
を、各種剤形に通常用いられる製剤方法に従って製剤化
することにより本発明の直腸投与用製剤を得ることがで
きる。
【0034】例えば、本発明の直腸投与用製剤を坐剤と
する場合には、本発明の製剤の必須成分である上記骨代
謝関連ペプチドホルモン製剤及び上記有機酸エステルと
坐剤用基剤並びにその他の任意成分をそれぞれ所定量と
り、必要に応じて加温して攪拌機、擂潰機等を用いて緊
密に分散せしめ、40℃程度に加温した分散液を鋳型に
注型し冷却する等の方法を採ることができる。また、カ
プセル剤とする場合には、上記同様にして得られる分散
液をソフトカプセル製造機等を用いてゼラチンカプセル
中に充填して成形する方法等が挙げられる。
【0035】本発明の直腸投与用製剤に用いる上記任意
成分のうち基剤として具体的には、ハードファット、カ
カオ脂、ラノリン等の動植物油脂;ワセリン、固形パラ
フィン等の鉱物油脂;ステアリルステアレート、セチル
ステアレート等の合成エステル類;ステアリン酸等の脂
肪酸類;セタノール、オレイルアルコール等の高級アル
コール類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール等の多価アルコール類等が挙げられる。本発明の直
腸投与用製剤に用いるのための基剤として上記化合物が
適当に配合されたウイテプゾールW35(商品名、販売
元:ミツバ貿易)等の市販品を用いることも可能であ
る。
【0036】また、賦形剤として具体的には、マンニト
ール等の糖アルコール類、乳糖等の糖類等を挙げること
ができ、さらにpH調整剤として具体的には、クエン
酸、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0037】さらに本発明の直腸投与用製剤には、本発
明の効果を損なわない限りにおいて、上記有機酸エステ
ル以外に、非イオン界面活性剤や胆汁酸類等の骨代謝ペ
プチドホルモンの直腸吸収を促進する物質を配合するこ
とも可能である。
【0038】この様にして得られる本発明の直腸投与用
骨代謝関連ペプチドホルモン製剤の投与に関して、投与
量や投与頻度等は、症状、年齢、体重、同時投与の有無
等により適宜決定されるものである。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明がこれらに限定を受けないことは言う
までもない。なお、以下の実施例および比較例において
使用した原料成分の製造元あるいは販売元を表1に示
す。
【0040】
【表1】
【0041】
【実施例1〜6】 サケカルシトニン坐剤 表2に示すAの各成分を乳鉢にて混合後、B成分と加熱
溶解したC成分を加えて混合し、冷却固化してサケカル
シトニン坐剤を作製した。
【0042】また、表3に示す成分を用いて、上記実施
例と同様にして、比較例のサケカルシトニン坐剤及びサ
ケカルシトニンを含有しないコントロールの坐剤を作製
した。
【0043】
【表2】 *:サケカルシトニンについては、配合量の単位はIU単位である。
【0044】
【表3】 *:サケカルシトニンについては、配合量の単位はIU単位である。
【0045】
【実施例7〜9】 エルカトニン坐剤 表4に示すAの各成分を乳鉢にて混合後、B成分と加熱
溶解したC成分を加えて混合し、冷却固化してエルカト
ニン坐剤を作製した。また、上記実施例と同様にして表
4に示す成分を用いて、エルカトニンを含有しないコン
トロールの坐剤を作製した。
【0046】
【表4】 *:エルカトニンについては、配合量の単位はIU単位である。
【0047】<本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチド
ホルモン製剤の評価>上記各実施例及び比較例で得られ
たサケカルシトニン坐剤、エルカトニン坐剤を用いて、
本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤に
おける骨代謝関連ペプチドホルモンの直腸吸収性を試験
した。また、本発明の製剤に用いる各種有機酸エステル
の粘膜刺激性の試験を行った。
【0048】(1)直腸吸収性試験 直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤を直腸内投
与した後の血清中カルシウム濃度を経時的に測定するこ
とにより、骨代謝関連ペプチドホルモンの直腸吸収性を
評価した。ここで、上述の通り骨代謝関連ペプチドホル
モンは、血中カルシウム濃度を低下させる作用を有する
ことから、直腸からの吸収性がよいほど血液内のカルシ
ウムを代謝しカルシウム濃度を低下させることになる。 (a)サケカルシトニン坐剤投与後の血清中カルシウム
濃度の測定1 5匹ずつ7群のSD系雄性ラットを用いて試験を行っ
た。まず、前記7群のラットのそれぞれについて血清中
カルシウム濃度を測定しこれを、投与直前の値とした。
次いで、これらのうち5群について各群毎にラットのそ
れぞれに、上記実施例1、2または、比較例1、2で得
られたサケカルシトニン坐剤、またはコントロールの坐
剤を、100mgずつ直腸内投与した。また、残りの2
群には、それぞれ、生理食塩水にサケカルシトニンを1
5IU単位/mlの割合で溶解させた注射液(以下、
「筋注1」と呼ぶこともある)、または1.5IU単位
/mlの割合で溶解させた注射液(以下、「筋注2」と
呼ぶこともある)の0.1mlずつを注射により筋肉内
投与した。各群のラットについて投与後の血清中カルシ
ウム濃度を経時的に測定した。結果を5匹の平均値とし
て標準偏差とともに表5に示す。また、上記各群の測定
値の平均値において、投与直前の血清中カルシウム濃度
に対する各測定時の血清中カルシウム濃度の割合を百分
率(%)で求めた。その結果を図1に示す。
【0049】
【表5】
【0050】(b)サケカルシトニン坐剤投与後の血清
中カルシウム濃度の測定2 5匹ずつ3群のSD系雄性ラットを用いて試験を行っ
た。まず、前記3群のラットのそれぞれについて血清中
カルシウム濃度を測定しこれを、投与直前の値とした。
次いで、これらのうち2群について各群毎にラットのそ
れぞれに、上記実施例3または4で得られたサケカルシ
トニン坐剤を、100mgずつ直腸内投与した。また、
残りの1群のラットには、生理食塩水にサケカルシトニ
ンを1.5IU単位/mlの割合で溶解させた注射液の
0.1mlずつを注射により筋肉内投与した。各群のラ
ットについて投与後の血清中カルシウム濃度を経時的に
測定した。結果を5匹の平均値として標準偏差とともに
表6に示す。また、上記各群の測定値の平均値におい
て、投与直前の血清中カルシウム濃度に対する各測定時
の血清中カルシウム濃度の割合を百分率(%)で求め
た。その結果を図2に示す。
【0051】
【表6】
【0052】(c)サケカルシトニン坐剤投与後の血清
中カルシウム濃度の測定3 5匹ずつ3群のSD系雄性ラットを用いて試験を行っ
た。まず、前記3群のラットのそれぞれについて血清中
カルシウム濃度を測定しこれを、投与直前の値とした。
次いで、これらのうち2群について各群毎にラットのそ
れぞれに、上記実施例6で得られたサケカルシトニン坐
剤またはコントロールの坐剤を、100mgずつ直腸内
投与した。また、残りの1群のラットには、生理食塩水
にサケカルシトニンを1.5IU単位/mlの割合で溶
解させた注射液の0.1mlずつを注射により筋肉内投
与した。各群のラットについて投与後の血清中カルシウ
ム濃度を経時的に測定した。結果を5匹の平均値として
標準偏差とともに表7に示す。また、上記各群の測定値
の平均値において、投与直前の血清中カルシウム濃度に
対する各測定時の血清中カルシウム濃度の割合を百分率
(%)で求めた。その結果を図3に示す。
【0053】
【表7】
【0054】これらの結果から、上記実施例で得られた
サケカルシトニン坐剤を投与した場合には、有機酸エス
テルを含有しない比較例1のサケカルシトニン坐剤を投
与した場合に比べて、血清中のカルシウム濃度の低下は
持続的であり、その程度は、界面活性剤を含有する従来
のサケカルシトニン坐剤を投与した場合、あるいはサケ
カルシトニンの注射による筋肉内投与の場合と同等であ
ることがわかった。つまり、上記実施例で得られたサケ
カルシトニン坐剤を投与すれば、界面活性剤を含有する
従来のサケカルシトニン坐剤の投与と同等にサケカルシ
トニンを直腸から吸収させることが可能であり、また、
サケカルシトニンの注射による筋肉内投与と同等の薬効
が示されることが確認された。
【0055】(d)エルカトニン坐剤投与後の血清中カ
ルシウム濃度の測定 5匹ずつ5群のSD系雄性ラットを用いて試験を行っ
た。まず、前記5群のラットのそれぞれについて血清中
カルシウム濃度を測定しこれを、投与直前の値とした。
次いで、これらのうち4群について各群毎にラットのそ
れぞれに、上記実施例7〜9で得られたエルカトニン坐
剤またはコントロールの坐剤を、100mgずつ直腸内
投与した。また、残りの1群のラットには、生理食塩水
にエルカトニンを50IU単位/mlの割合で溶解させ
た注射液の0.1mlずつを注射により筋肉内投与し
た。各群のラットについて投与後の血清中カルシウム濃
度を経時的に測定した。結果を5匹の平均値として標準
偏差とともに表8に示す。また、上記各群の測定値の平
均値において、投与直前の血清中カルシウム濃度に対す
る各測定時の血清中カルシウム濃度の割合を百分率
(%)で求めた。その結果を図4に示す。
【0056】
【表8】
【0057】この結果から、上記実施例で得られたエル
カトニン坐剤を投与した場合には、血清中のカルシウム
濃度の低下は持続的であり、その程度は、エルカトニン
の注射による筋肉内投与の場合と同等であることがわか
った。つまり、上記実施例で得られたエルカトニン坐剤
を投与すれば、エルカトニンの注射による筋肉内投与と
同等の薬効が示されることが確認された。
【0058】(2)粘膜刺激性試験 以下の方法で本発明の製剤に用いられる各種有機酸エス
テルの粘膜刺激性の試験を行った。まず、表9に示す処
方成分を均一に懸濁させることによって、粘膜刺激性試
験に用いる検体を作製した。但し、表中イ〜ニは本発明
の製剤に用いられる有機酸エステルを含有する実施例処
方、ホは従来の界面活性剤を含有する比較例処方であ
る。粘膜刺激性試験は、6羽ずつ5群のニュージーラン
ドホワイト種のウサギ(体重2〜3Kg)を用いたアイ
テストにより行われた。すなわち、ウサギの眼瞼のまわ
りの毛を除毛し、左眼に検体0.1mlを点眼し、点眼
直後、1時間後、2時間後に反応を以下に示すドレーズ
の基準で判定した。結果を各試験群毎に6羽の平均とし
て表10に示す。
【0059】<ドレーズの基準> (−) : 無反応 (±) : 微弱な充血 (+) : 強度の充血 (+〜++): 弱度の浮腫 (++) : 強度の浮腫
【0060】
【表9】 *:サケカルシトニン及びエルカトニンについては、配合量の単位はIU単位で ある。
【0061】
【表10】
【0062】この結果から、本発明の直腸投与用骨代謝
関連ペプチドホルモン製剤に用いられる各種有機酸エス
テルを含む検体においては、従来の直腸投与用骨代謝関
連ペプチドホルモン製剤に用いられる界面活性剤を含む
検体が強い粘膜刺激性を示しているのに対して、粘膜刺
激性がほとんどないことがわかる。
【0063】
【発明の効果】本発明の直腸投与用骨代謝関連ペプチド
ホルモン製剤においては、含有する骨代謝関連ペプチド
ホルモンの薬効量を直腸より十分に吸収させることが可
能であり、さらに安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1、2のサケカルシトニン坐剤投与後
のラットの血清中カルシウム濃度の経時変化を投与前の
血清中カルシウム濃度に対する百分率(%)で示すグラ
フである。
【図2】 実施例3、4のサケカルシトニン坐剤投与後
のラットの血清中カルシウム濃度の経時変化を投与前の
血清中カルシウム濃度に対する百分率(%)で示すグラ
フである。
【図3】 実施例6のサケカルシトニン坐剤投与後のラ
ットの血清中カルシウム濃度の経時変化を投与前の血清
中カルシウム濃度に対する百分率(%)で示すグラフで
ある。
【図4】 実施例7〜9のエルカトニン坐剤投与後のラ
ットの血清中カルシウム濃度の経時変化を投与前の血清
中カルシウム濃度に対する百分率(%)で示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船山 宣夫 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560ポーラ化 成工業株式会社戸塚研究所内 (72)発明者 柴田 孝史 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560ポーラ化 成工業株式会社戸塚研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5個以下の水酸基を有する、1気圧25
    ℃で油状の、直鎖もしくは分岐鎖脂肪族又は芳香族の有
    機酸エステルと、骨代謝関連ペプチドホルモンとを含有
    する直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製剤。
  2. 【請求項2】 前記有機酸エステルが、フタル酸のジエ
    ステル、直鎖モノ脂肪酸のエステル、クエン酸のトリエ
    ステル、脂肪族カルボン酸のトリグリセライド、アジピ
    ン酸ジグリセリルの混合脂肪酸エステルから選ばれる請
    求項1記載の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホルモン製
    剤。
  3. 【請求項3】 前記有機酸エステルの有する炭素原子数
    が8〜30個であり、酸素原子数が水酸基の酸素原子を
    含めて10個以下である請求項1記載の直腸投与用骨代
    謝関連ペプチドホルモン製剤。
  4. 【請求項4】 前記有機酸エステルがフタル酸ジオクチ
    ル、トリアセチン、ミリスチン酸イソプロピル、クエン
    酸トリエチルおよびカプリル酸トリグリセライドから選
    ばれる請求項3記載の直腸投与用骨代謝関連ペプチドホ
    ルモン製剤。
  5. 【請求項5】 前記骨代謝関連ペプチドホルモンがサケ
    カルシトニンおよびエルカトニンから選ばれる請求項1
    〜4のいずれか1項記載の直腸投与用骨代謝関連ペプチ
    ドホルモン製剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008143894A (ja) * 2006-11-17 2008-06-26 Taisho Pharmaceutical Co Ltd 坐剤

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