JPH11170076A - チタン被覆鋼材の製造方法 - Google Patents

チタン被覆鋼材の製造方法

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JPH11170076A
JPH11170076A JP9339056A JP33905697A JPH11170076A JP H11170076 A JPH11170076 A JP H11170076A JP 9339056 A JP9339056 A JP 9339056A JP 33905697 A JP33905697 A JP 33905697A JP H11170076 A JPH11170076 A JP H11170076A
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JP
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titanium
steel
titanium foil
carbon
thickness
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JP9339056A
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Inventor
Tomotaka Hayashi
智隆 林
Nobuo Hatano
伸雄 波多野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys
    • B23K2103/04Steel or steel alloys

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  • Laser Beam Processing (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】製品の製造コストを大幅に低減することができ
るだけでなく、熱変形(しわ)を生じさせることなく、
しかも健全な接合強度をもって母材鋼材の表面にチタン
箔材を被覆することが可能なチタン被覆鋼材の製造方
法。 【解決手段】0.03重量%以上の炭素を含有する母材
鋼材の表面上に、純ニッケル、純鉄および炭素含有量が
0.01重量%以下の低炭素鋼のうちのいずれかからな
る厚さ20μm以上のインサート材を介在させてチタン
箔材を積層配置し、その積層方向からレーザビームを照
射してチタン箔材の少なくとも縁部近傍を全周にわたっ
て母材鋼材と溶融接合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば土木用や建
築用の高強度部材などとして用いられ、耐食性を向上さ
せるために、表面にチタン箔材が冶金的に接合被覆され
たチタン被覆鋼材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタンは、強度と耐候性に優れ、また景
観的にも優れていることから、各種用途への適用が広が
っているが、鉄鋼材料と比較して非常に高価格である。
【0003】このため、従来より、大部分を価格の低い
鉄鋼材料でまかない、耐候性などを確保しなければなら
ない側の面のみをチタンにするために、鋼材表面にチタ
ンを冶金的に接合させたチタンクラッド鋼と称されるチ
タン被覆鋼材や、鋼材表面にチタンの箔材を接着剤で貼
着したチタン被覆鋼材の開発が進められいて、その利用
が図られている。
【0004】上記のチタン被覆鋼材のうち、鋼材表面に
チタンを冶金的に接合させたチタンクラッド鋼と称され
るチタン被覆鋼材は、通常、爆着法やロール圧延法で製
造される。しかし、これらの方法は、特殊な工程を経る
方法であるため、非常に高価で、しかも製造可能な製品
形状が限られるなどの製造制約が多い。このため、この
チタンクラッドを素材にして所定の製品形状に加工する
と、その製品の製造コストは、チタンのみを用いた製品
の製造コストと大差ないものになる。
【0005】上記のチタンクラッド鋼は、拡散接合法、
すなわちチタンと鋼材との間に低融点のインサート材を
挿入して被接合部を加熱(熱処理)する方法で製造され
ることもある。しかし、この拡散接合法では、チタンと
鋼材の線膨張係数が異なるために、チタンが箔レベルの
薄いものであると、チタンの表面に加熱に起因する熱変
形(しわ)が発生して製品にならない。このため、チタ
ンの厚さを最低でも鋼材の厚さの数分の1程度と厚くす
る必要があるほか、その加熱条件に多くの制約があり、
厳しく管理された炉で熱処理する必要があるので、製品
の製造コストが高い。また、被接合部を加熱する方法で
あるので、製造可能な製品形状が限られるほか、両者が
本質的に融合していないために接合強度が十分でない。
【0006】また、チタンクラッド鋼は、肉盛溶射法、
すなわち鋼材表面にチタンの肉盛溶射層を形成する方法
で製造されることもある。しかし、この肉盛溶射法で
は、箔レベルの薄いチタンの肉盛溶射層を均一厚さに形
成させることが困難で、かなり厚いチタンの肉盛溶射層
を形成させる必要がある上に、コストのかかる方法であ
るので、製品の製造コストが高い。しかも、その肉盛溶
射層の表面性状は、ロール圧延法などで製造されたもの
と比べると格段に悪く、研磨加工などする必要がある。
【0007】ところで、表面にチタン、なかでもチタン
箔材を被覆したチタン被覆鋼材の大半は、チタン箔材そ
れ自体に垂直な力(母材鋼材の表面に沿ってチタン箔材
を位置移動させる方向の力)がほとんど作用することが
ないような構造部材、具体的には例えば建築構造物の壁
面パネルや矢板などの部材として使用される。
【0008】従って、鋼材表面のチタン箔材は、上記の
爆着法やロール圧延法、さらには拡散接合法や肉盛溶射
法による場合のように、その全面を鋼材に対して冶金的
に接合させる必要はなく、部分的に溶接接合すれば十分
であり、この場合、作業性に優れるので、製造コストの
大幅な低減が図られる。
【0009】しかし、チタンと鋼材は、両者を直接合わ
せると、うまく溶接できず簡単に剥離してしまう。これ
は、チタンと鋼材を直接合わせて溶接接合すると、その
溶接ビードにおける肉厚方向のチタンと炭素の濃度分布
が、概略、図3に示すような状態になり、溶接金属中に
TiCが多量に析出して溶接金属が脆化し、溶接部の強
度が極端に低下するためである。また、薄いチタン箔材
は、上記の拡散接合法による場合と同様に、溶接時の熱
歪みによってチタン箔材が熱変形するために、被覆する
ことが非常に難しい。
【0010】なお、接着剤を用いて鋼材表面にチタンの
箔材を貼着したチタン被覆鋼材は、使用中に接着剤が脆
化し、数年後にチタンの箔材が剥離するという欠点を有
している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鋼材
表面にチタン箔材を被覆する際、チタン箔材に熱変形
(しわ)を生じさせることなく、しかも健全な接合強度
を持って作業性よく溶接接合被覆することが可能で、製
品の製造コストを大幅に低減することができるのみなら
ず、チタン箔材が長期間にわたって剥離することのない
チタン被覆鋼材の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次のチ
タン被覆鋼材の製造方法にある。
【0013】チタン箔材が表面に被覆されたチタン被覆
鋼材の製造方法であって、0.03重量%以上の炭素を
含有する母材鋼材の表面上に、純ニッケル、純鉄および
炭素含有量が0.01重量%以下の低炭素鋼のうちのい
ずれかからなる厚さ20μm以上のインサート材を介在
させてチタン箔材を積層配置した後、その積層方向のい
ずれか一方側からレーザビームを照射し、前記チタン箔
材の少なくとも縁部近傍を全周にわたって母材鋼材と溶
融接合させる方法。
【0014】上記の本発明において、レーザビームは、
母材鋼材の溶融深さが3mm以下になるように照射する
のが好ましい。また、インサート材の上限厚さは100
μmとするのが好ましい。
【0015】上記の本発明は、以下に述べる知見に基づ
いてなされた。すなわち、本発明者らは、上記の目的を
達成するために、鋭意検討を行う一方、数多くの実験を
行った結果、次のことを知見した。
【0016】先ず第1に、溶接時の熱歪みによってチタ
ン箔材が熱変形するのを抑制防止するためには、高いエ
ネルギ密度を有する溶接熱源を用いるのが有効であり、
なかでも大気中で何らの問題もなく溶接することがで
き、しかも作業性に優れるレーザビーム溶接法を用いる
のが最も有効である。すなわち、レーザビーム溶接法を
用いる場合には、その溶接条件を適正に選定すること
で、厚さが数10μmという非常に薄いチタン箔材で
も、熱変形を生じさせることなく、被覆できることを知
見した。
【0017】第2に、レーザビーム溶接法を用いる場合
には、例えば特開昭62−176693号公報に示され
るように、他の溶接方法比べて溶融金属の肉厚方向(溶
融深さ方向)への攪拌が小さい。このため、溶融金属が
あまり肉厚方向に攪拌されない間に凝固が完了し、肉厚
方向の成分撹拌が抑制されるので、チタン箔材表面の溶
接部分の耐候性がほとんど劣化しないことを知見した。
【0018】第3に、その溶接部に健全な接合強度を持
たせるには、溶接金属を脆化させるTiCの析出を防止
する必要があるが、それには強度部材として使用可能な
0.03重量%以上の炭素を含有する鋼材とチタン箔材
を直接合わせて溶接したのではだめで、両者の間に、純
ニッケル、純鉄および炭素含有量が0.01重量%以下
の低炭素鋼のうちのいずれかからなる厚さ20μm以上
のインサート材を介在させる必要があることを知見し
た。
【0019】すなわち、鋼材とチタンのような異材に限
らず、別々の材料を直接合わせて溶接接合する場合、両
者はその接合界面が消失しないと冶金的に接合しない。
【0020】ところが、実験の結果、強度部材として使
用できない炭素含有量が0.01重量%以下の低炭素鋼
とチタンを直接合わせてレーザビーム溶接接合した場合
には、溶接金属中にTiCが全く析出しないか、析出し
ても極めて少ないことが確認された。
【0021】これに対し、上記の高強度部材として使用
可能な0.03重量%以上の炭素を含有する鋼材とチタ
ンを直接合わせてレーザビーム溶接接合した場合には、
溶接条件をどのように選定しても、その溶接ビードにお
ける肉厚方向のチタンと炭素の濃度分布が、いずれの場
合も、前述した図3に示すような状態になり、溶接金属
中にTiCが多量に析出して溶接金属が脆化し、簡単に
剥離することが確認された。
【0022】つまり、0.03重量%以上の炭素を含有
する鋼材とチタンは、両者を直接合わせて溶接接合する
限り、たとえ溶融金属の肉厚方向への攪拌が小さいレー
ザビーム溶接法を用いたとしても、溶接金属中にTiC
が多量に析出するのを防ぐことは不可能であることが確
認された。
【0023】従って、TiCの多量な析出を防いで健全
な接合強度を有するように接合するためには、従来同様
に、両者の界面における成分拡散を防止するためのニッ
ケル製や純鉄製のインサート材(<溶接の実際シリーズ
>7 クラッド鋼溶接の実際P58−2.6.2項 社
団法人 日本高圧力技術協会編 1992.9.10
産報出版株式会社 初版発行 参照)、さらには上記の
炭素含有量が0.01重量%以下である低炭素鋼製から
なる厚さ20μm以上のインサート材を介在させる必要
があることを知見した。
【0024】なお、レーザビーム溶接法以外の溶融溶接
方法では、かなり厚いインサート材を用いても、溶融金
属の凝固が遅く、しかも肉厚方向への溶融金属攪拌が起
こるために、溶接金属中にTiCが多量に析出して溶接
金属が脆化し、溶接部の接合強度が極端に低下して簡単
に剥離することが確認された。
【0025】また、上記のインサート材を介在させ、爆
着法やロール圧延法、さらには拡散接合法で製造したも
のと接合強度を比べた結果、爆着法やロール圧延法、さ
らには拡散接合法で製造したものは、両者が本質的に融
合していないために、レーザビームを用いて溶接したも
のに比べて接合強度が低いことが確認された。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法について、添
付図面を参照して、詳細に説明する。
【0027】図1は、本発明の実施状態を示す斜視図
で、図に示すように、0.03重量%以上の炭素を含有
する母材鋼材1の一方の表面上には、純ニッケル、純鉄
および炭素含有量が0.01重量%以下の低炭素鋼のう
ちのいずれかからなるインサート材2を介してチタン箔
材3が積層配置される。
【0028】そして、通常は、チタン箔材3の表面側か
ら母材鋼材1の表層部にまで達するレーザビーム4を照
射し、チタン箔材3の縁部近傍を全周にわたって線溶接
することで、チタン箔材3、インサート材2および母材
鋼材1の3者をそれぞれ溶融凝固させた溶接ビード5を
形成させる。なお、線溶接は、チタン箔材3の表面中央
部を対象に、複数条施すのがより好ましい。
【0029】ここで、0.03重量%以上の炭素を含有
する母材鋼材1を用いるのは、炭素含有量が0.03重
量%未満の鋼材は強度が低く、例えば建築構造物の壁面
パネルや矢板などの高強度部材として使用できないため
である。
【0030】また、純ニッケル、純鉄および炭素含有量
が0.01重量%以下の低炭素鋼のうちのいずれかをイ
ンサート材2として用いるのは、これ以外の材料、特に
炭素含有量が0.01重量%を超える炭素鋼をインサー
ト材として用いたのでは、溶接金属中にTiCが多量に
析出するのを防ぐことができないためである。
【0031】レーザビーム溶接法を用い、上記のように
して、0.03重量%以上の炭素を含有する母材鋼材1
の表面上にチタン箔材3を溶融接合させる場合には、溶
融金属が肉厚方向にほとんど撹拌されないので、形成さ
れた溶接ビード5における肉厚方向の成分濃度分布が、
概略、図2に示すような状態になる。
【0032】すなわち、インサート材2と接触する母材
鋼材1およびインサート材3のそれぞれの界面近傍には
成分の攪拌がみられるが、最も重要なチタン箔材3とイ
ンサート材2の間には溶接金属を脆化させるTiCが全
く析出しないか、仮に析出しても極めて少ない。また、
母材鋼材1とインサート材3もなんらの異常もなく溶融
接合される。その結果、全体が良好な溶接品質の溶接金
属からなる溶接ビード5が形成され、溶接部の接合強度
が極端に低下することがないので、チタン箔材3が母材
鋼材1に対して強固に接合されて簡単に剥離することが
ない。
【0033】また、チタン箔材3は、レーザビーム4が
高いエネルギ密度を有し、溶接入熱量が少ないために、
その厚さT3 (図1参照)が20μm程度と薄いもので
あっても、熱変形することがない。
【0034】さらに、チタン箔材3の溶接部表面のTi
濃度は、溶融金属が肉厚方向でほとんど撹拌しないため
にほぼ元の濃度に維持されるので、耐候性が劣化するこ
とはない。
【0035】本発明において用いるインサート材2のう
ち、低炭素鋼製のインサート材は、上記したように、炭
素含有量が0.01重量%以下のものであれば十分であ
るが、好ましくは炭素含有量が0.005重量%以下の
ものであることが望ましく、この場合には溶接金属中に
TiCが析出するのをより確実に防ぐことができる。
【0036】インサート材2は、その厚さT2 (図1参
照)が20μm未満であると介在させる意味がなくなる
ので、少なくとも20μm以上、より好ましくは50μ
m以上のものを用いる必要がある。なお、その厚さT2
が100μmを超えると、インサート材自体の強度が低
いので、母材鋼材1とインサート材2の接合部のインサ
ート材2部分で容易に破断するようになる。従って、そ
の上限厚さは、100μmとするのが望ましい。
【0037】インサート材2として低炭素鋼を用いるに
際しては、炭素含有量が高めの場合は厚さT2 が可及的
に厚いものを用いるのが望ましく、逆に炭素含有量が低
めの場合は厚さT2 が可及的に薄いものを用いるのが望
ましい。
【0038】レーザビーム4は、母材鋼材1の溶融深さ
D(図1参照)が3mm以下になるように照射するのが
望ましい。これは、母材鋼材1の溶融深さDが3mm超
になるようにレーザビーム4照射すると、溶接入熱量が
多くなりすぎてチタン箔材3が熱変形しやすくなるだけ
でなく、熱影響部が脆化し、この部分で容易に破断する
ようになるためである。
【0039】なお、レーザビーム4は、前述したよう
に、通常、チタン箔材3に表面側から照射されるが、母
材鋼材1の厚さT1 (図1参照)が3mm以下の場合に
は、母材鋼材1の裏面側からチタン箔材3の裏面に達す
るように照射してもよい。
【0040】また、レーザ溶接機としては、炭酸ガスレ
ーザ溶接機やYAGレーザ溶接機が使用でき、いずれの
溶接機を用いても、得られる結果は同じである。
【0041】さらに、上記した本発明の方法は、溶接入
熱量の小さいレーザビームで溶融接合させるので、溶接
金属の組織が微細で、しかも熱影響部の性能劣化が少な
いために、溶接後、雰囲気炉などを用いての後熱処理を
施す必要がない。このため、レーザビーム溶接機を持ち
込めばどのような場所でも実施可能であり、種々の鋼材
が使用される作業現場においても簡単に実施することが
できる。
【0042】
【実施例】表1に示す、母材鋼材と厚さのみが異なるチ
タン箔材、並びに厚さのみが異なる純ニッケル製のイン
サート材、および炭素含有量と厚さが異なる低炭素鋼製
のインサート材を準備した。
【0043】
【表1】
【0044】次いで、母材鋼材の一方の表面上に、上記
のインサート材とチタン箔材を、表2および表3に示す
組み合わせで積層配置し、一部の積層材を除いて、チタ
ン箔材の表面側からレーザビームを照射して線溶接し
た。
【0045】この時、レーザ溶接機には、ビーム直径が
0.3mm、焦点距離が100mmの光学系を備えた最
大出力1kWの連続出力型の炭酸ガスレーザ溶接機を用
い、レーザ出力を調整することにより、母材鋼材の溶融
深さを種々変化させた。
【0046】そして、得られた各チタン被覆鋼材から、
溶接線が幅方向に延在する幅25mmの試験片を切り出
し採取し、溶接線1cm当たり10kgの力で母材鋼材
とチタン箔材を逆方向に引っ張る剥離試験を行い、溶接
部での剥離の有無を調べることにより、溶接部の品質
(接合強度)を評価した。
【0047】また、得られた各チタン被覆鋼材の被覆表
面を目視観察し、チタン箔材の熱変形(しわ)の発生有
無を調べた。
【0048】なお、上記の剥離試験は、通常、この種の
チタン被覆鋼材の良否判定に適用される試験に相当す
る。
【0049】上記2つの調査結果を、純ニッケル製のイ
ンサート材を用いた場合については表2に、低炭素鋼製
のインサート材を用いた場合については表3に、それぞ
れまとめて示した。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】表2と表3に示す結果から明らかなよう
に、本発明で規定する条件のもとにレーザ溶接して得ら
れた本発明例のチタン被覆鋼材(試番A1、A3〜A1
3、B1〜B2およびB6〜B16)には、一部のチタ
ン被覆鋼材(試番A7、A8、B10およびB11)を
除いてチタン箔材に熱変形(しわ)は発生しておらず、
溶接部も剥離しなかった。
【0053】これに対し、インサート材を介在させずに
レーザ溶接して得られた比較例のチタン被覆鋼材(試番
A14〜A16およびB17〜B19)には、チタン箔
材に熱変形(しわ)は発生しなかったが、溶接部が剥離
した。
【0054】また、インサート材は介在させたが、その
厚さが15μmと極端に薄い比較例のチタン被覆鋼材
(試番A2とB5)と、低炭素鋼製のインサート材で、
その炭素含有量が0.01重量%を超える比較例のチタ
ン被覆鋼材(試番B3とB4)には、チタン箔材に熱変
形(しわ)は発生しなかったが、溶接部が剥離した。
【0055】具体的に説明すると、以下のとおりであ
る。
【0056】《インサート材が純ニッケル製の場合》試
番A1は、最も適正と思われる条件での結果であり、剥
離試験において溶接部が破断せず、しかもチタン箔材に
熱変形(しわ)は発生しなかった。
【0057】試番A2〜A6は、インサート材の厚さが
及ぼす影響を調べた例であり、その厚さが0.02〜
0.5mmの場合(試番A3〜A6)では、剥離試験に
おいて溶接部が破断せず、しかもチタン箔材に熱変形
(しわ)は発生しなかった。
【0058】これに対し、その厚さが0.015mmと
極端に薄に場合(試番A2)では、チタン箔材に熱変形
(しわ)は発生しなかったが、剥離試験において溶接部
が破断した。
【0059】試番A7〜A10は、母材鋼材の溶融深さ
が及ぼす影響を調べた例であり、その溶融深さが3mm
以下の場合(A9、A10)では、剥離試験において溶
接部が破断せず、しかもチタン箔材に熱変形(しわ)は
発生しなかった。
【0060】これに対し、その溶融深さが3mmを超え
る場合(A7、A8)では、剥離試験において溶接部は
破断しなかったが、チタン箔材に熱変形(しわ)が若干
発生した。
【0061】試番A11〜A13は、チタン箔材の厚さ
が及ぼす影響を調べた例であり、その厚さが0.2mm
と極めて薄い場合(A13)でも、チタン箔材には熱変
形(しわ)が発生しておらず、しかも剥離試験において
溶接部は破断しなかった。
【0062】なお、比較例の試番A17は、インサ−ト
材を介在させ、母材鋼材の裏面側からレーザビームを照
射した場合であるが、用いたレーザ溶接機の出力が低す
ぎ、溶接速度をいくら遅くしても、レーザビームが厚さ
10mmの母材鋼材を貫通せず、溶接できなかった例で
ある。
【0063】《インサート材が低炭素鋼製の場合》試番
B1は、上記の試番A1と同様に、最も適正と思われる
条件での結果であり、剥離試験において溶接部が破断せ
ず、しかもチタン箔材に熱変形(しわ)は発生しなかっ
た。
【0064】試番B2〜B4は、低炭素鋼製インサート
材の炭素含有量が及ぼす影響を調べた例であり、その炭
素含有量が0.01重量%の場合(試番B2)では、剥
離試験において溶接部が破断せず、しかもチタン箔材に
熱変形(しわ)は発生しなかった。
【0065】これに対し、その炭素含有量が0.02重
量%以上の場合(試番B3、B4)では、チタン箔材に
熱変形(しわ)は発生しなかったが、剥離試験において
溶接部が破断した。
【0066】試番B5〜B9は、インサート材の厚さが
及ぼす影響を調べた例であり、その厚さが0.02〜
0.5mmの場合(試番B6〜B9)では、剥離試験に
おいて溶接部が破断せず、しかもチタン箔材に熱変形
(しわ)は発生しなかった。
【0067】これに対し、その厚さが0.015mmと
極端に薄に場合(試番B5)では、チタン箔材に熱変形
(しわ)は発生しなかったが、剥離試験において溶接部
が破断した。
【0068】試番B10〜B13は、母材鋼材の溶融深
さが及ぼす影響を調べた例であり、その溶融深さが3m
m以下の場合(B12、B13)では、剥離試験におい
て溶接部が破断せず、しかもチタン箔材に熱変形(し
わ)は発生しなかった。
【0069】これに対し、その溶融深さが3mmを超え
る場合(B10、B11)では、剥離試験において溶接
部は破断しなかったが、チタン箔材に熱変形(しわ)が
若干発生した。
【0070】試番B14〜B16は、チタン箔材の厚さ
が及ぼす影響を調べた例であり、その厚さが0.2mm
と極めて薄い場合(B15)でも、チタン箔材には熱変
形(しわ)が発生しておらず、しかも剥離試験において
溶接部は破断しなかった。
【0071】なお、比較例の試番B20は、インサ−ト
材を介在させ、母材鋼材の裏面側からレーザビームを照
射した場合であるが、用いたレーザ溶接機の出力が低す
ぎ、溶接速度をいくら遅くしても、レーザビームが厚さ
10mmの母材鋼材を貫通せず、溶接できなかった例で
ある。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、表面に熱変形(しわ)
を生じさせることなく、しかも健全な接合強度をもって
母材鋼材の表面にチタン箔材を確実に被覆することがで
きるので、長期にわたってチタン箔材が剥離することが
ない。また、その製造方法は、母材鋼材の表面にインサ
ート材を介在させてチタン箔材を積層し、その積層方向
からレーザビームを照射して線溶接するという極めて簡
単な方法であるので、製品の製造コストを大幅に低減さ
せることが可能で、安価なチタン被覆鋼材を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施状態を示す模式的斜視図である。
【図2】インサート材を用いた場合のチタン箔材と母材
鋼材の界面近傍における成分(チタンと炭素)分布状態
の一例を示す概略図である。
【図3】インサート材を用いない場合のチタン箔材と母
材鋼材の界面近傍における成分(チタンと炭素)分布状
態の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1:母材鋼材、 2:インサート材、 3:チタン箔材、 4:レーザビーム、 5:溶接ビード。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン箔材が表面に被覆されたチタン被覆
    鋼材の製造方法であって、0.03重量%以上の炭素を
    含有する母材鋼材の表面上に、純ニッケル、純鉄および
    炭素含有量が0.01重量%以下の低炭素鋼のうちのい
    ずれかからなる厚さ20μm以上のインサート材を介在
    させてチタン箔材を積層配置した後、その積層方向のい
    ずれか一方側からレーザビームを照射し、前記チタン箔
    材の少なくとも縁部近傍を全周にわたって母材鋼材と溶
    融接合させることを特徴とするチタン被覆鋼材の製造方
    法。
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